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タイトル:特許公報(B2)_ベンゼンスルホニルクロライド化合物の製造方法
出願番号:2002360902
年次:2008
IPC分類:C07C 303/08,C07C 309/87


特許情報キャッシュ

横井 牧子 加藤 康裕 御子柴 尚 川岸 俊雄 JP 4133286 特許公報(B2) 20080606 2002360902 20021212 ベンゼンスルホニルクロライド化合物の製造方法 富士フイルム株式会社 306037311 鈴江 武彦 100058479 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 蔵田 昌俊 100108855 峰 隆司 100075672 福原 淑弘 100109830 村松 貞男 100084618 橋本 良郎 100092196 横井 牧子 加藤 康裕 御子柴 尚 川岸 俊雄 20080813 C07C 303/08 20060101AFI20080724BHJP C07C 309/87 20060101ALI20080724BHJP JPC07C303/08C07C309/87 C07C 303/00 C07C 309/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特表2000−500756(JP,A) 特開平02−108661(JP,A) 特開平01−151549(JP,A) 特開昭62−228052(JP,A) 特開昭57−181051(JP,A) 4 2004189681 20040708 15 20050126 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はカラー写真用カプラーの合成中間体として有用な一般式(II)で表されるスルホニルクロライド化合物の製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】近年ハロゲン化銀カラー写真感光材料に用いられるカプラーにさらなる高度な性能が要求されている。【0003】カプラーを写真乳剤中に添加する方法としては、種々の方法が考案されているが、カプラー分子中にバラスト基と呼ばれる親油性基を導入し、有機溶剤に溶解し、乳化分散して添加する方法が有用である。バラスト基は、乳剤層中に分散された状態において現像主薬酸化体とのカップリング反応活性を上げたり、カプラー溶剤への溶解性を上げたり、乳剤中または塗布膜中での分散性を良くしたり、析出や凝集を起こしにくくするという役割を担っている。【0004】このため、従来より、バラスト基の結合構造を工夫する数多くの試みがなされており、特に、-NHSO2-結合を介してバラスト基を結合したカプラーが広く知られている。このカプラーにより、発明者らは、カップリング速度を速めて発色性を改良し、生成色像の堅牢性を改良し、さらには出来上がったカプラーの保存性、特に経時によるマゼンタ色汚染を防止するハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供している。【0005】この際、発明者らは、カプラー母核にアミノ基を有する化合物と、置換されたベンゼンスルホニルクロライド化合物を反応させることにより、目的のカプラーを合成している。【0006】このような、置換されたベンゼンスルホニルクロライド化合物を合成する方法としては、置換されたベンゼンにクロロスルホン酸を滴下し、その後オキシ塩化リンを滴下する方法が広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。ここには、3級モノアルキル基とアルコキシ基を有するベンゼンスルホニルクロライド化合物の合成法が挙げられている。【0007】しかしながら、この方法を4−t−アルキル−2,5−ジアルコキシベンゼンスルホニルクロライドに適用した場合、(1)原料が高価である、(2)クロロスルホン化の際に、3級アルキル基が離脱した副生物が得られる、などの問題があった。【0008】一方、3級のアルキル基を有する芳香環は、クロロスルホン酸存在下、クロロスルホン化されながら3級のアルキル基が脱離することが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。ここには、t−ジブチルフェノールを原料に用い、クロロスルホン酸により、t−ブチルベンゼンスルホニルクロライドを合成する方法が挙げられている。【0009】しかしながら、この方法で、t−ブチルベンゼンスルホニルクロライドを合成する場合には、反応時間が72時間もかかり、収率も51%と低いものであったため、この方法を産業利用することは、極めて難しいと考えられていた。【0010】これらの問題を解決し、安価な原料から短時間に高収率で4−t−アルキル−2,5−ジアルコキシベンゼンスルホニルクロライドを合成する方法の開発が望まれていた。【0011】【特許文献1】特開昭61−65246号公報(合成例1.例示カプラー(1)の合成)【非特許文献1】エー・エイチ・ウエインステイン(A. H. Weinstein)、ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(The Journal of Organic Chemistry)、1976年、第32卷、p.3669【0012】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安価な原料から短時間に高収率に4−t−アルキル−2,5−ジアルコキシベンゼンスルホニルクロライドを合成・精製する方法を提供することにある。【0013】【課題を解決するための手段】筆者らは鋭意検討した結果、一般式(I)で表される化合物をクロロスルホン化することにより、効率的に一般式(II)で表されるスルホニルクロライドが製造できることを見出した。即ち、以下の手段により解決された。【0014】(1) 下記一般式(I)で表される化合物をクロロスルホン化することにより下記一般式(II)で表されるベンゼンスルホニルクロライド化合物を製造する方法。【0015】【化2】【0016】(式中、R1は水素原子、または炭素数が1〜30の直鎖、分岐または環状の置換または無置換のアルキル基、R2は水素原子または置換基を表し、R3は置換または無置換の3級のアルキル基を表す。)【0017】(2) 前記クロロスルホン化が、一般式(I)で表される化合物の溶液に、クロロスルホン酸を添加することにより行われる(1)に記載のベンゼンスルホニルクロライド化合物を製造する方法。【0018】(3) クロロスルホン酸を添加した後に、さらにオキシ塩化リンを添加することを特徴とする(2)に記載のベンゼンスルホニルクロライド化合物を製造する方法。【0019】(4) アルカリ性水溶液でスルホニルクロライド化合物を洗浄する工程をさらに含むことを特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のベンゼンスルホニルクロライド化合物を製造する方法。【0020】【発明の実施の形態】次に本発明で用いられる化合物(一般式(I)、(II))について詳しく述べる。【0021】R1は水素原子、または炭素数が1〜30の直鎖、分岐または環状の置換または無置換のアルキル基を表わす。置換基としてはハロゲン原子、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル・アリールもしくは複素環チオ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルケニルオキシ基、ホルミル基、アルキル・アリールもしくは複素環アシル基、アルキル・アリールもしくは複素環スルホニル基、アルキル・アリールもしくは複素環スルフィニル基、アルキル・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、アルキル・アリールもしくは複素環オキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ホスホニル基、イミド基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホ基等をあげることができる。R1として好ましいものは炭素数が1〜20の置換または無置換のアルキル基である。さらに好ましくは、炭素数が1〜10の直鎖または分岐の無置換アルキル基、最も好ましいものは、炭素数が1〜5の直鎖無置換のアルキル基である。【0022】R1の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、t−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。【0023】R1として好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。【0024】R1としてさらに好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基であり、特に好ましくは、n−プロピル基である。【0025】R2は水素原子または置換基を表わし、置換基としてはハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル・アリールもしくは複素環チオ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルケニルオキシ基、ホルミル基、アルキル・アリールもしくは複素環アシル基、アルキル・アリールもしくは複素環スルホニル基、アルキル・アリールもしくは複素環スルフィニル基、アルキル・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、アルキル・アリールもしくは複素環オキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ホスホニル基、イミド基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホ基等をあげることができる。これらの基に含まれるアルキル基、アリール基もしくは複素環基はR2で例示したような置換基で更に置換されていてもよい。【0026】さらに詳しくは、R2は水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、脂肪族炭化水素基(例えば、炭素数1〜36の直鎖、または分岐鎖アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基)で、詳しくは例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、トリデシル、2−メタンスルホニルエチル、3−(3−ペンタデシルフェノキシ)プロピル、3−{4−{2−〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ〕ドデカンアミド}フェニル}プロピル、2−エトキシトリデシル、トリフルオロメチル、シクロペンチル、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル、1−プロペニル、アリル、1−ブテニル、2−ペンテニル、ビニル、エチニル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、例えば、フェニル、ナフチル、4−ヘキサデシルオキシフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル、4−テトラデカンアミドフェニル、3−(2,4−tert−アミルフェノキシアセトアミド)フェニル)、複素環基(N、S、O及びPから選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ有する5〜6員の複素環基であって、ベンゼンのような芳香族基が縮合していてもよい(以下の複素環基を含む基についても同じ)、例えば、3−ピリジル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、【0027】アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−ドデシルオキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ、2−クロロフェノキシ、4−シアノフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイルフェノキシ)、アルキル・アリールもしくは複素環チオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、テトラデシルチオ、2−フェノキシエチルチオ、3−フェノキシプロピルチオ、3−(4−tert−ブチルフェノキシ)プロピルチオ、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−tert−オクチルフェニルチオ、3−ペンタデシルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ、4−テトラデカンアミドフェニルチオ、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,4−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ヘキサデカノイルオキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−エチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基、(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えば、ドデシルスルホニルオキシ)、【0028】アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)アセトアミド、2−〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ)〕デカンアミド、イソペンタデカンアミド、2−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタンアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノドデシルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ、2−クロロ−5−テトラデカンアミドアニリノ、N−アセチルアニリノ、2−クロロ−5−〔α−2−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ドデカンアミド〕アニリノ、2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルアニリノ)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド、フェニルウレイド、N,N−ジブチルウレイド、ジメチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−メチル−N−デシルスルファモイルアミノ)、アルケニルオキシ基(例えば、2−プロペニルオキシ)、ホルミル基、アルキル・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、2,4−ジ−tert−アミルフェニルアセチル、3−フェニルプロパノイル、4−ドデシルオキシベンゾイル)、アルキル・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキル・アリールもしくは複素環スルフィニル基(例えば、オクタンスルフィニル、ドデカンスルフィニル、フェニルスルフィニル、3−ペンタデシルフェニルスルフィニル、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、【0029】アルキル・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、2−ペンタデシルオキシカルボニル)、アルキル・アリールもしくは複素環オキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、テトラデシルオキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカンスルホンアミド、2−メトキシ−5−tert−ブチルベンゼンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−〔3−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピル〕カルバモイル、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、イミド基(例えば、N−サクシンイミド、ヒダントイニル、N−フタルイミド、3−オクタデセニルスクシンイミド)、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホ基などが挙げられる。【0030】R2としてより好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基である。さらに好ましくは、水素原子、脂肪族炭化水素基、最も好ましいものは、水素原子である。【0031】R3は炭素数が4〜30の置換または無置換の3級アルキル基を表す。R3として好ましいものは炭素数が4〜20の無置換の3級アルキル基、最も好ましいものは炭素数が4〜8の無置換の3級アルキル基である。具体的には、t−ブチル基、t−ペンチル、t−ヘキシル、t−オクチル基などである。より好ましいものは、t−ブチル基またはt−オクチル基で、さらに好ましくは、t−オクチル基である。置換基の例として、R1で説明した例があげられる。【0032】以下に一般式(I)で表わされる化合物の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されない。【0033】【化3】【0034】【化4】【0035】次に一般式(I)で表される化合物から、一般式(II)で表されるスルホニルクロライド化合物を製造する方法について詳しく述べる。【0036】本発明のスルホニルクロライド化合物を製造する方法には、一般式(I)で表される化合物をクロロスルホン化するあらゆる方法を用いることができる。例としては、まず一般式(I)で表される化合物をスルホン化し、ついでクロロスルホン化する方法、または一般式(I)で表される化合物をそのままクロロスルホン化する方法が挙げられる。【0037】スルホン化する方法としてはさまざまな方法があるが、中でもクロロスルホン酸、硫酸などを用いてスルホン化する方法が好ましい。またスルホン化した化合物をクロロスルホン化する方法としてもさまざまな方法があるが、中でもスルホン化した化合物をオキシ塩化リンによりクロロスルホン化する方法が好ましい。【0038】さらに、一般式(I)で表される化合物をそのままクロロスルホン化する方法としてもさまざまな方法が考えられるが、好ましくはクロロスルホン酸または硫酸を添加した後に、オキシ塩化リンによってクロロスルホン化する方法が挙げられる。【0039】反応の際の添加方法としては、さまざまな方法があり、それらのどれを用いても良い。例えば、溶媒と一般式(I)で表される化合物を混ぜておき、その中に、スルホン化剤またはクロロスルホン化剤を添加していく方法、滴下していく方法が挙げられる。あるいは、逆に溶媒とスルホン化剤またはクロロスルホン化剤を混ぜておき、一般式(I)で表される化合物またはその溶液を添加していく方法、滴下していく方法、などが挙げられる。【0040】この中で、(1)溶媒と一般式(I)で表される化合物の中にクロロスルホン化剤を滴下していく方法、(2)溶媒と一般式(I)で表される化合物の中にクロロスルホン酸を滴下した後、さらにオキシ塩化リンを滴下する方法、が好ましい。より好ましいものは、溶媒と一般式(I)で表される化合物の中にクロロスルホン酸を滴下した後、さらにオキシ塩化リンを滴下する方法であり、さらに好ましくは、溶媒と一般式(I)で表される化合物の中にクロロスルホン酸を滴下した後、10〜120分間攪拌し、その後、オキシ塩化リンを滴下する方法である。【0041】滴下に要する時間については特に限定しないが、好ましくは1分〜72時間、より好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは15分〜24時間である。【0042】クロロスルホン酸の一般式(I)で表される化合物に対するモル比は、0.1〜100、より好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1.0〜10である。また、クロロスルホン酸とオキシ塩化リンを併用して用いる場合には、クロロスルホン酸の一般式(I)で表される化合物に対するモル比は、0.1〜100、より好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1.0〜5.0であり、オキシ塩化リンの一般式(I)で表される化合物に対するモル比は、0.1〜100、より好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1.0〜5.0である。【0043】反応溶媒としては、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルイミダゾリジオン、酢酸エチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、四塩化炭素、酢酸、ベンゼン、トルエン、ピリジン、アセトン等が挙げられ、これらは混合して用いても良い。好ましくは、クロロベンゼン、塩化メチレン、酢酸エチルであり、最も好ましい溶媒は、クロロベンゼン、塩化メチレンである。溶媒の使用量は一般式(I)で表される化合物に対して質量比で2〜50倍が適当であり、3〜10倍が好ましい。【0044】反応温度は、−78℃〜200℃、好ましくは−20℃〜150℃、さらに好ましくは−10℃〜120℃であり、特に好ましくは0℃〜100℃である。反応時間は1分〜72時間、好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは15分〜24時間である。【0045】本合成法は、反応終了時後の精製の際に、アルカリ性水溶液で洗浄することが好ましい。このときのアルカリの使用量は一般式(I)で表される化合物に対して質量比で0.001〜50倍が適当であり、0.05〜20倍が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10倍である。【0046】用いられるアルカリとしては、重曹、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、DBUなどが挙げられ、このうち好ましくは重曹、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムであり、より好ましくは重曹、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。【0047】洗浄温度は、−50℃〜200℃、好ましくは−10℃〜150℃、さらに好ましくは0℃〜120℃であり、特に好ましくは10℃〜100℃である。反応時間は1分〜72時間、好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは15分〜24時間である。【0048】以下に本発明によって製造することのできる化合物の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されない。【0049】【化5】【0050】【化6】【0051】【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。【0052】<実施例1>(例示化合物(II−3)の合成、クロロスルホン酸・オキシ塩化リン併用)1,4−ジ−t−オクチル−2,5−ジプロポキシベンゼン(I−3)60gをクロロベンゼン(180mL)に分散させ、内温−1℃でクロロスルホン酸(19.1mL)を滴下した。滴下終了後、30分間撹拌した。(I−3)の消失を確認した後、内温1℃でN,N−ジメチルアセトアミド(60mL)を滴下した。滴下終了後、内温が−1℃になったところでオキシ塩化リン(26.7mL)を滴下した。室温で2時間攪拌した後、水(60mL)を滴下した。室温で30分間撹拌した後、ヘプタン(300mL)を添加し、分液操作により下層を除いた。水(150mL)と水酸化ナトリウム(6.9g)を加え、内温37℃で7時間攪拌した。アセトニトリル(220mL)を加え、分液操作により3層に分かれたうちの下層のみを除去した。有機層をエバポレーターで濃縮し、オイル状の(II−3)(52.0g、収率89.6%)を得た。【0053】例示化合物(II−3)の構造は、1H-NMRにより同定した。例示化合物(II−3)の1H-NMR(CDCl3溶媒)7.28(s,1H), 7.05(s,1H), 4.12(t,2H), 3.94(t,2H), 2.01(s,2H), 1.94-1.88(m,4H), 1.44(s,6H), 1.15-1.09(m,1H), 0.72(s,9H)【0054】<実施例2>(例示化合物(II−3)の合成、クロロスルホン酸のみ使用)1,4−ジ−t−オクチル−2,5−ジプロポキシベンゼン(I−3)60gをクロロベンゼン(180mL)に分散させ、内温−1℃でクロロスルホン酸(28.7mL)を滴下した。室温で2時間撹拌し、(I−3)の消失を確認した後、水(60mL)を滴下した。室温で30分間撹拌した後、ヘプタン(300mL)を添加し、分液操作により下層を除いた。水(150mL)と水酸化ナトリウム(6.9g)を加え、内温37℃で7時間攪拌した。アセトニトリル(220mL)を加え、分液操作により3層に分かれたうちの下層のみを除去した。有機層をエバポレーターで濃縮し、オイル状の(II−3)(41.7g、収率72%)を得た。【0055】<実施例3>(例示化合物(II−1)の合成)2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン(I−1)32gをクロロベンゼン(180mL)に分散させ、内温−1℃でクロロスルホン酸(19.1mL)を滴下し、30分間撹拌した。(I−1)の消失を確認した後、内温1℃でN,N−ジメチルアセトアミド(60mL)を滴下した。滴下終了後、内温が−1℃になったところでオキシ塩化リン(26.7mL)を滴下した。室温で2時間攪拌した後、水(60mL)を滴下した。室温で30分間撹拌した後、ヘプタン(300mL)を添加し、分液操作により下層を除いた。水(150mL)と水酸化ナトリウム(6.9g)を加え、内温37℃で7時間攪拌した。アセトニトリル(220mL)を加え、分液操作により3層に分かれたうちの下層のみを除去した。有機層をエバポレーターで濃縮し、オイル状の(II−1)(34.7g、収率91.2%)を得た。【0056】次に同様な合成法(一般式(1)で表される化合物、クロロスルホン酸、オキシ塩化リンは等モル置き換え、溶媒は同量置き換え)により一般式(2)で表される各種化合物を合成した。【0057】<比較例1>(例示化合物(II−3)の合成、モノアルキル体使用)1,4−ジプロポキシ−t−オクチルベンゼンの粗結晶27.6gを塩化メチレン(85mL)に分散させ、内温−1℃でクロロスルホン酸(6.6mL)を滴下した。滴下終了後、30分間撹拌した。粗結晶の消失を確認した後、内温1℃でN,N−ジメチルアセトアミド(30mL)を滴下した。滴下終了後、内温が−1℃になったところでオキシ塩化リン(16.8mL)を滴下し、室温で2時間攪拌した。酢酸エチル(200mL)と5%重曹水(200mL)を添加し、分液操作により下層を除いた。酢酸エチル(100mL)と飽和食塩水(20mL)を添加し、分液操作により下層を除いた。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターで濃縮し、オイル状の(II−3)(29.8g、収率81.9%)を得た。【0058】実施例1、2、3、他の化合物への適用例、および比較例1を表1に示した。【0059】【表1】【0060】この結果から本製造法がさまざまな化合物に適用可能であることが分かる。また、反応時間も2時間から2時間半と短い。実施例1と比較例1から、安価な3級ジアルキル体原料を用いても、3級モノアルキル体原料を用いた場合と収率が変わらないことがわかる。また、実施例2から、クロロスルホン酸のみでもクロロスルホン化できることがわかる。【0061】<実施例4>(例示化合物(II−3)の合成、アルカリ性水溶液洗浄なし)1,4−ジ−t−オクチル−2,5−ジプロポキシベンゼン(I−3)60gをクロロベンゼン(180mL)に分散させ、内温−1℃でクロロスルホン酸(19.1mL)を滴下した。滴下終了後、30分間撹拌した。(I−3)の消失を確認した後、内温1℃でN,N−ジメチルアセトアミド(60mL)を滴下した。滴下終了後、内温が−1℃になったところでオキシ塩化リン(26.7mL)を滴下した。室温で2時間攪拌した後、水(60mL)を滴下した。室温で30分間撹拌した後、ヘプタン(300mL)を添加し、分液操作により下層を除いた。アセトニトリル(220mL)、水(55mL)を加え、分液操作により3層に分かれたうちの下の2層を除去した。有機層をエバポレーターで濃縮し、オイル状の(II−3)(46.4g、収率80.0%)を得た。【0062】実施例1、実施例4の結果を表2に示した。【0063】【表2】【0064】実施例1と実施例4との比較から、アルカリ性水溶液で洗浄すると、スルホニルクロライド化合物が高純度かつ高収率で得られるようになったことが分かる。【0065】【発明の効果】本発明により、一般式(I)で表される化合物にクロロスルホン酸を滴下し、その後オキシ塩化リンを滴下することにより、従来の製造方法で用いられるよりも安価な原料で、短時間で一般式(II)で表されるスルホニルクロライド化合物を得られるようになった。さらに、得られた化合物をアルカリ性水溶液で洗浄すると、さらに高純度かつ高収率でスルホニルクロライド化合物を製造することができるようになった。 下記一般式(I)で表される化合物をクロロスルホン化することにより下記一般式(II)で表されるベンゼンスルホニルクロライド化合物を製造する方法。(式中、R1は水素原子、または炭素数が1〜30の直鎖、分岐または環状の置換または無置換のアルキル基、R2は水素原子または置換基を表し、R3は置換または無置換の3級のアルキル基を表す。) 前記クロロスルホン化が、一般式(I)で表される化合物の溶液に、クロロスルホン酸を添加することにより行われる請求項1に記載のベンゼンスルホニルクロライド化合物を製造する方法。 クロロスルホン酸を添加した後に、さらにオキシ塩化リンを添加することを特徴とする請求項2に記載のベンゼンスルホニルクロライド化合物を製造する方法。 アルカリ性水溶液でスルホニルクロライド化合物を洗浄する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のベンゼンスルホニルクロライド化合物を製造する方法。


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