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タイトル:特許公報(B2)_ねずみ鋳鉄における黒鉛組織の評価方法および評価システム
出願番号:2002379728
年次:2008
IPC分類:G01N 21/17,G01B 11/30


特許情報キャッシュ

市村 元 今崎 正典 青木 鉄朗 増尾 国博 JP 4076438 特許公報(B2) 20080208 2002379728 20021227 ねずみ鋳鉄における黒鉛組織の評価方法および評価システム 株式会社キリウ 302053917 橋本 剛 100096459 小林 博通 100086232 富岡 潔 100092613 市村 元 今崎 正典 青木 鉄朗 増尾 国博 20080416 G01N 21/17 20060101AFI20080327BHJP G01B 11/30 20060101ALI20080327BHJP JPG01N21/17 AG01B11/30 Z G01N21/00-21/61 G01N21/84-21/958 G01B11/00-11/30 JSTPlus(JDream2) 石島健治、枝野龍之,画像情報処理システムによる金属素材の定量化に関する研究(第2報),栃木県工業試験研究機関研究集録,日本,1989年,第1988巻,第230頁−第237頁,整理番号90A0830432 石島健治、枝野龍之,画像情報処理システムによる金属素材の定量化に関する研究(第1報),栃木県工業試験研究機関研究集録,日本,1987年,第1987巻,第171頁−第178頁,整理番号90A0786894 H.Y.Yuah, et.al.,Computer image evaluation of graphite forms in cast iron,International Journal of Cast Metals,1999年,Vol.11, No.6,p447-451,整理番号99A0527125 3 2004212114 20040729 18 20051212 横尾 雅一 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、ねずみ鋳鉄組織に見られる片状黒鉛や共晶黒鉛あるいは両者の混合組織の形態を画像解析して、黒鉛の形状(黒鉛の長短や太さ)や分布、疎密などその黒鉛組織固有の特徴を数値をもって定量的に、しかも容易に且つ的確に評価できるようにした方法および評価システムに関するものである。【0002】【従来の技術】この種の技術としては、例えば特許文献1および非特許文献1に記載のものが知られている。これらの従来の技術では、鋳鉄の破断面にレーザ光を照射してその表面粗さを測定し、その粗さの状況から鋳鉄組織に含まれる黒鉛の形状や分布等を判定することを基本としている。【0003】【特許文献1】特開2002−162348号公報 (図1)【0004】【非特許文献1】中江秀雄,他2名,「レーザ変位計を用いた片状黒鉛鋳鉄の破面解析による黒鉛形態の判定」,鋳造工学,社団法人日本鋳造工学会,第74巻,2002,第10号,P644−649【0005】【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の技術では、既知のいくつかの黒鉛形態判定手法のなかでは現在最も実用化が期待されている方法ではあるが、最終判定は専ら得られたグラフから直接読み取る必要があり、判定結果に個人差によるばらつきが発生しやすいほか、判定された黒鉛形態をイメージしにくいという不具合があり、なおも改善の余地を残している。【0006】本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、特に既存の画像解析装置例えば黒鉛球状化率測定装置等を有効利用して、ねずみ鋳鉄における黒鉛組織を数値化をもって定量的に、しかも容易に且つ的確に判定できるようにした技術を提供しようとするものである。【0007】【課題を解決するための手段】ねずみ鋳鉄にみられる多様な黒鉛組織は、それを構成する黒鉛片の形状、大小、長短、多少、細太のほか、それらの分布の疎密および方向性の有無などによって決定されるが、黒鉛組織形態とそれを構成することになる黒鉛片数の間には密接な関係があり、黒鉛片数がわかれば黒鉛組織の形態をも類推可能となる。【0008】ねずみ鋳鉄は、一般的に3〜4%の炭素と2〜3%の珪素を含む鉄合金であるが、鉄基地中に様々な形状、大きさの黒鉛が分散した組織形態をとる。鋳鉄中の炭素は、凝固にあたって黒鉛炭素とセメンタイトを形成する化合炭素、それに鉄基地中に固溶される若干の炭素に分かれる。研摩された鋳鉄試料を検鏡してみられる黒鉛はこのなかの黒鉛炭素であり、セメンタイトは研摩試料を腐食させることでみられるパーライト中に視認できる。直接視認できない少量の固溶炭素を別にして考えれば、残る黒鉛炭素と化合炭素のあり方が鋳鉄の黒鉛組織形態を左右する。【0009】肉厚が10〜30mm程度のねずみ鋳鉄の場合、化合炭素の割合は通常0.4〜0.9%程度の範囲にとどまり、全炭素量が増えても化合炭素量はあまり変化しない。つまり、全炭素量から化合炭素量を減じた残余の部分が黒鉛炭素となることから、全炭素量が増えればその分黒鉛炭素が増えることになり、結果として鉄基地中の黒鉛面積率は増加する。【0010】この黒鉛炭素が凝固時にどのような形状、分布をとるかは、主として地金配合や溶解、注湯条件のほか溶湯処理や鋳型条件によって相違し、たとえ化学成分が同一であっても、これらの条件が変われば黒鉛組織も大きく変化する。しかし、一般的には凝固速度が遅い肉厚部においては黒鉛が成長して長大となり、肉薄部や溶湯停滞部にあっては凝固速度が速く、黒鉛は成長できずに短小となる傾向がみられる。【0011】一方、黒鉛となる炭素量は一定であるので、黒鉛が長大となれば一個あたりの炭素量も大となるので黒鉛数は少なくなり、逆に黒鉛が短小であれば黒鉛数は増えることになる。【0012】このようなことから、本発明は、黒鉛組織形態とそれを構成することになる黒鉛個数の間には密接な関係があるとの予測のもとに案出されたものである。【0013】 請求項1に記載の発明は、ねずみ鋳鉄における黒鉛組織を画像解析装置により定量的に評価する方法であって、ねずみ鋳鉄の黒鉛組織の拡大画像を画像解析して、その黒鉛組織に含まれる非球状の黒鉛としてその面積が平均径5μmの円の面積に相当する大きさのものもしくはその最大長さが10μmのものを抽出してその数を算出する第1の工程と、抽出した黒鉛群のうち最大長さ50μm以上150μm未満の長さの範囲に含まれる黒鉛個々の最大長さと面積を算出し、それらのデータをもとに平均サイズに相当する最大長さ100μmの黒鉛の面積を割り出した上でその面積を100で除し、その値を黒鉛組織に含まれる非球状の黒鉛の代表的な太さの度合いを表す肥痩度として算出する第2の工程と、先に算出した黒鉛の数と上記肥痩度とを相互に関連付けた上で評価結果として双方の値を出力する第3の工程と、を含んでいる。そして、上記第1の工程では、特定の大きさの非球状の黒鉛を抽出するのに先立って画像の前処理として解析画面枠と接触している黒鉛を除外,消去するにあたり、その除外,消去されるべき黒鉛の数を計数し、次いでその除外,消去されるべき黒鉛以外の黒鉛を、上記特定の大きさを一つのサイズ区分に含む複数のサイズ区分に分けて抽出してそれぞれの数を計数し、上記の除外,消去されるべき黒鉛数をそれ以外のサイズ区分別の黒鉛数比率に応じて比例配分してそれぞれの黒鉛数に加算することにより、抽出された特定の大きさの非球状の黒鉛数に補正を加えることを特徴とする。【0014】画像解析の対象となる画像は、請求項2に記載のように例えば黒鉛組織の検鏡画面をビデオカメラやデジタルカメラ等の撮像素子(CCD)にて撮像したもののほか、場合によってはスチールカメラで撮影したものやそれをスキャナー等で読み込んだものでもよい。【0019】 さらに、請求項3に記載の発明は、上記手法をねずみ鋳鉄における黒鉛組織を画像解析により定量的に評価するシステムとして特定したものであって、図2に示すように、画像解析手段1と、この画像解析手段1に対してねずみ鋳鉄の黒鉛組織の拡大画像を入力する画像入力手段2、および解析結果を表示する表示手段3とを備えていることを前提とする。その上で、上記画像解析手段1は、ねずみ鋳鉄の黒鉛組織の拡大画像を画像解析して、その黒鉛組織に含まれる非球状の黒鉛としてその面積が平均径5μmの円の面積に相当する大きさのものもしくはその最大長さが10μmのものを抽出してその数を算出する黒鉛数算出手段4と、抽出した黒鉛群のうち最大長さ50μm以上150μm未満の長さの範囲に含まれる黒鉛個々の最大長さと面積を算出し、それらのデータをもとに平均サイズに相当する最大長さ100μmの黒鉛の面積を割り出した上でその面積を100で除し、その値を黒鉛組織に含まれる非球状の黒鉛の代表的な太さの度合いを表す肥痩度として算出する肥痩度算出手段5と、特定の大きさの非球状の黒鉛を抽出するのに先立って画像の前処理として解析画面枠と接触している黒鉛を除外,消去するにあたり、その除外,消去されるべき黒鉛の数を計数し、次いでその除外,消去されるべき黒鉛以外の黒鉛を、上記特定の大きさを一つのサイズ区分に含む複数のサイズ区分に分けて抽出してそれぞれの数を計数し、上記の除外,消去されるべき黒鉛数をそれ以外のサイズ区分別の黒鉛数比率に応じて比例配分してそれぞれの黒鉛数に加算することにより、抽出された特定の大きさの非球状の黒鉛数に補正を加える比例配分加算手段13と、を含んでいて、且つ先に算出した黒鉛の数と上記肥痩度とを相互に関連付けた上で評価結果として双方の値を表示手段3に可視表示するようになっていることを特徴とする。【0023】 したがって、本発明では、黒鉛組織を黒鉛数とそれに関連付けた肥痩度とをもって数値的に定量評価できることになる。【0024】【発明の効果】 本発明によれば、黒鉛組織を黒鉛数とそれに関連付けた肥痩度とをもって数値的に、しかも容易且つ的確に定量評価できるので、その評価結果に個人差によるばらつきが発生することがなく、評価結果の信頼性が高いものとなるほか、実際の黒鉛組織の形態をイメージしやすくなるという効果がある。【0025】【発明の実施の形態】図1〜3は本発明の好ましい実施の形態を示す。【0026】図1は本発明に係る判定システムの概略構成を、図2はその機能ブロック回路図をそれぞれ示し、パーソナルコンピュータ6を主要素とする画像解析手段1たる画像解析装置20のほか、光学式の金属顕微鏡7、および画像入力手段(撮像手段)2としてのCCDカメラ(ビデオカメラ)8等をもって構成されていて、CCDカメラ8でとらえた画像が入力ポート9を介して画像解析装置20に取り込まれる。なお、パーソナルコンピュータ6はCPU、ROM、RAMのほかハードディスク等の記憶装置を内蔵していて、予め所定の画像解析ソフトがインストールされているとともに、入力手段としての図示外のキーボードやマウスのほか表示手段3としてのCRTディスプレイ10、および出力手段としてのプリンタ11さらにはMO等の外部記憶装置12等を備えている。【0027】判定対象となるねずみ鋳鉄の黒鉛組織が金属顕微鏡7で100倍に拡大され、その検鏡画面がCCDカメラ8で撮像されて画像解析装置20に取り込まれる。取り込まれた100倍顕微鏡画像は、例えばそのうちの640×480ピクセル(画素)の範囲が画像解析の対象となり、この解析画像枠の幅640ピクセルに対して640μmのスケールが設定されているので、1ピクセル=1μmの関係にある。【0028】図3のステップS1に示すように画像解析装置20に画像が入力されると、先ずその画像が明暗二値化され、組織の鉄基地が白色で、黒鉛が黒色でそれぞれ表示される(ステップS2)。同時に、解析画面外枠と交差(横断)もしくは接触している黒鉛を除外するべくこれが消去される(ステップS3)。そして、さらにステップS4では、黒鉛面積率が54パーセント未満の非球状の黒鉛のみが抽出されて、その数が算出される。【0029】抽出すべき黒鉛サイズの決め方としては、一般的には図6に示すように二つの方式がある。一つは同図(A)に示すように黒鉛の面積とは無関係にその最長部に内接する円の直径をもって黒鉛サイズとする方式(最大径方式)で、もう一つは同図(B)に示すように黒鉛の長さとは無関係にその黒鉛の面積と等しい円の直径をもって黒鉛サイズとする方式(平均径方式)である。【0030】本実施の形態では、抽出すべき黒鉛のサイズを平均径で5μm以上と定め、先に述べたように黒鉛面積率が54パーセント未満の非球状の黒鉛であって且つ平均径で5μm以上の黒鉛のみを抽出し、その数を算出して表示する。ただし、平均径方式に代えて最大径(最大長さ)で10μm以上のものを抽出するようにしてもよく、また両方式を併用して最大径で10μm以上で且つ平均径で5μm以上のものを抽出するようにしてもよい。抽出した黒鉛形態の一例を図13の左上に示し、検出された黒鉛数は例えば90とする。【0031】図13から明らかなように、黒鉛形態の全体のイメージは同図左下に示すように最大長さが50μm以上で150μm未満の黒鉛の太さの度合い(後述するように、本実施の形態ではこれを肥痩度と称する)に大きく依存しているとの想定のもとに、さらに最大長さが50μm以上で150μm未満の黒鉛のみを抽出し、個々の黒鉛の最大径(最大長さ)と面積を計測する(図3のステップS5)。計測した各黒鉛の最大長さと面積とを併記したものが図15であり、またそれらの黒鉛の分布をグラフ表示したものが図16である。そして、図16の関係式から各黒鉛の長さの中央値に相当するものを求め、その中央値に相当する黒鉛の面積を求める。【0032】図16では50μm〜150μmの各黒鉛の中央値は100μmであるから、その中央値となる100μmの場合の面積を求めると1006μm2となる。この数値の意味は、50μm以上150μm未満の黒鉛群の各データから仮にその黒鉛群の代表ともいうべき最大長さ(最大径)100μmの黒鉛を想定し、その面積を求めれば1006μm2となり、図17に示すようにその面積1006μm2を長さの100μmで除せば10.06という数値が得られ、これを肥痩度とする(図3のステップS6)。この肥痩度の値は同面積で長さ100μmの矩形を想定した場合に同矩形の幅寸法に相当することにほかならず、具体的な肥痩度のイメージにつながる数値とすることができる。【0033】そして、仮想黒鉛の幅寸法10.06を四捨五入して10.1とし、「黒鉛数(肥痩度)」の形態すなわち先に求めた検出黒鉛数90の値の後に付記して「90(10.1)」の表記をもって可視表示する(図3のステップS7)。これにより、その黒鉛形態ばかりでなく構成黒鉛の肥痩度を含めての表示が可能となる。なお、以上の一連の演算処理は図2に示したような画像解析装置20の機能によって実行される。【0034】次に、上記のように2桁もしくは3桁の数値をもって行う肥痩度評価を含むねずみ鋳鉄の黒鉛組織の評価,判定方法が適正且つ妥当なものであるかどうか既存の黒鉛球状化率測定装置を用いて検証してみる。【0035】図4は従来から広く用いられている黒鉛球状化率測定装置を用いた場合の処理手順を示し、同図から明らかなように、黒鉛球状化率測定に際しては、球状であるか非球状であるかにかかわらず、撮像画面内の全黒鉛について指定サイズによる黒鉛の大小の判別と、その個数の計測が行われる。ここでは、この計数機能を有効利用して片状黒鉛もしくは共晶黒鉛組織の定量判定を試みた。【0036】図1のビデオカメラ(CCD等の撮像素子)8で取り込まれた100倍顕微鏡画像は、例えばそのうちの640×480ピクセル(画素)の範囲が画像解析の対象となる。なお、1ピクセル=1μmの関係にあることは先に述べた通りである。解析結果の仕様は例えば図5に示すとおりであって、検出黒鉛数がJIS規格による球状、非球状(片状)別にそれぞれ分けて表示される。【0037】抽出すべき黒鉛サイズの決め方に最大径方式と平均径方式の二とおりの方法があることも先に述べた。黒鉛球状化率測定に際してはJISにて最大径方式によると定められているものの、いずれの方式もそれなりに有意義な方式であるので、ここでは最大径方式と平均径方式の双方の方式を併用することとする。【0038】最初に、試料として比較的黒鉛の長さが大きい疎大黒鉛組織と緻密な共晶黒鉛組織のほか両者の中間の黒鉛組織を加えて合計3種類のものを用意した。図7は、一例として上記の中間の黒鉛組織についての黒鉛の形状およびサイズ別の測定結果を示す。【0039】図7では、黒鉛のサイズを何段階かに分けて抽出するものとし、例えば黒鉛サイズを1μm、2μm、3μm、5μm、10μm、15μm、20μmの各サイズ以上の7段階に類別し、それぞれ最大径と平均径の両方について測定した。同時に、検出黒鉛数については各サイズ区間別と累計の両方について、また黒鉛の球状、非球状の別も表示した。【0040】図7から明らかなように、比較的サイズの大きい範囲では最大径での黒鉛数が多く平均径での黒鉛数が少なくなっており、逆にサイズの小さい範囲では平均径での黒鉛数が多く最大径での黒鉛数が少なくなっているが、これは先に述べた黒鉛サイズの定義の差異に照らし合わせれば当然と言えば当然と言える。これに対して、最小黒鉛のサイズを極限の1μm以上に設定した場合には、形状の如何にかかわらず画面内の全ての黒鉛を測定対象とした場合と何ら異なるところがないので、検出黒鉛総数は最大径で433程度、平均径で436程度と両者ともにほぼ同数を示している。【0041】残り二つの試料すなわち疎大黒鉛組織と共晶黒鉛組織についての測定結果は図示省略するが、最小黒鉛サイズを1μm以上としたときの検出黒鉛総数は、疎大黒鉛組織にあっては最大径で221程度、平均径で223程度、共晶黒鉛組織にあっては最大径で1172程度、平均径で1176程度を示した以外は、上記中間組織のものと同等の傾向にある。【0042】その一方、いずれの試料にも共通してみられる特徴として、最小黒鉛サイズが5〜10μmの範囲内のものを境界にして、それ以上では球状黒鉛と判定されるものがほとんどなくなっているのに対し、それ以下の範囲では球状黒鉛と判定されるものが増加する傾向にあることが判明した。【0043】そこで、別の試料について、最大径で10μm以上と10μm未満、また平均径で5μm以上と5μm未満とに分けて黒鉛形態の差異を観察してみた。図8は、そのうちの最大径での分割表示結果であるが、最大径10μm未満の範囲にあっては合計134の黒鉛が検出されているものの、大部分が球状か非球状かの判別も肉眼ではほとんど不可能な点状、粒状もしくは小塊状とでも称すべきもので、なかには黒鉛のように見えても実際はスラグや錆である可能性もある。また、重要なことは、この黒鉛組織を肉眼で見た場合の印象もしくはイメージは最大径10μm以上の黒鉛組織によって形成され、10μm未満の黒鉛群は肉眼視でのイメージ形成には何の役割も果たしておらず、単なるノイズとしか認識されないということである。なお、図示は省略するが、こうした観察結果は平均径方式で5μm以上と5μm未満とに分割表示した画像についても同様である。【0044】本発明の目的は、黒鉛組織間の差別化を図って差異を明確にすることにある。こうした目的からすれば、最大径で10μm未満、平均径で5μm未満の点状または粒状の黒鉛は組織全体のイメージ形成に何らの寄与もしていない以上は、単なるノイズ以外のなにものでもないということになる。そこで、以降の観察においては最大径で10μm以上、平均径で5μm以上の非球状黒鉛のみを測定対象とすることとする。【0045】このようにして、黒鉛組織の黒鉛数を測定するための条件が絞り込まれたので、次にこの条件を実際の黒鉛組織にあてはめて実験を行ってみた。【0046】最初に様々な黒鉛組織の試料を用意し、非常に長大な黒鉛組織から緻密な共晶黒鉛組織まで、観察者5人がみた場合に誰もが賛同する順序に並べてNo.1からNo.10までの10試料を選別した。そして、最小黒鉛サイズの設定は最大径、平均径ともに5μm以上、10μm以上、15μm以上および20μm以上の4段階とし、JISで定める非球状黒鉛数を測定した。【0047】その結果が図9であり、長大片状から短小共晶黒鉛まで組織の疎密の順で並べた黒鉛組織と検出黒鉛数の関係を、最大径でのデータ(破線)と平均径でのデータ(実線)とを重ねて表示している。この結果から、黒鉛組織の疎密の順序と最もリニアな関係にあるのは、最小黒鉛サイズとして平均径で5μm以上とした場合と最大径で10μm以上とした場合の黒鉛数であることがわかる。このうち、どちらのものを標準的なものとして採用するのが最も有効であるかを確認するため、さらに多くの試料について平均径で5μm以上とした場合と最大径で10μm以上とした場合の黒鉛数をそれぞれ計測した。その結果を図10に示す。【0048】図10から明らかなように、黒鉛数が300程度までの比較的黒鉛が大きな組織にあっては、どちらも同等の値を示すことになるものの、黒鉛数が300を越える比較的細かな共晶黒鉛に近い組織にあっては、平均径で5μm以上とした方がより多くの黒鉛が検出されることがわかる。その理由は、先にも述べたように最大径は黒鉛の長さを、平均径は黒鉛の面積をそれぞれサイズの尺度としているため、次第に黒鉛の長さが短くなって小塊状から粒状さらには点状へと近付くのに伴いそのサイズが指定最大長さに達しなくなって計測対象(検出対象もしくは抽出対象)から外れた場合でも、その面積としては指定平均径を越えることがあると推定できる。【0049】黒鉛組織の差別化を図るに際し、黒鉛が比較的大きな場合よりも微細になればなるほど組織の差異検出が困難になるが、そうした緻密短小の黒鉛組織にあってもより敏感に黒鉛数差を検出し得ることはきわめて好都合であり、したがって、黒鉛組織の形態をその構成黒鉛数をもって判定しよとする場合には、最小黒鉛サイズの設定は最大径をもってするのではなく、平均径をもってするのが妥当であるとの結論に至った。【0050】以上の検討結果から、平均径で5μm以上の非球状(片状)黒鉛数を計測することで、先に述べたように2桁または3桁の数値をもって行う肥痩度評価を含みつつねずみ鋳鉄の黒鉛組織を容易に且つ確実に個人差なく評価,判定することができることが判明した。【0051】さらなる具体例として、先に使用したNo.1〜No.10までの10個の組織試料について、その顕微鏡写真と検出された片状黒鉛数との関係を示したものが図11であり、各組織の黒鉛形態の特徴と検出黒鉛数とが一定の相関関係にあることが理解されよう。なお、図11では先のNo.1〜No.10の表示をK−1〜K−10の表示に置き換え、同時に括弧内には検出された非球状(片状)黒鉛数を併記してある。【0052】ここで、仮に検出黒鉛数が同じであっても黒鉛組織を形成している個々の黒鉛の太さ、細さが相違する場合があり、これらの影響については未だ必ずしも十分に考慮されていない。黒鉛の太さ(細さ)の程度をここでは仮に肥痩度と称することとした場合、その黒鉛肥痩度に著しい差異が認められる実例を図12に示す。【0053】同図に示す各黒鉛組織での検出黒鉛数はいずれも90であるが、それぞれの黒鉛の肥痩度に差があることは黒鉛面積率の違いからも明らかである。これだけの相違があれば、ねずみ鋳鉄のそのものの機械的性質その他に差が出ることは当然であり、この肥痩度までも考慮されなければ黒鉛組織の判定手法としては不完全なものと言わざるを得ない。【0054】この場合に、最も単純な方法は、各黒鉛数が同一であるが故にそれぞれの合計黒鉛面積を比較したり、あるいは合計黒鉛面積を黒鉛個数で除した値すなわち黒鉛一個あたりの平均面積で比較することも一応有効ではある。しかしながら、黒鉛数は同じでも黒鉛のサイズ別比率は不同であることを考慮すれば、単純な黒鉛面積の比較だけでは必ずしも適切ではない。【0055】そこで、図12に示した4種類の黒鉛組織のうち左上の肥痩度10.1の組織について、黒鉛最大長さ10μm以上50μm未満と、50μm以上150μm未満、それに150μm以上の3サイズ区分に構成黒鉛の分布を分割表示したものが図13である。なお、図13の左上の図は図12の左上の図と同じものである。図12,13から明らかなように、この黒鉛組織における黒鉛の肥痩度のイメージは、主として最大長さ50μm以上150μm未満のサイズの黒鉛群によって決定付けられているものと認められる。試みとして黒鉛数を異にする別の種類の黒鉛組織についても同様な確認を行ったが、やはり最大長さが50μm以上150μm未満のサイズの黒鉛が組織全体の黒鉛の肥痩度のイメージを大きく支配していることが確認された。したがって、最大長さが50μm以上150μm未満のサイズの黒鉛群に対象を絞って肥痩度の比較ができれば、その黒鉛組織全体の黒鉛肥痩度のイメージを表現できることになる。【0056】ここで、図14からも明らかなように、最大長さが150μm以上の黒鉛群にあっては複数の黒鉛が連結してあたかも一個の黒鉛であるかのように認識されるものが急増することから、これらの黒鉛が個数に含まれるのを排除するためにも最大長さが150μm以上の黒鉛を除外することが望ましい。【0057】上記の50μm以上150μm未満の黒鉛群について、個々の黒鉛の最大径(最大長さ)と面積を計測してそれらを併記したものが図15であり、またそれらの黒鉛の分布をグラフ表示したものが図16である。これらの図から黒鉛の長さの中央値となる100μmの場合の面積を求めると1006μm2となる。【0058】この数値の意味は、50μm以上150μm未満の黒鉛群の各データから、仮にその黒鉛群の代表ともいうべき最大長さ(最大径)100μmの黒鉛を想定し、その面積を求めれば1006μm2となり、図17に示すようにその面積1006μm2を長さの100μmで除せば10.06という数値が得られる。この値は同面積で長さ100μmの矩形を想定した場合に同矩形の幅寸法に相当することにほかならず、具体的な肥痩度のイメージにつながる数値とすることができる。【0059】そして、仮想黒鉛の幅寸法10.06を四捨五入して10.1とし、先に求めた検出黒鉛数90の値の後に付記して「90(10.1)」の表記とすれば、その黒鉛形態ばかりでなく、構成黒鉛の肥痩度を含めての表現が可能となる。【0060】以上により、2桁もしくは3桁の数値をもって行う黒鉛の肥痩度評価が適正であることが確認できた。【0061】ここで、鋳鉄製ブレーキディスクロータを製作するにあたり、鋳造方案の改善のためにそのブレーキディスクロータの断面での黒鉛数の分布を三次元的に表したものを図18に、溶湯処理の適正化のためにそのブレーキディスクロータの断面での黒鉛数の分布を三次元的に表したものを図19にそれぞれ示す。このような黒鉛組織の数値表示の際に先に述べた肥痩度の値を併記すればより効果的なものとなる。【0062】図20〜24には本発明の第2の実施の形態を示す。【0063】図20のフローチャートから明らかなように、抽出すべき黒鉛が球状であるか非球状であるかにかかわらず画像解析に際して解析画面外枠を横断もしくはその外枠と接触している黒鉛は、前処理段階で計測対象外のものとして除外,消去されることは先に述べたとおりである(図3のステップS3および図20のステップS3参照)。これは、解析画面外枠に掛かっている黒鉛については、画面に表示されている部分以外の見えていない部分がどのような形状、サイズであるのか判断不能なために除外,消去されることにほかならず、画像解析上やむを得ない操作である。【0064】この場合、黒鉛球状化率測定に際して実際の黒鉛数よりも計測対象となる黒鉛粒数が多少減ったとしても、目的が黒鉛の球状化率測定にあるが故に画面外枠内に残った黒鉛を計測することで黒鉛球状化率を求めることができ、実用上はそれほど問題となることはない。【0065】その一方、ねずみ鋳鉄における片状黒鉛組織の定量評価の手法を構成黒鉛粒数の差に求める本発明にあっては、肝心な黒鉛粒数が実際のものと異なってしまうようでは解析精度上決して好ましいことではない。【0066】図21は解析画面外枠(計測枠)を横断もしくはその外枠と接触している黒鉛を除外,消去する前と後の状態を比較したものであるが、同図の右側に示すように外枠に接触している黒鉛が除外,消去されると画面内のうち外枠に近い部分では空白部が目立つようになる。そして、その外枠内に残った黒鉛のみが計測対象となるため、得られた解析結果は実際の黒鉛組織と近似してはいても部分的には異なる組織となってしまうことになる。【0067】まして、ねずみ鋳鉄の黒鉛は、球状黒鉛鋳鉄の黒鉛が球状もしくはそれに近い塊状のものであるのに対して、それよりはるかに細長で長大な黒鉛の比率が高いことが特徴である。このように片状黒鉛が長大であるほど画面外枠に接触しやすく、また黒鉛が長大であるほど構成黒鉛粒数が少ないことを意味しているので、結果として長大黒鉛を含む黒鉛組織では、外枠に接触しているがために除外,消去される黒鉛の比率が高くなる。【0068】こうした具体的且つ顕著な例を図22に示し、同図から明らかなように実在黒鉛の半数以上が除外,消去されて、同図の右側の図から明らかなように計測対象黒鉛組織は原黒鉛組織の面影を全くとどめないほど別の組織になってしまうことになる。なお、この例は極端な長大黒鉛組織の場合であって、通常のFC−250クラスの黒鉛組織では見られることはないが、それでも一般的ないわゆるA型黒鉛組織では例えば640×480μmの画面外枠の場合でその外枠との接触を理由に5〜20%程度の黒鉛が除外,消去されることは避けられない。【0069】そして、黒鉛形態が近似の組織にあってはその黒鉛の除外,消去率もほぼ同様であるので、黒鉛組織の相対的な比較を行うにあたっては実用上それほど問題とならないものの、ありのままの黒鉛形態を忠実に反映させるためにはこの除外,消去されるべき黒鉛をも取り込んだ評価がなされることが望ましい。【0070】ここで、上記のように解析画面外枠と接触していることを理由に除外,消去されることになる黒鉛の個々の全体形状やサイズは計測不可能であっても、その個数は計測可能である。また、確率からしても、解析画面外枠と接触していることを理由に除外,消去されることになる黒鉛の形状やサイズの構成は、枠内に残されることになる大部分の黒鉛の構成比率と大差ないと考えられる。【0071】したがって、外枠に接触していることを理由の除外,消去されるべき黒鉛の数を計数する一方で、外枠内に残された黒鉛について複数のサイズ区分に分けて計数して、それらサイズ区分ごとの黒鉛構成比率を求め、上記の除外,消去されるべき黒鉛の数をこの黒鉛構成比率に応じて比例配分して各サイズ区分の黒鉛数に上乗せするべく加算すれば、外枠に接触していることを理由の除外,消去されるべき黒鉛数をも考慮した本来の黒鉛組織の全黒鉛の構成にきわめて近似した構成比率を再現できることになる。【0072】図20のほか図23はその具体的な手順の一例を示し、図20のステップS1〜S3の処理は図3に示したものと同様である。ステップS3にて明暗二値化した黒鉛組織(全黒鉛)の画像から解析画面外枠を横断もしくはその外枠と接触している黒鉛を除外,消去するにあたり、解析画面外枠を横断もしくはその外枠と接触していることを理由に除外,消去されるべき黒鉛の数を計数する(ステップS3−1)。そして、ステップS4では図3の場合と同様に黒鉛面積率が54%未満であって且つ平均径が5μm以上の非球状の黒鉛を5μm未満の黒鉛とは区別して抽出して、それぞれの黒鉛数を計数もしくは算出する。【0073】図23の例では、解析画面外枠を横断もしくはその外枠と接触していることを理由に除外,消去されるべき黒鉛数が32個で、画面外枠内における5μm未満の黒鉛数が26個、さらに5μm以上の黒鉛数が148個である場合を示している。【0074】次いで、図20のステップS4−1のほか図23に示すように、画面外枠内に残された5μm未満の黒鉛数26個と5μm以上の黒鉛数148個との比率をもって、除外,消去されるべき黒鉛数32個を配分する。すなわち、除外,消去されるべき黒鉛数32個を26:148の比率で比例配分して5:27に分ける。そして、画面外枠内における5μm以上の黒鉛数148個に27個を上乗せするべく加算すると、その5μm以上の黒鉛の数が補正されて175個となる。その結果として、抽出すべき平均径5μm以上の黒鉛数として、解析画面外枠を横断もしくはその外枠と接触していることを理由に除外,消去されるべき黒鉛数が全く考慮されていない148個という仮の黒鉛組織指数と、解析画面外枠を横断もしくはその外枠と接触していることを理由に除外,消去されるべき黒鉛数を比例配分することにより補正された175個というより真の値い近い真黒鉛組織指数が得られることになる。【0075】以降は図3の場合と同様にステップS5,S6で肥痩度を算出し、さらにステップS7では先に求めた真黒鉛組織指数に肥痩度を併記するかたちで例えば「175(10.1)」のように可視表示するものとする。なお、以上の一連の演算処理は図24に示すような画像解析装置の機能によって実行される。すなわち、図24は枠接触除外黒鉛数の比例配分加算手段13を備えている点で図2に示したものと異なっている。【0076】このように本実施の形態によれば、特定の大きさの非球状の黒鉛を抽出してその数を計数するにあたり、本来は解析画面外枠を横断もしくはその外枠と接触していることを理由に除外,消去されるべき黒鉛数を比例配分して上記抽出すべき黒鉛数を補正するようにしているので、黒鉛組織の画像解析精度が一段と向上とするとともに、解析結果の信頼性も高いものとなる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の好ましい実施の形態として評価システム全体の概略構成を示す説明図。【図2】図1の要部の機能ブロック図。【図3】 同じく本発明の好ましい実施の形態として評価方法での手順を示すフローチャート。【図4】黒鉛球状化率測定における画像解析手順を示すフローチャート。【図5】図4の黒鉛球状化率測定での解析結果の一例を示す説明図。【図6】黒鉛サイズの決め方として最大径方式と平均径方式の違いを示す説明図。【図7】黒鉛の形状、サイズ別の検出数を示すグラフ。【図8】同図左側の黒鉛組織について最大径10μm未満の黒鉛と10μm以上の黒鉛とに分割表示した説明図。【図9】黒鉛組織の疎密と検出黒鉛数の関係を示すグラフ。【図10】最小黒鉛設定条件と検出黒鉛数との関係を示すグラフ。【図11】ねずみ鋳鉄の組織と黒鉛数の関係を示す説明図。【図12】黒鉛数同一組織のもとでの黒鉛肥痩度の差異例を示す説明図。【図13】黒鉛数90の組織についてサイズ別黒鉛を分割表示した説明図。【図14】150μm前後から増え始める複数連結黒鉛の説明図。【図15】黒鉛数90の組織について個別黒鉛の長さと面積とを計測した結果を示す説明図。【図16】図15の組織について黒鉛長さ(最大径)と黒鉛面積との関係を示すグラフ。【図17】長さ100μmの仮定代表黒鉛の肥痩度表示形態を示す説明図。【図18】鋳鉄製ブレーキディスクロータの鋳造方案の改善のためにそのブレーキディスクロータの断面での黒鉛数の分布を三次元的に表した説明図。【図19】溶湯処理の適正化のためにそのブレーキディスクロータの断面での黒鉛数の分布を三次元的に表した説明図。【図20】本発明の第2の実施の形態を示すフローチャート。【図21】解析画面外枠と接触している黒鉛を除外消去する前後での黒鉛組織を比較した説明図。【図22】同じく解析画面外枠と接触している黒鉛を除外消去する前後での黒鉛組織を比較した説明図。【図23】解析画面外枠と接触していることを理由に除外消去されるべき黒鉛数を比例配分加算する場合の黒鉛組織の説明図。【符号の説明】 1…画像解析手段 2…画像入力手段 3…表示手段 4…黒鉛数算出手段 5…肥痩度算出手段 7…金属顕微鏡 8…CCDカメラ 10…CRTディスプレイ 13…枠接触除外黒鉛数の比例配分加算手段 20…画像解析装置 ねずみ鋳鉄における黒鉛組織を画像解析装置により定量的に評価する方法であって、 ねずみ鋳鉄の黒鉛組織の拡大画像を画像解析して、その黒鉛組織に含まれる非球状の黒鉛としてその面積が平均径5μmの円の面積に相当する大きさのものもしくはその最大長さが10μmのものを抽出してその数を算出する第1の工程と、 抽出した黒鉛群のうち最大長さ50μm以上150μm未満の長さの範囲に含まれる黒鉛個々の最大長さと面積を算出し、それらのデータをもとに平均サイズに相当する最大長さ100μmの黒鉛の面積を割り出した上でその面積を100で除し、その値を黒鉛組織に含まれる非球状の黒鉛の代表的な太さの度合いを表す肥痩度として算出する第2の工程と、 先に算出した黒鉛の数と上記肥痩度とを相互に関連付けた上で評価結果として双方の値を出力する第3の工程と、 を含んでいて、 上記第1の工程では、 特定の大きさの非球状の黒鉛を抽出するのに先立って画像の前処理として解析画面枠と接触している黒鉛を除外,消去するにあたり、その除外,消去されるべき黒鉛の数を計数し、 次いでその除外,消去されるべき黒鉛以外の黒鉛を、上記特定の大きさを一つのサイズ区分に含む複数のサイズ区分に分けて抽出してそれぞれの数を計数し、 上記の除外,消去されるべき黒鉛数をそれ以外のサイズ区分別の黒鉛数比率に応じて比例配分してそれぞれの黒鉛数に加算することにより、抽出された特定の大きさの非球状の黒鉛数に補正を加えることを特徴とするねずみ鋳鉄における黒鉛組織の評価方法。 画像解析の対象となる画像は、黒鉛組織の検鏡画面を撮像素子にて撮像したものであることを特徴とする請求項1に記載のねずみ鋳鉄における黒鉛組織の評価方法。 ねずみ鋳鉄における黒鉛組織を画像解析により定量的に評価するシステムであって、 画像解析手段と、この画像解析手段に対してねずみ鋳鉄の黒鉛組織の拡大画像を入力する画像入力手段、および解析結果を表示する表示手段とを備えていて、 上記画像解析手段は、 ねずみ鋳鉄の黒鉛組織の拡大画像を画像解析して、その黒鉛組織に含まれる非球状の黒鉛としてその面積が平均径5μmの円の面積に相当する大きさのものもしくはその最大長さが10μmのものを抽出してその数を算出する黒鉛数算出手段と、 抽出した黒鉛群のうち最大長さ50μm以上150μm未満の長さの範囲に含まれる黒鉛個々の最大長さと面積を算出し、それらのデータをもとに平均サイズに相当する最大長さ100μmの黒鉛の面積を割り出した上でその面積を100で除し、その値を黒鉛組織に含まれる非球状の黒鉛の代表的な太さの度合いを表す肥痩度として算出する肥痩度算出手段と、 特定の大きさの非球状の黒鉛を抽出するのに先立って画像の前処理として解析画面枠と接触している黒鉛を除外,消去するにあたり、その除外,消去されるべき黒鉛の数を計数し、次いでその除外,消去されるべき黒鉛以外の黒鉛を、上記特定の大きさを一つのサイズ区分に含む複数のサイズ区分に分けて抽出してそれぞれの数を計数し、上記の除外,消去されるべき黒鉛数をそれ以外のサイズ区分別の黒鉛数比率に応じて比例配分してそれぞれの黒鉛数に加算することにより、抽出された特定の大きさの非球状の黒鉛数に補正を加える比例配分加算手段と、 を含んでいて、 且つ先に算出した黒鉛の数と上記肥痩度とを相互に関連付けた上で評価結果として双方の値を表示手段に可視表示するようになっていることを特徴とするねずみ鋳鉄における黒鉛組織の評価システム。


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