タイトル: | 特許公報(B2)_皮膚外用剤 |
出願番号: | 2002265278 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/045,A61K 47/18,A61K 47/24,A61P 17/00,A61P 29/00,A61P 37/08,A61K 8/55,A61K 8/44,A61K 8/46 |
凉松 淳 住田 光 上坂 敏雄 堀 公彦 野々村 真美 JP 4246980 特許公報(B2) 20090116 2002265278 20020911 皮膚外用剤 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 凉松 淳 住田 光 上坂 敏雄 堀 公彦 野々村 真美 JP 2001274775 20010911 20090402 A61K 31/045 20060101AFI20090312BHJP A61K 47/18 20060101ALI20090312BHJP A61K 47/24 20060101ALI20090312BHJP A61P 17/00 20060101ALI20090312BHJP A61P 29/00 20060101ALI20090312BHJP A61P 37/08 20060101ALI20090312BHJP A61K 8/55 20060101ALI20090312BHJP A61K 8/44 20060101ALI20090312BHJP A61K 8/46 20060101ALI20090312BHJP JPA61K31/045A61K47/18A61K47/24A61P17/00A61P29/00A61P37/08A61K8/55A61K8/44A61K8/46 A61K 31/045 A61K 47/18 A61K 47/24 A61K 8/44 A61K 8/46 A61K 8/55 特開平10−036246(JP,A) 国際公開第97/030688(WO,A1) 国際公開第97/030689(WO,A1) 3 2003160476 20030603 10 20041201 大久保 元浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、セドロールの経皮吸収性が向上し、抗炎症作用、抗アレルギー(IL4産生抑制)作用、刺激緩和作用に優れた皮膚外用剤に関する。【0002】【従来の技術】薬剤の投与方法には、経口投与、粘膜への投与、注射での投与等の薬剤を直接体内へ投与する方法がある。最近は副作用の少なさから、経皮投与によるこれら薬剤を含む外用製剤が開発されている。一般に、皮膚の表面(表皮)は角質層に覆われ、体外からの異物進入を阻止する構造になっており、単に有効成分を配合した外用剤を表皮に塗布しただけでは十分な経皮吸収性は得られない。そこで表皮からの直接吸収を改良するためにジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の経皮吸収促進剤が提案されている(特許文献1)。【0003】一方、発明者らはセドロールに優れたIL4産生抑制作用による抗炎症作用、抗アレルギー作用(特許文献2)があることを見出しているが、水に不溶性の物質であり、角質層内へのセドロールの経皮吸収性が十分とはいえない場合が多かった。【0004】【特許文献1】特開昭61−33129号公報【特許文献2】特開2000−309528号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セドロールの経皮吸収性が向上し、セドロールの効果(抗炎症作用、抗アレルギー作用、刺激緩和作用)を十分に発揮できる皮膚外用剤を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者は、アニオン界面活性剤の有する角質層軟化作用と、アニオン界面活性剤とセドロールとの相溶性を利用し、角質層内にセドロールを効率良く滞留させることで経皮吸収性が向上した皮膚外用剤が得られることを見出した。加えて、安全性、使用感の点で満足できるアニオン界面活性剤として、リン酸エステル基もしくはアシルアミノ基を有するアニオン界面活性剤を1種ないし2種以上用いることで、セドロールの経皮吸収性を優れたものにすると同時にセドロール自体の抗炎症作用、抗アレルギー(IL4産生抑制)作用、刺激緩和作用を一段と高めた皮膚外用剤が得られることを見出した。【0007】本発明は、次の成分(A)及び(B):(A)セドロール、(B)アニオン界面活性剤を含有する皮膚外用剤を提供するものである。【0008】【発明の実施の形態】本発明の皮膚外用剤に使用する成分(A)のセドロールは、セスキテルペンアルコールの1種であり、光学異性体が存在するが、一般的には式(1)で示される(d)体で存在する。本発明の抗アレルギー作用の有効成分であるセドロールとしては(d)体が好ましいが、光学異性体である(l)体のもの、もしくは(d)体と(l)体の混在する形態であっても有効性に問題ない。【0009】【化1】【0010】セドロールは、一般にマツ科ヒマラヤスギ属、ヒノキ科ネズミサシ属、ビャクシン属、クロベ属等の植物の精油に含まれる香料成分として知られている。また、シダーウッド油、ヒバ油等の精油から蒸留等により精製して得ることができるし、合成によっても得られる。本発明において使用するセドロールは上記精油精製品、合成品のいずれを使用してもよく、市販品を用いてもよい。【0011】セドロールは、本発明の皮膚外用剤中に0.001〜10重量%、特に0.1〜5重量%含有させると、抗炎症、抗アレルギー作用を効果的に発揮できるので好ましい。【0012】本発明の皮膚外用剤に使用する成分(B)のアニオン界面活性剤としては、リン酸エステル基、アシルアミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基等を有するもの及びそれらの塩が挙げられる。リン酸エステル基を有するものとしては、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩等;アシルアミノ基を有するものとしては、アシルサルコシン塩、アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アシルアルギニン塩、アシルメチルアラニン塩等;カルボン酸基を有するものとしては、脂肪酸石鹸、エーテルカルボン酸又はその塩等;スルホン酸基を有するものとしては、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、エステルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩等;硫酸エステル基を有するものとしては、硫酸化油、エステル硫酸塩、アルキル硫酸塩、エーテル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩等が挙げられる。ここで、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アルギニン等のアミノ酸塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などが挙げられ、特にアルカリ金属塩が好ましい。また、上記アルキル基、アシル基を含む置換基のうち、単独で用いられるときは、アルキル基は炭素数12以上、アシル基は炭素数14以上が好ましい。【0013】成分(B)としては、特にリン酸エステル基を有するアニオン界面活性剤及び炭素数14以上のアシル基を持つアシルアミノ基を有するアニオン界面活性剤が、皮膚の刺激もなく、使用感の点で、更に経皮吸収効果の点で好ましい。【0014】リン酸エステル基を有するアニオン界面活性剤としては、モノ又はジ(C6〜C24)アルキル又はアルケニルリン酸エステル塩、モノ又はジ(ポリオキシエチレン(2〜20)C6〜C24アルキル又はアルケニル)リン酸エステル塩が挙げられる。具体例としては、モノラウリルリン酸ナトリウム、イソステアリルリン酸ナトリウム、2−ヘキシルデシルリン酸アルギニン、2−ヘプチルウンデシルリン酸カリウム、ポリオキシエチレン(4〜10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム、モノセチルリン酸ナトリウム、モノミリスチルリン酸アルギニン、モノオレイルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2〜10)ラウリルエーテルリン酸カリウム、ジオクチルリン酸ナトリウム等が挙げられる。【0015】炭素数14以上のアシル基を持つアシルアミノ基を有するアニオン界面活性剤としては、N−C14〜C24アシルサルコシン塩、N−C14〜C24アシルメチルタウリン塩、N−C14〜C24アシルグルタミン酸塩、N−C14〜C24アシルアルギニン塩、N−C14〜C24アシルメチルアラニン塩等が挙げられる。具体例としては、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸カリウム、N−パルミトイル−β−アラニンアルギニン、パルミトイルサルコシンナトリウム等が挙げられる。【0016】本発明の皮膚外用剤には、アニオン界面活性剤は2種以上を併用してもよい。アニオン界面活性剤は、効果、安定性の点で、膚外用剤中に0.001〜10重量%、特に0.1〜5重量%含有するのが好ましい。【0017】本発明の皮膚外用剤は、上記成分(A)及び(B)の他に、通常医薬品、医薬部外品、化粧品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、油性成分(スクワラン、オリーブ油、高級アルコール、高級脂肪酸等)、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー等)、アルコール類(グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エタノール等)、有機酸類(クエン酸、コハク酸、アジピン酸、乳酸)、pH調整剤(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、粉末成分、色剤、水性成分、防腐剤、酸化防止剤、香料、キレート剤、水、各種皮膚栄養剤、生薬、エキス等を必要に応じて適宜配合することができる。【0018】本発明の皮膚外用剤は、通常の方法に従って製造することができ、例えばクリーム、乳液、ローション、ジェル等の形態にすることができる。【0019】【実施例】実施例1次の皮膚外用剤を常法により調製し、経皮吸収性、刺激性及び使用感について評価した。結果を表1に示す。組成:セドロール 0.1(重量%)界面活性剤 (表1)モノステアリン酸ソルビタン 1グリセリン 5オリーブ油 11,3−ブチレングリコール 5精製水 残量【0020】次の評価法を用いた。<経皮吸収性>パネラー(10名)の上腕部に、開孔径16mmの孔のあいたパッチテスト用バンソウ膏を貼った後、試料200μLを塗布した。塗布後、6時間でバンソウ膏をはがし、次いで塗布部をセロハンテープで10回テープストリップピングを行い、セロハンテープに密着した角層中のセドロール量を測定した。セドロールの定量は、10枚のセロハンテープからのエタノール抽出物をガスクロマトグラフィーで測定した。下記式により経皮吸収率を求め、判定基準により判定した。【0021】【数1】【0022】経皮吸収性判定基準:1;経皮吸収率 1%未満。2;経皮吸収率 1%以上2%未満。3;経皮吸収率 2%以上3%未満。4;経皮吸収率 3%以上。【0023】<刺激性>敏感肌パネラー(10名)に石鹸で洗顔後、各皮膚外用剤を塗布し、1分後の肌の状態を次の判定基準で判定した。表1の結果中、カッコ内はセドロールを配合しない場合の刺激性である。刺激性判定基準:A;少しでも刺激感を感じた人数 0名。B;少しでも刺激感を感じた人数 1〜2名。C;少しでも刺激感を感じた人数 3〜5名。D;少しでも刺激感を感じた人数 6〜10名。【0024】<使用感>美容専門パネラー(10名)が、各皮膚化粧料を使用した際の使用感を次の評価基準で評価し、判定基準により判定した。評価基準:1;べたつかない。2;わずかにべたつく。3;べたつく。4;著しくべたつく。使用感判定基準:A;平均評価点 1.5未満。B;平均評価点 1.5以上2.5未満。C;平均評価点 2.5以上3.5未満。D;平均評価点 3.5以上。【0025】【表1】【0026】本発明品1〜4はいずれも、経皮吸収性が向上し、刺激性もなくまた使用感に優れていた。【0027】実施例2 (乳液)【0028】実施例3 (ジェル)【0029】実施例4 (ローション)【0030】実施例5 (クリーム)【0031】実施例2〜5の皮膚外用剤は、いずれもセドロールの経皮吸収性に優れ、抗炎症作用、抗アレルギー(IL4産生抑制)作用、刺激緩和作用が優れ、使用感も良好である。【0032】【発明の効果】本発明の皮膚外用剤は、セドロールの経皮吸収性が向上し、抗炎症作用、抗アレルギー(IL4産生抑制)作用、刺激緩和作用に優れ、使用感も良好である。 次の成分(A)及び(B):(A)セドロール、(B)リン酸エステル基を有するアニオン界面活性剤及び炭素数14以上のアシル基を持つアシルアミノ基を有するアニオン界面活性剤から選ばれるアニオン界面活性剤を含有する皮膚外用剤。 成分(B)が、モノ又はジ(ポリオキシエチレン(2〜20)C6〜C24アルキル又はアルケニル)リン酸エステル塩、N−C14〜C24アシルサルコシン塩、N−C14〜C24アシルメチルタウリン塩、N−C14〜C24アシルグルタミン酸塩及びN−C14〜C24アシルメチルアラニン塩から選ばれるアニオン界面活性剤である請求項1記載の皮膚外用剤。 成分(A)を0.001〜10重量%、成分(B)を0.001〜10重量%含有する請求項1記載の皮膚外用剤。