タイトル: | 特許公報(B2)_糖液の脱塩方法 |
出願番号: | 2002581456 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C13D 3/14,B01J 41/04,C07H 1/06,C07H 3/02 |
小宮 真一 JP 4189221 特許公報(B2) 20080919 2002581456 20020411 糖液の脱塩方法 三菱商事フードテック株式会社 000223090 太田 恵一 100080447 小宮 真一 JP 2001150121 20010412 JP 2001150122 20010412 20081203 C13D 3/14 20060101AFI20081113BHJP B01J 41/04 20060101ALI20081113BHJP C07H 1/06 20060101ALI20081113BHJP C07H 3/02 20060101ALI20081113BHJP JPC13D3/14B01J41/04 HC07H1/06C07H3/02 C13D 3/14 B01J 41/04 C07H 1/06 C07H 3/02 BIOSIS/WPIDS(STN) JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 米国特許第02926110(US,A) 米国特許第03961981(US,A) 英国特許第01012928(GB,B) 特開平06−237782(JP,A) 特開2001−096272(JP,A) 3 JP2002003630 20020411 WO2002083701 20021024 9 20050404 森井 隆信 【技術分野】 本発明は、糖液の脱塩方法に関し、詳細には、糖類や水素化された糖類についての脱塩方法に関する。【背景技術】 澱粉、キシラン、マンナン、乳清などを出発原料とし、酵素や酸による加水分解処理等を必要に応じて施すことにより得られる種々の糖類や、更に得られた糖類を水素化することで得られる糖類の水素化物には、各工程で用いられる試薬や触媒、各工程で生じる副成物等を由来とする様々な塩やイオンが含まれている。そのため、上記出発原料から種々の糖類や水素化された糖類の製品を得るためには、これらのイオンを除去するための精製工程が不可欠である。 従来より、糖類やその水素化物などの糖液中に含まれるイオンの除去には、イオン交換樹脂を用いる方法が広く採用されている。 しかしながら、糖類やその水素化物などの糖液を被処理液とし、従来のイオン交換樹脂を用いてイオンの除去を行うと、被処理液が着色する、不純物が生成する、イオン交換樹脂が着色する、イオン交換樹脂の脱塩能力の低下が早い等、種々の問題があった。 本発明の目的は、糖類やその水素化物などの糖液の脱塩を行うにあたって、上述した問題点が生じないような、新規な糖液の脱塩方法を提供することにある。【発明の開示】 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、糖液を被処理液とした脱塩工程において、被処理液が着色する、不純物が生成する、イオン交換樹脂が着色する、イオン交換樹脂の脱塩能力の低下が早い等の問題が生じる原因は、脱塩に用いられるOH型陰イオン交換樹脂が、その周辺の水溶液の塩基性を局所的に高め、糖類に対して好ましくない反応を引き起こしているためであると考えた。 即ち、塩基性条件下で分解反応物、異性化反応物、着色物質等を生成し易いグルコース、キシロース、マルトース、オリゴ糖類、澱粉分解物等を始めとする分子末端に還元基を有する各種糖類が、脱塩工程において、局所的に強い塩基性を示すイオン交換樹脂に晒されるため、このような問題点が生じていると考えたのである。 また、工業的規模で実施される一般的な糖類の水素化は、水素ガスと触媒の存在下で加熱することで行われるが、糖類の水素化を完全に行うことは難しく、水素化反応終了後であっても水素化されなかった糖類が少量存在している。このため、水素化された糖類の脱塩にイオン交換樹脂を用いる場合も、糖類の脱塩と同様、分解反応物、異性化反応物、着色物質等の生成といった問題点を考慮する必要がある。 糖液の脱塩を行う際には、上述した陰イオン交換樹脂による糖類への好ましくない影響を抑制するため、塩基性度の低いII型強塩基性陰イオン交換樹脂や弱塩基性陰イオン交換樹脂が用いられているが、これらのイオン交換樹脂も局所的には水溶液が塩基性を示し、糖類への好ましくない影響が発生する問題について、十分に解決されたとは言えず、分解反応物、異性化反応物、着色物質等の生成を抑えるには不十分であった。 本発明者は、前述のように糖類への好ましくない影響が発生する原因を推測し、様々な対策を検討したのち、糖液の脱塩に、炭酸型及び/又は炭酸水素型とした陰イオン交換体、特に好ましくは陰イオン交換樹脂を用いることで、これまで課題となっていた、脱塩時における糖類の分解反応物、異性化反応物、着色物質等の生成が大幅に抑制されることを見出し、結果として、不純物の生成を抑制し、イオン交換樹脂の着色を防ぎ、イオン交換樹脂の脱塩能力の低下を防ぐことに成功して、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明の課題を解決するための手段は、下記の通りである。 第一に、炭酸型及び/又は炭酸水素型の強塩基性陰イオン交換体を用いることを特徴とする、糖液の脱塩方法である。 第二に、前記糖液が水素化された糖類の水溶液である、第一に記載の糖液の脱塩方法である。 第三に、前記水素化された糖類の水溶液が、水素化反応の未反応物を含むものである、第二に記載の糖液の脱塩方法である。 本発明で言う糖液としては、例えば、エリスロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、などに代表される炭素数が4以上の各種単糖類、マルトース、ラクトース、キシロビオース、マルトトリオース、キシロトリオース、マルトテトラオース、イソマルトース、などに代表される炭素数4以上の単糖類が2以上結合した少糖類、グルコースやキシロースなどを構成単位とするマルトオリゴ糖やキシロオリゴ糖等の各種オリゴ糖類、デキストリン、分岐デキストリン、サイクロデキストリン、澱粉分解物、キシラン分解物、マンナン分解物等の各種多糖類、以上の群から選ばれる1種又は2種以上の混合物等の水溶液が挙げられる。 本発明で言う糖液には、上述の糖類を水素化して得られる各種糖類の水素化物の水溶液も含まれ、特に工業的規模で製造され、一部に水素化されていない糖類を含有している糖液に対して、好適に利用することが出来る。 本発明における陰イオン交換体とは、イオン交換能力を有する材質のものであれば特に制限はなく、そのような材質として、イオン交換膜、イオン交換繊維、イオン交換樹脂等が例示できるが、イオン交換体の調製やイオン交換装置の製造の容易さ等から、これらの中ではイオン交換樹脂の使用が最も好ましい。 本発明では、炭酸化合物を用いて、陰イオン交換体を炭酸型及び/又は炭酸水素型とすることにより、陰イオン交換体周辺の塩基性を中和し、糖類への影響が抑えられていると考えられる。 本発明で使用する陰イオン交換体には、被処理液となる糖液中に、有機酸を初めとする弱酸性の陰イオンが含まれている場合が多く、これらの弱酸性の陰イオンに対するイオン交換処理の効率や、炭酸型及び/又は炭酸水素型の陰イオン交換体を調製した時の安定性等から、強塩基性陰イオン交換体の使用が好ましい。 本発明に係る、炭酸型及び/又は炭酸水素型の陰イオン交換体の使用方法について特に限定はなく、被処理液である糖液中に直接添加するバッチ方式や、カラム内にイオン交換体を充填したイオン交換装置に連続的に通液し、脱塩を行っても良い。 本発明では、被処理液である糖液が本発明に係るイオン交換体と接触することで、糖液中に含まれる陰イオンが、イオン交換体上で炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンに交換される。通常、糖液中に含まれている陰イオンは有機酸などの弱酸性イオンや強酸性の陰イオンであり、これらは炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンよりも酸性度が高いため、本発明に係るイオン交換体を用いたイオン交換は容易に行われる。 上述のイオン交換によって、被処理液中には炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンが存在することになるが、これらのイオンは、加熱、濃縮、減圧、超音波処理などの各種操作を個別に又はそれらを任意に組合せることで、炭酸ガスとして容易に糖液中から除去することが出来る。 本発明で使用する炭酸型及び/又は炭酸水素型の陰イオン交換樹脂の調製方法については、例えば、市販のCl型陰イオン交換樹脂を充填したカラムに、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩の水溶液を通液させるか、Cl型陰イオン交換樹脂と炭酸塩及び/又は炭酸水素塩の水溶液とを混合することで、容易に調製することが出来る。 陰イオン交換樹脂の調製に用いられる炭酸塩及び/又は炭酸水素塩の種類に特に制限はないが、調製の容易さから炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムが好ましく、水溶液の濃度や温度については、一般的な陰イオン交換樹脂の調製条件の範囲内であれば任意に設定することが可能であるが、炭酸水素塩の水溶液を用いて陰イオン交換樹脂を調製する場合、炭酸水素イオンの分解が起こる恐れがあることから、該水溶液の温度を65℃以下とすることが好ましい。 その他の調製方法として、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、OH型陰イオン交換樹脂とし、その後、水中の該陰イオン交換樹脂に炭酸ガスを注入することで、炭酸型及び/又は炭酸水素型の陰イオン交換樹脂を調製しても良い。 上述の陰イオン交換樹脂の調製方法は、陰イオン交換樹脂以外のその他の陰イオン交換体の調製方法として適用することも可能である。 陰イオン交換体が陰イオン交換樹脂である場合、炭酸型及び/又は炭酸水素型に調製された陰イオン交換樹脂は、単独で用いるか、あるいは陽イオン交換樹脂との混床で用いることで、糖液中に含まれるイオンの脱塩が可能である。 通常の製造条件で製造された糖液中には、様々な陽イオンが含まれていることが考えられるが、このような場合、陰イオン交換樹脂による脱塩処理を行う前に、予め陽イオン交換樹脂を用いて、糖液中の陽イオンを脱塩することが好ましい。 イオン交換体を用いて被処理液の脱塩を行う前に、濾過、活性炭処理、炭酸飽充等、その他の精製工程を事前に行ってから本発明を実施しても良い。【発明の効果】 炭酸型及び/又は炭酸水素型とした陰イオン交換体を用いることで、脱塩時における糖類の分解反応物、異性化反応物、着色物質等の生成が大幅に抑制され、不純物の生成を抑制し、イオン交換樹脂の着色を防ぎ、イオン交換樹脂の脱塩能力の低下を防ぐことが可能となった。【発明を実施するための最良の形態】 以下に、本発明を更に詳細に説明するため実施例を紹介するが、これらの実施例は本発明の技術範囲を限定するものではない。実施例1(炭酸水素型陰イオン交換樹脂の調製1) II型強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製のダイヤイオン[登録商標]:SA20A、Cl型)50mlを、内径16mmのカラムに充填した後、0.5mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液を100ml通液し、さらに十分に水洗を行い、炭酸水素型の陰イオン交換樹脂を調製した。実施例2(炭酸水素型陰イオン交換樹脂の調製2) 陰イオン交換樹脂として、I型強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製のダイヤイオン[登録商標]:SA10A、Cl型)を用いた以外は、上記実施例1と同様の条件で調製を行い、炭酸水素型の陰イオン交換樹脂を調製した。参考例1(混床式イオン交換装置の製造1) 陽イオン交換樹脂と本発明による陰イオン交換樹脂を混床式の形態で用いる、イオン交換装置を以下の方法で製造した。 強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製のダイヤイオン[登録商標]:SK1B、Na型)25mlを、内径16mmのカラムに充填した後、1mol/L塩酸を100ml通液し、さらに十分に水洗を行い、H型陽イオン交換樹脂を調製した。 次いで、該25mlのH型陽イオン交換樹脂と実施例1で得た50mlの炭酸水素型陰イオン交換樹脂を水中内で良く混合し、内径16mmのジャケット付カラムに充填することで、混床式イオン交換装置を製造した。ジャケット内の温度は40℃に加温した。参考例2(混床式イオン交換装置の製造2) 実施例1で調製した陰イオン交換樹脂に代わって、実施例2で調製した陰イオン交換樹脂を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、混床式イオン交換装置を製造した。ジャケット内の温度は40℃に加温した。参考例3(二床式イオン交換装置の製造) 陽イオン交換樹脂を充填した樹脂層と、本発明による陰イオン交換樹脂を充填した樹脂層からなる、二床式のイオン交換装置を以下の方法で製造した。 使用する陰イオン交換樹脂の量を60mlとした以外は、実施例1と同様の方法で陰イオン交換樹脂を調製した。 強酸性陽イオン交換樹脂(SK1B、Na型)20mlを、内径16mmのカラムに充填した後、1mol/L塩酸を100ml通液し、さらに十分に水洗を行い、H型陽イオン交換樹脂を調製した。 内径16mmのジャケット付カラムに、炭酸水素型の陰イオン交換樹脂60mlを充填し、陰イオン交換樹脂の樹脂層が形成された後、H型陽イオン交換樹脂を20ml充填することで、二床式イオン交換装置を製造した。ジャケット内の温度は36℃に加温した。 この二床式イオン交換装置では、被処理液は陽イオン交換樹脂層、次いで陰イオン交換樹脂層の順で通液する。○糖類を被処理液とする脱塩調製例1(被処理液の調製1) 0.001mol/Lに調製したプロピオン酸ナトリウム水溶液800mlにグルコース200gを添加し、固形分濃度が20重量%のグルコース溶液を調製した。実施例3(糖類を被処理液とする脱塩方法1) 調製例1で調製した糖液を被処理液とし、参考例1による混床式イオン交換装置に、55ml/hrの流速で通液し、脱塩を行った。 イオン交換装置への通液開始2時間後から、脱塩された糖液のサンプリングを開始した。サンプリングは、イオン交換装置から1時間の間に排出される処理液を1サンプルとして採取することで行った。そして、通液を開始してから2時間経過後から5時間後に至るまでの間、2〜3時間、3〜4時間、4〜5時間の各1時間毎にサンプルを回収することで、合計3サンプルを回収した。 サンプリングした糖液は、減圧濃縮して溶存する炭酸の除去を行った。その後、固形分濃度が20重量%となるように濃度調整を行い、脱塩された糖液のpHと電気伝導度を測定した。また、グルコース以外の分解反応物や異性化反応物の生成量については、HPLCによるピーク面積から測定し、その結果をグルコースからの異性化率(%)とした。これらの結果は表1に示した。 本実施例では、糖液の脱塩後、陰イオン交換樹脂に着色の様子は観察されなかった。実施例4(糖類を被処理液とする脱塩方法2) 参考例1の装置に代わり、参考例2による混床式イオン交換装置を用いた以外は、上記実施例3と同様の条件で、調製例1で調製した糖液を被処理液として脱塩を行った。 脱塩された糖液は、実施例3と同様の項目について測定を行い、その結果を表1に示した。 本実施例では、糖液の脱塩後、陰イオン交換樹脂に着色の様子は観察されなかった。比較例1(OH型陰イオン交換樹脂との比較) 炭酸水素ナトリウム水溶液に代わり、水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法により、OH型の強塩基性陰イオン交換樹脂を調製した。 本発明に係るイオン交換樹脂に代わり、該OH型陰イオン交換樹脂を用いた以外は参考例1と同様の方法でイオン交換装置を製造し、上記実施例3と同様の条件で、調製例1で調製した糖液を被処理液として脱塩を行った。 脱塩された糖液は、実施例3と同様の項目について測定を行い、その結果を表1に示した。 本例では、糖液の脱塩後、陰イオン交換樹脂が褐色に着色していた。比較例2(OH型陰イオン交換樹脂との比較) 炭酸水素ナトリウム水溶液に代わり、水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は実施例2と同様の方法により、OH型の強塩基性陰イオン交換樹脂を調製した。 本発明に係るイオン交換樹脂に代わり、該OH型陰イオン交換樹脂を用いた以外は参考例1と同様の方法でイオン交換装置を製造し、上記実施例3と同様の条件で、調製例1で調製した糖液を被処理液として脱塩を行った。 脱塩された糖液は、実施例3と同様の項目について測定を行い、その結果を表1に示した。 本例では、糖液の脱塩後、陰イオン交換樹脂が褐色に着色していた。【表1】 上記結果から、本発明による炭酸型及び/又は炭酸水素型の陰イオン交換樹脂を用いた場合には、従来一般的に使用されているOH型陰イオン交換樹脂を用いた場合と比較して、グルコースの分解生成物や異性化反応物が殆ど生成しないことが確認できた。また、糖液の脱塩後、陰イオン交換樹脂の着色は観察されなかった。 イオン分の残留度合を示す電気伝導度は、脱塩処理前と比較して、その値が大幅に減少し、脱塩は従来法と同様に行えることが確認できた。○水素化された糖類を被処理液とする脱塩調製例2(被処理液の調製2) 固形分濃度50重量%のグルコース溶液を調製し、水素加圧下にてルテニウム触媒による水素化反応を行い、ソルビトール溶液を調製した。 反応終了後に得られたソルビトール溶液中には、未反応のグルコースが固形分当り0.025重量%含まれていた。 水素化反応を経て製造されたソルビトール溶液を、固形分濃度20重量%に調製した時のpHは3.34、電気伝導度は67.7μS/cmであった。実施例5(水素化された糖類の脱塩方法1) 調製例2で調製した糖液を被処理液とし、上記参考例3による二床式イオン交換装置に、54ml/hrの流速で通液し、脱塩を行った。 イオン交換装置への通液開始2時間後から、脱塩された糖液のサンプリングを開始した。サンプリング開始後、イオン交換装置から排出される1時間分の処理液をサンプルとして採取した。 採取した糖液は、減圧濃縮して溶存する炭酸の除去を行った。その後、固形分濃度が20重量%となるように濃度調整を行い、脱塩された糖液のpHと電気伝導度を測定した。また、グルコース含有量と、その異性化反応物であるフラクトース含有量を測定し、その結果を表2に示した。比較例3(OH型陰イオン交換樹脂との比較) 炭酸水素ナトリウム水溶液に代わり、水酸化ナトリウム水溶液を用い、陰イオン交換樹脂の樹脂量を60mlとした以外は実施例1と同様の方法により、OH型の強塩基性陰イオン交換樹脂を調製した。 本発明に係るイオン交換樹脂に代わり、該OH型陰イオン交換樹脂を用いた以外は参考例3と同様の方法でイオン交換装置を製造し、上記実施例5と同様の条件で、調製例2で調製した糖液を被処理液として脱塩を行った。 脱塩された糖液は、実施例5と同様の項目について測定を行い、その結果を表2に示した。【表2】 上記結果から、本発明による炭酸型及び/又は炭酸水素型イオン交換樹脂を用いた脱塩方法では、脱塩後の糖液中にグルコースの異性化反応物であるフラクトースが殆ど含まれていないこと、また、従来一般的に使用されているOH型陰イオン交換樹脂では、脱塩された糖液中にフラクトースを生成していることが確認された。 また、イオン分の残留度合を示す電気伝導度は、脱塩前と比較して、その値が大幅に減少し、脱塩は従来法と同様に行えることが確認できた。○脱塩した糖液の加熱虐待試験調製例3(被処理液の調製3) 水溶液中の固形成分がソルビトール99.75重量%、グルコース0.25重量%とした、固形分濃度50重量%のグルコース含有ソルビトール溶液を調製し、これを被処理液とした。実施例6 調製例3で調製した被処理液を用いて、上記参考例1による混床式イオン交換装置に、55ml/hrの流速で通液し、脱塩を行った。 イオン交換装置への通液開始2時間後から、脱塩された糖液のサンプリングを開始した。サンプリング開始後、イオン交換装置から排出される1時間分の処理液をサンプルとして採取した。 採取した糖液は、減圧濃縮して溶存する炭酸の除去を行った。その後、固形分濃度が70重量%となるように濃度調整を行い、加熱虐待試験用のサンプル溶液とした。 加熱虐待試験用のサンプル溶液を耐圧ガラス容器内に入れ、145℃のオイルバスで5時間加熱し、加熱虐待試験を行った。 試験終了後、目視と吸光光度計による分析を行い、サンプル溶液の着色の様子を観察し、その結果を表3に示した。比較例4 炭酸水素ナトリウム水溶液に代わり、水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法により、OH型の強塩基性陰イオン交換樹脂を調製した。 本発明に係るイオン交換樹脂に代わり、該OH型陰イオン交換樹脂を用いた以外は参考例1と同様の方法でイオン交換装置を製造した。 調製例3で調製した糖液を被処理液とし、上記イオン交換装置を用いた以外は、実施例6と同様の方法で脱塩を行い、その後も同様の方法で脱塩された糖液の加熱虐待試験を行い、その結果を表3に示した。【表3】 炭酸型及び/又は炭酸水素型の強塩基性陰イオン交換体を用いることを特徴とする、糖液の脱塩方法。 前記糖液が水素化された糖類の水溶液である、請求項1に記載の糖液の脱塩方法。 前記水素化された糖類の水溶液が、水素化反応の未反応物を含むものである、請求項2に記載の糖液の脱塩方法。