生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_組み換えブタ肝臓エステラーゼ、その使用及びその製造方法
出願番号:2002550041
年次:2009
IPC分類:C12N 15/09,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,C12N 9/20,C12P 41/00


特許情報キャッシュ

ウーヴェ ボルンショイアー アナ ムスィドロフスカ クラウディア シュミット−ダンネルト シュテファン ランゲ JP 4263482 特許公報(B2) 20090220 2002550041 20011206 組み換えブタ肝臓エステラーゼ、その使用及びその製造方法 エボニック デグサ ゲーエムベーハー 501073862 Evonik Degussa GmbH 矢野 敏雄 100061815 山崎 利臣 100094798 久野 琢也 100099483 杉本 博司 100110593 星 公弘 100128679 二宮 浩康 100135633 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 ウーヴェ ボルンショイアー アナ ムスィドロフスカ クラウディア シュミット−ダンネルト シュテファン ランゲ DE 100 61 864.2 20001212 20090513 C12N 15/09 20060101AFI20090416BHJP C12N 1/15 20060101ALI20090416BHJP C12N 1/19 20060101ALI20090416BHJP C12N 1/21 20060101ALI20090416BHJP C12N 5/10 20060101ALI20090416BHJP C12N 9/20 20060101ALI20090416BHJP C12P 41/00 20060101ALI20090416BHJP JPC12N15/00 AC12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 AC12N9/20C12P41/00 D C12N 15/00 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq SwissProt/PIR/GeneSeq FEBS, vol.293, pp.37-41 (1991) Eur.J.Biochem., vol.257, pp.142-148 (1998) Cell., vol.48, pp.899-907 (1987) Biochem.J. vol.269, pp.451-458 (1990) 27 EP2001014338 20011206 WO2002048322 20020620 2004515247 20040527 27 20041129 長井 啓子 【0001】本発明は酵素的に活性な組み換えブタ肝臓エステラーゼ、その製造のための生体工学的な方法並びに有機合成におけるその使用に関する。【0002】リパーゼ及びエステラーゼは有用な生体触媒として多くの光学活性化合物の製造のために使用できる。しかしながら全ての一連のリパーゼ(特に微生物由来)は市販されているが、ラセミ分割もしくは非対称化における使用のために提供される非常に僅かなエステラーゼが存在するにすぎない。ブタ肝臓組織からのエステラーゼ抽出物を用いて部分的に基質を十分な立体選択性で変換できるにもかかわらず、かかる抽出物の使用は一連の欠点と結びついている。種々のバッチの間のエステラーゼ成分の変動の他に、特に他のヒドロラーゼの存在が立体選択性に関して問題があるとみなされる(Seebach, D. et al., Chimia (1986), 40, 315-318)。更に従来の抽出物は、部分的にその基質特異性においてかなり異なる多くのイソ酵素の形で存在するという問題がある(Farb, D., et al., Arch. Biochem. Biophys. (980) 203, 214-226)。Heymann, E.及びJunge, W.(Eur. J. Biochem. (1979), 95,509-518; Eur. J. Biochem. (1979), 95, 519-525)は費用のかかる電気泳動的な分離に成功したので、有利にはブチリルコリン、プロリン−β−ナフチルアミド及びメチルブチレートを分解するフラクションを単離することができた。それに対して、別の研究(例えばLam, L.K.P., et al., J.Am.Chem. Soc. (1988) 110, 4409-4411)は単に活性における差異を示したにすぎず、個々のフラクションの特異性においては示していない。【0003】前記の理由から、生体工学的に製造された特異的な組成を有するブタ肝臓エステラーゼの必要性が存在する。【0004】推定されるブタ肝臓エステラーゼ遺伝子のクローニングは既に成功している(Takahashi, T, et. al., J. Biol. Chem. (1989), 264, 11565-11571; FEBS Lett. (1991), 280, 297-300; FEBS Lett. (1991), 293, 37-41; Ldavid, L., et al., Eur. J. Biochem. (1998) 257, 142-148)が、かかる酵素の需要が存在するにもかかわらす活性なブタ肝臓エステラーゼ酵素の機能的発現はいままで成功していない。【0005】従って本発明の課題は、生体工学的に容易に製造できる酵素的に活性なブタ肝臓エステラーゼを提供することであった。【0006】前記課題は、モノマーのサブユニットがC末端で天然に存在するブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットに対して短縮されているブタ肝臓エステラーゼによって解決された。更にN末端を同様に短縮することも更に有利であると判明した。【0007】意想外にも、生体工学的な発現は培地においてブタ肝臓エステラーゼのサブユニットを分泌して酵素的に活性な組み換えブタ肝臓エステラーゼをもたらし、これらは十分に不純物を含まずに単離でき、高度にエナンチオ選択的にはたらき、かつそれに基づいて基質変換において、特に収率及びエナンチオ選択性に関して再現性のある結果を保証することを示すことができた。【0008】従って本発明の対象はC末端で、天然に存在するブタ肝臓エステラーゼに対して1〜50個のアミノ酸、有利には3〜10個のアミノ酸、特に有利には3又は4個のアミノ酸を欠損しているブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニットである。本発明によるサブユニットはC末端に他の機能的ペプチドドメインを、例えばアフィニティクロマトグラフィーにより容易に単離するためにmyc−タグ及び/又はポリ−His−タグを有してよい。【0009】更に、N末端で、天然に存在する遺伝子産物に対して10〜50アミノ酸、有利には15〜25アミノ酸の範囲を除去することは、機能的な生体工学的製造のために有利である。【0010】N末端は同様に機能的ペプチドドメインを有してよく、その際、特に分泌シグナルドメイン、例えば相応のプライマー配列PLE−7F(配列番号8)に含まれているα−因子−シグナル配列又は、例えばプライマー配列PLE−9F(配列番号10)中に含まれているompA−シグナル配列に関心が持たれている。【0011】Swiss−Protのアクセッション番号Q29550による推測されるブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットから出発して得ることができる特定のブタ肝臓エステラーゼ−サブユニット、とりわけ生体工学的に製造できる配列番号1のアミノ酸配列を有するブタ肝臓エステラーゼ−サブユニット、そのアレル形又は80%を上回る、特に90%を上回る配列ホモロジーを有するその機能的な突然変異形が有利である。【0012】【表1】【0013】(配列番号1)機能的な突然変異形とは、本願の範囲では酵素的に活性な組み換えブタ肝臓エステラーゼに会合できるブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットを意味する。またα、β、γ型のブタ肝臓エステラーゼの天然に存在するモノマーから誘導できるサブユニットもそれに該当する。有利には得られる酵素の活性中心の周辺で改変された人工的に作成される突然変異形もそれに該当する。このことは、例えば配列番号1によるモノマーのサブユニットのAsp80、−awe186及びHis431の位置の周辺での突然変異に関する。それによって組み換えブタ肝臓エステラーゼの酵素活性及び選択性は規定の基質に関して増大されうる。【0014】更にブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットという用語には、翻訳後修飾によって本来の翻訳生成物から生じるその誘導体が該当する。【0015】組み換えブタ肝臓エステラーゼの個々のモノマーサブユニットは溶液中で特に機能性の酵素にマルチマーを形成できる。更に種々の型のサブユニットも結合しうる。更にまた該モノマー自体も、一般にマルチマーより弱い酵素活性を示す。【0016】こうして得られたブタ肝臓エステラーゼは高純度に優れている。特に、ブタ肝臓エステラーゼ抽出物中に存在する慣用の不純物をイソ酵素及び別のヒドロラーゼによって低減できる。組み換えブタ肝臓エステラーゼは更に、高められた部分的にどころか強く高められたエナンチオ選択性を示し、これは酵素的な有機合成での使用に関心が持たれている。また組み換えブタ肝臓エステラーゼが市販のブタ肝臓エステラーゼと反対の立体選択性を時々示すことも特に関心が持たれている。更に組み換えブタ肝臓エステラーゼは一様な品質で製造することができる。【0017】本発明の更なる対象は、本発明による組み換えブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットをコードする核酸又はかかる核酸配列と相補性であり、前記のサブユニットをコードする核酸とストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNA断片である。そのために通例のハイブリダイゼーション条件(例えば60℃、0.1×SSC、0.1%SDS)を用いることができる。【0018】更に有利な実施形においてコーディング領域の3′末端での翻訳の特異的な終止のために終止コドンを導入する。【0019】コーディングDNA配列を慣用のベクターにクローニングし、かつかかるベクターによる宿主細胞のトランスフェクションの後に細胞培養中で発現させることができる。適当なベクターは、例えばE.コリの形質転換のためのpUC19ベクター又はpCYTEXベクター又は酵母ピシア パストリス(Pichia pastoris)の形質転換のためのpPICZα−ベクターである。アスペルギルス種、シュワニオマイセス種(Schwanniomyces)、クルイベロマイセス種、ヤロイア種(Yarrowia)、アルクスラ種(Arxula)、サッカロマイセス種、ハンゼヌラ種又はピシア種の種の中で更に関心が持たれている単細胞生物が組み換え酵素の生体工学的発現のための宿主として適当であると見なされている。有利な宿主生物として、P.パストリスの他にサッカロマイセス セレビシエ、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus orycae)、シュワニオマイセス オキシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、クルイベロマイセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ヤロイア リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、アルクスラ アデニニブランス(Arxula adeninivrans)、ピシア メタノリカ(Pichia methanolica)、ピシア ギリエルモンディ(Pichia guilliermondii)又はハンゼヌラ ポリモルファ(Hansenula polymorpha)が挙げられる。【0020】コーディングDNA断片はベクター中でプロモーターに対するオープンリーディングフレームに存在せねばならない。プロモーターとしては、とりわけ強力なプロモーター、例えばlacプロモーター、λプロモーター、T7プロモーター、T4プロモーター、ラムノース誘導可能なプロモーター又はアルコールオキシダーゼ(AOXI)プロモーターが有利である。ベクターは他の機能的領域を有してよい。選択マーカー及び複製起点の他に、とりわけ遺伝子調節エレメント、例えばオペレーター、リプレッサー又は転写因子が関心が持たれている。特に組み換えブタ肝臓エステラーゼ又は機能性酵素自体の可逆的な、誘導可能な又は阻害可能な発現を可能にするベクターの構築物を使用してよい。ブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットの発現のための本発明によるコーディングDNA断片を有するベクターによるトランスフェクションのために有利な宿主細胞は単細胞性の原核生物又は真核性物、例えばアスペルギルス種、S.セレビシエ、ハンゼヌラ種、E.コリ又はP.パストリスである。【0021】従って本発明の更なる対象は本発明によるブタ肝臓エステラーゼ−サブユニット及び場合により該サブユニットに融合される他のN−末端ドメイン及び/又はC−末端ドメインをコードするDNA断片のベクターへのクローニングのための使用、細胞の形質転換のための前記ベクターの使用並びに形質転換されたかかる細胞又は細胞培養の組み換えブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットの発現のための使用である。発現されたサブユニットは、例えばモノマー形で単離できるが、またサブユニットを媒体中で酵素活性の組み換えブタ肝臓エステラーゼにマルチマー形成させること及び、引き続いて機能的な酵素を単離することも可能である。【0022】定常法で液体培養容器中で宿主細胞の培養及びブタ肝臓エステラーゼの分泌性発現は有利である。【0023】発現されたエステラーゼの活性は選択された基質の変換によって調査することができる。この場合にアセテート、例えばp−ニトロフェニルアセテートのエステラーゼ触媒による発色団分解も適当であるとみなされる。【0024】酵素活性の組み換えブタ肝臓エステラーゼの生体工学的発現の他に、突然変異誘発のためのDNA断片、発現ベクター又は発現系を使用してよい。更に発現可能な突然変異のブタ肝臓エステラーゼ及びそのモノマーサブユニットをその酵素活性に対して試験しかつ選択できる。突然変異誘発、発現及び選択の周期の多数の反復によって有機合成のためのテーラーメイドの酵素触媒を作成できる。その際、選択段階は発現された組み換え酵素を潜在的な基質を含有する反応バッチに添加することによって実施でき、その際、該変換は、例えば測光的に測定できる。【0025】組み換えブタ肝臓エステラーゼによる触媒反応のための基質としては、とりわけ芳香族−脂肪族の及び脂肪族−脂肪族のエステルが考慮され、この場合、とりわけキラル又はプロキラルのアルコールのカルボン酸エステルが考慮され、その際、該カルボン酸成分は有利には2〜6個、特に有利には2〜4個のC原子を含み、かつまた分枝していてよい。カルボン酸エステル、特にアセテートの酵素触媒的ラセミ分割はこの場合、高い乃至優れたエナンチオ選択性で進行する。配列番号1によるモノマーサブユニットを有する組み換えブタ肝臓エステラーゼの酵素活性の最適値は5〜10、有利には7〜9のpH値並びに20℃〜90℃、有利には30℃〜80℃、特に有利には40又は50℃〜60又は70℃の温度にある。【0026】更に本発明による組み換え酵素はカルボン酸のラセミ分割においても又はプロ立体異性形成性の化合物、特にジオール又はジカルボン酸の変換において使用できる。【0027】以下に本発明の明瞭化のために幾つかの実施例を挙げるが、限定するものではないと解釈されるべきである。【0028】一般的な使用される微生物、培地、ベクター及びオリゴヌクレオチドE.コリ株DH5α(F-endA1 hsdR17 (rk-,mk+) supE44 rhi-I λ gyrA96 relAI Δ(argF-laczya) U169)を以下に使用されるプラスミドの取得及び増幅のために使用する。E.コリ株DH5αをLB低塩(10gl-1の酵母エキス、1010gl-1のペプトン及び5gl-1のNaCl)中で培養する。培養溶液を50mgl-1のナリジキシン酸及び場合により100mgl-1のアンピシリン又は25mgl-1のゼオシン(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)と混合する。発現試験のために酵母ピシア パストリスX33(Invitrogen)を用いた。ピシア細胞の培養のために以下の培地を用いた:− YPD培地(1%の酵母エキス、2%のペプトン及び2%のグルコース);− YPDS培地(1Mのソルビトール中のYPD培地);− BMGY培地(1%の酵母エキス、2%のペプトン、100mMのリン酸カリウムpH6、アミノ酸ではなく硫酸アンモニウムでの1.34%の酵母−窒素ベース及び1%のグリセロール);− BMMY培地(BMGY培地、その際、0.5%の濾過滅菌されたメタノールを1%のグリセロールの代わりに使用する)これらの培地を100mgl-1のゼオシンと混合する。プレート作成可能な培地のために1.5%のアガーを添加する。【0029】E.コリ−P.パストリスのベクターpPICZαA(Invitrogen)を使用して、アルコールオキシダーゼ−プロモーターAOXIのコントロール下にあるブタ肝臓カルボキシエステラーゼをコードするDNA配列をクローニングした。PCRのために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーを第1表にまとめる。【0030】第1表【0031】【表2】【0032】一般的なDNA組み換え及び形質転換特に挙げられない限りはSambrook, J., Fritsch, E., Maniatis, T. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edn., Cold Spring Habour, NYによる標準的方法を使用する。プラスミド抽出及びDNA抽出のために、QIAprep Spin Miniprep Kit、Plasmid Midi Kit又はQIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen, Hilden, Germany)を使用する。使用される制限酵素はそれぞれ製造者の指示のもと使用する。DNA配列決定は両ストランドをもとにTaq Ready Reaction Dye DeoxyTM Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems, Weiterstadt, Germany)を用いて行う。配列決定生成物を同社の373DNA−シークエンサーを用いて分析する。コンピテントなE.コリ細胞の調製及び形質転換のためにChung, C.T., Niemela, S.L. & Miller, R.H. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 86, 2172-2175による標準的プロトコールを用いる。P.パストリスの形質転換はそれぞれのプラスミドを用いてエレクトロポレーションによって行う。【0033】例1:組織調製、mRNA単離及びcDNAのクローニング0.8gの新鮮なブタ肝臓組織を均質化し、かつ遊離されたポリA−mRNAをFast Track 2.0 Kit(Invitrogen)を使用して製造者による指示に従って単離する。mRNA抽出物を主体とするcDNA合成はRT−PCRによってcDNA CycleTM Kits(Invitrogen)を用いてオリゴ−dT−プライマーを使用してキットのプロトコールに従って実施した。RT−PCR産物を次いでブタ肝臓エステラーゼ(ブタ肝臓エステラーゼPLE)の増幅のためのテンプレートとして考慮する。遺伝子特異的プライマーとしてこの場合、オリゴヌクレオチドPLE−1F(配列番号2)及びPLE−2R(配列番号3)(第1表)が使用され、それによって同時にPCR産物のクローニングのために必要な制限切断部位が導入された。両方のプライマーをブタ肝臓のプロリン−β−ナフチルアミダーゼ(Matsushima, M., et al. (1991) FEBS Lett. 293, 37-41)のmRNA配列をもとに製造し、そこから該配列がPLEに相補性の配列の1つを有することが推測された。PCRをサーモサイクラー(Robocycle Gradient 40, Stratagene, La Jolla, CA, USA)で実施した。最初の5分間の95℃での変性工程の後に以下の温度プログラムによる28サイクルを行った:95℃で1分間、55℃で2分間及び72℃で3分間。【0034】精製されたPCR産物をその平滑末端を利用してpUC19ベクターのSmaI−制限切断部位にクローニングする。得られるpUC19−PLE−R−ベクターをE.コリDH5α株の形質転換のために用い、該プラスミドを形質転換された株の培養によって増幅させた。該プラスミドを組み換えE.コリ株から単離し、サイズ測定もしくは制限マッピングにより同定し、かつPLE−配列のPCR−増幅のためのテンプレートとして考慮した。増幅されたPLE配列を引き続き配列決定した。【0035】例2:E.コリ及びP.パストリスのための発現ベクターの構築E.コリにおけるクローニングされたPLEの細胞内発現のために、pUC19−PLE−RをNdeI及びEcoRIで切断し、それによって完全な天然に存在するPLE配列をコードする1705bp長の断片が得られた。得られた制限断片をpT1−BTL2(Belev, T.N. et al. (1991) Plasmid, 26, 147-150)のNdeI/EcoRI制限切断部位に挿入し、その際、新規のベクターpCYTEX−PLE(6652bp)が形成する。N末端のリーダー配列(mPLE)を有さないPLE配列の細胞周辺発現のために相応のDNA配列をプライマーPLE−3F(配列番号4)及びPLE−4R(配列番号5)(第1表)を用いて増幅させ、かつその平滑末端でpT1−ompA−BTL2ベクター(Rua, M.L., et al. Appl. Microbiol. Biotechnol. 49, 405-410)のpT1−ompA−BTL2配列にライゲーションし、同様にプライマーPLE−5F(配列番号6)及びPLE−6R(配列番号7)(第1表)を用いて増幅させてよい。得られるベクター(BTL2遺伝子をもはや有さない)をpCYTEX−ompA−mPLE(6682bp)と呼称し、これはmPLE遺伝子をompAリーダー配列に対するオープンリーディングフレームに、熱により誘導可能なλプロモーターのコントロール下に有する。P.パストリスにおけるmPLE遺伝子の発現のために、E.コリ−P.パストリスのベクターpPICZαA(Invitrogenによる)のα−因子シグナル配列の下流のオープンリーディングフレームにmPLE DNA配列をクローニングした。mPLE遺伝子を次いでプライマーPLE−7F(配列番号8)及びPLE−8R(配列番号9)(第1表)を用いて増幅し、増幅産物を制限酵素NdeI及びXbaIで切断し、かつpPICZαAベクターの相応の制限切断部位にライゲーションする。得られたベクターをpPICZα−mPLEと呼称する。【0036】更に、発現生成物がC末端のHAELテトラペプチドの欠失を有する発現ベクターを構築した。そのために、mPLE遺伝子をプライマーPLE−9F(配列番号10)及びPLE−10R(配列番号11)又はPLE−11R(配列番号12)を用いて増幅させた。両方のPCR産物をpPICZαAのEcoRI/XbaI−制限切断部位にライゲーションした。プライマーPLE−10Rを用いて作成した断片は、当初のpPICZαAベクターで既にコードされているmyc−ドメイン及びHisタグドメインを含有する融合タンパク質をもたらす。プライマーPLE−11の使用によって得られるPCR産物はC末端タグを有さない。それというのもプライマーによってpPICZαAベクターのタグドメインとの融合を妨げる終止コドンが導入されるからである。【0037】全ての得られるベクターpPICZα−mPLE(5183bp)、pPICZα−mPLE*−1(5170bp)及びpPICZα−mPLE*−2(5171bp)をPmeI制限切断部位で直鎖化し、かつP.パストリスにエレクトロポレーション(Invitrogen)で導入させる。製造されたベクターを図1で図示する。【0038】例3:E.コリDH5αにおける組み換えPLEの発現pCYTEX−PLE又はPCYTEX−ompA−mPLEベクターで形質転換されている組み換えE.コリDH5αを37℃でLB培地において200rpmで細胞密度OD578が0.8〜1.0に達するまで培養する。組み換えタンパク質の発現を42℃への温度増加によって誘導した。1時間ごとに試料を採取し、誘導の3〜4時間後に細胞を回収し、かつ−20℃で貯蔵するか、もしくはSDS−PAGE又は活性アッセイによって調査した。【0039】例4:培養及びP.パストリスにおける組み換えPLEの分泌的発現ゼオシン培地で選択された組み換えクローンをピックアップし、かつYPDS培地上で30℃において200rpmで、細胞密度OD600が約15に達するまで培養する。25mlのBMGY培地を200μlの前記の培養で接種し、かつ30℃で一晩培養した。次いで酵母細胞を3000g及び4℃での5分間の遠心分離によって単離し、かつBMMY誘導培地に移し、その際、該培養を細胞密度OD600が1.0になるまで培養する。前記の誘導を0.5%(v/v)のメタノールの毎日の添加によって行う。96時間の誘導後にこれらの細胞を遠心分離によって回収した。上清は組み換え酵素を含有し、これを4000g及び4℃での15分間の遠心分離によって20mlのセントリコン(NMWL30000, Ultracel-PL membrane, Millipore)を用いて濃縮する。培養の増殖期の間の活性及び濃縮された酵素含有培地の活性の測定をpNPAアッセイで測定し、これらのタンパク質をゲル電気泳動で同定した(より詳細な記載は引き続いて行う)。タンパク質濃度の比重測定のための参考として血清アルブミンを既知の濃度で使用した。【0040】例5:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動2ml又は20μlの10倍濃縮されたP.パストリス培養の上清に溶解された20μlの市販のブタ肝臓−カルボキシルエステラーゼ(100U、pNPAアッセイ後)を10μlの2×SDSサンプルバッファーと混合した。該溶液を95℃で5分間加熱した後に、これらのタンパク質を12.5%のポリアクリルアミドゲル、4%のスタッキングゲル上で分離する。これらの試料をタンパク質検出のためにクーマシーブリリアントブルーR250で染色した。エステラーゼ活性測定のためにこれらのタンパク質をトライトンX−100溶液(0.1Mのトリス/HCl中0.5%pH7.5)中で再生させた。次いでゲルを溶液A(5mlのアセトン中に溶解され、引き続き50mlの0.1Mのトリス/HCl(pH7.5)、50mlの0.1Mのトリス/HCl(pH7.5)中に溶解された50mgのFast Red TR塩が添加された20mgのα−ナフチルアセテート)及び溶液B(50mlの0.1Mのトリス/HCl(pH7.5)中に溶解された50mgのFast Red TR塩)からの1:1混合物を混合した。加水分解性のリパーゼ又はエステラーゼの活性の存在下に赤色のα−ナフチル形のFast Redが形成する(Krebsfaenger, N., et. al., (1998) Enzyme Microb. Technol. 22, 641-646)。【0041】例6:N−末端タンパク質配列決定市販のPLEフラクションを分離し、かつSDS−PAGEゲルからPVDFメンブレン上にブロットする(Matsudaira, P. (1987) J. Biol. Chem. 262, 10035-10038)。配列決定を気相シークエンサーを用いて実施する。【0042】例7:エステラーゼ活性の測定エステラーゼ活性を測光的にリン酸ナトリウムバッファー(50mM、pH7.5)中で測定する。p−ニトロフェニルアセテート(DMSO中に溶解して10mM)を基質として使用する。遊離されたp−ニトロフェノールの量を410nm(ε=12.36×103M-1cm-1)で室温において測定する。酵素活性を更に異なるpH値で測定した。単位Uとして、1マイクロモルのp−ニトロフェノールがアッセイ条件下に1分間あたり変換されるエステラーゼ活性を定義する。PLEの基質特異性をpHスタットアッセイを使用して測定した。そのために5%(v/v)のエステル(メチルブチレート、エチルカプリレート、エチルアセテート、トリオレイン、トリカプリリン)及び2%(w/v)のアラビアゴムを含有する30mlのエマルジョンに添加した。遊離酸を自動的にpHスタット(Schott, Mainz, Germany)を用いて0.01NのNaOHで7.5の一定pH値を保持するために滴定する。Uはアッセイ条件下での1分間あたりの1マイクロモルの酸消費に相当する。種々の温度での活性測定を基質としてのエチルカプリレートを用いてpH7.5で実施した。測定された最も高い活性を100%とした。【0043】例8:プロリン−β−ナフチルアミダーゼ活性の測定プロリン−β−ナフチルアミダーゼ活性を測光的に基質としてプロリン−β−ナフチルアミド(DMSO中の0.2mM)の使用下に測定する。該反応を0.1Mのトリス/HClバッファー(pH8.0)、50μlの基質を含有する混合物中で実施し、かつ組み換えのPLE調製物又は市販されるPLE調製物を37℃において30分間0.4U(pNPAアッセイによる)で混合する。該反応を1.5mlのカップリング試薬FastGarnet(シグマ)を添加することによって停止させる(Barret, A.J., (1997) Proteinases in Mammalian Cells and Tissues Barret, A.J., ed pp. 181-208, Elsevier, Amsterdam)。β−ナフチルアミンの遊離された量を520nm(ε=24.03×103M-1cm-1)で測定する。1Uのアミダーゼ活性を、1マイクロモルのβ−ナフチルアミンをアッセイ条件下に1分間あたりに遊離する酵素量として定義する。【0044】本来のリーダー配列とPLEとを含有するベクターpCYTEX−PLE及びmPLE核酸配列を含有するpCYTEX−PLE−ompA−mPLEのPLE発現産物を、エステラーゼ酵素を細胞周辺腔に分泌することを保証すべきであるompA−リーダー配列と融合する(図1の2)と3)(Beer, H.D., et. al., biochim. Biophys. Acta. 1399, 173-180)はベクター構築物を図示している)。トランスフェクションされた培養は酵素活性の本来の又は組み換えのブタ肝臓エステラーゼを発現できず、SDS−PAGE及びエステラーゼ活性アッセイでの調査は陰性であった。【0045】P.パストリスにおける組み換えブタ肝臓エステラーゼの発現のために、図1の4)〜6)に示されるベクターを考慮する。図1の5)に示されるベクター(pPICZα−mPLE*−1)はN−末端分泌シグナルα(α−因子)の他にC末端タグmyc及びHis(6×)を有し、これら両者はベクターpPICZαAに由来する。図1に示される構築物6)(pPICZα−mPLE*−2)はC末端タグを有さない。それというのも読み枠において本願では相応のベクター領域の前に終止コドンを挿入したからである。該ベクター構築物においては、本来のブタ肝臓エステラーゼ中に存在するC−末端HAELをC末端で欠損している。3番目に製造されたP.パストリスのベクター(pPICZα−mPLE、図1,4))は更にC末端に天然のテトラペプチド配列HAEL(ER)を有する。これらのベクターを直鎖化し、かつそのP.パストリスでトランスフェクションした。30クローンの上清をそれぞれクローニングされた酵素の活性発現に対してpNPA−アッセイを用いて調査した。図1の4)のベクターの場合にエステラーゼ活性は認めることはできなかった。それに対して、図1の5)又は6)による本来のC末端に対してコーディング領域を欠損するベクターを使用することによって活性に発現できかつ分泌されうることを示すことができた。1つずつのC末端タグを有するクローン及び有さないクローンをピックアップし、かつ更に特徴付けした。【0046】他の調査のために用いられる上清の活性をピックアップされたクローンの96時間の培養の後にpNPAアッセイを用いて0.5U/mlに規定した。遠心分離による酵素の濃縮の後に、10U/mlの活性が生じ、これは約500U/mgの特異的タンパク質活性に相当する。商Vmax/Kmは本発明による組み換えブタ肝臓エステラーゼの場合に基質としてのpNPAについて139分-1mg-1である(市販のブタ肝臓エステラーゼ抽出物に対する値を以下の第2表に列記する。【0047】第2表:【0048】【表3】【0049】本発明による組み換えPLEはエチルカプリレート及びトリブチリンを約50U/mgの活性で分解し、かつエチルアセテートを約20U/mgの活性で分解する。トリオレインは純粋なエステラーゼについて想定されるように分解されない。市販の抽出物(Fluka 又は Roche キラザイム(Chirazyme) E-2))はそれに対してトリオレインを加水分解し、これはリパーゼ又はPLEイソ酵素によるコンタミネーションを示している。【0050】図2はSDS−PAGE分析(左)及び活性検出(右)を示している。本発明による組み換えブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットの分子量(C末端タグを有する配列番号1、図2中のレーン1及び2、Mw 分子量標準)はSDS−PAGE分析で測定して約61〜62kDaである。Fast Redによる活性分析は本発明による組み換えブタ肝臓エステラーゼ(0.4U)について鋭いバンドを示し、それに対して市販の抽出物は不鮮明であり、これは種々のイソ酵素もしくは別のヒドロラーゼの存在に起因しうる(4UのPLE-Fluka、レーン3、4UのPLE-キラザイム-E2、レーン4、図2)。【0051】種々の温度及びpH値におけるエチルカプリレートの加水分解に関する酵素活性の測定は60℃(pH7.5)において最適値を示し、その際、本発明によるエステラーゼは70℃で完全に不活性化され、かつ約pH8において最適値を有する。【0052】図3は本発明による組み換えPLE(rPLE)及び市販のPLE抽出物(PLE-Fluka, キラザイム E2)の基質カプリル酸−エチルエステル、酢酸−エチルエステル、トリブチリン及びトリオリンに関する相対活性を示している。【0053】図4は基質プロリン−β−ナフチルアミド(PNA、黒いバー)及びメチルブチレート(白いバー)についての酵素の相対活性を示している。【0054】例9:得られる組み換えブタ肝臓エステラーゼの更なる特徴付け本来のポリアクリルアミドゲル電気泳動10μlの市販のPLE(0.1U)及び5〜10μlのP.パストリス培養の濃縮された上清を10μlのサンプルバッファーと混合した。これらの試料を7.5%のポリアクリルアミドゲル、4%のスタッキングゲルで分離した。これらのゲルを活性染色し、次いでクーマシーブリリアントブルー染色を行った。【0055】図5は組み換えPLE及び市販のPLEの本来のPAGEの結果を示している。Mw:分子量標準:(272kDa、ジャックビーンウレアーゼ(Jack Bean Urease)(三量体);132kDa(二量体)及び66kDa(単量体)、ウシ血清アルブミン;45kDa、鶏卵アルブミン;レーン1:0.1UのFluka PLE;レーン2:0.07Uのキラザイム E-2;レーン3〜6:0.1、0.045、0.09及び0.045UのrPLE(種々の培養からの試料)、単位はpNPA試験に基づく。【0056】等電点焦点化P.パストリス培養の1〜5μlの濃縮された上清(0.02〜0.1U)を10μlのサンプルバッファーと混合した。これらの試料を両性電解質担体(2.4%;pH3〜10;Serva)を含有する5%のポリアクリルアミドゲル上で分離した。これらのゲルを活性染色し、トリクロロ酢酸溶液で固定し(10%(w/v)で10分、次いで1%(w/v)で一晩)、引き続きクーマシーブリリアントブルー染色を行った。組み換えPLEの等電点はpI:4.78である。【0057】例10:アセテートのエステラーゼ触媒によるラセミ分割エステラーゼ触媒による加水分解のために10ミリモルのアセテートをリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5、50ミリモル)中に溶解させ、かつ1mlの反応容器に添加し、かつラセミ分割を0.5ユニット(pNPA試験に対する)のエステラーゼの添加によって開始させた。反応の中断のために該混合物をメチレンクロリドで抽出し、かつ有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。エナンチオマー純度及び変換率の測定をガスクロマトグラフィー(カラム:ヘプタキス(2,6−O−メチル−3−O−ペンチル)−β−シクロデキストリン、キャリヤーガス:H2、火炎イオン化検出器)により行った。【0058】以下のアセテート基質を酵素的に変換させた:1−フェニル−1−エチルアセテート1、1−フェニル−2−プロピルアセテート2、1−フェニル−2−ブチルアセテート3、1−フェニル−1−プロピルアセテート4、1−フェニル−3−プロピルアセテート5、1−フェニル−2−ペンチルアセテート6【0059】【化1】【0060】ブタ肝臓エステラーゼによる動力学的なラセミ分割の生成物(アルコール)を相応して1a〜6aで明示する。【0061】滞留時間:1(100℃等温):(S)−1、3.7分;(R)−1、5.8分;(R)−1a、6.7分;(S)−1a、7.6分;2(75℃等温):(S)−2、26.5分;(R)−2、42.3分;(S)−2a、32.6分;(R)−2a、34.2分;3(90℃等温):(S)−3、17.6分;(R)−3、20.2分;(S)−3a、24.8分;(R)−3a、27.4分;4(80℃等温):(S)−4、13.9分;(R)−4、20.9分;(S)−4a、51.5分;(R)−4a、44.6分;5(100℃等温):(S)−5、15.6分;(R)−5、28.7分;(S)−5a、19.1分;(R)−5a、20.5分;6(90℃/30′//5℃/分//110℃):(S)−6:29.1分及び(R)−6、30.4分;(S)−6a、37.3分及び(R)−6a、38.3分。【0062】絶対配置の測定絶対配置は1については市販の(R)−1との比較に基づくものである。2、3及び4の場合には関連として文献から公知のリパーゼAmano PSの(R)−選択性を用いた(Gutman, A.L., et. al., Tetrahedron: Assymmetry(1993)4, 839-844)。絶対配置は5については市販のリパーゼ:リパーゼAmano AKの文献から公知の選択性に基づき、1−フェニル−3−ブタノール(5a)についてはR−選択性(K. Burgess, LD Jenning, J. Am. Chem. Soc 1991, 113, 6129)に基づくものである。6についての絶対配置は光学的に純粋なアルコールの旋光度の測定及び文献データ(U. P. Dhokte, P. M. Pathare, V. K. Mahindroo, H. C. Brown, J. Org. Chem. 1998, 63, 8276-8283)との比較に基づくものである。【0063】エナンチオ選択性EはChen, C. S. et al., J. Am. Chem. Soc. 104 (1982), 7294に従って計算できる。【0064】結果を第3表から第8表にまとめる。【0065】第3表:(R,S)−1−フェニル−1−エチルアセテート1の動力学的ラセミ分割における種々のブタ肝臓エステラーゼのエナンチオ選択性【0066】【表4】【0067】第4表:(R,S)−1−フェニル−2−プロピルアセテート2の動力学的ラセミ分割における種々のブタ肝臓エステラーゼのエナンチオ選択性【0068】【表5】【0069】第5表:(R,S)−1−フェニル−2−ブチルアセテート3の動力学的ラセミ分割における種々のブタ肝臓エステラーゼのエナンチオ選択性【0070】【表6】【0071】第6表:(R,S)−1−フェニル−1−プロピルアセテート4の動力学的ラセミ分割における種々のブタ肝臓エステラーゼのエナンチオ選択性【0072】【表7】【0073】第7表:(R,S)−4−フェニル−2−ブチルアセテート5の動力学的ラセミ分割における種々のブタ肝臓エステラーゼのエナンチオ選択性【0074】【表8】【0075】第8表:(R,S)−1−フェニル−2−ペンチルアセテート6の動力学的ラセミ分割における種々のブタ肝臓エステラーゼのエナンチオ選択性【0076】【表9】【0077】該実施例は、使用される組み換えブタ肝臓エステラーゼが酵素抽出物に対して高いエナンチオ選択性を示すことを示す。このことは、特に2位又は3位でエステル化されているフェニル−アルキル−アセテートの場合に明確である。【0078】例11:酵素基質の製造基質は化学的な標準的方法に従って製造できる。以下に基質(2)〜(6)及び前駆体(6a)の合成を記載する。全ての別の基質は商業的に得られる。【0079】40ミリモルの酢酸塩化物を20mlのピリジン中に4℃で溶解させる。引き続き激しい撹拌下に40ミリモルのアルコール(1−フェニル−2−プロパノール2a、1−フェニル−2−ブタノール3a、1−フェニル−1−プロパノール4a、1−フェニル−3−プロパノール5a、1−フェニル−2−ペンタノール6a)を滴加し、20時間室温で混合する。次いで該反応混合物をジエチルエーテルと混合し、かつ飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、かつ溶剤を回転蒸発器上で除去する。該アセテートを引き続きシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エステル、5:1)によって91%(2)、74%(3)、43%(4)もしくは87%(5)の収率で単離する。アセテート(6)をカラムクロマトグラフィーによってヘキサン:酢酸エステル3:1で25%(6)の収率で単離する。【0080】(R,S)−1−フェニル−2−ペンタノール(6a)の合成80ミリモルのプロピルマグネシウムクロリドからのグリニャール試薬溶液(16mlのエーテル性溶液)において撹拌下に100ミリモルのフェニルアセテートアルデヒドを同容量の無水エーテル中に滴加する。添加が完了した後に、反応混合物を2時間撹拌下に水浴上で加熱し、かつ次いで冷却する。細かく砕いた氷を添加し、かつ引き続き生成する沈殿物が溶解するほど多量の半濃縮された塩酸を添加する。エーテル層を分離し、かつ水相を更にエーテルで2回抽出する。精製された抽出物を飽和亜硫酸水素ナトリウム溶液、炭酸水素塩溶液及び少量の水で洗浄する。無水の硫酸ナトリウム上での乾燥の後にエーテルを留去し、かつ残留物を蒸留によって分画する。生成物は48%の収率で単離された。【図面の簡単な説明】【図1】 図1は1)pUC19−pPLE、2)pCYTEX−PLE、3)pCYTEX−ompA−mPLE、4)pPICZα−mPLE、5)pPICZα−mPLE*−1、6)pPICZα−mPLE*−2の個々のベクターを示している。【図2】 図2は本発明による組み換えブタ肝臓エステラーゼ−サブユニット(レーン1及び2)、4UのPLE-Fluka(レーン3)、4UのPLE-キラザイム-E2(レーン4)のSDS−PAGE分析(左)及びFast Redによる活性検出(右)を示している。【図3】 図3は本発明による組み換えPLE(rPLE)及び市販のPLE抽出物(PLE-Fluka, キラザイム E2)の基質カプリル酸−エチルエステル、酢酸−エチルエステル、トリブチリン及びトリオリンに関する相対活性を示している。【図4】 図4は基質プロリン−β−ナフチルアミド(PNA、黒いバー)及びメチルブチレート(白いバー)についての酵素の相対活性を示している。【図5】 図5はpNPA試験に基づく単位による、0.1UのFluka PLE(レーン1);0.07Uのキラザイム E-2(レーン2);0.1、0.045、0.09及び0.045UのrPLE(種々の培養からの試料)(レーン3〜6)を用いた組み換えPLE及び市販のPLEの本来のPAGEの結果を示している。Mw:分子量標準:(272kDa、ジャックマメウレアーゼ(三量体);132kDa(二量体)及び66kDa(単量体)、ウシ血清アルブミン;45kDa、鶏卵アルブミン。【配列表】 ブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニットにおいて、該組み換えサブユニットがC末端のHAEL配列が存在しないように4〜50個のアミノ酸配列を欠損する、のアミノ酸配列で示されるタンパク質であることを特徴とするブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニット。 前記サブユニットがC末端において4〜10個のアミノ酸を欠損する、請求項1に記載のブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニット。 C末端において天然に存在するブタ肝臓エステラーゼ中に存在するヒスチジン、アラニン、グルタミン酸及びロイシンの配列(HAEL)を欠損する、請求項1に記載のブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニット。 配列番号1をコードするポリヌクレオチド配列に対して相補的なポリヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列によってコードされた、エステラーゼ活性を有するブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニットにおいて、前記ストリンジェントな条件が、0.1×SSC及び0.1%のSDS中における60℃でのハイブリダイゼーションを含み、かつ前記エステラーゼがC末端において4〜50個のアミノ酸を欠損していることを特徴とするブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニット。 前記サブユニットがC末端において4〜10個のアミノ酸を欠損する、請求項4に記載のブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニット。 C末端において天然に存在するブタ肝臓エステラーゼ中に存在するヒスチジン、アラニン、グルタミン酸及びロイシンの配列(HAEL)を欠損する、請求項4に記載のブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニット。 前記のサブユニットがN−末端において1〜50個のアミノ酸を欠損する、請求項1又は4に記載のブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニット。 N−末端に分泌シグナルドメインが、かつ/又はC−末端にはタグドメインが融合されている、請求項1又は4に記載のブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニット。 該サブユニットが翻訳後修飾を有する、請求項1又は4に記載のブタ肝臓エステラーゼの組み換えサブユニット。 請求項1又は4に記載のブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットをコードするDNAからなる遺伝子又は、該DNAとストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸配列又は部分配列に相補性であるDNAからなる遺伝子。 コーディング領域の3′−末端に終止コドンを有する、請求項10に記載のブタ肝臓エステラーゼのサブユニットをコードするDNA。 請求項10又は11に記載の核酸配列を有するDNA断片を有するベクター。 請求項1から9までのいずれか1項に記載のブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットを有する酵素的に活性な組み換えブタ肝臓エステラーゼ。 該サブユニットが翻訳後修飾を有する、請求項13に記載の酵素的に活性な組み換えブタ肝臓エステラーゼ。 発現ベクターの製造のための、請求項10又は11に記載のDNAの使用。 トランスフェクションされた細胞培養の製造のための、請求項12に記載のベクターの使用。 請求項12に記載のベクターで形質転換されている細胞を含む発現系。 該細胞が単細胞性の原核生物又は真核生物である、請求項17に記載の発現系。 細胞が、アスペルギルス種、シュワニオマイセス種、クルイベロマイセス種、ヤロイア種、アルクスラ種、サッカロマイセス種、ハンゼヌラ種、ピシア種又はE.コリ細胞である、請求項17又は18に記載の発現系。 突然変異の組み換えブタ肝臓エステラーゼ−サブユニット及び機能的酵素の製造のための、請求項10又は11に記載のDNA又は請求項12に記載のベクター又は請求項17から19までのいずれか1項に記載の発現系の使用。 酵素的に活性なブタ肝臓エステラーゼの定方向進化のための、請求項10又は11に記載のDNA又は請求項12に記載のベクター又は請求項17から19までのいずれか1項に記載の発現系又は請求項1から9までのいずれか1項に記載のブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットの使用。 請求項12に記載のベクターを有する細胞培養による、請求項1から9までのいずれか1項に記載のブタ肝臓エステラーゼ−サブユニットの発現。 請求項12に記載のベクターを有する細胞培養による、請求項13又は14に記載の酵素的に活性なブタ肝臓エステラーゼの発現方法。 用いられる細胞培養が単細胞性の原核生物又は真核生物である、請求項13又は14に記載の酵素的に活性なブタ肝臓エステラーゼの発現方法。 有機合成における触媒としての、請求項13又は14に記載のブタ肝臓エステラーゼの使用。 カルボン酸エステルのエステラーゼに触媒されるラセミ分割のための、カルボン酸のラセミ分割のための、又はプロ立体異性形成性の化合物の変換における、請求項13又は14に記載のブタ肝臓エステラーゼの使用。 触媒として、請求項13又は14に記載の組み換えブタ肝臓エステラーゼを使用する、エステラーゼに触媒されるラセミ分割方法。


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