生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_1−置換フェニル−ω−ブロモアルカンの製造法
出願番号:2002325389
年次:2008
IPC分類:C07C 41/22,C07C 17/16,C07C 22/04,C07C 25/13,C07C 43/225


特許情報キャッシュ

梅 田 天 隈 元 信 満 前 原 伸 也 JP 4188060 特許公報(B2) 20080919 2002325389 20021108 1−置換フェニル−ω−ブロモアルカンの製造法 北興化学工業株式会社 000242002 鈴木 俊一郎 100081994 牧村 浩次 100103218 高畑 ちより 100107043 鈴木 亨 100110917 梅 田 天 隈 元 信 満 前 原 伸 也 20081126 C07C 41/22 20060101AFI20081106BHJP C07C 17/16 20060101ALI20081106BHJP C07C 22/04 20060101ALI20081106BHJP C07C 25/13 20060101ALI20081106BHJP C07C 43/225 20060101ALI20081106BHJP JPC07C41/22C07C17/16C07C22/04C07C25/13C07C43/225 A C07C 17/16 C07C 22/04 C07C 25/02- 25/13 C07C 41/22 C07C 43/225 国際公開第95/029163(WO,A1) Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,1990年,Vol.XXIII, No.8,p.955-966 Aust. J. Chem.,1988年,Vol.41,p.19-25 1 2004155744 20040603 10 20050610 松本 直子 【0001】【発明の技術分野】本発明は、医薬、農薬及び液晶の合成用中間体として有用な1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの製造法に関する。より詳しくは、本発明は、例えば、特開平2−131451号公報(特許文献1)に示され、下記式(3):【0002】【化3】【0003】(式(3)中、nは1〜10の整数を表わし、R1、R2はC1〜18のアルキル基を表わし、X1、X2は水素原子、塩素原子またフッ素原子を表わす。)で表されるビフェニル型液晶化合物合成用の中間体として、あるいは、国際公開第91/009015号パンフレット(特許文献2)において下記式(4):【0004】【化4】【0005】(式(4)中、Yは直接結合、-CH2-、-(CH2)2-、-CH2O-または-CH2S-を表し、nは1〜3の整数を表わし、X1、X2は酸素原子または−CH2−を表わす。)で表される医薬等の合成用の中間体として有用である1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの製造法に関する。【0006】【発明の技術的背景】従来、1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン類の合成法としては、次のものが知られている。▲1▼:4-(4-メトキシフェニル)-1-ブタノールを三臭化リンで臭素化することにより4-(4-メトキシフェニル)-1-ブロモブタン(収率:37%)が製造されることが知られている(非特許文献1参照)。▲2▼:2-ブロモアニソールのグリニャール試薬とジブロモプロパンを銅触媒の存在下に縮合反応させることにより3-(2-メトキシフェニル)-1-ブロモプロパン(収率:80%)が得られることが知られている(非特許文献2参照)。【0007】しかしながら、▲1▼では収率が工業的に十分といえるレベルでなかったり、▲2▼では高価な触媒即ち、四塩化銅酸リチウム(THF溶液)を必要とするなど、必ずしも満足できるものではなかった。▲3▼:またアルコールを、臭化水素酸を使用して臭素化する場合の改良法として、臭化水素酸に少量の硫酸を加えて反応させる方法も知られている(収率:67%)(非特許文献3参照)。また、収率は記載されていないが、同様の方法の他の例もある(特許文献3参照)。▲4▼:また直鎖アルキルアルコールの臭素化の例として、硫酸混在下に臭化水素酸を用いた例(非特許文献4参照)も知られている。【0008】そこで本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、置換フェニルアルキルアルコールと臭化水素酸とを反応させて、1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンを製造するに際して、上記臭化水素酸を置換フェニルアルキルアルコールに対して特定量で用い、かつ硫酸を、該臭化水素酸に対して上記0.5倍モルを上回り、従来の知見からは純度、収率の低下が当然予想されるような量で混在(存在)させて上記反応を行ったところ、驚くべきことに、臭素化への変換率、精製後の収率ともに優れることなどを見出して本発明を完成するに至った。【0009】【特許文献1】特開平2−131451号公報【特許文献2】国際公開第91/009015号パンフレット【特許文献3】国際公開第95/029163号パンフレット(第14−15頁、実施例1、第17−18頁、実施例5)【非特許文献1】「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティ、パーキントランザクション1(Journal of Chemical Society,Perkin Transaction1)」((英国)、1980年、p.614−620)【非特許文献2】「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケスミトリー(Journal of Organic Chemistry)」((米国)、1993年、第58巻、p.6526−6528)【非特許文献3】「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of Chemical Society)」((米国)、1934年、第56巻、p.959−963)【非特許文献4】「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティ(Journal of Chemical Society)」(英国)、1953年、p.132−137)【0010】【発明の目的】本発明は、上記問題点を解決しようとするものであって、高価な原料を用いなくても工業的に高収率で高純度の1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンを生産できるような1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの新規な製造法を提供することを目的としている。【0011】【発明の概要】本発明に係る1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの製造法は、下記式(2):【0012】【化5】【0013】(式(2)中、Xは水素、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルコキシ基、炭素数1〜6の低級ハロアルキル基の何れかを表し、nは3〜10の整数を表す。)で表わされる置換フェニルアルキルアルコールと、臭化水素酸とを反応させて、下記式(1):【0014】【化6】【0015】(式(1)中、Xおよびnは前述の式(2)と同じ。)で表される1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンを製造する方法であって、上記臭化水素酸を式(2)で表される置換フェニルアルキルアルコールに対して1.0倍モル以上の量で用い、かつ該臭化水素酸に対して0.7倍モル以上の量の硫酸の混在下(硫酸と臭化水素酸とが入り混じって存在していること。以下同じ。)に上記反応を行い、1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)を製造することを特徴としている。【0016】本発明の好ましい態様においては、上記置換フェニルアルキルアルコール(2)と臭化水素酸とを反応させて、1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)を製造するに際して、上記臭化水素酸を置換フェニルアルキルアルコール(2)に対して1.3〜2.0倍モル(例:1.5倍モル)の量で用い、かつ該臭化水素酸に対してほぼ等モル量比である、0.8〜1.0倍モル(例:1.0倍モル)の量の硫酸の混在下に上記反応を行い、1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンを製造することが望ましい。【0017】上記本発明によれば、高価な原料を用いなくても高収率(例:91.5〜93.7%)で高純度(例:99.2〜99.5%)の1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンを工業的に生産できるような1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの新規な製造法が提供される。【0018】【発明の具体的説明】以下、本発明に係る1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの製造法について具体的に説明する。[1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの製造法]本発明に係る1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの製造法は、下記式(2)で表わされる置換フェニルアルキルアルコール(置換フェニルアルキルアルコール(2))と、臭化水素酸とを反応させて、下記式(1)で表される1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1))を製造する方法であって、上記臭化水素酸を置換フェニルアルキルアルコール(2)に対して1.0倍モル以上、特に好ましくは1.3〜2.0倍モルの量で用い、かつ該臭化水素酸に対して0.7倍モル以上の量、特に好ましくは0.8〜1.0倍モルの量の硫酸の混在下(存在下)に上記反応を行い、1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)を製造している。【0019】置換フェニルアルキルアルコール(2):【0020】【化7】【0021】(式(2)中、Xは水素、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルコキシ基、炭素数1〜6の低級ハロアルキル基の何れかを表し、nは3〜10の整数を表す。)1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1):【0022】【化8】【0023】(式(1)中、Xおよびnは前述の式(2)と同じ。)以下、このような本発明の1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの製造法を詳細に説明する。本発明では、置換フェニルアルキルアルコール(2)から1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)を、以下の合成経路で製造している。【0024】【化9】【0025】原料の置換フェニルアルキルアルコール(2)は、公知の化合物であり、従来より公知の方法、例えば「ケミカル・アンド・ファーマスティカル・ブリテン(Chemical and Pharmaceutical Bulletin)」((日本)、1976年、第24巻、第9号、p.1992−1999)に記載の方法により容易に得られる。本発明では、このようして得た置換フェニルアルキルアルコール(2)に上記のように特定量の臭化水素酸を特定量の硫酸混在下で反応させることにより置換フェニルアルキルアルコール(2)の臭素化を行って、1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)を製造している。【0026】なお、原料である置換フェニルアルキルアルコール(2)および目的化合物の1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)において、Xは水素、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子もしくは、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルコキシ基、炭素数1〜6の低級ハロアルキル基の何れかを表し、nは3〜10の整数を表す。【0027】上記の低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられ、上記低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、上記低級ハロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基等が挙げられる。このような置換フェニルアルキルアルコール(2)として、具体的には、例えば、3-(2-メチルフェニル)-1-プロパノール、4-(4-メトキシフェニル)-1-ブタノール、4-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノール、3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-1-プロパノールなどが挙げられる。なお、1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)としては、上記合成経路を示す式からも明らかなように、それぞれ、置換フェニルアルキルアルコール(2)の末端水酸基(OH)が、Brに置換されたものとなる。【0028】臭化水素酸の使用量は、原料の置換フェニルアルキルアルコール(2)に対して、理論的には等モルであればよいが、通常、1.0倍モル以上、好ましくは1.0〜10倍モル、さらに好ましくは1.3〜2.0倍モル、特に好ましくは1.4〜1.6倍モルであることが1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)を高純度でかつ高収率に、容易に生成させる点から望ましく、また、この臭化水素酸と混在させる硫酸の量は、原料の置換フェニルアルキルアルコールに対して、通常、0.7〜20倍モル、さらに好ましくは1.1〜2.0倍モルであることが望ましい。【0029】またこの反応では、硫酸は、臭化水素酸1モルに対し、0.7倍モル以上、好ましくは0.7〜2.0倍モル、さらに好ましくは0.8〜1.0倍モルの混合比率で用いることが目的物を高純度かつ高収率で容易に入手する点から望ましい。使用する臭化水素酸の濃度は47〜49%であることが好ましい。また、硫酸の濃度は95〜98%、好ましくは97〜98%であることが望ましい。【0030】反応温度は通常、50〜150℃、好ましくは100〜115℃の範囲である。反応時間は1〜10時間、好ましくは2〜6時間である。なお、上記反応は、通常、常圧下に行われる。反応終了後、得られた反応液を水で希釈し、その後、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒を加えて抽出し、次いで、蒸留により溶媒を留去した後、さらに減圧下に蒸留することにより、目的物である1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)を単離することができる。【0031】上記した本発明の製造法を実施することにより、原料の置換フェニルアルキルアルコール(2)から目的の1-置換フェニル-ω-ブロモアルカン(1)を高臭素化率(例:95〜100%)で、高収率(例:収率91.5〜93.7%)、高純度(例:純度99.2〜99.5%)で得ることができる。【0032】【発明の効果】上記本発明によれば、高価な原料を用いなくても、高純度の1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンを高収率で工業的に生産できるような1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの新規な製造法が提供される。本発明により、医薬、農薬及び液晶の分野において、合成中間体として有用とされている1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンを簡便に得ることができる。【0033】そして本発明に係る1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの製造法によれば、従来の製法に比べて収率、純度とも大きく改善されている。従って、この方法は、工業的な製法として有用である。【0034】【実施例】次に本発明に係る1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの製造法について、実施例を以て、より具体的に説明するが、本発明は、係る実施例により何ら限定されるものではない。【0035】【実施例1】<4-(4-メトキシフェニル)-1-ブロモブタン(1−A)の合成>【0036】【化10】【0037】撹拌機および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換して乾燥した2リットル容量の四径フラスコに4-(4-メトキシフェニル)-1-ブタノール234g(1.3mol)と47%臭化水素酸336g(1.3×1.5mol)を入れ、攪拌下さらに98%硫酸195g(1.3×1.5mol)を滴下ロートより12分かけて加えた。この反応で室温下20℃から47℃までの発熱が認められた。マントルヒーターでさらに加熱し、還流下107℃で6時間反応させて、4-(4-メトキシフェニル)-1-ブロモブタン(1−A)を含む反応液を得た。このときの臭素化への変換率は、ガスクロマトグラフィー分析にて測定した反応液中の未反応原料アルコールと生成した臭素化生成物の比率から求めたところ、99%であった。【0038】その後、得られた反応液にトルエン230mlと水60mlを加えて抽出・分液を行い、さらに得られた有機層にトルエン100ml、10%Na2CO3 230ml、飽和NaCl 170mlを加えて洗浄した。その後有機溶媒を留去し、粗精製のオイル状物質492gを得た。純度は61%で、反応収率95%(4-(4-メトキシフェニル)-1-ブタノールベース)であった。【0039】この粗精製オイル状物質を減圧下で蒸留して、沸点135℃/0.33kPaの留分として4-(4-メトキシフェニル)-1-ブロモブタン292g(純度99.2%、収率91.5%)を得た。このときの沸点は文献記載の4-(4-メトキシフェニル)-1-ブロモブタンの物性値と一致した。【0040】【実施例2】<3-(2-メチルフェニル)-1-ブロモプロパン(1−B)の合成>【0041】【化11】【0042】撹拌機および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換して乾燥した2リットル容量の四径フラスコに3-(2-メチルフェニル)-1-プロパノール195g(1.3mol)と47%臭化水素酸336g(1.3×1.5mol)を入れ、攪拌下さらに98%硫酸195g(1.3×1.5mol)を滴下ロートより12分かけて加えた。この反応で室温下20℃から50℃までの発熱が認められた。マントルヒーターでさらに加熱し、還流下106℃で6時間反応させて、3-(2-メチルフェニル)-1-ブロモプロパン(1−B)を含む反応液を得た。このときの臭素化への変換率は99%であった。【0043】その後、得られた反応液にトルエン230mlと水60mlを加えて抽出・分液して有機層を分取し、さらに有機層にトルエン100ml、10%Na2CO3 230ml、飽和NaCl 170mlを加えて洗浄した。その後有機溶媒を留去し、粗精製のオイル状物質422gを得た。純度は63%で、反応収率96%(3-(2-メチルフェニル)-1-プロパノールベース)であった。【0044】この粗精製オイル状物質を減圧下で蒸留して、沸点121℃/2.0kPaの留分として3-(2-メチルフェニル)-1-ブロモプロパン261g(純度99.5%、収率93.7%)を得た。このときの沸点は文献記載の3-(2-メチルフェニル)-1-ブロモプロパンの物性値と一致した。【0045】【実施例3】<4-(4-フルオロフェニル)-1-ブロモブタン(1−C)の合成>【0046】【化12】【0047】撹拌機および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換して乾燥した2リットル容量の四径フラスコに4-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノール220g(1.3mol)と47%臭化水素酸336g(1.3×1.5mol)を入れ、攪拌下さらに98%硫酸195g(1.3×1.5mol)を滴下ロートより12分かけて加えた。この反応で室温下20℃から45℃までの発熱が認められた。マントルヒーターでさらに加熱し、還流下107℃で6時間反応させて、4-(4-フルオロフェニル)-1-ブロモブタン(1−C)を含む反応液を得た。このときの臭素化への変換率は99%であった。【0048】その後、得られた反応液にトルエン230mlと水60mlを加えて抽出・分液して有機層を分取し、さらに有機層にトルエン100ml、10%Na2CO3 230ml、飽和NaCl 170mlを加えて洗浄した。その後有機溶媒を留去し、粗精製のオイル状物質473gを得た。純度は60%で、反応収率95%(4-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノールベース)であった。【0049】この粗精製オイル状物質を減圧下で蒸留して、沸点110℃/0.13kPaの留分として4-(4-フルオロフェニル)-1-ブロモブタン278g(純度99.0%、収率92.0%)を得た。このときの沸点は文献記載の4-(4-フルオロフェニル)-1-ブロモブタンの物性値と一致した。【0050】【比較例1】<1-ブロモ-3,7-ジメチルオクタンの合成(非特許文献4に記載の方法)>撹拌機および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換して乾燥した500ml容量の四径フラスコに3,7-ジメチルオクタン-1-オール117g(0.74mol)と47%臭化水素酸151g(0.74×1.2mol)を入れ、攪拌下さらに濃硫酸29g(0.74×0.4mol)を加えた。マントルヒーターで加熱し、還流下6時間反応させて、1-ブロモ-3,7-ジメチルオクタンを含む反応液を得た。このときの臭素化への変換率は67%であった。【0051】その後、得られた反応液にトルエン120mlと水30mlを加えて抽出・分液して有機層を分取し、さらに有機層にトルエン50ml、10%Na2CO3 110ml、飽和NaCl 80mlを加えて洗浄した。その後有機溶媒を留去し、粗精製のオイル状物質235gを得た。このオイル状物質を減圧下で蒸留して、沸点102〜107℃/2.0kPaの留分として1-ブロモ-3,7-ジメチルオクタン92g(純度96.8%、収率55.0%)を得た。【0052】【比較例2】<3-(2-メチルフェニル)-1-ブロモプロパンの合成(非特許文献3に記載の方法)>撹拌機および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換して乾燥した500ml容量の四径フラスコに3-(2-メチルフェニル)-1-プロパノール65g(0.43mol)と47%臭化水素酸146g(0.43×2.0mol)を入れ、攪拌下さらに濃硫酸42g(0.43×1.0mol)を加えた。マントルヒーターで加熱し、還流下6時間反応させた。このときの臭素化への変換率は79%であった。【0053】その後反応液にトルエン70mlと水20mlを加えて抽出・分液して有機層を分取し、さらに有機層にトルエン30ml、10%Na2CO3 70ml、飽和NaCl 50mlを加えて洗浄した。その後有機溶媒を留去し、粗精製のオイル状物質138gを得た。このオイル状物質を減圧下で蒸留して、沸点140〜145℃/2.7kPaの留分とし3-(2-メチルフェニル)-1-ブロモプロパン68g(純度95.8%、収率67.0%)を得た。<考察>上記従来技術に対応する比較例1、比較例2では、硫酸を添加することにより予想される副反応を押さえるため、臭化水素酸に対して0.5倍モル以下の硫酸混在化に臭素化を行なう必要があるとし、硫酸を上記のような少量で用いているが、高温、高圧下で反応を行っても臭素化への変換率、精製後の収率とも工業的に満足すべきものではないことが分かる。【0054】これに対して、本発明の上記実施例では、従来の知見からは、得られる1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンの純度、収率の低下が当然予想される量である、臭化水素酸に対して0.5倍モルを超える多量な量で硫酸を用いることにより、より穏やかな常圧条件下で高収率、高純度で、1-置換フェニル-ω-ブロモアルカンを得ることが可能となっていることが分かる。 下記式(2):(式(2)中、Xは水素、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルコキシ基、炭素数1〜6の低級ハロアルキル基の何れかを表し、nは3〜10の整数を表す。) で表わされる置換フェニルアルキルアルコールと、臭化水素酸とを反応させて、下記式(1):(式(1)中、Xおよびnは前述の式(2)と同じ。) で表される1−置換フェニル−ω−ブロモアルカンを製造する方法であって、 上記臭化水素酸を式(2)で表される置換フェニルアルキルアルコールに対して1.3〜2.0倍モルの量で用い、かつ該臭化水素酸に対して0.8〜1.0倍モルの量の硫酸の混在下に、上記反応を行うことを特徴とする1−置換フェニル−ω−ブロモアルカンの製造法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る