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タイトル:公開特許公報(A)_アニオン又はカチオン界面活性剤濃度の測定方法
出願番号:2002260862
年次:2004
IPC分類:7,G01N27/26


特許情報キャッシュ

光田 光義 JP 2004101260 公開特許公報(A) 20040402 2002260862 20020906 アニオン又はカチオン界面活性剤濃度の測定方法 竹本油脂株式会社 000210654 入山 宏正 100081798 光田 光義 7 G01N27/26 JP G01N27/26 341A G01N27/26 381A 4 OL 12 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はアニオン又はカチオン界面活性剤濃度の測定方法に関し、更に詳しくは油性物質を含有する試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を、検出器として分相滴定用界面活性剤電極を備える自動滴定装置を用いて分相滴定することにより測定する方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を分相滴定することにより測定する方法として、エプトン法が知られている。このエプトン法は、試料をクロロホルムと水との系に分相させ、その分相系に指示薬としてメチレンブルー塩酸塩水溶液を加え、この状態で手作業により標準溶液を滴下して分相滴定し、この際に該指示薬の該分相系における移行を肉眼観察することにより終点を決め、かかる終点に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法である。ところが、このエプトン法には、分相滴定を手作業で行なうことに加えて、終点を肉眼観察で決めるため、測定に熟練を要し、また時間がかかるという問題がある。【0003】前記のエプトン法の問題を解決する方法として、試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を、検出器として分相滴定用界面活性剤電極を備える自動滴定装置を用いて分相滴定することにより測定する方法が知られている。この従来法は、試料を水又はクロロホルムと水との系に分相させ、その分相系に分相滴定用界面活性剤電極を浸して、かかる状態で自動滴定装置を用いて分相滴定し、この際に該分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法である。ところが、この従来法には、試料が油性物質を含まないものである場合には測定精度が相応に高いが、試料が油性物質を含むものである場合には測定精度が著しく低くなるという問題がある。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を、検出器として分相滴定用界面活性剤電極を備える自動滴定装置を用いて分相滴定することにより測定する方法において、試料が油性物質を含有するものであっても該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を高精度で測定できる方法を提供する処にある。【0005】【課題を解決するための手段】しかして本発明者は、上記の課題を解決するべく研究した結果、油性物質を含有する試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を、検出器として分相滴定用界面活性剤電極を備える自動滴定装置を用いて分相滴定することにより測定する方法において、試料を特定の系に分相させると共に、分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差を多重移動平均処理することが正しく好適であることを見出した。【0006】すなわち本発明は、油性物質を含有する試料を分相させ、その分相系に分相滴定用界面活性剤電極を浸して、かかる状態で自動滴定装置を用いて分相滴定し、この際に該分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法において、試料をニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと水との系に分相させると共に、分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差を多重移動平均処理した校正電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定することを特徴とするアニオン又はカチオン界面活性剤濃度の測定方法に係る。【0007】また本発明は、油性物質を含有する試料を分相させ、その分相系に分相滴定用界面活性剤電極を浸して、かかる状態で自動滴定装置を用いて分相滴定し、この際に該分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法において、試料をニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと低級アルコールと水との系に分相させると共に、分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差を多重移動平均処理した校正電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定することを特徴とするアニオン又はカチオン界面活性剤濃度の測定方法に係る。【0008】本発明において、油性物質を含有する試料としては、1)アニオン界面活性剤と油性物質とを含有するもの、2)カチオン界面活性剤と油性物質とを含有するものが挙げられる。前記1)の場合、アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホン酸やその塩、アルケニルスルホン酸やその塩、ビス(アルキルオキシカルボニル)−1−エタンスルホン酸やその塩、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩のような、長鎖炭化水素基を有する有機スルホン酸やその塩、アルキル又はアルケニル硫酸やその塩、アルキル又はアルケニル(ポリ)アルコキシ硫酸やその塩のような、長鎖炭化水素基を有する有機硫酸やその塩、3)オクタン酸やその塩、ラウリン酸やその塩、ステアリン酸やその塩のような、長鎖炭化水素基を有する脂肪酸やその塩等が挙げられる。また前記2)の場合、カチオン界面活性剤としては、長鎖炭化水素基を有する第四級アンモニウム塩、長鎖脂肪族アミンやその塩、ポリオキシアルキレン基を有する長鎖脂肪族アミンやその塩等が挙げられる。更に前記1)及び2)の場合を通じて、油性物質としては、天然油脂、高級アルコール、高級脂肪族アミン、鉱物油、合成エステル、シリコーン油等が挙げられる。【0009】以上説明したような試料の具体例としては、アニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤の合成品又はその中間品、紡績用油剤、紡糸油剤、サイジング助剤、編み立て油剤、後加工仕上げ剤等の各種繊維用油剤、潤滑油、切削油、金属洗浄剤等の金属用油剤、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、シャンプー等の化粧料、塗料、農薬等が挙げられる。【0010】本発明でも、前記のような油性物質を含有する試料を分相させ、その分相系に分相滴定用界面活性剤電極を浸し、かかる状態で自動滴定装置を用いて分相滴定する。試料中のアニオン界面活性剤濃度を測定する場合にはカチオン界面活性剤標準溶液で分相滴定し、また試料中のカチオン界面活性剤濃度を測定する場合にはアニオン界面活性剤標準溶液で分相滴定するが、試料中のアニオン界面活性剤濃度を測定する場合には通常、過剰のカチオン界面活性剤標準溶液を加え、余剰分のカチオン界面活性剤をアニオン界面活性剤標準溶液で分相滴定する。いずれの場合も、JIS−K3362に記載されているような、カチオン界面活性剤標準溶液としては塩化ベンゼトニウム水溶液を使用でき、またアニオン界面活性剤標準溶液としてはラウリル硫酸ナトリウム水溶液を使用できる。かかる分相滴定に伴い、分相系の電位が変化するので、電位の変化すなわち電位差のなかから飛躍点を決め、それまでの滴定量から計算して試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を求める。【0011】本発明において、自動滴定装置それ自体としては市販品を利用できる。これには例えば、京都電子工業株式会社製の電位差自動滴定装置ATシリーズ、平沼産業株式会社製の平沼自動滴定装置COMシリーズ、メチローム・シバタ株式会社製の自動滴定装置GP又はGPDティトリーノシリーズ、メトラー・トレド株式会社製の自動滴定装置DLシリーズ等が挙げられる。また分相滴定用界面活性剤電極それ自体としても市販品を利用できる。これには例えば、メトローム・シバタ株式会社製の分相滴定用界面活性剤電極、メトラー・トレド株式会社製の分相滴定用界面活性剤電極等が挙げられるが、なかでもメトローム・シバタ株式会社製の商品名サーファクトロードリフィル6.0507.140が好ましい。【0012】本発明では、前記のような油性物質を含有する試料を、1)ニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと、水との系、又は2)ニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと、低級アルコールと、水との系に分相させる。試料を分相させるためのかかる系には、ニトロベンゼンと水との系、ニトロアニソールと水との系、ニトロベンゼンとニトロアニソールと水との系、ニトロベンゼンと低級アルコールと水との系、ニトロアニソールと低級アルコールと水との系、ニトロベンゼンとニトロアニソールと低級アルコールと水との系が含まれる。この場合、低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が挙げられる。【0013】油性物質を含有する試料をニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと水との系に分相させる場合、その分相系における(ニトロベンゼン及び/又はニトロアニソール)/水=2/98〜15/85(容量比)の割合となるようにするのが好ましく、また油性物質を含有する試料をニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと低級アルコールと水との系に分相させる場合、その分相系における(ニトロベンゼン及び/又はニトロアニソール)/低級アルコール/水=2〜15/0.1〜3/84〜97(容量比)の割合となるようにするのが好ましい。測定精度をより高めるためである。【0014】また本発明では、前記のように分相滴定するとき、分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差にそのまま基づいて試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定するのではなく、分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差を多重移動平均処理した校正電位差に基づいて試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する。かかる多重移動平均処理それ自体には公知の演算処理手段を利用できる。【0015】かくして試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定するに際しては、分相系における測定対象のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度が0.1〜0.2重量%となるように試料を分相させるのが好ましく、また多重移動平均処理する検出電位差の数(観測値の数すなわち多重度)は3〜6とするのが好ましい。測定に要する時間に配慮しつつ、測定精度をより高めるためである。【0016】油性物質を含有する試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を、検出器として分相滴定用界面活性剤電極を備える自動滴定装置を用いて分相滴定することにより測定するとき、従来法のように、試料を水又はクロロホルムと水との系に分相させ、また分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差にそのまま基づいて測定すると、分相滴定中、検出される電位差が極めて複雑に変化し、しかもその再現性に劣るため、結果として測定精度が著しく低くなるが、本発明のように、試料をニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと水との系、又はニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと低級アルコールと水との系に分相させ、また分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差を多重移動平均処理した校正電位差に基づいて測定すると、分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差が統計的に集約され、しかもその再現性に優れるため、結果として測定精度を充分に高めることができる。【0017】【発明の実施の形態】本発明の実施形態としては、次の1)〜6)が挙げられる。1)油性物質を含有する試料をニトロアニソールと水との系に分相させ{分相系におけるニトロアニソール/水=10/90(容量比)}、その分相系に分相滴定用界面活性剤電極を浸して、かかる状態で自動滴定装置を用いて分相滴定し、この際に該分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差を多重度3で多重移動平均処理した校正電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法。【0018】2)油性物質を含有する試料をニトロベンゼンと水との系に分相{分相系におけるニトロベンゼン/水=6/94(容量比)}させたこと以外は前記1)と同様にして試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法。【0019】3)油性物質を含有する試料をニトロアニソールとニトロベンゼンと水との系に分相{分相系における(ニトロアニソール及びニトロベンゼン)/水=10/90(容量比)}させたこと以外は前記1)と同様にして試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法。【0020】4)油性物質を含有する試料をニトロアニソールとメチルアルコールと水との系に分相{分相系におけるニトロアニソール/メチルアルコール/水=10/2/88(容量比)}させたこと以外は前記1)と同様にして試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法。【0021】5)油性物質を含有する試料をニトロベンゼンとメチルアルコールと水との系に分相{分相系におけるニトロベンゼン/メチルアルコール/水=10/2/88(容量比)}させたこと以外は前記1)と同様にして試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法。【0022】6)油性物質を含有する試料をニトロアニソールとニトロベンゼンとメチルアルコールと水との系に分相{分相系における(ニトロアニソール及びニトロベンゼン)/メチルアルコール/水=10/2/88(容量比)}させたこと以外は前記1)と同様にして試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法。【0023】以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は重量部を、また%は重量%を意味する。【0024】【実施例】・試験区分1(試料の調製)・試料1の調製スピンドル油73部、ペンタエリスリトールトリデカノエート10部、トリデシルスルホン酸ナトリウム10部及びポリオキシエチレン(オキシエチレン単位の繰り返し数10、以下n=10とする)オレイルエーテル5部及び水2部を室温で混合して試料1を調製した。【0025】・試料2の調製パラフィンワックス15部、ステアリン酸ステアリル5部、ラウリル硫酸ナトリウム10部及びポリオキシエチレン(n=10)ラウリルエーテル5部及び水65部を80〜90℃で混合し、同温度でホモジナイザー処理した後、室温まで冷却して、試料2を調製した。【0026】・試料3の調製流動パラフィン25部、パルミチン酸オクチル15部、ポリオキシエチレン(n=10)ドデシルエーテル2部、ポリオキシエチレン(n=25)ドデシルエーテル3部、オレイン酸ナトリウム50部及び水5部を室温で混合して試料3を調製した。【0027】・試料4の調製シリコーンオイル20部、ポリオキシエチレン(n=10)ラウリルエーテル3部、ポリオキシエチレン(n=25)ラウリルエーテル1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6部及び水70部を室温で混合し、同温度でホモジナイザー処理して、試料4を調製した。【0028】・試料5の調製パラフィンワックス18部、セチルアルコール0.5部、グリセリン=モノステアラート1.5部、ポリオキシエチレン(n=5)セチルエーテル2部、ポリオキシエチレン(n=20)オレイルエーテル1部、(オクタデカノイルアミノトリメチレン)ジメチルエチルアンモニウムエチル=スルファート10部及び水67部を80〜90℃で混合し、同温度でホモジナイザー処理した後、室温まで冷却して、試料5を調製した。【0029】・試料6の調製牛脂硬化油15部、セチルアルコール2部、グリセリン=ジステアラート2部、ポリオキシエチレン(n=3)セチルエーテル1部、ポリオキシエチレン(n=15)オレイルエーテル1部、ドデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム=アセテート9部及び水70部を70〜80℃で混合し、同温度でホモジナイザー処理した後、室温まで冷却して、試料6を調製した。【0030】・試料7の調製流動パラフィンワックス60部、セチルアルコール0.5部、ポリオキシエチレン(n=5)セチルエーテル4.5部、(オクタデカノイルアミノトリメチレン)ジメチルエチルアンモニウムエチル=スルファート30部及び水5部を室温で練り混ぜて試料7を調製した。以上で調製した試料1〜7の内容を表1にまとめて示した。【0031】【表1】【0032】表1において、A−1:トリデシルスルホン酸ナトリウムA−2:ラウリル硫酸ナトリウムA−3:オレイン酸ナトリウムA−4:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムA−5:(オクタデカノイルアミノトリメチレン)ジメチルエチルアンモニウムエチル=スルファートA−6:ドデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム=アセテート【0033】B−1:スピンドル油/ペンタエリスリトールトリデカノエート=73/10(重量比)の混合物B−2:パラフィンワックス/ステアリン酸ステアリル=15/5(重量比)の混合物B−3:流動パラフィン/パルミチン酸オクチル=25/15(重量比)の混合物B−4:シリコーンオイルB−5:パラフィンワックス/セチルアルコール=18/0.5(重量比)の混合物B−6:牛脂硬化油/セチルアルコール=15/2(重量比)の混合物B−7:流動パラフィン/セチルアルコール=60/0.5(重量比)の混合物【0034】C−1:ポリオキシエチレン(n=10)オレイルエーテル/水=5/2(重量比)の混合物C−2:ポリオキシエチレン(n=10)ラウリルエーテル/水=5/65(重量比)の混合物C−3:ポリオキシエチレン(n=10)ドデシルエーテル/ポリオキシエチレン(n=25)ドデシルエーテル/水=2/3/5(重量比)の混合物C−4:ポリオキシエチレン(n=10)ラウリルエーテル/ポリオキシエチレン(n=25)ラウリルエーテル/イオン交換水=3/1/70(重量比)の混合物C−5:グリセリン=モノステアラート/ポリオキシエチレン(n=5)セチルエーテル/ポリオキシエチレン(n=20)オレイルエーテル/水=1.5/2/1/67(重量比)の混合物C−6:グリセリン=ジステアラート/ポリオキシエチレン(n=3)セチルエーテル/ポリオキシエチレン(n=15)オレイルエーテル/水=2/1/1/70(重量比)の混合物C−7:ポリオキシエチレン(n=5)セチルエーテル/水=4.5/5(重量比)の混合物【0035】・試験区分2(アニオン界面活性剤濃度の測定)実施例1試験区分1で調製した試料1を1.43g(アニオン界面活性剤として0.5ミリモル相当)を秤取り、水で1000gに希釈して試料希釈液とした。トールビーカーに試料希釈液50.0gと3ミリモル/L濃度のカチオン界面活性剤標準溶液50.0gを秤取り、更にニトロアニソール15mlと水35mlとを加えて、試料1を分相させ{分相系におけるニトロアニソール/水=10/90(容量比)}、その分相系を測定用試料とした。一方、トールビーカーに水50.0gと3ミリモル/L濃度のカチオン界面活性剤標準溶液50.0gを秤取り、更にニトロアニソール15mlと水35mlとを加えて、これを空試験用試料とした。前記の測定用試料に分相滴定用界面活性剤電極(メトローム社製の商品名サーファクトローデリファイル6.0507.140)を浸し、かかる状態で自動滴定装置(メトローム社製の商品名716DMS)を用いて、5ミリモル/L濃度のアニオン界面活性剤標準溶液で分相滴定した。この際、滴定による電位差を分相滴定用界面活性剤電極により検出して、検出した電位差を多重度3で多重移動平均処理した校正電位差のなかから電位飛躍点を決めた。かくして決めた電位飛躍点までに要したアニオン界面活性剤標準溶液の滴下量Aを得た。一方、空試験用試料についても同様に測定を行なって電位飛躍点を決め、電位飛躍点までに要したアニオン界面活性剤標準溶液の滴下量Bを得た。滴下量A及びB等を下記の式1に代入して試料1中のアニオン界面活性剤の含有量を算出した。同様の測定及び算出を10回繰り返しして、試料1中のアニオン界面活性剤含有量測定値の平均値及び標準偏差を求めた。【0036】【式1】【0037】式1において、A:測定用試料の電位飛躍点までに要したアニオン界面活性剤標準溶液の滴下量(ml)B:空試験用試料の電位飛躍点までに要したアニオン界面活性剤標準溶液の滴下量(ml)C:アニオン界面活性剤標準溶液の濃度(ミリモル/L)S:試料採取量(g)【0038】実施例4、7、10実施例1と同様にして、試料2〜4のアニオン界面活性剤濃度を測定した。これらを実施例4、7、10とした。以上の各実施例における結果を表2にまとめて示した。【0039】実施例2ニトロアニソール15mlと水35mlに代えて、ニトロアニソール15mlとメチルアルコール3mlと水32mlを用いたこと以外、実施例1と同様にして試料1のアニオン界面活性剤濃度を測定した。【0040】実施例5、8、11実施例2と同様にして、試料2〜4のアニオン界面活性剤濃度を測定した。これらを実施例5、8、11とした。以上の各実施例における結果を表2にまとめて示した。【0041】実施例3ニトロアニソール15mlと水35mlに代えて、ニトロベンゼン4mlと水46mlを用いたこと以外、実施例1と同様にして試料1のアニオン界面活性剤濃度を測定した。【0042】実施例6、9、12実施例3と同様にして、試料2〜4のアニオン界面活性剤濃度を測定した。これらを実施例6、9、12とした。以上の各実施例における結果を表2にまとめて示した。【0043】比較例1試験区分1で調製した試料1を1.43g(アニオン界面活性剤として0.5ミリモル相当)を秤取り、水で1000gに希釈して試料希釈液とした。トールビーカーに試料希釈液50.0gと3ミリモル/L濃度のカチオン界面活性剤標準溶液50.0gを秤取り、更にクロロホルム10mlと水40mlとを加えて、試料1を分相させ、その分相系を測定用試料とした。一方、トールビーカーに水50.0gと3ミリモル/L濃度のカチオン界面活性剤標準溶液50.0gを秤取り、更にクロロホルム10mlと水40mlとを加えて、これを空試験用試料とした。前記の測定用試料に分相滴定用界面活性剤電極(メトローム社製の商品名サーファクトローデリファイル6.0507.140)に浸し、かかる状態で自動滴定装置(メトローム社製の商品名716DMS)を用いて、5ミリモル/L濃度のアニオン界面活性剤標準溶液で分相滴定した。この際、滴定による電位差を分相滴定用界面活性剤電極により検出して、検出した電位差を多重移動平均処理することなくそのまま利用し、かかる電位差のなかから電位飛躍点を決めた。かくして決めた電位飛躍点までに要したアニオン界面活性剤標準溶液の滴下量Aを得た。一方、空試験用試料についても同様に測定を行なって電位飛躍点を決め、電位飛躍点までに要したアニオン界面活性剤標準溶液の滴下量Bを得た。滴下量A及びB等を前記の式1に代入して試料1中のアニオン界面活性剤の含有量を算出した。同様の測定及び算出を10回繰り返して、試料1中のアニオン界面活性剤含有量測定値の平均値及び標準偏差を求めた。【0044】比較例3、5、7比較例1と同様にして、試料2〜4のアニオン界面活性剤濃度を測定した。これらを比較例3、5、7とした。以上の各比較例における結果を表2にまとめて示した。【0045】比較例2クロロホルム10mlと水40mlに代えて、水50mlを用いたこと以外、比較例1と同様にして試料1のアニオン界面活性剤濃度を測定した。【0046】比較例4、6、8比較例2と同様にして、試料2〜4のアニオン界面活性剤濃度を測定した。これらを比較例4、6、8とした。以上の各比較例における結果を表2にまとめて示した。【0047】【表2】【0048】表2において、*1:実質的に電位差を検出できず、測定値が得られないD−1:ニトロアニソールと水との系D−2:ニトロアニソールとメチルアルコールと水との系D−3:ニトロベンゼンと水との系DR−1:クロロホルムと水との系DR−2:水の系M−1:多重移動平均処理をする方法MR−1:多重移動平均処理をしない方法これらは以下同じ【0049】・試験区分3(カチオン界面活性剤濃度の測定)実施例13試験区分1で調製した試料5を2.6g(カチオン界面活性剤として0.5ミリモル相当)を秤取り、水で1000gに希釈して試料希釈液とした。トールビーカーに試料希釈液50.0gとニトロアニソール15mlと水35mlを加えて、試料5を分相させ{分相系におけるニトロアニソール/水=10/90(容量比)}、その分相系を測定用試料とした。この測定用試料に分相滴定用界面活性剤電極(メトローム社製の商品名サーファクトローデリファイル6.0507.140)を浸し、かかる状態で自動滴定装置(メトローム社製の商品名716DMS)を用いて、5ミリモル/L濃度のアニオン界面活性剤標準溶液で分相滴定した。この際、滴定による電位差を分相滴定用界面活性剤電極により検出して、検出した電位差を多重度3で多重移動平均処理した校正電位差のなかから電位飛躍点を決めた。かくして決めた電位飛躍点までに要したアニオン界面活性剤標準溶液の滴下量Aを得た。滴下量A等を下記の式2に代入して試料5中のカチオン界面活性剤の含有量を算出した。同様の測定及び算出を10回繰り返して、試料5中のカチオン界面活性剤含有量測定値の平均値及び標準偏差を求めた。【0050】【式2】【0051】式2において、A:測定用試料の電位飛躍点までに要したアニオン界面活性剤標準溶液の滴下量(ml)C:アニオン界面活性剤標準溶液の濃度(ミリモル/L)S:試料採取量(g)【0052】実施例16、19実施例13と同様にして、試料6、7のカチオン界面活性剤濃度を測定した。これらを実施例16、19とした。以上の各実施例における結果を表3にまとめて示した。【0053】実施例14ニトロアニソール15mlと水35mlに代えて、ニトロアニソール15mlとメチルアルコール3mlと水32mlを用いたこと以外、実施例13と同様にして試料5のカチオン界面活性剤濃度を測定した。【0054】実施例17、20実施例14と同様にして、試料6、7のカチオン界面活性剤濃度を測定した。これらを実施例17,20とした。以上の各実施例における結果を表3にまとめて示した。【0055】実施例15ニトロアニソール15mlと水35mlに代えて、ニトロベンゼン4mlと水46mlを用いたこと以外、実施例13と同様にして試料5のカチオン界面活性剤濃度を測定した。【0056】実施例18、21実施例15と同様にして、試料6、7のカチオン界面活性剤濃度を測定した。これらを実施例18,21とした。以上の各実施例における結果を表3にまとめて示した。【0057】比較例9試験区分1で調製した試料5を2.6g(カチオン界面活性剤として0.5ミリモル相当)を秤取り、水で1000gに希釈して試料希釈液とした。トールビーカーに試料希釈液50.0gを秤取り、更にクロロホルム10mlと水40mlを加えて、試料5を分相させ、その分相系を測定用試料とした。この測定用試料に分相滴定用界面活性剤電極(実施例1と同じもの)を浸し、かかる状態で自動滴定装置(実施例1と同じもの)を用いて、5ミリモル/L濃度のアニオン界面活性剤標準溶液で分相滴定した。この際、滴定による電位差を分相滴定用界面活性剤電極により検出して、検出した電位差を多重移動平均処理することなくそのまま利用し、かかる電位差のなかから電位飛躍点を決めた。かくして決めた電位飛躍点までに要したアニオン界面活性剤標準溶液の滴下量Aを得た。滴下量A等を前記の式2に代入して試料5中のカチオン界面活性剤の含有量を算出した。同様の測定及び算出を10回繰り返して、試料5中のカチオン界面活性剤含有量測定値の平均値及び標準偏差を求めた。【0058】比較例11、13比較例9と同様にして、試料6、7のカチオン界面活性剤濃度を測定した。これらを比較例11、13とした。以上の各比較例における結果を表3にまとめて示した。【0059】比較例10クロロホルム10mlと水40mlに代えて、水50mlを用いたこと以外、比較例9と同様にして試料5のカチオン界面活性剤濃度を測定した。【0060】比較例12、14比較例10と同様にして、試料6、7のカチオン界面活性剤濃度を測定した。これらを比較例12、14とした。以上の各比較例における結果を表3にまとめて示した。【0061】【表3】【0062】【発明の効果】既に明らかなように、以上説明した本発明には、試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を、検出器として分相滴定用界面活性剤電極を備える自動滴定装置を用いて分相滴定することにより測定する方法において、試料が油性物質を含有するものであっても、該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を高精度で測定できるという効果がある。 油性物質を含有する試料を分相させ、その分相系に分相滴定用界面活性剤電極を浸して、かかる状態で自動滴定装置を用いて分相滴定し、この際に該分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法において、試料をニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと水との系に分相させると共に、分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差を多重移動平均処理した校正電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定することを特徴とするアニオン又はカチオン界面活性剤濃度の測定方法。 油性物質を含有する試料を分相させ、その分相系に分相滴定用界面活性剤電極を浸して、かかる状態で自動滴定装置を用いて分相滴定し、この際に該分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定する方法において、試料をニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと低級アルコールと水との系に分相させると共に、分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差を多重移動平均処理した校正電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定することを特徴とするアニオン又はカチオン界面活性剤濃度の測定方法。 試料を、(ニトロベンゼン及び/又はニトロアニソール)/水=2/98〜15/85(容量比)の割合となる系に分相させる請求項1記載のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度の測定方法。 試料を、(ニトロベンゼン及び/又はニトロアニソール)/低級アルコール/水=2〜15/0.1〜3/84〜97(容量比)の割合となる系に分相させる請求項2記載のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度の測定方法。 【課題】試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を、検出器として分相滴定用界面活性剤電極を備える自動滴定装置を用いて分相滴定することにより測定する方法において、試料が油性物質を含有するものであっても、該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を高精度で測定できる方法を提供する。【解決手段】試料の分相系を、1)ニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと水との系、又は2)ニトロベンゼン及び/又はニトロアニソールと低級アルコールと水との系に形成すると共に、分相滴定用界面活性剤電極により検出される電位差を多重移動平均処理した校正電位差に基づいて該試料中のアニオン又はカチオン界面活性剤濃度を測定した。【選択図】     なし


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