タイトル: | 特許公報(B2)_無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法 |
出願番号: | 2002271810 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 30/00,C09C 3/12,G01N 30/06 |
大浜 理 木村 淳 宮武 健一郎 河原 幸春 JP 4123882 特許公報(B2) 20080516 2002271810 20020918 無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法 住友電気工業株式会社 000002130 大和田 和美 100072660 大浜 理 木村 淳 宮武 健一郎 河原 幸春 20080723 G01N 30/00 20060101AFI20080703BHJP C09C 3/12 20060101ALI20080703BHJP G01N 30/06 20060101ALI20080703BHJP JPG01N30/00 JC09C3/12G01N30/06 A G01N 30/00-31/22 JSTPlus(JDreamII) 特開2001−085806(JP,A) 特開平10−279667(JP,A) 特開2003−049094(JP,A) 宮武 健一郎 他,無機フィラー表面処理剤の反応率評価法の検討,日本分析化学会第51年会講演要旨集,2002年 9月 5日,Vol. 51st,第412頁、3P84 5 2004108932 20040408 9 20050914 白形 由美子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法に関し、詳しくは、樹脂等の補強剤として用いられる無機系充填剤の表面に施したシランカップリング剤の反応率を精度良く評価し、無機系充填剤とシランカップリング剤の密着性を評価するものである。【0002】【従来の技術】従来、樹脂・ゴム等の補強剤としては、一般にシリカ等の無機系充填剤が用いられている。このような無機系充填剤と樹脂・ゴムとの密着性が悪いと、樹脂・ゴム中から無機系充填剤が脱落することがあり、製品強度に影響を及ぼしたり製品に傷が付いたりすることがある。よって、無機系充填剤(無機系フィラー)には、樹脂等との濡れ性、接着性向上のために、しばしばシランカップリング剤等で表面処理を施すことが行われている。【0003】シランカップリング剤は加水分解、縮合反応等の複雑な反応過程を経てその表面改質剤として機能するため古くからその反応機構については研究がなされている。特に、シランカップリング剤単体では、その反応過程について核磁気共鳴分光法(NMR)にて詳細な解析が行われている。【0004】しかし、上記のような実使用状態は、シランカップリング剤は、無機系充填剤の表面に塗布され、その表面で無機系充填剤と反応して存在するため、核磁気共鳴分光法(NMR)、赤外吸収分光法等の分光法による定量的な解析は困難である。特に、シリカを無機系充填剤として用いた場合、シランカップリング剤だけでなく、無機系充填剤であるシリカの表面にもシラノール基を有するため、分光法による定量的な解析はより困難となり、シランカップリング剤の反応過程の追跡が難しい。【0005】その他、無機系充填剤の表面に付着した炭素量にて、表面処理剤の塗布状態を概算する方法が挙げられる。また、特開2001−85806号では、表面処理剤による処理状態を熱分析(示差走査熱量測定:DSC)によって検査する方法、即ち、表面処理後のフィラーを加熱する際にピーク的に発生する熱量を参照し、その熱量によりフィラーに対する表面処理剤の処理量を判定し、フィラーの表面状態を検査する配線基板の樹脂用フィラーの表面処理状態検査方法が提案されている。【0006】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、無機系充填剤の表面に付着した炭素量にて、表面処理剤の塗布状態を概算する方法や特開2001−85806号の方法では、製造プロセスで混入する有機物汚染物質等も一緒に分析してしまい誤差が生じるという問題がある。また、微量の場合には感度が足りない場合もあり、上記のような方法では、表面処理されたシランカップリング剤の反応過程を精度良く評価できず、シランカップリング剤と無機系充填剤の密着状態を評価できないという問題がある。【0007】本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、シランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤において、シランカップリング剤と無機系充填剤の反応率を定量的に評価し、シランカップリング剤と無機系充填剤の密着性を評価することを課題としている。【0008】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、シランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤を第1アルコール中に浸漬し、該第1アルコールにより上記シランカップリング剤中のアルコキシ基を置換し、該アルコキシ基を有する第2アルコールを生成し、ガスクロマトグラフ分析により、上記第1アルコールと上記アルコキシ基を有する第2アルコールとを分離すると共に、上記アルコキシ基を有する第2アルコール量を定量して、上記置換前に上記シランカップリング剤中に存在していたアルコキシ基の量を同定し、上記無機系充填剤に表面処理されたシランカップリング剤と該無機系充填剤との反応率を評価することを特徴とする無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法を提供している。【0009】本発明は、本発明者が鋭意研究の結果、以下のことを見出したことに基づくものである。シランカップリング剤は、分子中のアルコキシ基が加水分解し、その後脱水縮合することにより無機系充填剤と反応する。よって、シランカップリング剤と無機系充填剤の反応率を評価するには、シランカップリング剤中に残存するアルコキシ基の量を定量することが必要である。即ち、シランカップリング剤中のアルコキシ基の量を定量することで、シランカップリング剤の加水分解の進行度を把握することができ、これにより脱水縮合によるシランカップリング剤と無機系充填剤との反応率を把握することができる。【0010】さらに、シランカップリング剤中のアルコキシ基の量を定量するにあたり、シランカップリング剤のアルコール交換性に着目し、化学反応前処理技術を開発した。即ち、シランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤を過剰のアルコール(第1アルコール)中に浸漬し、この第1アルコールによりシランカップリング剤中に残存しているアルコキシ基を置換し、該アルコキシ基を有する第2アルコールを生成する。【0011】次に、ガスクロマトグラフ分析により、第1アルコールとアルコキシ基を有する第2アルコールとを分離すると共に、アルコキシ基を有する第2アルコール量を定量する。これにより、置換前にシランカップリング剤中に存在していたアルコキシ基の量を同定することができる。即ち、シランカップリング剤中に残存するアルコキシ基のほぼ全てをアルコールに置換してしまうと、この置換されたアルコキシ基を有する第2アルコール量をガスクロマトグラフ分析により定量することで、無機系充填剤に表面処理されたシランカップリング剤中のアルコキシ基の量を定量することができる。【0012】そして、この同定されたアルコキシ基を有する第2アルコール量により、既に加水分解している水酸基の定量が可能となり、無機系充填剤に表面処理されたシランカップリング剤と該無機系充填剤との反応率を評価することができる。【0013】このように、シランカップリング剤を無機系充填剤に表面処理した場合でも、シランカップリング剤単体と同様に、アルコキシ基のアルコール交換反応が進行する。また、ガスクロマトグラフ分析は、アルコールの定量に優れ、微量でも検知できるため、非常に精度良く置換されたアルコキシ基を有する第2アルコール量を定量することができる。よって、本発明は、無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤と無機系充填剤との反応過程・反応率を定量的に精度良く、評価することができる。その結果、シランカップリング剤と無機系充填剤の密着性を評価することができる。【0014】上述したように、ガスクロマトグラフ分析は、設備の選択、溶液の濃縮前処理等が活用できるため、微量でも化学反応により生成したアルコールの検知が可能である。また、アルコールに適したガスクロマトグラフ分析の検出器は、水素化イオン検出器、質量分析器、熱伝導度検出器等が挙げられる。特に、微量の場合は、水素化イオン検出器、質量分析器が適している。なお、過剰に存在させた第1アルコール及び生成した第2アルコールと、無機系充填剤とは、ろ過分離、遠心分離等により固液分離され、分離された液体をガスクロマトグラフ分析により測定している。【0015】上記シランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤は、上記第1アルコール中に40℃〜80℃の温度で、12時間〜48時間の条件下で浸漬していることが好ましい。上記条件で第1アルコール中に浸漬することで、シランカップリング剤中のアルコキシ基をほぼ100%第2アルコールに置換することができる。なお、アルコールへの置換は100%が最適であるが、好ましくは60%以上程度置換されていれば良い。【0016】温度と時間を上記範囲としているのは、40℃より低いとアルコキシ基が十分にアルコールに置換されないためであり、一方、80℃より高いと揮発性の高いアルコールが反応容器より揮散してしまい、測定結果のばらつきが大きくなりやすいためである。また、12時間より短いとアルコキシ基が十分にアルコールに置換されず、48時間より長いと上記のように揮散による精度の低下や試験材の劣化が生じやすくなったり、分析スループットの低下が顕著になりやすい。ただし、このような揮散等の影響を受けにくければ48時間以上としても良い。なお、さらには50℃〜70℃、20時間〜30時間の条件が好ましい。また、攪拌や振とう等により置換反応の反応効率を向上することができる。【0017】上記第1アルコールとして、エタノール、プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、ブタノールから選択されるアルコールが用いられることが好ましい。このように、分子量が小さく、粘性が小さいアルコールは運動性が高く、アルコキシ基の置換反応性に優れている。アルコールによりシランカップリング剤中のアルコキシ基を置換するには、一般式(−OR)からなる反応基(アルコキシ基)のR部分のアルキル基以外の官能基を有するアルコールが良い。【0018】シランカップリング剤としては、下式で表されるものが挙げられる。なお、下式中、Xは有機反応基でアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、メタクリル基、ビニル基等が挙げられる。Yは無機反応基であり、一般式(−OR)からなる反応基(アルコキシ基)で、Rは同一または異なる炭素数1〜3の飽和アルキル基である。なお、nは1〜3の整数である。【0019】また、具体的に、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフェン等が挙げられる。【0020】無機系充填剤としては、シリカ、酸化亜鉛からなるウィスカ、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、アルミナ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫化モリブデン等が挙げられる。無機系充填剤の形態としては、粒子状、繊維状、針状、フレーク状等種々の形態とすることができる。【0021】シランカップリング剤は、無機系充填剤の表面にドライスプレー、浸漬、湿式等の方法で塗布することができる。また、無機系充填剤の重量の0.1%以上5.0%以下のシランカップリング剤が施されたものに好適である。【0022】このように、シランカップリング剤が表面処理された無機系充填剤は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレン(PE)等の溶融粘度が低く、大量に充填剤を配合できるような樹脂中に混練等して樹脂材料として用いることができる。本発明では、これらの樹脂とシランカップリング剤が表面処理された無機系充填剤との密着性を評価することができ、無機系充填剤のベース樹脂からの脱落状況等の評価に好適である。【0023】【発明の実施の形態】以下、本発明の無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法実施形態を図面を参照して説明する。【0024】まず、無機系充填剤であるシリカ粒子(1μm〜10μm)に加湿処理を行い、攪拌して均一化し、その後、シランカップリング剤であるビニルトリメトキシシランをドライスプレー法により、シリカ粒子の表面に均一に噴霧し、シランカップリング剤を塗布する。【0025】噴霧後、攪拌し、均一被覆のために室温(10℃〜30℃)で30日放置して熟成し、無機系充填剤とシランカップリング剤を反応させる。シランカップリング剤は加水分解された後、脱水縮合により無機系充填剤と密着する。具体的には、図1に示すように、加水分解したシランカップリング剤の水酸基が脱水縮合してシリカ粒子表面にシランカップリング剤が結合する。その後、乾燥して、無機系充填剤であるシリカ粒子に、シランカップリング剤であるビニルトリメトキシシランの表面処理を完成している。なお、シランカップリング剤塗布後は、高温条件下で放置熟成すると反応率が飽和するまでの時間を短縮できる。【0026】次に、上記方法でシランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤をアルコール(第1アルコール)中に浸漬する。具体的には、第1アルコールとしてエタノールを用い、60℃で24時間、上記ビニルトリメトキシシランを施したシリカ粒子の表面全体が第1アルコールと十分に接触するように過剰に準備した第1アルコール中に浸漬する。【0027】このように第1アルコールへの浸漬により、シランカップリング剤中に残存しているアルコキシ基であるメトキシ基(−OCH3)のほぼ全量(ほぼ100%)が、第1アルコールの作用により第1アルコール中の水酸基(−OH基)と反応し、第2アルコールに置換されメタノールが生成する。即ち、シランカップリング剤中に残存するアルコキシ基の量とほぼ同量のアルコールに置換されることとなる。これにより第1アルコールと第2アルコールが混在する。【0028】次に、混在している第1アルコール及びアルコキシ基を有する第2アルコールとシリカ粒子とを、ろ過により固液分離しシリカ粒子を除去する。ろ過処理された液体をガスクロマトグラフ分析により、第1アルコールとアルコキシ基を有する第2アルコールとに分離すると共に、アルコキシ基を有する第2アルコール量を定量する。これにより、置換前にシランカップリング剤中に存在していたアルコキシ基の量を同定する。【0029】具体的なガスクロマトグラフ分析の分析条件を示す。INJ:180℃、COM:80℃(0min)、昇温:1℃/min→86℃、昇温:20℃/min→120℃(0min)、DET:200℃、カラム:ジーエルサイエンス製TC−WAX60m(膜厚:0.25μm、内径:0.25mm)、注入量:1.0μm)【0030】置換された第2アルコール量が定量できると、無機系充填剤に表面処理されたシランカップリング剤中のアルコキシ基の量も定量できることとなり、これにより、既に加水分解している水酸基の定量が可能となる。最終的に、無機系充填剤に表面処理されたシランカップリング剤の加水分解反応の進行度を把握し、無機系充填剤とシランカップリング剤との反応率を評価する。【0031】このように、シランカップリング剤中のアルコキシ基の量を定量することで、シランカップリング剤の加水分解の進行度を把握することができ、これにより脱水縮合によるシランカップリング剤と無機系充填剤との反応率を把握することができる。【0032】また、シランカップリング剤中のアルコキシ基の量を定量するにあたり、シランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤をアルコール(第1アルコール)中に浸漬し、シランカップリング剤中に残存しているアルコキシ基をアルコール(第2アルコール)に置換している。このため、この置換された生成した第2アルコール量をガスクロマトグラフ分析により定量することができ、非常に精度良く置換されたアルコキシ基を有するアルコール量を定量することができる。よって、無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応過程を定量的に評価することができる。その結果、シランカップリング剤と無機系充填剤の密着性を評価することができる。【0033】上記実施形態以外にも、アルコールとして、プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、ブタノールから選択されるアルコールを用いることもできる。また、シリカ粒子以外の酸化亜鉛等の種々の無機系充填剤であっても良く、シランカップリング剤も従来公知の種々のものとすることができる。なお、ガスクロマトグラフ分析の検出器としては、水素化イオン検出器、質量分析器、あるいは熱伝導度検出器を用いることができる。【0034】以下、本発明の無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法の実施例について詳述する。【0035】(実施例1)試料は、上記実施形態と同様の方法でビニルトリメトキシシランにて処理したシリカ粉末を用いた。アルコール(第1アルコール)としてエタノールを過剰に反応容器に入れ、60℃で24時間シリカ粉末を浸漬した。シリカ粉末は0.5g用いた。また、シランカップリング処理の熟成環境は、室温で大気中の放置とした。熟成日数は、3日、11日、22日、28日、42日、49日、56日、63日、70日、77日、84日、91日の12点とした。これら12パターンのシランカップリング剤処理品について、それぞれエタノール浸漬を行い、第2アルコールであるメタノール生成量を上記実施形態と同様の方法でガスクロマトグラフ分析により測定した。【0036】(ガスクロマトグラフによる測定)測定装置は島津製作所製GC−17A、分離カラム(口径0.25mm)は液相:TC−WAX(膜厚:0.25μm)、長さ60mのキャピラリーカラムを用いた。【0037】実施例1は、エタノールに浸漬することで、ビニルトリメトキシシランのメトキシ基がほぼ100%アルコールに置換され、メタノールを生成した。具体的には、シランカップリング剤処理後3日目品からは960ppmのメタノールが生成した。また、CHN分析により表面に付着した炭素量と併せて考えると処理後3日目品で、シランカップリング剤であるビニルトリメトキシシランと、無機系充填剤であるシリカ粉末との反応率は50%であった。【0038】実験室に放置したシリカ粉末を用い、エタノール中60℃、24時間処理でどの程度のメタノールが生成するか経時変化を追跡したところ図2の○及び実線のようになり(メタノール生成量)、大気中の水分によりアルコキシ基が徐々に加水分解していることを示唆する結果が得られた。また、図2の●及び破線はフィラー(シリカ粉末)の脱落率(%)の曲線を示す。各処理条件のシリカ粉末を樹脂中の混練した後のシリカ粉末の脱落率を示し、この値が大きいものは、シリカ粉末とシランカップリング剤の密着性が良くないことを示している。【0039】(示差走査熱量測定)さらに、このメタノール生成量の変化と実際のカップリング剤の状態について考察するため、示差走査熱量測定を行った。測定装置:(DSC−3100S(MAC SCIENCE))温度条件:25℃→400℃→25℃→400℃、10℃/min試料重量:約10mg雰囲気:空気容器:アルミニウムφ6.5mm容器(蓋有)【0040】さらに、図2に示すように、この経時変化によるメタノール減量とDSC挙動との間には相関性があることが確認できた。一連の検討によりアルコール交換反応を用いた前処理は有効であり、さらに無機系充填剤(フィラー)/アルコール溶液中のメタノール生成量の減少は加水分解反応に基づいていることを示す結果が得られた。【0041】【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明によれば、シランカップリング剤中のアルコキシ基の量を定量することで、シランカップリング剤の加水分解の進行度を把握することができ、これにより脱水縮合によるシランカップリング剤と無機系充填剤との反応率を把握することができる。また、シランカップリング剤中のアルコキシ基の量を定量するにあたり、シランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤をアルコール(第1アルコール)中に浸漬し、シランカップリング剤中に残存しているアルコキシ基をアルコール(第2アルコール)に置換している。このため、この置換されたアルコキシ基を有するアルコール(第2アルコール)をガスクロマトグラフ分析により定量することができ、非常に精度良くアルコキシ量を同定することができる。【0042】よって、無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応過程を定量的に評価することができる。その結果、シランカップリング剤と無機系充填剤の密着性を評価することができる。特に、シランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤をPPS、PE等の樹脂中に配合して用いる際の無機系充填剤と樹脂との密着性評価の指標として有用である。【図面の簡単な説明】【図1】 シランカップリング剤による表面処理の反応過程を示す図である。【図2】 シリカの室温での放置時間に対するメタノール生成量の経時変化を示す図である。 シランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤を第1アルコール中に浸漬し、該第1アルコールにより上記シランカップリング剤中のアルコキシ基を置換し、該アルコキシ基を有する第2アルコールを生成し、ガスクロマトグラフ分析により、上記第1アルコールと上記アルコキシ基を有する第2アルコールとを分離すると共に、上記アルコキシ基を有する第2アルコール量を定量して、上記置換前に上記シランカップリング剤中に存在していたアルコキシ基の量を同定し、上記無機系充填剤に表面処理されたシランカップリング剤と該無機系充填剤との反応率を評価することを特徴とする無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法。 上記シランカップリング剤による表面処理が施された無機系充填剤は、上記第1アルコール中に40℃〜80℃の温度で、12時間〜48時間の条件下で浸漬している請求項1に記載の無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法。 上記第1アルコールとして、エタノール、プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、ブタノールから選択されるアルコールが用いられる請求項1または請求項2に記載の無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法。 上記ガスクロマトグラフ分析の検出器として、水素化イオン検出器、質量分析器、あるいは熱伝導度検出器を用いている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法。 上記無機系充填剤として、シリカ、あるいは酸化亜鉛を用いている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の無機系充填剤に表面処理したシランカップリング剤の反応率評価方法。