生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ブナゾシンとプロスタグランジン類からなる緑内障治療剤
出願番号:2003018104
年次:2009
IPC分類:A61K 31/551,A61K 31/5575,A61P 27/06,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

市川 正樹 中澤 文雄 原 英彰 JP 4300347 特許公報(B2) 20090501 2003018104 20030128 ブナゾシンとプロスタグランジン類からなる緑内障治療剤 参天製薬株式会社 000177634 日比 紀彦 100083149 岸本 瑛之助 100060874 渡邊 彰 100079038 清末 康子 100069338 市川 正樹 中澤 文雄 原 英彰 JP 2002020542 20020129 20090722 A61K 31/551 20060101AFI20090702BHJP A61K 31/5575 20060101ALI20090702BHJP A61P 27/06 20060101ALI20090702BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090702BHJP JPA61K31/551A61K31/5575A61P27/06A61P43/00 121 A61K 31/551 A61K 31/5575 A61P 27/06 A61P 43/00 BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) 国際公開第01/039805(WO,A1) 東 郁郎 等,緑内障治療薬の進歩,日本眼科学会雑誌,1993年,第97巻、第2号,第1353−1369ページ 2 2003292442 20031015 5 20050315 瀬下 浩一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ブナゾシンまたはその塩とプロスタグランジン類との組み合わせからなる緑内障治療剤に関するものである。【0002】【従来の技術】緑内障は種々の要因により眼圧が上昇し、失明に至る危険性のある難治性の眼疾患であり、様々な治療方法について研究がなされている。眼圧を下降させる方法としては、薬物療法、レーザー治療、手術の3つが挙げられる。薬物療法には、β遮断薬、プロスタグランジン関連薬、炭酸脱水酵素阻害薬、コリン作動薬、エピネフリン関連薬等の薬物が用いられている。【0003】最近、新たな作用機序に基づく薬物としてα1遮断薬である塩酸ブナゾシンが開発された。塩酸ブナゾシンは選択的交感神経α1受容体遮断薬であり、ぶどう膜強膜流出路からの房水流出を促進することにより眼圧を下降させる(日本眼科紀要 46,1066-1070,1995)。【0004】α1遮断薬と他の緑内障治療剤との組み合わせとしては、α1遮断薬とアンジオテンシンII拮抗剤との組み合わせによる緑内障治療剤が特開2001−33551に報告されている。【0005】一方、プロスタグランジン類と他剤との組み合わせによる緑内障治療剤として、特許第2726672号にアドレナリン性遮断薬とプロスタグランジン類との組み合わせが報告されている。しかしながら、この報告ではアドレナリン性遮断薬としてはβ遮断薬を主対象としており、α遮断薬を用いた時の効果については述べられておらず、特にα1遮断薬についての効果は示唆もされていない。【0006】このように、これまでα1遮断薬とプロスタグランジン類との組み合わせによる緑内障治療効果は報告されておらず、特に新規な作用機序を有するα1遮断薬であるブナゾシンとプロスタグランジン類を組み合わせについての研究は全くされていなかった。【0007】【発明が解決しようとする課題】このように新規な作用機序を有するブナゾシンとプロスタグランジン類との組み合わせによる緑内障治療剤としての有用性を見出すことは、非常に興味ある課題であった。【0008】【問題を解決するための手段】本発明者らは、ブナゾシンとプロスタグランジン類の組み合わせによる緑内障治療剤としての開発の可能性を鋭意研究した結果、これらを組み合わせると眼圧下降作用が増強されることを見出し、本発明を完成させた。詳細な試験方法および、その結果は後述の薬理試験の項で説明するが、ブナゾシンとプロスタグランジン類とを組み合わせることによって顕著な眼圧下降作用を示した。また、本発明による緑内障治療剤は緑内障の治療だけでなく予防にも好適に用いることができる。【0009】【発明の実施の形態】 本発明は、ブナゾシンまたはその塩とプロスタグランジン類の1つであるラタノプロストとの組み合わせからなる緑内障治療剤であり、お互いにその作用を補完および/または増強するものである。【0010】緑内障の治療に関しては、ブナゾシンとプロスタグランジン類を1つの製剤に配合した形で投与、即ち合剤にして投与してもよく、これらを別々の製剤にして投与、即ち併用投与の形態をとってもよい。【0011】ブナゾシンは塩の形態をとっていてもよく、塩の例として塩酸、硝酸等の無機酸との塩等が挙げられるが、特に塩酸塩が好ましい。【0012】 本発明で用いられるプロスタグランジン類はラタノプロスト(特表平3−501025号公報参照)である。ラタノプロストは塩またはエステルの形態をとっていても良い。【0013】本発明を実施するための製剤としては、ブナゾシンとプロスタグランジン類とを配合した製剤でもよく、それぞれの成分を別々にした製剤でもよい。これらの製剤の調製には特別な技術は必要ではなく、汎用されている技術を用いて製剤を調製すればよい。投与方法としては眼局所投与が好ましく、その剤型としては点眼液、眼軟膏等が挙げられる。【0014】ブナゾシンとプロスタグランジン類とを別々にした製剤を調製する場合は、公知の方法に準じて調製することができる。例えば、ブナゾシンの製剤としては特許第2610619号および特公平7−23302号に開示されている製剤や市販の製剤を用いることができる。プロスタグランジン類の製剤は、上記公開特許公報の記載を参考にして調剤することができ、特に既に緑内障治療薬として上市されているラタノプロスト、イソプロピルウノプロストン等については市販の製剤を用いることができる。【0015】ブナゾシンとプロスタグランジン類とを配合した製剤を調製する場合も、公知の方法に準じて調製することができる。点眼液の場合は、塩化ナトリウム、濃グリセリン等の等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等の緩衝剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラベン等の防腐剤等を必要に応じて用い調製することができる。pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、4〜8の範囲が好ましい。参考までにその製剤例の一部を後述の実施例の項に記載するが、その製剤例は本発明の範囲を限定するものではない。【0016】ブナゾシンおよびプロスタグランジン類の投与量は、患者の症状、年齢、剤型、投与経路等に応じて決められる。例えば点眼投与の場合、ブナゾシンの投与量は通常1日の投与量が2〜40μgの範囲で、1日1回または数回に分けて投与される。また、プロスタグランジン類の投与量は薬物の種類によって異なるが、実際に治療に用いられている範囲の用量を基準として定められ、症状等によって適宜増減される。その1日の投与量は1〜1000μgの範囲で、1回または数回に分けて投与される。より具体的に言えばイソプロピルウノプロストンの場合には、1日量として30〜300μgが、ラタノプロストの場合には1日量として 1〜5μgが通常使用されているが、症状等によってその用量は適宜増減される。他のプロスタグランジン類についても同様な基準に基づいて定めればよい。これらの投与量はブナゾシンとプロスタグランジン類とを併用投与するときに適用されるが、ブナゾシンとプロスタグランジン類とを1つの製剤に配合した形態で投与する場合には、1日の投与量が上記の各成分の量またはそれ以下になるように、配合割合を適宜選択した製剤を調製し、その配合製剤を1日1回または数回に分けて投与される。【0017】以下に実施例として製剤例および薬理試験を示すが、これらの例は本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。【0018】【実施例】[製剤例]本発明におけるブナゾシンとプロスタグランジン類との配合剤の点眼剤の一般的な製剤例を以下に示す。【0019】点眼剤(100mL中)塩酸ブナゾシン 0.01gラタノプロスト 0.005gホウ酸 0.5g濃グリセリン 2.0g塩化ベンザルコニウム 0.01g希塩酸 適量精製水 適量【0020】[薬理試験]ブナゾシンとプロスタグランジン類との組み合わせ使用の有用性を調べるため、カニクイサルにブナゾシンとプロスタグランジン類を併用投与し眼圧に対する効果を検討した。プロスタグランジン類にはラタノプロストを用いた。【0021】(被験化合物溶液)ブナゾシン投与には、デタントール(登録商標)点眼液(0.01%塩酸ブナゾシンを含む点眼液)を使用した。ラタノプロスト投与にはキサラタン(登録商標)点眼液(0.005%ラタノプロストを含む点眼液)を使用した。【0022】(投与群)カニクイサルを基剤投与群、ブナゾシン投与群、ラタノプロスト投与群およびブナゾシン+ラタノプロスト投与群の4つの投与群に分けた。【0023】(投与方法および測定方法)1.正常カニクイサルの片眼に0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液を一滴点眼し、局所麻酔後、投与前の眼圧を測定した。【0024】2.次いで、被験化合物溶液を点眼した。基剤投与群には、基剤を20μL点眼した。ブナゾシン投与群には、デタントール点眼液を20μL点眼した。ラタノプロスト投与群には、キサラタン点眼液を20μL点眼した。ブナゾシン+ラタノプロスト投与群にはデタントール点眼液を20μL点眼し、5分後にキサラタン点眼液を20μL点眼した。【0025】3.被験化合物溶液投与2時間後、4時間後および6時間後に0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液を一滴点眼し、局所麻酔後、眼圧を測定した。各群について、次式より最大眼圧降下値を求めた。【0026】最大眼圧降下値=(最も眼圧の下がった時点の眼圧)−(投与前の眼圧)(結果および考察)実験結果を表1に示す。【0027】【表1】【0028】表1に示したように、ブナゾシンとラタノプロストの併用群ではブナゾシン投与群およびラタノプロスト投与群よりもさらに眼圧が下降した。上記のことから、ブナゾシンとプロスタグランジン類を組み合わせることにより、より強い眼圧下降を得られることが明らかとなった。【0029】【発明の効果】ブナゾシンとプロスタグランジン類とを組み合わせて投与すると、眼圧下降作用が増強された。よって本発明の医薬組成物は緑内障の治療剤として有用である。 ブナゾシンまたはその塩とラタノプロストとの組み合わせからなる緑内障治療剤、但し、アンジオテンシンII拮抗剤を含有する場合を除く。 ブナゾシンまたはその塩とラタノプロストとの組み合わせからなる緑内障治療剤、但し、ブナゾシンまたはその塩とラタノプロスト以外の緑内障治療薬を含有する場合を除く。


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