タイトル: | 特許公報(B2)_(メタ)アクリロイル基を有する化合物及びその製造方法 |
出願番号: | 2002316558 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 67/29,C07C 69/54,C08F 8/02,C08G 59/14,C08G 63/91,C08G 65/332,C08G 85/00 |
深田 亮彦 万木 啓嗣 淡路 敏夫 JP 4311927 特許公報(B2) 20090522 2002316558 20021030 (メタ)アクリロイル基を有する化合物及びその製造方法 株式会社日本触媒 000004628 特許業務法人 安富国際特許事務所 110000914 深田 亮彦 万木 啓嗣 淡路 敏夫 JP 2001336860 20011101 20090812 C07C 67/29 20060101AFI20090723BHJP C07C 69/54 20060101ALI20090723BHJP C08F 8/02 20060101ALI20090723BHJP C08G 59/14 20060101ALI20090723BHJP C08G 63/91 20060101ALI20090723BHJP C08G 65/332 20060101ALI20090723BHJP C08G 85/00 20060101ALI20090723BHJP JPC07C67/29C07C69/54 AC07C69/54 ZC08F8/02C08G59/14C08G63/91C08G65/332C08G85/00 C07C 67/29 C07C 69/54 C08F 8/02 C08G 59/14 C08G 63/91 C08G 65/332 C08G 85/00 CA/REGISTRY(STN) 国際公開第02/046291(WO,A1) 欧州特許出願公開第00997508(EP,A1) 特開2001−220369(JP,A) 特開2000−154223(JP,A) 特開2003−137945(JP,A) 特開2003−048929(JP,A) 特開2003−012730(JP,A) 特開2002−155114(JP,A) 特開平06−016731(JP,A) 特開平10−182555(JP,A) 特開平10−147614(JP,A) 特開平04−218561(JP,A) 特開2000−336234(JP,A) 特開平05−140271(JP,A) VYSOTSKAYA,O.V. et al.,Russian Journal of Organic Chemistry,2002年 8月,Vol.38, No.8,p.1082-1087 社団法人日本化学会,第4版実験化学講座20 有機合成II −アルコール・アミン−,丸善株式会社,1992年,第253−255頁 6 2003201267 20030718 26 20050506 松澤 優子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物及びその製造方法に関する。【0002】【従来の技術】(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、ラジカル重合性を有することから工業的に各種の用途において有用なものであり、その中でも、(メタ)アクリロイル基が2個以上導入された重合体は、硬化における架橋性が高くなることから、ガラス転移点(Tg)が高く、耐熱性等の物性に優れた硬化物を形成することができる。このような(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物は、多官能架橋剤として、あるいは架橋性オリゴマーや架橋性重合体として、住設分野、土木・建築分野、電気・電子・情報分野、輸送分野等における複合材料マトリックス、注型材料、インキ、コーティング剤、塗料、接着剤、電子部品関係の各種レジスト材料、印刷版等の各種用途に用いられ、これらの用途に応じた様々の性能が要求されることになる。【0003】(メタ)アクリロイル基を有する化合物の製造方法としては、様々な方法が知られており、例えば、(1)アルコール性水酸基と(メタ)アクリル酸を脱水により導入する方法、(2)アルコール性水酸基と(メタ)アクリル酸クロライドを脱塩酸により導入する方法、(3)アルコール性水酸基に(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物を反応させる方法、(4)フェノール性水酸基、カルボキシル基、チオール基にグリシジル(メタ)アクリレートを開環付加させる方法等がある。【0004】しかしながら、従来の方法では、反応条件が厳しく、製造中に(メタ)アクリロイル基が重合により、一部消失したり、生成物が着色するといった問題があった。また、用いる原料の、毒性上の問題もあった。したがって、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を各種の用途に好適に適用できるように工夫する余地があるとともに、そのような化合物を穏やかな条件で、簡便に効率よく製造する方法を工夫する余地があった。【0005】ところで、熱硬化性組成物に関し、その構成要素として、ビニルオキシアルキル(メタ)アクリレートとアルコール類やオルソ酸エステルとの付加物の単独重合体又は共重合体のアセタール基やケタール基含有化合物を用いてもよいことが開示されている(特許文献1参照。)。このようなアセタール基やケタール基含有化合物においては、それを形成する中間体として付加物が用いられているが、このような付加物を用いて各種の塗料、接着剤、レジスト、印刷インキ等に利用することは開示されていない。また、付加物を形成する際に用いるアルコール類やオルソ酸エステルにおける官能基の数や付加物における(メタ)アクリロイル基の数を設定することについても開示されていない。【0006】【特許文献1】特許第3021755号明細書(第1−2、6−7頁)【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、各種の用途に好適に適用することができる(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び、そのような化合物を簡便にかつ穏やかな条件で製造する方法を提供することを目的とするものである。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者等は、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物と、該ビニルエーテル基と付加反応し得る官能基、なかでも水酸基、カルボキシル基及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を2個以上有する化合物を反応させると、穏やかな条件で、生成物が着色や(メタ)アクリロイル基の部分的重合も伴うことなく、(メタ)アクリロイル基を有する低分子化合物、オリゴマー、重合体を簡便に製造できること、更には、このようにして得られた(メタ)アクリロイル基を有する低分子化合物、オリゴマー、重合体が、医農薬原料や合成中間体として、あるいは、重合性材料として住設分野、土木・建築分野、電気・電子・情報分野、輸送分野等における複合材料マトリックス、注型材料、インキ、コーティング剤、塗料、接着剤等の各種用途において、硬化物物性に優れた有用な化合物であることを見出し、本発明に至った。【0009】すなわち本発明は、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物を上記ビニルエーテル基と付加反応しうる官能基を2個以上有する化合物と反応させる(メタ)アクリロイル基を有する化合物の製造方法である。以下に、本発明を詳述する。【0010】本発明の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の製造方法は、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物を上記ビニルエーテル基と付加反応しうる官能基を2個以上有する化合物と反応させる。本発明において製造される(メタ)アクリロイル基を有する化合物の好ましい形態としては、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する形態である。本発明において、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物と、上記ビニルエーテル基と付加反応しうる官能基を2個以上有する化合物(以下、単に官能基を2個以上有する化合物ともいう)とは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。【0011】上記(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物としては、例えば、下記一般式(3);【0012】【化3】【0013】(式中、R7は、水素原子又はメチル基を表す。R8は、有機残基を表す。R9は、水素原子又は有機残基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸エステル類等が好適である。【0014】上記R8で表される有機残基としては、炭素数2〜18の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、炭素数2〜20のアルコキシアルキレン基、炭素数2〜8のハロゲン化(例えば塩素化、臭素化又はフッ素化)アルキレン基、末端水酸基を除くポリエチレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリプロピレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリブチレングリコール骨格、アリール基等が好適である。これらの中でも、重合度が2〜1万のポリエチレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜1万のポリプロピレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜1万のポリブチレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、炭素数2〜4のアルキレン基が好適に用いられる。更に好ましくは、重合度が2〜100のポリエチレグリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜100のポリプロピレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜100のポリブチレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、炭素数2のアルキレン基(−CH2CH2−)、炭素数3のアルキレン基(−CH2CH2CH2−)、炭素数4のアルキレン基(−CH2CH2CH2CH2−)である。最も好ましくは、重合度が2〜15のポリエチレグリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜15のポリプロピレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜15のポリブチレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、炭素数2のアルキレン基(−CH2CH2−)、炭素数3のアルキレン基(−CH2CH2CH2−)、炭素数4のアルキレン基(−CH2CH2CH2CH2−)である。【0015】上記R9で表される有機残基としては特に限定されず、例えば、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜2のアルキル基、炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。【0016】上記一般式(3)で表される化合物として、具体的には、以下に記載するもの等が挙げられる。(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル。【0017】(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコールモノビニルエーテル。【0018】上記ビニルエーテル基と付加反応しうる官能基を2個以上有する化合物としては、低分子化合物やオリゴマー、重合体のいずれの形態であってもよい。上記ビニルエーテル基と付加反応しうる官能基としては特に限定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、チオール基が好適である。すなわち官能基を2個以上有する化合物としては、水酸基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を有する化合物を用いることが好ましい。このように、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物と、水酸基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を有する化合物とを反応させることにより、穏やかな条件で(メタ)アクリロイル基を導入することができることから、生成物が着色することなく、また、簡便にかつ穏やかな条件で(メタ)アクリロイル基を有する化合物を製造することができる。【0019】上記水酸基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を有する化合物としては、例えば、以下の(1)〜(6)に記載するもの等が好適である。(1)水酸基含有化合物:エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、キシリレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、フェノキシ樹脂、水酸基含有ポリマー、エポキシ樹脂等の多価のアルコール;ビスフェノール、ハイドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、フェノール樹脂等のフェノール類及びフェノール類の重縮合物;p−ヒドロキシフェネチルアルコール;ポバールのけん化物;セルロース;グルコース、フルクトース、マンニット、デンプン糖、ソルビトール、デキストラン等の糖類。(2)カルボキシル基含有化合物:蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、イタコン酸、ダイマー酸、アコニット酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、エポキシ樹脂と二塩基酸の反応物、エポキシアクリレートと二塩基酸の反応物、カルボキシル基含有ポリマー。【0020】(3)チオール基含有化合物:2,3−ブタンジチオール、ジペンテンジチオール、エチルシクロヘキシルジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、トリメチロールプロパントリス−(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(チオグリコレート)、1,4−ブタンジオールジ(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(β−チオプロピオネート)。(4)水酸基とカルボキシル基含有化合物:ヒドロキシ酢酸、乳酸、グリセリン酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ酸類、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、カルボキシル基と水酸基とを含有するポリマー。【0021】(5)水酸基とチオール基含有化合物:メルカプトエタノール(6)カルボキシル基とチオール基含有化合物:メルカプトプロピオン酸これらの中でも、エポキシアクリレート、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、水酸基含有ポリマーであることが好ましい。【0022】上記エポキシアクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を有するエポキシアクリレートであれば特に限定されず、例えば、ビスフェノール型やノボラック型等のエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させて得ることができる。上記エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを開環付加反応させて得られる。上記不飽和一塩基酸としては、例えば、後述する不飽和一塩基酸が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。更に、必要に応じて、飽和一塩基酸及び/又は多塩基酸を、不飽和一塩基酸と併用することもできる。【0023】エポキシアクリレートの原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されず、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂であればいずれも用いることができ、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等の多官能性グリシジルアミン樹脂;テトラフェニルグリシジルエーテルエタン等の多官能性グリシジルエーテル樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物と、フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族アルデヒドとの縮合反応により得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応により得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酸でエポキシ化したもの;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;等が挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂の2分子以上を、多塩基酸、ポリフェノール化合物、多官能アミノ化合物、多価チオール等の鎖延長剤との反応によって結合して鎖延長したものも使用できる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。【0024】また、エポキシアクリレートに含有されるアルコール性水酸基を部分的に多価イソシアネート化合物や、多価ビニルエーテル、四塩基酸二無水物等と反応させ、高分子量化したエポキシアクリレート、あるいは、エポキシアクリレートに含有されるアルコール性水酸基に部分的に酸無水物を付加させ、生成したカルボキシル基を、多官能エポキシ化合物や多官能オキサゾリン化合物等と反応させ、高分子量化したエポキシアクリレート等も用いることができる。【0025】上記エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを開環付加反応させてエポキシアクリレートを製造する際の反応温度や反応時間等の反応条件としては特に限定されず、例えば、公知の反応条件を採用することができる。すなわち、エポキシアクリレートの製造方法は、特に限定されるものではない。【0026】上記不飽和ポリエステルとしては、エステル結合と不飽和二重結合とを有する重合体であれば特に限定されず、例えば、不飽和ジカルボン酸と、多価アルコールとを縮合させて得ることができる。【0027】上記不飽和ポリエステルは、不飽和多塩基酸を主成分とする酸成分と、多価アルコール及び/又はエポキシ化合物を主成分とする多価アルコール成分とを縮重合させて得られる、不飽和結合を有する重合体である。【0028】上記酸成分は、必要に応じて、脂肪族飽和多塩基酸や芳香族飽和多塩基酸等の飽和多塩基酸を更に含んでいてもよく、又は、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、これらカルボン酸の誘導体等の不飽和一塩基酸(不飽和モノカルボン酸)や、飽和一塩基酸(飽和モノカルボン酸)等の一塩基酸を更に含んでいてもよい。上記多価アルコール成分は、必要に応じて、ヒドロキシジシクロペンタジエン、ベンジルアルコール、アリルアルコール等の一価アルコールを更に含んでいてもよい。一塩基酸及び一価アルコールとしては、特に限定されるものではない。更には、不飽和ポリエステルの末端カルボキシル基にグリシジル(メタ)アクリレートを開環付加させて得られる(メタ)アクリレート変性不飽和ポリエステル等も用いることができる。【0029】上記酸成分として用いられる不飽和多塩基酸としては、同一分子内に、ビニル単量体と重合可能な二重結合を少なくとも1つ有すると共に、多価アルコール成分として用いられる多価アルコール及び/又はエポキシ化合物が有する官能基(つまり、ヒドロキシル基及び/又はエポキシ基)と反応してエステル結合を形成することが可能な置換基(例えば、カルボキシル基)を複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。【0030】上記不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸等のα,β−不飽和多塩基酸;ジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和多塩基酸等が挙げられる。また、不飽和多塩基酸の代わりに、不飽和多塩基酸の誘導体を用いることもできる。該誘導体としては、例えば、上記不飽和多塩基酸の無水物;上記不飽和多塩基酸のハロゲン化物;上記不飽和多塩基酸のアルキルエステル等が挙げられる。これら不飽和多塩基酸や誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。【0031】上記酸成分として必要に応じて用いられる飽和多塩基酸としては特に限定されず、例えば、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族飽和多塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族飽和多塩基酸;ヘット酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族飽和多塩基酸等が挙げられる。また、飽和多塩基酸の代わりに、飽和多塩基酸の誘導体を用いることもできる。上記誘導体としては、例えば、上記飽和多塩基酸の無水物;上記飽和多塩基酸のハロゲン化物;上記飽和多塩基酸のアルキルエステル等が挙げられる。これら飽和多塩基酸や誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。【0032】上記多価アルコール成分として用いられる多価アルコールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、4,5−ノナンジオール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。【0033】上記多価アルコール成分として用いられるエポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。【0034】上記多価アルコール成分として多価アルコールとエポキシ化合物とを併用する場合における両者の割合は、多価アルコールの種類やエポキシ化合物の種類等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。また、多価アルコール成分における上記一価アルコールの割合は、50質量%未満であることが好ましい。【0035】上記酸成分と多価アルコール成分とを縮重合させて不飽和ポリエステルを製造する際の反応温度や反応時間等の反応条件は、特に限定されるものではなく、例えば、公知の反応条件を採用することができる。すなわち不飽和ポリエステルの製造方法は、特に限定されるものではない。【0036】上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物とホルムアルデヒドの共縮合体;o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの共縮合体;フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応により得られるポリフェノール;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物とキシリレングリコールの共縮合体;フェノールビフェニールアラルキル、フェノールジフェニルエーテルアラルキル、ナフトールビフェニールアラルキル、ナフトールジフェニルエーテルアラルキル等があり、これらを1種又は2種以上用いることができる。【0037】上記エポキシ樹脂としては、上記したエポキシアクリレートの原料として用いられるもののうち、水酸基を有するものであればよく、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂やクレゾールノボラックエポキシ樹脂等の2官能以上のエポキシ樹脂を多塩基酸、ポリフェノール化合物、多官能アミノ化合物、多官能チオール化合物等の鎖延長剤との反応により鎖延長したものが好適であり、1種又は2種以上用いることができる。【0038】上記フェノキシ樹脂としては、下記一般式(4);【0039】【化4】【0040】(式中、R10、R11、R12及びR13は、各々個別に水素原子、ハロゲン又はC1〜5のアルキル基を表す。)で表されるフェノキシ構造を有し、分子内にアルコール性水酸基を有する重合体であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールAやテトラブロムビスフェノールAとビスフェノールA型エポキシ樹脂やテトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂とを反応させて得ることができる。【0041】上記水酸基含有ポリマーとしては、単量体成分を重合して形成される水酸基を有する重合体であれば特に限定されるものではない。水酸基を導入する方法としては特に限定されないが、例えば(1)水酸基を含有する単量体を共重合する方法、(2)カルボキシル基を含有する単量体を共重合したあと、そのカルボキシル基にグリシジル基を含有する化合物を付加反応して水酸基を生成させる方法、(3)グリシジル基を含有する単量体を共重合したあと、そのグリシジル基にカルボキシル基を含有する化合物を付加反応して水酸基を生成させる方法、(4)水酸基を含有する重合開始剤又は連鎖移動剤を使用する方法等が好適である。これらの方法は単独で用いてもよいし、2つ以上の方法を組み合わせることも可能である。上記単量体成分としては特に限定されないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジルのような(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、p−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、α−メチルスチレンのようなスチレン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルのようなビニルエステルモノマー類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムのようなN−ビニル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルのようなビニルエーテル類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びそれらのエステル類等を用いることができる。【0042】上記官能基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物との反応モル比としては特に限定されず、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の用途や所望する物性等により適宜設定すればよいが、例えば、官能基を2個以上有する化合物における官能基1モルに対して(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物がビニルエーテル基が0.02〜50モルとなるようにすることが好ましい。より好ましくは、ビニルエーテル基が0.04〜10モルである。更に好ましくは、ビニルエーテル基が0.1〜2モルである。【0043】上記製造方法における反応方法としては特に限定されず、例えば、官能基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物とを反応させる際の添加方法としては、反応初期に一括して仕込んでもよく、どちらか又は両方を連続又は断続的に反応系中に添加してもよい。また、上記反応は、触媒の存在下に行われることが好ましい。本発明で用いることができる触媒としては、酸が好適である。酸としては特に限定されず、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、ピルビン酸、グリコール酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、マロン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;安息香酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩、p−トルエンスルホン酸キノリニウム塩等の芳香族スルホン酸又はその塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ニッケル、硫酸銅、硫酸ジルコニウム等の硫酸塩;硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等の硫酸水素塩;硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸;リンバナジドモリブデン酸、リンタングストモリブデン酸、ケイタングストモリブデン酸等のヘテロポリ酸;酸性ゼオライト;ベースレジンがフェノール系樹脂又はスチレン系樹脂であり、ゲル型、ポーラス型又はマクロポーラス型のいずれかの形態を示し、かつ、スルホン酸基及びアルキルスルホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも一種のイオン交換基を有する酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シュウ酸、マレイン酸、硫酸水素カリウム、塩酸が好ましい。他の酸触媒の場合、付加反応の触媒として作用するほか、ビニルエーテルのカチオン重合開始剤として作用することがある。したがって温度コントロールを厳密に行う必要があるが、塩酸の場合、カチオン重合開始剤としては作用せず、付加反応にのみ選択的に効くため、温度コントロール幅が広く、製造面で非常に有利である。【0044】上記触媒の使用量としては、反応に用いる官能基を2個以上有する化合物や(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物の種類や組み合わせ等により適宜設定すればよいが、収率、触媒の安定性、生産性及び経済性の点から、例えば、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物100質量部に対して触媒としての有効成分で0.0005〜1質量部とすることが好ましい。より好ましくは、触媒としての有効成分で0.001〜0.5質量部である。【0045】本発明の製造方法においてはまた、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物や生成物である(メタ)アクリロイル基を有する化合物が重合性化合物であることから、重合禁止剤の存在下で反応を行うことが好ましく、重合を抑制し、収率を向上することができることになる。【0046】上記重合禁止剤としては、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合禁止剤;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合禁止剤;アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系重合禁止剤;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル類;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、キノン系やN−オキシル類の重合禁止剤が好ましく、ベンゾキノン、フェノチアジンや4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等が好適に用いられる。【0047】上記重合禁止剤の添加量としては、官能基を有する化合物や(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物の種類等に応じて適宜設定すればよいが、重合抑制効果、収率、生産性及び経済性の点から、例えば、該(メタ)アクリル酸エステル類100質量部に対して0.0001〜5質量部とすることが好ましい。より好ましくは、0.0005〜1質量部であり、特に好ましくは0.001〜0.1質量部である。【0048】本発明の製造方法では特に溶剤を使用する必要はないが、有機溶剤1種又は2種以上を使用することもできる。有機溶剤としては特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類:クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル。【0049】エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル。【0050】上記有機溶剤の使用量としては、官能基を2個以上有する化合物及び(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物の種類や組み合わせ等により適宜設定すればよいが、収率、生産性及び経済性の点から、これらの合計重量100質量部に対して0〜200質量部とすることが好ましい。より好ましくは、0〜100質量部であり、特に好ましくは、0〜70質量部である。【0051】本発明の製造方法における反応条件としては、例えば、反応温度は、収率、生産性及び経済性の点から−40〜150℃とすることが好ましい。より好ましくは、−30〜100℃であり、特に好ましくは、−20〜70℃である。反応時間は、上記反応が完結するように、官能基を2個以上有する化合物や(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物、触媒や用いる有機溶剤の種類や組み合わせ、使用量等に応じて適宜設定すればよい。反応圧力は、官能基を2個以上有する化合物や(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物の種類、反応温度等により適宜設定すればよいが、反応系が液体状態に保たれる圧力であれば特に限定されず、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであってもよい。【0052】本発明はまた、水酸基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を2個以上有する化合物(A)及び(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物(B)を、(A)の有する上記官能基と(B)の有するビニルエーテル基とを付加反応することによって得られる(メタ)アクリロイル基を有する化合物でもある。本発明において製造される(メタ)アクリロイル基を有する化合物の好ましい形態としては、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する形態である。【0053】本発明において、水酸基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を2個以上有する化合物(A)及び(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物(B)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの化合物のいずれか又は両方を2種以上用いる場合、生成する(メタ)アクリロイル基を有する化合物も2種以上となる。本発明の化合物はまた、低分子化合物やオリゴマー、重合体のいずれの形態であってもよい。【0054】上記水酸基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を2個以上有する化合物(A)としては、エポキシアクリレート、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、水酸基含有ポリマーであることが好ましい。このような化合物としては、上述したものと同様のものが挙げられる。【0055】本発明の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の製造方法としては、上述した製造方法が好適に適用され、このような製造方法により本発明の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を製造することは、本発明の好ましい実施形態の1つである。具体的には、水酸基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を合わせて2個以上有する化合物に、上記一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステル類を反応させてなる方法等が好適である。【0056】本発明は更に、下記一般式(1);【0057】【化5】【0058】(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、有機残基を表す。R3は、水素原子又は有機残基を表す。Xは酸素又はイオウ原子を表す。)で表される(メタ)アクリロイル基を有する基及び/又は下記一般式(2);【0059】【化6】【0060】(式中、R4は、水素原子又はメチル基を表す。R5は、有機残基を表す。R6は、水素原子又は有機残基を表す。)で表される(メタ)アクリロイル基を有する基を1分子中に2個以上有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物でもある。【0061】本発明の(メタ)アクリロイル基を有する化合物において、一般式(1)及び/又は(2)で表される官能基の、(メタ)アクリロイル基を有する化合物1分子中の数としては2以上であれば特に限定されるものではない。また、このような官能基を分子内に複数有する場合、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。本発明の化合物はまた、低分子化合物やオリゴマー、重合体のいずれの形態であってもよい。【0062】なお、上記一般式(1)及び/又は(2)が結合している分子骨格の構造は、特に限定されず、化合物の用途等により適宜設定すればよいが、例えば、エポキシアクリレート、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂又は水酸基含有ポリマーの構造を有するものであることが好ましい。【0063】上記一般式(1)及び/又は(2)で表される(メタ)アクリロイル基を有する化合物の製造方法としては、例えば、上述した製造方法が好適に適用され、このような製造方法により(メタ)アクリロイル基を有する化合物を製造することは、本発明の好ましい実施形態の1つである。具体的には、水酸基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を合わせて2個以上有する化合物に、上記一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステル類を反応させてなる方法等が好適である。【0064】本発明の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、重合性が高く、また、容易に多官能化でき、架橋性も高く、更に、化合物中の極性基を封鎖、あるいは低減できるため誘電率の低減や粘度低下を発現させることも可能となり、単独で、あるいは他の架橋剤や添加剤や強化材とからなる組成物として、熱硬化や光硬化により、ガラス点移転(Tg)が高く、耐熱性等の物性に優れた硬化物を形成することができ、住設分野、土木・建築分野、電気・電子・情報分野、輸送分野等における複合材料マトリックス、注型材料、インキ、コーティング剤、塗料、接着剤等の各種用途において、好適に適用することができる。また、本発明の製造方法により、このような(メタ)アクリロイル基を有する化合物を簡便かつ穏やかな条件で製造することができる。【0065】上記架橋剤としては特に限定されず、例えば、反応性希釈剤等が好適である。反応性希釈剤としては、例えば、ラジカル重合性モノマーが挙げられ、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニルモノマー;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メチル(メタ)アクリレート、(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレー卜等の(メタ)アクリル系モノマー;トリアリルシアヌレート等が使用可能である。これらは、用途に応じ適宜1種又は2種以上選択して使用することができる。【0066】上記添加剤や強化材としては、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、増粘剤、熱(又は光)重合開始剤、重合禁止剤、希釈溶剤、増感剤、着色剤、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、湿潤剤、分散安定剤、揺変化剤、タルク、クレー、硫酸バリウム等の無機充填材、導電性付与剤、乾燥防止剤、浸透剤、pH調整剤、金属封鎖剤、防菌防かび剤、その他の公知の添加剤等が好適である。また、目的とする用途によっては、特性を低下させない範囲で、不飽和ポリエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート等のエポキシ樹脂、オキサゾリン化合物、オキセタン化合物、及び、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物等のエポキシ硬化剤等を添加してもよい。更に、各種強化繊維を補強用繊維として用い、繊維強化複合材料とすることができる。【0067】本発明の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有してなる組成物を熱や光により硬化させる場合、(熱又は光)重合開始剤が用いられる。上記熱重合開始剤としては、公知のものを使用でき、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエー卜、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物等が挙げられる。また、熱重合時には硬化促進剤を混合して使用してもよく、硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等あるいは3級アミンが代表例として挙げられる。熱重合開始剤は、上記組成物100質量部に対し、0.05〜5質量部の使用が好ましい。【0068】上記光重合開始剤としては、公知のものを使用でき、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;アシルフォスフィンオキサイド類及びキサントン類等が好適である。光重合開始剤は1種又は2種以上の混合物として使用され、上記組成物100質量部に対し、0.1〜25質量部の使用が好ましい。【0069】本発明の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有してなる組成物としては、例えば、基材に塗布し、光照射して硬化塗膜を得る場合には、塗布性、印刷性、作業性等の点から、前述のような有機溶剤を組成物中に配合してもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機溶剤の使用量としては、塗布作業時に最適粘度となるよう適当量使用することができるが、組成物100質量部に対し、1000質量部以下、好ましくは500質量部以下が好ましい。【0070】【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、「質量部」を意味するものとする。【0071】実施例1攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた1リットルのフラスコに、ビスフェノールA114.2g(水酸基=1mol)、p−トルエンスルホン酸0.017g(0.1mmol)と、溶媒としての2−ブタノン300gを入れて攪拌し、氷浴で10℃に冷却した。続いてアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(以下、「VEEA」と呼ぶ)186.2g(1mol)を1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なアクリロイル基含有化合物であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図11に、IRスペクトルを図1にそれぞれ示す。【0072】実施例2攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた1リットルのフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製、YD−127)183.5gとトリエチルベンジルアンモニウムクロリド0.734gを入れ、アクリル酸72gを2時間かけて滴下しながら115℃で5時間かけて反応を行った。得られたエポキシアクリレート255.5g(水酸基=1mol)に対して、塩酸0.729gと、溶媒としての2−ブタノン441.7gを入れて攪拌し、氷浴で10℃に冷却した。続いてVEEA186.2g(1mol)を1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なアクリロイル基含有化合物であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図12に、IRスペクトルを図2にそれぞれ示す。【0073】実施例3攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた0.5リットルのフラスコに、メタクリル酸メチル90g(0.9mol)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル13g(0.1mol)と2−ブタノン240gを入れ、十分窒素置換した後、70℃に昇温した。次に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.03gを2−ブタノンに溶解して1時間かけて系内に投入し、70℃で5時間かけて重合を行った。得られたメタクリル系重合体103gに塩酸0.073gを入れ、氷浴で10℃に冷却した。続いてメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(以下、「VEEM」と呼ぶ)20.02g(0.1mol)を1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なアクリロイル基含有化合物であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図13に、IRスペクトルを図3にそれぞれ示す。【0074】実施例4攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた0.5リットルのフラスコに、無水マレイン酸53.9g(0.55mol)、無水フタル酸66.7g(0.45mol)、エチレングリコール18.6g(0.30mol)とプロピレングリコール57.1g(0.75mol)を入れ、十分窒素置換して210℃で6時間かけて縮合を行って酸価30の不飽和ポリエステルを得た。得られた不飽和ポリエステル100gに塩酸0.078gと2−ブタノン120gを入れ、氷浴で10℃に冷却した。続いてVEEA19.9gを1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なアクリロイル基含有化合物であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図14に、IRスペクトルを図4にそれぞれ示す。【0075】実施例5攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた1リットルのフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製、YD−127)256.9g、ビスフェノールA177.3gとトリエチルベンジルアンモニウムクロリド0.217gを入れ、120℃で5時間かけて反応を行った。得られたフェノキシ樹脂434.2gに対して、塩酸1.134gと、溶媒としての2−ブタノン310.2gを入れて攪拌し、氷浴で10℃に冷却した。続いてVEEA289.6gを1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なアクリロイル基含有化合物であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図15に、IRスペクトルを図5にそれぞれ示す。【0076】実施例6攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた0.5リットルのフラスコに、メタクリル酸メチル90g(0.9mol)、メタクリル酸8.6g(0.1mol)と2−ブタノン230gを入れ、十分窒素置換した後、70℃に昇温した。次に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.986gを2−ブタノンに溶解して1時間かけて系内に投入し、70℃で5時間かけて重合を行った。得られたメタクリル系重合体98.6gに塩酸0.0017gを入れ、氷浴で10℃に冷却した。続いてVEEM20.02g(0.1mol)を1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なアクリロイル基含有化合物であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図16に、IRスペクトルを図6にそれぞれ示す。【0077】実施例7攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた1リットルのフラスコに、フマル酸116.1g(1mol)、p−トルエンスルホン酸0.0344gと2−ブタノン488.5gを入れ、氷浴で10℃に冷却した。続いてVEEA372.4g(2mol)を1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なアクリロイル基含有化合物であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図17に、IRスペクトルを図7にそれぞれ示す。【0078】実施例8攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた1リットルのフラスコに、テトラエチレングリコール194g(1mol)と塩酸1.46gとを入れ、氷浴で10℃に冷却した。続いてVEEA372.4g(2mol)を1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なアクリロイル基含有化合物であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図18に、IRスペクトルを図8にそれぞれ示す。【0079】実施例9攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた1リットルのフラスコに、数平均分子量が400のポリエチレングリコール400g(水酸基=2mol)、アクリル酸2−ビニロキシエチル284g(ビニルエーテル=2mol)を入れて攪拌し、氷浴で10℃に冷却した。続いて塩酸0.39g(塩化水素0.14g)を5回に分けて投入し、室温に戻して更に2時間、70℃で1時間反応させた。次に該反応物にイオン交換樹脂(オルガノ社製、IRA 96SBAG)11.9gを添加して塩酸を除去し、最後にイオン交換樹脂をろ過して反応物を得た。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なアクリロイル基含有化合物であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図19に、IRスペクトルを図9にそれぞれ示す。【0080】参考例攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた1リットルのフラスコに、数平均分子量が400のポリエチレングリコール400g(水酸基=2mol)、メタクリル酸2−ビニロキシエチル312g(ビニルエーテル=2mol)を入れて攪拌し、氷浴で10℃に冷却した。続いて塩酸0.41g(塩化水素0.14g)を5回に分けて投入し、室温に戻して更に2時間、70℃で1時間反応させた。次に該反応物にイオン交換樹脂(オルガノ社製、lRA 96SB AG)12.3gを添加して塩酸を除去し、最後にイオン交換樹脂をろ過して反応物を得た。以上のようにして得た物質について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。反応生成物の1H−NMRのチャートを図20に、IRスペクトルを図10にそれぞれ示す。【0081】実施例11アセトン100部に溶解させた実施例2の化合物100部に対してベンゾイルパーオキサイド2部を添加し、ガラス板上に塗布して90℃で2時間かけて溶剤の除去及び硬化を行った。硬化物のガラス転移点を示差走査熱量測定装置(DSC)にて昇温速度10℃/分で測定したところ、90℃であった。【0082】比較例1実施例2で原料として使用したビスフェノールA型エポキシ樹脂は常温で液体であり、そのガラス転移点は明らかに実施例2で得られた硬化物よりも低かった。【0083】実施例12実施例5の化合物を実施例9と同様の方法で硬化させたもののガラス転移点を測定ところ110℃であった。【0084】比較例2実施例5で合成したフェノキシ樹脂のみのガラス転移点を測定したところ80℃であった。【0085】【発明の効果】本発明の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、上述のような構成からなり、重合性が高く、各種の用途に好適に適用することができるものである。また、架橋性が高いことから、ガラス転移点(Tg)が高く、耐熱性等の物性に優れた硬化物を形成することができ、更に、誘電率や粘度を低下させることが可能性であるため、各種の用途に合わせてこれらの特性を適切に設定することができるものである。また、本発明の製造方法は、上述のような構成からなり、このような(メタ)アクリロイル基を有する化合物を簡便にかつ穏やかな条件で製造することができる方法である。【図面の簡単な説明】【図1】実施例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図2】実施例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図3】実施例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図4】実施例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図5】実施例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図6】実施例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図7】実施例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図8】実施例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図9】実施例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図10】参考例で得られた反応生成物のIRスペクトルである。【図11】実施例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。【図12】実施例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。【図13】実施例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。【図14】実施例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。【図15】実施例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。【図16】実施例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。【図17】実施例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。【図18】実施例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。【図19】実施例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。【図20】参考例で得られた反応生成物の1H−NMRのチャートである。 (メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物を、該ビニルエーテル基と付加反応しうる官能基を2個以上有する化合物と反応させる(但し、2−(ビニルオキシ)エチルメタクリレートと、ビスフェノール又はポリエチレングリコールとの反応を除く。)ことにより、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を製造する方法であって、該反応は、反応温度:−40〜150℃にて行われ、該(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物は、下記一般式(3);(式中、R7は、水素原子又はメチル基を表す。R8は、炭素数2〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20のアルコキシアルキレン基、炭素数2〜8のハロゲン化アルキレン基、末端水酸基を除くポリエチレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリプロピレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリブチレングリコール骨格、又は、アリール基を表す。R9は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸エステル類であり、該ビニルエーテル基と付加反応しうる官能基を2個以上有する化合物は、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を2個以上有する化合物であって、かつビスフェノール、不飽和多塩基酸、ポリエチレングリコール、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、並びに、単量体成分として(メタ)アクリル酸エステル類及び/又は(メタ)アクリル酸を用いてなる重合体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、該反応により得られる(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物は、下記一般式(1);(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、R8と同様である。R3は、R9と同様である。Xは酸素又はイオウ原子を表す。)で表される(メタ)アクリロイル基を有する基及び/又は下記一般式(2);(式中、R4は、水素原子又はメチル基を表す。R5は、R8と同様である。R6は、R9と同様である。)で表される(メタ)アクリロイル基を有する基を、1分子中に2個以上有する化合物であることを特徴とする(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物の製造方法。 前記反応は、酸触媒の存在下に行われることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物の製造方法。 前記官能基を2個以上有する化合物と、前記(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物との反応モル比は、官能基を2個以上有する化合物における官能基1モルに対して、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物が、ビニルエーテル基が0.02〜50モルとなるように設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物の製造方法。 下記一般式(1);(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数2〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、炭素数2〜20のアルコキシアルキレン基、炭素数2〜8のハロゲン化アルキレン基、末端水酸基を除くポリエチレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリプロピレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリブチレングリコール骨格、又は、アリール基を表す。R3は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基を表す。Xは酸素又はイオウ原子を表す。)で表される(メタ)アクリロイル基を有する基及び/又は下記一般式(2);(式中、R4は、水素原子又はメチル基を表す。R5は、R2と同様である。R6は、R3と同様である。)で表される(メタ)アクリロイル基を有する基を1分子中に2個以上有する(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物であって、該(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物は、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を2個以上有する化合物(A)及び(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを共に有する化合物(B)を、(A)の有する該官能基と(B)の有するビニルエーテル基とを付加反応することによって得られる(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物であり、該付加反応は、反応温度:−40〜150℃にて行われ、該化合物(A)は、ビスフェノール、不飽和多塩基酸、ポリエチレングリコール、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、並びに、単量体成分として(メタ)アクリル酸エステル類及び/又は(メタ)アクリル酸を用いてなる重合体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、該化合物(B)は、下記一般式(3);(式中、R7は、水素原子又はメチル基を表す。R8は、R2と同様である。R9は、R3と同様である。)で表される(メタ)アクリル酸エステル類であることを特徴とする(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物(但し、2−(ビニルオキシ)エチルメタクリレートと、ビスフェノール又はポリエチレングリコールとの反応生成物を除く。)。 請求項4に記載の(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物と、無機充填材及び/又は導電性付与剤とを含むことを特徴とする組成物。 請求項1〜3に記載の製造方法で得られる(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を含有してなる組成物、請求項4に記載の(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を含有してなる組成物、又は、請求項5に記載の組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化物。