生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_活性水の製造方法
出願番号:2002317291
年次:2009
IPC分類:C02F 1/68,A23L 3/358,A61K 35/02,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

薄井 啓 JP 4354172 特許公報(B2) 20090807 2002317291 20021031 活性水の製造方法 株式会社ユニフィードエンジニアリング 598174130 本多 一郎 100096714 杉本 由美子 100124121 森 俊晴 100136560 薄井 啓 20091028 C02F 1/68 20060101AFI20091008BHJP A23L 3/358 20060101ALI20091008BHJP A61K 35/02 20060101ALI20091008BHJP A61P 43/00 20060101ALI20091008BHJP JPC02F1/68 520BC02F1/68 510BC02F1/68 530BA23L3/358A61K35/02A61P43/00 111 C02F 1/00-1/78 A23L 3/358 A61K 35/02 A61P 43/00 特開昭54−8994(JP,A) 特開2001−87773(JP,A) 特開2000−176465(JP,A) 特開2000−218270(JP,A) 4 2004148226 20040527 12 20051031 小久保 勝伊 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、動物、植物の生理現象に重大な影響を与えることが知られている活性酸素、特にスーパーオキシドを消去する能力をもつ新規な活性水及びその製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】酸素は、生物の構成元素及びエネルギー源として必須のものであり、種々の生体反応において電子を得ながら変化し、最終的に4個の電子を取り入れ、水として生体外に排出される。そして、この酸素は、4個の電子を取り入れた状態では安全な水になるが、それに至る3個以下の電子をもつ中間体、例えばスーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカルなどは、いわゆる活性酸素といわれ、生体に悪影響をもたらすことが知られている。【0003】ところで、食品の中には、この活性酸素の1種であるスーパーオキシド消去活性を有するものが多く存在することから、これらの食品の摂取により、活性酸素による悪影響を防止することが提案され、既に成果も得られている。【0004】そして、この食品中のスーパーオキシド消去活性は、通常は5,5‐ジメチル‐1‐ピロリン‐N‐オキシド(以下DMPOと略す)とジエチレントリアミノペンタ酢酸とヒポキサンチンとの混合物中にサンプルを加え、次いでキサンチンオキシダーゼを加えたのち、セルに収容し、電子スピン共鳴スペクトル(以下ESRという)装置に装着して掃引することにより測定されるが、このようにして測定された結果、スーパーオキシド消去活性の大きい食品として、例えば日本茶、コーヒー、小麦胚芽、ココア、乾のり、しそ、ごぼう、パパイア、ピーマン、あしたば、パセリなどが挙げられる(非特許文献1参照)。【0005】また、活性酸素が還元物質と反応する際に微弱な発光現象を伴うことを利用して、XYZ系活性酸素消去発光テストし、そのY成分の発光強度を計測し、活性酸素量を求めることも提案されている(非特許文献2参照)。【0006】他方、活性水素を含む水、すなわち活性水が、活性酸素を消去する能力を有し、活性酸素による動物や植物への生理的悪影響を抑制することも知られており、これまでに活性水を製造する多数の方法、例えばなんら加工されていない普通水に電解処理、超音波処理などの電気的又は物理的処理を施す方法、酸化剤や還元剤による化学的処理を施す方法が提案されているが、そのほとんどは食品衛生法で認められていないため、実用化に至っていない。【0007】例えば、いわゆる電解水(水に食塩などを加えて電気分解したもの)のうち、隔膜方式による電気分解によって得られる陰極側の水(アルカリ水でかつ一説には活性水素を含むといわれる)の使用は食品衛生法上認められていないため、正式には食品に直接使用できない。【0008】すなわち、活性水を製造し、それを食品に法的に問題なく使用するためには、天然添加物に指定されている水素を物理的な方法で活性水素として水に含有させるか、あるいは食品衛生法で認められている原材料を加工助剤的に使用する外はない。【0009】そこで、本発明者は、先に水素を吸蔵させたパラジウム系合金に天然水を接触させて活性水を生成させ、これを動植物の育成に用いる方法(特許文献1参照)や、食料品の品質向上に用いる方法(特許文献2参照)を提案した。しかしながら、これらの方法は、特殊な装置を必要としたり、あるいは高価な処理剤を用いなければならないため、操作に熟練を要したり、コスト高になるのを免れないため、実用上問題があった。【0010】【特許文献1】特許第3059359号公報(特許請求の範囲等)【特許文献2】特許第3113653号公報(特許請求の範囲等)【非特許文献1】「食品と開発」、第31巻、第2号、p46〜47【非特許文献2】「ルミネッセンス(Luminescence)2001」、第16巻、(米国)、ジョン・ウイリー・アンド・サンズ(John Willy &Sons)社、2001年、p1〜9【0011】【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような事情のもとで、高いスーパーオキシド消去活性をもつ活性水及びこのものを複雑な装置や特別の処理剤を必要とせずに、低コストの材料を用い、簡単かつ高効率で製造する方法を提供することを目的としてなされたものである。【0012】【課題を解決するための手段】本発明者は、スーパーオキシド消去活性をもつ活性水の製造について種々研究を重ね、先に磁化処理した非水溶性第二酸化鉄水和物及び場合により貴金属触媒を担持させた活性炭(以下磁化活性炭という)に原料水を接触させることにより、スーパーオキシド消去活性をもつ活性水を得る方法を提案したが(特願2002−181351号)、さらに研究を行った結果、この方法において得られた活性水をESR法により測定する際、先ずラジカル捕捉剤で固定化し、凍結後、ヒポキサンチンを加え、さらにキサンチンオキシダーゼを加えて反応させていたのを、ヒポキサンチンとラジカル捕捉剤との添加順序を逆に変えた場合、著しくスーパーオキシド消去活性が向上すること、換言すれば磁化活性炭処理により、原料水中で生成した抗酸化成分がヒポキサンチンにより安定化され、ラジカル捕捉剤による活性阻害から保護されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。【0013】 すなわち、本発明は、磁化処理された非水溶性第二酸化鉄水和物を担持した活性炭に原料水を接触させて、その中のヒドロキシラジカルを減少させる処理を施したのち、この処理水をヒポキサンチンと反応させる活性水の製造方法を提供するものである。【0014】【発明の実施の形態】本発明の活性水は、ESRスペクトルにおいて水素ラジカル、ヒドロキシラジカル及びカーボンラジカルのピークが存在することから少なくともこれら3種のラジカルを含んでいるものと認められる。【0015】そして、原料水に比べ、水素ラジカル濃度はほとんど変わらないにもかかわらず、ヒドロキシラジカル濃度が著しく減少しており、そのESRスペクトルパターンの対応するピークの高さを比較すると平均して原料水の19.5〜23.0%に低下している。【0016】図1は、水道水と磁化活性炭処理水(処理直後)のESRスペクトルを併記した図であるが、これから分るように水素ラジカル(H)のピークはほとんど同じ高さであるにもかかわらず、ヒドロキシラジカル(OH)のピークは著しく低くなっている。また、カーボンラジカルについてもかなりの低下が認められる。【0017】本発明の活性水は、その磁場の強さ330〜337mTの領域のESRスペクトルパターンに着目した場合、334.8mT付近及び336.2mT付近に生じるヒドロキシラジカル由来の2個のピークの高さの標準サンプルマンガンのピークに対して補正した数値の平均値(OH)と331.8mT付近及び334.0mT付近に生じる水素ラジカル由来の2個のピークの高さの標準サンプルマンガンのピークに対して補正した数値の平均値(H)との比(OH)/(H)が11.0以下になるように調整されていることが必要である。【0018】これまで、活性水については、水素ラジカルの増加が活性酸素消去能力の原因であるとされていたが、本発明の活性水のESRスペクトルパターンにおいては、水素ラジカル由来のピークの高さは原料水のそれに比べてほとんど差がないにもかかわらず、ヒドロキシラジカル由来のピークの高さが原料水のそれに比べ著しく低下しているため、相対的には水素ラジカルが増大しているごとくみえるのであり、短絡的に本発明の活性水において水素ラジカル生成率が増大したために、スーパーオキシド消去活性が向上したとみることはできない。なお、ここでいう水素ラジカル由来のピーク及びヒドロキシラジカル由来のピークの高さの数値はいずれも標準サンプルとして用いたマンガン由来のピークの高さとの対比により補正された数値である。【0019】一般に、ESRスペクトルの各成分に対応する強度の絶対値は、検出装置の種類やマイクロ波出力、磁場掃引幅、掃引時間、磁場変調、磁場の強さなどの測定条件や、トラッピング剤の量などのファクターによって変化するが、331.8mT付近及び335.5mT付近という特定の磁場の強さにおける水素ラジカルに由来するピークの高さの標準サンプルのマンガンに由来するピークの高さに対する相対強度は、上記のファクターに左右されることはなく、常に一定の数値を示す。【0020】本発明の活性水は、例えば磁化処理した非水溶性第二酸化鉄水和物を担持させた活性炭に原料水を接触させるか、あるいは磁化処理した非水溶性第二酸化鉄水和物及び貴金属触媒を担持させた活性炭に原料水を接触させたのち、さらにヒポキサンチンと反応させることによって製造することができる。【0021】この際用いる活性炭は、従来吸着用活性炭として慣用されているものの中で不純分の少ないものが用いられるが、特に植物系の木粉、鋸屑、ヤシ殻、パルプ粉などを原料として用いた安全性の高いもの、すなわち水道法又は食品衛生法で定められる安全性の要件を満たすものを原則としている。【0022】しかしながら、所望ならば石炭、石油残渣、石油コークス、石油ピッチのような鉱物系原料や、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネートのようなプラスチック原料を用いて得られるものも用いることができる。これらの活性炭は必要に応じ塩化亜鉛、リン酸などにより賦活させて用いることもできる。【0023】この活性炭としては、20〜1000Åの孔径をもち、BET法により測定した比表面積が200m2/g以上、好ましくは500〜1500m2/gのものが好ましい。この活性炭は平均粒径0.2〜1.5mmの粒状体として用いられる。【0024】本発明方法においては、このような活性炭に非水溶性第二酸化鉄水和物を磁化処理しながら担持させることが必要である。この際の非水溶性第二酸化鉄水和物は、一般式Fe2O3・xH2O又はFeO(OH)で表わされる組成をもつ化合物である。【0025】この非水溶性第二酸化鉄水和物は、それ単体ではpHが中性領域において、鉄(III)イオンの加水分解→重合→不溶性水和物の過程を経て生じるものである。この鉄(III)イオンは食品衛生法で認められているもの、例えば塩化第二鉄などが好ましい。【0026】このものは活性炭に鉄イオンを吸着させたのち、それを核として水和重合させて同様の各段階を経て固定化される。そして、その過程において外部磁場をかけると、Fe3+は常磁性イオンであるため、電子スピン共鳴(ESR)を起こし、Feを核とした水和重合物が状態変化し、結果として強い活性を有する活性炭触媒が得られる。【0027】このことを利用し、活性炭表面の細孔部分にFe3+イオンを作用させて、表面のフリーラジカルとFe3+を結合させる。その後の過程において、外部磁場を与え、共鳴周波数の電磁場を照射して電子スピン共鳴を起こした状態を維持しながら、活性炭表面に固定されたFe3+を核としながら水和重合させ、通常と異なる、よりフリーラジカルの強い状態を保ったまま、水に不溶のものとする。【0028】換言すれば、通常であれば超微細もしくは微細構造を知るために利用するESRを反対に分子中の不対電子の位置もしくは状態を変化させ、そのラジカル構造をコントロールする目的に転用するのである。【0029】すなわち、ESR測定装置で用いるような、電磁石によって磁場の強さを変化する機能とマイクロ波を照射する機能の両方を有する装置によって、例えば330mT(ミリテスラ)付近の磁場を与え、最大35GHzの中で適当な共鳴周波数のマイクロ波を照射しながら、あらかじめ調製しておいたFe3+溶液と活性炭とを接触させ、活性炭表面とFeの結合及び、その後の水和重合を進行させる。【0030】この場合の諸条件は、活性炭触媒としてのフリーラジカル量、すなわち反応性などの特性に応じて調整する必要があるが、活性炭表面にFeが結合し、その後の水和が完了しなくとも、アコ錯体からH+(プロトン)が解離するデプロトネーションは進行する。そして、pHが中性まで上昇した段階で外部磁場を取り除いても、その影響は持続するので、外部磁場を加えるのは初期段階だけでよい。【0031】したがって、pHが中性領域まで上昇したのちは、外部磁場及びマイクロ波照射を停止し、さらに24時間以上放置してエージングさせる。この際、脱水反応を促進させるため、常圧で40℃以上100℃未満に加熱し、乾燥させて、定着、処理を終了する。【0032】この乾燥及び定着処理には、温度などの諸条件により変わるが、通常24時間以上を要する。また、乾燥終了時であっても、最初の活性炭質量に対し10%以上に相当する水和重合体が生成するため、質量が増加する。さらに、簡易な方法で磁場を測定した場合でも、直流磁場において、通常の活性炭は0.01mT以下を保有するにすぎないが、水和重合体を付加した活性炭触媒は、0.02〜0.05mT又はそれ以上の磁場を保有する。【0033】ところで、以上のようにして得た活性水中のラジカルをESR法により測定する際、通常はこれに先ずラジカル捕捉剤を加えて水素ラジカルを固定したのち凍結し、ヒポキサンチンを加えてスピンアダクトを形成させ、次いでキサンチンオキシダーゼを反応させて各ラジカルを遊離させ、その濃度を掃引してスペクトルを得ることにより行われる。この際に添加されるヒポキサンチンの量は、活性水の質量に基づき、0.001〜0.05質量%、好ましくは0.005〜0.02質量%の範囲で選ばれる。【0034】しかしながら、この際ラジカル捕捉剤とヒポキサンチンとの添加順序を逆にし、先ずヒポキサンチンを加えたのちラジカル捕捉剤を加えると、得られる活性剤のスーパーオキシド消去活性が著しく向上する。【0035】例えば、磁化活性炭処理した水道水に、ラジカル捕捉剤のDMPOを加えたのち、ヒポキサンチンを加えて反応させた場合のスーパーオキシド消去活性に対し、添加順序を変えて先ずヒポキサンチンを加えて反応させたのち、DMPOを加えた場合のスーパーオキシド消去活性は2.66倍になっている。【0036】これに対し、脱イオン水について、ラジカル捕捉剤とヒポキサンチンとの添加順序を変えて添加した場合及び水道水についてラジカル補足剤とヒポキサンチンの添加順序を変えて添加した場合のスーパーオキシド消去活性は、それぞれ1.022及び1.073であってほとんど差がない。【0037】これらの事実から推測すると、水道水を磁化活性炭で処理した場合に生じる抗酸化成分は、ラジカル捕捉剤が存在すると、これと反応して消費され、スーパーオキシド消去活性を失うが、脱イオン水や水道水では、このような抗酸化成分がもともと存在しないため、ラジカル捕捉剤とヒポキサンチンとの添加順序を変えてもスーパーオキシド消去活性に差異を生じないということになる。【0038】したがって、本発明の活性水を得るには、磁化活性炭で処理して得た処理水にヒポキサンチンを反応させ、その中に存在する抗酸化成分とヒポキサンチンとの付加体を形成させることが必要である。この処理により、該処理水は安定化され、ラジカル捕捉剤と接触してもそのスーパーオキシド消去活性は阻害されなくなる。【0039】本発明の活性水についてESR法によりラジカルの濃度を計測する際に用いることができ、かつ前記の付加体形成により阻害が防止されるラジカル捕捉剤としては、DMPOのほか、フェニル‐N‐tert‐ブチルニトロン、3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル‐N‐tert‐ブチルニトロン、ニトロソジュレンなどがある。【0040】なお、本発明の活性水の水素ラジカル濃度については特に制限はないが、通常水素ラジカルが、磁場の強さ331.8mT付近及び335.5mT付近に生じる水素ラジカル由来のピークの強度が標準サンプルとして用いたマンガン由来のピークの強度との相対比を求めたときに前者が0.03以上、特に0.1以上、後者が0.04以上、特に0.2以上の相対比を有するものが用いられる。【0041】このようにして、ヒポキサンチンにより、スーパーオキシド消去活性が安定化された本発明の活性水は、その活性を例えば活性酸素が還元物質と反応する際、微弱な発光現象を伴うことを利用し、その発生量を計測することによって確かめることができる(非特許文献2参照)。この方法は、先ずXYZ系活性酸素消去発光テストし、そのY成分の発光強度を測定することによって行うことができる。なお、この方法におけるXは活性酸素、Yはスカベンジャー(ハイドロジェンドナー)、Zは触媒を意味する。【0042】このように、本発明方法においては、磁化処理が施された非水溶性第二酸化鉄水和物を活性炭に担持させることにより、その電子供給能を向上させた結果、水の解離を促進させ、スーパーオキシド消去活性をもつ抗酸化成分を生成し、これが活性酸素と反応し、消去するものと考えられる。【0043】一般に、活性炭は、本来炭化水素などの脱水素能をもつが、その能力は決して高いものではなく、通常は、酸素その他の水素受容体の共存下でのみ脱水素が進行する。しかしながら、種々の遷移金属を担持させると、脱水素活性が著しく向上する上、相乗効果によりその水素吸着能は吸着された金属のそれよりも数10倍ないし数100倍に増大する。そして、この吸着された水素分子は、金属表面で解離し、原子状態となり、活性炭上に保持される。そして、この活性炭上の水素は、金属を介して、例えば媒質の水中に急速に解離し、活性水を形成する。【0044】他方、一般に活性炭上に貴金属触媒を担持させると、その触媒作用が著しく向上することが知られている。したがって、本発明方法で用いる処理用活性炭にも貴金属触媒を担持させるのが好ましい。この貴金属触媒としては、例えば白金、パラジウム又は銀が用いられる。これらの貴金属触媒の担持量は、活性炭の質量に基づき0.07〜3ppm、好ましくは0.1〜1ppmの範囲で用いられる。【0045】本発明方法による活性水の製造は、磁化処理した非水溶性第二酸化鉄水和物又はこれと貴金属触媒とを担持させた活性炭触媒をカラムに充填し、原料水をSV値10以上、好ましくは20〜30の速度で通すことによって行うのが有利である。この際、該活性炭触媒をカラムに直接充填する代りに、取りはずし可能にカラムに嵌装しうるカートリッジを用い、その中に活性炭触媒を充填する方式をとれば、触媒としての能力が低下したときの交換を容易に行うことができるので有利である。なお、本発明の活性水をICP発光分光分析法で定性分析したところ、原料水道水と特に異なる金属成分は検出されていないことから、金属成分が抗酸化成分を構成すると仮定すると、ICP法の検出限界、すなわちpptオーダーの超微量で活性をもつものと推測される。【0046】【発明の効果】本発明によると、簡単な装置で高活性の活性水が提供され、得られた活性水は従来の活性水と同様に生鮮食料品の保存、殺菌、飲料水、動植物の育成用として広く使用し、より優れた効果を発揮する。また、これを用いれば、活性酸素に起因する環境破壊、各種生物の健康阻害を効果的に防止することができる。【0047】【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。【0048】参考例(活性炭触媒の製造)活性炭(平均粒径1.00mm、比表面積1350m2/g)100gを、1モル濃度の塩化第二鉄水溶液500ml中に浸せきし、これに1モル濃度の炭酸アンモニウム水溶液700mlを滴下したのち、323mTの直流磁場に置き、共鳴周波数のマイクロ波を照射しながら、60℃で30分間加熱する。次いで活性炭をろ別し、100℃において10時間加熱することにより、磁化された非水溶性第二酸化鉄水和物を担持した活性炭触媒(以下磁化活性炭という)121gを得た。【0049】実施例1参考例で得た磁化活性炭300gをガラス製カラム筒(内径60mm、長さ200mm)に充填し、これに水道水(昭島市)をSV値20で通水したのち、中空糸膜で濾過して処理水を調製した。このように活性化処理することにより、抗酸化成分を含む活性水を製造した。次いで、この活性水10mlをサンプル管に採り、これに5.5mMジエチレントリアミンペンタ酢酸水溶液7ml及び2mMヒポキサンチン水溶液10mlを加え、1分間振りまぜて活性水中の抗酸化成分とヒポキサンチンとの付加体を形成させたのち、活性水に基づき25質量%のDMPOを加え、ただちに液体窒素中に浸漬して凍結した。次いで室温で解凍して、キサンチンオキシダーゼ溶液(20単位/リットルのキサンチンオキシダーゼ20mlに0.1Mリン酸緩衝液980mlを加えて調製)50mlを加えて試料を調製した。この試料をセルに充填し、ESR測定装置(日本電子社製、製品名「タイプJES−FA200」)を用い、マイクロ波出力8mW、磁場掃引幅335mT±5mT、掃引時間2分、磁場変調100kHzの条件下で、ESRスペクトルを測定した。【0050】このようにして得たESRスペクトルパターンについて、水素ラジカル(磁場の強さ331.8mT、334.0mT)、ヒドロキシラジカル(磁場の強さ334.8mT、336.2mT)及びカーボンラジカル(磁場の強さ332.9mT、338.2mT)のピークの標準サンプルMnのピークに対する相対値を求め、その平均値を用いて水素ラジカルに対するヒドロキシラジカルの比(OH)/(H)を求めた。これらの数値を表1に示す。【0051】【表1】【0052】なお、この際の未処理水道水及び処理により得られた活性水の金属成分を、ICP発光分析装置[パーキン・エルマー(Perkin Elmer)]社製、商品名「オブチマ(Optima)4300DV」及びICP質量分析装置[アジラン(Agilent)社製、製品番号4500]を用いて定性分析した結果、いずれかにおいて存在が認められたものについてのみ表2に示す。【0053】【表2】【0054】この表中の各記号は以下の意味をもつ。− :0.001μg/ml未満+ :0.001μg/ml以上0.01μg/ml未満++ :0.01μg/ml以上0.1μg/ml未満+++ :0.1μg/ml以上1.0μg/ml未満++++ :1.0μg/ml以上10.0μg/ml未満+++++:10.0μg/ml以上100.0μg/ml未満【0055】この表によると、未処理水道水には存在せずに活性水中に存在する金属成分としてAgが検出されているが、これは通常活性炭中に殺菌効果を付与するために含有させているAgに由来するものと思われる。また、普通の活性炭処理した水道水は、この例の場合のように小さいOH/H比を示さないので、このAgが抗酸化成分の生成に関与しているとは考えにくい。また、原水中の成分で処理水では除去されているものとしては、例えば中空糸膜で除去されたコロイド状物が考えられる。【0056】実施例2参考例で得た磁化活性炭触媒300gをカラム筒(内径60mm、長さ200mm)に充填し、これに水道水をSV値20で通水し、活性化処理したのち、中空糸膜で濾過し、活性水を製造した。この際の換算通水量を4リットル、2000リットル及び30000リットルとしたときのスーパーオキシド消去活性を、磁場の強さ333.5mTのピークにより測定した。表中のピーク/MKRは、標準サンプルMnのピークに対する相対比である。その結果を表3及び図2に示す。なお、表には比較のために未処理水道水についてのデータも併記した。なお、図2において、Aは未処理水道水、Bは脱イオン水、Cは活性水を示す。【0057】【表3】【0058】実施例3実施例1で得た活性水、水道水及び脱イオン水について、ESR測定の際のDMPOとヒポキサンチンとの添加順序を変えて測定し、磁場の強さ333.5mTにおけるそれぞれのピーク/MKRを求めた。その結果を表4に示す。表中のHPXはヒポキサンチンである。【0059】【表4】【0060】この表から分るように、脱イオン水、水道水の場合には添加順序を変えてもスーパーオキシド消去活性にほとんど差はないが、活性水の場合は順序をHPX−DMPOとすることにより、スーパーオキシド消去活性が著しく向上する。【0061】応用例1実施例1で得た活性水の日本茶(市販ティーパック)についてのスーパーオキシド消去活性を示すY成分発光強度を測定した。測定装置としては、「AQUACOSMOS/VIMマイクロシステム」(浜松ホトニクス社製)を用い、X試薬としては2質量%過酸化水素水、Z試薬としては10質量%アセトアルデヒド水溶液中の炭酸水素カリウム飽和溶液を用いた。試料としては、ビーカー中に、70℃又は15℃の温度の活性水(pH7.2)50mlをとり、ティーパックを浸して90秒間静置後、5回上下させて抽出した液を用いた。その結果を表5に示す。なお、比較のために、温度70℃の水道水(pH7.2)についての測定結果を併記する。【0062】【表5】【0063】応用例2コーヒードリップに市販コーヒー粉末5gを入れ、温度70℃の実施例1で得た活性水を注ぎ、約1分間静置して得た試料を用い、応用例1と同様にしてY成分発光強度を測定した。その結果を表6に示す。なお、比較のために温度70℃の水道水(pH7.2)についての測定結果を併記する。【0064】【表6】【0065】以上の結果より、本発明の活性水は、水道水に比べ、比較的高いスーパーオキシド消去活性を有することが分る。【0066】応用例3活性水を用いてレタスの褐変防止試験を行った。このレタスの褐色反応は、その中に含まれる無色のカテコールなどのポリフェノール類が空気中の酸素などにより酸化されて褐色物質を生成すると考えられる。活性水としては、参考例で得た活性炭触媒をガラス製カラム(直径100mm、長さ300mm)に充填し、井戸水(pH7.5)を、SV値20で通水したのち、ヒポキサンチンを添加したものを用いた。このようにして得た活性水(18℃)を、カット野菜洗浄機(200リットル洗浄槽4個直列型)に10リットル/分の給水量で各槽ごとの洗浄時間が2分になるように供給して洗浄したのち、500rpmの遠心分離で1分間脱水し、次いで酸素遮断性ナイロンシートで窒素封入し、又は封入せずに包装後、8℃で冷蔵保存した。このようにして1〜6日間保存したものについて、目視で褐変の有無について観察した結果を表7に示す。なお、比較のために、未処理の井戸水を用いた場合の結果も併記する。【0067】【表7】【0068】なお、表中の評価記号は以下の意味をもつ。○:異常なし△:一部が褐変×:全体が褐変【0069】この表から分るように、井戸水で洗浄したものは3日目に既に褐変が認められるが、活性水で洗浄し、窒素の封入なしに保存したものは6日経過後においても全く褐変しなかった。【図面の簡単な説明】【図1】 水道水とそれを磁化活性炭で処理して得た活性水のESRスペクトルパターン。【図2】 未処理水道水、脱イオン水及び活性水についての積算通水量に対するピーク/MKRを示すグラフ。 磁化処理された非水溶性第二酸化鉄水和物を担持した活性炭に原料水を接触させて、その中のヒドロキシラジカルを減少させる処理を施したのち、この処理水をヒポキサンチンと反応させることを特徴とする活性水の製造方法。 磁化処理された非水溶性第二酸化鉄水和物を担持した活性炭が、貴金属触媒を含む請求項1記載の活性水の製造方法。 活性炭が比表面積200m2/g以上を有する請求項1又は2記載の活性水の製造方法。 貴金属触媒が、白金、パラジウム又は銀である請求項3記載の活性水の製造方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る