タイトル: | 特許公報(B2)_ジグリセリドの製造方法 |
出願番号: | 2002380215 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C12P 7/64 |
佐藤 学 清水 雅美 小堀 純 加瀬 実 渡邉 高明 JP 3893106 特許公報(B2) 20061215 2002380215 20021227 ジグリセリドの製造方法 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 佐藤 学 清水 雅美 小堀 純 加瀬 実 渡邉 高明 JP 2002005649 20020115 20070314 C12P 7/64 20060101AFI20070222BHJP JPC12P7/64 C12P 7/00-7/66 WPIDS(STN) JSTPlus(JDream2) 特開平01−153090(JP,A) 特開昭64−071495(JP,A) 特開平10−234391(JP,A) 特開昭63−133992(JP,A) 特開2000−166589(JP,A) 3 2003274987 20030930 9 20031020 田中 晴絵 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、高純度のジグリセリドを効率良く製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】ジグリセリドは、油脂の可塑性改良用添加剤、食品、医薬品、化粧品等の分野に利用され、最近、ジグリセリドの優れた生理活性に着目した食品が注目されている。【0003】代表的なジグリセリドの製造法として、エステル化又はエステル交換法が挙げられる。例えば、脂肪酸又はその低級アルキルエステルとグリセリンとを、固定化した1,3位選択的リパーゼの存在下で反応させ、反応により生成する水又は低級アルコールを減圧により系外へ除去していくことでジグリセリドを得る方法が知られている(特許文献1参照)。【0004】1,3位選択的リパーゼを用いたエステル化反応では、ジグリセリドのほかにトリグリセリドが製造されるため、反応率を高めるとジグリセリド純度が低下し、反応率を下げるとジグリセリド純度は高くなるが、未反応のグリセリンや脂肪酸が多く残ってしまう。したがって、ジグリセリドの純度を上げるためには、エステル化反応の後に精留等の精製工程が不可欠である。【0005】この点を改善する方法として、トリグリセリドに作用しない部分グリセリドリパーゼを用いて、トリグリセリドをほとんど含まないグリセリドを製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この方法では、モノグリセリドが主生成物となるため、高純度のジグリセリドの製造には適さない。【0006】また、一般に、工業的に用いられるエステル化反応においては、反応の進行に伴い生成する水分を系外に除去して反応平衡をシフトさせ、反応率を高めることが必要であるが、部分グリセリドリパーゼを減圧下で水分を除去しながらエステル化反応を行うと、エステル化反応が途中で停止してしまう等の問題がある。これに対し、部分グリセライド及び脂肪酸を含有する油脂に部分グリセリドリパーゼを作用させてトリグリセリドを合成する方法において、固定化酵素を用い、反応を低水分下で行う方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この方法は、モノ及びジグリセリドの含量の低いトリグリセリドを合成する方法であり、高純度のジグリセリドを製造するための方法とは本質的に異なる。【0007】一方、エステル化反応によりジグリセリドを合成する場合、原料である脂肪酸又はそのエステルとグリセリンとの仕込み比、反応温度、酵素濃度等によって、高い反応率で高いジグリセリド純度を得るための最適な反応終了点は異なる。特に、反応速度向上のため、グリセリンに対する脂肪酸又はそのエステルの比率を高めた場合、反応時間を長くして反応率を上げるとトリグリセリドが生成してジグリセリド純度が低下するという問題がある。【0008】【特許文献1】特公平6-65311号公報【特許文献2】特開昭61-181390号公報【特許文献3】特開平1-137989号公報【0009】【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、減圧下においてもリパーゼ活性を損なうことなく高純度のジグリセリドを効率良く製造する方法を提供することにある。【0010】更に、本発明の他の目的は、様々な脂肪酸/グリセリン比、反応温度、酵素濃度の場合に対応でき、特に高い脂肪酸/グリセリン比の場合にも、高い反応率で高純度のジグリセリドを製造する方法を提供することにある。【0011】【課題を解決するための手段】本発明者は、部分グリセリドリパーゼを固定化し、反応時に生成する水を反応系外に除去させながら脂肪酸又はその低級アルキルエステルとグリセリンを反応させると、部分グリセリドリパーゼを固定化しない場合に比べて、飛躍的にジグリセリド生成率が高くなり、高純度のジグリセリドが効率良く得られることを見出した。また本発明者は、反応液の酸価が、原料である脂肪酸又はその低級アルキルエステルとグリセリンとの比率との関係で一定の範囲内となったときに、反応を終了させることにより、できるだけ高い反応率で、高純度のジグリセリドを製造することが可能となることを見いだした。【0012】 すなわち本発明は、脂肪酸又はその低級アルキルエステルとグリセリンとを、固定化部分グリセリドリパーゼの存在下に、反応生成水を反応系外に除去しながら反応させ、反応液の酸価(AV)が、50R−55>AV>70R−150(ただし、AV>0)を満たす範囲内で、反応を終了させる、ジグリセリド純度〔ジグリセリド/(ジグリセリド+トリグリセリド)×100〕が80重量%以上であるジグリセリドを、60重量%以上の反応率(反応液中のジグリセリドとトリグリセリドの合計重量百分率)で得るジグリセリドの製造方法を提供するものである。【0014】【発明の実施の形態】本発明で使用する部分グリセリドリパーゼは、モノグリセリド及びジグリセリドの部分グリセリドを加水分解するが、トリグリセリドを加水分解しないリパーゼである。部分グリセリドリパーゼとしては、ラット小腸、ブタ脂肪組織などの動物臓器由来のモノグリセリドリパーゼ又はジグリセリドリパーゼ;バチルス・スピーシーズ(Bacillus sp.)H-257由来モノグリセリドリパーゼ(J. Biochem., 127, 419-425, 2000)、シュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)LP7315由来モノグリセリドリパーゼ(Journal of Bioscience and Bioengineering, 91(1), 27-32, 2001)、ペニシリウム・サイロピウム由来リパーゼ(J. Biochem, 87(1), 205-211, 1980)、ペニシリウム・カメンベルティ(Penicillium camembertii)U-150由来リパーゼ(J. Fermentation and Bioengineering, 72(3), 162-167, 1991)等が挙げられる。市販品としては、例えば「モノグリセライドリパーゼ(MGLPII)」(旭化成社)、「リパーゼG「アマノ」50」(天野エンザイム社)等がある。【0015】本発明で使用する固定化部分グリセリドリパーゼは、上記部分グリセリドリパーゼが、セライト、ケイソウ土、カオリナイト、シリカゲル、モレキュラーシーブス、多孔質ガラス、活性炭、炭酸カルシウム、セラミックス等の無機担体;セルロースパウダー、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、キトサン、イオン交換樹脂、疎水吸着樹脂、キレート樹脂、合成吸着樹脂等の有機高分子等の固定化担体に固定されたものであるが、特にイオン交換樹脂に固定化されたものが、保水力の点で好ましい。【0016】イオン交換樹脂としては、多孔性の陰イオン交換樹脂が好ましい。樹脂の粒子径は100〜1000μmが望ましく、細孔径は100〜1500Åが望ましい。この細孔が酵素吸着に大きな表面積を与え、より大きな吸着量を得ることができる。樹脂の材質としては、フェノールホルムアルデヒド系、ポリスチレン系、アクリルアミド系、ジビニルベンゼン系等が挙げられる。特にフェノールホルムアルデヒド系樹脂(商品名Duolite A-568)が望ましい。【0017】部分グリセリドリパーゼの固定化温度は、酵素の失活の起きない温度であればよく、0〜60℃、特に5〜30℃が好ましい。また固定化に用いる酵素水溶液のpHは、酵素の変性が起きないような範囲であればよく、pH3〜9が好ましい。特に至適pHが酸性とされているリパーゼを用いる場合に最大の活性を得るには、pH4〜6とするのがよい。また酵素水溶液に用いる緩衝液としては、一般的な酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液等を用いることができる。酵素水溶液中の部分グリセリドリパーゼの濃度は、固定化効率の点から、該酵素の溶解度以下で、かつ十分な濃度であることが望ましい。また必要に応じて不溶部を遠心分離により除去し、上清を使用してもよい。また部分グリセリドリパーゼと固定化担体の使用割合は、固定化担体1重量部に対して、部分グリセリドリパーゼ0.05〜10重量部、特に0.1〜5重量部が好ましい。【0018】本発明では、高活性を発現するような吸着状態にするため、固定化の前処理として、固定化担体を脂溶性脂肪酸又はその誘導体で処理することが好ましい。またこれらは単一で用いてもよいが、2種以上を組み合わせることで一層の効果が発揮される。これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体と固定化担体の接触法としては、水又は有機溶剤中にこれらをそのまま加えてもよいが、分散性を良くするため、有機溶剤に脂溶性脂肪酸又はその誘導体を一旦分散・溶解させた後、水に分散させた固定化担体に加えてもよい。この有機溶剤としては、クロロホルム、ヘキサン、エタノール等が挙げられる。脂溶性脂肪酸又はその誘導体と固定化担体の比率は、固定化担体1重量部(乾燥重量)に対し、脂溶性脂肪酸又はその誘導体0.01〜1重量部、特に0.05〜0.5重量部が好ましい。接触温度は、0〜100℃、特に20〜60℃が好ましい。接触時間は、5分〜5時間程度でよい。本処理後濾過して固定化担体を回収するが、この時乾燥してもよい。乾燥温度は室温〜100℃が良く、減圧乾燥を行ってもよい。【0019】この固定化担体処理に用いられる脂溶性脂肪酸としては、炭素数4〜24の直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和の、水酸基が置換していてもよい脂肪酸が挙げられる。好ましい脂溶性脂肪酸としては、炭素数8〜18の脂肪酸、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、リシノール酸等のヒドロキシ脂肪酸、イソステアリン酸等の分岐脂肪酸が挙げられる。脂溶性脂肪酸誘導体としては、炭素数8〜18の脂肪酸と水酸基を有する化合物とのエステルが挙げられ、1価アルコールエステル、多価アルコールエステル、リン脂質、あるいはこれらのエステルに更にエチレンオキサイドを付加した誘導体等が例示される。1価アルコールエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル等が、多価アルコールエステルとしては、モノグリセリド、ジグリセリド、及びそれらの誘導体、あるいはポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの脂肪酸及びその誘導体は、いずれも常温で液状であることが工程上望ましい。これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体としては、上記脂肪酸の混合物、例えば大豆脂肪酸などの天然由来の脂肪酸を用いることもできる。【0020】本発明の固定化部分グリセリドリパーゼを使用した、脂肪酸又はその低級アルキルエステルとグリセリンの反応において用いる脂肪酸としては、炭素数4〜22の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、例えば酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ゾーマリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ガドレン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等を用いることができる。また上記脂肪酸とエステルを形成する低級アルコールとしては、炭素数1〜3の低級アルコール類が好ましい。炭素数1〜3の低級アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールなどが挙げられる。これらの脂肪酸又はその低級アルキルエステルは、2種以上を併用することもできる。また、上記脂肪酸の混合物、例えば大豆脂肪酸などの天然由来の脂肪酸を用いることもできる。【0021】この反応において、脂肪酸又はそのエステルとグリセリンの反応モル比R〔R=脂肪酸又はその低級アルキルエステル(mol)/グリセリン(mol)〕は、1.5〜2.6が好ましく、更には1.6〜2.5、特に1.8〜2.3であるのが好ましい。【0022】固定化部分グリセリドリパーゼの存在下での脂肪酸又はそのエステルとグリセリンの反応は、反応生成水を反応系外に除去しながら行われる。すなわちリパーゼ製剤に含まれる水分を除き、実質的に無水条件下で行われ、エステル化反応により生成した反応生成水は、減圧;ゼオライト、モレキュラーシーブス等の吸収剤の利用;反応槽中への乾燥した不活性ガスの通気等の方法により、系外に除去される。【0023】エステル化反応の反応温度は、原料及び生成物の融点、酵素の熱安定性により変化するが、20〜80℃、特に30〜70℃が反応性の点で好ましい。また反応時間は工業的な生産性の観点から10時間以内が好ましい。【0024】本発明方法によれば、ジグリセリド純度〔ジグリセリド/(ジグリセリド+トリグリセリド)×100〕が80重量%以上、更には85重量%以上、特に90重量%以上のジグリセリドを、60重量%以上、好ましくは65重量%以上、更に好ましくは70重量%以上の高い反応率(反応液中のジグリセリドとトリグリセリドの合計重量百分率)で製造することができる。【0025】得られるジグリセリドのジグリセリド純度をより高めるために、反応は、反応液の酸価(AV)を経時的に測定しながら行い、反応率60重量%以上、ジグリセリドの純度80重量%以上を達成するためには、酸価が、50R−55>AV>70R−150(ただし、AV>0)を満たす範囲内で、反応を終了させることが好ましい。更には、反応率70重量%以上、ジグリセリドの純度85重量%以上を達成するためには、50R−70>AV>70R−145(ただし、AV>0)、特に反応率80重量%以上、ジグリセリドの純度90重量%以上を達成するためには、50R−80>AV>70R−140(ただし、AV>0)を満たす範囲内で、反応を終了させることが好ましい。【0026】本条件に従うことにより、原料仕込み比、反応温度、酵素濃度等の条件が変わった場合にも、当該変更に影響なく、できるだけ高い反応率で、高純度のジグリセリドを製造することができる。すなわち、酸価が上記範囲より高い時点で反応を終了させた場合には、ジグリセリド純度は高いが、反応率が低いために生産性が低く、また酸価が上記範囲より低くなってから反応を終了させた場合には、反応液中のトリグリセリドの比率が高くなり、十分なジグリセリド純度が得られないため、いずれも好ましくない。【0027】【実施例】実施例1Duolite A-568(Rohm & Hass社,平均粒径480μm)10gを0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mL中で1時間攪拌した。攪拌した後500mMの酢酸緩衝液(pH5)100mLで2時間pHの平衡化を行った。その後50mMの酢酸緩衝液(pH5)100mLで2時間ずつ2回、pHの平衡化を行った。この後濾過を行い担体を回収した後、エタノール50mLでエタノール置換を30分間行った。濾過した後、リシノール酸を10g含むエタノール50mLを加え30分間、リシノール酸を担体に吸着させた。この後濾過し、担体を回収した後、50mMの酢酸緩衝液(pH5)50mLで4回洗浄し、エタノールを除去し、濾過して担体を回収した。その後市販の部分グリセリドリパーゼ(リパーゼG「アマノ」50,天野エンザイム社)20gを50mMの酢酸緩衝液(pH5)180mLに溶解した酵素液と2時間接触させ、固定化を行った。濾過し、固定化酵素を回収して、50mMの酢酸緩衝液(pH5)50mLで洗浄を行い、固定化していない酵素や蛋白を除去した。以上の操作はいずれも20℃で行った。固定化後の酵素液の残存活性と固定化前の酵素液の活性差より固定化率を求めたところ、95%であった。その後、実際に反応を行う基質である大豆脂肪酸40gを加え、40℃下で減圧脱水を行った。その後、濾過して大豆脂肪酸と分離し、固定化酵素とした。こうして得られた固定化酵素20g(乾燥重量8g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.0)を添加し、40℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を7時間行った。このときの反応液の酸価は9.6であった。反応液をトリメチルシリル化してガスクロマトグラフィーで分析し、グリセリド組成及び未反応物の分析を行った。結果を表1に示す。反応率は90.4%であり、DG純度は96.7%と高純度であった。【0028】実施例2Duolite A-568を粉砕し平均粒径を320μmとしたものを担体とし、実施例1と同様に固定化酵素を調製した。こうして得られた固定化酵素10g(乾燥重量4g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.0)を添加し、50℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を7時間行った。このときの反応液の酸価は8.6であった。反応液の分析を実施例1と同様に行った結果、反応率は89.1%であり、DG純度は96.9%と高純度であった。【0029】実施例3実施例1で得られた固定化酵素10g(乾燥重量4g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.0)を添加し、50℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を3時間行った。このときの反応液の酸価は33.4であった。反応液の分析を実施例1と同様に行った結果、反応率は71.0%であり、DG純度は99.1%と高純度であった。【0030】実施例4実施例1で得られた固定化酵素10g(乾燥重量4g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.0)を添加し、50℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を2.6時間行った。このときの反応液の酸価は44.4であった。反応液の分析を実施例1と同様に行った結果、反応率は65.6%であり、DG純度は99.2%と高純度であった。【0031】実施例5実施例1で得られた固定化酵素20g(乾燥重量8g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=1.83)を添加し、40℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を8時間行った。このときの反応液の酸価は5.2であった。反応液の分析を実施例1と同様に行った結果、反応率は82.9%であり、DG純度は92.9%と高純度であった。【0032】実施例6実施例1で得られた固定化酵素20g(乾燥重量8g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.25)を添加し、40℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を4時間行った。このときの反応液の酸価は22.6であった。反応液の分析を実施例1と同様に行った結果、反応率は84.0%であり、DG純度は90.5%と高純度であった。【0033】実施例7実施例1で得られた固定化酵素20g(乾燥重量8g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.47)を添加し、40℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を3.3時間行った。このときの反応液の酸価は33.2であった。反応液の分析を実施例1と同様に行った結果、反応率は80.2%であり、DG純度は90.0%と高純度であった。【0034】比較例11,3位選択的リパーゼであるLipozyme RMIM(Novozymes社)4gを200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.0)を添加し、50℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を7時間行った。このときの反応液の酸価は2.6であった。反応液の分析を同様に行った結果、反応率は90.8%であり、DG純度は72.6%と低かった。【0035】比較例2固定化していない市販の部分グリセリドリパーゼ(リパーゼG「アマノ」50、天野エンザイム社)2gを200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.0)を添加し、40℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を7時間行った。このときの反応液の酸価は140.4であった。反応液の分析を同様に行った結果、反応率は14.6%と反応が進行せず、未反応物が過剰に残存していた。【0036】比較例3実施例1で得られた固定化酵素10g(乾燥重量4g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.0)を添加し、50℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を2.2時間行った。このときの反応液の酸価は57.0であった。反応液の分析を実施例1と同様に行った結果、DG純度は99.3%と高純度であるが、反応率は59.8%と低かった。【0037】比較例4実施例1で得られた固定化酵素20g(乾燥重量8g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.25)を添加し、40℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を11時間行った。このときの反応液の酸価は、7.0であった。反応液の分析を実施例1と同様に行った結果、反応率は94.4%であり、DG純度は71.4%と低かった。【0038】比較例5実施例1で得られた固定化酵素20g(乾燥重量8g)を200mL容の四つ口フラスコに秤量した。そこへ大豆脂肪酸とグリセリン80g(モル比で脂肪酸/グリセリン=2.47)を添加し、40℃、減圧下で、反応液の酸価を経時的に測定しながら、エステル化反応を8時間行った。このときの反応液の酸価は18.0であった。反応液の分析を実施例1と同様に行った結果、反応率は89.8%であり、DG純度は66.3%と低かった。【0039】【表1】【0040】本発明の製造方法(実施例1〜7)によれば、得られるいずれのジグリセリドもジグリセリド純度が90%以上と高く、反応率も極めて高かった。【0041】【発明の効果】本発明のジグリセリドの製造方法によれば、高純度のジグリセリドが効率良く得られる。 脂肪酸又はその低級アルキルエステルとグリセリンとを、固定化部分グリセリドリパーゼの存在下に、反応生成水を反応系外に除去しながら反応させ、反応液の酸価(AV)が、50R−55>AV>70R−150(ただし、AV>0)を満たす範囲内で、反応を終了させる、ジグリセリド純度〔ジグリセリド/(ジグリセリド+トリグリセリド)×100〕が80重量%以上であるジグリセリドを、60重量%以上の反応率(反応液中のジグリセリドとトリグリセリドの合計重量百分率)で得るジグリセリドの製造方法。 脂肪酸又はその低級アルキルエステルとグリセリンとの反応モル比R〔R=脂肪酸又はその低級アルキルエステル(mol)/グリセリン(mol)〕が、1.5〜2.6である請求項1記載のジグリセリドの製造方法。 固定化部分グリセリドリパーゼが、脂溶性脂肪酸又はその誘導体で前処理された固定化担体に部分グリセリドリパーゼを固定化したものである請求項1又は2記載のジグリセリドの製造方法。