タイトル: | 特許公報(B2)_鎮痒作用増強方法 |
出願番号: | 2002299533 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/704,A61K 31/5513,A61K 36/18,A61K 36/23,A61K 36/899,A61K 35/32,A61K 35/56,A61K 31/07,A61K 31/525,A61K 31/4415,A61K 31/375,A61K 31/355,A61K 45/00,A61P 17/04,A61P 43/00 |
赤木 幸恵 桑原 亜希子 井上 周 JP 4344512 特許公報(B2) 20090717 2002299533 20021011 鎮痒作用増強方法 ロート製薬株式会社 000115991 辻田 幸史 100106611 清水 善廣 100087745 阿部 伸一 100098545 赤木 幸恵 桑原 亜希子 井上 周 20091014 A61K 31/704 20060101AFI20090917BHJP A61K 31/5513 20060101ALI20090917BHJP A61K 36/18 20060101ALI20090917BHJP A61K 36/23 20060101ALI20090917BHJP A61K 36/899 20060101ALI20090917BHJP A61K 35/32 20060101ALI20090917BHJP A61K 35/56 20060101ALI20090917BHJP A61K 31/07 20060101ALI20090917BHJP A61K 31/525 20060101ALI20090917BHJP A61K 31/4415 20060101ALI20090917BHJP A61K 31/375 20060101ALI20090917BHJP A61K 31/355 20060101ALI20090917BHJP A61K 45/00 20060101ALI20090917BHJP A61P 17/04 20060101ALI20090917BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090917BHJP JPA61K31/704A61K31/5513A61K35/78 CA61K35/78 NA61K35/78 UA61K35/32A61K35/56A61K31/07A61K31/525A61K31/4415A61K31/375A61K31/355A61K45/00A61P17/04A61P43/00 121 A61K 31/00- 33/44 A61P 1/00- 43/00 A61K 36/30 A61K 36/233 A61K 36/8994CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 医学中央雑誌WEB 特開2000−095675(JP,A) 特開2001−302518(JP,A) 特開2001−302545(JP,A) 8 2004131448 20040430 11 20050602 岩下 直人 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、エメダスチンの鎮痒作用増強方法、当該作用増強剤、鎮痒剤および鎮痒用経口投与組成物に関する。【0002】【従来の技術】アトピー性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、蕁麻疹、湿疹、かぶれなどの皮膚疾患に伴う皮膚掻痒は、患者にとって非常に不快なものであり、日常生活に支障を来たすこともあることから、今日、社会的な問題にもなっている。皮膚掻痒は、掻痒部位に掻破などの刺激が加わることにより、その症状がさらに悪化し、より強い痒みを生じるという悪循環を招く。従って、上記のような皮膚疾患を治療していく上では、まず痒みを抑える処置を施すことが重要である。皮膚掻痒に対する処置法としては、種々の内服療法や外用療法が知られている。例えば、内服療法では、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、メキタジン、ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、テルフェナジン、エピナスチンなどの抗ヒスタミン剤、トラニラスト、スプラタストなどの抗アレルギー剤などが利用される。外用療法では、ワセリン、尿素、ヘパリンなどの保湿剤、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド剤、クロタミトンなどの鎮痒剤、ジブカイン、リドカインなどの局所麻酔剤などが利用される。これらの内服療法や外用療法は皮膚掻痒に対して一定の効果をもたらすものである。しかしながら、内服療法は皮膚掻痒に対する効果が必ずしも十分ではなく、外用療法は掻痒部位が局所的に特定できる場合には有効であるが、広範囲にわたって症状が誘発される場合には十分な処置ができないことが多いといった問題がある。本発明者らは上記の点に鑑みて種々の検討を行うに当たり、抗ヒスタミン作用やケミカルメディエータ遊離抑制作用などを有するエメダスチンに着目した。エメダスチンはこれらの作用に基づき、アレルギー性鼻炎の他、蕁麻疹、湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、痒疹などの皮膚疾患に対する内服薬として知られており、その皮膚掻痒に対する効果も、例えば、下記非特許文献1において確認されている。しかしながら、ここに記載されたエメダスチンの皮膚掻痒に対する効果は満足できるものではない。【0003】【非特許文献1】臨床医薬,1994年,第10巻,第8号,p.1919−1935【0004】【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、皮膚掻痒に対して優れた効果が得られる鎮痒剤を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、エメダスチンの皮膚掻痒に対する効果をさらに優れたものにすべく鋭意検討を行った結果、グリチルリチン酸がエメダスチンの鎮痒作用を増強することを知見した。【0006】 本発明は上記の知見に基づいてなされたものであり、本発明のエメダスチンの鎮痒作用増強剤は、請求項1記載の通り、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とする。 また、本発明の鎮痒剤は、請求項2記載の通り、エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩、および、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩を含有することを特徴とする。 また、本発明の鎮痒用経口投与組成物は、請求項3記載の通り、エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩、および、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩を含有することを特徴とする。 また、本発明の鎮痒用経口投与組成物は、請求項4記載の通り、エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩0.05mg〜5mg(エメダスチン換算量)、および、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩1mg〜300mg(グリチルリチン酸換算量)を含有することを特徴とする。 また、請求項5記載の鎮痒用経口投与組成物は、請求項3または4記載の鎮痒用経口投与組成物において、湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、痒疹、掻痒症から選択される皮膚疾患に適用されるものであることを特徴とする。 また、請求項6記載の鎮痒用経口投与組成物は、請求項3乃至5のいずれかに記載の鎮痒用経口投与組成物において、消炎・鎮静生薬、ビタミン類、抗炎症薬成分、抗ヒスタミン薬成分、抗アレルギー成分、ステロイド成分から選択される少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする。 また、請求項7記載の鎮痒用経口投与組成物は、請求項6記載の鎮痒用経口投与組成物において、消炎・鎮静生薬が紫根、龍骨、牡蠣、柴胡、ヨクイニン、消風散、梔子柏皮湯から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。 また、請求項8記載の鎮痒用経口投与組成物は、請求項6記載の鎮痒用経口投与組成物において、ビタミン類がビタミンA類、ビタミンB2類、ビタミンB6類、ビタミンC類、ビタミンE類から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。【0007】【発明の実施の形態】上記の通り、本発明は、グルチルリチン酸がエメダスチンの鎮痒作用を増強することを知見したことに基づいて完成されたものである。グリチルリチン酸は、蕁麻疹、湿疹、かぶれ、皮膚の痒みを伴う皮膚炎の処置に使用される薬剤に消炎剤として配合される場合があり、また、ラット肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用を有することが明らかにされている(和漢医薬学会誌6,294−295,1989)が、アレルギー性結膜炎の動物モデルにおいては、アレルギー性結膜炎に対する効果がないことが報告されている(眼紀33巻,7号,1244−1251,1982)。しかしながら、エメダスチンとグリチルリチン酸との組み合わせについてはこれまでに検討されたことはなく、グリチルリチン酸がエメダスチンの鎮痒作用を速やかに増強することは、いかなる先行文献にも記載されておらず、また、いかなる先行文献からも予測できるものではない。なお、特開2000−515498号公報には、抗ヒスタミン化合物とテルペノイド化合物を組み合わせてなるアレルギー性皮膚疾患および炎症性皮膚疾患の局所治療薬が開示され、抗ヒスタミン化合物としてエメダスチンが、テルペノイド化合物としてグリチルリチン酸のアグリコンであるグリチルレチン酸が例示されているが、ここに開示された内容から、グリチルリチン酸がエメダスチンの鎮痒作用を増強することを予測することはできない。【0008】本発明において、鎮痒作用を有するエメダスチンは公知の化合物であり(例えば、米国特許第4430343号公報に記載)、その薬学的に許容される塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、臭化水素酸塩、エナント酸塩などが挙げられるが、中でも、塩酸塩、フマル酸塩が好ましい。【0009】本発明において、エメダスチンの鎮痒作用増強剤の有効成分となるグリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩としては、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸ジアンモニウムなどが挙げられる。また、グリチルリチン酸を含有する生薬や生薬エキス類を使用することもできる。このような生薬や生薬エキス類を使用する場合、グリチルリチン酸の含有量を考慮し、グリチルリチン酸としての用量がエメダスチンの鎮痒作用を増強するに足る用量となるように留意すべきである。グリチルリチン酸を含有する生薬や生薬エキス類の具体例としては、カンゾウ、カンゾウ末(粉末)、カンゾウエキス、カンゾウ粗エキスなどが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を併用して使用することができる。【0010】エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩にグリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩を配合した組成物は、後述するように、例えば、経口投与組成物として経口製剤化され、鎮痒剤として、湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、痒疹、掻痒症などの皮膚疾患に伴う皮膚掻痒に有効に適用される。具体的には、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、主婦湿疹、手湿疹、おむつ皮膚炎、脂漏性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、痒疹、かぶれ、老人性乾皮症、皮脂欠乏性湿疹、虫さされ、股部白癬、足部白癬、花粉症に伴う眼瞼炎などの皮膚疾患に伴う皮膚掻痒に有効に適用される。本発明の鎮痒用経口投与組成物における、エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩、および、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩の好適な配合割合は、グリチルリチン酸がエメダスチンの鎮痒作用を増強するに足る用量を勘案した上で、エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩1重量部に対してグリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩1重量部〜600重量部が好ましく、前者1重量部に対して後者5重量部〜400重量部がより好ましい。【0011】本発明の鎮痒用経口投与組成物から製剤化された鎮痒剤による、エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩、および、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩の1日当たりの投与量は、エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩については、効果を十分に発揮させつつも副作用の発現を回避する観点から、エメダスチン換算量として、0.05mg〜5mgが好ましく、0.1mg〜4.5mgがより好ましく、0.2mg〜4mgがさらに好ましい。また、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩については、グリチルリチン酸がエメダスチンの鎮痒作用を増強するに足る用量を勘案した上で、グリチルリチン酸換算量として、1mg〜300mgが好ましく、3mg〜250mgがより好ましく、10mg〜200mgがさらに好ましい。従って、本発明の鎮痒用経口投与組成物は、1回または複数回の投与により1日当たりの投与量がエメダスチンまたはその薬学的に許容される塩については0.05mg〜5mg(エメダスチン換算量)、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩については1mg〜300mg(グリチルリチン酸換算量)となるように、好ましくは、1日当たりの投与量が前者が0.2mg〜4mgで後者が10mg〜200mgとなるように製剤化されて使用されることが好ましい。本発明によれば、エメダスチンに対してグリチルリチン酸を併用することでエメダスチンの服用量を低減することができるので、口渇などのエメダスチンの副作用の発現を効果的に回避することができる。【0012】本発明の鎮痒用経口投与組成物から製剤化される製剤形態としては、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤などが挙げられる。製剤化に際しては、エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩、および、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩に必要に応じて賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、コーティング剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、保存剤、分散剤、溶剤などの公知の添加剤を各種製剤形態に応じて加え、常法に従って行われる。【0013】本発明の抗掻痒剤に対し、消炎・鎮静生薬を組み合わせると、掻痒後の掻痒部位の拡大が抑制され、抗掻痒効果を高めることができる。消炎・鎮静生薬としては、升麻、石膏、紫根、タイギョウ、連翹、薄荷、芒硝、黄連、黄柏、十薬、牡丹皮、荊芥、山梔子、茵陳蒿湯、茵陳五苓散、葛根湯、消風散、温経湯、越婢加朮湯、十味敗毒湯、消風散、柴胡清肝湯、治頭瘡一方、升麻葛根湯、当帰飲子、龍骨、牡蠣、遠志、酸棗仁、小麦、釣藤鈎、疾黎子、天麻、蝉退、梔子柏皮湯、桂麻各半湯、黄連解毒湯、六味丸、牛車腎気丸、柴胡、茯苓、黄岑、黄柏、黄連、細辛、地黄、芍薬、川弓、当帰、沙参(別名:浜防風)、桔梗、生姜、独活、ヨクイニンなどが例示できるが、中でも紫根、龍骨、牡蠣、柴胡、ヨクイニン、消風散、梔子柏皮湯が好ましい。なお、これらの生薬は、生薬粉末、エキスなどの形で配合してもよい。これらの生薬の1日あたりの配合量は、エメダスチンの抗掻痒作用を増強させる量であればよく、原生薬換算量として、0.01g〜50gが好ましく、0.1g〜10gがより好ましい。また、本発明の抗掻痒剤に対し、ビタミン類を組み合わせると、アレルギー疾患などにより障害を受けた皮膚、粘膜の回復の促進に寄与し、抗掻痒効果を高めることができる。ビタミン類としては、ビタミンA類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)、ビタミンB2類(例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビン、リン酸リボフラビン、酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB6類(例えば、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサールなど)、ビタミンC類(アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウムなど)、ビタミンE類(コハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロールなど)、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、ビオチン、オロチン酸などが例示できるが、中でもビタミンB2類、ビタミンB6類、ビタミンC類が好ましい。これらのビタミン類の1日あたりの配合量は、エメダスチンの抗掻痒作用を増強させる量であればよく、好ましくは、ビタミンA類では500I.U.〜2000I.U.、ビタミンB2類では2mg〜12mg、ビタミンB6類では5mg〜50mg、ビタミンC類ではアスコルビン酸量として50mg〜500mg、ビタミンE類では10mg〜100mg、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムでは5〜60mg、ビオチンでは10μg〜500μg、オロチン酸では60mg〜200mgである。本発明の鎮痒剤には、必要に応じてさらに種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせることができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、抗炎症薬成分、抗ヒスタミン薬成分、抗アレルギー成分、ステロイド成分などが例示できる。本発明において好適な成分としては、例えば、次のような成分が例示できる。抗炎症薬成分としては、例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、プラノプロフェン、ピロキシカム、イプシロン−アミノカプロン酸、ベルベリン、リゾチーム、アラントイン、アズレン、ブロメラインまたはその薬学的に許容される塩(例えば、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ジクロフェナクナトリウム、塩化リゾチームなど)などが例示できる。抗ヒスタミン薬成分としては、例えば、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、イソチペンジル、ジフェテロール、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、トリペレナミン、トンジルアミン、プロメタジン、メトジラジン、カルビノキサミン、アリメマジン、プロメタジン、メブヒドロリン、フェネタジン、ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジン、エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、セチリジン、レボカバスチン、オロパタジンまたはその薬学的に許容される塩などが例示できる。抗アレルギー成分としては、例えば、クロモグリク酸、トラニラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、ペミロラスト、タザノラストまたはその薬学的に許容される塩などが例示できる。ステロイド成分としては、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルドコロチゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、ハロプレドン、パラメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはその薬理学的に許容される塩(例えば、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾンなど)などが例示できる。【0014】【実施例】本発明を以下の試験例と実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。【0015】試験例1(マウスを使用した鎮痒作用試験)実験方法:ICR系雄性モルモット(体重25g〜35g)を使用して次の実験を行った。実験群1〜実験群6を設定し(1群8匹)、マウスに被験サンプルを経口投与した1時間後、掻痒惹起物質を背部皮内に注射して掻痒行動を惹起させ、マウスが注射部位を後肢で引っ掻く回数を注射直後から30分間計測し、被験サンプルの引っ掻き回数に対する抑制作用を評価した。各群の被験サンプルおよび掻痒惹起物質を表1に示す。【0016】【表1】【0017】(被験サンプル)A:1%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液(0.3ml)B:グリチルリチン酸ジカリウム65.7mg/kgC:グリチルリチン酸ジカリウム219mg/kgD:フマル酸エメダスチン0.03mg/kgE:フマル酸エメダスチン0.03mg/kg+グリチルリチン酸ジカリウム65.7mg/kg※ B〜Eは1%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液(0.3ml)に溶解して投与【0018】(掻痒惹起物質)X:生理食塩水(50μl)Y:compound48/80(20μg)※ Yは生理食塩水(50μl)に溶解して投与【0019】実験結果:結果を表1に示す。表1から明らかなように、フマル酸エメダスチンとグリチルリチン酸ジカリウムの併用投与群(実験群6)は、フマル酸エメダスチン単独投与群(実験群5)の2.2倍の鎮痒作用を示した。実験群6におけるグリチルリチン酸ジカリウムの用量からなるグリチルリチン酸ジカリウム単独投与群(実験群3)では鎮痒作用が得られなかったことから、グリチルリチン酸ジカリウムがフマル酸エメダスチンの鎮痒作用を増強したことがわかった。【0020】実施例1,錠剤(1日量6錠中)下記成分の1000倍量を秤量し均一に混合した後、日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり130mgの錠剤を得た。【0021】実施例2,散剤(1日量2包中)下記成分の1000倍量を秤量し均一に混合した後、日本薬局方製剤総則「散剤」に準じて製し、1包あたり1500mgの散剤を得た。【0022】実施例3,カプセル剤(1日量6カプセル中)下記成分の1000倍量を秤量し均一に混合した後、日本薬局方製剤総則「カプセル剤」に準じて製し、1カプセルあたりの内容物250mgの硬カプセル剤を得た。【0023】実施例4,チュアブル錠(1日量6錠中)下記成分の1000倍量を秤量し均一に混合した後、日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたりの内容物500mgのチュアブル錠を得た。【0024】実施例5〜実施例17以下の表2と表3に示す錠剤、散剤、カプセル剤、チュアブル錠を各々実施例1、2、3、4に準じ調製した。【0025】【表2】【0026】【表3】【0027】【発明の効果】本発明によれば、皮膚掻痒に対して優れた効果が得られる鎮痒剤が提供される。 グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とするエメダスチンの鎮痒作用増強剤。 エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩、および、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩を含有することを特徴とする鎮痒剤。 エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩、および、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩を含有することを特徴とする鎮痒用経口投与組成物。 エメダスチンまたはその薬学的に許容される塩0.05mg〜5mg(エメダスチン換算量)、および、グリチルリチン酸またはその薬学的に許容される塩1mg〜300mg(グリチルリチン酸換算量)を含有することを特徴とする鎮痒用経口投与組成物。 湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、痒疹、掻痒症から選択される皮膚疾患に適用されるものであることを特徴とする請求項3または4記載の鎮痒用経口投与組成物。 消炎・鎮静生薬、ビタミン類、抗炎症薬成分、抗ヒスタミン薬成分、抗アレルギー成分、ステロイド成分から選択される少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の鎮痒用経口投与組成物。 消炎・鎮静生薬が紫根、龍骨、牡蠣、柴胡、ヨクイニン、消風散、梔子柏皮湯から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項6記載の鎮痒用経口投与組成物。 ビタミン類がビタミンA類、ビタミンB2類、ビタミンB6類、ビタミンC類、ビタミンE類から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項6記載の鎮痒用経口投与組成物。