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タイトル:特許公報(B2)_免疫学的分析試薬及び免疫学的分析方法
出願番号:2002362874
年次:2008
IPC分類:G01N 33/545,G01N 33/577


特許情報キャッシュ

澤井 時男 長濱 裕 細谷 雅千 JP 4095888 特許公報(B2) 20080314 2002362874 20021213 免疫学的分析試薬及び免疫学的分析方法 株式会社三菱化学ヤトロン 000138277 森田 憲一 100090251 山口 健次郎 100139594 澤井 時男 長濱 裕 細谷 雅千 20080604 G01N 33/545 20060101AFI20080515BHJP G01N 33/577 20060101ALI20080515BHJP JPG01N33/545 BG01N33/577 Z G01N 33/543 G01N 33/577 特開平10−026621(JP,A) 国際公開第02/079782(WO,A1) 特開昭62−015464(JP,A) 7 2004191332 20040708 11 20050201 白形 由美子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、免疫学的分析試薬及び免疫学的分析方法に関する。本発明は、特に、ラテックス粒子懸濁液を使用した免疫凝集反応に基づいて分析対象物質を測定するために用いることができ、反応相におけるラテックス粒子に担持したモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の反応速度と、ラテックス粒子懸濁液に添加したモノクローナル抗体の反応速度との違いにより、分析対象物質が多量に含まれている場合に抗原抗体反応の反応性を抑制することによって測定範囲を拡大することができる。なお、本明細書における前記「分析」には、分析対象物質の量を定量的又は半定量的に決定する「測定」と、分析対象物質の存在の有無を判定する「検出」との両方が含まれる。【0002】【従来の技術】生体液中に存在する微量成分等の測定法のひとつとして、分析対象物質に対する抗体又は抗原を利用する免疫学的測定方法が多用されている。その免疫学的測定手段としては、抗原抗体反応により形成される免疫複合体を光学的に測定する免疫比ろう法及び免疫比濁法や、放射性物質や酵素を標識体として利用するラジオイムノアッセイやエンザイムノアッセイが用いられてきた。また、近年、多数の被検試料を短時間に処理するための自動分析装置が普及し、更に高感度化が要求されることと相まって、特に、抗体(又は抗原)を結合したラテックス粒子との反応を利用するラテックス凝集法が汎用されている。いわゆるラテックス凝集法とは、分析対象物質と、ラテックス粒子に結合した抗体(又は抗原)との反応により生じるラテックス粒子の凝集の程度を検出することにより、分析対象物質を測定する方法である。この凝集の程度を検出する方法としては、目視的に観察するか、あるいは、反応液に光を照射して散乱光又は透過光を測定する方法がある。光学的な分析方法は、試料中の抗原又は抗体の定量に用いられている。【0003】 しかし、前記のようなラテックス凝集法の実施には測定範囲の限界がある。例えば、粒子径を小さくすれば、分析対象物質の高濃度域を測定することができるが、低濃度度領域の測定ができず、粒子径を大きくすれば、分析対象物質の低濃度域を測定することができるが、高濃度度領域の測定ができない。 このような問題点に対して、異なる粒子径のラテックス粒子懸濁液を混合することによって、単一粒子径のラテックス粒子懸濁液を用いた場合よりも、測定範囲を拡大することができる方法が公知である[国際公開WO02/79782号パンフレット(特許文献1)]。また、懸濁液中に大量の金属イオン、アミノ酸、又はカオトロピック剤を添加して感度抑制することで、測定範囲を拡大させる方法がある[特開昭62−218866号公報(特許文献2)]。【0004】しかし、異なる粒子径のラテックス粒子懸濁液を使用する方法では、小さな粒子が高濃度域の反応性を高くし、大きな粒子が低濃度域の反応性を高くするが、低濃度域において小さな粒子が反応を抑制するため、大きな粒子単独の場合より反応性が低くなり、測定範囲拡大には限界がみられた。また、金属イオン等を添加する方法においても、分析対象物質の高濃度域を抑制すると、低濃度域にも同時に抑制が生じるため、測定範囲には限界があり、前記問題点を一挙に解決するには至っていないのが実情である。【0005】【特許文献1】国際公開WO02/79782号パンフレット【特許文献2】特開昭62−218866号公報【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明者は、ラテックス凝集反応における前記の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、分析対象物質に対する抗体(ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体)をラテックス粒子(好ましくは、2種類以上の粒径の異なるラテックス粒子)に担持したラテックス粒子懸濁液中に、遊離状態のモノクローナル抗体を存在させることで、測定範囲を拡大することができることを見出した。本発明はこうした知見に基づくものである。従って、本発明の課題は、測定範囲を拡大することができ、且つ検出感度の高い免疫学的分析試薬及び免疫学的分析方法を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】 前記課題は、本発明による、(1)分析対象物質に対する抗体又はその断片を担持したラテックス粒子懸濁液、及び(2)前記分析対象物質に対する遊離状態のモノクローナル抗体又はその断片を含み、ラテックス粒子に担持した前記抗体の反応速度が、遊離状態の前記モノクローナル抗体の反応速度よりも速いことを特徴とする、免疫学的分析試薬により解決することができる。 また、本発明は、(1)分析対象物質に対する抗体又はその断片を担持したラテックス粒子と、(2)前記分析対象物質に対する遊離状態のモノクローナル抗体又はその断片と、(3)分析対象化合物を含む可能性のある被検試料とを接触させ、抗原抗体反応により生じたラテックス粒子の凝集度合いを光学的に分析する、免疫学的分析方法であって、ラテックス粒子に担持した前記抗体の反応速度が、遊離状態の前記モノクローナル抗体の反応速度よりも速いことを特徴とする、前記免疫学的分析方法に関する。 以下、本発明を、「抗体又はその断片」として「抗体」を用いる場合に基づいて主に説明するが、それらの説明が、当業者の技術常識の範囲内において実施可能である場合には、「抗体又はその断片」として「抗体断片」を用いる場合にもそのまま当てはまる。【0008】【発明の実施の形態】本発明では、その分析においてラテックス凝集反応を用いる。本発明においては、分析対象物質に対する抗体(例えば、ポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体、又はそれらの抗体フラグメント)を担持したラテックス粒子と、分析対象物質とを接触させ、ラテックス凝集反応を実施する系において、分析対象物質に対する遊離状態のモノクローナル抗体(以下、凝集反応抑制用モノクローナル抗体と称することがある)を更に共存させることにより、低濃度域から高濃度域の広い濃度範囲にわたって、分析対象物質を分析(検出又は測定、好ましくは測定)することができる。なお、本明細書において「遊離状態」とは、ラテックス懸濁液中で、それ単独で、他の物質と結合することなく、移動可能な状態を意味し、より具体的には、ラテックス粒子に担持されていない状態を意味する。【0009】本発明により分析することのできる物質(分析対象物質)は、一般に抗原抗体反応を利用して抗原として分析することのできる物質(特に生理活性物質)であれば特に限定されない。分析対象物質の代表例としては、タンパク質又は脂質等を挙げることができ、より詳しくは、例えば、各種抗体、レセプター、又は酵素等を挙げることができる。具体的には、C反応性タンパク質(CRP)、フェリチン、β−2マイクログロブリン、α−フェトプロティン(AFP)、IgE、B型肝炎ウィルス(HBS抗体又はHBc抗体)、Dダイマー、フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)、可溶性フィブリン(Soluble fibrin:SF)、プラスミン・α2−プラスミンインヒビター複合体(PPI)、前立腺特異抗原(PSA)、エラスターゼ1、エラスターゼXDP、又はトロンボモジュリン等を挙げることができる。また、本発明で分析可能な被検試料は、前記分析対象化合物を含む可能性のある試料であれば、特に限定されず、特には生体試料、例えば、血液、血清、血漿、尿、髄液、又は細胞若しくは組織破砕液などを挙げることができる。【0010】本発明では、その分析においてラテックス凝集反応を用いる。本発明におけるラテックス凝集反応では、分析対象物質に特異的に反応する抗体で感作したラテックスを用いる。本発明で用いるラテックス粒子としては、公知のラテックス粒子、例えば、ポリスチレン、又はスチレンースチレンスルホン酸塩共重合体等からなるラテックス粒子を挙げることができる。ラテックス粒子の平均粒径は、分析対象物質の検出濃度又は測定機器によって適宜選択することができ、通常、0.04〜0.5μmの範囲で適宣選択することができる。また、粒径の異なる2種類以上のラテックス粒子を用いることもできる。例えば、2種類のラテックス粒子を用いる場合には、小粒径ラテックス粒子の平均粒径は、分析対象物質の検出濃度又は測定機器によって適宜選択することができ、例えば、0.04〜0.14μmの範囲で適宣選択することができる。また、大粒径ラテックス粒子の平均粒径は、分析対象物質の検出濃度又は測定機器によって適宜選択することができ、例えば、0.15〜0.5μmの範囲で適宣選択することができる。【0011】ラテックス粒子に担持させる抗体としては、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いることができる。また、抗体の種類としては、免疫グロブリン分子自体のほか、抗体フラグメント、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2又はFv等も使用可能である。ラテックス担体の感作は、任意の公知の方法で実施することができ、ラテックス担体に抗体を物理的又は化学的に結合させることにより感作することができる。【0012】本発明においては、ラテックス粒子に担持させる抗体とは別に、遊離状態で、ラテックス粒子に担持させない状態で分析系に共存させる凝集反応抑制用モノクローナル抗体を使用する。前記凝集反応抑制用モノクローナル抗体としては、分析対象化合物に特異的に反応するモノクローナル抗体である限り、特に限定されるものではなく、分析対象化合物の高濃度域においてラテックス凝集反応を抑制可能であるモノクローナル抗体であることが好ましく、更に、低濃度域において、高濃度域で認められる程度のラテックス凝集反応抑制作用を示さないか、あるいは、実質的にラテックス凝集反応抑制作用を示さないモノクローナル抗体であることがより好ましい。【0013】ラテックス粒子に担持させる抗体及び凝集反応抑制用モノクローナル抗体は、具体的には、分析対象物質(すなわち、抗原)に応じて適宜調製ないし選択することができ、分析対象物質として例示した前記物質、例えば、各種抗体、レセプター、又は酵素等に対する抗体を用いることができる。例えば、凝集反応抑制用モノクローナル抗体としては、より具体的には、C反応性タンパク質(CRP)、フェリチン、β−2マイクログロブリン、α−フェトプロティン(AFP)、IgE、B型肝炎ウィルス(HBS抗体又はHBc抗体)、Dダイマー、フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)、可溶性フィブリン(Soluble fibrin:SF)、プラスミン・α2−プラスミンインヒビター複合体(PPI)、前立腺特異抗原(PSA)、エラスターゼ1、エラスターゼXDP、又はトロンボモジュリン等に対する公知のモノクローナル抗体を用いることができ、これらのモノクローナル抗体の多くは、市販されている。例えば、抗CRPモノクローナル抗体は、Tseng等,Hybridoma,vol.7,No.2,1988に詳しく記載されており、多種の市販品も存在し、これらの任意の抗CRPモノクローナル抗体を使用することができる。【0014】凝集反応抑制用モノクローナル抗体としては、1種類のモノクローナル抗体を用いることもできるし、あるいは、2種類以上のモノクローナル抗体を組み合わせて用いることもできる。ラテックス粒子に担持させる抗体としてモノクローナル抗体を用いる場合には、凝集反応抑制用モノクローナル抗体として、ラテックス粒子に担持させる前記モノクローナル抗体と同じモノクローナル抗体を用いることもできるし、あるいは、ラテックス粒子に担持させる前記モノクローナル抗体とは別のモノクローナル抗体を用いることもできる。また、前記凝集反応抑制用モノクローナル抗体としては、免疫グロブリン分子それ自体、あるいは抗体フラグメント[例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はFv]を用いることができる。【0015】本発明では、ラテックス凝集反応を実施する系中に、凝集反応抑制剤としてのモノクローナル抗体を存在させることができる限り、ラテックス凝集反応の実施前の、モノクローナル抗体の存在態様は、特に限定されない。例えば、ラテックス試薬(ラテックス粒子懸濁液)を用いた抗原抗体反応により、被検試料中の分析対象物質を分析する場合には、分析対象物質に対する抗体を感作したラテックス試薬(ラテックス粒子懸濁液)に予め凝集反応抑制用モノクローナル抗体を共存(添加)しておくことができる。この場合には、抗体を感作したラテックス粒子を適当なブロッキング剤、例えば、アルブミン又は界面活性剤で表面処理を施すことで、共存させる凝集反応抑制用モノクローナル抗体や分析対象物質以外の物質(主にタンパク質)がラテックス粒子へ結合することを防ぐことができる。別法として、凝集反応抑制用モノクローナル抗体を含まないラテックス試薬(ラテックス粒子懸濁液)を使用することも可能である。この場合には、例えば、使用する緩衝液に凝集反応抑制用モノクローナル抗体を加えておく方法等があり、特に限定されない。【0016】従って、本発明による免疫学的分析試薬は、例えば、抗体を感作したラテックス粒子と凝集反応抑制用モノクローナル抗体との両方を含む1液系の試薬;緩衝液である第1試薬と、抗体を感作したラテックス粒子とモノクローナル抗体との両方を含む第2試薬とで構成される2液系の試薬;あるいは、緩衝液と凝集反応抑制用モノクローナル抗体との両方を含む第1試薬と、抗体を感作したラテックス粒子を含む第2試薬とで構成される2液系の試薬など、種々の形態であることができる。【0017】本発明においては、前記のような試薬を用いて凝集反応を行い、生じた凝集の度合い(凝集度)を光学的に分析(特には測定)することにより、被検試料中の分析対象物質の量を分析(特には測定)することができる。ラテックス粒子の凝集度を光学的に検出する具体的方法においては、例えば、散乱光強度、吸光度、又は透過光強度を測定する光学機器を用いて測定を行うことができる。好ましい測定波長は300〜800nmである。測定方法は、公知の方法に従い、用いるラテックス粒子の大きさ(平均粒径)若しくは濃度の選択、又は反応時間の設定により、散乱光強度、吸光度、又は透過光強度の増加又は減少を測定することにより行うことができる。また、これらの方法を併用することも可能である。【0018】本発明の免疫学的分析方法において、被検試料中に含まれる可能性のある分析対象物質が高濃度で存在する場合に、ラテックス粒子の凝集を抑制し、ラテックス粒子凝集度が吸光度測定における反応限界吸光度を超えないようにする量で、凝集反応抑制用モノクローナル抗体を存在させる。ここで、反応限界吸光度とは、吸光度測定における測定機器の測定可能最大値以上を意味する。反応限界吸光度のおおよその値は、個々の被検試料(群)に関して、予めパイロット試験等を実施することにより、予想することができるので、個々の測定系に応じて、凝集反応抑制用モノクローナル抗体の適切な濃度を決定することができる。【0019】一般的に、抗原抗体反応の測定系に存在させる凝集反応抑制用モノクローナル抗体の濃度は、測定する項目、抗体の親和性、並びに共存する塩、タンパク質、及び/又は糖類等の添加物の濃度等によってその都度適宜選択することができる。例えば、共存させる凝集反応抑制用モノクローナル抗体濃度としては、通常、0.0005〜0.2mg/mL、好ましくは0.001〜0.01mg/mLである。前記モノクローナル抗体の濃度が低すぎると、凝集反応の抑制効果が充分でなくなることがあり、逆に高すぎると、分析対象物質と、それに対する抗体を担持したラテックス粒子との間の特異的凝集反応も抑制してしまい、分析試薬の検量線傾きが低くなり、再現性が悪くなることがある。【0020】本発明においては、凝集反応抑制用モノクローナル抗体の濃度を調節することに加え、ラテックス凝集反応に影響を与える他の因子を調節することによって、ラテックス粒子凝集反応を更に精密に抑制し、高濃度域の定量可能範囲を更に拡張させることができる。ラテックス凝集反応に影響を与える他の因子としては、例えば、ラテックス粒子の濃度、ラテックス粒子上の抗体感作量、及びラテックス粒子の粒径等を挙げることができる。【0021】本発明で用いる抗原抗体反応の条件は通常の条件と同様であってよく、反応媒体としては、分析対象物質の種類に応じた各種緩衝液が適宜選択することができる。この緩衝液は、分析対象物質を失活させることがなく、かつ抗原抗体反応を阻害しないようなイオン濃度やpHを有するものであればよい。例えば、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、又はトリス緩衝液を使用することができる。反応のpHは、5〜10、特に6〜8が好ましい。反応温度は0〜50℃、特に20〜40℃が好ましい。反応時間は適宜決めることができる。【0022】本発明によれば、凝集反応抑制用モノクローナル抗体の働きにより、分析対象物質が高濃度で存在する場合に、ラテックス粒子の凝集反応の抑制により測定範囲の拡大が可能となる。本発明では、低濃度域においては、ラテックス粒子のこのような凝集反応抑制が実質的に起こらないか、あるいは、抑制の程度が小さい。高濃度域における前記抑制作用の機構及び低濃度域における前記挙動は、現在のところ完全に解明されたわけではないが、高濃度域における前記抑制作用については、本発明者は以下の機構によるものと考えている。なお、以下に示す機構は現時点の推測に基づくものであって、本発明は以下の推測に基づく機構に限定されるものではない。【0023】本発明は、分析対象物質に対する反応速度が異なることを利用するものである。より詳細には、反応速度の速いポリクローナル抗体感作ラテックス粒子が凝集反応抑制用モノクローナル抗体よりも先に分析対象物質と反応する。高濃度域においては、ポリクローナル抗体感作ラテックス粒子が反応後に更なる架橋をするべきところに対して、凝集反応抑制用モノクローナル抗体が結合物質の反応部位と結合するためにそれ以上の凝集ができなくなることによって、高濃度域にだけ抑制効果が得られることに基づくものである。【0024】また、粒径の異なる2種類以上のラテックス粒子を用いると、分析対象物質量が少ない場合、抗体を担持した大粒径ラテックス粒子と小粒径ラテックス粒子とが分析対象物質と反応し、抗原抗体反応により凝集するが、大粒径ラテックス粒子が混在するため、その凝集度を吸光度によって測定することができる。一方、分析対象物質が大量の場合、抗体を担持したラテックス粒子だけでは全ての分析対象物質と抗原抗体反応により架橋することができない。分析対象物質がラテックスの反応部位を全てマスクすることにより凝集反応が起こらなくなることを地帯現象(プロゾーン現象)と表現し、未結合の分析対象物質が大量に含まれているにも関わらず、低濃度の測定と誤判定することがある。しかし、凝集反応抑制用モノクローナル抗体が大量の分析対象物質と反応することで前記地帯現象(プロゾーン現象)を抑えることが可能となり、更に高濃度域の凝集反応を抑えることにより、測定範囲拡大が可能となる。【0025】【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。【実施例1】《C反応性タンパク質(CRP)測定試薬の調製》(1)抗CRP抗体感作小粒径ラテックス液の調製抗CRPポリクローナル抗体を1.0mg/mLの濃度で0.01mol/Lトリス緩衝液(pH8.0)に溶解した液9mLに、平均粒径0.08μmのポリスチレンラテックス粒子(日本合成ゴム製:固形分10重量%)1mLを添加し、室温にて60分間攪拌した。次いで、この液に0.5重量%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するトリス緩衝液(pH8.0)を添加し、室温にて60分間攪拌した後、この混合液を35000rpmで遠心分離した。得られた沈殿物にトリス緩衝液(pH8.0)10mLを添加し、ラテックスを懸濁させ、抗CRP抗体感作小粒径ラテックス液を調製した。【0026】(2)抗CRP抗体感作大粒径ラテックス液の調製平均粒径0.08μmのポリスチレンラテックス粒子の代わりに、平均粒径0.2μmのポリスチレンラテックスを用いたこと以外は、実施例1(1)の操作を繰り返すことにより、抗CRP抗体感作大粒径ラテックス液を調製した。すなわち、実施例1(1)で用いたのと同じ抗CRPポリクローナル抗体を1.0mg/mLの濃度で0.01mol/Lトリス緩衝液(pH8.0)に溶解した液9mLに、平均粒径0.2μmのポリスチレンラテックス(日本合成ゴム製:固形分10重量%)1mLを添加し、室温にて60分間攪拌した。次いで、この液に0.5重量%BSAを含有するトリス緩衝液(pH8.0)を添加し、室温にて60分間攪拌した後、この混合液を35000rpmで遠心分離した。得られた沈殿物にトリス緩衝液(pH8.0)10mLを添加し、ラテックスを懸濁させ、抗CRP抗体感作大粒径ラテックス液を調製した。【0027】(3)モノクローナル抗体含有ラテックス粒子懸濁液の調製実施例1(1)及び実施例1(2)でそれぞれ作製したラテックス液を各々0.1mL採取し、原液濃度10mg/mLの抗CRPモノクローナル抗体3μLを添加後、トリス緩衝液(pH8.0)にて1mLとすることにより、モノクローナル抗体含有抗CRP抗体感作ラテックス粒子懸濁液を調製した。なお、抗CRPモノクローナル抗体としては市販の2種類の市販のモノクローナル抗体(それぞれをMoAb−1及びMoAb−2とした)を使用した。【0028】(4)緩衝液の調製0.5重量%BSAを含有する0.1mol/Lトリス緩衝液(PH8.0)に、0.9重量%の濃度となるように塩化ナトリウムを添加して緩衝液とした。【0029】(5)ヒトCRP抗原測定試薬実施例1(3)で調製したモノクローナル抗体含有抗CRP抗体感作ラテックス粒子懸濁液(第1試薬)と、実施例1(4)で調製した緩衝液(第2試薬)とから構成される2液系の試薬を、本発明の免疫学的分析試薬としてのヒトCRP抗原測定試薬として、以下の実施例で評価した。【0030】【実施例2】《標準CRP溶液の測定》(1)標準CRP溶液の調製CRP標準品をトリス緩衝液(pH8.0)に溶解し、0mg/dL、0.5mg/dL、1mg/dL、2mg/dL、4mg/dL、8mg/dL、12mg/dL、16mg/dL、20mg/dL、24mg/dL、28mg/dL、32mg/dL、36mg/dL、40mg/dL、60mg/dL、80mg/dL、及び100mg/dL濃度の標準CRP希釈列を作製した。【0031】(2)測定標準CRP希釈列2μLに、実施例1(4)で調製した緩衝液100μLを混合し、37℃で適時保持した後、実施例1(3)で調製したモノクローナル抗体含有抗CRP抗体感作ラテックス懸濁液100μLを添加攪拌し、この後、5分後の波長570nmでの吸光度を測定した。この間の吸光度の変化量を吸光度変化量(ΔAbs)とした。測定は日立自動分析装置7170型を用いて行った。【0032】抗CRPモノクローナル抗体としてMoAb−1又はMoAb−2のいずれか一方を用いた場合のそれぞれの結果を、図1に示す。図1には、比較用として、実施例1(3)で調製したモノクローナル抗体含有抗CRP抗体感作ラテックス粒子懸濁液の代わりに、抗CRPモノクローナル抗体無添加の抗CRP抗体感作ラテックス粒子懸濁液を用いた場合の結果を、併せて示す。なお、本測定における反応液中の抗CRPモノクローナル抗体の濃度は、その手順から明らかなように、0.015mg/mLである。【0033】図1から明らかなように、ラテックス粒子懸濁液にモノクローナル抗体を無添加の場合には、CRP濃度が32mg/dL以上で反応限界吸光度オーバーとなり、測定範囲が低濃度域に限定された。それに対して、モノクローナル抗体を添加した場合には、CRP濃度が高濃度の領域であっても、高濃度域における測定感度を抑制することにより、測定が可能であった。しかも、この場合、低濃度域の測定感度はほとんど低下しておらず、その結果、低濃度域から高濃度域の広い濃度範囲にわたって、測定が可能であった。但し、使用したモノクローナル抗体の種類により、測定範囲の拡大作用に差が認められ、本実施例においては、モノクローナル抗体MoAb−1がより好適であった。【0034】【実施例3】《モノクローナル抗体の添加濃度の影響の確認》本実施例は、ラテックス粒子懸濁液に添加するモノクローナル抗体の添加濃度が、測定範囲の拡大作用に及ぼす影響を評価する目的で実施した。具体的には、抗CRPモノクローナル抗体としてMoAb−1を使用し、反応液中の抗CRPモノクローナル抗体の濃度を3段階(0.005mg/mL、0.01mg/mL、及び0.02mg/mL)に変化させること以外は、前記実施例2(2)の操作を繰り返した。【0035】結果を、抗CRPモノクローナル抗体無添加の場合(比較用)の結果と併せて、図2に示す。図2から明らかなように、添加するモノクローナル抗体の濃度によって、測定範囲の拡大作用に差が認められ、特に、高濃度域における測定感度の抑制の程度は、モノクローナル抗体の添加濃度に依存した。すなわち、高濃度域における反応性は、モノクローナル抗体の添加濃度依存的に抑制されることが判明した。本実施例から明らかなように、例えば、本実施例の手順に準じて予備実験等を行うことによって、モノクローナル抗体の適切な添加濃度を容易に決定することができる。なお、本実施例で凝集反応抑制用モノクローナル抗体として用いた抗CRPモノクローナル抗体MoAb−1が、ラテックス粒子不在下において、CRPと凝集反応を生じるか否かを確認したところ、本実施例で使用した濃度範囲では、凝集反応は生じなかった。【0036】【実施例4】《各CRP濃度における反応速度の確認》本実施例は、種々の異なるCRP濃度における反応速度(タイムコース)を測定することにより、ラテックス粒子懸濁液に添加するモノクローナル抗体によってもたらされる反応性抑制の程度と、CRP濃度との関連性を調べる目的で実施した。測定は、実施例3に記載の操作に準じて行った。具体的には、反応液中の抗CRPモノクローナル抗体の濃度は2段階(0.005mg/mL及び0.01mg/mL)とし、CRP濃度は3段階(0.5mg/dL、12mg/dL、及び28mg/dL)とした。また、吸光度の経時的測定は、ラテックス粒子懸濁液の添加から5分経過後から開始し、17.8秒毎の測定を5分間実施した(測定ポイントの第16.5番〜第34番に相当)。【0037】CRP濃度が0.5mg/dLの場合の結果を図3に示し、CRP濃度が12mg/dLの場合の結果を図4に示し、CRP濃度が28mg/dLの場合の結果を図5に示す。図3〜図5に示すように、ラテックス粒子懸濁液に添加するモノクローナル抗体の効果(すなわち、反応性抑制の程度)は、分析対象化合物(CRP)の低濃度域では小さいのに対して、高濃度域では大きかった。すなわち、公知の感度抑制剤(例えば、金属イオン、アミノ酸、又はカオトロピック剤)では、従来の技術欄で述べたように、分析対象物質の高濃度域と低濃度域とを同時に抑制してしまうのに対して、本発明において用いるモノクローナル抗体では、高濃度域側のみを効果的に抑制することが可能である。【0038】【発明の効果】本発明の免疫学的分析試薬又は免疫学的分析方法によれば、ラテックス粒子を使用し免疫凝集反応に基づく分析対象物質の分析(特には測定)において、高濃度域の凝集反応が抑制されることで、低濃度域から高濃度域まで測定範囲を拡大することができる。【図面の簡単な説明】【図1】凝集反応抑制用モノクローナル抗体として抗CRPモノクローナル抗体MoAb−1又はMoAb−2を含む本発明の免疫学的分析試薬を用いて、種々濃度の標準CRP溶液の吸光度変化量を測定した結果を示すグラフである。【図2】異なる濃度の抗CRPモノクローナル抗体MoAb−1を含む本発明の免疫学的分析試薬を用いて、種々濃度の標準CRP溶液の吸光度変化量を測定した結果を示すグラフである。【図3】異なる濃度の抗CRPモノクローナル抗体MoAb−1を含む本発明の免疫学的分析試薬を用いて、標準CRP溶液(CRP濃度=0.5mg/dL)における吸光度変化量のタイムコースを測定した結果を示すグラフである。【図4】異なる濃度の抗CRPモノクローナル抗体MoAb−1を含む本発明の免疫学的分析試薬を用いて、標準CRP溶液(CRP濃度=12mg/dL)における吸光度変化量のタイムコースを測定した結果を示すグラフである。【図5】異なる濃度の抗CRPモノクローナル抗体MoAb−1を含む本発明の免疫学的分析試薬を用いて、標準CRP溶液(CRP濃度=28mg/dL)における吸光度変化量のタイムコースを測定した結果を示すグラフである。 (1)分析対象物質に対する抗体又はその断片を担持したラテックス粒子懸濁液、及び(2)前記分析対象物質に対する遊離状態のモノクローナル抗体又はその断片を含み、ラテックス粒子に担持した前記抗体の反応速度が、遊離状態の前記モノクローナル抗体の反応速度よりも速いことを特徴とする、免疫学的分析試薬。 前記ラテックス粒子として、粒径の異なる2種類以上のラテックス粒子を使用する、請求項1に記載の免疫学的分析試薬。 (1)分析対象物質に対する抗体又はその断片を担持したラテックス粒子と、(2)前記分析対象物質に対する遊離状態のモノクローナル抗体又はその断片と、(3)分析対象化合物を含む可能性のある被検試料とを接触させ、抗原抗体反応により生じたラテックス粒子の凝集度合いを光学的に分析する、免疫学的分析方法であって、ラテックス粒子に担持した前記抗体の反応速度が、遊離状態の前記モノクローナル抗体の反応速度よりも速いことを特徴とする、前記免疫学的分析方法。 前記ラテックス粒子として、粒径の異なる2種類以上のラテックス粒子を使用する、請求項3に記載の免疫学的分析方法。 ラテックス粒子に担持した前記抗体が、ポリクローナル抗体である、請求項1又は2に記載の免疫学的分析試薬。 ラテックス粒子に担持した前記抗体が、ポリクローナル抗体である、請求項3又は4に記載の免疫学的分析方法。 前記接触において、遊離状態の前記抗体又はその断片の濃度が0.0005〜0.2mg/mLである、請求項3、4、又は6のいずれか一項に記載の免疫学的分析方法。


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