タイトル: | 特許公報(B2)_ヒトおよび動物におけるコルチゾールおよび他の副腎ホルモンの異常濃度に伴う臨床状態の処置としてのこれらのホルモン濃度の間歇的低下 |
出願番号: | 2002578969 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/58,A61P 3/10,A61P 5/42,A61P 13/12,A61P 17/00,A61P 29/00,C07J 71/00 |
ウッド,クリストファー マーゲッツ,ジョージ JP 5006502 特許公報(B2) 20120601 2002578969 20020409 ヒトおよび動物におけるコルチゾールおよび他の副腎ホルモンの異常濃度に伴う臨床状態の処置としてのこれらのホルモン濃度の間歇的低下 ステグラム・ファーマシューティカルズ・リミテッド 503370918 STEGRAM PHARMACEUTICALS LIMITED 津国 肇 100078662 齋藤 房幸 100116919 小國 泰弘 100122736 ウッド,クリストファー マーゲッツ,ジョージ GB 0108865.7 20010409 20120822 A61K 31/58 20060101AFI20120802BHJP A61P 3/10 20060101ALI20120802BHJP A61P 5/42 20060101ALI20120802BHJP A61P 13/12 20060101ALI20120802BHJP A61P 17/00 20060101ALI20120802BHJP A61P 29/00 20060101ALI20120802BHJP C07J 71/00 20060101ALN20120802BHJP JPA61K31/58A61P3/10A61P5/42A61P13/12A61P17/00A61P29/00C07J71/00 C07J1/00-75/00 A61K31/33-33/44 JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) CA(STN)、REGISTRY(STN) 英国特許出願公開2155018第(GB,A) 特開昭59−95300(JP,A) 財団法人 日本医薬情報センター,医療薬日本医薬品集,薬業時報社,1999年,2000年版,1292−1293,トリロスタンの項 薬理と治療,1986年,14,5,591(3569)−596(3574) ホルモンと臨床,1984年,32,1,53−58 18 GB2002001653 20020409 WO2002080930 20021017 2004529142 20040924 24 20050407 2009023775 20091203 内藤 伸一 平井 裕彰 前田 佳与子 本発明は、副腎ホルモンの血中濃度を間歇的に低下させ、それにより副腎ホルモンの異常濃度に伴う臨床状態の症状を処置するための、一群の化学的に活性な化合物の使用に関する。以前に受け入れられていた医学的および獣医学的処置のプロトコルは、臨床応答を達成するために、これらのホルモンの血清中濃度の持続的低下を必要とした。 副腎によるホルモン産生の増加は、ヒトおよび動物における様々な臨床状態に関与する。コルチゾールの過剰量に体内の各組織を長期曝露すると、クッシング症候群(CS)を起こす。クッシング症候群の内因性の原因は、(1)副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)−依存性であり、下垂体アデノーマ、異所性ACTH産生腫瘍によるコルチコトロピン(ACTH)の過剰分泌に起因する高コルチゾール血症であるクッシング病を含む。副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)を産生する腫瘍、および(2)ACTH非依存性クッシング症候群は、コルチゾール産生副腎良性または悪性腫瘍、および稀な副腎過形成を含む。内因性の原因によるACTH依存性クッシング症候群の発生率は、約60%であり、そのうち自律性下垂体ACTH分泌が、95%に関与しており、その他は、異所性ACTH産生腫瘍である。コルチゾール分泌腫瘍は、内因性の原因の約40%に関与しており、そのうち、良性アデノーマが90%、副腎皮質カルシノーマが約10%である。 クッシング症候群の古典的症状は、中心部(腹部)体重増加および外観の典型的変化、皮膚の希薄化、筋肉衰弱、無月経、多尿及び多渇症、インスリン抵抗性、高血圧、抑うつ、精神病ならびに不眠症などがあげられる。さらに、クッシング症候群に起因する慢性高コルチゾール血症患者は、アルツハイマー病に見られるものに似たパターンで認知機能障害を示すこともある(Starkman MN et al. Biol Psychiatry 1992 Nov 1; 32 (9): 756-65)。クッシング症候群において見られる変化の多くは、加齢の過程でみられるものに極めてよく似ている。この結果、コルチゾール濃度の上昇又は糖質コルチコイドに対する応答の変化が、少なくとも一部で、高齢者に見られる変化に関与すると仮定する者もいる。加齢の過程でみられる変化の多くが、「偽クッシング病」の一形態であることが示唆されている。 Van Cauter et al(J Clin Endocrinol Metab 1996 Jul; 81 (7): 2468-73)らの研究では、18〜83歳の健常人(男性90名、女性87名)からの血漿中コルチゾールの合計177の一時的なプロフィールを解析した。各個体のプロフィールのために、午前最大及び夜間最低の平均レベル、値、時間、日周期の振幅、ならびに静止期の開始および終了を定量する12のパラメータを算出した。男性および女性の両者において、平均コルチゾール濃度は、20歳と80歳との間で20〜50%上昇した。午前の最大値が低いことを主たる原因として、閉経前の女性は、同年齢範囲の男性に比べ、平均濃度が若干低かった。夜間最低値の濃度は、男性および女性の両性において加齢とともに漸次上昇した。年齢に関連する午前中最高相の上昇は、女性に生じたが、男性には生じなかった。コルチゾール分泌の日周期は、高齢において維持されているが、相対的振幅が減衰しており、日内上昇のタイミングが前に進んだ。生涯にわたるストレスへの曝露による「摩滅」の仮説に一致する、ヒト副腎皮質刺激ホルモン活性のレベルおよび日内変化に対する著しい性特異的な加齢効果があると結論された。日内振幅および相における変化が、高齢者における睡眠障害の病因に関与し得ることが示唆された。しかし、コルチゾール濃度の上昇は、ベースとなるコルチゾール濃度の3〜6年にわたる縦断的研究に51名の健常な高齢志願被験者のグループが参加した、Lupien et al(Neurobiol Aging 1996 Jan-Feb; 17 (1): 95-105)の試験により示されたように、高齢者で普遍的は特徴ではないかもしれない。ひとつのサブグループでは、コルチゾール濃度が年とともに上昇し、別のグループでは低下し、第3グループでは、安定に維持されることが示された。しかし、時間の経過とともにコルチゾール濃度の上昇を示した患者において、強迫観念/衝動強迫質問票に対する応答とコルチゾールの上昇率との間に正の相関が見られた。これらの著者らは、彼らの結果が、視床下部−下垂体−副腎の活性および認知効率において異なる、加齢ラットの部分集団が存在することを示した動物試験と一致したと結論付けた。 年齢とともにコルチゾール濃度が上昇する傾向にあるのみならず、コルチゾール産生の日周期も、年の経過とともに攪乱される。Mileu et al(Endocrinologie 1978 Jan-Mar; 16 (1): 29-39)は、70〜100歳の25名において血漿中コルチゾールの日周期を検査し、17〜38歳の5名と比較した。結果は、血漿中コルチゾールの日周期が、年齢とともに変化することを示した。見出された特徴的な現象は、時間単位での量的差異が減少方向に向かう傾向があり、比較すると、90〜100歳において、より顕著である;08.00時のコルチゾール最高濃度が71〜80歳のグループでは04.00時に先行し、80歳を超える被験者の数名では、00.00時に先行する。正常な日周期は、検査した25例のうち2例に見られた。コルチゾールの日周期の変化は、制御系が、加齢の過程においても損なわれていることを示した。高齢者における早朝不眠は、コルチゾール分泌のこのような先行によるものである可能性がある。 糖質コルチコイド過剰は、動物において海馬の損傷に伴うものであり、海馬が学習および記憶に関与することから、海馬形成(HF)容量、記憶機能障害およびコルチゾール濃度の関係を、クッシング症候群患者12名において検討した。磁気共鳴画像化の後、HF容量を、歯状回、固有海馬および鉤状回をトラックボールでトレースしたデジタル合計を測定し、総頭蓋内容量で補正した。患者の25%について、HF容量は、文献的に得られた健常被験者における95%信頼区間の範囲外となった。更に、HF容量と言語対関連学習、言語記憶および全項目IQで補正した言語記憶との間には有意で特異的な相関性が認められた(r=0.57〜0.70、p < 0.05)。HF容量は、血漿中コルチゾール濃度と負の相関を示した(r=-0.73、p < 0.05)。これらの研究は、CS患者において、HF容量の低下、記憶機能障害およびコルチゾールの上昇との間の関連性を示唆する。 したがって、CS患者で見られる変化は、コルチゾール濃度の上昇の有害な影響によるものと考えられる。CSの処置は、産生増大の源を除去するか、または副腎でのコルチゾールの合成をブロックすることにより、上昇したコルチゾール濃度を低下させることに基づいている。目的は、日中の平均濃度を、健常産生量と同等の300〜400 nmol/Lにまで低下させることである(Internal Medicine 2nd edition, editors J Kumar and M L Clark chapter 16 pg. 815)。 クッシング病は、ヒトと同様、多くの動物種でも起こる。イヌでは、この疾患の特徴は、体重増加、傾眠、糖尿病、体毛の剛毛肥厚化(coarse thickening)、多尿および多渇症である。ヒトの場合よりも、おそらく、特定の血統のイヌで一般的な疾患である。 特定の血統のイヌにおいて、副腎および/または性腺ホルモンの濃度の変化は、成犬発症型脱毛症の一形態である、脱毛症Xを起こし得る。この疾患と副腎ホルモン異常との関連、先天性副腎過形成とも呼ばれる状態、クッシング様症候群および成犬発症型高ソマトトロピン分泌との関連は、よく確立されている。罹患したイヌは、体毛および皮膚の変化以外は、健常である。脱毛症Xは、ノルディック血統である、ポメラニアン、チャウチャウ、アイリッシュウォータースパニエル、ハスキーおよびプードルなどのイヌで最も一般的に起こる。脱毛症は、通常、1〜2歳の間の若年成犬で発症し、オスでもメスでも起こり得る。体幹部および大腿部にわたる対称的パターンの体毛喪失が典型的であり、強度の色素過剰症を伴うこともある。脱毛症Xに伴うホルモン異常は、血統により様々である。すなわち、罹患ミニチュアプードルおよびポメラニアンでは、ステロイド生成の変化がおこり、血液および尿のコルチゾールおよび17−ヒドロキシプロゲステロン(17OHP)濃度の上昇を伴う。脱毛症キースホンドでは、血中17OHPおよびエストラジオール濃度が上昇している。脱毛症チャウおよびアイリッシュウォータースパニエルでは、17OHP濃度が上昇している。 ウマ、特に高齢のウマでは、ウマ変異型CSも発症し得る。この特徴は、多尿、多渇症、傾眠および眼窩周囲の脂肪沈着である。CSのウマの相当の割合が、脚の小骨に影響を及ぼし、治療困難なことで名高い状態である、蹄葉炎をも発症する。動物における処置の目的は、ヒトにおける目的と同じであり、上昇したコルチゾール濃度の永続的抑制の達成を企図するものである。 Nishizawa S, et al(Neurosurgery 1999 Aug; 45 (2): 239-44)によれば、クッシング病に対する外科処置の目的は、「内分泌学的治癒」である。この研究では、術後の内分泌学的分析を、経蝶形骨手術(trans-sphenoidal)を受けたクッシング病患者18名において評価した。術後第1週の間、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の血清中濃度を、放射免疫アッセイにより測定した。術後1週間で、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)を用いた試験を、各患者に実施し、正常ACTH分泌細胞の貯蔵機能をチェックした。8名の患者において、術後のACTH濃度は、1週間にわたり測定可能濃度を下回り、ACTHは、CRH試験に対し何ら応答を示さなかった。これらの患者において、ACTHおよびコルチゾールの血清中濃度は、長期フォローアップの間、正常の日内変動を伴う正常範囲内に維持された。これらの患者は、内分泌学的に治癒されたものと定義された。7名の患者において、ACTH濃度は、手術の翌日に正常範囲内に回復したが、CRH試験によりACTHが誘発された。これら7名の患者のうち5名は、その後正常範囲を上回るACTHの再上昇を示した。その他の3名の患者においては、ACTH濃度は一度も正常化せず、医学的処置を必要とした。この研究の著者は、クッシング症候群の内分泌学的治癒を、術後早期段階におけるCRH試験に対するACTH応答の欠如および手術翌週の測定不能な低ACTH濃度として定義している。術後にACTH濃度の正常範囲を得ることは、内分泌学的治癒の定義には不十分である。 したがって、処置に欠かせない要素は、ACTH源の完全な根絶であるか、またはコルチゾール産生の上昇の源の摘出である。これは、今日では通常、手術による副腎の除去、またはACTH産生の上昇に関与する下垂体病変を破壊することにより成し遂げる。ACTHの上昇が、異所性部位からのものである場合には、原理は同じである。即ち、ACTH源の除去である。そのような処置のすべてについて、その結果、コルチゾール濃度の低下が持続し、患者は、ホルモン補充を受けることを要することもある。 本発明の予期せぬ知見は、本発明の活性化合物が、上昇した血清中ホルモン濃度を短期間低下させるのみで、1日24時間の期間にわたって持続することはないにもかかわらず、副腎ホルモンの異常な血中濃度に伴う症状を軽減可能であり、効果的に治療可能であることである。この効果は、活性作用物質の間歇的投与、通常は1日1回のみ投与することにより達成することができる。 特に、血清中ホルモン濃度の間歇的低下は、クッシング病および随伴する症状、ならびにイヌの脱毛症Xの処置において効果的であった。 したがって、本発明は、式(I):[式中、 R1、R2、R5およびR6は、同一または異なり、それぞれが水素またはC1−4アルキルであり; R3は、水素、C1−4アルキル、C1−4アルケニルまたはC1−4アルキニルであり; R4は、水素、C1−4アルカノイルオキシ、式(II)もしくは(III):(式中、 R7は、(CH2)n(ここで、nは0〜4の整数である)、R8は、水素、C1−4アルキル、ヒドロキシまたはNH2であり、R9およびR10は、同一または異なり、それぞれが水素またはC1−4アルキルである)で示される基であるか、 あるいはR3およびR4は、一緒になってオキソ、エチレンジオキシまたはプロピレンジオキシである]で示される化合物またはその3−エノールC1−4アルカノエートエステルの、ヒトまたは非ヒト哺乳類が異常に高い副腎ホルモンの血清中濃度を有するヒトまたは非ヒト哺乳類の状態の間歇的処置のための医薬の製造における使用、を提供する。発明の詳細な説明 本発明において具体化された新規概念は、ACTH依存性であるかACTH非依存性であるかに関わらず、クッシング症候群の症状の軽減を、コルチゾール濃度の間歇的低下により成し遂げることができることである。このアプローチは、コルチゾールおよび他の関連ホルモンの産生を、コルチゾール産生の長期間または永続的なブロックではなく、むしろ1日あたり数時間のみの期間ブロックすることが可能であるとの点において、確立されている治療法とは著しく異なる。これは、副腎過剰分泌の医学的制御の巧妙な方法を提供し、副腎の手術による除去および長期間のホルモン補充の必要性を回避するという点において、患者に対し具体的な効果を有する。本発明の化合物−トリロスタンおよび関連化合物ならびにその性質 本発明は、主として、一般構造2α−シアノ−4α,5α−エポキシアンドロスタン−17β−オール−3−オンを有する化合物に関する。上式の化合物は、総称「トリロスタン」を有し、英国特許明細書第1,123,770号および米国特許明細書第3,296,295号に記載されている。本発明に記載されている化合物は、おおよそトリロスタン分子に基づいているが、特許請求の範囲では、トリロスタンの第一代謝物であるケトトリロスタン、およびエポスタンなどの他の類似関連化合物にも言及している。初期明細書は、トリロスタンおよび関連化合物の副腎皮質阻害性を記載している。英国特許明細書第2,130,588号には、トリロスタンおよび関連化合物の改善された製造方法が記載されている。これにより、平均等価球体容量径5〜12μmを有し、少なくとも95%の粒子が50μm未満の粒径を有する粒子に、化合物を微細化することを可能にした。粒径サイズ特異度が上がると、トリロスタンのバイオアベイラビリティが改善され、形成される活性代謝物の量を制御され、それにより臨床応答が改善され、初期製剤の変動が減少された。トリロスタンは、末期乳がんの処置として、広く研究されている。29%(Williams C. J. et al, Brit. J. Cancer (1993) 68, 1210-1215)〜38%(Ingle J. N. et al, Am. J. Clin. Oncol., 1990, 13 (2), 93-97)の奏効率を有するトリロスタンの有効性が、発表されたいくつかの研究で確認されている。トリロスタンを用いた以前の研究のいずれにおいても、作用機序は、3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素系の拮抗阻害によると考えられていた。その作用は、アンドロゲン枯渇によるものと考えられ、あらゆるフィードバックメカニズムを克服するために、ヒドロコルチゾンがトリロスタンとともに与えられた。化合物が、当時公知のエストロゲン、アンドロゲンまたはプロゲステロン受容体には何ら直接作用を及ぼさないことが明らかにされた。 しかし、英国特許出願GB0000984.5(GB-A-2,345,851)によれば、トリロスタンおよび関連化合物が、いくつかのエストロゲン受容体イソフォームに特異的作用を有し、それにより受容体および受容体へのエストロゲンの結合を調節することが示されている。エストロゲン受容体が一種のみ存在するとの考えは、現在では正しくないことが知られているが、これに基づいて以前の特許請求の範囲は記載されたもので、現在では、少なくとも2種の主要な形態のエストロゲン受容体が存在すること、およびトリロスタンおよび関連化合物がこれらの受容体に結合するリガンドを特異的に調節することが確立されている。本発明は、副腎における3βデヒドロゲナーゼ(3βHSD)活性の阻害におけるトリロスタンおよび関連化合物の作用に関するが、高コルチゾール血症の動物およびヒトにおけるコルチゾールの間歇的低下がそのような状態における症状を軽減するとの知見は、3βHSD阻害の結果のみではないかもしれないということが理解される。トリロスタンおよび関連化合物は、コルチゾールおよび他の関連ホルモンの糖質コルチコイド受容体への結合を調節するかもしれないし、そしてトリロスタンの間歇的(1日1回)処置で見られる症状の長期の軽減は、血清中で到達するコルチゾールの濃度にほとんど関連しないか、または何ら関連を有しないかもしれないが、適切な受容体に対する持続的な、または延長された効果に、より強く関連するかもしれない。あるいは、副腎摘出術または連続的薬物療法により達成されるコルゾール濃度の持続的低下よりも、むしろ1日あたり限定された時間でのコルチゾール濃度の低下は、糖質コルチコイド受容体でのリガンド親和性を変えることにより有益な効果を有することもある。Huizenga NA et al(European Journal Endocrinology 2000; 142 (5): 472-6)の研究は、糖質コルチコイド(GC)の作用メカニズムが、細胞内糖質コルチコイド受容体(GR)によって介されること、およびリガンド親和性の、対照との比較における有意な低下が、クッシング症候群患者からの細胞において確認されたことを示した。この観点から試験された唯一の患者において、リガンド親和性の完全な正常化が、処置後に観察されたが、受容体数は影響を受けなかった。CS患者において、コルチゾール濃度とリガンド親和性との間には、統計学的に有意な負の相関性がみとめられたが、これは、対照においては認められなかった。 筆者らは、クッシング症候群患者における連続的に高い濃度のコルチゾールへの曝露に対する応答において、おそらく受容体修飾を反映したリガンド親和性の減弱が見られたとの結論を下した。この仮定は、1名の患者において、疾患の完全寛解の後にリガンド親和性の正常化が見られたとの事実によって立証された。 本発明における使用に適する化合物は、式(I):[式中、 R1、R2、R5およびR6は、同一または異なり、それぞれ、水素またはC1−4アルキルであり; R3は、水素、C1−4アルキル、C1−4アルケニルまたはC1−4アルキニルであり; R4は、ヒドロキシ、C1−4アルカノイルオキシ、式(II)もしくは(III):(式中、 R7は、(CH2)n(ここで、nは、0〜4の整数である)、R8は、水素、C1−4アルキル、ヒドロキシまたはNH2であり、R9およびR10は、同一または異なり、それぞれが、水素またはC1−4アルキルである)で示される基であるか; あるいは R3およびR4は、一緒になって、オキソ、エチレンジオキシまたはプロピレンジオキシである]を有するか、またはそれらの3−エノールC1−4アルカノエートエステルである。 好ましくは、R1は、水素またはメチルであり、および/またはR2は、水素またはメチルであり、および/またはR4は、ヒドロキシであるか、またはR3およびR4は、一緒になってオキソであり、および/またはR5およびR6は、メチルである。 さらに好ましくは、R1、R2およびR3は、水素であり、R4はヒドロキシであり、R5およびR6はメチルであるか、またはR1、R3、R5およびR6は、メチルであり、R2は水素であり、R4は、ヒドロキシであるか、またはR1およびR2は、水素であり、R3およびR4は、一緒になって、オキソであり、R5およびR6は、メチルである。 本発明における使用に特に好ましい化合物は、トリロスタンそれ自体、その第一代謝物であるケトトリロスタンおよびエポスタンである。トリロスタンそれ自体は、式:を有する。 式(I)については、R1が、水素またはメチルであり、R2が水素またはメチルであり、R5およびR6がメチルである、式(I)の化合物を使用することが好ましい。R4が、ヒドロキシであるか、またはR3およびR4が一緒になって、オキソであることが、さらに好ましい。そのような好ましい化合物の例が、 R1、R2およびR3が水素であり、R4が、ヒドロキシであり、R5およびR6がメチルであるトリロスタン;R1およびR2が水素であり、R3およびR4が一緒になってオキソであり、R5およびR6がメチルである、ケトトリロスタン;およびR1、R3、R5およびR6がメチルであり、R2が水素であり、そしてR4がヒドロキシである、エポスタンである。本発明の処置全般的特性: 本発明に記載の特許請求の範囲は、トリロスタンおよび関連化合物の特異的な作用機序に限定されず、持続的コルチゾール低下という一般的に受け入れられている慣用の方法よりも、むしろこれらの化合物を使用して、血清中コルチゾールおよび他の関連ホルモン濃度の間歇的低下を惹起することにも言及する。これは、予期せぬ知見であり、トリロスタンおよび関連化合物を動物および患者に投与する方法を変えるものである。 2種の異なる形態の糖質コルチコイド受容体が、最近報告されていることに留意するのが重要である(Oakley RH et al; Endocrinology. 1997: 138; 5028-5038)。これらのイソフォームは、hGRαおよびhGRβと命名されており、正の役割を果たすhGRαに比べ、hGRβが負の活性を有することが示されている(Oakley RH et al; Journal of Biological Chemistry 1999: 274; 27857-27866)。これは、2種のエストロゲン受容体の反対作用に極めてよく似ており、糖質コルチコイド受容体は、ステロイド/サイロイド/レチノイン酸受容体タンパク質のスーパーファミリーに属しているため、トリロスタンおよび関連化合物が糖質コルチコイド受容体に対して、エストロゲン受容体に対するのと似た効果を有することは、想到し得ることである。 同様に、3βHSDの阻害も、副腎におけるのと同様、末梢組織レベルでも起こり得る。ステロイド21−および11β−ヒドロキシル化が、ヒトおよびラットの副腎以外の様々な組織で起こり得ることが証拠により示された。アルドステロンの合成およびアルドステロンシンターゼmRNAの転写が、ラットの大動脈平滑筋細胞において明らかにされている。アルドステロンシンターゼは、コルチコステロンおよび18−ヒドロキシデオキシコルチコステロンを生じさせる。したがって、トリロスタンおよび関連化合物は、脳、皮膚、骨、動脈などの副腎以外の部位で3βHSDを阻害することにより、その作用を発揮し得る。 トリロスタンおよび関連化合物による間歇的処置によって生じる効果は、コルチゾール前駆体および/または代謝物に対するコルチゾールの比が変化した結果でもあり得る。Yamaguchi Y et al(Clin Endocrinol (Oxf) 1998 Sep; 49 (3): 377-83)は、高インスリン血症を伴う糖尿病患者における血清中デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)濃度の低下を示した。DHEAは、コルチゾールの前駆体であり、その血清中濃度が、トリロスタン投与後上昇することが知られている。コルチゾール過剰分泌の患者の90%までが、グルコース不耐性であり、糖尿病は、クッシング症候群の特徴であることから、コルチゾールのDHEAおよび他の前駆体に対する比は、極めて関連した事項であり得る。更に、Kalmijin S, et al(J Clin Endocrinol Metab 1998 Oct; 83 (19): 3487-92)は、前向き研究を実施し、副腎ステロイドホルモンであるコルチゾールおよび硫酸デヒドロエピアンドロステロン(DHEAS)の末梢濃度と認知の障害および低下との関係を検討した。試験母集団は、母集団に基づくロッテルダム試験からの、55〜80歳の健常参加者189名の検体から構成された。デキサメタゾン投与前のDHEASおよびコルチゾール、ならびにデキサメタゾン1mgの投与前および投与一晩後のコルチコステロイド結合グロブリンの絶食時血中濃度を測定した。30点の小精神状態試験(MMSE)を用いて、認知を評価した。この試験は、デキサメタゾン1mg(SD=0.68)投与後にコルチゾールの自然対数で表した1標準偏差(SD)の上昇が、認知低下のオッズ比(OR)1.5に関連した(95% CI、1.0〜2.3)。DHEASの1SD上昇(SD=2.10μM/L)は、認知障害(OR=0.5;95% CI,0.2〜1.1)および認知低下(OR=0.6;95%CI、0.4〜1.1)に逆相関するが、しかし有意ではなかった。遊離コルチゾールのDHEASに対する濃度比は、認知障害に有意に相関した(OR=1.8;95%CI、1.0〜3.2)。健常高齢被験者によるこの前向き試験は、遊離コルチゾールの基底濃度が認知障害に正に相関し、デキサメタゾン処置後のコルチゾール濃度が認知低下に相関することを示唆した。DHEASと認知の障害および低下との間には、逆関連が見られたが、有意ではなかった。処置の目的 一実施態様において(例えば、実施例2参照)、本発明は、1種またはそれ以上の副腎ホルモンの濃度を低下させる手段を提供する。好ましくは、そのホルモン、またはそのホルモンの1種が、コルチゾールである。この実施態様によれば、本発明の処置は、好ましくは、コルチゾールおよび/または他の副腎ホルモンの産生を低下させることにより作用する。 この実施態様によれば、1種またはそれ以上の副腎ホルモンの濃度は、間歇的に低下する。これまでに受け入れられてきた臨床および獣医学的実施は、そうした濃度を連続的に低下させる方向にあり、これは上記検討のように、望ましくない結果をもたらす。 濃度は、問題となる状態からの部分または完全軽減、好ましくは完全軽減をもたらす濃度にまで低下させ得る。本発明は、一種以上の状態および一種以上の種に適用されるので、所望の濃度は様々であり、当業者は、それに従って適切な濃度を確定し、投薬計画を案出することが可能であろう。特に、健常な個人の濃度を検査または測定し、投薬計画を案出し、正常範囲まで、またはそれに向けて低下させることが可能である。これは、計算、実験またはこれら2つの組み合わせによって実施することができる。本明細書の実施例を、手引きとして用いることができる。 例えば、副腎ホルモン濃度、例えばコルチゾール濃度は、処置前の上昇した濃度の90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満にまで低下させ得る。 副腎ホルモン濃度は、いかなる適切な手段で測定してもよい。コルチゾールの場合、ACTH刺激試験、TRH刺激試験およびデキサメタゾン刺激試験のいずれも可能である。イヌでは、ACTH刺激試験が好ましく、ウマでは、TRHまたはデキサメタゾン刺激試験が好ましい。 他の実施態様においては、本発明の化合物の間歇的投与は、実際には、副腎ホルモンまたは問題のホルモンの濃度を有意に低下させないかもしれないが、それにもかかわらず、臨床応答を示し、状態の症状を軽減させる。例えば、実施例1参照。 本発明の化合物は、以下のメカニズムの1またはそれ以上により作用すると考えられる:副腎におけるステロイド合成をブロックする、糖質コルチコイド受容体に結合するリガンドの修飾、体内の副腎以外の部位での3−βデヒドロゲナーゼの阻害。これらの目的に焦点を絞って、処置を計画してもよいが、本発明は、いかなる特定の作用機序にも限定されない。処置される状態 本発明は、ヒトでの医学的適用およびヒトではない哺乳動物における獣医学的適用の両方を有する。好ましいヒトではない被験体として、ウマおよびイヌなどがあげられる。 副腎ホルモン濃度が異常に上昇しているいかなる状態も、本発明の間歇的処置アプローチから有益であると考えられる。コルチゾール濃度が異常に上昇している、高コルチゾール血症の処置が好ましい。例えば、加齢、インスリン依存性糖尿病、抑うつ、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、アルコール中毒、拒食症、過食症および嗜癖に伴う高コルチゾール血症の処置を、本発明に従って行ってもよい。 特に好ましい状態として、自然発症副腎皮質機能亢進(HAC)の名でも知られる、クッシング症候群(CS)、偽クッシング症候群があげられる。CSは、ACTH依存性(クッシング病の名で知られる場合)でも、ACTH非依存性であってもよい。両方のタイプが、本発明による処置に応答し得る。さらに、処置可能な状態として、下垂体依存性HACおよび副腎腫瘍に起因する副腎ホルモン濃度の上昇があげられる。 ヒト、イヌおよびウマにおけるCS、特にACTH依存性CSの処置が、特に好ましい。イヌにおける脱毛症Xの処置も好ましい。ウマにおける蹄葉炎の処置も好ましい。投薬計画 適切な期間、所望のレベルにまでホルモン濃度を低下させるため、またはたとえホルモン濃度が有意に変化しない場合でも、間歇的投与が、症状の継続的軽減をもらすように、投薬計画を選択する。当業者は、例えば処置すべき状態、被験体の種、被験体のサイズおよび状態の重症度に応じて、適切な投薬計画を選択することができるであろう。 しかし、指針として、投与は、一般的に、1日に数回、例えば、1日に1回、2回または3回もしくは4回投与である。1日1回の投与が好ましい。 より頻度の低い、例えば2、3または4日に1回、または週に1回などのより低頻度の投与も包含し得る。 指針として、副腎ホルモンの血清中濃度が低下する場合、各投与が、1時間まで、2時間まで、4時間まで、または6もしくは8時間までの時間をかけて、濃度低下に導くことが好ましい。1日1回投与の場合には、例えば4、6または8時間までの期間に1回など、より長い時間をかけて濃度を低下させること(より大用量)が、有益で有り得る。逆に、複数回投与では、例えば2または4時間までを1日2回など、より短時間(小用量)が好ましい。 投与、投薬および製剤 本発明の化合物を、いかなる適切な方法で投与してもよい。例えば、錠剤、カプセル、または懸濁製剤の経口投与が好ましい。注射、特に静脈内投与も、好ましい投与経路である。 経口製剤では、GB-B-2,130,588が、トリロスタンおよび関連化合物の製造の改善方法に関する。この方法は、化合物を、平均等価球体容量径5〜12μmを有し、少なくとも95%の粒子が50μm未満の粒径を有する粒子に、化合物を微細化することを可能にする。粒径特異度がより大きくなると、トリロスタンのバイオアベイラビリティが改善され、形成される活性代謝物の量を制御し、それにより臨床応答を改善し、変動を減少させた。 したがって、本発明の化合物は、微粒子組成物の形態で使用し得る。そのような組成物は、好ましくは、微粒子化された組成物である。 本発明による使用のための微粒子組成物は、望ましくは、約12μm以下の平均粒径を有する粒子からなり、粒子の80、85、90、95%以上、好ましくは98%以上、99%以上または99.5%以上が約50μm未満、好ましくは40μm未満、30μm未満または20μm、例えば、0.1μm〜10、20、30、40もしくは50μm、1μmから10、20、30、40もしくは50μmまたは10から20、30、40もしくは50μmの粒径を有する。粒子は、好ましくは、約5〜約12μmまたは約5μm、例えば、0.1〜5μmまたは1〜5μmの平均粒径を有する。組成物のオーバーサイズ累積パーセンテージ対特性曲線が、1.5〜2.5μm、好ましくは約1.75〜2.25μm、より好ましくは約2μm、例えば1.9〜2.1μmの標準偏差を示すことが更に好ましい。 投薬は、処置の目的、投薬計画および投与様式により、および特に処置すべき被験者のサイズに関して考慮して選択される。 微細化された微粒子組成物の経口投与では、10〜5000mgの用量が好ましく、より好ましくは10〜1000mg、10〜2000mgおよび10〜500mgであり、より具体的には、20〜500mgおよび30〜500mgである。 望ましくは、製剤を非毒性医薬被覆材で被覆するか、または液体医薬賦形剤に懸濁させ、より口当たりを良くし、胃への刺激を低減させる。 注射、特に静脈内注射については、用量は、例えば10〜500mg、例えば10〜200mgまたは10〜100mgであり得る。特に好ましい範囲は、30〜360mgである。 しかし、処置される被験体のサイズも考慮しなければならない。したがって、投薬は、体重kg当たりのmg数で測定し、例えば0.1〜20mg/kg、例えば0.1〜2、0.1〜1または0.5〜1mg/kg、または2、5、10または20mg/kgまでであってもよい。 ウマでは(実施例1参照)、0.4〜1mg/kgの用量が好ましい。 指針として、5kg未満のイヌに、30mgを1日に1回、経口投与により与えてもよく、5〜15kgのイヌに、60mgを1日に1回与えてもよく、15kgを超えるイヌには、120mgを1日に1回与えてもよく、すべて同様の効果を達成する。したがって、5kg未満のイヌには、10〜50mg、例えば20〜40mgの用量が好ましく、5〜15kgのイヌには、15kgを超える用量、40〜80mg、例えば50〜70mgの用量が好ましく、15kgを超えるイヌには、100〜150mg、例えば110〜130mgの用量が好ましい。 いかなる投薬剤形についても、例えば注射用滅菌水または生理的食塩水、ならびに公知のカプセル、錠剤、および懸濁剤用賦形剤などの適切な医薬賦形剤が選択される。実施例実施例1−トリロスタン間歇的投与の副腎ステロイド産生ブロック能 トリロスタン間歇的投与の副腎ステロイド産生ブロック能を、ウマクッシング病のウマ20頭(平均年齢21、SD5.7歳)で評価した。組み合わされたデキサメタゾン抑制サイロトロピン放出ホルモン(TRH)刺激試験(ウマ17頭)またはTRH刺激試験(ウマ3頭)を、視床下部−下垂体−副腎軸の機能の標準試験として使用した。コルチゾール分析の血清検体を、試験期間のそれぞれの24時間にわたり4時間間隔で留置カテーテルにより採取した。これらは、処置前、その後210分(TRH1mgを静注後30分)およびデキサメタゾン40mg/kg筋注後22時間である。罹患したウマに、餌中0.4〜1mg/kg(平均0.5mg/kg)トリロスタンを1日1回投与し、30日にわたり処置した。30日後、内分泌試験を繰り返した。処置の前後の血清中コルチゾールを、対応のあるt検定により比較した。 11頭のウマに見られた多尿および/または多渇は、処置後すべてのウマにおいて軽減された。傾眠が、19頭のウマである程度見られたが、治療後、すべてのウマにおいて挙動の改善は明らかであった。17頭のウマにみられた再発性、慢性または持続性蹄葉炎は、改善され、14症例ではまったく再発が見られなかった。6頭のウマでは、治験中、蹄葉炎に起因する跛行が改善されたため、フェニルブタゾン療法を中止しており、1頭のウマでは、1日2gから1gにフェニルブタゾン療法を減量させた。3頭のウマが、診察時にX線検査において、施回および衰えの徴候(rotation and sinking evident)を伴う重度の急性蹄葉炎を呈した。これは、トリロスタンに応答しなかった。これらのウマの1頭は、治験に入ってから14日で安楽死させた。1頭のウマは、治験中に蹄葉炎の軽度発作を発症した(Obelグレード1)が、30日目に再診察した際には、健康であった。 処置前のウマにおける、ベースラインコルチゾール(平均:141、SD54nmol/L)およびデキサメタゾン後22時間のコルチゾール(平均;109、SD34nmol/L)は、処置後[ベースライン(平均;159、SD64nmol/L)、デキサメタゾン後(平均;104、SD48nmol/L)]と有意差がないが、トリロスタンの前(平均:176、SD52nmol/L)および後(平均:147、SD61nmol/L)のTRH投与後コルチゾールは有意に低下した(p=0.023)。 結果は、1日1回与えられたトリロスタンが、すべてのウマにおける臨床徴候のほとんどを改善し、最も安定していたのは、挙動の改善であることを示した。TRH投与に対するコルチゾール応答が、対応して低下したが、コルチゾール濃度の明らかな変化はなかった。実施例2−自然発症副腎皮質機能亢進症(HAC)の処置のためのトリロスタン: 自然発症副腎皮質機能亢進症(HAC)の処置のためのトリロスタンの使用を、11頭のイヌにおいて評価した。イヌにおける副腎皮質機能亢進症(HAC)、即ちクッシング症候群の発生率は、約0.1%と推定されており、したがって、この疾患は、獣医学医薬においても周知のものである(Chastain et al. 1986)。下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(PDH)は、下垂体の向副腎皮質アデノーマによる過剰な副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生によるものであり、ACTH過剰を除去することにより処置されるべきである。ときに下垂体切除術が、PDHのイヌにおいて実施されるが(Meji et al. 1998)、この手術は、その微妙な性質のため、広く利用可能なものではない。イヌのPDHは、抗副腎皮質薬(adrenoconicolytic drug)である、o,p‘−DDD(ミトタン;mitotane)の誘導および維持用量で最もたびたび処置され、ミトタンに対しては、他の種に比較してイヌがはるかに敏感である(Rijinbeck, 1996)。ごく最近になって、大用量o,p’−DDDによる副腎皮質の完全な破壊およびその後の鉱質および糖質コルチコイド補充を目的とした新しいプロトコルが、提唱されている(Den Hertog et al.)。しかし、殺虫剤DDTに関連する化合物の一種であるo,p’−DDDには、イヌにおいて、治療中高頻度に再発する副作用がいくつかあり、飼い主にリスクがないわけではない。近年、中枢または末梢作用を有する多数の物質の効力を、PDHの処置について検討している(Bruyette, 1996; Rijbberk et al, 1988; Peterson and Drucker 1978; Stolp et al, 1984, Feldman et al 1990)。主として17,20−デスモラーゼを、そしてそれよりは低い程度で17α−ヒドロキシラーゼおよび11β−ヒドロキシラーゼを阻害するケトコナゾールを例外として、効力は低かった。さらに、ドパミン濃度を増加させることによりACTHを下方制御すると推定されているL-デプレニル(L-Deprenyl)が、最近、米国FDAによりイヌPDHの処置用に承認された。しかし、前向き研究は、試験をしたイヌ10頭のうち2頭のみが、臨床徴候の改善を示した(Reusch et al. 1999)。 経口活性なステロイド類似体であるトリロスタンが、動物(Potts et al., 1975)およびヒト(Komanicky et al, 1978)において3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素系の競合阻害剤であることが示されている。本剤は、クッシング症候群(Dewis et al., 1983)、原発性アルドステロン症(Hollifield et al, 1975)のような状態において副腎皮質ステロイド産生を変化させるため使用されており、またヒトにおける乳がん(Williams et al., 1993 Br. J Cancer: 68; 1210-5)の処置において有用であることも示されている。イヌHACの処置用トリロスタンの報告は存在しない。本発明では、HACのイヌにおけるトリロスタンの効力を、制御された条件下で研究した。患者は、臨床徴候、臨床検査結果、およびACTH刺激試験を用いてモニターした。 動物を、前向き試験に参加させ、すべての動物には、副腎皮質機能亢進症の臨床および臨床検査の徴候、および本疾患の最終診断を課した。各症例から収集したデータは、臨床歴、および身体検査、完全血球算定(CBC)、血清生化学プロフィール、尿検査および腹腔超音波を含む。すべてのイヌに、ACTH刺激試験を実施した。不確定な場合には、副腎皮質機能亢進症の臨床的および生化学的示唆とは無関係に、低用量デキサメタゾン抑制試験(LDDST)および/または尿コルチゾール/クレアチニン比を実施し、副腎の超音波検査が不確定な場合には、高用量デキサメタゾン抑制試験(LDDST)または内因性ACTH濃度などの鑑別試験を実施した。HACのため他の投薬による処置を受けていたイヌは、少なくとも10日間これらの休薬を要した。腎および肝の機能不全のあるイヌ、およびステロイドの投与を受けたイヌは、試験には加えなかった。 イヌは、2〜3.5年にわたる期間、連続して試験に参加しており、飼い主は、処置の実験的性質について説明を受け、同意書に署名した。ACTH刺激試験は、15kg未満のイヌには0.125mg、15kgを超えるイヌには0.25mgの用量でACTH(Synacthen, Alliance)の静脈内注射の前および1時間後に血清検体を採取することにより実施した。コルチゾール濃度は、イヌでの有効性が以前に確認されている放射免疫アッセイによって測定した。内因性ACTH用の血液を、氷中冷却EDTAチューブに採取して、直ちに遠心し、−20℃で凍結させた。腹腔超音波は、経験を積んだ、有資格の放射線科医が実施し、副腎の厚さを、長軸に対して直角な単一測定値として評価し、最大背腹寸法(greatest dorsoventral dimension)とした。 以下の結果を、HACを示すものとみなした。ACTH刺激後の血清中コルチゾール濃度>600nmol/L;LDDST後3時間の血清中コルチゾール濃度>ベースライン値の50%およびLDDST後8時間の濃度>40nmol/L;尿中コルチゾール;クレアチン比>10×106;ならびに副腎の両側性肥大>超音波検査法により測定されたように直径7mm。以下の結果は、副腎依存性HACを示すものであった。内因性ACTH<5.0 pg/ml;LDDST後3および8時間の血清中コルチゾール濃度>ベースラインの50%および対側萎縮副腎を伴う副腎の一つにおける顕著な片側性肥大および変形。 切除不能または飼い主が手術実施を望まない、それぞれ下垂体依存性副腎皮質機能亢進症または副腎腫瘍を有するイヌを、トリロスタンで処置した。5kgを超えるイヌの初期用量は、30mgを1日1回であり、5〜15kgのイヌは、1日1回60mgを投与され、15kgを超えるイヌは、1日1回120mgを受けた。投薬量は、臨床徴候、血液生化学パラメータおよびACTH刺激試験に基づいて調整した。 10日後、4週間後、3ヵ月後、6ヵ月後、およびその後6ヶ月ごと、または投薬量調整の4週以内に、フォローアップ再試験を行った。これらの時点で、飼い主に、イヌの一般的な健康状態、臨床徴候の解消、および潜在的副作用を認めたかについて注意深く質問し、身体検査を行った。全項目にわたる生化学プロフィールおよびACTH刺激試験を実施した。尿検査、尿培養、胸部X線検査などのさらなる検査を、必要と思われるときには行った。副腎皮質機能亢進症の臨床徴候(多尿/多渇、多食、運動不耐性など)が依然存在した場合、およびACTH後のコルチゾール濃度が220nmol/L以上にとどまった場合、トリロスタンを、同じ投薬量で、1日2回与えた。イヌが副作用を示し、またはACTH投与前後のコルチゾールが40nmol/L未満であった場合は、2日間トリロスタンを中止し、その後投薬量を、次に低い用量範囲に下げた。 30種の異なる血統で構成される、合計66頭のイヌは、HCAと診断され、トリロスタン投与が開始された。最も多くの代表的血統は、体重3〜65kgの、雑種(n=13)、ヨークシャーテリア(n=9)、ならびにボクサーおよびダックスフント(それぞれn=4)であった(平均SD:18.9・13.3kg)。年齢は、3.5〜15歳の範囲であり、平均は9.6(2.5)歳であった。8頭が雌、25頭が卵巣を切除された雌、21頭が雄、および12頭が去勢された雄であった。試験開始時にすべてのイヌに共通した知見は、多尿/多渇(n=56)、脱毛、皮膚薄化、色素過剰症、または皮膚石灰症を含む皮膚病学的問題(n=34)、布袋腹様概観(n=28)および多食(n=26)であり、より低頻度の訴痛は、運動不耐性(n=12)、浅速呼吸(n=10)および尿失禁(n=8)であった。2頭のイヌには、初期に環椎十字靱帯断裂があり、1頭には、未治癒角膜潰瘍が見られた。試験登録前に3〜4日間4頭のイヌに与えられたリソドレン(Lysodren)は、臨床効果を示さなかった。 試験開始時、ACTH刺激試験は、45頭のイヌにおける過剰応答を示した(ACTH後の血清コルチゾール:範囲171〜1704;平均831.8;SD357.4nmol/L)。31頭のイヌに、試験開始時にLDDSTを実施したが、13頭のイヌにおいて抑制は見られず、2頭のイヌにおいて、少しずつ進行する抑制がみられ、10頭のイヌにおいて、3時間後抑制がみられたが、これは一過性のものに過ぎず、4頭では、3および8時間後に正常な完全抑制が見られた。試験参加前15頭に実施されたHDDSTは、6頭において抑制が急速に始まり持続するのが見られ、4頭のイヌにおいて軽度抑制がみられ、5頭のイヌではまったく抑制が見られなかった。内因性ACTHを27頭のイヌにおいて測定したところ、<5〜352pg/mlの範囲(平均82.0;メディアン37;SD95.9)であった。58頭のイヌにおいて実施した腹腔超音波検査は、6頭において片側性凝塊、23頭において正常副腎、および16頭において軽度の片側性または両側性副腎肥大を示した。総合内分泌試験に基づくと、57頭のイヌがPDHを有し、9頭のイヌが片側性副腎腫瘍を有した。 トリスタンは、一般にイヌでは十分な耐容性を示す。開始用量は、1.8〜20mg/kg(平均6.0;SD3.4mg/kg)。37頭のイヌは、処置期間中、用量調整を要し、26頭のイヌにおいて、開始用量の125〜900%まで用量を引き上げたが、11頭のイヌでは、開始用量の25〜83%にまで減量され、平均最終用量は8.2mg/kg(SD;5.9mg/kg)であった。典型的な臨床徴候およびHAC内分泌試験結果を示した2頭の雑種のイヌは、トリロスタン6.5〜7.5mg/kgから開始した。両方のイヌはともに、初期にはよくコントロールされていたが、ACTH刺激試験に無応答を示した2ヵ月後および3ヶ月後に、中止とされた。そのうちの1頭は、高カリウム血症および低ナトリウム血症(比:22.3)でもあった。両方のイヌにおいて、その後はトリロスタンは与えられず、これらのイヌでは、2.7年および1.4年後でも、臨床徴候が見られない。副腎腫瘍を有する9頭のイヌでは、PDHを有するイヌと同じ投与プロトコルで開始したが、2頭が半量にまで減量され、3頭は、もとの用量を維持し、4頭においては、もとの用量の300%まで増量した。 トリロスタン開始前は、アルカリホスファターゼ値、アラニンアミノトランスフェラーゼ値およびコレステロール値が、それぞれ41頭、13頭および18頭において正常を超えていた。2頭のイヌは、軽度の高窒素血症を有し、4頭のイヌでは血清ビリルビンが軽度に上昇していた。下記に述べる合併症をのぞいて、以下の生化学的異常(すべて臨床的意義はなかった)が治療経過中に認められた;高カリウム血症のエピソード1回、高窒素血症のエピソード2回、高ビリルビン血症のエピソード3回、および高カルシウム血症のエピソード2回。 多尿/多渇および多食の臨床徴候は、29頭においては処置の最初の10日以内に、14頭のイヌにおいては最初の1ヶ月以内に解消された。6頭のイヌでは、臨床徴候は、改善されたが、これらのイヌは常にHACの何らかの臨床徴候を示した。皮膚異常のあるすべてのイヌにおいて、トリロスタン開始後2〜3ヵ月後に正常な体毛の増殖の著しい改善が見られた。最初の再試験において、ACTH後の血清中コルチゾール値が、すべてのイヌにおいて最初の値の61%未満にまで低下し、トリロスタン投与を受けている全期間を通して、コルチゾール濃度は、低下したままであった(表3)。PDHのイヌ54頭のうち、32頭が、トリロスタン処置開始後、平均417.3日(SD285.2日、範囲105〜1120日)後にも生存していた。PDHのイヌ22頭は、平均230.9日(SD195.1;範囲27〜730日)後に、安楽死させられたか(n=16)、または自宅で死亡(n=6)した。副腎腫瘍を有するイヌ3頭は、トリロスタン開始後200〜450日の範囲で生存し、死亡したか、または安楽死させたイヌ6頭のメディアン生存日数は、260日(SD:174.9日)であった。 3頭のイヌは、呼吸困難のエピソードの後、または何ら前駆徴候のないまま、急に自宅で死亡した。すべての以前の再試験において、これらのイヌでは、その突然死を説明し得る臨床異常または臨床検査値の異常は明らかになっていない。1頭のイヌは、心房性細動のため、安楽死させた。その時には、電解質値は評価しなかった。最後に、2頭のイヌが臨床的悪化の前に、高カリウム血症および低ナトリウム血症を示した。しかし、いずれのイヌにおいても、トリロスタンを中止としたが、いずれのイヌも、重度不整脈または急性腎不全および尿管感染のため、安楽死させた。実施例3−脱毛症Xの処置におけるトリロスタン 脱毛症Xの処置におけるトリロスタンの効果を検討するために、そのような状態のイヌ合計11頭を、罹患していないイヌ10頭とともに試験した。ホルモン異常は、コルチゾールおよび17OHP濃度の上昇により確認された。トリロスタンを、1日1回投与で罹患動物に与えた。ポメラニアン6頭のうち5頭(83%)およびミニチュアプードル4頭すべてが、トリロスタンに応答し、罹患領域において体毛の再増殖を示した。実施例4−ACTH刺激試験 クッシング病のイヌに、トリロスタン5〜20mg/kgを1日1回投与する処置の経過中、12、35および81日(平均)にACTH刺激試験を行った。結果を表3に示す。コルチゾール再放出は、無処置対照に比べ、処置群で、著しく低下した。したがって、トリロスタンは、副腎皮質のACTH刺激を弱めている。実施例5−血清中コルチゾール濃度 クッシング病のイヌにおいて、血清中コルチゾール濃度は、トリロスタンの毎日の投与4時間後に有意に低下し、数頭では、8時間でもかなりの低下がみられたが、その後正常レベルに回復した。こうした濃度低下に伴い、クッシング病の症状の緩和が見られた。結果を表4に示す。 図1に、1〜3時間後にピークとなり、その後急速に排泄される、1日単回投与した後の血清中トリロスタン濃度を示す。 図2に、1〜3時間後にピークとなり、その後急速に排泄される、1日単回投与した後の血清中ケトトリロスタン濃度を示す。これが意味するところは、代謝物であるケトトリロスタンが、長時間体内に留まらないことである。 実施例6−ウマにおけるTRHまたはデキサメタゾン刺激後のコルチゾール濃度 クッシング病のウマについて、表5は、トリロスタンの1日短回投与を伴うTRH刺激後またはデキサメタゾン刺激後のコルチゾール濃度を示す。結果は、トリロスタン投与中のTRHへの応答の低下を示す。これは、イヌにおけるACTH刺激後に似ている。副腎は、トリロスタン処置前と同様に、下垂体ホルモンによる刺激に応答していない。実施例6−ウマにおけるTRHまたはデキサメタゾン刺激後のコルチゾール濃度 さらに、クッシング病のウマにおいて、表6は、トリロスタンの1日1回処置前および後の血清中コルチゾール濃度を示す。結果は、コルチゾール濃度のわずかな降下を示すが、臨床応答が観察された。表表1:ウマクッシング病のウマにおける間歇的経口投与トリロスタン処置の前後の血清中コルチゾール濃度の平均値。各値は、24時間にわたり4時間間隔で採取した6検体の平均である。処置後の検体は、トリロスタン治療の30日後に採取した。ウマ24時間にわたる平均コルチゾール濃度6頭のイヌの血漿中のトリロスタン濃度:0日、第一相(1日当たり60 mgカプセルを1個)、試験番号GB009/01-001。6頭のイヌの血漿中のケトトリロスタン濃度:0日、第一相(1日当たり60 mgカプセルを1個)、試験番号GB009/01-001。 異常に高い副腎ホルモンの血清中濃度を有するイヌまたはウマの状態(該状態は、ウマにおける蹄葉炎、クッシング症候群及びクッシング病から選択される)の間歇的処置のための医薬組成物であって、下記式(I):[式中、 R1、R2、R5およびR6は、同一または異なり、それぞれが水素またはC1−4アルキルであり; R3は、水素、C1−4アルキル、C1−4アルケニルまたはC1−4アルキニルであり; R4は、ヒドロキシ、C1−4アルカノイルオキシ、または式(II)もしくは(III):(式中、 R7は、(CH2)n(式中、nは、0〜4の整数である)であり、R8は、水素、C1−4アルキル、ヒドロキシまたはNH2であり、R9およびR10は、同一または異なり、それぞれが、水素またはC1−4アルキルである)で示される基であるか; あるいはR3およびR4は、一緒になって、オキソ、エチレンジオキシまたはプロピレンジオキシである]で示される化合物またはその3−エノールC1−4アルカノエートエステルを含む、医薬組成物(該間歇的処置は、式(I)で示される前記化合物またはその3−エノールC1−4アルカノエートエステルを20mg/kgまでの用量で1日1回投与することを含む)。 間歇的処置が、式(I)で示される前記化合物またはその3−エノールC1−4アルカノエートエステルを10mg/kgまでの用量で1日1回投与することを含む、請求項1記載の医薬組成物。 式(I)において、R1が水素もしくはメチルであり、および/またはR2が水素もしくはメチルであり、および/またはR4がヒドロキシであるか、またはR3およびR4が、一緒になってオキソであり、および/またはR5およびR6がメチルである、請求項1または2記載の医薬組成物。 R1、R2およびR3が水素であり、R4がヒドロキシであり、R5およびR6がメチルであるか、またはR1、R3、R5およびR6がメチルであり、R2が水素であり、R4がヒドロキシであるか、またはR1およびR2が水素であり、R3およびR4が一緒になってオキソであり、R5およびR6がメチルである、請求項3記載の医薬組成物。 式(I)で示される前記化合物がトリロスタンである、請求項1記載の医薬組成物。 式(I)で示される前記化合物がケトトリロスタンまたはエポスタンである、請求項1記載の医薬組成物。 請求項1〜6いずれか一項定義の化合物を微粒子組成物の形態で含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の医薬組成物。 粒子が、0〜12μmの平均粒子径を有し、95%以上の粒子が、0〜50μmの粒子径を有する、請求項7記載の医薬組成物。 粒子が、5〜12μm、または5μm未満の平均粒子径を有する、請求項8記載の医薬組成物。 前記微粒子組成物において、オーバーサイズ累積パーセント対サイズ特性曲線が、1.5〜2.5μmの標準偏差を示す、請求項7記載の医薬組成物。 前記微粒子組成物が、2m2g-1以上または5m2g-1以上の比表面積を有する、請求項7〜10のいずれか一項記載の医薬組成物。 クッシング症候群の処置用である、請求項1〜11のいずれか一項記載の医薬組成物。 クッシング病の処置用である、請求項12記載の医薬組成物。 イヌの処置用である、請求項1〜13のいずれか一項記載の医薬組成物。 イヌにおけるクッシング症候群の処置用である、請求項14記載の医薬組成物。 イヌにおけるクッシング病の処置用である、請求項14記載の医薬組成物。 間歇的処置が、5kg未満のイヌに30mg、5〜15kgのイヌに60mg、または15kgを超えるイヌに120mgの用量で、1日1回投与することを含む、請求項14〜16のいずれか一項記載の医薬組成物。 ウマの処置用であり、間歇的処置が0.4〜1mg/kgの用量で1日1回投与することを含む、請求項1〜13のいずれか一項記載の医薬組成物。