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タイトル:特許公報(B2)_荷電粒子線装置用試料ホールダ
出願番号:2002366018
年次:2008
IPC分類:H01J 37/20,G01N 1/28,G01N 1/32,H01J 37/317


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矢口 紀恵 上野 武夫 小池 英巳 JP 4199996 特許公報(B2) 20081010 2002366018 20021218 荷電粒子線装置用試料ホールダ 株式会社日立ハイテクノロジーズ 501387839 株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ 000233550 井上 学 100100310 矢口 紀恵 上野 武夫 小池 英巳 20081224 H01J 37/20 20060101AFI20081204BHJP G01N 1/28 20060101ALI20081204BHJP G01N 1/32 20060101ALI20081204BHJP H01J 37/317 20060101ALI20081204BHJP JPH01J37/20 AH01J37/20 GG01N1/28 WG01N1/28 GG01N1/32 BH01J37/317 D H01J 37/20 G01N 1/28 G01N 1/32 H01J 37/317 特開平10−111223(JP,A) 特開平08−124507(JP,A) 特開2002−150990(JP,A) 実開平06−019253(JP,U) 特開2002−319363(JP,A) 藪崎こずえ,"FIBを用いた微細構造解析用試料調整技術",古河電工時報,2002年 7月,第110号,p.77-82 梅村馨,"電子顕微鏡用マイクロサンプリング技術の開発",精密光学会誌,2002年 6月,Vol.68, No.6,p.756-760 5 2004199969 20040715 8 20040927 松岡 智也 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、透過電子顕微鏡または走査電子顕微鏡で観察するための試料を集束イオンビーム(以下、FIB)加工装置により薄膜または断面加工し、さらに観察目的や試料材質に合わせ、化学研磨や電解研磨などの試料追加工を行うための試料台に関する。【0002】【従来の技術】従来、FIB加工装置による透過電子顕微鏡観察試料を支持する試料台としては特許文献1がある。この技術における試料台ではFIB加工装置内で摘出した試料を透過電子顕微鏡で観察,分析する際の試料の機械的安定性の問題や、電子線照射された試料台から発生するX線(システムピーク)の問題などについては種々の配慮がみられるが、いずれも通称切り欠きメッシュと呼ばれている半ディスク状の試料台に試料を固定する方法について種々の工夫がなされているのみで数10μm程度の極微小試料専用の試料台に関する技術ではない。また、特許文献2の技術においても透過電子顕微鏡観察試料を支持する試料台に関する方法、試料の固定法に関する配慮は見られるが、FIB加工装置を用いて試料を加工する際に必然的に試料表面に発生するイオン照射ダメージ層の除去や試料断面近傍を通過したイオンビームや試料断面で散乱したイオンビームが試料底部や試料台をスパッタし、試料の加工表面に汚染物質として再付着するいわゆるリデポジションの問題については配慮されていない。【0003】【特許文献1】特開2002−319363号公報【特許文献2】特開2002−25490号公報【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、集束イオンビーム加工の際に発生する前記リデポジションの問題を解決し、FIB加工中、必然的に試料最表面に形成されるイオンビーム照射ダメージ層を他の試料研磨法で容易に除去可能な試料台を提供し、試料の本質を変えずに任意の形状に整形加工することを可能とし、透過電子顕微鏡および走査電子顕微鏡を用いた微細構造解析や元素分析および化学結合状態分析などの分析精度を向上することにある。【0005】【課題を解決するための手段】上記目的は、集束イオンビームで薄膜化する試料を支持する試料台をFIB加工時の試料損傷や試料汚染が発生しにくい形状とし、なおかつ電解研磨や化学研磨などの他の方法による薄膜化処理も行える材質と形状にすることにより達成される。【0006】 液体金属を備えたイオン源と、該イオン源から発せられたイオンビームを加速する高電圧電源と、イオンビームを試料面上に集束するレンズと、集束されたイオンビームを試料面上で走査する偏向装置と試料を固定した試料ホールダを挿入する試料室を備えた集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台において該試料ホールダの形状が円柱または角柱状であることを特徴とする集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台は、微小試料を載せた試料台を、試料に衝撃や応力を加えずにしかも簡単な操作で試料ホールダに挿入または取り外すことを可能とする。また、試料を透過電子顕微鏡の中で傾斜、または回転して観察する際に試料台が電子線通路を妨害することも最小限に抑えることができる。さらにFIB加工時に常に問題となる散乱イオンビームによる試料台のスパッタに起因する試料汚染の低減にも効果がある。【0007】 上述の集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台においてその先端の形状が円錐または角錐状であることを特徴とする集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台は、上述の集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台で解決しようとする試料台のスパッタによる試料加工表面の汚染防止効果を促進するものである。また、透過電子顕微鏡や走査電子顕微鏡の特性X線分析機能を用いた元素分析の際、分析精度低下の原因となっている試料台からのノイズ信号を最小限に抑える効果もある。【0008】 上述の集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台においてその最先端が平坦加工してあることを特徴とする集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台は、円柱状または角柱状試料台に設けられた円錐状または角錐状の最先端部に微小試料を接着,固定する際の微小試料の機械的安定性を確保する上で効果の高い技術である。【0009】 上述の集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台においてその材料が導電体であることを特徴とする集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台は、FIB加工試料の表面がFIB加工時に損傷または汚染を受けた場合、その損傷または汚染を電解研磨法などにより除去する上で重要な技術である。【0010】 上述の集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台においてその材質が試料の化学研磨剤に対し耐食性を有していることを特徴とする集束イオンビーム加工装置試料ホールダ用試料台は、FIB加工試料の表面がFIB加工時に損傷または汚染を受けた場合、その損傷または汚染を強酸などの化学研磨剤を用いて除去する場合の重要な働きをする技術である。【0011】【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明について説明する。図1に本発明が適用されるFIB加工装置の構成図を示す。FIB加工装置1は、イオン銃2,コンデンサーレンズ3,絞り4,走査電極5,対物レンズ6で構成されている。FIB加工装置1の試料室には、試料9を取り付けた試料ホールダ10,その上方に二次電子検出器7,試料9への保護膜の形成および試料台への試料9の固定のための思料オールダ8,FIB加工により作製した微小試料の運搬のためのマイクロプローブ12がとりつけられている。【0012】二次電子検出器7には走査像表示装置13が接続されている。走査像表示装置13は走査電極制御部14を介して走査電極5に接続されている。また、マイクロプローブ12にはマイクロプローブ12の位置制御を行うためのマイクロプローブ制御装置15が接続されている。また、試料ホールダ10は、ホールダ制御部11に接続されている。【0013】イオン銃2から放出されたイオンビーム16は、コンデンサーレンズ3と絞り4により収束され、対物レンズ6を通過し、試料9上に照射される。対物レンズ6上方の走査電極5は、走査電極制御部14の指示により、試料9に入射するイオンビーム16を偏向し走査させる。【0014】イオンビーム16が試料9に照射されると、試料9からは二次電子が発生する。発生した二次電子は、二次電子検出器7により検出され走査像表示装置13に試料像として表示される。【0015】試料ホールダ8より試料9方向に放出されたガスはイオンビーム16照射により分解され、金属が試料9面上のイオンビーム16照射領域に堆積する。この堆積膜は、FIB加工前の試料9表面の保護膜の形成および微小試料の試料台への固定に用いられる。試料9の加工位置の設定は試料ホールダ8に接続されたホールダ制御部11により試料ホールダ8の位置を移動することにより自由に変えることが出来る。【0016】図2は本発明の試料台を取り付けるFIB加工装置用試料ホールダ10先端部の上面図(a)および断面図(b)である。試料ホールダ10には円筒状の試料台挿入部17が設けてある。試料台挿入部17に挿入された試料台18の先端には試料21が固定してある。試料21の上方からはイオンビーム16が照射され試料21の加工が行われる。【0017】本実施例の試料ホールダは、試料台18(試料支持部)と、試料台挿入部17(保持部)が、着脱可能に構成されており、後述するように、試料台18を取り外して洗浄することが可能である。またその試料台18は、試料を保持する先端部が細く、試料台挿入部17に保持される被保持部が太く形成されている(例えば円錐形状や角錐形状)。このような構成によれば、微小な試料を洗浄する際の取扱いが容易になる。試料台18を着脱する機構は、単に試料台挿入部17を、試料台18を嵌合するための開口部としても良いし、試料台18を挟持する部材を試料台挿入部17に設けるようにしても良い。【0018】なお、本実施例の試料ホールダは、試料台18を回転する回転機構(図示せず)を備えている。この回転機構は、試料ホールダの荷電粒子線装置への挿入方向と垂直な方向に回転軸を備えている。このような回転機構の採用によって、任意の方向からの加工,観察が可能になる。【0019】図3(a)および図3(b)は本発明の一実施例である試料台18および試料台19である。試料台18は本体が円柱状になっており、先端部が円錐状に整形されている。試料台19は本体が角柱状になっており、先端部が角錐状に整形されている。円柱状試料台と角柱状試料台は試料の形状に合わせて使い分ける。【0020】また、円柱状試料台18と試料台19(角柱状)は同一の試料ホールダ10に使用できるよう円柱状試料台の直径と角錐状試料台の最大径を同じ寸法とする。図3(c)は試料台18および試料台19の最先端部に設けた試料9を固定するための平坦に加工された試料接着面20である。バルク材料からプローブ12を用いて摘出された試料9はこの試料接着面20に移動され、金属デポジションにより接着,固定される。【0021】図3(d)は試料台18および試料台19の最先端部に設けた試料接着面20に試料21によって固定された試料9がFIB加工装置1内で、Arイオンビーム22によって加工されている状態を示す。【0022】試料9の側面をスパッタしながら下方に進行するArイオンビーム22は試料9の側面を通過後、試料台18に照射される。試料台18のArイオンビーム22が照射される部分は傾斜しているため試料台18に当たったArイオンビーム22は上方に反射することなく斜面に沿ってそのまま下方に進行する。このように、試料台18の先端部の形状を工夫することによりArイオンビーム22によってスパッタされた試料台18の材料の試料9の加工面への付着を防止することができる。また、試料接着面20の面の大きさを試料9の底面と同等または小さくすることにより試料台18がArイオンビーム22によってスパッタされることを防ぐこともできる。【0023】図4はFIB加工中に試料表面に生じたイオンビーム損傷層を他の試料前処理法で除去する際の試料台の働きを示す。特にイオン源に液体金属を用いた場合、イオンビーム損傷層が形成されることがあるが、本実施例によれば、その損傷を容易に排除することができる。【0024】図4(a)は一旦FIB加工装置を用いて加工した試料9の表面に存在するGaイオンビーム照射損傷層をArイオンビーム22を用いたイオンスパッタリング法で除去する場合の試料9および試料台18とArイオンビーム22の位置関係を示す。この場合もFIB加工同様、Arイオンビーム22は試料台18で反射することなく多少の屈折をしながらほぼ進行方向に直進するので反射イオンビームなどに起因する試料9加工表面への汚染付着は発生しない。【0025】図4(b)は一旦FIB加工装置を用いて加工した試料9の表面を化学研磨法により追加エッチングする場合の試料9および試料台18と化学研磨液容器23と研磨液24を示す。この場合、研磨液24には硫酸や塩酸などの強酸を含んだエッチング液が用いられるので試料台18にはセラミックスなどの耐食性にすぐれた材料が用いられる。これにより化学研磨中の試料台18の溶出による試料9の汚染を防ぐことができる。【0026】図4(c)は一旦FIB加工装置を用いて加工した試料9の表面を電解研磨法によりエッチングする場合の試料9および試料台18と電解研磨液容器25,電解研磨液26,直流電源27および陰極板28を示す。【0027】この場合、試料台18は直流電源27からの電流を試料9に伝えるための導電体としての働きが求められるので試料台18はには金属が用いられる。試料9が金属の場合に用いる方法であるが、試料台18の電解研磨液26への溶出が試料9の汚染原因となることが予想される場合は試料台18の材質は試料9と同一のものとする。【0028】試料9から溶出する金属陽イオンは研磨液24を経て陰極板28に移動する。電解研磨法は真空中で試料表面に直接高電圧で加速されたイオンビームを照射するFIB加工法やイオンミリング法とはことなり結晶欠陥を生じさせるような応力は印加されない。従って金属材料表面近傍の微細構造評価のための清浄な薄膜試料を作製する方法としては最も優れた特性を有する。【0029】ただし、エッチング量が少ないことと特定領域を選択的に薄膜化することはできない。FIB加工法との組み合わせは迅速に清浄な薄膜試料を作製することを可能にする。【0030】【発明の効果】本発明のFIB加工装置試料ホールダ用試料台を用いることにより、FIB加工時に発生する試料汚染やイオンビーム損傷を最小限に抑えることが可能となる。また、FIB加工時に汚染や損傷が発生した場合でも加工試料を引き続き他の試料研磨法により完全に除去することが可能で、従来は不可能と考えられていたFIB加工試料の無汚染,無損傷化が実現する。【図面の簡単な説明】【図1】本発明技術説明のためのFIB加工装置基本構成図。【図2】本発明技術説明のためのFIB加工装置試料台。【図3】本発明の一実施例である試料台の側面図。【図4】本発明の一実施例である試料台使用例概念図を示す。【符号の説明】1…FIB加工装置、2…イオン銃、3…コンデンサーレンズ、4…絞り、5…走査電極、6…対物レンズ、7…二次電子検出器、8,10…試料ホールダ、9,21…試料、11…試料ホールダ制御部、12…マイクロプローブ、13…走査像表示装置、14…走査電極制御部、15…マイクロプローブ制御装置、16…イオンビーム、17…試料台挿入部、18…試料台(円柱状)、19…試料台(角柱状)、20…試料接着面、22…Arイオンビーム、23…化学研磨液容器、24,26…化学研磨液、25…電解研磨液容器、27…電源、28…陰極板。 円錐形状の試料支持部を含む試料ホールダを準備し、 前記円錐形状の先端部に試料を保持し、 前記試料ホールダに保持された前記試料にイオンビームを照射して前記試料を加工し、 前記円錐形状の先端部側から、前記試料ホールダに保持された前記試料にArイオンビームを照射してイオンビーム照射ダメージ層を除去する、試料加工方法。 角錐形状の試料支持部を含む試料ホールダを準備し、 前記角錐形状の先端部に試料を保持し、 前記試料ホールダに保持された前記試料にイオンビームを照射して前記試料を加工し、 前記円錐形状の先端部側から、前記試料ホールダに保持された前記試料にArイオンビームを照射してイオンビーム照射ダメージ層を除去する、試料加工方法。 試料を保持できる試料支持部と、試料支持部を保持できる保持部と、を備え、当該試料支持部の先端部が細く、当該試料支持部の前記保持部に保持される被保持部が太く形成され、前記先端部に試料を保持する試料ホールダを準備し、 前記試料支持部の先端部に試料を保持し、 前記試料ホールダに保持された前記試料にイオンビームを照射して前記試料を加工し、 前記試料支持部の先端部側から、前記試料ホールダに保持された前記試料にArイオンビームを照射してイオンビーム照射ダメージ層を除去する、試料加工方法。 請求項1−3何れか記載の試料加工方法であって、 前記ホールダの先端部における、試料接着面の面の大きさが、前記試料の底面と同等または小さいことを特徴とする方法。 請求項1−4何れか記載の試料加工方法に用いられる試料ホールダであって、 試料を保持できる試料支持部の先端部が細く形成されている試料ホールダ。


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