生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_肝糖放出の検査方法
出願番号:2002355622
年次:2008
IPC分類:G01N 33/66


特許情報キャッシュ

中島 弘 薮内 正彦 増田 稔 JP 4100673 特許公報(B2) 20080328 2002355622 20021206 肝糖放出の検査方法 日本化薬株式会社 000004086 中島 弘 薮内 正彦 増田 稔 JP 2001374356 20011207 20080611 G01N 33/66 20060101AFI20080522BHJP JPG01N33/66 A G01N 33/66 特開平11−266896(JP,A) 特開2002−148267(JP,A) 3 2003248003 20030905 9 20051130 宮澤 浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、糖尿病患者の治療においてその重要な指針になると考えられる『肝からの糖放出状態』を検出する方法に関する。【0002】【従来の技術】インスリンは、体内でのグルコース利用を促進する唯一のホルモンであるが、このホルモンが不足したり有効に作用しなくなった場合、血中のグルコース濃度が異常に上昇して糖尿病となる。これまで、尿糖値、空腹時の血糖値や糖負荷試験に伴う血糖値の変動パターン等の解析から高血糖の状態を把握し、即ち、『インスリン作用の不足』を間接的に判断し、糖尿病を診断してきた。【0003】しかし、最近こぞって開発された新しいメカニズムの糖尿病治療薬やこれらを用いた臨床研究の進歩によって、インスリン作用の不足をさらに詳細把握し、病態を分類しようとする動きが出てきた。即ち、インスリン作用の不足を、膵臓からのインスリン分泌の絶対量の低下である『インスリン分泌不全』と、インスリン抵抗性によるグルコース利用効率の低下に分けて考えるようになった(非特許文献1)。【0004】さらに、最近ではこのインスリン抵抗性を、筋肉や脂肪組織等の末梢組織でのグルコース利用効率の低下である『末梢でのインスリン抵抗性』と、『肝からの糖放出の亢進』でとらえるようになってきた。【0005】これまでの糖尿病の診断方法は、簡便には空腹時の血糖値が用いられ、厳密にはグルコース経口負荷試験(OGTT)での血糖値やその経時変化を解析して行なわれている。インスリン分泌の低下は、血中のインスリン値を測定したりC−ペプチドを測定することで把握できるが、インスリン値自体が血中グルコース濃度に依存して鋭敏に変動するものであるから、『インスリン分泌不全』は、グルコース濃度の変化に連動したインスリン濃度の動的変化として把握しなければならない。具体的には、インスリンと血糖の面積比やインスリンと血糖の上昇比等で示される。【0006】『末梢でのインスリン抵抗性』は、インスリンに対する末梢細胞の感受性が低下することであるが、簡便にはHOMA指数(空腹時の血糖値と血中インスリン値に一定の係数を掛けたもの)等で把握されている。最も厳密にはグルコースやインスリンを静注負荷し、血糖値と血中インスリン値の動的な関係を解析するクランプ試験で検査されている。【0007】また、糖尿病の治療では通常、血糖値とそれに関連する血糖管理マーカーで重症度を診断し適当な治療法を選択している。しかし、ある治療法が患者に適合しているかどうかの判断は、血糖管理状態に加え、肥満度や血圧等の物理的な指標や糖尿病合併症の進行度等を参考にしながら、経験によって決めているのが現状である。一方、マンノース測定の臨床的意義については、(1)マンノース値は糖尿病患者で高く、血糖値とマンノース値とはよく相関する(非特許文献2及び非特許文献3)、(2)マンノース/グルコース比が、インスリン非依存型糖尿病、異脂肪血症、尿蛋白排泄の亢進やBMI(Body Mass Index:肥満度指数)上昇で増加するとの報告(非特許文献4及び非特許文献5)はあるが、『肝からの糖放出の亢進』の指標とする報告はない。【0008】【非特許文献1】河盛隆造、門脇孝編、軽症糖尿病 ―早期発見・早期管理―、中外医学社、1999年、99頁〜103頁【非特許文献2】J.Clin.Endocrinol.Metab.、1986年、62巻、p.984〜989【非特許文献3】Scand.J.Clin.Lab.Invest.、1999年、59巻,p.607〜612【非特許文献4】Clinica Chimica Acta,、1996年、251巻、p.91〜103【非特許文献5】Scand.J.Clin.Lab.Invest.、1999年、59巻、p.607−612【0009】【発明が解決しようとする課題】上記したように、『インスリン作用の不足』の要因のうち、『インスリン分泌不全』と『末梢でのインスリン抵抗性』を把握する指標は有るが、『肝からの糖放出の亢進』を表わす指標は、未だ知られていない。また、糖尿病患者の薬物治療において、治療薬の選択および効果を判断する上で、『肝からの糖放出の亢進』を把握できる指標が求められているが、未だ知られていない。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記したような問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、グルコース負荷または食事負荷における血中のマンノース値を基にして糖尿病患者の肝からの糖放出状態を検出できることを見出し、本発明に至ったものである。【0011】即ち、本発明は、(1)検体中のマンノース濃度の測定値を用いることを特徴とする肝臓からの糖放出状態の検査方法;(2)マンノース濃度の測定値が、グルコース経口負荷試験前後または食事負荷前後の、マンノース濃度の変化量である上記(1)記載の肝臓からの糖放出状態の検査方法;(3)上記(1)又は(2)に記載のマンノース濃度の測定値と、グルコース経口負荷試験前後又は食事負荷前後の、インスリン濃度又はその変化量との比又は積を用いることを特徴とする糖尿病患者の肝臓からの糖放出状態の検査方法;に関する。【0012】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の、肝臓からの糖放出状態の検査方法は、検体中のマンノース濃度の測定値を用いること、即ち検体中のマンノース濃度を定量し、その定量値を基にして肝臓からの糖放出状態を判定すること、を特徴とする。本発明によると、例えば糖尿病患者の肝臓からの糖放出状態を知ることができる。本発明で使用する検体としては、例えば全血、血清、または血漿が挙げられる。また、検体はグルコース負荷試験前後または食事負荷前後に採取した検体が好ましい。【0013】本発明で使用される血中マンノース濃度の測定方法は、臨床的に意味のある精度で測定できる方法であれば何であってもよく、特に限定されない。例えば、ガスクロマトグラフィー法(Pflugers Arch.,420,367−375(1992)、Biological Mass Spectrometery,23,590−595(1994))や液体クロマトグラフィー法(Am.J.Clin.Pathol.,53,793−802(1970))や最近臨床検査の現場で用いられている汎用の生化学分析装置で測定する方法(特開平11−266896号公報等)等が挙げられるが、臨床現場でのルーチン測定に適した生化学的な分析法が好ましい。【0014】本発明における肝臓からの糖放出とは、糖新生による肝臓からのグルコースの放出を意味する。糖新生は、血中のグルコース濃度の恒常性を維持する上で必須の生理的機能であるが、貯蓄されたグリコーゲンの分解や糖原性アミノ酸からのグルコースの生合成を介して血中にグルコースを供給することである。この糖新生によるグルコース供給の主要臓器は肝臓とされている。【0015】本発明におけるマンノース値を用いる肝からの糖放出状態の検査方法は、血中マンノース値が肝臓からのグルコースの放出状態を反映して変動することを利用するものである。食事等により摂取されたグルコースは、門脈を介して肝臓に運ばれ一部はグリコーゲンとして肝臓に蓄えられる。このグリコーゲンとして肝臓に蓄えられたグルコースは、空腹時には再びグルコースとして血中に放出される。このように、肝臓は空腹時にグルコースを末梢組織に供給する役割を果たしている。血中のマンノース値は、食事等によるグルコース摂取の影響を、グルコース程受けることなく肝糖放出の程度を反映できることから、血中のマンノース値の動きを観測することで肝からの糖放出状況が把握できる。インスリンは、末梢組織にはグルコースの取込みに、肝にはグルコース放出の抑制に作用するが、糖尿病患者の肝臓でのインスリン作用の異常をマンノース値を介して把握することができるようになった。【0016】糖尿病の経口治療薬は、古くは、スルホニル尿素剤(SU剤)やビグアナイド剤(BG剤)に始まり、最近では、チアゾリジン化合物や、グルコースの吸収を抑制するα−グルコシダーゼ阻害剤等の新しい薬剤の開発が急速に進んでいる。これらの薬剤の内、前者3剤は、前述のインスリン作用不足の3つの要因から、SU剤に代表される「インスリン分泌促進薬」、「肝糖新生を抑制するインスリン抵抗性改善薬」のBG剤、「末梢(主に筋肉)における糖利用の促進に働くインスリン抵抗性改善薬」のチアゾリジン化合物に分類される。【0017】SU剤は、古い薬で安全性が高く安価であることから最も広く処方されている薬剤であるが、肥満を助長し易い、低血糖を起こす、動脈硬化を助長する可能性がある等の問題が指摘されている。BG剤も古い薬で広く欧州で使われてきたが、副作用として乳酸アシドーシスを起こすことから日本と米国では最近まで使われなかった。しかし、BG剤が、肥満を伴う糖尿病患者でのインスリン作用の増強作用(肝糖新生を抑制することによる)による血糖管理の改善に併せて、心筋梗塞のリスクをも軽減することが証明され(Diabetes 44,1249−1258(1995))、見直されている。【0018】近年、肥満や過食が主となった生活習慣病型の糖尿病が急速に増加している。これらの患者では肝からの糖放出が大きい場合が多いのでBG剤が治療に有効であるにもかかわらず、乳酸アシドーシスの副作用の懸念からあまり普及していないのが実情である。もし、本発明の方法を用いて肝からの糖放出状態を把握し、肝からの糖放出の亢進している患者が選択できれば、糖尿病治療の第一選択薬としてもBG剤を用いることができ、より適切な治療を施すことが可能となるのである。【0019】また、本発明の肝からの糖放出の指標を用いて、1型糖尿病患者では補充したインスリンの絶対量が十分であるかまたは不足しているかを血糖値だけに依らずに評価できる。2型糖尿病患者では、SU剤やその他で血糖値の低下をもたらした症例でもまだ肝糖放出が十分に抑制されていないことが多々あり、この時にはBG剤を少量から投与するとかなり良好に糖管理をすることができることがあるが、この際にも本発明により予め肝からの糖放出状態を把握しておくことで、BG剤の適応患者を正しく選択することができる。【0020】さらに本発明により、BG剤による治療に際して肝糖放出が是正されたかどうかの判断、BG剤の適不適患者の選択もすることができる。即ち、BG剤投与例について本発明の検査から肝糖放出が改善しない場合はBG無効と考え、いたずらにBG剤を増量して副作用のリスクを高めることなくインスリン治療等、他の治療法に切り替えるための見極めを提供する。このように、本発明の方法で肝からの糖放出状態を把握することは、糖尿病を治療する上での有用な情報となる。【0021】次に、マンノース値で肝からの糖放出状態を検査する方法について説明する。経口によるグルコース負荷や食事負荷は、血中グルコース濃度を上昇させると同時にインスリンの分泌を促進させ、健常者では血中のマンノース値が低下する。しかし、糖尿病患者では、むしろマンノース値が上昇することからグルコース負荷時または食事負荷時のマンノース値の変化を観測するのが好ましい。具体的には、例えばグルコース経口負荷試験後または食事負荷後のマンノース濃度の測定値から、好ましくはグルコース経口負荷試験前後または食事負荷前後の検体中のマンノース濃度の測定値の変化量を指標として、肝臓からの糖放出状態を判断する。【0022】さらに、グルコース負荷における血中マンノース濃度の測定は、グルコースに反応してインスリンが分泌され、この分泌されたインスリンによってマンノースが変動すると考えられるから、例えば、グルコース経口負荷試験の場合、血糖値がピークに達する時間の近傍か、さらに遅れた時点で測定するのが適切である。好ましくは負荷後10分から3時間、特に好ましくは負荷後30分から2時間がよい。グルコース負荷前後のマンノース値の変化をみる場合、グルコース経口負荷試験の0時間値(OGTT直前)と、上記のように血糖値がピークに達する時間の近傍か、さらに遅れた時点、例えば2時間値(OGTT後2時間)を用い、それらの値の差や比として解析することもできるし、一定のファクターを掛けて表現してもよい。【0023】又、マンノース濃度のある時点までの時間曲線下面積、あるいは、OGTT開始時の空腹時マンノース濃度を基準として、経時的に測定したマンノース濃度から空腹時マンノース濃度を引いて、各時間におけるマンノース濃度の増減値を求め、ある時点までのマンノース濃度増減値−時間曲線下面積を求めて解析することもできる。さらに、血中のインスリンの絶対量や変動がマンノース濃度に影響すると考えられるので、マンノース濃度の変化量とインスリン濃度又はその変化量との比や積として解析することもできる。この場合、マンノース濃度およびその変化量とは、インスリン濃度は測定値そのものであっても良いし、空腹時インスリン値を引いたインスリン濃度の変化量であっても良いし、インスリン濃度やインスリン濃度の変化量の時間曲線下面積であってもよい。肝臓からの糖放出状態の判断は、例えば健常者のグルコース負荷前後または食事前後のマンノース値の変化と、糖尿病患者のそれとを対比して行われる。通常、健常者との乖離が多いほど肝臓からの糖放出が多いと判断される。【0024】【実施例】以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0025】実施例1 糖尿病患者のBG剤治療における血中マンノース濃度の測定血糖管理状態のほぼ等しいSU剤治療中の糖尿病患者3名(患者1〜3)を選択した。患者1は完全にBG剤(肝糖放出を抑制するインスリン抵抗性の改善薬)に切り替え、患者3にはBG剤を追加処方し、その効果が安定化してから75gグルコース経口負荷試験(75gOGTT)を施行し血中グルコース濃度とマンノース濃度を測定しBG剤の効果を評価した。同様に、食事療法で治療中の軽症糖尿病患者2名(患者4、5)および健常者8名にも75gOGTTを施行し、血中グルコース濃度と血中マンノース濃度を測定した(表1)。さらに、これらのデータから本発明で使用するマンノースの指標(表2)をもとめた。表2中△M(0-120)は血中マンノース濃度の75gOGTT前値と2時間値の差を、M120/M0は血中マンノース濃度のグルコース経口負荷試験2時間値を同前値で除した値である。【0026】【0027】【0028】その結果、BG剤を併用した患者(1、3)でのマンノース値の糖負荷試験での低下量、△M(0-120)(血中マンノース濃度の75gOGTT前値と2時間値の差)は前者が3、後者が−3.7であり、SU剤単独治療の患者2は−11.6であり、健常者は16.9であった。即ち、BG剤を併用した患者でのマンノース値の糖負荷試験での低下量△M(0-120)はSU剤単独治療の患者での△M(0-120)と比較して大幅に上昇し、健常者での△M(0-120)に近づいている。健常者は、糖負荷により肝臓からの糖新生が抑えられること、またBG剤は肝糖新生を抑制する作用を有することが知られており、一方SU剤はそのような効果を有していないことからすると、BG剤の使用によりSU剤単独使用よりもマンノース濃度の変化値が健常者に近づいているということは、マンノース濃度、特にマンノース濃度の変化値が肝糖新生の抑制状態を反映していると思われる。【0029】軽度糖尿病患者4と5を対比すると、表1から明らかなように、グルコース濃度ではOGTT前値が前者では107mg/dLであり、後者では96mg/dLであり、2時間値では前者が185mg/dL、後者が173mg/dLといずれも前者の患者4の血糖値が高い。しかし、△M(0-120)値が患者4では4.3であるのに対し患者5では0である。これらの事実は、患者5が患者4よりも血糖値は低いものの、△M(0-120)値で見ると、健常者の16.9を基準とすると肝糖新生の抑制状態が悪いと解釈される。このことから、糖負荷試験でのマンノース値の変化量を解析することによって肝糖放出の状態を把握することが可能と成り、それに基づく治療をすることができ、ひいては糖尿病の血糖管理状態全体を改善することができる。【0030】なお、健常者群と糖尿病患者群とでは、△M(0-120)およびM120/M0のいずれの値も明確に区別され、マンノース濃度は糖尿病の診断マーカーとして有用であることもわかる。また、75gOGTTにおけるマンノース濃度の2時間値であるM120値も、△M(0-120)と同様に使用できることができる。一方、負荷試験を伴わないM0値やM0/G0値では、糖尿病の血糖管理状態の変化を明確に把握する事ができない。【0031】実施例2 血糖コントロール状態の異なる糖尿病患者の血中マンノース濃度の測定血糖管理状態の異なる糖尿病患者25例と健常者9例の75gOGTTを施行し、OGTT施行直前を0時間として経時的に採血し、血中のグルコース濃度、マンノース濃度とインスリン濃度を測定した。結果を図1から図3に示す。縦軸には血糖コントロール状態を示す指標としてOGTT後2時間までの血糖値−時間曲線下面積(Σ血糖)をとり、横軸には図1では空腹時(OGTT施行直前)のマンノース濃度を基準としてOGTT後2時間までのマンノース濃度の増減値―時間曲線下面積(ΣΔマンノース)を、図2では空腹時のマンノース濃度およびインスリン濃度を基準としてOGTT後2時間目のそれぞれの増減値であるΔマンノースとΔインスリンの比(Δマンノース/Δインスリン)を、図3ではΣΔマンノースと空腹時のインスリン濃度を基準としてOGTT後2時間までのインスリン増減値−時間曲線下面積(ΣΔインスリン)の積(ΣΔマンノース・ΣΔインスリン)をとった。【0032】いずれの図からも、Σ血糖が高く肝臓からの糖放出が亢進している血糖コントロール不良の糖尿病患者群ではΣΔマンノース、Δマンノース/Δインスリン、ΣΔマンノース・ΣΔインスリンの値はいずれも健常者群より高い値を示した。一方、Σ血糖が比較的低く内因性インスリンにより肝臓からの糖放出に抑制がかかる血糖コントロール良好群ではΣΔマンノース、Δマンノース/Δインスリン、ΣΔマンノース・ΣΔインスリンの値はいずれも健常者と同レベルにあった。また、Σ血糖からみて同レベルの血糖コントロール状態であっても、マンノース濃度の変化量からは肝糖放出の亢進の程度は患者間で異なっていることが推測され、糖負荷試験によるマンノース濃度の変化量を把握することは、患者の判別に役立つものと考えられる。【0033】更に図3においては、インスリン分泌不全の患者は横軸の0付近に収束するので、この図において横軸の正の方向になればなるほど肝臓からの糖放出が亢進していると推測される。この解析により、インスリン分泌には低下がなく肝糖放出亢進が高血糖の主たる原因であることが判別されるならば、そのような患者こそビグアナイド薬(BG剤)の良い適用となる。又、インスリン分泌量の低下による糖放出の亢進が判明した場合には、インスリン治療やインスリン分泌刺激薬の適用となる。【0034】【発明の効果】グルコース経口負荷または食事負荷での血中マンノース値を測定し、その変動の解析、又はインスリンの変化量と組合せての解析により、肝からの糖放出状態を把握でき、BG剤等肝糖放出を抑制するインスリン抵抗性の改善剤の適用患者群を簡便に判断できる。また、糖尿病治療薬の治療効果を、肝糖放出抑制の異常に起因するインスリン抵抗性として把握する手段を提供する。更に、本解析は、試行錯誤的に使用してきた治療薬を適正に使用するための基準となり、糖尿病治療の適正化に大いに貢献するものである。【図面の簡単な説明】【図1】糖尿病患者と健常者のOGTT後2時間までの血糖値−時間曲線下面積(Σ血糖)に対する、OGTT後2時間までのマンノース濃度の増減値―時間曲線下面積(ΣΔマンノース)を示す。【図2】糖尿病患者と健常者のOGTT後2時間までの血糖値−時間曲線下面積(Σ血糖)に対する、空腹時のマンノース濃度およびインスリン濃度を基準とするOGTT後2時間のそれぞれの増減値であるΔマンノースとΔインスリンの比(Δマンノース/Δインスリン)を示す。【図3】糖尿病患者と健常者のOGTT後2時間までの血糖値−時間曲線下面積(Σ血糖)に対する、OGTT後2時間までのマンノース濃度の増減値―時間曲線下面積(ΣΔマンノース)とOGTT後2時間までのインスリン濃度の増減値−時間曲線下面積(ΣΔインスリン)の積(ΣΔマンノース・ΣΔインスリン)を示す。 血中のマンノース濃度の測定値を用いることを特徴とする糖尿病患者の肝臓からの糖放出状態の検査方法 マンノース濃度の測定値が、グルコース経口負荷試験前後または食事負荷前後の、マンノース濃度の変化量である請求項1記載の肝臓からの糖放出状態の検査方法 請求項1又は2に記載のマンノース濃度の測定値と、グルコース経口負荷試験前後又は食事負荷前後の、インスリン濃度又はその変化量との比又は積を用いることを特徴とする糖尿病患者の肝臓からの糖放出状態の検査方法


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