タイトル: | 特許公報(B2)_バニリルエチルエ−テルを含有する呈味改善剤、香料組成物およびビ−ル様飲料 |
出願番号: | 2003022201 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C12C 5/02,C12G 3/02 |
鎮守 治明 遠藤 普克 JP 4122390 特許公報(B2) 20080516 2003022201 20030130 バニリルエチルエ−テルを含有する呈味改善剤、香料組成物およびビ−ル様飲料 塩野香料株式会社 000121512 鎮守 治明 遠藤 普克 20080723 C12C 5/02 20060101AFI20080703BHJP C12G 3/02 20060101ALI20080703BHJP JPC12C5/02C12G3/02 C12C 5/02 C12G 3/02 特開2001−279227(JP,A) 3 2004229562 20040819 6 20060123 田村 明照 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はビ−ル様飲料の呈味改善剤、ビ−ル様飲料用香料組成物およびビ−ル様飲料に関する。【0002】【従来の技術】ビ−ルなどの酒類は、すでに紀元前の昔より多種多様なものが製造されていたことが広く知られている。長い年月を経て、ビ−ルは人々の生活に潤いをもたらす必要不可欠な飲み物として大きな市場を築くに至っており、近年では更なるバリエ−ション化が展開され、低アルコ−ルやノンアルコ−ルのビ−ル飲料類も登場し、市場の競争は激化の一途をたどっている。こうした背景において、新規で特徴的な香味素材の要求は、商品の差異化をはかる目的から常に存在する。特に発泡酒やノンアルコ−ルビ−ルには、ビ−ルまたはホップ特有の好ましい苦み感と後味の切れの良さを増強させることが求められ、それらを可能とする呈味改善剤や香料組成物の探索は大きな懸案となっている。しかしながら、それらを満足させるものは見当たらない。【0003】一方、バニリルエチルエ−テルは、歯磨組成物に配合して清涼感を増進させる(特許文献1)とか、温感作用を示す化合物として公知(特許文献2)であるが、ビ−ル様飲料の呈味改善剤、ビ−ル様飲料用香料組成物として用いられることはまったくなかった。本出願の発明に関する先行技術文献情報としては次のものがある。【特許文献1】特公昭61−55889号公報【特許文献2】特開2001−279227号公報【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、ビ−ル様飲料に添加することにより、ビ−ルまたはホップ特有の好ましい苦み感と後味の切れの良さを増強し、ナチュラル感や嗜好性の向上したビ−ル様飲料を提供することができるビ−ル様飲料の呈味改善剤、およびビ−ル様飲料用香料組成物を提供することを目的とする。更にはビ−ルまたはホップ特有の好ましい苦み感と後味の切れの良さが増強され、ナチュラル感や嗜好性の向上したビ−ル様飲料を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】 上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意検討した結果、驚くべきことにバニリルエチルエーテルが前記の課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、バニリルエチルエーテルからなるビール様飲料(但し、炭酸飲料を除く)の呈味改善剤であり、また本発明は、バニリルエチルエーテルを含有するビール様飲料(但し、炭酸飲料を除く)用香料組成物であり、また本発明は、バニリルエチルエーテルを含有するビール様飲料(但し、炭酸飲料を除く)である。 更に本発明は、バニリルエチルエーテルからなるビール様飲料の苦味改善剤または苦味増強剤であり、また本発明は、バニリルエチルエーテルを含有するビール風味またはホップ風味増強用香料組成物である。【0006】【発明の実施の形態】 本発明でビール様飲料とは、発泡酒、各種ビール類、低アルコールビール類、ノンアルコールビール類、フレーバードビ−ル類をいう。したがって、本発明のビール様飲料(但し、炭酸飲料を除く)は、ビター系炭酸飲料等の炭酸飲料は除かれる。 本発明のビール様飲料の呈味改善剤は、公知の化合物であるバニリルエチルエーテルである。本品は微量で使用されるため、好ましくはエタノール、プロピレングリコール等の溶剤に溶解させて、そのままビ−ル様飲料に添加するか、あるいは後記香料組成物に添加して用いられる。また本発明の呈味改善剤は、ホップ精油やホップ抽出物等のホップ類と共に用いられることが好ましい。 添加の方法には特に制限がなく、製造工程中の適当な工程で添加することができる。例えば、発泡酒、ビールに添加する場合では、麦汁煮沸後の冷却工程、発酵工程および熟成工程等任意の工程でよいが、後発酵工程の終了後が好ましい。また炭酸飲料に添加する場合では、砂糖・酸味料・香料を溶解する工程が好ましい。 添加量は、対象とするビール様飲料の種類や目標とする呈味レベルによって最適範囲は異なるが、例えばビール様飲料中、0.01〜1000ppm、より好ましくは0.1〜100ppmが挙げられる。 本呈味改善剤は、ビール様飲料に添加して、ビールまたはホップ特有の好ましい苦み感と後味の切れの良さを増強し、ナチュラル感や嗜好性の向上したビール様飲料を提供することができる。 以上、本発明の呈味改善剤について説明したが、上記の内容は本発明の苦味改善剤または苦味増強剤の説明と同一である。【0007】本発明のビ−ル様飲料用香料組成物または本発明のビ−ル風味またはホップ風味増強用香料組成物は、バニリルエチルエ−テル以外に、任意の香料成分やエタノール、プロピレングリコールおよび水等の溶剤を含有することができる。香料成分としては、ビ−ル類の香味成分が好ましく、例えばビール香気濃縮物、ホップ精油、ホップ抽出物、テルペン系炭化水素、アルコール、脂肪酸、エステル等が挙げられ、具体的には、ビール回収フレーバー、ホップ精油、ホップ抽出物、フェニルエチルアルコ−ル、フルフリルアルコ−ル、イソ吉草酸、オクタン酸、フェニルエチルアセテ−ト、パラ−ビニルグアイアコ−ルなど、公知のビ−ル香味成分が目的に応じて適宜配合して用いられる。なかでもホップ精油やホップ抽出物等のホップ類および/またはビール回収フレーバーと共に用いられることが好ましい。本発明の香料組成物中のバニリルエチルエ−テルの含有量は、特に制限はなく、例えば0.001〜100重量%が挙げられ、より好ましくは0.01〜10重量%である。本発明の香料組成物は、ビ−ル様飲料に添加して、ビール風味またはホップ風味を向上させるが、特にビ−ルまたはホップ特有の好ましい苦み感と後味の切れの良さを増強し、ナチュラル感や嗜好性の向上したビ−ル様飲料を提供することができる。その添加量は、対象とするビ−ル様飲料の種類や添加目的によって最適範囲は異なるが、一般的には添加されたビ−ル様飲料中のバニリルエチルエ−テルの含有量が、0.01〜1000ppm、より好ましくは0.1〜100ppmになるように、添加されることが好ましい。以上、本発明のビ−ル様飲料用香料組成物について説明したが、上記の内容は本発明のビ−ル風味またはホップ風味増強用香料組成物の説明と同一である。【0008】バニリルエチルエ−テルを含有する、本発明のビール様飲料とは、前記のものであり、バニリルエチルエ−テルの含有量は、ビ−ル様飲料の種類や目標とする呈味レベルによって最適範囲は異なるが、例えばビ−ル様飲料中、 0.01〜1000ppm、より好ましくは0.1〜100ppmである。本発明のビール様飲料の製造方法および用いられる原料等は、特に限定されず公知の方法および原料が用いられる。例えばビールは、麦芽とホップを主原料とする醸造酒をいい、製造工程は各種あるが、例えばビルスナータイプでは、仕込み(糖化)−発酵(主発酵)−貯蔵(後発酵・熟成)−濾過−包装 である。また、炭酸飲料の場合、水と糖類を混合した糖液に酸味料や香料等を加えてシロップ調合液をつくり、この一定量を缶に注入し、ついで二酸化炭素を注入し、充填等が行われる。本発明のビール様飲料は、本発明の呈味改善剤または香料組成物を含有する事によって、ビ−ル様飲料のビ−ルまたはホップ特有の好ましい苦み感と後味の切れの良さが増強され、ナチュラル感や嗜好性の向上したものである。【0009】【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。【0010】実施例1市販の発泡酒100重量部に対し、バニリルエチルエ−テルの1重量%エタノ−ル溶液を0.1重量部加え、バニリルエチルエ−テルを10ppm含有する本発明の発泡酒を得た。4名の専門検査員によって、本発明品を無添加品と比較した結果、4名全員が、本発明品の風味はミドルノートからボトムノートに寄与する苦味を増強したことが認められ、又更に後味の切れの良さも同時に認められ、ビール特有の好ましい苦み感と後味の切れの良さが増強されたと評価した。【0011】実施例2市販のホップエクストラクト2000重量部に対し、バニリルエチルエ−テルを0.5重量部加え、バニリルエチルエ−テルを250ppm含有する本発明のビ−ル様飲料用香料組成物を得た。このものを市販のノンアルコ−ルビ−ル1000重量部に対し1重量部添加して、バニリルエチルエ−テルを0.25ppm含有する本発明のノンアルコ−ルビ−ルを得た。比較のため、バニリルエチルエ−テルを加えていない市販のホップエクストラクトを前記と同量加え、比較品のノンアルコ−ルビ−ルを得た。4名の専門検査員によって、本発明品と比較品とを評価した結果、4名全員が、本発明品はホップ特有の苦みが強化され、また後味の切れの良さも向上し、香味およびナチュラル感が増強されたと評価した。【0012】実施例3以下の表1のようにビ−ル様飲料用香料組成物を調製した。なお、比較のためバニリルエチルエ−テルを含有しないこと以外は、他の成分の組成が同様の比較例1も調製した。表に記載した数値はすべて重量部を示す。【0013】【表1】表1【0014】上記の実施例3または比較例1の香料組成物1重量部を、市販の発泡酒1000重量部に添加して得られたバニリルエチルエ−テルを5ppm含有する本発明のビ−ル様飲料について、4名の専門検査員によってそれぞれの香味を比較した。その結果、4名全員が、実施例3の香料組成物を添加したビ−ル様飲料の方が、ビ−ル特有の好ましい苦み感と後味の切れの良さを増強し、ナチュラル感や嗜好性が向上したと評価した。【0015】【発明の効果】本発明のビ−ル様飲料の呈味改善剤、または本発明のビ−ル様飲料用香料組成物をビ−ル様飲料に添加することにより、ビ−ルまたはホップ特有の好ましい苦み感と後味の切れの良さを増強し、ナチュラル感や嗜好性の向上したビ−ル様飲料を提供することができる。 バニリルエチルエーテルからなるビール様飲料(但し、炭酸飲料を除く)の呈味改善剤。 バニリルエチルエーテルを含有するビール様飲料(但し、炭酸飲料を除く)用香料組成物。 バニリルエチルエーテルを含有するビール様飲料(但し、炭酸飲料を除く)。