タイトル: | 特許公報(B2)_有機過酸化物の熱安定剤 |
出願番号: | 2002589447 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 407/00,C07C 409/04,C07C 409/08,C07C 409/16,C07C 409/20,C08K 5/15,C08K 5/3412 |
グリマルディ,サンドラ ゲレ,オリビエ クチュリエール,ジャン−リュク ドゥボ,ファビアン JP 4094433 特許公報(B2) 20080314 2002589447 20020430 有機過酸化物の熱安定剤 アルケマ フランス 591004685 越場 隆 100092277 グリマルディ,サンドラ ゲレ,オリビエ クチュリエール,ジャン−リュク ドゥボ,ファビアン FR 01/06526 20010517 20080604 C07C 407/00 20060101AFI20080515BHJP C07C 409/04 20060101ALI20080515BHJP C07C 409/08 20060101ALI20080515BHJP C07C 409/16 20060101ALI20080515BHJP C07C 409/20 20060101ALI20080515BHJP C08K 5/15 20060101ALI20080515BHJP C08K 5/3412 20060101ALI20080515BHJP JPC07C407/00C07C409/04C07C409/08C07C409/16C07C409/20C08K5/15C08K5/3412 C07C 407/00 C07C 409/00 C08K 5/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開平03−223245(JP,A) 特開平11−092449(JP,A) 特開2000−086816(JP,A) 特表2000−542346(JP,A) 特表2000−510179(JP,A) 特公昭48−010447(JP,B1) 12 FR2002001500 20020430 WO2002092561 20021121 2004529955 20040930 11 20040831 前田 憲彦 本発明は、有機過酸化物の熱安定剤に関するものである。 本発明の別の対象は、貯蔵安定性および熱安定性に優れた有機過酸化物を含む組成物にある。 下記文献には(低)アルキルケトン過酸化物と相溶性のある沸点が約185℃〜225℃の溶剤を用いて有機過酸化物を熱に対して安定化させる方法が記載されている。フランス国特許第1,594,180号公報 この特許では溶剤をエステル、アルデヒド、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素およびエポキシドから選択することを教えている。この特許はさらに、熱に対する感度を低くする溶剤の他にピロリドン安定剤を用いることでケトン過酸化物の貯蔵時の安定性を良くすることを教えている。 下記文献にはプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーから得られる制御されたレオロジーを有する樹脂の製造方法が記載されている。フランス国特許第2,792,321号公報 この特許では、従来法の過酸化物の代わり、または、それに加えて、安定な遊離ラジカル、例えばニトロキシドラジカルを樹脂に混和することで例えば押出し機の溶融帯域に導入される樹脂を改質している。このニトロキシラジカルはN−O・基を有する安定性の高いラジカル単位である。このニトロキシラジカルについては下記文献を参照されたい。D. Griller,K. Ingold、Accounts of Chemical Research 、1976、9、13‐19A. Forrester et al 「Organic Chemistry of Stable Free Radicals」, Academic Press、1968 このラジカルは開始剤の分解またはラジカル重合のようなラジカル形成によって生じる炭素ラジカルと極めて迅速に反応するという特性がある。従って、ラジカル重合、例えばスチレンまたはアクリレートの重合や、ポリプロピレンの共重合、分解または改質ではこのニトロキシラジカルを加えることでその反応性をうまく利用することができる。 本発明者は、ニトロキシ基は過酸化物に熱安定性を与え、過酸化物の貯蔵時の安定性を上げることができるということを見出した。 本発明の第1の対象は、分子中に少なくとも1つのニトロキシラジカルを含む有機過酸化物の熱安定剤にある。 この有機過酸化物の熱安定剤はニトロキシラジカルの窒素原子が環の一部を形成するN−複素環式化合物であるのが好ましい。 本発明の熱安定剤としては特に下記式(I)、(II)、(III)で表される化合物を挙げることができる:(R1、R2、R3およびR4は、水素原子、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素等のハロゲン原子、直鎖、分岐鎖または環状の飽和または不飽和の炭化水素基、例えばアルキル基またはフェニル基、ポリマー鎖、例えばポリジエン、ポリオレフィンまたはポリスチレン等のポリ(アルキル(メタ)アクリレート)鎖、または、シアノ基‐CN、エステル基‐COOR、アミド基‐CON(R)2、アルコキシ基‐ORまたはホスホン基‐PO(OR)2等の官能基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく(Rは1〜9個の炭素原子を有する炭化水素鎖)、R5、R6、R7およびR8はR1、R2、R3およびR4について説明した基と同じ群の中から選択できる他に、さらにヒドロキシ基‐OHまたは‐COOHまたは‐PO(OH)2、またはSO3H等の酸基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい)、さらに、式(III)のXはメチレン‐CH2−、‐C(OR°)(OR’)−、カーボニル‐C(O)−、オキシ‐O−および‐CHZ−(Zはシアノ基:‐CN、ヒドロキシ基:‐OH、アミノ基:‐NR°R’、アルコキシ基:‐OR°、イミノニル基:‐N=CR°R’、カルボキシル基:OC(O)‐R°またはアミド基:‐NHR°‐C(O)R’から選択される1価の残基を表し、R°およびR’は水素原子、1〜20個の数の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基またはベンジル基またはフェニル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい)から選択される2価の基を表し、式(III)においてXはホスホン酸基:‐OP(O)R’’R’’’‐を表すこともできる(R’’とR’’’はZと同じ意味を有する) 本発明の熱安定剤としては下記一般式(IV)で表される化合物も適している:(個々で、R1、R2、R3およびR4は式(I)〜(III)と同じ意味を有し、互いに同一でも異なっていてもよく、Yは下記から選択される2価基を表す: ‐OC(O)−(CRaRb)n‐C(O)O−、 ‐NH−(CRaRb)nNH‐、 ‐NHC(O)−(CRaRb)n‐C(O)NH‐、 ‐S−、 ‐O‐(CRaおよびRbは水素原子または1〜10個の数の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を表し、nは0〜20の整数を表す)) 本発明では上記一般式(IV)の化合物に加えて、複数のニトロキシラジカルを含む他の化合物、例えば下記一般式(V)で表される化合物も熱安定剤として適している:(ここで、R1、R2、R3およびR4は式(I)〜(IV)と同じ意味を有し、互いに同一でも異なっていてもよく、Gは1〜20の整数であり、R9は2〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表し、‐O‐または‐NR10‐で中断されていてもよく(NR10は水素原子、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基)、Qは‐OR11基、‐NHR11基または‐NR12NR13基を表し(R11は1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、C3‐C12アルコキシアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基または2,2,6,6‐テトラピペリジニル残基を表し、R12およびR13はR11と同じ意味を有する)、さらに、これらが結合した窒素と一緒になって5‐、6‐または7‐員環の複素環基を形成することもでき、この複素環式基はさらに酸素を含んでいてもよい) 一般式(V)の化合物は「Chimasorb 944」の名称でCiba社から市販のアミンを酸化して得られる(R1、R2、R3およびR4はメチル基、R9は6個の炭素原子を有するアルキレン基を表し、Qは‐N(O°)‐C8H11基を表し、λは2〜4の整数である)。 一般式(III)の好ましい化合物はR1、R2、R3およびR4がメチル基を表し、R5、R6、R7およびR8が水素原子を表し、Xが‐CHZ‐基を表す化合物である。 一般式(III)の化合物の例としては特に一般に「TEMPO」の名称で市販の2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、4‐ヒドロキシ‐TEMPOの名称で市販の4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、一般に4‐メトキシ‐TEMPOと呼ばれている4‐メトキシ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、または一般に4−オキソ‐TEMPOと呼ばれている4‐オキソ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシが挙げられる。 特に好ましい一般式(III)の化合物は下記式で表される化合物である:(nは1〜20の数である) PROXYL(登録商標)の名称で市販の2,2,5,5‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、1‐ピペリジニルオキシ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐[(1‐オキソオクタデシル)オキシ]、CXA5415(登録商標)の名称でCiba Specialty Chemical社から市販の1‐ピペリジニルオキシ‐4,4’‐((1,10‐デカンジイル)‐ビス(オキシ)ビス(2,2,6,6‐テトラメチル)ニトロキシド)、2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ヒドロキシピペリジン‐1‐オキシルモノフォスフェートまたは3‐カルボキシ‐2,2,5,5‐テトラメチル‐ピロリジニルオキシ(一般に3‐カルボキシプロキシルと呼ばれる)も好ましい。 一般式(VI)で表される非環状化合物も熱安定剤として適している:(R1、R2、R3、R4、R’1およびR’2は式(I)〜(IV)のR1、R2、R3およびR4と同じ意味を有し、互いに同一でも異なっていてもよい) 本発明の第2の対象は、少なくとも1種の有機過酸化物と本発明の第1の対象である熱安定剤の少なくとも1種とを含む貯蔵安定性および熱安定性に優れた有機過酸化物を含む組成物にある。 本発明のこの安定性に優れた有機過酸化物組成物中の熱安定剤の量は0.1〜99重量%であり、好ましくは0.2〜30重量%にする。 有機過酸化物の例として特に挙げられるのはジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシドおよびこれらの塩、ペルオキシケタールおよびペルオキシエステルである。ジアルキルペルオキシド、特にケトンを酸化して得られる環状ジアルキルペルオキシド、ペルオキシケタールおよびヒドロペルオキシドが特に好ましい。 ジアルキルペルオキシドの例として挙げられるのは2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(tert‐ブチルペルオキシ)へクス‐3‐イン、ジ(tert‐ブチル)ペルオキシド、ジ(tert‐アミル)ペルオキシド、tert‐ブチルクミルペルオキシド、ジ(tert‐ブチルペルオキシイソプロピル)-ベンゼン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシドまたは3,6,9‐トリエチル‐3,6,9‐トリメチル‐1,4,7‐トリペロキソナンである。 ペルオキシエステルの例として挙げられるのはtert‐ブチルペルオキシベンゾアート、tert‐ブチルペルオキシアセテート、tert‐ブチルペルオキシ‐3,5,5‐トリメチルヘキサノアート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルペロキシ)ヘキサン、OO-tert‐ブチルO‐(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、OO-tert‐ブチルO‐イソプロピルモノペルオキシカーボネート、OO-tert‐アミルO‐(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、tert‐ブチルペルオキシイソブチレート、tert‐ブチルペルオキシ‐2-エチルヘキサノアート、tert‐ブチルペルオキシ‐2-エチルヘキサノアート、tert‐アミル‐2-エチルヘキサノアート(Luperox 575)、2,5‐ジメチル‐2.5‐ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン(Luperox 256)、3,6,9‐トリエチル‐1,4,7‐トリペロキソナン、tert‐ブチルペルオキシピバレート(Luperox 11M75)、tert‐ブチルペルオキシネオデカノアート、tert‐アミルペルオキシネオデカノアート、□‐クミルペルオキシネオデカノアートまたは3‐ヒドロキシ‐1,1‐ジメチルブチルペルオキシネオデカノアートである。 ヒドロペルオキシドの例として挙げられるのはtert‐ブチルヒドロペルオキシド、tert‐アミルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロキシペルオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシドまたはパラ‐メンチルヒドロペルオキシドである。 ヒドロペルオキシド塩の例としては1,3および1,4‐ビス(2-ヒドロペルオキシドプロプ‐2-イル)ベンゼンのジナトリウム塩が挙げられる。 ペルオキシケタールの例として挙げられるのはエチル3,3‐ジ(tert‐ブチルペルオキシ)ブチレート、エチル3,3‐ジ(tert‐アミルペルオキシ)ブチレート、n‐ブチル4,4‐ジ(tert‐ブチルペルオキシ)バレレート、2,2-ジ(tert‐ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ジ(tert‐ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(tert‐ブチルペルオキシ)‐3,5,5‐トリメチルシクロヘキサンまたは1,1-ジ(tert‐アミルペルオキシ)シクロヘキサンである。 貯蔵温度を周囲温度以下にする必要があるLuperox 575(tert‐アミル‐2-エチルヘキサノアート)、Luperox 256(2,5‐ジメチル‐2.5‐ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン)およびLuperox 11M75(tert‐ブチルペルオキシピバレート)の場合には特に有利である。 本発明の第2の対象である有機過酸化物を含む組成物は、従来の稀釈剤、例えば可塑剤、液体鈍感剤(phlegatizers)、有機溶剤、高分子担体または有機担体を含むことができる。この有機過酸化物組成物はさらに、単数または複数の添加剤、例えば凝結防止剤、酸化防止剤、顔料または染料およびDTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸ナトリウム)またはEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム)等の金属イオン封鎖剤を含んでいてもよい。 本発明の第2の対象である有機過酸化物組成物の例としては、1,3‐および1,4‐ビス(2-ヒドロキシペルオキシドプロプ‐2-イル)ベンゼンのジナトリウム塩と、本発明の第1の対象である安定剤、特にTEMPOと、EDTA等の金属イオン封鎖剤とから成る組成物が挙げられる。 本発明の第3の対象は、本発明の第2の対象である有機過酸化物組成物の製造方法にある。この製造方法では本発明の第1の対象である熱安定剤の十分な量を安定させることが必要な有機過酸化物に加える。 本発明の第4の対象は、本発明の第2の対象である上記組成物を用いたポリマーの改質にある。例えばポリマー、特にポリプロピレンの分解、ポリマーのグラフト化、例えば無水マレイン酸を用いたポリプロピレンのグラフト化等が挙げられる。実験部分 下記化合物を使用した。 Luperox 101=2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキサン Luperox 802=1,4‐ビス(tert‐ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン Luperox 331M50=1,1‐ジ(tert‐ブチルペルオキシ) Luperox TBH70X *=tert‐ブチルヒドロペルオキシド (* イソデカンの14%溶液) TEMPO=2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ AF845=1‐ピペリジニルオキシ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐[(1‐オキソ‐オクタデシル)オキシ] CXA 5415=1‐ピペリジニルオキシ‐4,4’‐((1,10‐デカンジイル)‐ビス(オキシ)ビス(2,2,6,6‐テトラメチル)ニトロキシド) [表1]には各種有機過酸化物の分解温度に対する安定剤(TEMPO、AF845およびCXA5415)の効果がまとめて示してある。分解に用いた化合物 ポリプロピレン=MFIが3.3(230℃/2.16kg)のポリプロピレン 有機過酸化物=2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキサン [Luperox 101(過酸化物含有量95%)] 安定剤:TEMPO実験手順 ポリプロピレンを同時回転するブラベンダー型の2軸スクリュー押出し機内で分解した。押出し機の4つの帯域Z1〜Z4の温度は200℃/220℃/220℃/180℃にした。帯域Z4の出口の押出し速度はスクリュー速度に依存し、一般には4.5〜5kg/毎である。冷却後にストランドを顆粒に切断し、MFI値(230℃、2.16kgの荷重下で測定)、弾性率(ISO 178規格に従って測定)およびシャルピー衝撃試験(ISO 179/1eA規格に従って23℃で測定)で特徴付けた。 ポリプロピレンを粉末に粉砕し、アセトン有機過酸化物およびTEMPOをベースとする溶液を吸収させた。吸収後にアセトンを蒸発させ、ホッパーを介してポリプロピレンベースの反応混合物を領域1(Z1)へ導入した。 [表2]は本発明の安定化組成物を用いたときの分解に対する結果をまとめたものである(実施例3、4では有機過酸化物とTEMPOの組成物を用い、実施例5ではポリプロピレン粉末上に過酸化物とTEMPOとを別々に散布した)。 有機過酸化物とニトロキシドをベースにした組成物(例えばTEMPOを混和したもの)を添付することによってポリプロピレンの流動指数が低くなり、同じ硬度で耐衝撃性が改善される。実施例4と5を比較することで予備混合した場合でも、成分を別々に用いた場合でも同じ特性が得られることが証明される。 熱的に安定な有機過酸化物の組成物の製造方法であって、 有機過酸化物の組成物とN−複素環式化合物から成る熱安定剤とを混合し、上記N−複素環式化合物は少なくとも1つのニトロキシラジカルを含み、このニトロキシラジカルの窒素原子は上記N−複素環の一部を形成し、「上記熱安定剤を含んだ時の組成物の分解開始温度」>「上記安定剤を含まない時の組成物の分解開始温度」であることを特徴とする方法。 上記熱安定剤が下記式(I)、(II)、(III)の少なくとも1つで表される請求項1に記載の方法:[ここで、 R1、R2、R3およびR4は水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐鎖または環状の飽和または不飽和の炭化水素基、ポリマー鎖または官能基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、 R5、R6、R7およびR8はR1、R2、R3およびR4について記載した基と同じ群の中から選択できる他、さらにヒドロキシ基‐OHまたは酸基でもよく、互いに同一でも異なっていてもよく、 式(III)のXは下記(a)または(b)を表す:(a) メチレン‐CH2−、‐C(OR・)(OR')−、カーボニル‐C(O)−、オキシ‐O−および‐CHZ−(Zはシアノ基:‐CN、ヒドロキシ基:‐OH、アミノ基:‐NR・R'、アルコキシ基:‐OR・、イミノイル基:‐N=CR・R'、カルボキシレート基:OC(O)‐R・またはアミド基:‐NHR・‐C(O)R'の中から選択される1価の残基を表し、R・およびR'は水素原子、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基またはベンジル基またはフェニル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい)の中から選択される2価の基、(b) ホスホネート基:‐OP(O)R''R'''‐(R''とR'''はZと同じ意味を有する)] 上記ハロゲン原子がフッ素、塩素、臭素またはヨウ素の中から選択される請求項2に記載の方法。 上記の分岐鎖または環状の飽和または不飽和の炭化水素基がアルキル基またはフェニル基である請求項2または3に記載の方法。 R1、R2、R3およびR4の官能基がシアノ基‐CN、エステル基‐COOR、アミド基‐CON(R)2、アルコキシ基‐ORまたはホスホネート基‐PO(OR)2(ここで、Rは1〜9個の炭素原子を有する炭化水素鎖)である請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。 R5、R6、R7およびR8の酸基が‐COOHまたは‐PO(OH)2またはSO3Hである請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。 上記熱安定剤が下記式で表される請求項2〜6のいずれか一項に記載の方法:(nは1〜20の数) 上記熱安定剤が2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、4‐メトキシ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、4‐オキソ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、2,2,5,5‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、ビス(1‐オキシル‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)セバケート、2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ヒドロキシピペリジン‐1‐オキシルモノフォスフェートまたは3‐カルボキシ‐2,2,5,5‐テトラメチル‐ピロリジニルオキシの中から選択される請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法: 貯蔵安定性および熱安定性に優れた有機過酸化物を含む組成物であって、 少なくとも1種の有機過酸化物と、少なくとも一つのN−複素環式化合物から成る熱安定剤とを含み、このN−複素環式化合物は少なくとも1つのニトロキシラジカルを含み、このニトロキシラジカルの窒素原子は上記N−複素環の一部を形成し、「上記熱安定剤を含んだ時の組成物の分解開始温度」>「上記熱安定剤を含まない時の組成物の分解開始温度」であることを特徴とする組成物。 上記有機過酸化物がジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシドおよびその塩と、ペルオキシケタールおよびペルオキシエステルの中から選択される請求項9に記載の組成物。 上記有機過酸化物がジクミルペルオキシド、3,6,9‐トリエチル‐3,6,9‐トリメチル‐1,4,7‐トリペロキソナンまたは1,3‐および1,4‐ビス(2-ヒドロペルオキシドプロプ‐2-イル)ベンゼンジナトリウム塩の中から選択される請求項10に記載の組成物。 請求項9〜11のいずれか一項に記載の熱的に安定な有機過酸化物の組成物の製造方法であって、 上記有機過酸化物に、少なくとも1つのニトロキシラジカルを含む少なくとも一つのN−複素環式化合物から成る安定剤を添加し、上記ニトロキシラジカルの窒素原子は上記N−複素環の一部を形成し、「安定剤を含んだ時の組成物の分解開始温度」>「安定剤を含まない時の組成物の分解開始温度」であることを特徴とする方法。