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タイトル:特許公報(B2)_結晶性の錠剤化用添加剤の製造方法、それにより得られる添加剤、およびその使用
出願番号:2002513952
年次:2012
IPC分類:A61K 47/26,A61K 9/14,A61K 9/20


特許情報キャッシュ

クラース・ダニエル・クッセンドラハー ヘンリクス・アルフォンスス・マリア・ファン・デン・ビッヘラール JP 5033297 特許公報(B2) 20120706 2002513952 20010719 結晶性の錠剤化用添加剤の製造方法、それにより得られる添加剤、およびその使用 カムピナ・ベスローテン・フェンノートシャップ 500207970 Campina B.V. 青山 葆 100062144 田中 光雄 100081422 クラース・ダニエル・クッセンドラハー ヘンリクス・アルフォンスス・マリア・ファン・デン・ビッヘラール NL 1015752 20000720 20120926 A61K 47/26 20060101AFI20120906BHJP A61K 9/14 20060101ALI20120906BHJP A61K 9/20 20060101ALI20120906BHJP JPA61K47/26A61K9/14A61K9/20 A61K 9/00 - 9/72 A61K 47/00 - 47/48 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開昭60−041689(JP,A) 特開平07−184700(JP,A) Tesfai Sebhatu et al.,Pharmaceutical Research,1994年,Vol. 11, No. 9,p. 1233-1238 Amin A. Elamin et al.,International Journal of Pharmaceutics,1995年,Vol. 119,p. 25-36 Azita Saleki-Gerhardt et al.,Pharmaceutical Research,1994年,Vol. 11, No. 8,p. 1166-1173 松本和弘、外5名,薬剤学,1997年,Vol. 57, No. 1,p. 1-7 16 EP2001008394 20010719 WO2002008470 20020131 2004504367 20040212 8 20080624 三輪 繁 【0001】本発明は、錠剤化用添加剤の製造方法、それにより得られる錠剤化用添加剤、および該添加剤の使用に関する。該添加剤は、特に、ラクトース添加剤である。【0002】通常、ラクトースのようなスプレー乾燥物は、結晶質および非晶質からなる。ラクトースの場合、スプレー乾燥粒子は、ラクトース・一水和物および非晶質ラクトースを含む。非晶質ラクトースは、結晶性ラクトースとは異なり、吸湿性物質である。それは、周囲大気から湿気を容易に吸収する。この吸湿性は、非晶質ラクトースのガラス転移温度を強烈に低下させる:非晶質において含水率0%での104℃から、例えば、含水率7.2%での37℃へ低下、さらに、含水率約14%での5℃へ低下。したがって、非晶質における含水量が臨界値に達すると、ガラス転移温度Tgは、周囲温度よりも低くなり、非晶質は、ガラス状態からゴム状態に変わる。次いで、分子転位が生じ、非晶質が結晶化する。【0003】かくして、非晶形は、安定ではなく、一水和物形態に結晶化し得る。この結晶化が薬物のような活性成分の存在下で生じると、それが結晶中に結合されることがある。錠剤については、崩壊性が重要である。錠剤中の非晶質ラクトースの吸湿特性により徐々に結晶化が生じると、これは、崩壊性および活性成分の生物学的利用能に影響を及ぼすことがあり、かくして、錠剤の性能を変えることがある。【0004】したがって、生物学的利用能および崩壊作用の変化を回避するためには、ラクトースのような錠剤化用添加剤を安定化させるのが望ましい。【0005】本発明によると、a)粒子が、少なくとも一部が非晶質添加剤、および、少なくとも一部が結晶性添加剤からなる微粒子形態のスプレー乾燥錠剤化用添加剤を準備すること;およびb)該粒子を、撹拌下にて短時間、60〜25%の相対湿度にて30〜100℃の温度に暴露することにより非晶質添加剤を結晶化することを含む方法により、湿気に対して安定な錠剤化用添加剤が得られることが見出された。【0006】湿度(RH)は、温度に反比例するように選択されるべきである。本発明によると、相対湿度が、好ましくは、式:相対湿度% = 218 − 47 * Ln(T(℃))[式中、T(℃)は、処理の間に粒子が暴露される温度である]により定義されるものであることが見出された。【0007】特に、温度が36℃である場合、相対湿度は、50%よりも高くするべきであり、温度が40℃である場合、相対湿度は、50%〜65%の間であるべきであり、温度が47℃である場合、相対湿度は、48%であるべきであり、温度が53℃である場合、相対湿度は、好ましくは、50%〜65%の間であり、温度が60℃である場合、相対湿度は、31〜44%の間であり、温度が75℃である場合、相対湿度は、約25%であるべきである。【0008】本発明によると、良好なまたは優れた錠剤化特性を得るために早い結晶化が必要とされることが見出された。このように早い結晶化は、添加剤を短時間で処理することにより得られる。好ましくは、短時間とは、10分未満であり、より好ましくは、5分未満であり、最も好ましくは、短時間とは約2分またはそれ以下である。【0009】結晶化処理の間、ある種の撹拌が必要とされる。撹拌が流動層装置により提供される場合に良好な結果が得られることが見出された。しかしながら、スターリングのようなある種の機械撹拌形態を使用することもできる。【0010】本明細書に記載する方法は、添加剤がラクトースである場合に特に適していることが見出された。実施例では、本発明をラクトースに関して例示する。これは、ラクトースが本発明で使用することができる唯一の添加剤であることを意味するわけではない。他の物質は、グルコース、フルクトース、マンノースなどの単糖類、およびソルビトール、マンニトールなどのそれらから誘導されるポリオール、マルトース、シュークロースのような二糖類、およびマルチトール、ラクチトール(ラクトースからの誘導体)のようなそれらの誘導体、ならびにデキストリン、ガラクト−オリゴ糖およびフルクト−オリゴ糖およびデンプンのようなオリゴ糖および多糖類である。【0011】本発明の方法において出発物質として使用されるラクトースは、スプレー乾燥ラクトースである。かかるスプレー乾燥ラクトースは、例えば、EP-239 172 に記載されている方法(出典明示により本明細書の一部とする)により得ることができる。概して、本明細書に記載する方法は、結晶性α−ラクトース・水和物のラクトース飽和溶液中スラリーを供給すること、およびそれを乾燥させることを含んでおり、ここで、結晶質の量とスラリー中に溶解したラクトースの量との比率の選択は、スプレー乾燥生成物における結晶性ラクトースの量と非晶質ラクトースの量との比率を決定する。スプレー乾燥の技術分野における当業者は、該当業者のスプレー乾燥に関する常識に基づいて、適当なスプレー乾燥生成物が得られるようにプロセス条件を変更することができる。製薬用の錠剤化目的のために、該ラクトースは製薬用のラクトースであり、これは、欧州薬局方、米国薬局方および日本薬局方のラクトース・一水和物に対する要件、特に、純度および含水量に関する要件を満たしていることを意味する。【0012】本発明の方法により得られた錠剤化用添加剤は、非晶質を実質上含まず、好ましくは、完全に結晶質であり、これは、示差走査熱量測定(DSC)により試験することができ、該ラクトースのサーモグラムは結晶化ピークを示さない。【0013】本発明の方法で製造された全ラクトース添加剤の約5〜20%は、β−ラクトースを構成する。このβ−ラクトースは、α/β混合結晶の形態で存在しており、これは、該添加剤のDSCサーモグラムと純粋なα/β混合結晶のDSCサーモグラムとを比較することにより示される。両方のサーモグラムは、α/β混合結晶構造の融点(230℃)と一致する同一のピークを示している(図7)。このピークは、慣用のスプレー乾燥ラクトースまたは自然に結晶化したラクトースのサーモグラムには存在しない。【0014】35℃以下の温度でβ−ラクトースの含量が減少することが見出された。なおも多少の混合結晶が形成されることもあるが、許容される錠剤化特性を得るには十分ではない。当該生成物の錠剤化能は、β−ラクトース含量の変化に従うと考えられる。この含量が低下すると、錠剤化能もまた低下するであろう。結晶化後、β−ラクトース含量が一定のままであるならば、良好な錠剤化特性が得られる。【0015】結晶化前、非晶質ラクトースは、α−ラクトースおよびβ−ラクトースからなる。α−ラクトースとβ−ラクトースとの比率は、スプレー乾燥したラクトース溶液中に元来存在する比率に依存する。原則として、溶液中の2つの形態の間には永久変旋光があるが、この平衡は、温度、pHなどのような特定のパラメーターによる影響を受ける。かくして、スプレー乾燥温度は、出発物質中のα−ラクトースとβ−ラクトースとの比率に影響を及ぼす。【0016】錠剤化プロフィルは、錠剤化プレスまたは圧縮シミュレーター上での圧縮力または圧力の関数としての錠剤圧潰強さまたは引張強さの間の関係と定義される。【0017】当該方法に加えて、本発明は、また、当該方法により得ることができる添加剤に関する。この添加剤は、非晶質添加剤を実質上含まず、好ましくは、全く含まない。元来存在している非晶質は、少なくとも部分的にα−ラクトースおよびβ−ラクトースの混合結晶に転換される。この添加剤の利点は、該添加剤が慣用のスプレー乾燥ラクトースのものと同等またはそれよりも良好な錠剤化能をもたらすこと、加えて、該添加剤が慣用のスプレー乾燥ラクトースよりも湿度に対して安定であるということである。【0018】さらにまた、本発明は、錠剤の調製のための当該添加剤の使用に関する。さらに、以下の実施例において本発明を例示する。本明細書において図面を参照する。【0019】実施例実施例1結晶化条件本発明の方法によるスプレー乾燥添加剤の安定化は、スプレー乾燥ラクトース試料を種々の相対湿度条件で30℃〜80℃の様々な温度に調整することにより得られる。図1は、試験条件のマップを示す。黒塗りの記号は、最適条件を示し、白抜きの記号は、非最適条件を示す。【0020】図2を用いて、処理条件の温度と相対湿度との関係を決定するために用いることができる式を計算した。【0021】 実施例2 走査電子顕微鏡 図3は、種々の試料のSEM(走査電子顕微鏡)写真を示す。図3AおよびCは、慣用のスプレー乾燥ラクトースを異なる倍率で示しており、下にあるラクトース・一水和物結晶を埋封する非晶質ラクトースの層の存在のためにぼやけた表面を示している。いくつかの凝集塊上では、いくつかの非常に小さい球体(典型的には、<10μm)の非晶質ラクトースも見られ得る。図3BおよびDは、本発明の安定化スプレー乾燥ラクトースを異なる倍率で示しており、同一の凝集塊形状を示しているが、異なる下部構造を有する。非晶質は、もはや存在しておらず、鮮明な写真が得られた。非晶質の結晶化により、ラクトース・一水和物の結晶を覆う微結晶構造が形成された。【0022】実施例3錠剤化特性Kilian回転式プレス15ステーションにて30,000錠/時で種々の錠剤試料を調製した。該錠剤は、9mmフラットパンチおよび0.5%ステアリン酸マグネシウムでの潤滑剤処理により成型された250mg錠剤である。【0023】図4は、以下のとおり異なる条件下で処理された種々のスプレー乾燥ラクトース試料の錠剤化能を示す:− 未処理のスプレー乾燥ラクトース− 周囲条件(温度20〜25℃、RH40〜50%、「自然に結晶化した」)で結晶化するように開放バッグ中に放置したスプレー乾燥ラクトース− 気温および湿度の種々の条件(25℃/51%RH;75℃/25%RH;60℃/35%RH;40℃/55%RH)を有する流動層中で結晶化されたスプレー乾燥ラクトース。【0024】一般に、本発明により処理された試料の錠剤化能は、未処理のものと比較して同等であるか、または、改良されている。【0025】 スプレー乾燥ラクトースは、潤滑剤処理の程度に対して少し敏感であるという欠点を有する。錠剤化の前に、粉末を常に潤滑剤処理して圧縮を促進する(ダイとパンチとの間の摩擦を減少させる)。潤滑剤処理の程度は、混合において使用される潤滑剤%および粉末を潤滑剤処理するために用いられるブレンド時間により決定される。長いブレンド時間は、粒子の全ての外面上での潤滑剤の連続フィルムの形成に好都合である。錠剤化用賦形剤は、理想的には、潤滑剤処理に対して敏感ではなく、これは、潤滑剤処理の程度が処方物の頑強さを危うくしない(すなわち、潤滑剤レベルまたは混合強さの変化が錠剤化特性に対して制限された効果を及ぼす)ことを意味している。図5は、ラクトース・一水和物のような本発明の添加剤が潤滑剤処理度に対して事実上鈍感であることを示す。【0026】実施例4安定性安定化スプレー乾燥ラクトースは吸湿性ではない。この生成物の吸湿は、広範囲に及ぶ相対湿度にわたってほとんどない。これは、生成物中の非晶質ラクトースの存在のために、標準的なスプレー乾燥ラクトースには当てはまらない。【0027】20℃での異なるラクトースの吸湿等温線を図6に示す。スプレー乾燥ラクトースについてのRH40〜50%でのピークは、非晶質部分における吸湿、次いで、結晶化および湿分の結晶格子からの排除を特徴付けている。本発明の添加剤は、慣用のスプレー乾燥ラクトースとは異なり、さらなる湿分を吸収しない。【図面の簡単な説明】【図1】 温度と相対湿度との関係を示す、スプレー乾燥ラクトースを安定化するための結晶化条件のマップ。【図2】 混合結晶への制御結晶化に必要される気温と最低湿度との関係のマップ。【図3】 慣用のスプレー乾燥ラクトースおよび本発明の安定化スプレー乾燥ラクトースの走査電子顕微鏡(SEM)画像。【図4】 所定のスプレー乾燥ラクトース試料に対する本発明の処理の効果を示すグラフ。【図5】 所定のスプレー乾燥ラクトース試料の潤滑剤感受性を示すグラフ。【図6】 20℃での種々のラクトース試料の吸湿等温線。【図7】 種々の試料のDSCサーモグラム ラクトース添加剤の製造方法であって、非晶質ラクトースおよび結晶性ラクトースを含む微粒子形態の錠剤化用スプレー乾燥ラクトースを、撹拌下にて10分未満の間、60〜25%の相対湿度にて30〜100℃の温度に暴露することにより非晶質ラクトースを結晶化することを含む、方法。 相対湿度が式:相対湿度% = 218 − 47 * Ln(T(℃))[式中、T(℃)は、粒子が暴露される温度である]により定義される請求項1記載の方法。 温度が36℃であり、相対湿度が50%を超える請求項1または2記載の方法。 温度が40℃であり、相対湿度が50%〜60%の間である請求項1または2記載の方法。 温度が47℃であり、相対湿度が48%である請求項1または2記載の方法。 温度が53℃であり、相対湿度が50%〜60%の間である請求項1または2記載の方法。 温度が60℃であり、相対湿度が31および44%である請求項1または2記載の方法。 温度が75℃であり、相対湿度が25%である請求項1または2記載の方法。 暴露の時間が5分未満である請求項1〜8いずれか1項記載の方法。 暴露の時間が2分である請求項9記載の方法。 撹拌が流動層装置により行われる請求項1〜10いずれか1項記載の方法。 撹拌が機械撹拌形態である請求項1〜10いずれか1項記載の方法。 請求項1〜12いずれか1項記載の方法によって得られる、非晶形のラクトースを全く含まない微粒子形態のラクトース添加剤。 該添加剤が全ラクトース含量に基づいて5〜20%のβ−ラクトースを含み、残部がラクトース・一水和物粒子および最大5重量%の水である請求項13記載のラクトース添加剤。 β−ラクトースがα/β混合結晶の形態である請求項14記載のラクトース添加剤。 錠剤の調製のための請求項13〜15いずれか1項記載のラクトース添加剤の使用。


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