タイトル: | 特許公報(B2)_Lactobacillusparacaseiの新規株 |
出願番号: | 2002524045 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C12N 1/20,A23C 9/123,A23C 19/032 |
アントンソン マーティン モリン ゴラン JP 4789396 特許公報(B2) 20110729 2002524045 20010828 Lactobacillusparacaseiの新規株 プロビ エービー 500045257 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 小原 健志 100086427 中川 博司 100090066 舘 泰光 100094101 斎藤 健治 100099988 藤井 淳 100105821 関 仁士 100099911 中野 睦子 100108084 アントンソン マーティン モリン ゴラン SE 0003100-5 20000901 20111012 C12N 1/20 20060101AFI20110921BHJP A23C 9/123 20060101ALI20110921BHJP A23C 19/032 20060101ALI20110921BHJP JPC12N1/20 AA23C9/123A23C19/032 C12N 1/20 A23C 9/123 A23C 19/032 国際公開第99/029833(WO,A1) 国際公開第97/009448(WO,A1) 国際公開第99/062348(WO,A1) 9 DSMZ DSM 13432 DSMZ DSM 13434 SE2001001823 20010828 WO2002018542 20020307 2004507265 20040311 14 20080709 上條 肇 【0001】本発明は、発酵乳製品、特にプロバイオティックチーズ(probiotic cheese)の製造のために使用され得るラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)の新規株に言及する。【0002】発明の背景スウェーデンのチーズは、乳酸菌のスターターカルチャー(starter culture)によって発酵された低温殺菌牛乳(pasteurised cows milk)から製造される。酸性化されたミルクは、レンネット(キモシン)によって凝固され、そして凝固されたミルクは、切断されそして撹拌される。ホエーおよびチーズグレイン(cheese grains)の混合物は、徐々に加熱される。ホエーは分離され、そしてチーズグレインは、チーズへと圧縮されて、これは加塩(salted)されそして熟成される;ホエー分離および圧縮の順序(order)は、チーズの種類に依存する。熟成の間、主に乳酸菌の二次フローラ(secondary flora)が自然に増殖する。【0003】スウェーデンの硬質および半硬質チーズは、熟成の間、自然に増殖する二次ミクロフローラ(secondary microflora)[しばしば、非スターター乳酸菌(non-starter lactic acid bacteria)、NSLABと呼ばれる]によって支配される。この自発的フローラ(spontaneous flora)は、添加されたスターターカルチャーに続き、そしてチーズを熟成させる選択的条件下で増殖する。NSLABは、低温殺菌に耐えた後に生乳と共に、あるいはチーズ製造のために使用される他の成分と共に、酪農プラント(dairy plant)へ入ると考えられる。スウェーデンおよびノルウェーのチーズに最も一般的に見られるNSLABは、Lactobacillus属そして特にLactobacillus paracasei種に属する。Lindberg, A. -M.ら, Bacterial flora of Norwegian and Swedish semi-hard cheese after ripening, with special reference to Lactobacillus, Netherlands Milk & Dairy Journal 50 (1996) 563-572を参照のこと。NSLABは、熟成の数日後に増殖し始め、そして熟成の1ヶ月後に約106〜107cfu/gのレベルに達し、そしてこのレベルは少なくとも5ヶ月間維持される。チェダーチーズは、乳酸桿菌(lactobacilli)によって支配されるNSLABの同一の発達を示す。チェダーから報告される種の例は、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantarumおよびLactobacillus brevisであるが、通常、優勢種(dominating species)は、Lactobacillus caseiまたはLactobacillus paracaseiである。NSLABが制御されないので、ある程度のチーズ品質のバリエーションがNSLABの組成の変動(variability)に起因することは、もっともらしい。熟成のプロセスおよびNSLABの自然発生的フローラ(spontaneous flora)の増殖を制御するために、例えばLactobacillusの株の純粋なカルチャーが、チーズ製造における添加物として使用された。この添加物は、一般的に、チーズ製品の香り(aroma)および風味(flavour)に対して効果[;該効果は予測可能でなく、そして試行錯誤によって試験されなければならない]を有する。【0004】乳製品中のプロバイオティック微生物は、この十年間、熱心な研究についての対象であった。プロバイオティック生物(例えば、LactobacillusおよびBifidobacterium種)を含む乳製品の潜在的健康促進効果は、上記研究を刺激した。プロバイオティック細菌は、消化時にある数において健康利益を奏する、“その微生物バランスを改善することによって宿主動物に有益な影響を与える、生きている微生物フィードサプリメント(a live microbial feed supplement which beneficially affects the host animal by improving its microbial balance)"として記載される(Fuller, R., Probiotics in man and animal, Journal of applied Bacteriology, 66 (1989) 365-378)。機能的プロバイオティックスの選択についての望ましい特徴が、Klaenhammer, T. R. ら, Selection and design of probiotics, International Journal of Food Microbiology 50 (1999) 45-47によって、要約および記載されている。選択基準は、4つの基本的カテゴリー、即ち、無毒性のような適切性(appropriateness)、バイアビリティーのような技術的適性(technological suitability)、腸内で生き残る能力である競合性(competiveness)、性能(performance)および機能性(functionality)に分けられると言われている。これらの基準がインビボで機能性に影響を与える機構を理解することは、将来における主な課題を示すだろう。【0005】先行技術以前の研究は、ビフィズス菌(bifidobacteria)および多数のプロバイオティックLactobacillus株が、硬質チーズ(例えば、チェダーチーズおよびゴーダチーズ)中で十分に生き残り得ることを実証した。【0006】Gomes, A. M.ら, Incorporation and survival of Bifidobacterium sp. strain Bo and Lactobacillus acidophilus strain Ki in a cheese product, Netherlands Milk & Dairy Journal 49 (1995) 71-95は、スターターとしてビフィズス菌(Bifidobacterium)の株およびL. acidophilusの株の組み合わせを使用してのプロバイオティックゴーダチーズの製造を開示している。両種とも比較的十分に生き残るが、官能特性(sensory properties)は悪影響を受けることが見出された。【0007】Dinkarら, Growth and viability of Bifodobacterium bifidum in Cheddar cheese, J Dairy Sci 77:2854-2864, 1994は、チェダーへのBifidobacterium bifidumの混合を開示している。チーズ製造の後期(例えば、ミリング(milling)または加塩(salting))に該菌を添加物(adjunct)として添加すると、熟成6ヶ月後にチーズの品質に対する悪影響なしに良好なバイアビリティー(viability)(107cfu/g)が得られた。この研究に続いて、熟成の8ヶ月の期間にわたってチェダーにおいて研究された、多数のプロバイオティックLactobacillus株、L. salivariusおよびL. paracaseiの性能である、試行が行なわれた;Gardinerら, Development of a probiotic Cheddar cheese containing human-derived Lactobacillus paracasei strains, Applied and Environmental Microbiology, 292-2199, June 1998。プロバイオティックL. paracasei株は、チーズ中で多数へと増殖しそして官能特性ではなく蛋白質分解に影響を与えたので、添加物として特に好適であると結論付けられた。【0008】発明の説明本発明は、チーズの製造において添加物として使用され得るLactobacillus paracaseiの新規のプロバイオティック株に言及し、該株は、チーズにおける有利な生存特性(survival properties)および良好な風味をチーズに与える能力を有する。【0009】本発明は、特に、乳製品におけるプロバイオティックスとして使用され得、そしてチーズの製造において添加物(adjunct)として使用される場合、胃腸管で生き延び(surviving)そして味の良いチーズ製品を提供することを特徴とする、Lactobacillus paracaseiの株に言及する。【0010】好ましい局面によれば、本発明は、株Lactobacillus paracasei 8700:2[これは、2000年4月10日に、DSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Mascheroder Weg 1b, 38124 Braunschweig, Germanyに寄託され、そして受託番号DSM 13434が与えられた]またはその変異株に言及する。図1は、この株のREA−プロフィール、即ち、制限酵素Hind III(レーンC)、Cla I(レーンB)およびEco RI(レーンA)で切断した後の全染色体DNAから得られた制限エンドヌクレアーゼ分析プロフィール(Restriction Endonuclease Analysis profile)を示す。STDは、High Molecular Marker(Life Technologies)およびDNA Molecular Weight Marker VI(Rouche Molecular Biochemicals, Boehringer Mannheim)の組み合わせである、サイズマーカー(size marker)を示す。【0011】別の好ましい局面によれば、本発明は、株Lactobacillus paracasei 02A[これは、2000年4月10日に、DSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Mascheroder Weg 1b, 38124 Braunschweig, Germanyに寄託され、そして受託番号DSM 13432が与えられた]またはその変異株に言及する。図2は、この株のREA−プロフィール、即ち、制限酵素Hind III(レーンC)、Cla I(レーンB)およびEco RI(レーンA)で切断した後の全染色体DNAから得られた制限エンドヌクレアーゼ分析プロフィールを示す。STDは、High Molecular Marker(Life Technologies)およびDNA Molecular Weight Marker VI(Rouche Molecular Biochemicals, Boehringer Mannheim)の組み合わせである、サイズマーカーを示す。【0012】REA−分析は、Johanssonら, International Journal of Systematic Bacteriology (1995) 10, 670-675に従って行った。【0013】図3は、株02A(レーン2)および株8700:2(レーン3)のRAPD−プロフィールを示す。レーン1および4は、DNA Molecular Weight Marker VI(Rouche Molecular Biochemicals, Boehringer Mannheim)である。RAPD−分析は、以下の「材料および方法」に記載のように行なった。【0014】本発明の新規株は、発酵乳製品、ヨーグルトおよびアイスクリーム、スプレッド(spread)、フレッシュチーズ(fresh cheese)、硬質および半硬質チーズ(カーフ−レンネット(calf-rennet)を用いて製造されそして脂肪含有量5〜50%を含む)、ソフトチーズ、ならびにカルゲ(quarge)およびカルゲベース製品(脂肪含有量0.1〜40%を含む)、ならびに発酵ドレッシング(fermented dressing)有りまたは無しのケソ(keso)あるいはカード(curd)中の生菌のような、任意の乳フード製品(dairy food product)におけるプロバイオティックとして使用され得る。【0015】本発明に従う株の好ましい使用は、チーズの製造における添加物(adjunct)としてである。【0016】本発明はまた、本発明の新規株の1以上を含有する乳フード製品に言及する。フード製品中のプロバイオティック株の含有量は、106〜109cfu/g、好ましくは107cfu/g超であるべきである。【0017】好ましい局面によれば、本発明は、株Lactobacillus paracasei 8700:2, DSM 13434を含有する、改善された風味(flavour)を有する硬質または半硬質チーズ;あるいは、株Lactobacillus paracasei 02A, DSM 13432を含有する、改善された風味を有する硬質または半硬質チーズを言及する。【0018】別の局面によれば、本発明はまた、慣用のヨーグルトカルチャー(cultures)と混合されて、株Lactobacillus paracasei 8700:2, DSM 13434、またはLactobacillus paracasei 02A, DSM 13432を含有するヨーグルトを言及する。【0019】実施例チーズモデルにおけるプロバイオティック株のスクリーニングテスト腸起源の15の異なるLactobacillus株(Lactobacillus rhamnosus 11株、Lactobacillus paracasei 3株、およびLactobacillus plantarum 1株)を、チーズ中で増殖しそして生き延びる能力、およびチーズ風味に対する影響をモニターする、チーズモデルにおけるスクリーニング試験において、テストした。該異なる株は、Molin, G.ら, Numerical taxonomy of Lactobacillus spp. associated with healthy and diseased mucosa of the human intestines, Journal of Applied Bacteriology 74 (1993) 314-323に記載の方法を使用して、ヒト腸から得た。【0020】このテストの結果として、該株のうちの4つを、更なる研究のために選択した;該株を以下の表1に示す。【0021】【表1】【0022】30+ラウンド−アイド(round-eyed)チーズにおけるプロバイオティック株のスクリーニングテストこの研究は、乾物中(in dry matter)少なくとも30%脂肪を含むラウンド−アイド(round-eyed)チーズ中の添加物としての、3株のLactobacillus paracaseiおよび1つのLactobacillus plantarum株(全てヒト腸粘膜から単離した)の性能(performance)を調べる。【0023】該テスト株は上記の表1に示される。【0024】材料および方法チーズ製造チーズを、低温殺菌した(pasteurised)(73℃、15秒)牛乳(Skanemejerier, Horby, Sweden)から、標準プロトコルに従って、400 l バット(vat)中で製造した。製造したチーズは、乾物中30%脂肪を含む半硬質ラウンド−アイド(round-eyed)であった。チーズミルク(cheese milk)に、テスト株106cfu/mlを接種した。解凍された凍結バッファーからの、乳酸スターターカルチャーの接種(30分)後、該テスト株を該ミルクに添加した。各バッチは約10kgの4つのチーズを製造し、その中から、3つを12℃で熟成させ、そして1つを初めは16℃で14日間そしてその後12℃で熟成させた。チーズをプラスチック箔において熟成させた。チーズ製造を4重で行った。4つのバッチを各週製造した(異なる添加物を含む3バッチ、および添加物を含まない1コントロールバッチ)。製造順序は、各週についてランダムにした。総計22バッチを製造した(6コントロールバッチ、および4添加物カルチャーの各々を含む4バッチ)。【0025】チーズ分析異なる添加物を用いて製造した2つの別個のバッチおよび2つのコントロールバッチを、熟成5ヶ月後にサンプル化した(各バッチから1チーズ)。残りの4コントロールバッチおよび異なる添加物を含む2重バッチを、熟成6ヶ月後にサンプル化した(異なる開始温度で熟成した各バッチから2チーズ)。チーズを、官能特性(sensory properties)、微生物学的特性、および物理化学的特性についてサンプル化した。【0026】チーズの微生物学的サンプリング10gのサンプルを、チーズの中央から無菌で回収し、そして2.5分間Stomacher(Seward Medical Limited, London SE1 1PP, UK)において2%クエン酸ナトリウム溶液90mlでホモジナイズした。慣用的な希釈およびプレーティング(plating)後、全好気性および嫌気性生存カウント(viable counts)を、4日間28℃でインキュベートしたBrain Heart Infusion寒天(BHI;Difco, Sparks, USA)上で行なった。Lactobacilliの生存カウントを、4日間28℃で嫌気的にインキュベートしたRogosa寒天(Merck, Darmstadt, Germany)上で分析した。【0027】チーズからの微生物の単離7コロニーを、各サンプルからランダムに選んだ。2つを全生存カウント(BHI寒天)から、そして3つをLactobacilliの選択的生存カウント(Rogosa寒天)から選んだ。20コロニー以上を含むカウント可能なプレートを使用した。【0028】微生物学的分析REA−分析染色体DNAを、Johanssonら, 1995のプロトコル(上記を参照のこと)に従って、制限エンドヌクレアーゼ分析(Restriction Endonuclease Analysis)(REA)のために調製した。染色体DNAを、共有結合的に閉環された環状プラスミドDNA(プラスミドDNAの大半)から、臭化エチジウムを含むCsCl勾配中、色素浮遊密度遠心(dye buoyant densisty centrifugation)によって、分離した。プラスミドDNAの線状および開環状形態のいくらかは、依然として、調製物中に存在し得るが、最終結果に僅かに寄与するのみである。染色体DNAの濃度を、蛍光計(Model TKO 100, Hoefer Scientific Instruments, San Fransisco, USA)においてモニターした。DNA(0.75mg)を、10単位のHindIII、CLAIまたはECORI(Boehringer)で、4時間、37℃で別々に消化させた。ゲルの電気泳動およびスキャンニングを、Johanssonらによって記載されるように行なった。150〜235mmのサイズの水に浸した水平の(submerged horizontal)0.9%アガローススラブゲル(agarose slab gels)を使用した。0.2mg量の高分子量DNAマーカー(8.5〜48.5kbの分子量のDNAフラグメントを含む)(Bethesda Research Laboratories, BRL)および0.5mgのDNA分子量マーカーVI(0.2〜2.2kbの分子量のDNAフラグメントを含む)(Boehringer Mannheim)を、基準として使用した。ゲルを、8.5℃で18時間、40Vの一定電圧でランした。緩衝液を、ラン期間の間、再循環させた。その後、ゲルを、臭化エチジウム(2mg/ml)中で20分間染色させ、蒸留水中に供せられ(destined)、UVトランスルミネーター(UVP Inc., SanGabriel, USA)を用いて302nmで可視化し、そして撮影した。ゲル電気泳動をランするこの方法は、十分に分散されそして比較的十分に分離されたバンド(約1.8kbの分子量に至るまで)を与える。フォトネガティブ(photonegatives)上のREA−パターンを、200dpiの解像度の平台型スキャナーを備えるコンピュータへスキャンした。ゲル画像を、次いで、BioNumericsフォーマット(Applied Maths, Kortrijk, Belgium)に変換した。標準化とゲルの全ての更なる分析を、BioNumerics 1.0において行なった。ゲルトレース(gel traces)を、ピアソンの積率相関係数(Pearson product moment correlation coefficient)および群平均法(the unweighted pair group method by arithmetic averages)(UPGMA)で分析した。3切断物(即ち、HIND III、CLA IおよびEco RIによる)からのデータを、BioNumerics 1.0を使用して、各株について組み合わせた。【0029】RAPD−分析全ての分離株を、ランダム増幅多型DNA(Randomly Amplified Polymorphic DNA)、即ちRAPDの方法によって型決定した(typed)(Quednauら, 1998, Current Microbiology, 36, 332-336)。粗細胞抽出物を、BHI寒天プレートからの分離株について1ml BHI中、そしてRogosa寒天プレートからの分離株について1ml Lactobacillus含有培地(Lactobacillus carrying medium)(LCM)中、28℃でインキュベートした一晩培養物から調製した。純粋な培養物の細胞を、1ml滅菌Milli−Q(登録商標)水(Millipore S. A., Molsheim, France)中で2回洗浄し、そしてEppendorf Mixer(5432; Eppendorf, Hamburg, Germany)を使用して、2mm直径のガラスビーズを含むエッペンドルフチューブ中において破砕した。使用したプライマーは、15mMの反応混合物中濃度の配列5’−ACGCGCCCT−3’を有した。Lactobacillus plantarumについてそうであると以前に証明されていたように(Johansson, M. L.ら, Randomly amplified polymorphic DNA (RAPD) for typing of Lactobacillus plantarum strains, Letters in Applied Microbiology, 21 (1995) 155-159)、RAPD−手順は、現在型決定されたLactobacilliについてのゲル上に好適な数の別個のバンドを生じさせた。【0030】ゲルのバンドパターンを、Gel ComparTM4.2(Applied Maths, Kortrijk, Belgium)を使用することによって、ピアソンの積率相関係数(Pearson product moment correlation coefficient)(登録商標)および群平均法(the unweighted pair group method by arithmetic average)(UPGMA;Romesburg, 1984)で分析した。RAPD−パターンのコンピュータ処理クラスター分析(computeried cluster analysis)を、可視的比較と組み合わせた。【0031】官能評価(sensory assessment)チーズは、5ヶ月後、7採点者(6専門採点者およびルンド大学食品技術部のスタッフ1メンバー)によって、特質(attributes)の数、(以下の品質:表面(surface)、香り(smell)、初期テクスチャ(initial texture)、二次テクスチャ(secondary texture)、風味(flavour)、および以下の強度:香り、風味、悪臭(off-flavour))ならびに全体的品質を考慮して、嗜好尺度(hedonic scale)(分析後0−10スケールに翻訳された)について採点された。6ヶ月後、チーズは、4専門採点者によって、表面−、テクスチャ−、香り−、風味−および全体的−品質ならびに11の関連する特質(attributes)の強度を考慮して、嗜好尺度について採点された。チーズを16℃へ和らげ、そして任意の3アラビア数でマークしそして任意の順で利用した。【0032】結果チーズ製造製造中のチーズのpHは、全てのテストグループにおいて類似であった。チーズの組成は、このスケールでチーズを製造することにおける困難性に起因して、テストグループ間で予想されるように変化した。【0033】チーズの微生物学的分析熟成の5ヶ月後にサンプル化したチーズにおいて、添加物を用いて製造されたチーズは、参照チーズよりも約1Lg cfu/g高い生存カウントを有した。値を以下の表2に与える。【0034】【表2】【0035】熟成の5ヶ月後にサンプル化したチーズの全てからの分離株(10チーズ、70分離株)は、12の異なるRAPD−タイプに分類された。コントロールチーズからの分離株は7の異なるRAPD−タイプへ分類され、一方、添加物04Cを用いて製造されたチーズからの分離株は5の異なるRAPD−タイプであり、そして添加物02Aを用いて製造されたチーズからの分離株は4の異なるRAPD−タイプであった。添加物8700:2および8589:2を用いて製造されたチーズからの分離株は、それぞれ、3の異なるRAPD−タイプであった。全てのチーズは、共通の1つのRAPD−タイプの分離株を有した。【0036】使用された添加物カルチャー(adjunct cultures)の全てが、熟成5ヶ月後に、チーズの対応の2重サンプルにおいて見られた。添加物カルチャー04C、8589:2および02Aを、Lactobacillus−選択的寒天のみから再分離した(04C:6分離株から2つ; 8589:2:6分離株から3つ; 02A 6分離株から4つ)。1コントロールチーズにおいて、04Cと同一のRAPD−タイプの1分離株が見られ、そして他のコントロールチーズにおいて、02Aと同一のRAPD−タイプの1分離株が見られた。添加物8700:2を、全カウント寒天(8分離株から2つ)およびLactobacillus−選択的寒天(6分離株から6つ)から再分離した。【0037】熟成6ヶ月後にサンプル化されたチーズにおいて、全テストグループについての全生存カウントは、12℃で熟成されたチーズにおいて類似であった(8、0−8、4Lg(cfu/gチーズ))。最初16℃で熟成されたチーズにおいて、全生存カウントは、一般的に、12℃で熟成されたチーズにおいてよりも、特にコントロールチーズにおいて、より低かった(7、4−7、5Lg(cfu/gチーズ))。12℃で熟成されたチーズにおけLactobacilliの選択的カウントは、一般的に、添加物を用いて製造されたチーズにおいて(7、6−7、8Lg(cfu/gチーズ))、コントロールにおいて(7、3Lg(cfu/gチーズ))よりも高かった。熟成6ヶ月後のlactobacilliの選択的カウントは、増加された初期熟成温度によって影響されなかった。【0038】官能評価熟成の5ヶ月後、コントロールチーズは、添加物を用いて製造したチーズと比較して、テクスチャ(初期および二次)について有意に低いスコアを有した。表面は、コントロールおよび添加物8700:2を用いて製造したチーズにおいて、添加物8589:2および02Aを用いて製造したチーズと比較して、有意に低いスコアを有した。添加物8700:2および02Aを用いて製造したチーズは、コントロールチーズと比較して、風味品質および全体的品質について有意により高いスコアを有した。添加物カルチャーで製造されたチーズの中でも、8700:2を用いて製造されたチーズは、全体的品質について最高のスコアおよび悪臭強度について最低のスコアを有した。02Aを用いて製造されたチーズは、風味品質および強度について最高のスコアを有した。全ての分析されたチーズは、香りの品質および強度について非常に類似したスコアを受けた(データは示さない)。【0039】以下の表3において、各テストグループの2バッチからの1チーズについての、製造の間のpH、乾物中(in dry matter)の脂肪および非脂肪固形分中の湿気(平均±標準偏差)が示される。官能評価についてのスケールは、1=悪い品質、低い強度; 10=良好な品質、高い強度; 平均±標準偏差である。【0040】熟成の6ヶ月後、有意な差異は、異なるテストグループ由来のチーズ間で、見られなかった。にもかかわらず、見られた主な動向は、増加された初期熟成温度が、テクスチャ品質および改善された風味を、特に添加物を用いて製造されたチーズについて減少させたことであった。【0041】【表3】【0042】プロバイオティック特性のテストまた、チーズ中に送達された場合に腸管(intestinal passage)を生き延びる株の能力を、制御し、そして自然に増殖する第2ミクロフローラ(microflora)と比較する。【0043】投与研究経口投与株02Aおよび8700:2を接種したチーズを、投与研究のために選択した。この選択は、接種されたチーズの優れた風味、および熟成の間にチーズにおいて増殖しそして生き延びるテスト株能力に基づいた。カルチャーは、107cfu/gチーズ以上で、チーズ中に存在した。経口投与のためのボランティアを、無作為に3グループに分割した:1)添加された添加物を含まないコントロールチーズを消費した、2)8700:2が接種されたチーズを消費した、および3)02Aを接種されたチーズを消費した。グループ1は8ボランティアからなり(43〜51才の4男性および4女性)、グループ2は10ボランティアからなり(25〜55才の5男性および5女性)、そしてグループ3は11ボランティアからなった(26〜60才の6男性および5女性)。研究は5週間続けられた。第3〜4週の間、150gのチーズを毎日投与し、これは>0.5・109cfuのテスト株の一日用量に対応する。研究の間、人は、プロバイオティック細菌または抗生物質を含有する製品を食することが禁止された。糞便サンプルを、投与開始前(第2週)、投与の2週間後(第4週)、および投与終了後の1週間(第5週)に回収した。【0044】糞便からの微生物の単離糞便の慣用的な希釈およびプレート(plating)後、lactobacilliの生存カウントを、3日間37℃で嫌気的にインキュベートしたRogosa寒天上で分析した。3コロニーを、型決めのために各サンプルから無作為に採取した。20コロニー以上を含むカウント可能なプレートを使用した。【0045】分離株の型決め(typing)ランダム増幅多型DNA(Randomly Amplified Polymorphic DNA)(RAPD;Quednauら, 1998, 前出)の方法によって全ての分離株を型決めした。【0046】再分離添加物を用いて製造されたチーズ由来の分離株のRAPDパターンを、添加物および参照チーズ由来の分離株のRAPDパターンと比較した。添加物を含むチーズ由来の分離株が添加物と同一のRAPD−タイプである場合、添加物は再分離されたと考えられた。【0047】各人からの糞便由来の分離株からのRAPD−パターンを、添加物、この添加物を用いて製造されたチーズ由来の分離株および参照チーズ由来の分離株のRAPD−パターンと比較した。添加物と同一のRAPD−タイプの分離株が、チーズの投与後であって投与前ではない糞便中に見られる場合、添加物は腸管を生き延びたと結論付けられた。また、添加物と同一のRAPD−タイプの分離株が、チーズ投与後1週間後であって投与前ではない糞便中に見られる場合、添加物はヒト腸(bowel)にコロニー形成したと結論付けられた。【0048】統計分析生存カウントおよび官能スコアの変動および有意差の分析を、t−分布(t-distribution)を使用して信頼区間(confidence intervals)を計算することによって行なった。3サンプリング時間での糞便中の生存カウントの有意差の統計評価を、SPSS6.0(SPSS inc., Chicago, USA)を使用してWilcoxonランクサムテスト(Wilcoxon rank sum test)で行なった。【0049】経口投与の結果株02Aが、投与終了直後、11ボランティア中6の糞便中に見られた。株8700:2についての対応の数は、10ボランティア中10であった。02Aまたは8700:2はいずれも、投与終了後1週間、これら2グループにおけるボランティアのどの糞便中にも見られなかった。コントロールチーズにおいてまたは添加物を用いて製造されたチーズにおいて自然に生じるRAPD−タイプはいずれも、ボランティアの糞便中に見られなかった。しかし、02Aと同一のRAPD−タイプの分離株が、投与終了直後に、コントロールチーズを投与された2ボランティアの糞便中に見られた。また、04Cと同一のRAPD−タイプの分離株が、投与終了後の1週間、2ボランティアの糞便中に見られた。これらの2ボランティアに、コントロールチーズまたは添加物02Aを用いて製造されたチーズを投与した。糞便中のLactobacilliの生存カウントは、チーズ消費後、全てのグループにおいて増加した。増加は、添加物カルチャーを含有するチーズを食したグループについて、統計的に有意であった。投与終了後、Lactobacilliの生存カウントは、添加物カルチャーを含有するチーズを食したグループについて減少し、グループ3について有意、一方、そしてそれは、コントロールチーズを食したグループについて増加した。【0050】以下の表4は、研究における3つのグループについてのLactobacilliの選択的カウント(selective count)を示す。【0051】【表4】【0052】結論上記の実験は、2つの株、Lactobacillus paracasei 8700:2, DSM 13434、およびLactobacillus paracasei 02A, DSM 13432がチーズ製造のための添加物カルチャーとして十分に機能しそして熟成5ヶ月後にチーズから再分離され得ることを示した。該株はまた、官能特性に対して良い影響を有し、このことは、それらは自然に増殖する二次ミクロフローラ(microflora)に優勢であったことを意味する。【0053】投与研究は、該2株が、胃腸管を生き延びる際の競争の要求を満たし、そして従って潜在的プロバイオティック株についての選択基準を満たすようであることを示した。【図面の簡単な説明】【図1】 図1は、株Lactobacillus paracasei 8700:2, DSM 13434のREA−プロフィールの画像である。【図2】 図2は、株Lactobacillus paracasei 02A, DSM 13432のREA−プロフィールの画像である。【図3】 図3は、2つの株L. paracasei 8700:2および02AのRAPD−プロフィールの写真である。 単離されたプロバイオティック株Lactobacillus paracasei 8700:2, DSM 13434。 単離されたプロバイオティック株Lactobacillus paracasei 02A, DSM 13432。 チーズの製造における添加物としての使用のための、請求項1または2に記載の株。 請求項1または2に記載の株を106〜109cfu/gの量で含有する乳フード製品。 >107cfu/gの量である請求項4に記載の乳フード製品。 株Lactobacillus paracasei 8700:2, DSM 13434を含有することを特徴とする、改善された風味を有する硬質または半硬質チーズである請求項4または5に記載の製品。 株Lactobacillus paracasei 02A, DSM 13432を含有することを特徴とする、改善された風味を有する硬質または半硬質チーズである請求項4または5に記載の製品。 慣用的なヨーグルトカルチャーと混合されて、株Lactobacillus paracasei 8700:2, DSM 13434を含有することを特徴とする、ヨーグルトである請求項4または5に記載の製品。 慣用的なヨーグルトカルチャーと混合されて、株Lactobacillus paracasei 02A, DSM 13432を含有することを特徴とする、ヨーグルトである請求項4または5に記載の製品。