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タイトル:特許公報(B2)_変性環状脂肪族ポリアミン
出願番号:2002280556
年次:2008
IPC分類:C07C 211/38,C07C 211/19,C08G 59/50


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市川 哲史 桑原 久征 越後 雅敏 JP 4182334 特許公報(B2) 20080912 2002280556 20020926 変性環状脂肪族ポリアミン 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 永井 隆 100117891 市川 哲史 桑原 久征 越後 雅敏 20081119 C07C 211/38 20060101AFI20081030BHJP C07C 211/19 20060101ALI20081030BHJP C08G 59/50 20060101ALI20081030BHJP JPC07C211/38C07C211/19C08G59/50 CAplus(STN) REGISTRY(STN) C07C 211/38 C07C 211/19 C08G 59/50 特開平02−233647(JP,A) 欧州特許出願公開第00241888(EP,A1) 特開昭63−284167(JP,A) 特開2002−161076(JP,A) 特開2004−217560(JP,A) 5 2004115427 20040415 7 20050901 小川 由美 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は特定の変性環状脂肪族ポリアミン、該変性環状脂肪族ポリアミンを含むエポキシ樹脂硬化剤、該エポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物に関する。この変性環状脂肪族ポリアミンはエポキシ樹脂硬化剤およびその原料として、塗料用途、土木・建築用途、接着剤用途、電気・電子用途、複合材用途等のエポキシ樹脂が用いられている分野に利用することができる。また、ポリウレタン樹脂の鎖延長剤およびその原料として、フォーム、エラストマー、塗料、接着剤、繊維、皮革、防水材等のポリウレタン樹脂が用いられている分野に利用することができる。【0002】【従来の技術】各種ポリアミンが、エポキシ樹脂硬化剤およびその原料として広く用いられていることは良く知られている。これらポリアミンはそのままエポキシ樹脂硬化剤として用いられることは少なく、通常は安全衛生面の改善、作業性の改善、用途に適した硬化物性能の付与などの目的に応じて、それぞれのポリアミンが有するアミノ基の反応性、すなわち活性水素に起因する特徴に適した変性を行ってから用いられることが殆どである。例えば、メタキシリレンジアミン等を変性させたものをエポキシ樹脂硬化剤として使用した場合に、エポキシ樹脂組成物に長いポットライフを与えることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。【0003】代表的なポリアミンとして、鎖状脂肪族ポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミンなど、環状脂肪族アミン、例えばメンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノメチルピペラジン、ノルボルネンジアミンなど、芳香環含有脂肪族アミン、例えばキシレンジアミンなど、芳香族アミン、例えばフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミンなどがあげられる。【0004】ポリアミンの代表的な変性方法としては、(1)フェノール系化合物とアルデヒド化合物とのマンニッヒ反応による変性、(2)エポキシ化合物との反応による変性、(3)カルボキシル基を有する化合物との反応による変性、(4)アクリル系化合物とのマイケル付加反応による変性、および(5)これらの組み合わせによる変性などがあげられる。【0005】ポリアミンの変性比率は、一般的には得られる変性ポリアミンがポリアミンのアミノ基に由来する活性水素を有する範囲で選ばれる。しかしながら、変性比率が低い場合には変性ポリアミンの粘度は低くなるが、未反応ポリアミン含有量が高くなるために、エポキシ樹脂硬化剤と利用した場合に十分なエポキシ樹脂硬化物性能が得られない場合がある。一方、変性比率が高い場合には未反応ポリアミン含有量は低くなるが、粘度が高くなるために、作業性の改善を目的に溶剤や希釈剤を添加して低粘度化が必要となる。溶剤の添加は環境問題から避けることが望まれ、希釈剤の添加はエポキシ樹脂硬化物性能の低下を生じるために添加量を制限する必要がある。【0006】【特許文献1】特開2002−161076号公報【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低粘度であり、未反応ポリアミン含有量が低く、且つエポキシ樹脂硬化剤として使用した際に、良好なエポキシ樹脂硬化物性能を与えるエポキシ樹脂組成物が得られる変性ポリアミンを提供することである。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の変性環状脂肪族ポリアミンは低粘度で、未反応の環状脂肪族ポリアミン含有量が比較的に低く、該変性環状脂肪族ポリアミンからなるエポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、良好なエポキシ樹脂硬化物性能を与えることを見出して本発明に至った。【0009】即ち本発明は、分子内の炭素数が9以上で、分子内のアミノ基数が2以上であり、且つ該アミノ基に由来する活性水素数が3以上である環状脂肪族ポリアミンとアルケニル化合物との付加反応により得られる変性環状脂肪族ポリアミンを提供する。さらに本発明は、該変性環状脂肪族ポリアミンを含むエポキシ樹脂硬化剤、該エポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物、および該エポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物を提供する。【0010】【発明の実施の形態】本発明で使用される環状脂肪族ポリアミンは分子内の炭素数が9以上で、分子内のアミノ基数が2以上であり、且つ該アミノ基に由来する活性水素数が3以上のポリアミンであり、具体的には、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノメチルピペラジン、ノルボルネンジアミンなどがあげられる。これらの中で特に好ましいのは、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミンである。【0011】本発明で使用されるアルケニル化合物としては、あらゆるアルケニル化合物が可能であり、炭素数が2〜10であるものが好ましい。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、イソブチレン、2−ペンテン、3−メチルー1−ブテン、2−メチルー2−ブテン、2,3−ジメチルー2−ブテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、スチレン、ジビニルベンゼン、などがあげられるが、特に好ましいのはスチレンである。【0012】本発明の変性環状脂肪族ポリアミンは、前記環状脂肪族ポリアミンと前記アルケニル化合物との付加反応(変性)により得られ、環状脂肪族ポリアミンとアルケニル化合物との付加物と未反応環状脂肪族ポリアミンとの混合物である。【0013】本発明の環状脂肪族ポリアミンのアルケニル化合物による変性比率は、用途に応じて適宜選択できるが、環状脂肪族ポリアミンのアミノ基に由来する活性水素数が1より多くなる範囲が好ましい。【0014】本発明において、変性環状脂肪族ポリアミンを合成する際には、強塩基性を呈する触媒を使用することが好ましい。例えば、アルカリ金属、アルカリ金属アミド、アルキル化アルカリ金属などがあるが、好ましくはアルカリ金属アミド(一般式MNRR’:Mはアルカリ金属、Nは窒素、RおよびR’は各々独立して水素またはアルキル基である)であり、特にリチウムアミド(LiNH2)が好ましい。触媒の使用量は、原料の種類や反応比率、反応温度等の条件により異なるが、通常は原料中に0.05〜5wt%であり、好ましくは0.1〜3wt%である。【0015】本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、前記変性環状脂肪族ポリアミンを含むものであり、単独で使用してもよいし、他のポリアミン系エポキシ樹脂硬化剤と混合して使用してもよい。この場合の混合量は、本発明のエポキシ樹脂硬化剤の特徴が損なわれない範囲であれば特に限定されるものではない。【0016】本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と前期エポキシ樹脂硬化剤を含むものである。本発明のエポキシ樹脂組成物に使用されるエポキシ樹脂は、本発明のエポキシ樹脂硬化剤に含まれる変性環状脂肪族ポリアミンのアミノ基由来の活性水素と反応するグリシジル基を持つエポキシ樹脂であればいずれも使用することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂がそれぞれ単独で、あるいは混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、充填材、可塑剤などの改質成分、希釈剤、揺変剤などの流動調整成分、顔料、レベリング剤、粘着付与剤などのその他の成分を用途に応じて添加して用いることができる。【0017】本発明のエポキシ樹脂組成物は、公知の方法で硬化させ、エポキシ樹脂硬化物とすることができる。硬化条件は用途に応じて適宜選択され、特に限定されない。【0018】【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。【0019】実施例1撹拌装置、温度計、窒素導入管、滴下漏斗、冷却管を備えた2リットルフラスコに、イソホロンジアミン(デグッサ社製、以下IPDAと記す)681.2g(4.0モル)とリチウムアミド(Merk社製、試薬)3.3g(0.14モル)を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に保ちながら、スチレン(和光純薬社製、試薬特級)416.8g(4.0モル)を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で1時間保った。その後、室温に冷却し、仕込んだリチウムアミドの10倍モル量の水25.2g(1.4モル)を添加して撹拌した。フラスコ内液中の沈殿物をろ過で分離後、減圧蒸留で水を留去し、変性環状脂肪族ポリアミンA1032.7gを得た。変性環状脂肪族ポリアミンAの粘度は90mPa・s/25℃、未反応IPDA量は16.2wt%、活性水素当量は92(活性水素数は3)であった。得られた変性環状脂肪族ポリアミンAをエポキシ樹脂硬化剤として使用して、ビスフェノ−ルA型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコート828、エポキシ当量:190g/eq)と表1に示す割合で配合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を23℃、50%RHの条件下で硬化させ、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表1に示した。【0020】実施例2実施例1と同様のフラスコにノルボルネンジアミン(三井化学社製、以下NBDAと記す)617.2g(4.0モル)とリチウムアミド3.1g(0.14モル)を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に保ちながら、スチレン416.8g(4.0モル)を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で1時間保った。その後、室温に冷却し、仕込んだリチウムアミドの10倍モル量の水25.2g(1.4モル)を添加して撹拌した。フラスコ内液中の沈殿物をろ過で分離後、減圧蒸留で水を留去し、変性環状脂肪族ポリアミンB969.3gを得た。変性環状脂肪族ポリアミンBの粘度は64mPa・s/25℃、未反応NBDA量は15.5wt%、活性水素当量は86(活性水素数は3)であった。得られた変性環状脂肪族ポリアミンBをエポキシ樹脂硬化剤として使用して、ビスフェノ−ルA型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコート828、エポキシ当量:190g/eq)と表1に示す割合で配合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を23℃、50%RHの条件下で硬化させ、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表1に示した。【0021】比較例1実施例1と同様のフラスコにIPDA681.2g(4.0モル)を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に保ちながら、ブチルグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名:ニッサンエピオールB、エポキシ当量:130g/eq、以下BGEと記す)520.0g(4.0モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃に昇温して2時間反応を行い、IPDAのBGE付加物1151.4gを得た。IPDAのBGE付加物の粘度は3400mPa・s/25℃、未反応IPDA量は25.3wt%、活性水素当量は100(活性水素数は3)であった。得られたIPDAのBGE付加物をエポキシ樹脂硬化剤として使用して、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、評価を行った。評価結果を表1に示した。【0022】比較例2比較例1において、IPDAをNBDA617.2g(4.0モル)に代えた以外は同様の条件で合成を行い、NBDAのBGE付加物1086.8gを得た。NBDAのBGE付加物の粘度は1440mPa・s/25℃、未反応NBDA量は24.6wt%、活性水素当量は95(活性水素数は3)であった。得られたNBDAのBGE付加物をエポキシ樹脂硬化剤として使用して、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、評価を行った。評価結果を表1に示した。【0023】【表1】【0024】エポキシ樹脂硬化塗膜の評価は以下の方法で行った。エポキシ樹脂組成物を、23℃、50%RHの条件下で、鋼板に200μの厚さに塗装した。層間密着性は下層を塗装した1日後に上層を塗装した。外観:7日硬化後の塗膜外観を目視(光沢、透明性、平滑性)および指触(乾燥性)により評価した。層間密着性:1+7日硬化後の塗膜をJIS K 5400のXカットテープ法を参考に評価した。耐水性:1、4および7日硬化後の塗膜上に水滴を滴下し、1日放置後の塗膜の変化を目視により評価した。耐薬品性:7日硬化後の塗装鋼板を各薬品に23℃で7日間浸漬し、塗膜の変化を目視により評価した。耐塩水噴霧性:JIS K 5400に準拠し、7日間噴霧後の塗膜の変化を目視により評価した。評価:次の4段階で評価した。◎:優秀、 ○:良好 △:やや不良 ×:不良【0025】【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発明の変性環状脂肪族ポリアミンは、低粘度で、未反応環状脂肪族ポリアミン含有量が比較的に低く、該変性環状脂肪族ポリアミンをエポキシ樹脂硬化剤として含む、エポキシ樹脂組成物は良好なエポキシ樹脂硬化物性能を与える。 イソホロンジアミンおよびノルボルネンジアミンから選ばれる少なくとも1種の環状脂肪族ポリアミンと、スチレンおよびジビニルベンゼンから選ばれる少なくとも1種のアルケニル化合物との付加反応により得られる変性環状脂肪族ポリアミンであって、環状脂肪族ポリアミンのアルケニル化合物による変性比率が環状脂肪族ポリアミンのアミノ基に由来する活性水素数が1より多くなる範囲で選ばれる変性環状脂肪族ポリアミン。 前記アルケニル化合物がスチレンである請求項1記載の変性環状脂肪族ポリアミン。 請求項1または2記載の変性環状脂肪族ポリアミンを含むエポキシ樹脂硬化剤。 エポキシ樹脂、および請求項3記載のエポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。 請求項4記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物。


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