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タイトル:特許公報(B2)_渦流探傷検査用プローブおよびこれを用いた渦流探傷検査方法
出願番号:2003000611
年次:2007
IPC分類:G01N 27/90


特許情報キャッシュ

森 久和 石田 秀顕 JP 3955823 特許公報(B2) 20070511 2003000611 20030106 渦流探傷検査用プローブおよびこれを用いた渦流探傷検査方法 住友化学株式会社 000002093 深井 敏和 100104318 森 久和 石田 秀顕 JP 2002024616 20020131 20070808 G01N 27/90 20060101AFI20070723BHJP JPG01N27/90 G01N27/72-27/90 JSTPlus(JDream2) 特開平01−223340(JP,A) 特開平08−313181(JP,A) 特開昭63−058247(JP,A) 実開平05−028962(JP,U) 実開平05−008266(JP,U) 4 2003294711 20031015 13 20051121 島田 英昭 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器などに用いられるインナーフィン付き伝熱管の検査に用いる渦流探傷検査用プローブおよびこれを用いた渦流探傷検査方法に関する。【従来の技術】【0002】熱交換器内部における非磁性伝熱管(通常、銅管などが使用される。)の傷などの欠陥の有無を非破壊的に検査するには、一般に渦流探傷検査が用いられている。渦流探傷検査は、試験体の近くに交流電流を流したコイルを置くと、コイルに発生した交流磁束が試験体内部を通過し、この際に電磁誘導により試験体内部に渦電流が誘起され、この渦電流によりコイルのインピーダンスに変化が生じるので、間接的に試験体内部の変化(例えば、伝熱管の傷、孔などの欠陥)を知ることができるという検査方法である。【0003】図7は、この渦流探傷検査に用いられる渦流探傷装置の一例を示すブロック図である。図7に示すように、渦流探傷装置51は、試験体に交番磁束を与えるための交流電流を作る回路である発振器52、プローブの試験コイル、比較コイル、固有抵抗などで形成されたブリッジ回路53、このブリッジ回路53で検出した傷信号を増幅するための増幅器54、増幅された傷信号とその他のノイズ信号とを分離するための周期検波器55などからなる。【0004】傷信号とノイズ信号との分離は、移相器56から出力されてきた制御信号に基づいて傷信号とノイズ信号との位相が異なることを利用して行われる。フィルター57は、同期検波器55から出力される電気信号の波形から、ノイズの分離、欠陥の種類・形状・寸法などの判別を行うものである。リジェクション59は、ある特定レベル以下の小さな雑音を除去し、振幅の大きな信号のみを取り出して傷信号に対するS/N比を改善するためのものである。表示装置としては、ブラウン管58、レコーダー60が使用されている。【0005】このような渦流探傷装置51を用いる渦流探傷検査は、標準比較法および自己比較法の2種類に分類することができる。これら2つの方式には異なったプローブが用いられる。標準比較法は、図8(a)、(b)に示すように、試験コイルR1と比較コイルR2をそれぞれ別々に備えた2つのプローブ61、62が使用され、試験コイルR1を備えたプローブ61を検査対象の伝熱管(検査管63)に挿入し、比較コイルR2を備えたプローブ62を比較対象の伝熱管(標準管64)に挿入し、これらの差異を検出するものである。【0006】一方、自己比較法は、図9に示すように、プローブとして試験コイルR3と比較コイルR4とを1つのプローブ71に備えたものが使用され、このプローブ71を検査管72に挿入し、検査管72内の近接する2部分の差異を検出するものである。これらのプローブ61、62および71は、通常、樹脂製のボビンに銅線などの導線を巻いたものが使用されている。【0007】前記渦流探傷装置51のプローブとしてプローブ61、62を使用した場合(標準比較法)、図7のブリッジ53において、図10に示すようなインピーダンスR1、R2と固有抵抗K1、K2とからなるブリッジ回路が形成される。また、前記装置51のプローブとしてプローブ71を使用した場合(自己比較法)、ブリッジ53において、図10に示すようなインピーダンスR3、R4と固有抵抗K3、K4とからなるブリッジ回路が形成される。ここで、K1、K2、K3およびK4は渦流探傷装置51に予め備えられている固有抵抗のことである。仮に、検査管63、72の一部に傷などの欠陥があると、試験コイルR1、R3のインピーダンスに変化が生じるので、前記ブリッジ回路により間接的に検査管63、72内部の変化、すなわち欠陥を知ることができる(例えば、非特許文献1参照。)。【0008】【非特許文献1】非破壊検査技術シリーズ「過流探傷試験II」、68頁〜71頁、1989年、社団法人 日本非破壊検査協会発行【0009】しかしながら、図11に示すようなインナーフィン75付き伝熱管74の検査を行う場合、樹脂製のボビンに単に銅線を巻いた通常のプローブを使用すると、インナーフィン75に存在する傷、局部的な材質変化、不純物なども検出してしまうため、伝熱管74自体の検査ができないことがあった。なお、インナーフィン75は、熱交換効率を向上させる目的で伝熱管74内部に設けられる仕切りである。また、伝熱管74は、素管にインナーフィン75を軸方向に挿入し、この素管を抽伸して所定の寸法になるまで伸ばすことによって作製される。【0010】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、インナーフィン付き伝熱管における伝熱管自体に発生した欠陥の検出精度を向上させることができる渦流探傷検査用プローブおよびこれを用いる渦流探傷検査方法を提供することである。【0011】【課題を解決するための手段】本発明の渦流探傷検査用プローブは、インナーフィンで仕切られた複数のセルを有する伝熱管の渦流探傷検査を行うためのプローブであって、導線を巻回したコイルを有し前記セル内に挿入されるボビンと、このボビンと一体化され前記インナーフィンの壁面とボビンとの間に介在する導電性遮蔽板とを備えることを特徴とする。これにより、前記プローブをセル内に挿入したときにインナーフィンとボビンとの間には導電性遮蔽板が介在しているので、渦電流はインナーフィンへほとんど流れず前記遮蔽板を通じて流れる。したがって、インナーフィンに存在する傷などを検出することがないので、伝熱管自体の欠陥のみを検出することができる。【0012】本発明において、前記遮蔽板は、セルに挿入した状態でインナーフィンの壁面との間にほぼ隙間がない形状および大きさを有するのが好ましい。これにより、前記遮蔽板を伝熱管内部に挿入した際に、遮蔽板がインナーフィンにフィットし安定性が向上するので、伝熱管内部においてプローブのがたつきを抑制することができる。したがって、プローブのがたつきにより生じるノイズ(ワブル信号)が発生しにくくなるので、伝熱管の欠陥を検出する精度が向上する。【0013】本発明の渦流探傷検査用プローブは、前記遮蔽板が銅、アルミニウムまたはステンレスからなるものが好適に用いられる。ここでいう銅、アルミニウムには、銅合金、アルミニウム合金も含むものとする。【0014】本発明の渦流探傷検査方法は、前記プローブを用いて標準比較法により得られるリサージュ波形のY軸成分から欠陥の有無を判定することを特徴とする。ここで、リサージュ波形のY軸とは、リサージュ波形の垂直軸(縦軸)のことをいい、X軸とは水平軸(横軸)のことをいう。【0015】【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は本発明の一実施形態である渦流探傷検査用プローブ1を示す断面図で、図1(b)は渦流探傷検査用プローブ1を示す側面図である。このプローブ1は標準比較法に使用されるものである。【0016】図1(a)、(b)に示すように、プローブ1は、インナーフィン75で仕切られた複数のセル76を有する伝熱管74の渦流探傷検査を行うためのプローブであって、導線を巻回したコイル4を有し前記セル76内に挿入されるボビン2と、このボビン2と一体化され前記インナーフィン75の壁面とボビン2との間に介在する導電性遮蔽板3とを備えている。このプローブ1と伝熱管74とをそれぞれ2つずつ用意し、一方のプローブ1は検査対象の伝熱管74(検査管)のセル76に挿入し、他方のプローブ1は比較対照の伝熱管74(標準管)のセル76に挿入する。また、複数のプローブを用いて複数のセルを同時に検査することも可能である。図1に示す5個のセルを有する伝熱管の場合、5個までの複数のプローブをそれぞれのセルに挿入して同時に移動させて検査する。このことによって検査時間を短縮することができる。5個のプローブを使用する場合の結線図を図12に示す。【0017】前記ボビン2は、コイル4を巻き付けるためのものであり、形状や材質は特に限定されない。例えば、図1(a)に示すように、遮蔽板3の横断面がV字形状の場合、ボビン2の横断面形状は、遮蔽板3の傾斜に合わせた台形状にするのが好ましい。ボビン2の材質は、例えば高密度フェライト等の高透磁率材料を使用することができる。ボビン2は、例えば遮蔽板3とボビン2との隙間にエポキシ樹脂(リファインテック社製の「エポマウント」など)などの充填樹脂5を充填して固定することができる。ボビン2を固定する位置としては、プローブ1をセル76に挿入したときに、ボビン2が伝熱管74に近接した位置となるのが好ましい。【0018】前記コイル4は、導電性の優れた銅線などを前記ボビン2に巻き付けて形成したものである。前記コイル4におけるコイル巻数、コイル巻幅などは特に限定されず、プローブ1の大きさなどに応じて適宜決めればよい。一般的には、例えばコイル巻数が100〜500回程度、コイル巻幅が1〜10mm程度のものが使用されている。このコイル4にはケーブル6を通じて交流電流が通電される。【0019】前記遮蔽板3は、前記渦電流が流れるバイパスの役割を果たし、渦電流がインナーフィン75へほとんど流れないようにするために設けられたものである。この遮蔽板3の形状および大きさは、特に限定されないが、セル76に挿入した状態でインナーフィン75の壁面との間にほぼ隙間がない形状および大きさであるのが好ましく、しかもプローブ1が伝熱管74内を移動する際に、伝熱管74およびインナーフィン75との間に過度の摩擦が生じて移動が困難とならない程度の大きさであるのが好ましい。【0020】遮蔽板3の材質は導電性であればよく、例えば銅、アルミニウム、ステンレスなどを使用することができる。また、遮蔽板3の厚みは、通常、0.5mm〜3mm程度のものが使用される。【0021】図2(a)は、本発明の他の渦流探傷検査用プローブ11を示す断面図であり、図2(b)は、その側面図であり、自己比較法に用いるものである。図2(a)、(b)に示すように、プローブ11は、インナーフィン75で仕切られた複数のセル76を有する伝熱管74の渦流探傷検査を行うためのプローブであって、導線を巻回した試験コイル14aと比較コイル14bとを有し前記セル76内に挿入されるボビン12と、このボビン12と一体化され前記インナーフィン75の壁面とボビン12との間に介在する導電性遮蔽板13とを備えている。【0022】プローブ11における前記ボビン12、遮蔽板13、コイル14a、14bおよび充填樹脂15の形状、材質などは、前記プローブ1と同様のものが使用できる。また、コイル14aとコイル14bとの間隔は、通常、1〜10mm程度に調整されている。この場合も複数のプローブを用いて同時に検査することが可能である。【0023】以下、本発明の一実施形態である5個のセルを有する伝熱管の場合の渦流探傷検査方法について説明する。本発明の渦流探傷検査方法は、前記プローブ1を用いて標準比較法により得られるリサージュ波形のY軸成分から欠陥の有無を判定し、必要に応じて前記プローブ11を用いて自己比較法により得られるリサージュ波形の位相角から欠陥が伝熱管の内面および外面のどちらに存在するかを弁別するものである。【0024】<標準比較法による判定>例えば、図7に示した構成を有する渦流探傷検査装置51のプローブとして、本発明のプローブ1を使用する。【0025】まず、検査対象のインナーフィン付き伝熱管(検査管)内部に前記プローブ1を1個ないし5個まで挿入し、比較対象のインナーフィン付き伝熱管(標準管)内部に他のプローブ1を1個挿入する。これらプローブ1、1の挿入には、単に手動で押し込む方法の他、例えばワイヤによる牽引や加圧流体(空気など)の圧力による方法などが使用できる。なお、検査管と標準管とは、通常、同一の形状、材質のものが用いられる。【0026】ついで、所定位置まで挿入された1個ないし5個までのプローブ1、1に交流電流の通電が開始され、検査管に挿入された1個ないし5個までのプローブ1が前記所定位置から検査終了位置まで所定の速度で引き戻される(あるいは、さらに押し込まれる)。1個ないし5個までのプローブ1が検査管内部を移動する間、インピーダンス変化が計測される。【0027】上記一連の検査結果は、前記渦流探傷検査装置51によりデータが収集、解析され、リサージュ波形として検査結果が得られる。得られたリサージュ波形をY軸成分とX軸成分とに分離してグラフ化したものの一例をそれぞれ図3(a)、(b)に示す。図3(a)は、前記リサージュ波形のY軸成分をグラフ化したもので、縦軸が電圧値を、横軸がプローブ1の移動距離を表すグラフである。図3(b)は、前記リサージュ波形のX軸成分をグラフ化したもので、縦軸が電圧値を、横軸がプローブ1の移動距離を表すグラフである。【0028】ここで、前記リサージュ波形のY軸成分について示したグラフ(図3(a))に注目し、このグラフ中において、縦軸の負の方向にピークが見られる場合(図3(a)のような場合)、検査対象の伝熱管には傷などの欠陥が存在しないことを表す。一方、グラフ中において、縦軸の正の方向にピークが見られる場合(図4のような場合)、検査対象の伝熱管には傷などの欠陥が存在することを表す。【0029】なお、伝熱管に欠陥が存在するか否かを検出するだけであれば上記した標準比較法による検査を実施すれば十分であるが、標準比較法により欠陥が存在すると判定された伝熱管について、さらに以下の自己比較法による検査を実施すれば、欠陥が伝熱管の内面および外面のどちらに存在するかを弁別することができるので、より精度の良い検査を行うことができる。【0030】<自己比較法による判定>標準比較法により欠陥が存在すると判定した伝熱管について自己比較法により渦流探傷検査を行い、欠陥が伝熱管の内面および外面のどちらに存在するかを判定する。前記渦流探傷検査装置51のプローブとして、前記プローブ11を使用する。【0031】まず、欠陥が存在すると判定した前記伝熱管内部にプローブ11を1個ないし5個まで所定位置まで挿入し、交流電流を通電する。ついで、前記と同様にして、プローブ11が前記所定位置から検査終了位置まで所定の速度で引き戻される(あるいは、さらに押し込まれる)。この間、コイル14aとコイル14bとのインピーダンス変化を計測することにより、リサージュ波形を得る。得られたリサージュ波形の一例を図5に示す。図5に示すリサージュ波形の中心軸AとX軸(水平軸)とのなす角、すなわち位相角(θ)から以下のようにして欠陥の特徴を読みとることができる。インナーフィンの無い状態の伝熱管の保守検査に用いられる渦流プローブでは,伝熱管内を移動する際に生じるワブル信号をX軸方向(水平軸方向)に設定した場合、伝熱管に貫通穴が存在するときの位相角(θ)はおよそ135°となり、伝熱管の外面に欠陥が存在するときの位相角(θ)はおよそ0°〜135°の範囲となり、伝熱管の内面に欠陥が存在するときの位相角(θ)はおよそ135°〜180°の範囲となるような渦流探傷器が多い。しかし,図2に示したプローブ11を使用した場合は,ワブル信号をX軸方向に設定した場合,貫通穴信号は135°から10°〜20°ほど180°側へシフトした。1個のプローブおよび5個のプローブを用いて求めた位相角(θ)−減肉率評価曲線をそれぞれ図13、図14に示す。【0032】【実施例】以下、実施例を挙げて本発明について説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。【0033】実施例1熱交換器用の伝熱管に傷などの欠陥がないか確認するために、標準比較法による渦流探傷検査を実施した。【0034】<試験体>試験体としては、図11に示すような内部にインナーフィン75を有し管径が15.88mm、長さが3000mm、肉厚が0.8mmである以下の4種類の銅製伝熱管を用いた。試験体1:未使用の伝熱管試験体2:未使用の伝熱管試験体3:熱交換器用として9年間使用した伝熱管試験体4:熱交換器用として3年間使用した伝熱管【0035】<装置>実施例1では、渦流探傷検査装置として、ホッキング社製の「ミニフェゼック」を使用した。また、プローブとしては、ボビン材質が高密度フェライト、コイル巻数が200回、コイル素材が素線径φ0.05mmの銅線、コイル巻幅が2mm、遮蔽板材質が銅製である、図1に示したプローブ1を用いた。【0036】<標準比較法の試験条件>渦流探傷器の設定条件試験周波数 :5KHz位相角 :253°感度 :27dB【0037】実施例1の結果を図6に示す。図6は、試験体1〜4について標準比較法による渦流探傷検査によって得られたリサージュ波形のY軸成分を表すグラフである。検査の結果、試験体1〜3には欠陥が存在せず、試験体4には欠陥が存在することがわかった。実際に目視によって観察したところ、上記試験結果と目視による観察結果は一致していた。【0038】実施例2試験体として以下のものを用いた他は、実施例1と同様の装置および試験条件にて標準比較法による渦流探傷検査を実施した。【0039】<試験体>試験体としては、図11に示すような内部にインナーフィン75を有し管径が15.88mm、長さが75mm、肉厚が0.8mmである以下の5種類の銅製伝熱管を用いた。試験体5:φ2mmの貫通穴を開けた伝熱管試験体6:径がφ2mmで深さが肉厚の50%(0.4mm)の窪みを外面に設けた伝熱管試験体7:径がφ2mmで深さが肉厚の30%(0.24mm)の窪みを外面に設けた伝熱管試験体8:幅0.2mm、長さ10mmの軸方向のスリットで深さが肉厚の50%(0.4mm)の窪みを外面に設けた伝熱管試験体9:幅0.2mm、長さ10mmの軸方向のスリットで深さが肉厚の30%(0.24mm)の窪みを外面に設けた伝熱管【0040】標準比較法による渦流探傷検査を実施した結果、すべての試験体に欠陥が存在するという判定結果であった。実際に目視によって観察したところ、上記試験結果と目視による観察結果は一致していた。【0041】参考例1熱交換器用の伝熱管に傷などの欠陥がないか確認するために、自己比較法による渦流探傷検査を実施するための位相角−減肉率評価曲線を作成した。<一つのプローブで位相角−減肉率評価曲線を作成するための試験体>試験体としては、図11に示すような内部にインナーフィン75を有し管径が15.88mm、長さが75mm、肉厚が0.8mmである以下の4種類の銅製伝熱管を用いた。試験体5:φ2mmの貫通穴を開けた伝熱管試験体6:径がφ2mmで深さが肉厚の50%(0.4mm)の窪みを外面に設けた伝熱管試験体7:径がφ2mmで深さが肉厚の30%(0.24mm)の窪みを外面に設けた伝熱管試験体10:径がφ2mmで深さが肉厚の50%(0.4mm)の窪みを内面に設けた伝熱管【0042】<装置>位相角−減肉率評価曲線を作成するための渦流探傷検査装置として、ホッキング社製の「AV100SE」を使用した。また、プローブとしては、ボビン材質が高密度フェライト、コイル巻数が200回、コイル素材が素線径φ0.05mmの銅線、コイル巻幅が2mm、遮蔽板材質が銅製である、図2に示したプローブ11を1個用いた。【0043】<一つのプローブでの自己比較法の試験条件>渦流探傷器の設定条件試験周波数 :10KHz位相角 :第2象限(揺動信号をX軸に設定)感度 :1コイルで2φ貫通穴のY振幅値を20mmに設定【0044】図1に示したプローブ1個で、試験体5、試験体6、試験体7、試験体10を探傷し、各人工欠陥からの位相角を読み取り、位相角−減肉率評価曲線を作成した。その結果を図13に示した。熱交換器に組込んだ伝熱管を探傷した場合には位相角から減肉率を読取れるものであった。【0045】<5つのプローブで位相角−減肉率評価曲線の作成>一つのプローブで位相角−減肉率評価曲線を作成するために用いたものと同様な試験体、装置、試験条件にて、5つのプローブを同時に試験体の中に挿入して、位相角−減肉率評価曲線を作成した。【0046】5つのプローブで同時に探傷するために、図12に示した接続回路で接続された5つのプローブを管に挿入して、そのうちのひとつのプローブを用いて試験体人工欠陥からの位相角を求めた。その結果を図14に示した。【0047】実施例3熱交換器に組込んだ状態での伝熱管の検査を実施するため、参考例1で使用した図12に示した接続回路を用いて5つのプローブを接続した。その接続状態でバッフル下の伝熱管外面も検査対象箇所とするため,渦流探傷器の持っているミキシング機能によりバッフル信号を消去した。その渦流探傷器の設定条件を次に示す。渦流探傷器;ASSORT PC2(アスワン電子)試験周波数;10KHz、5KHzでミキシング処理位相調整 ;2φ貫通穴信号を35度に設定感度調整 ;2φ貫通穴のY振幅値を20mmに設定【0048】渦流探傷試験の結果、バッフル部直下の伝熱管から欠陥信号が検出された。参考例1で求めた位相角−減肉率評価曲線から減肉率を求めた。次に、欠陥信号が検出された伝熱管を抜管し、検査性能を確認した結果、バッフルプレート直下の伝熱管外面に局部腐食が発生していた。抜管して実測した局部腐食深さ(減肉率)と渦流探傷によって推定した欠陥深さ(減肉率)の関係を図15に示した。±15%の検査精度で減肉率が合致している。【0049】【発明の効果】本発明によれば、プローブを伝熱管に挿入したときにインナーフィンとボビンとの間には導電性遮蔽板が介在しているため、渦電流はインナーフィンへほとんど流れず前記遮蔽板を通じて流れ、インナーフィンに存在する傷などを検出することがないので、伝熱管自体の欠陥のみを検出することができ、伝熱管の欠陥を検出する精度が向上するという効果がある。【0050】本発明によれば、前記遮蔽板が、セルに挿入された状態でインナーフィンの壁面との間にほぼ隙間がない形状および大きさを有するときは、プローブのがたつきにより生じるノイズ(ワブル信号)が発生しにくくなるので、伝熱管の傷などの欠陥を検出する精度をより向上させることができるという効果がある。【0051】本発明によれば、前記プローブを用いた標準比較法により得られたリサージュ波形のうちY軸成分から欠陥の有無を判定するときは、欠陥の有無を精度よく判定することができるという効果がある。【図面の簡単な説明】【図1】(a)および(b)は、それぞれ本発明における渦流探傷検査用プローブの一実施形態を示す断面図および側面図である。【図2】(a)および(b)は、それぞれ本発明における渦流探傷検査用プローブの他の実施形態を示す断面図および側面図である。【図3】(a)は、本発明における渦流探傷検査方法により得られたリサージュ波形のY軸成分をグラフ化したものの一例を示し、(b)は、X軸成分をグラフ化したものの一例を示すものである。【図4】本発明における渦流探傷検査方法により得られたリサージュ波形のY軸成分をグラフ化したものの一例を示すものである。【図5】本発明における渦流探傷検査方法により得られたリサージュ波形を示すグラフである。【図6】実施例1で本発明の渦流探傷検査方法により得られた試験体1〜4のリサージュ波形のY軸成分を表すグラフである。【図7】渦流探傷検査装置の一例を示すブロック図である。【図8】(a)は、標準比較法に使用される試験コイルを備えたプローブを伝熱管(検査管)に挿入した状態を示す概略図であり、(b)は、標準比較法に使用される比較コイルを備えたプローブを伝熱管(標準管)に挿入した状態を示す概略図である。【図9】自己比較法に使用されるプローブを伝熱管に挿入した状態を示す概略図である。【図10】コイルのインピーダンスと固有抵抗とからなるブリッジ回路を示す概略図である。【図11】インナーフィン付き伝熱管の一例を示す正面図である。【図12】5個のプローブを使用する場合の結線図である。【図13】1個のプローブ用いて求めた位相角−減肉率評価曲線である。【図14】5個のプローブを用いて求めた位相角−減肉率評価曲線である。【図15】抜管して実測した減肉率と渦流探傷によって推定した減肉率との関係を示す図である。【符号の説明】1 渦流探傷検査用プローブ2 ボビン3 遮蔽板4 コイル5 充填樹脂6 ケーブル11 渦流探傷検査用プローブ12 ボビン13 遮蔽板14a 試験コイル14b 比較コイル15 充填樹脂 インナーフィンで仕切られた複数のセルを有する伝熱管の渦流探傷検査を行うためのプローブであって、導線を巻回したコイルを有し、前記セル内に挿入されるボビンと、このボビンと一体化され、前記インナーフィンの壁面とボビンとの間に介在する導電性遮蔽板とを備えることを特徴とする渦流探傷検査用プローブ。 前記遮蔽板は、セルに挿入した状態でインナーフィンの壁面との間にほぼ隙間がない形状および大きさを有する請求項1記載の渦流探傷検査用プローブ。 前記遮蔽板が銅、アルミニウムまたはステンレスからなる請求項1または2記載の渦流探傷検査用プローブ。 請求項1〜3のいずれかに記載のプローブを用いて標準比較法により得られるリサージュ波形のY軸成分から欠陥の有無を判定することを特徴とする渦流探傷検査方法。


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