タイトル: | 特許公報(B2)_共有結合した膜貫通タンパク質によるバイオセンサー |
出願番号: | 2002558010 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 33/53,G01N 33/543,G01N 33/545,G01N 33/552,G01N 33/553,G01N 33/566,G01N 37/00,C12N 15/00 |
レイキー,ジェレミー ヒュー フォーゲル,ホルスト JP 4313039 特許公報(B2) 20090522 2002558010 20020118 共有結合した膜貫通タンパク質によるバイオセンサー ニューキャッスル ユニバーシティ ベンチャーズ リミティド 503259853 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 西山 雅也 100082898 レイキー,ジェレミー ヒュー フォーゲル,ホルスト GB 0101279.8 20010118 GB 0108947.3 20010410 20090812 G01N 33/53 20060101AFI20090723BHJP G01N 33/543 20060101ALI20090723BHJP G01N 33/545 20060101ALI20090723BHJP G01N 33/552 20060101ALI20090723BHJP G01N 33/553 20060101ALI20090723BHJP G01N 33/566 20060101ALI20090723BHJP G01N 37/00 20060101ALI20090723BHJP C12N 15/00 20060101ALN20090723BHJP JPG01N33/53 DG01N33/543 525UG01N33/545 ZG01N33/552G01N33/553G01N33/566G01N37/00 102C12N15/00 G01N 33/48-33/98 G01N 37/00 C12N 15/00 PubMed JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) 特開2000−146976(JP,A) 特表平10−507126(JP,A) HEYSE, S. et al.,BIOCHIMICA ET BIOPHYSICA ACTA. REVIEWS ON BIOMEMBRANES,NL,ELSEVIER,1998年11月10日,Vol.85507,p.319-338 36 GB2002000222 20020118 WO2002057780 20020725 2004533601 20041104 32 20050118 白形 由美子 本発明は、支持体に結合した膜貫通タンパク質(membrane−spanning protein)を含んで成る、一般にバイオセンサーとして言及される製品に関連し、当該製品を製造する方法及びその使用を含む。 両親媒性分子、例えば脂質は、溶液中で集合し、単層でありうる膜構造のミセル、又はリポソームを形成することが知れている。これらの構造は、半透性の特性を有することが分かっている。ある例では、それらは分子(イオン、リガンド、アンタゴニスト、アゴニストなど)の選択的透過性を示す。この選択的透過性は、膜構造の構築において用いられる脂質の化学的性質に関係する。これらの合成膜は、ポリペプチド又はタンパク質などであって、例えば、分子の輸送を促し (例えば、膜を介するイオンの輸送を促すイオンチャネルはイオノフォアとして言及される)、リガンドの為のレセプターとして働き、ポリペプチドを転移させる空孔(核空孔形成構造、ミトコンドリア移入構造)を形成する働きがある大きな分子を含みうることが知られている。これらの膜ポリペプチドは、一般に膜タンパク質として言及される。 膜タンパク質は、他の両親媒性物質と組み合わさって界面で集合する能力が本来有る。それ故、生体適合性装置及びバイオセンサー中で用いる為の生物模倣型表層を構築するのに適している。膜ポリペプチド内蔵するバイオセンサーには多くの用途が見込まれる。例えば、決して限定ではないが、臨床診断の為のリガンドに基づくバイオセンサー;水及び環境汚染の検出;メモリーデバイス;医薬適用の為のスクリーニング装置;生物学的な機能を持たせた表層の提供;薬物、殺虫剤などの小さな分子、(食料品、発酵産物、化学物質など)プロセス制御の間の分析が必要な分子の為の結合部位及びセンサー;スクリーニングの調査(アレイ技術など)の為又は診断の為(ガンのマーカー、伝染病マーカー、ホルモン)のタンパク質などのより大きな分子;核酸;炭水化物ポリマー;病原性細菌などの細胞;ガン細胞及び小さな単細胞生物又は多細胞生物、特に寄生生物などの真核細胞が挙げられる。更に、バイオセンサーは、他の成分と組み合わされてバイオセンサーの表層に独立的に結合した膜ポリペプチドを含んで良い。その膜ポリペプチドは、そしてそれら自身が特異的結合部位として働き、それによって安定な非変性表層及び/又はイオンチャネル依存性センサー機能が供される。イオンチャネル調節又は上記他の方法を用いることで医薬用途の為のハイスループットスクリーニングにおいてバイオセンサーを用いることができる。 バイオセンサーにより、ペプチド、核酸、タンパク質及び他の分子など生物学的な機能を持った、不活性な、安定な、生物学的に適合する表層の集合を提供できる。これらの構築体はスクリーニング系及びバイオセンサー系で用いられて良い。それらは、培養細胞又は生体組織中での移植に適合する表層を作製するのにも用いられて良い。 加えて、酵素は、人工的に膜ポリペプチドにされるか又は機能的且つ正確に表層で集合できるように膜ポリペプチド結合されて良い。これは触媒表層が必要なバイオリアクター系、又は支持体よりも一層簡単に酵素産物が検出されるセンサー系において適用することができうる。1、2又は3次元空間配列でさえも特定できるように、酵素+膜ポリペプチドは特別にプリントされ又は適用されるだろう。もしフローシステムと組み合わされれば、これによって小規模リアクターでのシーケンシャル酵素的合成/分解が可能になりうる。 この技術は、特定の方向及び密度においてポリペプチドを支持体に対して結合させ、それによって、その相互作用を既存の方法によってモニタリングすることを可能にする機能を持つ結合表層としてこれらの表層を提供するという幅広い利用可能性をも有することは当業者に明らかであろう。例えば、光学的な方法には、例として、表面プラズモン共鳴;蛍光;偏光解析法;又は電気的な方法には、例として、インピーダンス・スペクトロスコピー、サイクリック・ボルタンメトリー、コンダクタンス測定が挙げられる。電圧、圧力又は温度などの物理信号を察知する装置において、膜ペプチドをバイオセンサー中で用いることができる。 バイオセンサーの可変透過性を用いることで、層の下のリザーバから表層を横切り分子が放出されるのを調節することが可能になりうる。チオ脂質及び膜ポリペプチドからなる層を用いても薬物のような分子をリザーバ中でトラップすることもできうる。生物信号、例えばpH、プロテアーゼ活性又はリガンドの結合が薬物放出のきっかけとなりうる。ある例としては、特異的組織を標的とするミクロビーズを挙げることができうる。それは標的細胞に対して結合又は侵入した場合、膜ポリペプチドチャネルを介して薬物を放出する。膜ポリペプチドは、特定の細胞性レセプターに結合することによって、特異的な組織をミクロビーズが標的とするだろうようにするペプチド配列を担持するようにも操作されうる。 イオノフォアは細胞膜中に埋没する空孔を形成する3次構造、そして多くの場合、4次構造のポリペプチド又はタンパク質構築体である。イオノフォアは、活動電位に応答して(電位ゲーティングと言及する)又は刺激性リガンド、例えば、神経伝達物質の存在に応答して(リガンドゲーティングと言及する)イオン電流の流れを調節する働きがある。 機能的に関連のある膜タンパク質のグループの例としては、イオノフォアのサブグループであるポーリンが挙げられる。他のグループには、GPCR、5量体リガンドゲートチャネル、ABC輸送物質などが挙げられる。 イオンチャネルの感度の高さ及びそれらの大きさが最小であることと相まって、イオンチャネルのシグナル伝達特性により、イオンチャネルタンパク質内蔵合成膜構築体に基づくバイオセンサーの発展がもたらされた。これらイオンチャネルを内蔵する膜を製造することは難しくないのだが、それらは往々にして入手するには高価であり又は壊れやすく且つ不安定である。 先行技術のバイオセンサー(US5,234,566;US5,736,342;US5,516,890;WO9725616を参照のこと)は、(例えば、チオ脂質の使用により)層を支持体に付着させたままにするといった方法で支持体の表層に対して生物層を係留することに基づいている。これらの生物層は支持体として働き、その形成の最中又は後にイオンチャネル形成ポリペプチドが挿入され、機能的生物トランスデューサーを提供しうる。このタイプの合成膜に伴う問題とは、生物由来の巨大な膜内在性タンパク質と共に用いられた場合、耐久性を欠き、製造するのに高くつきそしてタンパク質密度及び配向を制御するのが殆どできないことである。特定の場合、コーネルの装置(Cornellら、1997)には、チオ脂質の表層に対して係留されている、半膜貫通脂質及び膜貫通脂質からなる流体脂質二重層が用いられる。この膜により二重層の面における容易な拡散が可能になり、そしてこれは、グラミシジンペプチドを用いることによって開発されている。これらの合成半膜貫通イオノフォアペプチドは、膜全体に渡りダイマーが形成された場合のみ、イオン流を許容する。一般に、一方のモノマーが支持体に係留されておりそして上方のモノマーがレセプター分子に連結されている。レセプターに結合することで、存在する導電ダイマーの量が変わり、そしてコンダクタンスの変化が生ずる。このことにより高感度バイオセンサーの製造が可能になる。 発明の開示 本発明は、膜貫通タンパク質、例えば、イオンチャネル形成膜タンパク質を、支持体の表層に直接固定化し、結合したタンパク質の高密度層を形成し、それに対して脂質層を加え、膜構築体を形成する。化学吸着したタンパク質と両親媒性脂質層との組み合わせにより、タンパク質の正常な構造及び機能は保存されている安定な層が供される。これは当業界で教示されていることに反する。当業界で教示されていることとは、膜タンパク質を支持体に直接係留することによりポリペプチドが変性し、それによって無機能な膜タンパク質が供されるということである。 本発明により構築されたバイオセンサーは、先行技術のセンサーよりも製造が容易であり、そして一層の頑丈さがあり且つ一層の幅広い使用可能性が有る。その理由は、膜を基礎とするバイオセンサーの適用に加えて、この方法により、固体支持体上で、調節された配向を伴う密度の高い人工の天然タンパク質層の集成が可能になるからである。タンパク質は、その露出表層(exposed surface)において所定の機能を組み込まれるように操作されうる。 本発明によって、例えば、我々は、イオンチャネル形成タンパク質が金属表層、この場合、例えば、金、に直接結合でき、チオ脂質を加えることにより膜構造が完全になり、そして機能的バイオセンサーが提供されるように、イオンチャネル形成タンパク質を操作した。ある例では、処理された支持体へのポリペプチドの結合を促すアミノ酸のシステインを組み込む為に修飾されている細菌性OmpFポリペプチドを用いた。チオール含有アミノ酸を用いることで、この方法を他のイオンチャネル形成ペプチド及び他の膜ポリペプチドに適用できることは明らかであろう。特に膜界面に近い平らな表層を示す任意のタンパク質(例えば、細菌又は細菌ロドプシンの外膜タンパク質)が全てこの方法に適していると考えられうる。前記ポリペプチドは天然にチオール含有アミノ酸を含んで良い又は遺伝子操作による修飾を受けチオール含有アミノ酸を含んで良い。前記アミノ酸は、天然に生ずるアミノ酸又は修飾されたアミノ酸であって良い。 コーネルの先行技術と比較して、本発明は、支持体表層に対して直接固定化された巨大内在性膜タンパク質及び二重層中での側方拡散が起きないことに依存する。故に二重層の役割は、集合したタンパク質層を安定化すること、支持体表層に対する非特異的な結合を減らすこと及び電気絶縁性を担うことである。二重層は流体である必要がないので、係留された脂質は、二重層の表層に隣接する側の脂質の100%を占めうる。次いで、二重層の上半分はジフィタノイルフォスファチジルコリンなどの膜リン脂質により完成される。一方で、(コーネルの先行技術におけるように)膜の半分を貫通するペプチドではなく、採用したタンパク質は全て完全脂質二重層を貫通する為、膜の全厚を貫通することができる係留された脂質から膜全体を形成する選択肢が得られる。本発明における膜貫通タンパク質としてポーリンを用いた場合にインピーダンス分光法によって観察されるコンダクタンスの変化は、ダイマーの形成及び破壊よりむしろ各タンパク質の空孔の変化及び個々のイオンチャネルに固有のゲーティングによるものである。更に、精製された組換え膜タンパク質を用いることができるので、本法により提案されるのは、コーネルの合成ペプチドによっては達成できない、固定化され、操作されたタンパク質表層を生成する幅広い技術である。β−バレル膜タンパク質ファミリーは、タンパク質工学の良い標的である。従って、様々なタンパク質界面がこの態様で構築されて良い。 本発明の背景において、支持体に対して直接結合されるポリペプチドを「膜貫通タンパク質」と言及する。この意味は、前記ポリペプチドは、一般に(タンパク質の折りたたみなど)2次/3次構造を殆ど持たない又は無い単純な直線状の短い合成アミノ酸配列ではないということである。またこの意味は、前記タンパク質は膜の中に存在し、膜二重層の幅の少なくとも大部分に広がるだろう程度の大きさと形のタンパク質であるということでもある。膜二重層のいずれか一方の周辺にのみ、本質的に存在するポリペプチドは、本発明において有利に役立たないことが予測される。類似して、大部分は膜二重層の外側に存在するが、部分的に二重層中入っていることのある非常に巨大な/複雑なタンパク質は、本発明において有利である見込みが無いようである。用語「膜貫通」とは、部分的に膜境界を越えて広がる又は膜境界間の領域の大部分のみ広がるタンパク質を本発明から除いてしまうような厳密な意味で解されるべきではないことは当業者にとっては明らかだろう。 本発明の最初の観点により:膜貫通タンパク質;両親媒性分子及び膜貫通タンパク質分子から形成される脂質膜;並びに支持体:を含んで成り、膜タンパク質が支持体に対して直接的に結合されていることを特徴とする製品が提供される。 本発明の好適な実施態様において、前記製品はバイオセンサー又はタンパク質アレイである。 本発明の更なる好適な実施態様において、前記膜貫通タンパク質は、α−ヘリックス構造又はβ−バレル構造を含んで成る。 ポーリンは外膜タンパク質であり、それは、モノマー形態、ダイマー形態、トリマー形態にあり、水が満たされたトランスメンブレン(transmembrane)チャネル(「空孔」)を構築する。この空孔によりイオン及び他の多くの非特異的な分子が膜を介して通過するようになる。ポーリンは、ミトコンドリアの外膜及び多くのグラム陰性細菌でも発見されている。ポーリンとしては、OmpAファミリーの8ストランドのβ−バレルを有するポリペプチド、及び16ストランドβ−バレルのホモトリマーであるOmpFが挙げられる。 TonB依存性及び類縁の外膜トランスポーターも本発明の範囲内に含まれる。これらのタンパク質は通常モノマーポリペプチドであり、チャネル形成ポリペプチドではなく且つ特定の栄養に対して非常に特異的である。 膜貫通タンパク質は、支持体に対してポリペプチドが結合することを促す為に修飾されて良い。 我々は、183番目のグルタミン酸のシステインへの突然変異(E183C)によってOmpFの遺伝子操作を行った。システイン、又は他のチオール含有アミノ酸のOmpFポリペプチドの任意のペリプラズムターン(periplasmic turn)への挿入により、開示されたものと類似する結果が得られるだろう。各タンパク質に複数のシステイン残基を加えて表層での相互作用を増加させることができうる。従って、このことにより各々の要求に応じることができるだろう。細胞外ループの端にシステインを挿入することにより効果があるのみならず、配向が逆のタンパク質層がもたらされるだろう。 OmpFの同義語は: ポーリンompF 外膜タンパク質1A 外膜タンパク質IA 外膜タンパク質Bである。 遺伝子名は:OMPFもしくはTOLFもしくはCMLB又はCOAもしくはCRYもしくはB0929である。 我々はまたLys残基を挿入する為にOmpAを遺伝子操作した。 本発明のある実施態様において、膜貫通タンパク質はα−ヘリックスに富んで良く、そして2つの膜表層の少なくとも一方の上で特大の余分な膜突起がない。高次回折構造(high resolution structure)が有る例は公知であり、バクテリオロドプシン及び細菌性カリウムチャネルKcsAが挙げられる。GPCRファミリーの多くのメンバーがこの固定化形態に利用できる。 膜貫通タンパク質は表1及び表2に示されたものから選択されて良い。 膜貫通タンパク質を支持体に対して直接結合させることは、(例えば、システイン中で見られる)硫黄原子と支持体、例えば、金との、硫黄−金直接結合による反応によって達成されて良い。これによりタンパク質保持機能活性がもたらされる。前記支持体は小量の疎水性チオール、例えば、β−メルカプトエタノール又はチオグリセロールとの前インキュベーションによって疎水的に精製されて良い。 ポーリンは安定なタンパク質であり、そしてデタージェント溶液(例えばSDS又はドデシルグルコシド)中で表層に加えることができる。この溶液は、前記タンパク質を変性させないのみならず確実に表層での非特異的疎水性相互作用を抑制する又は生じさせない。 システイン反応の協調的性質とは、OmpFタンパク質は前処理された表層と容易に反応し、そしてチオールの存在によって反応が阻害されないことを意味する。そのような協調性は、トリマーあたりシステインを3つ、又はモノマーあたり複数のシステインを持つことから生じうる。一般に、隣接するタンパク質との間での非極性接触によるタンパク質の単層生成においては、タンパク質の自己集合特性が重要であるようだ。このことにより、高密度化が達成できることが説明されうる。加えて、親水性タンパク質ループと親水性表層との接触は非変性的なものであり、タンパク質のコアを表層から分離する。 次いで、表層に対して両親媒性分子を、好ましくはチオ脂質を加えることによってタンパク質層が更に安定化される。チオ脂質は金−硫黄結合を介して結合してタンパク質間の隙間を埋めるだろう。これにより膜様環境が供される。その膜様環境は、親水性及び疎水性表層に対するポリペプチドのニーズを満たし、従って確かにタンパク質を安定化するものである。 本発明の更なる実施態様において、前記脂質はチオ脂質である。 前記チオ脂質は非常に変化しやすい基である。例えば、ジパルミトイルフォスファチジル酸に基づいているZD16は、様々な長さのエトキシ基の親水性スペーサー鎖によってリン酸脂質で伸び、そして親水性スペーサーの末端に終端のジスルフィド基がある。これら固定軸受け(anchor-bearing)「チオ脂質」は、安定な支持体−硫黄結合を形成することによって支持体に対して結合することができる。このようにして我々は、支持体と第1単層の間に水層を維持することのできる支持体を脂質二重層に対して結合することができる。 本発明のバイオセンサーに関して、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホチオエタノールのようなスペーサーを伴わないチオ脂質も有用である。脂質部分は、分鎖(フィタノイル基など)もしくは不飽和(オレオイルなど)もしくはコレステロールのようなステロールなど脂肪酸であるか、又は脂質はセラミドを基礎としうる。脂質部分は、古細菌に由来するような脂質からも構成されて良い。ここにおいて、膜は、ある水相から他の水相にその幅全体が広がる脂質を含む。 この設計に基づくチオ脂質により膜全体が表層に対して共有結合するだろう。この設計の例は、ジビフィタニルグリセロールテトラエーテルであり、それは例えば、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、メタノブレビバクター(Methanobrevibacter)、スルホロブス(Sulfolobus)、サーモプラズマ(Thermoplasma)、サーモプロテウス(Thermoproteus)中で発見される。親水基は、チオール基を疎水性基に対して結合させる任意種類の化学単位であって良い。好ましくは、炭素骨格はそれに近接する親水性タンパク質ループを安定化する為に親水性である。 好ましくは、前記チオ脂質は:1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホチオエタノール;1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−〔3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート〕; 1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスエタノールアミン−N−〔3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート〕;N−(14´−メルカプト−1´,11´−ジオキソ−3´,6´,9´−トリオキサ−12´−アザテトラデシル)−2−オレオイル−1−パルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルエタノールアミン;(8´−メルカプト−3´,6´−ジオキサ−オクチル)−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3フォスファチジル酸;から選択される。 本発明は脂質以外に両親媒分子の使用も含む。両親媒性の分子は1つ又は2つの親水性ヘッド部分及び1つ以上の疎水性領域を有し、そして一般的に界面活性剤として言及される。例としては、陽イオン性界面活性剤(第4級アンモニウム塩など);陰イオン性界面活性剤(有機硫酸塩など)及び双性イオン界面活性剤(フォスファチジルコリンなど)である。他の両親媒性分子にはデタージェント、脂肪酸が挙げられる。水に溶けにくい分子、例えばアルカリ性チオールが適切でありうる。これらは、ある末端がチオールで終結し、他の末端が水溶性基、例えばヒドロキシ基又は糖で終結して良い。例えば、これらは長さが10〜18の長さの炭素鎖であって良い。 本発明の更なる実施態様において、支持体は金属である。前記金属は:金;クロム;白金;銀:から選択されて良い。 本発明の更なる実施態様において、前記支持体は:ガラス、シリコン、水素で終結されたシリコン又はプラスチックポリマーであって良い。 コドンを欠失又は変化させる方法で変化突然変異を生じさせる方法が有効であることは当業者には明らかであろう。膜貫通タンパク質(イオンチャネル形成ポリペプチドなど)の修飾とは、一つ以上のアミノ酸残基の欠失、付加又は置換であり、ここにおいて、前記置換により支持体に対して直接結合できるタンパク質が供され本発明の製品が提供される。 本発明のある実施態様において、OmpFは、アミノ酸配列の183番目の位置でグルタミン酸がシステインへ突然変異することによって修飾されている。これは、未処理OmpFポリペプチドの205番目の位置及び成熟ポリペプチドの183番目の位置に対応する。 本発明において用いられる修飾されたタンパク質を生産する方法が供され、その方法は:i) タンパク質の組換え発現を促すのに適したベクターの一部である核酸分子によって形質転換/トランスフェクションされた細胞を提供し;ii) 前記タンパク質の発現を誘導する条件下で前記細胞を増殖させ;そしてiii) 前記細胞、又はその増殖環境から前記タンパク質を精製する;ことを含んで成る。 前記ベクターは当該タンパク質の精製を容易にする分泌シグナルをコードしても良く、それによって前記修飾された組換えタンパク質にはタンパク質の精製を容易にするシグナルが備わっている。 本発明の更なる観点において、バイオセンサーを含んで成る製品が提供される。 前記製品は、電気化学的方法又は光学的方法を用いて特異的な検体、タンパク質、核酸、糖、ステロイドなどの特異的相互作用を、操作されたタンパク質の層で検出する単一成分バイオセンサーであって良い。それは電気回路と組み合わされた又は表面プラズモン共鳴装置の一部としての金表層上のタンパク質/脂質層からなりうる。タンパク質層は、例えば、感染症の診断用である特異的抗体の為の結合部位を含むだろう。大粒子、細胞などを除去するウィックを介して血液又は他の生体流体の試料を当該表層に対して適用できうる。タンパク質層に到達したら、結合が電気出力を介して読み込まれる電気特性又は光学特性の変化を生ずるだろう。 他の関連する製品は本体に内蔵されリアルタイムで血流又は組織中の特異的生体分子のレベルをモニターするセンサーであって良い。本装置は、膜タンパク質層で覆われた小さな(例えば直径<<1mm)金電極を含む電気部品からなりうる。特異的分子の結合がインピーダンス特性の変化として読み込まれるだろう。 本製品は、分析的なスクリーニング目的の為にタンパク質の2次元アレイをマーキング及び分析する為の装置であっても良い。前記装置には前記アレイを作成する為に表層上に修飾されたタンパク質をプリンティングする機器が含まれるだろう。次いで、このアレイが用いられて、アレイ上の特異的結合部位に結合するだろうタンパク質、小分子、細胞、酵素阻害物質、核酸を含有する試料がスクリーニングされる。タンパク質が結合した部位は表面プラズモン共鳴、蛍光、マススペクトロメリー、電気化学的方法などによって検出されるだろう。 本製品によりタンパク質の範囲で試料の迅速なスクリーニングが可能になり、そして臨床又は研究実験での生産性が高まる。 他の製品は、触媒領域を膜タンパク質に挿入することによって作成される触媒表層を用いたバイオリアクターであろう。試料は、並べられたチャネルに沿ってマイクロフルイディクスによって固定化された触媒タンパク質迄送り込まれて良い。このようにして、試料の連続修飾が達成されるだろうし、そして生体分子の正確な合成又は修飾が達成される。かかるバイオリアクターはマイクロマシン化したシリコン構築体上で形成され、小量の試料を修飾できうる。その試料はその後引き続き分析の為に用いられるだろう。酵素と膜タンパク質が融合することでハイスループットスクリーニングにおいて用いられるバイオリアクタースポットを配列することが可能になるだろう。 更なる製品は、in vitro移植又は細胞培養技術の為の生物適合表層の生成であって良い。例えば、冠動脈ステントの生体適合性は、上皮細胞との相互作用を改善する人工タンパク質の単層で覆われることによって向上する。他の例は、人工関節又はドラッグデリバリー調節の為の連続in vitroモニタリング装置である。 更なる例は、タンパク質単層によって修飾されており特定の細胞増殖パターンを促す細胞培養プレートであろう。これらは、ペトリ皿の大きさからマイクロマシン化したシリコン装置にサイズダウンされて良い。本製品の用途は、細胞、特に神経細胞の形態変化を誘導すること又は互いに隣接する様々な細胞系統の増殖をパターン化し研究して研究及び分析において細胞間伝達を利用することに関連しうる。本製品は、各細胞種によって認識される表層に存在する人工タンパク質のパターン化された単層からなるだろう。前記パターン化された単層は細胞培養容器の大きさの幅で組み込むことができうるだろう。 本発明の製品は、任意的に両親媒性物質(デタージェント/脂質)をも伴う、膜タンパク質の既製の溶液(水性である必要はない)から、容易に生産できうる。両親媒性物質は、調節された単層タンパク質表層を生成するのに用いることができる。前記溶液は、特定の修飾されたタンパク質の混合物との類似性を表層上で担うだろう特定のタンパク質の混合物で構成できうる。これによって、スペーサーとして作用する非結合タンパク質との自己集合によって用いられる、結合部位の密度調整がなされた支持体の製造が可能になるだろう。 本発明の製品は、表面プラズモン共鳴バイオセンサー中で利用できる特定のタンパク質/脂質層を支える既製の金表層であろう。 本発明の更なる観点により:i) 親水性のコーティング剤で支持体を処理し;ii) 膜貫通タンパク質を1つ以上供給し;iii) 前記タンパク質が前記処理された支持体に対して直接結合する条件下で当該タンパク質を当該処理された支持体と接触せしめ;iv) 前記タンパク質が結合した支持体に対して両親媒性の分子を添加し脂質膜を形成する;ことを含んで成る、製品を生産する方法が供される。 本発明のある方法において、製品はバイオセンサーである。本発明の更なる方法において、膜タンパク質は、ポーリンのような外膜タンパク質である。 本発明の方法において、親水性コーティング剤は:2−メルカプトエタノール;メルカプトプロピオン酸;1−メルカプト−2−プロパノール;2,3ジメルカプト−1−プロパノール;2−メルカプト−3−ブタノール;ジチオエリトリトール(エリトロ−1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール、DTE);ジチオトレイトール(クレランドの試薬、トレオ−1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール、DTT);DTEとDTTの混合物;チオールグリセロール;から選択されて良い。 好ましくは、前記コーティング剤は、2−メルカプトエタノールである。 支持体をコーティングする条件は変わって良い。例えば、親水性コーティング剤の濃度は約1mM〜1Mであり、約50mM〜500mMが更に好ましく、約100mM〜200mMが一層好ましい。インキュベーション時間も、調製された表層に対して有害な作用を及ぼすことなく数時間から数日に変わっても良い。 好ましくは前記支持体が金であり、そして外膜ポリペプチドはポーリンである。前記尚一層好ましくはポーリンがOmpF又は修飾されたOmpFである。好ましくは前記両親媒性分子が脂質、理想的にはチオ脂質である。 本発明の観点により、本発明の方法により獲得できるバイオセンサーが提供される。 本発明の更なる観点により、以下の分子を一つ以上検出する本発明のバイオセンサーの使用が供される。その分子は:コリシンNR−ドメイン;ポリペプチド;抗原性ポリペプチド;抗体又は抗体の断片;レセプター;リガンド;抗生物質;薬物;農薬;糖;アミノ酸;脂肪酸;ペプチド;ホルモン;ステロイド;核酸(DNA、RNA、cDNA);ペプチド核酸;金属;無機イオン;である。 本発明の実施態様は、この度以下の図及び表の方法によってのみ供されそしてそれを参照にすることにより供される。ここにおいて:表1は、グラム−ve細菌のポーリン遺伝子を示し;表2は、様々な細菌種に由来するTonB依存性レセプターである。 材料と方法 タンパク質の精製 大腸菌(E.coli)BE3000由来の野生型OmpF(OmpF−WT)は従来記載された(Bainbridge,G.,Mobasheri,H.Armstrong,G.A.,Lea,E.J.及びKaray,J.H(1998))ようにプラスミドpGBF96を用いて生産され、そしてSDSデタージェント中で精製又はオクチル−POE中で引き続いて懸濁された。ターン1に単一のシステインを有するOmpFの突然変異(OmpF-CYS)はQuickChange(登録商標)法(Stratagene)を用いて生成された。 OmpFの突然変異誘発 GAAグルタミン酸コドンの代わりにTGTシステインコドンをコードする二つの相補的な37マーオリゴヌクレオチドを突然変異誘発に用いた。 Stratageneによって供給されたQuick Changeキットに記載されたQuick ChangeプロトコールにおいてプラスミドpGBF96と共にこれらの突然変異誘発プライマーが用いられた。XL1−ブルー大腸菌細胞の形質転換体を用い、Promega Wizard SV ミニプレップキットを使用することによって純粋なプラスミドDNAが生産された。University of Newcastle Facility for Molecular BiologyのABI−Prism377装置によって前記OmpF遺伝子の配列が決定された。 我々がXbaI制限部位を導入することによって生じたOmpF BE3000遺伝子の突然変異は、リジン279のアルギニンへの転換(K279R)である。従って、前記DNA配列は「ゆらぎ」部位でデータベースの大腸菌OmpF DNA配列とは異なるが、例で用いられたタンパク質は、単に突然変異E183CとK279Rでデータベースの例とは異なる。 両親媒性剤 用いられたリン脂質はジオレイルフォスファチジルコリン(Sigma Chemical Comapny, Fancy Road Poole Dorset UKから入手した)又はジフィタノイルフォスファチジルコリン(Avanti Polar Lipids Brimingham USAから入手した)である。チオ脂質(研究室指定のZD16)は以下の式であり且つ以前Lang(1994)に記載された方法を用いて合成された。 表面プラズモン共鳴(SPR) Biacoreの為の金チップは未処理(plain)金Biacore J1型(BiacoreAB,St Albans UK)又はピラニア溶液で洗浄し再利用したBiacoreチップであった。屈折率1.7のスライドガラスは、2%Helmanex 洗浄溶液(Helma GmbH Germanny)が入っている水浴超音波処理器中での超音波処理によって洗浄され、続いてNanopure水中で十分にすすいで必要になる迄、2−メルカプトエタノールを伴う又は伴わないエタノール中で保存された。残留エタノールは窒素の下で蒸発され、そして前記スライドはEdwards High Vaccume Evaporator中に置かれた。真空度が5×10-6ミリバールに達した時に、前記スライドはクロムの蒸着により3nmのクロム層で一面上を覆われた。この系は金の100nmの層がクロム支持体の天辺上に蒸着される前、15分に渡りに冷やされる。更なる15分の冷却に続いて、アルゴンによって真空度が緩和され、そしてスライドはSPR装置中に集められた。これは、金の面が、流体を交換する為に上の方が開けてあるテフロンキュベットの残りの面を形成するようにしてスライドを置くことからなる。Leica60°プリズムをスライドの反対側に置き、接合部は屈折率に適合する流体で完成させた。集成体(assemby)は一緒に固定されてSPR装置中に置かれる。溶液が添加されてキュベットからパスツールピペット又は目盛りつきシリンジにより除去される。パソコンに連結された光ダイオードの反射シグナルをスキャンニングすることによって最小量の反射レーザー光が検出された。カーブフィッッティングを用いることで正確な最小値が計算される。単位角度あたりの輝度の変化が大きい場合、SPRシグナルの時間依存性変化に従ってダイオード角度が初期最小値より約2°低くセットされた。従って、最小角度の増加がシグナル強度の増加として示される。 標準形式の機械によるBiacore実験を行った。メルカプトエタノールで処理されたチップが前記機械の中に置かれ、そして所定の流量で所要の溶液がチップ全体に送られた。タンパク質/チオ脂質集合段階について、前記流量は1μl/分であり、そしてコリシンNR−ドメインによる結合アッセイについては30μl/分である。連続の2つのレーンが用いられた。Biacoreのユーザーマニュアルに定義された、レゾナンスユニットの変化としてSPRシグナルの時間依存性変化を測定した。 インピーダンス分光法(I.S.) 0.1M KCl、pH7.4の5mMリン酸ナトリウム緩衝液中の膜で覆われた金電極及びの対照Ag/AgCl電極を含んで成る電気化学セルにおいてインピーダンス分光法を行った。金ディスク電極の表層領域は3.34×10-2cm2であった。DC電圧は適用されなかった。1Hz〜20kHzの対数尺上に等間隔で分布する199の連続頻度で10mVのシヌソイド電圧(RMS)がセルに対して適用された。生じた電流は位相弁別ロックイン増幅器により記録され、複合インピーダンス及びアドミタンスが計算された。 フーリエ変換赤外分光法(FTIR) SPR実験については、金の厚さとは別に、3nmのクロム続いて100nmの金を蒸着したHelmanex洗浄ガラス顕微鏡スライド上にFITR分析の為の試料を集めた。SPRスライドガラスについてはメルカプトエタノールでの前処理を行った。スライド上に溶液を塗ることによってタンパク質、チオ脂質又はリン脂質の集合を行い、そしてそれをプラスチックのペトリ皿に置いて蒸発を防ぐ為にカバーした。乾燥又はすすぐことをせずに2次溶液で初期溶液を置換することによって経時的に層(successive layer)が集められた。スペクトルが集められる前に、スライドは流動するNanopure水のもとで洗浄され、アルゴンの下で乾燥されて直ぐに分光分析器の中に置かれた。HgCdTe検出器を備えるBruker IFS 28分光分析器を用いることによって赤外スペクトルが記録された。1cm-1の解像度で1000回のスキャンが記録されそしてボックスカー機能によってアポダイズされた(apodised)。バックグランドスペクトルは、個々のベアサポート(bare support)から記録された。集められたスペクトルは、三角アポダイズ化により1cm-1の解像度にフーリエスムーズ化された。金上の分子層の反射吸収率スペクトルが平行極性化光線のみを用いて入射角度85°で記録された。全てのピークの位置は二次導関数スペクトルから導かれた。本方法の更なる詳細は、Boucheva(1997)を参照のこと。 OmpF−Cysに対する抗OmpFポリクローナル抗体の結合 金属に係留され、そしてDOPC(最上層、溶液側)及びチオ脂質(底の層、金に係留されている)の流体ハイブリッド二重層に埋め込まれたOmpF−Cysに対する抗OmpFループ6ウサギポリクローナル抗体の結合を図2に示す。BiacoreX(Biacore AB,Uppsala,Sweden)上流量30μl/分のPBSランニングバッファー中でのセンサグラムが記録された。ラングミュア1:1結合モデルについてフィッティングされた黒い曲線が重ねあわされる(superimpose)。1.4nMの計算された親和性定数について、会合率定数Kaは4.4×104M-1s-1で見積もられ、解離率定数Kdは6.0×10-5M-1s-1であった。結合相互作用によって示されることは、タンパク質は、細胞外ループが表面にさらされた状態で固定化されているということである。 実施例1 OmpF−Cysを用いる固定化実験 未処理金表層を最初にβ−メルカプトエタノール(緩衝液A(100mM NaCl、100mM リン酸ナトリウム、pH7.0)中1mM)で処理して、続いて緩衝液Bで処理した。次いで、オクチル−POE中のOmpF−Cys(0.3mg/ml)を表層に塗布しそして当該表層に対して結合し平衡に達する。緩衝液Aで洗浄することで先の緩衝液の効果が除かれ、そしてシグナルが1000レゾゾナンズユニット増加した(これはより長くインキュベーションすることで増加する)。次いで、表層を0.05%SDSでタンパク質が除かれなくなる迄洗浄する。OmpFはSDS中で安定であり、そしてこの処理により、非特異的に結合したOmpFが除去され、そして金表層上で共有結合したOmpFのトリマーが残る。金表層に対して非特異的に結合する全ての野生型タンパク質がこの処理をすることによって洗い流される。1%オクチルグルコシド溶液から添加したチオ脂質(ZD16)は、そのチオール基を介して残りの金表層に結合する。そして、共有結合した脂質及びタンパク質の単層が完成する。チオ脂質をコントロールの金層に添加することによって、OmpF−Cys及びZD16が表層を目指して競合することを裏付けるより高いレベルの脂質結合が示される。フォスファチジルコリン小胞を添加することで二重層が完全になる。何故なら、それらが付着して露出した疎水性表層上で分裂されるからである。その後、ex situで一晩インキュベートした後Biacore装置中で洗浄をすることにより最も完全な層が提供されることを我々は発見した。β−メルカプトエタノールで更に処理することで、自己集合したタンパク質及び脂質が事実上不可逆的に表層に対して結合していること示す層は除去されない。 実施例2 SPR装置によるデータは、時間軸に対するSPRシグナルのアングルシフト(angle shift)において直接供される。これによりBiacoreデータに類似した結果を示されたのみならず、次いで層の平均厚を計算するのに用いられる表層密度に直接関連しうる。 タンパク質がSDS又はオクチル−POEに溶かされて(0.3mg/ml)いるいないにかかわらずタンパク質固定化により0.31°+/−0.17のアングルシフトが得られた。これは半集合プロセスが効率的であることを裏付ける非常に再現的な結果である。OmpFの2次元結晶から期待されるアングルシフトは0.75°であり、従って、タンパク質は40%の最大範囲で固定化される。自己集合を最大化するのに特別な対策、例えば2D結晶の前形成を取ることが無いことを考えると非常に高レベルである。 チオ脂質の自己集合では別に0.42°+/−0.06の増加がもたらされ、そしてPC添加では約0.30°+/−0.17である。 この値は非常に一定であり且つ非常に再現性のある自己集合系が生成されていることを示す。 実施例3 室温で1時間に渡り直接自己集合したポーリントリマー(1%オクチル-POE 0.3mg/ml OmpF-Gys)及び自己集合の第二段階の後のポーリントリマーのFTIRスペクトルを9omMのオクチルグルコシド中1mg/mlのZD16チオ脂質を用いることで収集した。どちらの試料もβ構造が残っていることを示すスペクトルを示さなかった。 金をβメルカプトエタノール(エタノール中10mM)で前処理する(1時間以上、しかしこの度はこれら表層は用いる迄、10mMのβ−メルカプトエタノール中で保存する)ことでOMPFの2次構造の保持特性が向上した。これは、上記OmpF−Cys自己集合、その後のZD16溶液によるこの溶液の置換に続く。これにより乾燥段階を伴わずにチオ脂質層が自己集合し、そして非特異的に結合したタンパク質が可溶化及び除去されもする。この結果は、公開されたスペクトル(Nabedrykら、1998)に非常に類似するスペクトルであり、そしてOmpFの2次構造はこの方法によって維持されれていることが裏付けられる。緩衝液A中で1時間に渡り1mg/mlのフォスファチジルコリン小胞とインキュベートすることによって、波数1740cm-1でピークにある特別な輝度が生じる。これは脂質に由来し且つ既存のチオ脂質ピークの完全に2倍であり二重層の表層がこの方法によって完成されることを示す。タンパク質スペクトルによりβ−2次構造が僅かに増加したことが分かった。 たとえチオ脂質が継続して集合せずとも、β−メカプトエタノールで前処理をすることで、2次構造の保持特性が有意に向上する。他の小さな親水性チオール分子を用いることで類似する利得を得ることができるだろう。 実施例4 OmpF−Cysに続いてチオ脂質が最大密度で自己集合することにより非常に通電性がある表層が提供され、そしてこれはISによる解析はできない。インピーダンス分光法はより低いタンパク質密度で測定でき、そして0.003mg/mlのOmpF−Cys溶液との1時間のインキュベーションを用いて作製した層を用いることでクリアーな結果が得られた。この濃度は先に用いた濃度の100倍に未満である。100Hzで、表層の抵抗はシグナルの実体部を示す。10-6MのコリシンRドメインを添加することにより、抵抗の増加が生じ、表層がタンパク質相互作用により詰まることが示される。この作用は濃度依存性でありそして従来の論文の測定された親和性に類似する。 コリシンNRドメインの結合はNewcastleでのSPRによる研究がなされており、そして本明細書中に示されるインピーダンスデータを裏付ける。 実施例5 再度折りたたまれたOmpAポリマーポーリントランスメンブレンドメイン層の金上での自己集合 バイオナノテクノロジーの為の膜タンパク質単層の開発において外膜レセプタータンパク質を使用する為に、我々は、表層上でタンパク質が集合する前にin vitroでそれらを再度折りたたむことを要する。ここで我々は、公開されている方法により再度折リたたまれた外膜タンパク質OmpAを、既にOmpFについて証明されたタンパク質−チオ脂質層においてで集めることができることを示す。トリマーポーリンと同様の方法を用いることでOmpAのようなモノマーOMPも固定化できることを結果が示す。 クローニング コロニーPCR及び以下のプライマーを用いることで大腸菌XL−ブルー(Stratagene)ゲノムDNAから成熟OmpAのコーディング配列(1〜147)を増幅した。プライマーにはそれぞれMluI及びXhoI制限部位が含まれる。その制限部位によりNovagenから入手したpET3cベクターに基づくpET8cベクターにクローニングが可能になる。従って、発現されるタンパク質はN末端部に、プラスミドによってコードされるMHHHHHHSS[配列番号17]の挿入及び前記プライマーによってコードされるCys残基、及び成熟OmpAタンパク質の1〜147番目のアミノ酸を含む。このプラスミドをpET8c−(CysOmpA1〜147)と命名した。天然のシグナルペプチドの不在が意味することはタンパク質が細胞質で発現されそして封入体を形成することである(Aroraら、2001;Pautsch&Schulz、2000)。 Luria培養液及び100μg/mlのアンピシリン及び30μg/mlクロラムフェニコールを用いてBL21 DE3 pLysE(Novagen)中で前記タンパク脂質を発現させた。OmpA発現がIPTGによって誘導された場合、ODが0.6に達する迄Erlenmeyerフラスコ中で6Lの培地をインキュベートした。更に3時間後、増殖させた後、細胞を遠心によって収穫し、フレンチプレスによって破壊し、そして破壊されなかった細胞を低速遠心(3000rpm、10分)によって取り除いた。次いで、Beckman55.2ローターで4℃、10,000rpmで1時間に渡り上清を遠心した。20mMのTris pH8.0、1%トリトンX−100溶液中で粗製の封入体をホモジナイズし、そして8000rpmで遠心を1.5時間(2回)及び30分(最後)に渡り行うことによって3回洗浄し、純粋な封入体調製物を得た。このペレットを20mlの緩衝液(20mM トリスpH8.0、8.0M尿素)中そして20mlのイソプロパノール中で再懸濁し、55℃で30分に渡りホモジナイズした。ホモジネートを4℃、38,000rpmで1.5時間に渡り遠心した。上清には可溶化させたHis-Cys-OmpAl〜147が含まれた。Ni−アガロースカラムを用いてタンパク質を更に精製し、そしてイミダゾールを用いて溶出させた。前記タンパク質はSDS−PAGE上で単一のバンドであり、抗His標識抗体(Sigma)を用いるウェスタンブロットによってその同一性を確認した。Spectra−Por6−8,000MW透析チューブを用いてタンパク質試料を8M尿素、20mM トリス、pH8.0及び1%Genapol(Fluka)の溶液中へ透析することによってイソプロパノールを除去した。 この段階での前記タンパク質濃度は0.34mMであった。Kleinschmidtらの方法(1999)に従い、このタンパク質を200倍過剰のDG(n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、Calbiochem)中へpH8.1で溶かすことによって再度折りたたませた。次いで、円偏光二色性分光法によって、再度折りたたまれたタンパク質を試験した。それによって、前記タンパク質は、十分に折り重なったOmpAトランスメンブレンドメインから期待されたようにβ構造を主に含むことが示された。このタンパク質はタンパク質分解に対する耐性もあった。それ耐性は、再度折りたたまれたOmpAモノマーのもう一つの特性である。 最後に、SPRによって示されたことは、タンパク質は金電極上で集合し、OmpF層について見られたようにチオ脂質を添加して単層を完全体にすることをできることである。OmpAのような再度折りたたまれたモノマーポーリンをOmpFについて先に記載したのと同じ方法で用いることができることをこの結果により示される。 金J1チップをピラニア溶液(9% v/v H2O及び70%濃度のH2SO4)で洗い、エタノール及び水ですすいで窒素で乾燥した。Biacore−X表層プラズモン共鳴分光計中で、前記チップを0.05%SDS溶液、次いで0.2%β−メルカプトエタノールで洗浄し、親水層を提供した。第二番目のSDS洗浄の後、ドデシル−β−D−グルコピラノシド中0.2mg/mlで折りたたまれたタンパク質His−Cys−OmpA(1〜147)は、表層へ強力に結合することが分かった。次のSDS洗浄をすることによって非特異的に結合したタンパク質が除去された。そしてこれはチオ脂質ZD16(1%オクチル−ポリオキシエチレン中0.5mg/ml)(Bechman))の第二集合段階に続き、タンパク質−脂質層を完全なものにする。表1本発明において用いる為の適切なポーリンタンパク質の例 グラムveポーリンをコードする遺伝子が340個より多く単離されており、これらの多くは、ネイッセリア・メニンジチディス(Neisseria meningitidis)外膜ポーリンの変異体であり、それらは外ループが非常に変化する。種に付加的なポーリン(species additonal porin)によるのが下のリストである。そのポーリンは配列の相同性を殆ど持たず、それは当該リストの最後で分かる。くくりの中の数字は前記種において同定されたポーリン様遺伝子の総数である。真のポーリンではないタンパク質もある。OmpF(野生型)をコードする核酸配列及びOmpFのコードされたタンパク質配列;[配列番号1]及び[配列番号2]である。係留されたOmpF−Cysに対する抗OmpFポリクローナル抗体の結合を示す。配列表 両親媒性分子及び1つ以上の膜貫通タンパク質(membrane−spanning protein)から形成された脂質膜に結合された支持体であって、該膜貫通タンパク質が該支持体に対して共有結合によって直接的に結合していることを特徴とする支持体。 少なくともいくつかの前記両親媒性分子が前記支持体に対して直接共有結合することによって結合している、請求項1に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質が、当該膜貫通タンパク質のペリプラズム側に位置する1つ以上の露出したシステイン残基を介して支持体に対し結合する、請求項1又は2に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質が、細胞抽出物から精製された20個超のL−アミノ酸の残基を有するポリペプチドを含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質がβ―バレル構造を含んで成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質がα―ヘリックス構造を含んで成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質が、イオンチャネル形成タンパク質(イオノフォア)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質が、リガンド又はリガンドのファミリーの為のレセプターである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質が、酵素である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質が、合成ポリペプチドをさらに含んで成る操作された(組換え)タンパク質である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質が、細胞抽出物から精製された20個超のL−アミノ酸の残基を有する可溶性タンパク質の一部又は全てをさらに含んで成る操作された(組換え)タンパク質である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質は、当該タンパク質のペリプラズム側に位置する露出したシステイン残基を、挿入又は突然変異によって1つ以上導入された、操作された(組換え)タンパク質である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の支持体。 前記膜貫通タンパク質がポーリンである、請求項7に記載の支持体。 前記ポーリンが表1から選択される、請求項13に記載の支持体。 前記両親媒性の分子がチオ脂質を含んで成る又はチオ脂質からなる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の支持体。 前記チオ脂質が、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホチオエタノール、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−〔3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート〕、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−〔3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート〕、N−(14´−メルカプト−1´,11´−ジオキソ−3´,6´,9´−トリオキサ−12´−アザテトラデシル)−2−オレオイル−1−パルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルエタノールアミン、及び(8´−メルカプト−3´,6´−ジオキサ−オクチル)−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3フォスファチジル酸からなる群から選択される、請求項15に記載の支持体。 前記支持体が金属である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の支持体。 前記金属が、金、クロム、白金、又は銀から選択される、請求項17に記載の支持体。 前記支持体が、チオール基と反応するように修飾された表層を有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の支持体。 前記支持体が、ガラス、プラスチック、シリコン又は水素終端シリコンから選択される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の支持体。 請求項1〜20のいずれか1項に記載の支持体を作製する方法であって、以下のステップ: i)親水性のコーティング剤で支持体を処理し; ii)膜貫通タンパク質を1つ以上供給し; iii)前記膜貫通タンパク質が前記処理された支持体に対して直接的に共有結合する条件下で、当該膜貫通タンパク質を当該処理された支持体と接触せしめ; iv)前記タンパク質が結合した支持体に対して両親媒性の分子を添加し脂質膜を形成することを;含む方法。 前記親水性のコーティング剤がチオールである、請求項21に記載の方法。 前記チオールが一般式OH−(CH2)n−SH{式中、nは整数であり、そしてアルキル鎖は直鎖又は分鎖である。}である、請求項22に記載の方法。 前記支持体が: 2−メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、1−メルカプト−2−プロパノール、2,3ジメルカプト−1−プロパノール、2−メルカプト−3−ブタノール、エリトロ−1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール、(DTE)、トレオ−1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール、(DTT)、DTEとDTTの混合物又はチオールグリセロールから選択される親水性のコーティング剤で処理される、請求項21に記載の方法。 前記親水性のコーティング剤が2−メルカプトエタノールである、請求項24に記載の方法。 前記支持体が金である、請求項21〜25のいずれか1項に記載の方法。 前記膜貫通タンパク質がイオノフォアである、請求項21〜26のいずれか1項に記載の方法。 前記両親媒性の分子が支持体に対して共有結合する、請求項21に記載の方法。 前記膜貫通タンパク質がポーリンである、請求項27に記載の方法。 1つ以上の露出したシステイン残基が前記膜貫通タンパク質のペリプラズム側に提供され、それによって、1つ以上のシステインを支持体上の1つ以上のチオール基に対して直接的に共有結合することにより当該膜貫通タンパク質が当該支持体に対して結合する請求項21〜29のいずれか1項に記載の方法。 前記ポーリンが、成熟OmpAタンパク質に対するMHHHHHHSS−CysのN末端添加によって形成される、修飾されたOmpAである、請求項29に記載の方法。 前記ポーリンは、グルタミン酸183のシステインへの突然変異によって形成される、修飾されたOmpFである、請求項29に記載の方法。 請求項21〜32のいずれか1項に記載の方法によって得られた支持体。 下記の分子:ポリペプチド、抗原性ポリペプチド、抗体又は抗体の断片、レセプター、リガンド、抗生物質、薬物、農薬、糖、アミノ酸、脂肪酸、ペプチド、ホルモン、ステロイド、核酸(DNA、RNA、cDNA)、ペプチド核酸、金属、及び無機イオンの内の1つ以上と相互に作用するための請求項1〜20のいずれか1項に記載の支持体の使用。 請求項1〜20、及び請求項33のいずれか1項に記載の支持体を含むバイオセンサー。 請求項1〜20、及び請求項33のいずれか1項に記載の支持体を含むタンパク質アレイ。