タイトル: | 特許公報(B2)_チアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の製造方法 |
出願番号: | 2003002556 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/51,A23L 1/302,A23L 3/3544,A61K 9/08,A61K 47/14,A61K 47/34,A61P 3/02 |
増田 卓也 佐藤 則夫 小林 善則 酒井 京子 JP 4375970 特許公報(B2) 20090918 2003002556 20030108 チアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の製造方法 太陽化学株式会社 000204181 田辺三菱製薬株式会社 000002956 細田 芳徳 100095832 増田 卓也 佐藤 則夫 小林 善則 酒井 京子 20091202 A61K 31/51 20060101AFI20091112BHJP A23L 1/302 20060101ALI20091112BHJP A23L 3/3544 20060101ALI20091112BHJP A61K 9/08 20060101ALI20091112BHJP A61K 47/14 20060101ALI20091112BHJP A61K 47/34 20060101ALI20091112BHJP A61P 3/02 20060101ALI20091112BHJP JPA61K31/51A23L1/302A23L3/3544A61K9/08A61K47/14A61K47/34A61P3/02 105 A61K 31/51 A23L 1/302 A23L 3/3544 A61K 9/08 A61K 47/14 A61K 47/34 A61P 3/02 特開平11−253142(JP,A) 特開平05−219925(JP,A) 特開平03−067573(JP,A) 特開2001−321142(JP,A) 特開平04−311369(JP,A) 特開2000−044474(JP,A) 特開2001−316206(JP,A) 特開平11−313622(JP,A) 5 2004210749 20040729 9 20051220 櫛引 明佳 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、チアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の製造方法及びチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤、並びに該水性液剤を食品に配合する食品の製造方法及び該水性液剤を配合した食品に関する。【0002】【従来の技術】チアミンラウリル硫酸塩は、ビタミンB1補給のための栄養剤としてドリンク剤等に広く使用されている。また食品用の日持向上剤としても知られており、カビ・酵母・乳酸菌等の幅広い微生物への静菌力に優れるため、弁当、惣菜、つゆ、たれ等に日持ち向上目的で広く使用されている。しかし、チアミンラウリル硫酸塩は疎水性のラウリル基を持つため難水溶性で溶解度は約0.021g/100ml水(25℃)であり、食材へ均一に溶かし込むことや濃度調節が困難であるという欠点がある。そのため、チアミンラウリル硫酸塩が41℃にクラフトポイントを持ち、この温度以上に加熱すれば溶解する特性を利用して一旦液剤化してから添加する方法が採られている。しかし、高濃度のチアミンラウリル硫酸塩液剤は、冷却されればすぐに再結晶化を生じ、濁りや沈殿が発生してしまうため、再加熱しなければ使用できず、作業性、効率が非常に悪い。【0003】これらの問題を解決するためにチアミンラウリル硫酸塩の液状製剤化が検討され、高濃度の酢酸あるいは高濃度のエチルアルコールを溶媒とした製剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの製剤は作業性には優れるが、食品に添加した後には、溶媒が食品中で希釈され、チアミンラウリル硫酸塩の溶解性が低下して結晶が析出してしまうという問題がある。特に、液状食品に使用した場合は、冷蔵されることも多く、チアミンラウリル硫酸塩の溶解性がさらに落ちるため、容器の底や首の部分にチアミンラウリル硫酸塩の結晶が析出し外観を損ねてしまうので、効果はあってもごく少量しか使用できないという問題がある。【0004】【特許文献1】特開平11−206356号公報(第1頁〜第4頁)【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた保存安定性を有しており、しかも液状食品等の液状物に添加した場合にも実質的に結晶が析出することのないチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の製造方法及びチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤、並びに該水性液剤を食品に配合する食品の製造方法及び該水性液剤を配合してなる食品を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、チアミンラウリル硫酸塩を乳化剤の存在下に水と混合して溶解させることにより、チアミンラウリル硫酸塩の水への溶解性及び溶解安定性、並びに製剤の保存安定性を飛躍的に向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。【0007】 すなわち、本発明は、〔1〕 ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む乳化剤の存在下に、チアミンラウリル硫酸塩と、エチルアルコールと、水とを混合することを特徴とするチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の製造方法であって、得られるチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の組成が乳化剤3〜50重量%、水5〜60重量%、エチルアルコール1〜40重量%及びチアミンラウリル硫酸塩5〜30重量%である、製造方法、〔2〕 ポリグリセリン脂肪酸エステルがポリグリセリンラウリン酸エステルである前記〔1〕記載の製造方法、〔3〕 前記〔1〕又は〔2〕記載の製造方法により製造されるチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤、〔4〕 前記〔3〕記載の水性液剤を食品に配合することを特徴とする食品の製造方法、並びに、〔5〕 前記〔3〕記載の水性液剤を配合してなる食品、に関する。【0008】【発明の実施の形態】本発明のチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の製造方法(以下、水性液剤の製造方法という)は乳化剤を用いることを大きな1つの特徴とする。【0009】本発明の水性液剤の製造方法においては、乳化剤の存在下にチアミンラウリル硫酸塩を水と混合して溶解させる。得られるチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤中におけるチアミンラウリル硫酸塩の溶解状態の詳細については未だ不明であるが、チアミンラウリル硫酸塩が乳化剤と何らかの相互作用をし、安定な溶解状態が形成されているものと推定される。【0010】本発明の水性液剤の製造方法により得られるチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤は、当該水性液剤が通常使用される温度に加え、低温下(例えば、5℃)においても優れた保存安定性を有する。また、本発明の水性液剤の製造方法によれば、保存安定性に優れ、しかも従来に比べて高濃度にチアミンラウリル硫酸塩を含む水性液剤を得ることができる。さらに、そのようなチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤を、例えば、液状食品等の水を多く含むような液状物に対して配合したとしても、実用上問題となる程度のチアミンラウリル硫酸塩の結晶の析出は生じない。すなわち、本発明の水性液剤の製造方法により得られるチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤は、希釈下におけるチアミンラウリル硫酸塩の溶解安定性にも優れる。【0011】なお、本明細書において「水性」とは少なくとも水を含んでなることを意味する。また、「保存安定性」とは、保存時(水性液剤からの水分蒸発が無視できる条件下)に、実用上問題となる程度のチアミンラウリル硫酸塩の結晶の析出が生じないという、チアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の性質をいう。【0012】以下に本発明において使用される各成分について説明するが、当該各成分としては食品添加物グレードであるのが好適である。【0013】本発明におけるチアミンラウリル硫酸塩とはビタミンB1の誘導体であり、公知の製法により得られたものを特に限定なく使用することができる。市販品の入手が可能であれば、それを使用することもできる。【0014】本発明における乳化剤としては、特に限定はなく、1種若しくは2種以上の公知の種々の乳化剤を使用することができる。本発明の所望の効果の発現の観点から、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリソルベートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好適に使用される。中でも、チアミンラウリル硫酸塩の水への可溶化能に優れることから、ポリグリセリン脂肪酸エステル、縮合リシノレイン酸エステル、及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好適に使用され、ポリグリセリン脂肪酸エステルがさらに好適に使用される。【0015】前記例示した乳化剤中、脂肪酸エステルからなるものについては、当該エステルを構成する脂肪酸として、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が挙げられる。中でも、本発明の所望の効果の発現の観点から、ラウリン酸が好適である。【0016】本発明に使用される乳化剤としては、具体的に、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、ポリグリセリンパルミチン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、縮合リシノレイン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等が好適であり、ポリグリセリンラウリン酸エステルがより好適である。【0017】なお、本明細書において「ポリグリセリン脂肪酸エステル」とはグリセリンの重合度が2以上のものをいい、当該重合度は特に限定されるものではない。また、使用されるエステルのエステル化度(結合する脂肪酸の数)も特に限定されるものではない。【0018】本発明の水性液剤の製造方法に使用する水としては、特に限定はなく、水道水、精製水、イオン交換水、蒸留水等が使用される。【0019】上記各成分に加え、本発明の所望の効果の発現が阻害されない範囲であれば、さらに、以下のようなその他の成分を用いることもできる。【0020】本発明の水性液剤の製造方法においては、該水性液剤の安定性を高める観点から、任意に、さらにアルコールを用いてもよい。当該アルコールとしては、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。中でも、飲食料品等の食品に使用するという観点から、エチルアルコールが好ましい。【0021】さらに、種々の公知の添加物、例えば、リン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、酢酸、アジピン酸、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸等の有機酸及びこれらの塩などのpH調整剤、リゾチーム、グリシン、イチジク抽出物、カラシ抽出物、キトサン、クワ抽出物、酵素処理茶抽出物、セイヨウワサビ抽出物、タデ抽出物、トウガラシ抽出物、ニンニク抽出物、ピメンタ抽出物、ブドウ種子抽出物、ペパー抽出物、マダケ抽出物、モウソウチク乾留物、モミガラ抽出物、ワサビ抽出物、オレガノ抽出物、カンゾウ抽出物、クローブ抽出物、コウジ酸、酵素分解リンゴ抽出物、ショウガ抽出物、セージ抽出物、茶抽出物、生ダイズ抽出物、ハチク抽出物、ブドウ果皮抽出物、プロポリス抽出物、ホッコシ抽出物、ミカン種子抽出物、ユッカフォーム抽出物、ローズマリー抽出物等の日持向上剤、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ウド抽出物、エゴノキ抽出物、カワラヨモギ抽出物、酵素分解ハトムギ抽出物、ツヤプリシン抽出物、ペクチン分解物、ホオノキ抽出物、ε- ポリリジン、プロタミン、レンギョウ抽出物、ナイシン、ナタマイシン等の保存料を用いてもよい。【0022】本発明の水性液剤の製造方法の一例を挙げると、当該方法は、(1)前記したような、チアミンラウリル硫酸塩、乳化剤及び水、並びに所望によりその他の成分を任意に適宜混合する、(2)少なくともチアミンラウリル硫酸塩のクラフトポイント(41℃)以上の温度まで加熱し、攪拌下に各成分を溶解させる、(3)溶解後、適宜冷却する、という各工程からなる。なお、アルコールを用いる場合は、その沸点を考慮し、例えば、60℃以下程度の温度となったところで添加する。【0023】また、本発明の水性液剤の製造方法としては、本発明の所望の効果の発現の観点から、得られるチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の組成が、乳化剤を好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5〜45重量%、さらに好ましくは10〜35重量%;水を好ましくは5〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%;及びチアミンラウリル硫酸塩を好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%含むものとなるように、すなわち、チアミンラウリル硫酸塩の水性液剤中の各成分の含有量がここに記載する割合となるように混合するのが好適である。【0024】アルコールを用いる場合は、本発明の水性液剤中、その含有量が、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%となるように上記各成分と混合するのが好適である。【0025】以上によりチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤が得られる。当該水性液剤も本発明に包含される。【0026】本発明のチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤としては、各成分が前記したような含有量で含まれるものが好適である。また、該水性液剤の安定性を考慮すれば、アルコールを含有するものが好適である。【0027】本発明のチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤は、チアミンラウリル硫酸塩により発揮される効果が求められるあらゆる対象物(例えば、食品、飼料等)に対して好適に使用することができるが、中でも、チアミンラウリル硫酸塩による栄養強化や、日持ち向上が求められる食品に対して使用するのが好適である。【0028】前記食品の形態は、特に限定されるものではなく、固形状、ペースト状、液状等のいずれの形態のものであってもよい。本発明のチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤は液状の形態を有しており、しかも水を多く含むような液状物に対して添加したとしても、実用上問題となる程度のチアミンラウリル硫酸塩の結晶が析出することはないので、特に液状食品に対して好適に使用される。当該液状食品としては、例えば、スポーツドリンク、ドレッシング、タレ、漬物の漬け汁、梅干の漬け汁、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、ホワイトソース等が挙げられる。また、これらの液状食品は冷蔵保存されることが多いが、冷蔵保存時においてもチアミンラウリル硫酸塩の結晶の析出を長期に渡って抑制することができる。【0029】本発明のチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤を前記するような食品に使用する場合、使用対象である食品の製造工程の任意の時点において、栄養強化、日持ち向上等の所望の効果が発揮されうる量の該水性液剤を当該食品の原料に対し添加すればよい。例えば、日持ち向上を所望する場合、固形状若しくはペースト状の食品については、チアミンラウリル硫酸塩の水性液剤を当該食品に対し、チアミンラウリル硫酸塩の量として、好ましくは10〜300ppm、より好ましくは50〜150ppm含有されるように添加する。また、液状の食品については、当該食品に対し、好ましくは5〜200ppm、より好ましくは10〜150ppm含有されるように添加する。なお、本明細書において「ppm」とは、本発明の水性液剤を含んだ対象物1kg当たりのmg数で表されるチアミンラウリル硫酸塩の濃度をいう。【0030】従って、本発明の一態様として、さらに本発明のチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤を食品に配合することを特徴とする食品の製造方法、並びに本発明のチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤を配合してなる食品が提供される。なお、本発明の水性液剤が食品中に含まれているとの判定は、例えば、任意の検査方法により、検査対象の食品中に溶解状態で含まれるチアミンラウリル硫酸塩の量と、チアミンラウリル硫酸塩の当初配合量とが同程度であることを確認することにより行うことができる。【0031】【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によってなんら限定されるものではない。【0032】実施例1〜8チアミンラウリル硫酸塩(商品名:ビタゲンAS−5 号、田辺製薬(株)製)、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製)及び縮合リシノレイン酸エステル(太陽化学(株)製)、エチルアルコール、水を用いて表1に示す配合に従って水性液剤をそれぞれ調製した。【0033】【表1】【0034】水性液剤の調製はいずれも、任意の容器中にてチアミンラウリル硫酸塩と乳化剤と水とを予め混合しておいてから当該容器を湯浴につけて80℃まで昇温して加熱し、攪拌溶解後、前記容器をさらに30℃の恒温水槽中の水浴につけることにより冷却し、40℃になったところでエチルアルコールを添加し、すぐに保存容器に充填することにより行った。【0035】比較例1〜4チアミンラウリル硫酸塩(商品名:ビタゲンAS−5 号、田辺製薬(株)製)、エチルアルコール、水のみを用いて表2に示す配合に従って、前記実施例と同様にして水性液剤をそれぞれ調製した。【0036】【表2】【0037】試験例1前記実施例及び比較例において得られた水性液剤に対し、5℃における1ヶ月間の保存安定性試験(5℃・1ヶ月)、5℃と40℃での保存を12時間づつ14日間繰り返した場合の保存安定性試験(5℃+40℃・14日)、及び10%(w/v)食塩水に水性液剤をチアミンラウリル硫酸塩含量として100ppm〜1000ppmの各濃度で添加した場合の5℃での1ヶ月間保存時のチアミンラウリル硫酸塩の溶解安定性試験(10%食塩水中5℃・1ヶ月)を行った。結果を表3にそれぞれ示す。【0038】なお、各試験での評価基準は以下の通りである。当該評価基準は各試験での保存後の水性液剤の目視により認識される性状に基づく。〔評価基準〕○: 白濁がなく透明である△: 若干の微細結晶や析出が見られる×: 明らかに結晶の沈殿や白濁が見られる【0039】【表3】【0040】表3に示すように、5℃における1ヶ月間の保存安定性試験、及び5℃と40℃での保存を12時間づつ14日間繰り返した場合の保存安定性試験においては、実施例1〜8の水性液剤についていずれも良好な保存安定性が認められた。【0041】また、10%食塩水に水性液剤をチアミンラウリル硫酸塩含量として100〜1000ppmの各濃度で添加した場合の5℃での1ヶ月間保存時のチアミンラウリル硫酸塩の溶解安定性試験では、いずれの実施例の水性液剤についてもチアミンラウリル硫酸塩含量が300ppmまで保存時における希釈下でのチアミンラウリル硫酸塩の溶解安定性が認められ、実施例4と8では400ppmまで、実施例3と7では600ppmまで、実施例2と6では1000ppmまで当該安定性が認められた。【0042】一方、比較例3の水性液剤では5℃における1ヶ月間の保存安定性試験、及び5℃と40℃での保存を12時間づつ14日間繰り返した場合の保存安定性試験で、比較例4の水性液剤では5℃における1ヶ月間の保存安定性試験で、それぞれ保存安定性が認められたものの、比較例1及び2の水性液剤についてはそれらの試験で保存安定性は全く認められず、また、比較例4の水性液剤では5℃と40℃での保存を繰り返した試験で保存安定性は全く認められなかった。さらに、比較例1〜4の水性液剤についてはいずれも保存時における希釈下でのチアミンラウリル硫酸塩の溶解安定性は全く認められなかった。【0043】以上の結果より、本発明のチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤は非常に保存安定性に優れることが分かる。また、希釈下でのチアミンラウリル硫酸塩の溶解安定性にも優れることが分かる。【0044】試験例2前記試験例1において特に優れた保存安定性が認められた実施例2及び実施例6の水性液剤について、調製直後と40℃で3週間の保存試験後における当該水性液剤中のチアミンラウリル硫酸塩含量をHPLC法(カラム:Chemco Scientific Co. Ltd.製Chemcosorb 5-ODS-H(長さ4.6cm 、内径150mm )、溶媒:0.05M リン酸塩緩衝液:アセトニトリル(容量比60/40)、検出法:UV265nm)にて測定した。結果を表4に示す。【0045】【表4】【0046】表4に示すように、いずれの場合も調製直後と保存試験後でチアミンラウリル硫酸塩含量は実質的に変化しておらず、実施例2及び実施例6の水性液剤は極めて高い保存安定性を有することが分かる。【0047】【発明の効果】本発明により、優れた保存安定性を有しており、希釈下におけるチアミンラウリル硫酸塩の溶解安定性にも優れたチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤が得られる。また、チアミンラウリル硫酸塩を溶解状態で安定に含んでなる食品が得られる。 ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む乳化剤の存在下に、チアミンラウリル硫酸塩と、エチルアルコールと、水とを混合することを特徴とするチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の製造方法であって、得られるチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤の組成が乳化剤3〜50重量%、水5〜60重量%、エチルアルコール1〜40重量%及びチアミンラウリル硫酸塩5〜30重量%である、製造方法。 ポリグリセリン脂肪酸エステルがポリグリセリンラウリン酸エステルである請求項1記載の製造方法。 請求項1又は2記載の製造方法により製造されるチアミンラウリル硫酸塩の水性液剤。 請求項3記載の水性液剤を食品に配合することを特徴とする食品の製造方法。 請求項3記載の水性液剤を配合してなる食品。