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タイトル:特許公報(B2)_シクロヘキサノンオキシムの製造方法
出願番号:2002561011
年次:2008
IPC分類:C07C 249/04,C07C 251/44,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

鈴木 賢 永原 肇 JP 4090885 特許公報(B2) 20080307 2002561011 20020131 シクロヘキサノンオキシムの製造方法 旭化成ケミカルズ株式会社 303046314 鈴木 賢 永原 肇 JP 2001024093 20010131 JP 2001024094 20010131 20080528 C07C 249/04 20060101AFI20080501BHJP C07C 251/44 20060101ALI20080501BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080501BHJP JPC07C249/04C07C251/44C07B61/00 300 C07C 249/04 C07C 251/44 C07C 209/16 C07C 209/60 C07C 211/35 特開平02−295956(JP,A) 特開平06−001758(JP,A) 特公昭51−041627(JP,B1) 特開昭58−194828(JP,A) 特開昭57−004948(JP,A) 特開昭62−045544(JP,A) 8 JP2002000763 20020131 WO2002060860 20020808 22 20050114 藤森 知郎 本発明は、シクロヘキサノンオキシムの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、(1)シクロヘキセン又はシクロヘキサノールをアミノ化してシクロヘキシルアミンを得、(2)得られたシクロヘキシルアミンを部分酸化してシクロヘキサノンオキシムを得る方法に関する。本発明の方法によれば、ナイロン−6等の原料であるε−カプロラクタムの中間体として有用な化合物であるシクロヘキサノンオキシムを、その製造のための従来の方法で用いられている煩雑な工程により製造されるヒドロキシルアミン塩のような反応試薬を用いることなく、少ない水素消費量で、簡便な装置を用いて、簡便な操作で且つ高選択率で製造することができる。更に、本発明の方法によれば、シクロヘキサノンオキシムから得られる所望の中間体であるε−カプロラクタムの品質に悪影響を与える分離が困難な副生物及び/又は工業的価値の低い硫酸アンモニウムのような副生物が生成するという従来技術にともなう問題がなく、且つ生成される副生物も大部分がシクロヘキサン及びシクロヘキサノン等の有用な化合物であり、廃棄物が極めて少ないので工業的に有利である。 シクロヘキサノンオキシムの製造方法として工業的に最も広く行われている方法は、ベンゼンを出発原料として多段階からなる反応工程を経てシクロヘキサノンを製造し、別途アンモニアからヒドロキシルアミン塩を製造し、得られたシクロヘキサノンとヒドロキシルアミン塩とを反応させてシクロヘキサノンオキシムを得る方法である。即ち、上記の方法は主に次の3つの反応工程を含む。 (I)ベンゼンからシクロヘキサノンを得る工程。 (II)工程(I)とは別に、アンモニアからヒドロキシルアミン塩を得る工程。 (III)ヒドロキシルアミン塩とシクロヘキサノンからシクロヘキサノンオキシムを得る工程。 上記工程(I)のシクロヘキサノンの製造方法(「化学工学」、Vol.55,No.5,382,1991、化学工学会、日本国、及び「触媒」、Vol.33,No.5,341,1991、触媒学会、日本国参照)は、シクロヘキサンの空気酸化による方法が主流で、フェノールの水素化による方法も一部で行われている。シクロヘキサンの空気酸化による製造方法は、ベンゼンを完全水素化してシクロヘキサンとし、これを空気酸化してシクロヘキサノールとシクロヘキサノンの混合物を得、これを蒸留によりシクロヘキサノールとシクロヘキサノンとに分離し、分離したシクロヘキサノールをさらに脱水素してシクロヘキサノンとする方法である。 しかしながら、この方法では工程数が多く、シクロヘキサンの空気酸化工程においては、選択率を向上させるために転化率を3〜10%程度に低く抑える必要があるため生産性が低く、未反応シクロヘキサンのリサイクルのために多量のエネルギーを必要とするうえ、選択率も73〜83%程度とあまり高くない。副生物としては、カルボン酸類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類等が生成し、これらの副生物は、通常、生成物から分離され廃棄される。上記の副生物のうち、水溶性のカルボン酸類、低級アルコール類等は水抽出で除去でき、非水溶性のカルボン酸類、エステル類についてもアルカリ水溶液中でケン化除去できる。そして、残りの副生物も大部分は蒸留工程で除去することができる。しかしながら、シクロヘキサノン、シクロヘキサノールと沸点が非常に近い成分、例えば、ブチルシクロヘキシルエーテル、n−ペンチルシクロヘキサン、酢酸シクロヘキシル、ヘキサヒドロベンズアルデヒド等を除去することは困難であり、これら副生化合物が、所望の中間体であるε−カプロラクタムの品質悪化の要因となっている。これら副生化合物を種々の方法で分離除去する方法(日本国特公昭60−39656号公報(米国特許第4,661,430号に対応)、日本国特開平5−271143号公報、日本国特開平5−301858号公報等)が知られているが、分離工程数が多いうえ、操作が煩雑であり、有利な方法とは言いがたい。 また、シクロヘキサンの空気酸化法として、ホウ酸の存在下で転化率を12〜15%、選択率を90%程度に向上させる方法も行われているが、シクロヘキサンやホウ酸スラリーの取り扱いが難しく、またそのリサイクルが必要であり、さらに操作が煩雑である。 また、上記したシクロヘキサノールの脱水素工程においては、反応の平衡規制のためにシクロヘキサノールの転化率が70〜90%程度以下と限界があり、かつ原料のシクロヘキサノールと生成物のシクロヘキサノンの沸点が近いために、分離のためのエネルギーを多量に必要とする。 フェノールの水素化による製造法は、最も古くから行われている方法であり、ベンゼンから誘導されるフェノールをニッケルもしくはパラジウム触媒等を用いて核水素化し、シクロヘキサノールまたはシクロヘキサノンを得るものである。しかし、例えば、ベンゼンからのフェノールの製造をその代表的な方法であるキュメン法により行った場合、反応工程数が多いうえ、さらに、通常、アセトンとの併産プロセスになるのでアセトンの需要、価格等によりフェノールの生産が規制される等の問題点を有する。 上記工程(II)のヒドロキシルアミン塩の代表的な製造方法としては、ラシッヒ法等が挙げられる。古典的な方法である上記ラシッヒ法(向山光昭監訳「工業有機化学」第4版、東京化学同人、287ページ、1996、日本国、参照)は、主に4段階の工程からなり、アンモニア、二酸化炭素、水より得られる炭酸アンモニウムとアンモニアの空気酸化により得られるNOとNO2の混合物とから合成された亜硝酸アンモニウムをSO2により還元してジスルホネートとし、次いでこれを加水分解してヒドロキシルアミンの硫酸塩とする方法であるが、製造工程が複雑であるうえに、工業的価値の低い硫酸アンモニウムが、ヒドロキシルアミン硫酸塩1モルにつき1モル生成し、オキシム化とあわせてシクロヘキサノンオキシム1モルあたり計2モルの硫酸アンモニウムが副生するという問題がある。 さらに、硫酸ヒドロキシルアミンオキシム法(HSO法)、及びリン酸ヒドロキシルアミンオキシム法(HPO法)においては、ヒドロキシルアミン塩を製造し、これを用いてシクロヘキサノンオキシムを製造しているが、工程(III)に関連して後述するようにこれらの方法も様々な問題を有している。 上記工程(III)としては、ヒドロキシルアミンの硫酸塩を用いてシクロヘキサノンをオキシム化する方法(向山光昭監訳「工業有機化学」第4版、東京化学同人、285ページ、1996、日本国、参照)が主流である。このオキシム化反応は平衡反応であるため、反応を進行させるためには一定量のアンモニアを添加してpHを7付近に保つ必要があるが、このステップで工業的に価値の低い硫酸アンモニウムが生成シクロヘキサノンオキシム1モルに対し1モル副生してしまう。 また、上記工程(II)及び(III)に関して、上記HSO法(米国特許第3,941,838号、同第4,031,139号等)は、アンモニアを白金系触媒の存在下で酸化して得られたNOを白金系触媒の存在下、硫酸水素アンモニウム/硫酸アンモニウム緩衝液中で水素還元してヒドロキシルアミン硫酸アンモニウムを生成させ、シクロヘキサノンと反応させている。上記HPO法(米国特許第3,948,988号、米国特許第3,940,442号等)も同様に、アンモニアの酸化により得られた硝酸イオンをパラジウム触媒の存在下、リン酸/リン酸モノアンモニウムの緩衝液中で水素還元してヒドロキシルアミンリン酸塩を生成させ、シクロヘキサノンと反応させている。 いずれの方法も、緩衝液がオキシム製造工程とヒドロキシルアミン製造工程との間を循環することでpH値が一定に保たれるため、硫酸アンモニウムが副生しないという利点があるが、反応工程数が多く、高純度の原料を必要とするうえ、触媒回収工程や緩衝液のリサイクル工程が複雑であるという問題を有する。また、ヒドロキシルアミンの選択率は、全ステップを通してアンモニアに対して60%程度と低い。 更に、上記の工程(I)〜(III)からなる方法は、ベンゼンの完全水素化、及びヒドロキシルアミン塩の製造などにおいて大量の水素が必要であるという問題があった。 また、上記した方法の改良法も提案されている。例えば、シクロヘキサノンの製造方法に関しては、ベンゼンの部分水素化反応によりシクロヘキセンを得、ついで、水和反応により得られるシクロヘキサノールを脱水素反応によりシクロヘキサノンとする方法(日本国特開昭56−43227号公報(EP23379に対応))などが知られている。この方法は、前述したシクロヘキサン空気酸化法に比べ、水素消費量が少ないこと、部分水素化反応で副生するシクロヘキサンを含めれば、実質的に100%に近い炭素ベースの収率が得られる等の利点があるが、シクロヘキサノール脱水素工程の反応設備、及びエネルギーコストが空気酸化法に対して大きくなる等の問題を有する。 また、シクロヘキサノンを過酸化水素の存在下でアンモニアと反応させてシクロヘキサノンオキシムを得る方法(米国特許第4,745,221号)なども知られている。この方法は、ヒドロキシルアミン塩のような複雑な方法によって得られる反応試剤を用いる必要がなく、硫酸アンモニウムの副生がない方法であるが、高価な過酸化水素を必要とする問題点がある。 一方、シクロヘキサノンを経由しない製造法として、ベンゼンを完全水素化して得たシクロヘキサンに、アンモニアを空気酸化して得たNOとNO2の混合物を硫酸、次いで塩酸と反応させることによって製造される塩化ニトロシルを反応させてシクロヘキサノンオキシムの塩酸塩を製造する方法(有機合成化学協会誌、21,160−3,1963、有機合成化学協会、日本国)が工業化されている。この方法は、シクロヘキサノンを中間原料とする方法より反応工程数は少ないが、オキシム化に光が必要であり、そのための電力が多量に必要であるうえ、水銀ランプ等の維持管理が煩雑である。 さらに、ベンゼンを完全水素化して得たシクロヘキサンに、アンモニアの酸化により得られた硝酸を反応させることにより、ニトロシクロヘキサンを得、これを部分水素化してシクロヘキサノンオキシムを製造する方法(米国特許3,255,261号、同第2,967,200号等)も知られている。この方法は、硝酸を用いる酸化反応を150〜200℃程度、3〜4MPa程度の高温、高圧で行ううえ、設備の材質消耗が大きい等の問題を有する。また、ニトロシクロヘキサンの選択率がシクロヘキサン基準、硝酸基準とも80%程度とあまり高くなく、また、シクロヘキサンの転化率が15〜25%と低いため、生産性が低く、未反応シクロヘキサンのリサイクル使用に多量のエネルギーを必要とする。また、ニトロシクロヘキサンの部分水素化によるシクロヘキサノンオキシムの製造工程も選択率が80%程度とあまり高くない。 以上の如く、シクロヘキサノンオキシムを製造する従来の方法は、プロセスが煩雑であり、工業的に実施するうえで、より簡便でより効果的な方法が求められてきた。 発明の概要 このような状況下、本発明者等は、かかる従来技術の問題を解決すべく鋭意検討した。その結果、(1)シクロヘキセン又はシクロヘキサノールをアミノ化してシクロヘキシルアミンを得、(2)得られたシクロヘキシルアミンを部分酸化する方法により、ナイロン−6等の原料であるε−カプロラクタムの中間体として有用な化合物であるシクロヘキサノンオキシムを製造すると、その製造のための従来の方法で用いられている煩雑な工程により製造されるヒドロキシルアミン塩のような反応試薬を用いることなく、少ない水素消費量で、簡便な装置を用いて、簡便な操作で且つ高選択率でシクロヘキサノンオキシムを製造することができるだけでなく、シクロヘキサノンオキシムから得られる所望の中間体であるε−カプロラクタムの品質に悪影響を与える分離が困難な副生物及び/又は工業的価値の低い硫酸アンモニウムのような副生物が生成するという従来技術にともなう問題がなく、且つ生成される副生物も大部分がシクロヘキサン及びシクロヘキサノン等の有用な化合物であり、廃棄物が極めて少ないので工業的に有利であることを見出した。この知見に基づき、本発明を完成するに至った。 従って、本発明の1つの目的は、ナイロン−6等の原料であるε−カプロラクタムの中間体として有用な化合物であるシクロヘキサノンオキシムを、その製造のための従来の方法で用いられている煩雑な工程により製造されるヒドロキシルアミン塩のような反応試薬を用いることなく、少ない水素消費量で、簡便な装置を用いて、簡便な操作で且つ高選択率で製造することができるだけでなく、シクロヘキサノンオキシムから得られる所望の中間体であるε−カプロラクタムの品質に悪影響を与える分離が困難な副生物及び/又は工業的価値の低い硫酸アンモニウムのような副生物が生成するという従来技術にともなう問題がなく、且つ生成される副生物もシクロヘキサン及びシクロヘキサノン等の有用な化合物であるため廃棄物が極めて少ない方法を提供することにある。 本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴並びに諸利益は、以下の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。 本発明によれば、下記の工程(1)〜(3)を包含することを特徴とするシクロヘキサノンオキシムの製造方法が提供される。(1)ベンゼンを部分水素化することによってシクロヘキセンを得る工程、またはベンゼンを部分水素化して得られたシクロヘキセンを水和してシクロヘキサノールを得る工程。(2)得られたシクロヘキセン又はシクロヘキサノールをアミノ化してシクロヘキシルアミンを得る工程。(3)得られたシクロヘキシルアミンを分子状酸素により部分酸化してシクロヘキサノンオキシムを得る工程。本発明の理解を容易にするために、以下、本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。1.下記の工程(1)〜(3)を包含することを特徴とするシクロヘキサノンオキシムの製造方法。(1)ベンゼンを部分水素化することによってシクロヘキセンを得る工程、またはベンゼンを部分水素化して得られたシクロヘキセンを水和してシクロヘキサノールを得る工程。(2)得られたシクロヘキセン又はシクロヘキサノールをアミノ化してシクロヘキシルアミンを得る工程。(3)得られたシクロヘキシルアミンを分子状酸素により部分酸化してシクロヘキサノンオキシムを得る工程。2.該ベンゼンの部分水素化を、周期律表第8,9及び10族に属する金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化触媒、及び水の存在下で行うことを特徴とする前項1に記載の方法。3.該ベンゼンの部分水素化を、(i)平均結晶子径が200Å以下である金属ルテニウム、及び場合によっては亜鉛化合物を含有する水素化触媒、(ii)水、及び(iii)ジルコニウムもしくはハフニウムの酸化物、水溶性亜鉛化合物、及び固体塩基性硫酸亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下で、中性又は酸性条件下に液相において行い、該水素化触媒が非担持型であることを特徴とする前項2に記載の方法。4.該シクロヘキセンの水和を、水和触媒としてのゼオライトの存在下で行うことを特徴とする前項1に記載の方法。5.該ゼオライトがZSM−5型ゼオライトからなる群より選ばれることを特徴とする前項4に記載の方法。6.工程(2)における該シクロヘキセンのアミノ化を、固体酸、周期律表1〜10族に属する金属、及び該金属の化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含むアミノ化触媒(a)の存在下で行うことを特徴とする前項1に記載の方法。7.該アミノ化触媒(a)がゼオライトであることを特徴とする前項6に記載の方法。8.工程(2)における該シクロヘキサノールのアミノ化を、周期律表第8、9および10族に属する元素、クロム、銅、銀、亜鉛及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むアミノ化触媒(b)の存在下で行うことを特徴とする前項1に記載の方法。 本発明の方法によれば、ナイロン−6等の原料であるε−カプロラクタムの中間体として有用な化合物であるシクロヘキサノンオキシムを、その製造のための従来の方法で用いられている煩雑な工程により製造されるヒドロキシルアミン塩のような反応試薬を用いることなく、少ない水素消費量で、簡便な装置を用いて、簡便な操作で且つ高選択率で製造することができる。更に、本発明の方法によれば、シクロヘキサノンオキシムから得られる所望の中間体であるε−カプロラクタムの品質に悪影響を与える分離が困難な副生物及び/又は工業的価値の低い硫酸アンモニウムのような副生物が生成するという従来技術にともなう問題がなく、且つ生成される副生物も大部分がシクロヘキサン及びシクロヘキサノン等の有用な化合物であり、廃棄物が極めて少ない。従って、本発明の方法は、シクロヘキサノンオキシムを工業的規模で製造する上で極めて有利である。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明のシクロヘキサノンオキシムの製造方法は、下記の工程(1)〜(3)を包含する。(1)ベンゼンを部分水素化することによってシクロヘキセンを得る工程、またはベンゼンを部分水素化して得られたシクロヘキセンを水和してシクロヘキサノールを得る工程。(2)得られたシクロヘキセン又はシクロヘキサノールをアミノ化してシクロヘキシルアミンを得る工程。(3)得られたシクロヘキシルアミンを分子状酸素により部分酸化してシクロヘキサノンオキシムを得る工程。 本発明の工程(2)におけるシクロヘキセンをアミノ化してシクロヘキシルアミンを得る方法としては、シクロヘキセンとアンモニアをアミノ化触媒(a)の存在下に反応させる方法を用いることができる。シクロヘキセンのようなオレフィンから第一級アミンを製造する方法は公知であり、オレフィンを直接アミノ化する方法の概要は、J.J.Brunetらにより、J.Mol.Catal.,49,ElsevierScience Press,米国(1989)235〜259に示されており、オレフィンへのアンモニアの直接付加には基本的に2つの反応機構があることが述べられている。すなわち、オレフィンを金属錯体上に配位させることによってオレフィン結合を活性化し、アミンの活性化による求核攻撃を受けることができる新たな成分(オレフィン及び触媒により生成する活性種)を形成する方法、及びアミンをより求電子性(アミノ基を介して)またはより求核性(金属アミドを介して)とすることによってそれを活性化する方法のいずれかによってオレフィンへのアンモニアの付加反応を行うことができる。 オレフィンとアンモニアから第1級アミンを製造する方法としては、例えば、Al2O3などによって担持されたPd、Pt、Rh、Ru、Fe、又はIrの有機及び無機の誘導体を使用して、C2−C6アルケンのアミノ化を行う方法(米国特許第3,412,158号)、ルテニウム触媒又は鉄触媒によりエチレンをアミノ化する方法(米国特許第4,454,321号、EP0039061)、モノオレフィンとアンモニアの直接反応に、CsNH2、RbNH2、KNH2、もしくはNaNH2のようなアルカリ金属アミドを用いる方法(米国特許第4,302,603号)、オレフィンとアンモニアを反応させる方法において、不均一触媒として、SiO2、Al2O3、B2O3、Ga2O3、In2O3、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Fe2O3、GeO2、SnO2、CeO2及びThO2からなる群より選択される少なくとも1種の高い表面積を有する中間多孔質の酸化物(即ち、細孔径2〜60nm程度の多孔体)からなる不均一触媒を使用する方法(日本国特開平10−72409号公報(EP802176に対応))、オレフィンの接触アミノ化において、触媒として結晶性のアルミノケイ酸塩を使用する方法(日本国特開昭57−4948号公報(EP39918に対応))、脱アルミニウム化した結晶性アルミノケイ酸塩を用いる方法(日本国特開昭64−75453号公報(EP 305564に対応))、ホージャサイト構造を有するアルミノリン酸塩を主成分とする結晶性酸化物を用いる方法(日本国特開平9−194438号公報(EP785185に対応))、MCM−49またはMCM−56タイプのゼオライトを用いる方法(日本国特開平10−291968号公報(EP846675に対応))等が知られており、本発明においてもこれらの公知技術を用いることができる。 本発明におけるアミノ化触媒(a)としては、種々の金属、金属酸化物、金属塩、或いは有機金属化合物が使用できるが、例えば、固体酸、周期律表第1〜10族に属する金属及び該金属の化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含むアミノ化触媒を用いることが好ましい。本発明で用いる周期律表第1〜10族に属する金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Y、La、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd及びPtからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を用いることが好ましい。固体酸としては、表面が酸性質(ルイス酸、ブレンステッド酸)を示す固体物質であり、ゼオライト、12−リンタングステン酸、12−リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸、スルホン酸基等を含有するイオン交換樹脂、酸性白土、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の単元系金属酸化物あるいはこれらの複合系金属酸化物、硫酸ニッケル、硫酸銅などの金属硫酸塩、リン酸アルミニウム、リン酸鉄などの金属リン酸塩、硫化亜鉛、硫化クロムなどの金属硫化物、塩化アルミニウム、塩化第2銅などの金属塩化物が例示される。 本発明において用いるアミノ触媒(a)としては、固体酸触媒であるゼオライトが特に好ましい。ゼオライト触媒としては、触媒として使用可能なゼオライトであれば特に限定されず、例えば、様々な構造のアルミノケイ酸塩、メタロケイ酸塩、シリカライト、アルミノリン酸塩、メタロリン酸塩、及びこれらを酸処理、熱処理又は脱アルミニウム処理することにより得られる変成ゼオライト等を使用することができる。また、これらのゼオライトは、通常、プロトン交換型(H型)が用いられるが、その一部が前述した周期律表の第1〜10族に属する元素から選ばれたカチオン種で置換されていてもよい。 本発明において、シクロヘキセンに対するアンモニアのモル比は、好ましくは1/1〜10/1、より好ましくは1.5/1〜5/1である。また、反応条件は、反応系や使用する触媒等によって適宜選択されるが、反応圧力は通常1〜70MPa、好ましくは5〜30MPaの範囲であり、反応温度は通常50〜400℃、好ましくは200〜350℃の範囲である。反応時間は、目的とするシクロヘキシルアミンの選択率や収率の目標値を定め、適宜選択すればよく、特に制限はないが、通常、数秒ないし数時間である。 本発明においては、上記のようにアンモニア/シクロヘキセンの混合比を化学量論以上とすることが好ましく、モル比が1/1未満であるとシクロヘキシルアミンへの選択性は急激に低下する傾向がある。また、本反応は、平衡反応であるため、シクロヘキシルアミンへの転化率は、反応圧力に大きく依存する。反応圧力は高い方がシクロヘキシルアミンの生成には有利であるが、経済的理由から、圧力は一般的に30MPa以下であるのが好ましい。反応の選択性は、温度ならびにアンモニア/シクロヘキセンの混合比、触媒種などの諸条件により影響される。アミノ化の反応速度は、温度の上昇と共に急激に増加するが、同時にオレフィンの分解および再結合反応が競争的に促進されてしまう。また、上記のようにシクロヘキセンのアミノ化反応は平衡反応なので、アミノ化を進行させるには低温、高圧条件が必要であり、温度上昇は熱力学的観点からも不利である。転化および選択性に関して最適の温度は、触媒種によっても異なるが、一般的に200〜350℃の範囲である。 本発明におけるシクロヘキセンのアミノ化反応は、気相もしくは液相で固定床、又は懸濁床で連続式、又はバッチ式で行うことができる。 触媒の量に関しては、用いる触媒種によっても異なり、所望の触媒効果が得られる量であれば特に限定はないが、通常、シクロヘキセンに対して重量比で0.0001/1〜100/1、好ましくは0.001/1〜50/1の範囲である。 また、気相で反応を行なう場合は、上昇流又は下降流反応器中で、時間基準の液空間速度(liquidhourly space velocity,LHSV)が、好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.05〜5の範囲になるような条件下で反応を行うことが好ましい。 生成したシクロヘキシルアミンは、未反応アンモニアを回収後、反応器中の反応混合物から慣用の手段、例えば、蒸留または抽出によって分離し、必要によりさらなる分離手段により所望の純度にすることができる。通常、未反応シクロヘキセン及びアンモニアは、反応器に再循環するのが好ましい。 本発明の工程(2)において、シクロヘキサノールを用いる場合、シクロヘキサノールはシクロヘキセンを水和して得ることが好ましい。シクロヘキセンの水和は、公知の方法で行うことができる。公知の方法の例としては、鉱酸、特に硫酸を用いてシクロヘキセンの水和反応を行う方法(日本国特公昭48−447号公報)、芳香族スルホン酸を使用する方法(日本国特公昭43−8104号公報、日本国特公昭43−16123号公報(DE1230793に対応))、リンタングステン酸およびリンモリブデン酸等のヘテロポリ酸を使用する方法(日本国特開昭53−9746号公報)、イオン交換樹脂を使用する方法(日本国特公昭38−15619号公報、日本国特公昭44−26656号公報)、脱アルカリしたモルデナイト、クリノブチルライト、もしくはフォージャサイト系ゼオライトを用いるオレフィン類の水和方法(日本国特公昭47−45323号公報)、結晶性アルミノシリケートZSM−5を使用する方法(日本国特開58−194828号公報)等が挙げられる。 シクロヘキセンの水和に用いる触媒としては、上記の公知の方法に用いられる各種の酸触媒が使用できるが、ゼオライト触媒を用いることが好ましい。ゼオライト触媒としては、触媒として使用可能なゼオライトであれば特に限定されず、例えば、様々な構造のアルミノケイ酸塩、メタロケイ酸塩、シリカライト、アルミノリン酸塩、メタロリン酸塩、及びこれらを酸処理、熱処理又は脱アルミニウム処理することにより得られる変性ゼオライト等を使用することができる。また、これらのゼオライトは、通常、プロトン交換型(H型)が用いられるが、その一部がNa,K,Li等のアルカリ金属、Mg,Ca,Sr等のアルカリ土類金属、La,Ce等の希土類金属から選ばれたカチオン種で置換されていてもよい。 特に好ましいゼオライト触媒は結晶性アルミノシリケートであるZSM−5型ゼオライトからなる群より選ばれるゼオライト(以下、屡々、単に「ZSM−5」と称す)である。本発明で用いられる結晶性アルミノシリケートZSM−5とは、米国モービルオイル社が開発したゼオライトである(米国特許第3,702,886号)。このZSM−5は、結晶を構成するSiO2とAl2O3のモル比が、20以上であり、結晶構造中に、酸素10員環の入口を有する三次元の細孔を有する特異なゼオライトである。本発明において、結晶性アルミノシリケートZSM−5中のカチオンは、プロトン、Mg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属のカチオン、La、Ce等の希土類金属のカチオンであることが好ましく、最も好ましいのは、プロトン型である。 上記水和反応は、シクロヘキセンと水だけで行っても良いし、又、他の有機溶媒を共存させても良い。この場合、用いることができる有機溶媒は、ハロゲン化炭化水素、アルコール類、エーテル類、硫黄化合物類及びケトン類等である。ハロゲン化炭化水素の例としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン及びこれらの臭化物、ヨウ化物及びフッ化物が挙げられる。アルコール類の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール等のC1〜C10のアルコールが挙げられる。エーテル類の例としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコールのジメチルエーテル等の単エーテル及び複エーテル等が挙げられる。硫黄化合物類の例としては、スルフォン例えば、ジプロピルスルフォン、スルフォラン、スルホキシド例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。ケトン類の例としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。上記いずれの溶媒とも、単独もしくは2種以上からなる混合物として使用することができる。 上記水和反応において、水の使用量は、シクロヘキセン1モルに対して、1〜100モルの範囲であることが好ましい。触媒の使用量は、シクロヘキセンに対して重量比で0.01〜100の範囲であることが好ましい。有機溶媒を使用する場合は、シクロヘキセンに対して容量比で0.1〜100の範囲であることが好ましい。 上記水和反応において反応温度は、通常50〜300℃であり、好ましくは、100〜200℃の範囲である。反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよいが、加圧下で反応を行うことが好ましい。反応時間は、目的とするシクロヘキサノールの選択率や収率の目標値を定め、適宜選択すればよく、特に制限はないが、通常、数秒ないし数時間である。 反応形式は、バッチ方式、連続方式いずれでも行うことができる。水和反応は、通常、水和触媒と水によって構成される触媒スラリーに、シクロヘキセンを混合して懸濁状態で反応を行わせ、触媒スラリーである水相と、生成したシクロヘキサノール及び未反応シクロヘキセン等を含む油相とを相分離して、油相を分離工程に供する。触媒を含む水相は、触媒スラリーとして、反応器に循環して再使用することができる。分離された油相は、シクロヘキサノール及びシクロヘキセンを含有するので、これらを慣用の手段、例えば、蒸留によってシクロヘキサノールとシクロヘキセンとに分離する。分離されたシクロヘキサノールは、必要によりさらなる分離手段により所望の純度にすることができる。通常、分離された未反応シクロヘキセンは、反応容器に再循環するのが好ましい。 本発明の工程(2)における、シクロヘキサノールのアミノ化は、アミノ化触媒(b)の存在下でシクロヘキサノールをアンモニアと反応させることで行うことができる。具体的な方法としては、公知の方法を用いることができる。公知の方法の例としては、触媒として、ニッケル及び/又はコバルトとリン酸またはホウ酸を用い、気相にてシクロヘキサノールをアンモニアと反応させる方法(日本国特公昭41−7575号公報)、水素の存在下、酸化銅−酸化亜鉛を触媒として気相でシクロヘキサノールをアンモニアと反応させる方法(「工業化学雑誌」、70(9),1508,1967、日本化学会、日本国)、水素の存在下にガス状で、ケイソウ土担体に担持された還元ニッケル成形触媒を用いて常圧で反応を行う方法(日本国特公昭51−41627号公報)、水素の存在下、高温、高圧の条件のもと、液相でコバルトを主成分とする触媒を用いてシクロヘキサノールをアンモニアと反応させる方法(日本国特公昭51−32601号公報(米国特許第3,520,933号に対応))、ルテニウム系触媒の存在下、水を共存させてシクロヘキサノールをアンモニアと反応させる行う方法(日本国特開平6−1758号公報)等が挙げられる。 シクロヘキサノールのアミノ化に用いるアミノ化触媒(b)としては、種々の金属、金属酸化物、金属塩、或いは金属有機化合物が使用できるが、周期律表第8、9及び10族に属する元素(Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等)、Cr、Cu、Ag、Zn及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む触媒を用いることが好ましい。アミノ化触媒(b)は、一種類の金属単独、他の金属を含むもの、或いは金属酸化物等の各種化合物、さらにこれらが適当な触媒担体に担持されたものなどであってもよい。該触媒担体としては、活性炭、SiO2、Al2O3、SiO2/Al2O3、TiO2、ZrO2、ZnO、硫酸バリウム、炭酸カリウム、ケイソウ土、ゼオライト等を用いることができる。 本発明におけるシクロヘキサノールのアミノ化反応は、気相もしくは液相で固定床、又は懸濁床で連続式、又はバッチ式に行うことができる。液相下で行う場合は、溶媒の存在下に反応を行うこともできる。溶媒としては、特に規定はないが、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、ジオキサン、ジグリム等のエーテル類、水等を用いることができる。特に、本反応においては、反応生成物である水を溶媒として共存させることが好ましい。溶媒の存在下にて操作するときには、シクロヘキサノールの濃度は、通常、1〜30重量%、好ましくは、5〜20重量%である。また、気相で反応を行う場合も同様に用いることができ、これら溶媒を予め気化させて反応器に供給してもよい。 また、本発明におけるシクロヘキサノールのアミノ化反応は、水素共存下、或いは水素で前処理された触媒を用いて反応を行わせることもできる。この効果は有用なものであり、触媒活性が長期間にわたって有効に維持され、さらにはシクロヘキシルアミンの選択率、収率を向上させることができる。 本発明において、シクロヘキサノールに対するアンモニアのモル比は、通常0.5/1〜10/1、好ましくは1/1〜5/1の割合である。また、反応条件は、反応系、或いは使用する触媒などによって適宜選択されるが、反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよいが、加圧下で反応を行う際には、通常、0.1〜20MPa、好ましくは5〜10MPaの範囲であり、反応温度は、通常、50〜300℃、好ましくは80〜250℃の範囲である。反応時間は、目的とするシクロヘキシルアミンの選択率や収率の目標値を定め、適宜選択すればよく、特に制限はないが、通常、数秒ないし数時間である。 触媒の量に関しては、用いる触媒種によっても異なり、所望の触媒効果が得られる量であれば特に限定はないが、通常、シクロヘキサノールに対して重量比で0.0001/1〜100/1、好ましくは0.001/1〜50/1の範囲である。また、気相で反応を行なう場合は、上昇流又は下降流反応器中で、時間基準の液空間速度(liquidhourly space velocity,LHSV)が、好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.05〜5の範囲になるような条件下で反応を行うことが好ましい。 シクロヘキサノールのアミノ化反応では、通常、目的生成物であるシクロヘキシルアミンの他に副生成物として少量のジシクロヘキシルアミンが生成する。生成したシクロヘキシルアミンは、触媒を分離した反応器中の反応混合物から、例えば、シクロヘキサン又はベンゼン等を加え、共沸蒸留した後、蒸留分離によって回収され、必要によりさらなる分離手段により所望の純度にすることができる。通常、未反応シクロヘキサノール、及びアンモニアは、反応容器に再循環するのが好ましい。 本発明の工程(3)のシクロヘキシルアミンを部分酸化してシクロヘキサノンオキシムを得る方法としては、シクロヘキシルアミンを触媒の存在下、酸化剤と反応させる方法が用いられる。 本反応における酸化剤としては、分子状酸素、オゾン等の酸素類、過酸化水素、過酢酸、及びK2S2O8等の無機ヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、キュメンヒドロペルオキシド、エチルベンゼンヒドロペルオキシド、及びシクロヘキシルヒドロペルオキシド等の有機ヒドロペルオキシド、NaClO、NaBrO、PhIO、及びNaIO4等の酸素酸等が挙げられ、好ましくは、分子状酸素、或いは過酸化水素、さらに好ましくは、分子状酸素が用いられる。分子状酸素を使用する場合は、通常、空気、又は窒素及びヘリウムなどの不活性気体との混合物の形態で用いられ、酸素濃度としては、2〜23%の濃度範囲で用いることが好ましく、より好ましくは3〜11%の範囲で用いることができるが、酸素濃度は反応系内が爆発組成をとらない範囲が好ましい。 シクロヘキシルアミンの部分酸化に用いる触媒としては、種々の金属、金属酸化物、金属塩、或いは金属有機化合物が使用できるが、反応に用いる酸化剤により、種々の触媒を選定することができる。シクロヘキシルアミンの部分酸化の具体的な方法に関しては、公知の方法を用いることができる。公知の方法の例としては以下の方法が挙げられる。酸化剤として分子状酸素を用いる公知の方法の例としては、周期律表第4族(Ti、Zr及びHf)に属する少なくとも1種の元素の化合物の存在下にて液相中で行う方法(日本国特開平2−295956号公報(EP395046に対応))、SiO2ゲル、γ−Al2O3を含み、所望によりWO3と組み合わせた固体触媒の存在下にて気相中で行う方法(米国特許第4,337,358号、同第4,504,681号)等が挙げられる。 また、過酸化水素を用いる方法の例としては、Mo、W及びUからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む触媒の存在下にて行う方法(米国特許第2,706,204号)、チタンシリカライト、或いはバナジウムシリカライトを触媒として用いる方法(Tetrahedron,51(41),11305,ElsevierScience Press、オランダ国、1995、及びCatal.Lett.,28(2−4),263,KluwerPublishers、1994、オランダ国)が挙げられ、有機ヒドロペルオキシドを用いる方法の例としては、Ti、V、Cr、Se、Zr、Nb、Mo、Te、Ta、W、Re、及びUからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む触媒の存在下にて行う方法(米国特許第3,960,954号)等が挙げられる。 本発明におけるシクロヘキシルアミンの部分酸化反応は、気相もしくは液相で固定床、又は懸濁床で連続式、又はバッチ式に行うことができる。液相下で行う場合は、溶媒の存在下に反応を行わせることもできる。溶媒としては、特に規定はないが、上記の公知技術(日本国特開平2−295956号公報(EP395046に対応)、米国特許第2,706,204号等)に記載されているような溶媒、例えば、メタノール、t−ブタノール等のC1〜C10アルコール、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トリエチルアミン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジグリム、水等を用いることができる。溶媒の存在下にて操作するときには、シクロヘキシルアミンの濃度は、通常、1〜30重量%、好ましくは、5〜20重量%である。 反応を気相で行う場合に供給されるシクロヘキシルアミンの濃度は、全ガス供給量に対して、好ましくは0.5〜20%、より好ましくは2〜10%である。シクロヘキシルアミンを単独で反応器に供給してもよく、また、窒素、ヘリウム等の反応に影響を及ぼさない不活性ガスで希釈して用いてもよい。また、上記溶媒種を予め気化させて反応器に供給してもよい。 反応条件は、使用する酸化剤や触媒の種類によって適宜選択されるが、反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよく、反応系内の全圧に特に制限はない。反応温度は、好ましくは、20℃〜250℃、より好ましくは80℃〜180℃の範囲である。反応温度が250℃を超えると生成したシクロヘキサノンオキシムの分解又は過剰酸化が促進される傾向があり、反応温度が20℃未満では反応速度が低下する傾向がある。また、反応時間は、目的とするシクロヘキサノンオキシムの選択率や収率の目標値を定め、適宜選択すればよく、特に制限はないが、通常、数秒ないし数時間である。 触媒の量に関しては、用いる触媒種によっても異なり、所望の触媒効果が得られる量であれば特に限定はないが、通常、シクロヘキシルアミンに対して重量比で0.0001/1〜100/1、好ましくは0.001/1〜50/1の範囲である。 また、気相で反応を行なう場合は、上昇流又は下降流反応器中で、時間基準の液空間速度(liquidhourly space velocity,LHSV)が、好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.05〜5の範囲になるような条件下で反応を行うことが好ましい。 該部分酸化反応では、通常、目的生成物であるシクロヘキサノンオキシムの他に副生成物として少量のシクロヘキサノン、N−シクロヘキシリデンシクロヘキシルアミンが生成する。生成したシクロヘキサノンオキシムは、触媒を分離した反応器中の反応混合物から慣用の手段、例えば、蒸留又は抽出などによって回収され、必要によりさらなる分離手段により所望の純度にすることができる。通常、未反応シクロヘキシルアミンは、反応容器に再循環するのが好ましい。 本発明で原料として用いるシクロヘキセンは、種々の公知の方法を用いて製造することができるが、好ましくは、ベンゼンを部分水素化してシクロヘキセンを得る方法が用いられる。該部分水素化反応は公知の方法で行うことができる。公知の方法の例としては、水およびアルカリ金属と周期律表第8、9及び10族に属する元素から選ばれる少なくとも1種を含有する触媒組成物を用いる方法(日本国特公昭56−22850号公報(米国特許第3,376,720号に対応))、ニッケル、コバルト、クロム、チタンまたはジルコニウムの酸化物に担持したルテニウム触媒を用い、アルコールまたはエステルを添加剤として用いる方法(日本国特公昭52−3933号公報)、ルテニウム触媒、ならびに周期律表第1族及び2族に属する金属及びマンガンからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の塩を含む中性または酸性水溶液の存在下に反応を行う方法(日本国特公昭57−7607号公報(米国特許第4,055,512号に対応))、シリカ、アルミナ等の酸化物に、主にルテニウムを担持させた触媒、水および硫酸コバルトの存在下、部分水素化する方法(日本国特開昭57−130926号公報)、鉄、コバルト、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の金属およびルテニウムを硫酸バリウム担体に担持した触媒を用いて、リチウム、コバルト、鉄および亜鉛からなる群より選ばれた1種以上の金属硫酸塩と水の共存下に反応を行う方法(日本国特公平2−59811号公報(米国特許第4,575,572号、及びEP170915に対応))、硫酸バリウムを担体としたルテニウム担持触媒および水の共存下、二酸化ケイ素、二酸化チタンおよび酸化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種以上の金属の酸化物を反応系に共存させる方法(日本国特公平6−4545号公報(米国特許第4,665,274号、及びEP214530に対応))、水素化触媒として200Å以下の平均結晶子径を有する金属ルテニウム結晶子および/またはその凝集した粒子を用い、水および少なくとも1種の亜鉛化合物の存在下に反応を行う方法(日本国特公平2−19098号公報)、水および少なくとも1種の水溶性亜鉛化合物の共存下、酸性条件下に液相において水素により部分還元するに際し、水素化触媒として、あらかじめ亜鉛化合物を含有したルテニウム化合物を還元することによって得られる亜鉛をルテニウムに対し0.1〜50重量%含有する平均結晶子径が200Å以下である非担持型触媒を用いる方法(日本国特公平2−16736号公報)、あるいは水の共存下、200Å以下の平均結晶子径を有する金属ルテニウムを主成分とする水素化触媒粒子を用い、該触媒とは別に酸化ジルコニウム及び酸化ハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を添加し、さらに少なくとも1種の固体塩基性硫酸亜鉛の共存下、中性または酸性の条件下に反応を行わせる方法(日本国特公平3−5371号公報(米国特許第4,734,536号、及びEP220525に対応))等が挙げられる。 ベンゼンの部分水素化に用いる触媒としては、周期律表第8、9及び10族に属する金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化触媒の使用が好適であり、触媒に用いる金属として特に好ましいのはルテニウムである。触媒の原料としては、ハロゲン化物、硝酸塩、水酸化物、錯体化合物、アルコキシド等が例示される。また、触媒は予め他の金属成分を助触媒として含有していてもよい。助触媒成分としては、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、カドニウム、金等が有効であり、特に亜鉛が好ましい。助触媒金属を使用する場合は、ルテニウム原子に対する助触媒金属の原子比が通常0.01〜20、好ましくは0.1〜10である。 使用する水素化触媒は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の単元系金属酸化物あるいはこれらの複合金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、珪藻土、ゼオライト、活性炭等に担持させた担持型あるいは非担持型である。シクロヘキセンの選択率を向上させる観点から、非担持型の金属ルテニウムを用いることが好ましい。 非担持型の金属ルテニウムとは、ルテニウム化合物を気相もしくは液相において水素もしくは適当な化学還元剤を用いて還元して得られる還元物であり、ルテニウムは金属状態まで還元されたものである。かかる還元物の平均結晶子径が小さい程、シクロヘキセンの生成に有利となり、平均結晶子径が200Å以下、好ましくは100Å以下の金属ルテニウムをもちいることがシクロヘキセンの選択率を向上させるために望ましい。ここで、平均結晶子径は一般的方法、すなわち、X線回折法によって得られる回折線巾の拡がりから、Scherrerの式により算出されるものである。また、本反応においては、同様な方法によって調製された亜鉛化合物を含む金属ルテニウムも好適に用いることができる。 触媒の量に関しては、用いる触媒種によっても異なるが、通常、ベンゼンに対して重量比で0.0001/1〜100/1、好ましくは0.001/1〜50/1の範囲である。 また、水素化触媒として、非担持型の金属ルテニウムを用いる場合には、該水素化触媒とは別に、ジルコニウム及び/又はハフニウムの酸化物を添加して反応を行わせることもできる。添加される酸化物の量は、反応系に共存する水の重量に対し1×10−3〜0.3倍、好ましくは1×10−2〜0.1倍である。かかる酸化物を添加することによって得られる効果は有用なものであり、シクロヘキセンの選択率、収率を向上させることができ、さらには、反応器表面への水素化触媒の付着や、水素化触媒の凝集などを抑制することが可能となる。 該ベンゼンの部分水素化反応においては、水の共存が必要である。添加する水の量は、反応条件下において、ベンゼンおよび生成シクロヘキセンを主成分とする有機相と、水を含む水相の2相を形成するような量であることが好ましく、ベンゼンの重量に対して0.001〜100重量%、好ましくは0.5〜20重量%共存させることが好ましい。 また、本発明においては、水素化触媒、水の他に少なくとも1種の水溶性金属化合物の存在下で反応を行わせることが好ましい。ここで水溶性金属化合物としては、周期律表第1、2及び12族に属する元素、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の酢酸塩、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが使用されるが、周期律表第1及び2族に属する金属、及び亜鉛の塩化物もしくは硫酸塩が好ましく、硫酸亜鉛の如き強酸塩がより好ましい。かかる硫酸亜鉛は、水溶液として0.01重量%〜飽和溶解度までの濃度で用いることができるが、好ましくは0.1〜30重量%で用いることが好ましい。 また、ベンゼンの部分水素化反応においては、上記金属の固体塩基性硫酸塩を用いてもよい。その場合、固体塩基性硫酸亜鉛が好ましく用いられる。ここで、固体塩基性硫酸亜鉛とは、ZnSO4・mZnO・nH2OもしくはZnSO4・mZn(OH)2(ここでm、nはそれぞれ0.5≦m≦4、0≦n≦8)、さらにはZn(l+1)(OH)2l・SO4(ここで、lは1≦l≦4)などの一般式で表される化合物であって、具体的には、ZnSO4・0.5ZnO、ZnSO4・ZnO・H2O(ZnSO4・Zn(OH)2)またはZn2(OH)2SO4、ZnSO4・3ZnO、ZnSO4・3ZnO・3H2O(ZnSO4・3Zn(OH)2)、ZnSO4・3ZnO・6H2O、ZnSO4・3ZnO・7H2O、ZnSO4・3ZnO・8H2O、ZnSO4・4ZnO・4H2O(ZnSO4・4Zn(OH)2)などがあり、成著(例えば、「無機化学全書」、VIII−1、500項、丸善、日本国)にも多く見られる化合物群である。 これら塩基性硫酸亜鉛は古くから知られており、様々な方法で得ることができるが、一般的には硫酸亜鉛を母液として、これに適当なアルカリを作用させたり、さらには熱したりすることにより得ることができる。また、硫酸水溶液もしくは硫酸亜鉛水溶液に水酸化亜鉛を加えて熱することによっても、種々の塩基性硫酸亜鉛の混合物として得ることができる。前述した周期律表第1、2及び12族に属する元素、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の塩基性硫酸塩も同様な方法で得ることができる。 これら固体塩基性硫酸亜鉛の水に対する溶解度は小さく、わずかな量の添加で反応系において固体として共存できる。本発明においては、水素化触媒の重量に対し、亜鉛として通常、1×10−4〜1倍、好ましくは1×10−5〜0.5倍の量共存させて反応を行う。 即ち、ベンゼンの部分水素化は、(i)平均結晶子径が200Å以下である金属ルテニウム、及び場合によっては亜鉛化合物を含有する水素化触媒、(ii)水、及び(iii)ジルコニウムもしくはハフニウムの酸化物、水溶性亜鉛化合物、及び固体塩基性硫酸亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下で、中性又は酸性条件下に液相において行い、該水素化触媒が非担持型であることが特に好ましい。 また、ベンゼンの部分水素化反応の反応系では、硫酸亜鉛水溶液及び/又は固体塩基性硫酸亜鉛が存在することが好ましい。これら亜鉛化合物の存在する量によっても異なるが、反応系が微アルカリから酸性の状態で行うことが好ましく、中性から酸性の状態で行うことがより好ましい。具体的には、pH1〜7で反応を行うことが好ましく、pH4〜7未満で行うことがより好ましい。 本発明におけるベンゼンの部分水素化反応は、通常、液相懸濁法で連続的またはバッチ的に行われるが、固定床式でも行うことができる。反応条件は、使用する触媒や添加物の種類や量によって適宜選択されるが、通常、水素圧は0.1〜20MPa、好ましくは1〜10MPaの範囲であり、反応温度は室温〜250℃、好ましくは100〜200℃の範囲である。また、反応時間は、目的とするシクロヘキセンの選択率や収率の目標値を定め、適宜選択すればよく、特に制限はないが、通常、数秒ないし数時間である。 ベンゼンの部分水素化反応は、通常、水を含む水相、水相中に存在する触媒を含む固相、原料および生成物を含む油相、および水素を含む気相から構成される4相系で行われ、これらの相が懸濁した状態で反応が進行する。反応液は、触媒を含む水相と、生成したシクロヘキセン及び未反応ベンゼン等を含む油相とに相分離させて、油相を分離工程に供する。触媒を含む水相は、触媒スラリーとして、反応器に循環して再使用することができる。該部分水素化反応では、通常、目的生成物であるシクロヘキセンの他に副生成物としてシクロヘキサンが生成する。分離された油相には、シクロヘキセン、シクロヘキサン及びベンゼンが含まれるが、これらの沸点は互いに近接しているので、通常、抽出蒸留や共沸蒸留によって分離される。分離されたシクロヘキセンは、必要によりさらなる分離手段により所望の純度にすることができる。通常、分離された未反応ベンゼンは、反応器に再循環するのが好ましい。 上記のように、本発明の方法によれば、簡便な装置を用いて、簡便な操作で且つ高選択率で製造することができるだけでなく、シクロヘキサノンオキシムから得られる所望の中間体であるε−カプロラクタムの品質に悪影響を与える分離が困難な副生物及び/又は工業的価値の低い硫酸アンモニウムのような副生物が生成するという従来技術にともなう問題がない。特に、上記したようにベンゼンからシクロヘキサンを経由して得られたシクロヘキサノンとヒドロキシルアミン塩とを反応させる従来技術においては、目的生成物から分離が困難な副生物(シクロヘキシルブチルエーテル、n−ペンチルシクロヘキサン、酢酸シクロヘキシル、ヘキサヒドロベンズアルデヒド等)が生成され、これらの副生物は、シクロヘキサノンオキシムからε−カプロラクタムを得る転位工程でも残存し、ε−カプロラクタムの品質低下の要因となることが知られている。一方、本発明の方法においてはそのような副生物の生成はない。さらに、本発明の方法においては、生成される副生物も大部分がシクロヘキサン及びシクロヘキサノン等の有用な化合物であり、廃棄物が極めて少ない。このような本発明の効果は、ベンゼンを原料としてシクロヘキセンを得、得られたシクロヘキセンを用いて本発明の方法を実施し、シクロヘキサノンオキシムを製造する場合に特に顕著になる。この場合、以下の工程(i)〜(iv)からなる方法によって、シクロヘキサノンオキシムが製造される。(i)ベンゼンを部分水素化することによって、シクロヘキセンを得る工程。(ii)場合によって、得られたシクロヘキセンを水和してシクロヘキサノールを得る工程。(iii)工程(i)で得られたシクロヘキセン又は工程(ii)で得られたシクロヘキサノールをアミノ化してシクロヘキシルアミンを得る工程。(iv)得られたシクロヘキシルアミンを部分酸化してシクロヘキサノンオキシムを得る工程。 上記各工程(i)〜(iv)で各々用いる原料、触媒及び反応条件などは既に上記した通りである。 具体的には、本発明の方法においてベンゼンを出発原料として用いた場合は、シクロヘキサノンオキシムが特に高い選択率で得られるだけでなく、以下のような優れた効果が得られる。ベンゼンからシクロヘキサンを経由して得られたシクロヘキサノンとヒドロキシルアミン塩とを反応させる従来技術においては、上記のような望ましくない副生物が生成されるだけでなく、反応生成物の内、約20〜30%が廃棄される副生物である。一方、本発明の方法で、上記のようにベンゼンを出発物質として用いた場合、上記のような望ましくない副生物は生成されないだけでなく、反応生成物の内、約90%以上が有用な化合物(目的生成物であるシクロヘキサノンオキシム、及び有用な副生物であるシクロヘキサン及びシクロヘキサノン等)である。更に、上記した従来の方法と比較して、非常に少ない水素消費量で、シクロヘキサノンオキシムを製造することができるというメリットがある。従って、ベンゼンを出発原料として用いる本発明の方法は工業的に極めて有利である。 次に、実施例ならびに比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでない。〔実施例1〕 1)ベンゼンの部分水素化反応によりシクロヘキセンを得る工程塩化ルテニウム(RuCl3・3H2O)5.0gおよび塩化亜鉛13.0gを水500mlに溶解し、攪拌し、これに30%のNaOH水溶液70mlを加えたものを1NのNaOH水溶液で洗浄した。得られた黒色沈殿物を5%NaOH水溶液500mlに分散させ、内容積1000mlの攪拌機付きオートクレーブに仕込んだ後、水素により全圧を5MPaとし、150℃で12時間還元し、洗浄、乾燥して水素化触媒2.3gを得た。ルテニウムに対する亜鉛含量は7.4重量%、平均結晶子径は55Åであった。 このようにして得られたルテニウム触媒0.5g、ZrO2粉末(平均粒径0.35μm)2.5g、塩基性硫酸亜鉛ZnSO4・3Zn(OH)2を亜鉛として30mg、及び4%ZnSO4水溶液280mlをチタン製の内容積1000mlのオートクレーブに仕込み、攪拌下、水素で置換して150℃まで昇温後、ベンゼン140mlを圧入し、全圧5MPaで高速攪拌下に反応させた。30分後、この反応液を抜き出し、ガスクロトグラフィー(GC)により油相の組成を分析した結果、ベンゼンの転化率は42.3%、シクロヘキセンの選択率は86.5%であった。副生成物は、シクロヘキサンのみであった(選択率:13.4%)。 尚、GCによる分析は以下の条件下で行った。測定装置:日本国島津製作所GC−14A型ガスクロマトグラフ(炎イオン化検出器(FID)を含む)カラム :日本国信和化工製キャピラリーカラムULBONHR−20M(0.25mm×25m)キャリアガス:ヘリウム溶離液の流速:20ml/min分析法 :50℃で定温分析 上記油相の反応混合物を蒸留装置で、N,N−ジメチルアセトアミドを溶剤として、抽出蒸留を行い、純度99.5%以上のシクロヘキセンを得た。 2)シクロヘキシルアミンを得る工程2−1) シクロヘキセンのアミノ化によりシクロヘキシルアミンを得る工程米国ユニオンカーバイド社製のナトリウムYゼオライト(LZ−Y52、1/16インチ押し出し物)80gを1モルの塩化アンモニウム及び50mlの12N塩酸水溶液を含む2lの蒸留水に加えることで脱アルミニウム処理をした。この溶液を2時間還流し、塩素イオンが全く検出されなくなるまで熱水で洗浄し次いで150℃で乾燥した。脱アルミニウム化の程度を変えるのに前記操作を150℃で2回もしくはそれ以上繰り返した。得られた脱アルミニウムH−YゼオライトのSi/Alのモル比は約2.5であった。 次に、内径30mmのステンレス製耐圧管状反応器に上記ゼオライト触媒を充填し、330℃、20MPaの条件下に、5:1のモル比のアンモニアと前工程で得られたシクロヘキセンの混合物をLHSV(liquidhourly space velocity)0.5で供給し、12時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析した結果、シクロヘキセンの転化率は12.1%、シクロヘキシルアミンの選択率は99.3%であった。副生物としてシクロヘキセンダイマー類が選択率0.5%で生成した。 尚、GCによる分析は以下の条件下で行った。測定装置:日本国島津製作所GC−14A型ガスクロマトグラフ(炎イオン化検出器(FID)を含む)カラム :独国J&W Scientific社製キャピラリーカラムDB−1701(0.25mm×30m)キャリアガス:ヘリウム溶離液の流速:20ml/min分析法 :50℃で10分保持後、10℃/分で300℃まで昇温した後、300℃で5分保持 得られた反応生成物の蒸留を行うことにより、純度99.5%以上のシクロヘキシルアミンを得た。 2−2a) シクロヘキセンの水和によりシクロヘキサノールを得る工程ケイ酸塩水溶液(SiO2=29.9重量%)150gに、10%水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液180gを加え、さらに硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)4gと水40gを加えて10分間攪拌した。その後、その溶液を強攪拌しながら濃硝酸を滴下してpHを10〜10.5に調節して均一なゲルを得た。このゲルを攪拌機付1lオートクレーブに入れ、180℃で24時間攪拌した。こうして得られた生成物を充分な量のイオン交換水で洗浄した後、120℃で10時間乾燥した。この生成物は、X線回折によりZSM−5と同定された。また、ケイ光X線分析により求めたアルミナに対するシリカのモル比は60であった。 さらに、この生成物を、600℃で24時間空気流通下で焼成した後、塩化アンモニウム水溶液でイオン交換して、さらに500℃で4時間空気焼成して触媒とした。 次に、内容積1000mlの攪拌機付オートクレーブに水280g、前工程で得られたシクロヘキセン30g、及び上記で得られた触媒20gを仕込み、100℃で1時間攪拌しながら反応させた。反応後、生成物をGCで分析した結果、シクロヘキセン転化率は12.4%、シクロヘキサノール選択率は99.6%であった。 尚、GCによる分析は以下の条件下で行った。測定装置:日本国島津製作所GC−14A型ガスクロマトグラフ(炎イオン化検出器(FID)を含む)カラム :日本国信和化工製キャピラリーカラムULBONHR−20M(0.25mm×25m)キャリアガス:ヘリウム溶離液の流速:20ml/min分析法 :50℃で5分保持後、10℃/分で230℃まで昇温した後、230℃で5分保持 得られた反応生成物の蒸留を行うことにより、純度99.5%以上のシクロヘキサノールを得た。 2−2b)シクロヘキサノールのアミノ化によりシクロヘキシルアミンを得る工程日本国N.Eケムキャット社製のRu/Al2O3触媒(活性成分であるルテニウムの含有量:5重量%)0.1g、シクロヘキサノール5gを内容積100mlのオートクレーブに仕込み、攪拌下、120℃で水素加圧下、全圧3MPaにおいて1時間の前処理を行った。その後、放冷、脱圧し、25%アンモニア水6.8gを仕込み、攪拌しながら、180℃で水素加圧下、全圧を3MPaとして反応させた。4時間後、この反応液を抜き出し、GCにより組成を分析した結果、シクロヘキサノール転化率74.5%、シクロヘキシルアミン選択率99.3%であった。また、副生物としてジシクロヘキシルアミンが選択率0.5%で生成された。尚、GCによる分析は上記工程2−1)のシクロヘキセンのアミノ化の場合と同様の条件で行った。 この反応生成物の蒸留を行うことにより、純度99.5%以上のシクロヘキシルアミンを得た。 3)シクロヘキシルアミンの部分酸化によりシクロヘキサノンオキシムを得る工程市販のアルミニウム−セカンダリーブトキサイド100gをビーカーに入れ、メタタングステン酸アンモニウム水溶液(市販のメタタングステン酸アンモニウム7.0gを100gの水に溶解して水溶液としたもの)をガラス棒で激しく攪拌しながら少量ずつ滴下した。生成したゲル状生成物を常温下で1時間乾燥した後、120℃において一晩真空乾燥させた。次いで、乾燥物を常圧空気気流下、400℃で4時間焼成処理を行い、酸化タングステンを組み合わせたアルミナ触媒を得た。これを蛍光X線で分析したところ、タングステンを21.8重量%含んでいた。触媒を圧縮成型し、粉砕した後、1.0〜1.4mmの粒径に篩い分けし、反応に用いた。 次に、内径30mmのステンレス製環状反応器に上記で調製した固体触媒を仕込み、加熱炉に仕込んだ。リアクターを窒素で置換した後、160℃まで加熱し、組成がシクロヘキシルアミン濃度が6.0容量%、酸素濃度が7.0容量%となる反応ガスをLHSV=0.1となる条件で供給し、反応を行った。自動的にリアクターから反応ガスをサンプリングし、GCにより組成を分析した。反応が定常に達したときのシクロヘキシルアミンの転化率は25.8%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は88.5%であった。副生成物は、シクロヘキサノン(選択率5.1%)、N−シクロヘキシリデンシクロヘキシルアミン(選択率4.9%)であった。尚、GCによる分析は上記工程2−1)のシクロヘキセンのアミノ化の場合と同様の条件で行った。 得られた反応生成物の蒸留を行うことにより、純度99.5%以上のシクロヘキサノンオキシムを得た。 実施例1は、出発原料のベンゼンからシクロヘキサノンオキシムを製造するための全反応工程数は3工程(ベンゼンの部分水素化、シクロヘキセンのアミノ化、シクロヘキシルアミンの部分酸化)又は4工程(ベンゼンの部分水素化、シクロヘキセンの水和、シクロヘキサノールのアミノ化、シクロヘキシルアミンの部分酸化)であった。 各工程の選択率に基づいて、ベンゼン基準のシクロヘキサノンオキシム選択率および有用物質(シクロヘキサノンオキシム、シクロヘキサン及びシクロヘキサノン)としての全炭素回収率を以下の式により計算した。シクロヘキサノンオキシム選択率(%)=(生成シクロヘキセンモル数/転化ベンゼンモル数)×(生成シクロヘキシルアミンモル数/転化シクロヘキセンモル数)×(生成シクロヘキサノンオキシムモル数/転化シクロヘキシルアミンモル数)×100全炭素回収率(%)=(生成シクロヘキセンモル数/転化ベンゼンモル数)×(生成シクロヘキシルアミンモル数/転化シクロヘキセンモル数)×(生成シクロヘキサノンオキシムモル数/転化シクロヘキシルアミンモル数+生成シクロヘキサノンモル数/転化シクロヘキシルアミンモル数)×100+(生成シクロヘキサンモル数/転化ベンゼンモル数)×100上記工程2−1)で得られたシクロヘキシルアミンを用いてシクロヘキサノンオキシムを製造した場合の、シクロヘキサノンオキシムの選択率は76.0%であり、有用物質としての全炭素回収率は93.8%(シクロヘキサノンオキシム:76.0%+シクロヘキサン:13.4%+シクロヘキサノン:4.4%)であった。 更に、上記工程2−2b)で得られたシクロヘキシルアミンを用いてシクロヘキサノンオキシムを製造した場合の、シクロヘキサノンオキシムの選択率は75.7%であり、有用物質としての全炭素回収率は93.5%(シクロヘキサノンオキシム:75.7%+シクロヘキサン:13.4%+シクロヘキサノン:4.4%)であった。 また、上記各工程によって得られたシクロヘキサノンオキシム中には、ナイロン−6等の中間体として用いられるε−カプロラクタムの製造に用いた際に、ε−カプロラクタムの品質に悪影響を与える不純物(シクロヘキシルブチルエーテル、n−ペンチルシクロヘキサン、酢酸シクロヘキシル、ヘキサヒドロベンズアルデヒド等)は含まれていなかった。〔比較例1〕ベンゼンを完全水素化して得たシクロヘキサンから、空気酸化、脱水素を行ってシクロヘキサノンを得、別途、日本国特開昭58−50925号公報に記載の方法に従ってヒドロキシルアミン硫酸塩を合成し、得られたシクロヘキサノンを得られたヒドロキシルアミン硫酸塩を用いてオキシム化し、シクロヘキサノンオキシムを製造した。シクロヘキサノンの合成、及びそのオキシム化は、以下のようにして行った。 1)シクロヘキサンの空気酸化によりシクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの混合物を得る工程ガス導入口を備えた内容積1000mlのガラス製オートクレーブにシクロヘキサン600g、及び触媒として、ナフテン酸コバルトを金属原子として1ppm(対シクロヘキサン)になるように仕込み、酸素−窒素混合ガス(容量比O2:N2=1:9)を1000ml/分(N.T.P.換算)の割合で流通させ、反応液を攪拌しながら、150℃、1MPaで40分反応させ、引き続き前記混合ガスを窒素に切り換えて30分放置した。排ガスは同伴する反応液を冷却、凝縮してオートクレーブ内に戻した後、大気中に廃棄した。反応生成物をGCで分析した結果、シクロヘキサン転化率は4.0%、シクロヘキサノール及びシクロヘキサノン選択率は75.8%(シクロヘキサノール/シクロヘキサン生成比=6/4)であった。尚、GCによる分析は上記工程2−2a)のシクロヘキセンの水和の場合と同様の条件で行った。また、副生成物の組成を以下の条件でGCで分析したところ、カルボン酸類、アルデヒド類、シクロヘキサノン以外のケトン類、エステル類、エーテル類、シクロヘキサノール以外のアルコール類、シクロヘキサン以外の炭化水素等であった。測定装置:日本国島津製作所GC−14A型ガスクロマトグラフ(炎イオン化検出器(FID)を含む)カラム :独国J&W Scientific社製キャピラリーカラムDB−1(0.25mm×30m)キャリアガス:ヘリウム溶離液の流速:20ml/min分析法 :50℃で5分保持後、10℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分保持 得られた反応生成物を公知の方法によってアルカリ洗浄、及び蒸留を行うことにより、未反応シクロヘキサン及び副生物を留去し、シクロヘキサノールとシクロヘキサノンの混合物を得、これを更に蒸留することによりシクロヘキサノンを留去した。得られたシクロヘキサノールを含む蒸留残液を後述する脱水素反応にてシクロヘキサノンに変換した。回収したシクロヘキサノンを更に蒸留することで純度99.5%のシクロヘキサノンを得た。しかしながら、分離精製したシクロヘキサノン中には、シクロヘキサノンと沸点が非常に近い成分であるシクロヘキシルブチルエーテル(2500ppm)、n−ペンチルシクロヘキサン(500ppm)、酢酸シクロヘキシル(450ppm)、ヘキサヒドロベンズアルデヒド(200ppm)が含まれていた。これらの成分はその後のオキシム化工程、及びシクロヘキサノンオキシムからε−カプロラクタムを得る転位工程でも残存し、ε−カプロラクタムの品質低下の要因となることが知られている。 2)シクロヘキサノールを脱水素してシクロヘキサノンを得る工程内径30mmのステンレス製管状反応器に、Cu−Cr系酸化物粒状触媒を充填し、水素/窒素混合ガスにより触媒の還元処理を行った後、入口及び出口温度を265℃に保って、0.12MPaの圧力下、前工程で得られたシクロヘキサノールを予熱気化させ、LHSV(liquidhourly space velocity)0.1l/触媒l/hrの速度で供給し、10時間反応させた。1時間毎に反応液を回収し、GCで分析した。シクロヘキサノールの転化率は71.2%、シクロヘキサノンの選択率は97.3%であった。尚、GCによる分析は上記工程2−2a)のシクロヘキセンの水和の場合と同様の条件で行った。 得られた反応生成物の蒸留を行うことにより、純度99%のシクロヘキサノンを得た。 3)シクロヘキサノンをオキシム化してシクロヘキサノンオキシムを得る工程内容積200mlのガラス製攪拌槽に、別途アンモニアから合成された37重量%ヒドロキシルアミン硫酸塩水溶液68.1gを仕込み、90℃に保って、前工程で得られたシクロヘキサノン14.7gと、反応液のpHが5〜7になるように、アンモニア水を同時に添加し、30分間反応させた後、反応液の組成をGCで分析した。シクロヘキサノンの転化率は95.7%、シクロヘキサノンオキシムの選択率は99.3%であった。尚、GCによる分析は上記工程2−1)のシクロヘキセンのアミノ化の場合と同様の条件で行った。 反応液を静置して油相を採取することにより、硫酸アンモニウム等の副生成物を分離し、さらに油相を蒸留して未反応シクロヘキサノン等を除去し、純度99.5%以上のシクロヘキサノンオキシムを得た。 比較例1のベンゼンからシクロヘキサノンオキシムを製造するための全反応工程数は、ベンゼン水素化、及びヒドロキシルアミン製造工程を含めると5工程であった。また、実施例1と同様にして求めた、各工程の選択率に基づくシクロヘキサノンオキシムの選択率は74.1%であり、シクロヘキサノンオキシム以外の有用物質は得られなかったので、有用物質としての全炭素回収率も74.1%であった(通常、ベンゼン水素化反応の選択率は非常に高いことが知られているので、ベンゼン水素化反応の選択率は100%と仮定した)。 各工程を経て得れたシクロヘキサノンオキシム中には、所望の中間体であるε−カプロラクタムの品質に悪影響を与える不純物(シクロヘキシルブチルエーテル、n−ペンチルシクロヘキサン、酢酸シクロヘキシル、ヘキサヒドロベンズアルデヒド等)が上記工程1)で測定したものとほぼ同程度の濃度で残存していた。 本発明の方法によれば、ナイロン−6等の原料であるε−カプロラクタムの中間体として有用な化合物であるシクロヘキサノンオキシムを、その製造のための従来の方法で用いられている煩雑な工程により製造されるヒドロキシルアミン塩のような反応試薬を用いることなく、少ない水素消費量で、簡便な装置を用いて、簡便な操作で且つ高選択率で製造することができる。更に、本発明の方法によれば、シクロヘキサノンオキシムから得られる所望の中間体であるε−カプロラクタムの品質に悪影響を与える分離が困難な副生物及び/又は工業的価値の低い硫酸アンモニウムのような副生物が生成するという従来技術にともなう問題がなく、且つ生成される副生物も大部分がシクロヘキサン及びシクロヘキサノン等の有用な化合物であり、廃棄物が極めて少ない。従って、本発明の方法は、シクロヘキサノンオキシムを工業的規模で製造する上で極めて有利である。 下記の工程(1)〜(3)を包含することを特徴とするシクロヘキサノンオキシムの製造方法。(1)ベンゼンを部分水素化することによってシクロヘキセンを得る工程、またはベンゼンを部分水素化して得られたシクロヘキセンを水和してシクロヘキサノールを得る工程。(2)得られたシクロヘキセン又はシクロヘキサノールをアミノ化してシクロヘキシルアミンを得る工程。(3)得られたシクロヘキシルアミンを分子状酸素により部分酸化してシクロヘキサノンオキシムを得る工程。 該ベンゼンの部分水素化を、周期律表第8,9及び10族に属する金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化触媒、及び水の存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。 該ベンゼンの部分水素化を、(i)平均結晶子径が200Å以下である金属ルテニウム、及び場合によっては亜鉛化合物を含有する水素化触媒、(ii)水、及び(iii)ジルコニウムもしくはハフニウムの酸化物、水溶性亜鉛化合物、及び固体塩基性硫酸亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下で、中性又は酸性条件下に液相において行い、該水素化触媒が非担持型であることを特徴とする請求項2に記載の方法。 該シクロヘキセンの水和を、水和触媒としてのゼオライトの存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。 該ゼオライトがZSM−5型ゼオライトからなる群より選ばれることを特徴とする請求項4に記載の方法。 工程(2)における該シクロヘキセンのアミノ化を、固体酸、周期律表1〜10族に属する金属、及び該金属の化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含むアミノ化触媒(a)の存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。 該アミノ化触媒(a)がゼオライトであることを特徴とする請求項6に記載の方法。 工程(2)における該シクロヘキサノールのアミノ化を、周期律表第8、9および10族に属する元素、クロム、銅、銀、亜鉛及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むアミノ化触媒(b)の存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。


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