生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アスコルビン酸を取り込んだ層状複水酸化物およびそれを含む化粧料組成物
出願番号:2002257221
年次:2004
IPC分類:7,C07D307/62,A61K7/00,A61K7/021,A61K7/48


特許情報キャッシュ

成田 榮一 平原 英俊 會沢 純雄 村上 雅彦 池松 大作 JP 2004091421 公開特許公報(A) 20040325 2002257221 20020903 アスコルビン酸を取り込んだ層状複水酸化物およびそれを含む化粧料組成物 テイカ株式会社 000215800 赤岡 迪夫 100060368 成田 榮一 平原 英俊 會沢 純雄 村上 雅彦 池松 大作 7 C07D307/62 A61K7/00 A61K7/021 A61K7/48 JP C07D307/62 A61K7/00 H A61K7/021 A61K7/48 5 OL 10 4C037 4C083 4C037LA02 4C037LA03 4C037LA04 4C083AB172 4C083AB432 4C083AC072 4C083AC122 4C083AC302 4C083AC352 4C083AC422 4C083AC482 4C083AD152 4C083AD641 4C083AD642 4C083CC01 4C083CC05 4C083CC12 4C083DD17 4C083DD31 4C083EE01 4C083EE03 4C083FF01 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、アスコルビン酸またはその同効物誘導体をインターカレーションにより取り込んだ層状複水酸化物(LDH)、その製造方法およびそれを配合した化粧料組成物に関する。【0002】【従来の技術】L−アスコルビン酸は、ビタミンCとも呼ばれ、薬理作用があることから壊血病の予防と治療に用いられたり、また免疫増強作用を有していることから感染の予防と治療にも用いられている。さらに、必須ビタミンの一つとして生体に有用な物質であり、しかも美白作用やしわ防止などにも効果があるとされて、ビタミン剤やサプリメントを始めとして、美白剤や抗酸化剤などとして化粧品にも使用されている。【0003】しかし、L−アスコルビン酸自体は経時安定性が悪く、また油への溶解性も悪いため、添加剤的に使用し難い欠点があった。【0004】【発明が解決しようとする課題】L−アスコルビン酸は、そのままでは不安定で熱や酸化に弱いのが欠点である。【0005】このため、アスコルビン酸の安定化方法の一つとして、アスコルビン酸2−リン酸、アスコルビン酸2−硫酸、あるいはアスコルビン酸2−グルコシドもしくは脂肪酸エステル誘導体など、アスコルビン酸を誘導体の形にして安定性を向上させるための工夫がなされている。【0006】しかしながら、これら誘導体はアスコルビン酸自体と比較した場合には安定であっても、特に熱安定性については十分とはいえず、その用途について限られてしまう。例えば化粧料への加熱配合や、樹脂・繊維などへの高温を要する練り込みや配合などは、化合物が分解するおそれがあり、また水溶性のため長期持続性にも問題があった。【0007】【課題の解決方法】本発明は、アスコルビン酸またはその生理活性を有する誘導体、具体的にはアスコルビン酸2−リン酸、アスコルビン酸2−硫酸およびアスコルビン酸2−グルコシドをインターカレーションにより取り込んだ層状複水酸化物を提供する。取り込まれたアスコルビン酸またはその誘導体は、熱を含む外部環境の変化に対して安定に保たれる一方、イオン交換によってアスコルビン酸などを容易に放出するので、アスコルビン酸生理活性を利用する目的で例えば化粧料に配合するのに適している。【0008】アスコルビン酸またはその誘導体を取り込んだ本発明の層状複水酸化物は、次の一般式で表わすことができる。【0009】〔M2+1−x M3+x (OH)2 〕x+〔An−x/n ・yH2 O〕x−【0010】ここで記号は以下の意味を有する。M2+:Mg,Fe,Zn,CuおよびCoから選ばれた1種以上の2価金属イオン、M3+:Al,Fe,CoおよびTiから選ばれた1種以上の3価金属イオン、そしてAn−:OH− ,F− ,Cl− ,NO3 − ,CO32− ,SO42− およびアスコルビン酸またはその誘導体から選ばれた1種以上のアニオンであって、その少なくとも1部はアスコルビン酸またはその誘導体である。xは、通常0.2≦x≦0.33の範囲にある。【0011】本発明はまた、上記のアスコルビン酸またはその誘導体をインターカレーションによって取り込んだ層状複水酸化物の製造法を提供する。この製造法は、一般式:〔M2+(1−x) M3 x (OH)2 〕x 〔An−x/n ・yH2 O〕x−において、An−1 の全部がCO32− である炭酸型層状複水酸化物を300〜800℃の温度で焼成して得られる酸化物固溶体を、水溶性塩のアスコルビン酸またはその誘導体の水溶液と反応させ、再構築法によりアスコルビン酸またはその誘導体をインターカレーションして取り込んだ層状複水酸化物に再構築することよりなる。【0012】さらに本発明は、化粧料基剤との混合物の形で、アスコルビン酸またはその誘導体を取り込んだ本発明の層状複水酸化物1〜30重量%を配合した化粧料組成物を提供する。【0013】【発明の実施の形態】層状複水酸化物とは、一般式〔M2+1−x M3+x (OH)2 〕x+〔An−x/n ・yH2 O〕x−で表される陰イオン交換能を有する層状化合物である。その結晶構造は、2価金属イオンと3価金属イオンとが配位した正八面体の水酸化物層、ならびに陰イオンと層間水からなる中間層からできている。これら層状複水酸化物の特徴は、水酸化物層における金属イオンの種類とその比、および中間陰イオンの種類の組み合わせを多様に設定できることにある(粘土科学、第40巻第3号、173−8(2001))。したがって、水酸化物層に対し上記条件を適正に設定すれば、特異的な陰イオンを選択的に担持させ、種々の用途に用いることが可能となる。【0014】本発明で用いる層状複水酸化物を製造するための原料として、まず2価金属成分と3価金属成分とが必要である。これらの金属成分は、反応させて本発明の複合体を形成させることができれば、(アルコキシド等の有機金属などを含め)どのような化合物であっても構わないが、価格等の原料供給の利便性から、塩化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの無機塩の形で供給するのが好ましい。また、後述する製造方法に対する利便性から、水溶性もしくは溶媒可溶性の塩でなければならない。【0015】上記2価金属成分を含む2価金属塩としては、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、コバルト塩から1種以上を選択して使用することができる。【0016】また、上記3価金属成分を含む3価金属塩としては、アルミニウム塩、鉄塩、コバルト塩、チタン塩から1種以上を選択して使用することができる。【0017】2価金属(M2+)塩と3価金属(M3+)塩の配合比率は、金属成分のモル比換算で、3価金属が全体の10〜50%、好ましくは20〜35%である。両者の合計モル数を1とした場合、0.2≦x≦0.33が通常である。【0018】上記金属成分を含む塩は、水あるいは有機溶媒中で混合され、例えば塩基性雰囲気下で炭酸成分と化合させて、次の一般式を有する層状複水酸化物の炭酸塩、すなわち炭酸型層状複水酸化物を形成することができる。【0019】〔M2+1−x M3+x (OH)2 〕x+〔(CO3 )x/2 ・yH2 O〕x−【0020】また、層状複水酸化物は天然にもハイドロタルサイト(Mg6 Al2 (OH)15CO3 ・4H2 O)あるいはMg、Alが他の2価、3価金属イオンに置換し、CO3も他の陰イオンに置換したハイドロタルサイト類似の鉱物として産出することが知られている。【0021】また、これらの化合物は容易に化学的にも合成でき、たとえば市販の協和化学製「キョーワードシリーズ」など、いずれの材料も本目的に使用できる。【0022】一般的に、層状複水酸化物の複合化の方法は、(1)イオン交換法、(2)共沈法および(3)再構築法が知られており、ホスト材料とゲスト材料の組み合わせにより適切な手法が選択される。イオン交換法とは、層状複水酸化物とアニオン性のゲスト材料を水中で混合することにより、層間にインターカレートする方法である。共沈法は、ゲスト材料を水中に溶解または懸濁させた液中に、層状複水酸化物の原料である2価金属イオン塩の溶液と3価金属イオン塩の溶液を滴下することにより、ゲスト物質を包含した層状複水酸化物を同時に合成する方法である。また再構築法とは、層状複水酸化物を前もって高温焼成し、脱炭酸および層間水を全部あるいは一部脱離させた熱分解物を、水等の溶媒中でゲスト物質と共存させると、熱分解物が層状複水酸化物に戻る際にゲスト物質を層間に取り込む手法である。【0023】以下、本発明で用いる層状複水酸化物の複合化方法について説明する。【0024】上記炭酸塩型層状複水酸化物を、300〜800℃、好ましくは500〜700℃で焼成することで、該炭酸塩の結晶水および炭酸成分が脱離した熱分解物が得られる。【0025】そして、この熱分解物と、アスコルビン酸あるいはその金属塩もしくはそれらの誘導体とを水中で反応(再構築反応)させることにより、熱分解物は水溶液中の陰イオン成分を取り込み、さらに有機成分をその層間に含有(インターカレート)して、本発明の、次の一般式で示される層状複水酸化物の層間に、アスコルビン酸あるいはその誘導体を含有(インターカレート)した複合体組成物が得られる。【0026】〔M2+1−x M3+x (OH)2 〕x+〔An−x/n ・yH2 O〕x−【0027】(ただし、An−:OH− 、F− 、Cl− 、NO3 − 、CO32− 、SO42− から選ばれる1種以上のn価アニオンを示す。アスコルビン酸あるいはその誘導体は、上記アニオンと一部置換していると考えられる。)【0028】ここでいうアスコルビン酸あるいはその金属塩もしくはそれらの誘導体とは、ビタミンCであるL−アスコルビン酸および鏡像体であるD−体、あるいはこれらの金属塩(特にナトリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましい)、ならびにこれらアスコルビン酸やその金属塩にリン酸基や硫酸基を付加したアスコルビン酸2−リン酸やアスコルビン酸2−硫酸、ならびにアスコルビン酸2−グルコシド、もしくはアスコルビン酸の脂肪酸エステル誘導体などのアスコルビン酸誘導体、およびそれらの金属塩を含めた化合物群(化合物単独であっても混合物であっても構わない)をいう。【0029】このようにして得られた本発明の複合体組成物は、その層間にアスコルビン酸あるいはその誘導体を含有している。この層間に存在している有機化合物は、炭酸イオンによりその層間から徐々に放出されるという性質を有する。しかし、同条件で塩素イオンを作用させても、上記有機化合物は殆ど放出されることはない。このことは、本発明の複合体組成物を化粧料などに配合した場合、海や汗などの塩分の影響ではビタミンCは放出されないが、吐息中に含まれていたり、空気中に僅かに存在する二酸化炭素の影響によって徐々にビタミンCを放出するという、徐放性を有する化粧料やその関連製品を製造するのに適している。【0030】また本発明品は、層間にアスコルビン酸あるいはその誘導体を含有している層状複水酸化物、と考えることもできる。このことは、いわゆる内部に含有されたアスコルビン酸あるいはその誘導体が、その化合物構造を変えることなく、層状化合物の層構造中に安定に存在していることを意味し、また、炭酸イオンなどにより容易に層状化合物中から取り出すことができるので、熱や酸化に弱いビタミンCを、より安定に保持しておくことが可能である。【0031】【実施例1】(Mg:Al系 モル比3:1)試薬は特に言及のない限り、和光純薬工業社製の特級グレードの試薬を用いた。1−1.炭酸型層状複水酸化物の製造1M塩化マグネシウム(MgCl2) 水溶液、300cm3 と、1M塩化アルミニウム(AlCl3) 水溶液、100cm3 とを、撹拌混合した(M2+/M3+=3) 。恒温水槽中のビーカーに1M炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液200cm3 を入れ、マグネティックスターラーで撹拌しつつ、上記混合液を、2M水酸化ナトリウム水溶液で系中をpH10に保ちながら、滴下して反応させた。反応温度は40℃とし、滴下終了後、さらに一時間撹拌を続けて熟成を行った。生成した懸濁液にデカンテーションを行うことにより、液中の塩素イオンを除去し、そこに1M炭酸ナトリウム水溶液200cm3 を加えて加熱し、5時間還流を行った。還流後得られた固体生成物を水洗し、60℃で24時間減圧乾燥を行った。【0032】1−2.炭酸型層状複水酸化物の特定得られた化合物に対し、次の機器分析を行うことより組成を決定した。金属成分の測定は、島津製作所製、島津原子吸光/フレーム分光光度計(AA−640−12) を用い、サンプル0.2gを1mol/LのHCl、10cm3 で溶解し、純水で所定量に希釈した溶液について行った。炭酸塩分の測定は、サンプル0.2gを1mol/LのHCl、10cm3 で溶解させた際に発生する二酸化炭素の体積をガスビュレットで測定し、換算して求めた。層間水量の測定(熱的特性評価)は、セイコー電子社製、示差熱熱量同時測定装置SSC5200 型の熱分析装置を用い、空気雰囲気中、測定温度30〜800℃、昇温速度10℃/分の条件により、得られた重量減少曲線から求めた。結晶性および層間距離の評価は、粉末X線回折装置(理学電機社製X線回折装置2013A 型およびRINT−2200V型)を用い、対陰極Cu(Niフィルター)、管球電圧40kV、電流20mAの条件で測定し、得られた回折図から評価した。また、日本分光製WS/IR−7300型のフーリエ変換赤外線分光光度計を用い、KBr錠剤法にて得られたスペクトル図から、化合物における官能基の評価を行った。これらの測定・分析結果から、上記化合物は、炭酸型層状複水酸化物であり、その面間隔dは7.8Åであり、そしてその組成式は、Mg0.75Al0.25(OH)2 (CO3 )0.15・0.62H2 Oであることがわかった。【0033】1−3.アスコルビン酸のインターカレーション上記で得られた炭酸型層状複水酸化物0.2gについて、500℃で2時間熱処理を行った。得られた熱処理物について、上記粉末X線回折装置でもって評価したところ、層間のH2 O、CO2 が脱離し、層間距離が短くなっており、層状化合物に見られる特有のシャープなピークは消失していた。別途、50mmol/Lのアスコルビン酸ナトリウム水溶液50cm3 を、内容積100cm3 の栓付きフラスコに入れ、これに上述の熱処理した炭酸型層状複水酸化物を添加し、窒素雰囲気下、25℃で72時間振とうした。振とう後のスラリーを濾過、洗浄し、固体生成物を得、これを60℃で24時間減圧乾燥した。なお、濾液は別途、全有機炭素計にて分析を行った。【0034】1−4.インターカレーションの確認および複合体組成物の特定アスコルビン酸の複合体組成物への取り込み量は、全有機炭素計を用い、アスコルビン酸添加時の初濃度と濾液濃度の測定値から、濃度差により算出した。得られた複合体組成物の、結晶性および層間距離の評価、官能基の評価、熱的特性評価は、炭酸型層状複水酸化物を特定する際と同様の手法で行った。粉末X線回折装置による評価から、上記で得られた固体生成物は層状複水酸化物で、その面間隔dは8.7Åと炭酸型層状複水酸化物であった時より増大しており、そして赤外線分光測定による評価から、該酸化物はその層間にアスコルビン酸をインターカレートしており、また全有機炭素計を用いた濃度測定値から、その担持量は上記熱処理物1g当たりおおよそ2.4mmolであった。なお、アスコルビン酸の担持量については、アスコルビン酸の初濃度や振とう時間によって変化し、Freundlich吸着等温線によく適合した。【0035】【実施例2】(Mg:Fe系 モル比3:1)塩化アルミニウム水溶液の代わりに、1Mの塩化鉄(FeCl3) 水溶液を用いた以外は、実施例1−1と同様に操作を行い、得られた化合物について、実施例1−2と同様に評価を行った結果、その化合物は炭酸型層状複水酸化物で、その面間隔dは7.8Åであり、そしてその組成式は、Mg0.74Fe0.26(OH)2 (CO3 )0.14・0.84H2 Oであった。そして、アスコルビン酸のインターカレーションについても、実施例1−3、実施例1−4と同様に操作および評価を行ったところ、得られた固体生成物は層状複水酸化物で、その面間隔dは8.7Åと炭酸型層状複水酸化物であった時より増大し、その層間にアスコルビン酸をインターカレートしており、その担持量は炭酸型層状複水酸化物の熱処理物1g当たりおおよそ1.9mmolであった。【0036】【実施例3】(Zn:Al系 モル比3:1)塩化マグネシウム水溶液の代わりに、1Mの塩化亜鉛(ZnCl3) 水溶液を用いた以外は、実施例1−1と同様に操作を行い、得られた化合物について、実施例1−2と同様に評価を行った結果、その化合物は炭酸型層状複水酸化物で、その面間隔dは7.6Åであり、そしてその組成式は、Zn0.76Al0.24(OH)2 (CO3 )0.21・0.68H2 Oであることがわかった。そして、アスコルビン酸のインターカレーションについても、実施例1−3、実施例1−4と同様に操作および評価を行ったところ、得られた固体生成物は層状複水酸化物で、その面間隔dは8.5Å、そしてその層間にアスコルビン酸をインターカレートしており、その担持量は炭酸型層状複水酸化物の熱処理物1g当たりおおよそ0.3mmolであった。【0037】【実施例4】(Zn:Al系 モル比2:1)実施例3と同様の材料を用い、Zn:Alモル比が2:1になるように反応させた。その組成式は、Zn0.67Al0.33(OH)2 (CO3 )0.17・0.69H2 Oであることが分かった。そして、アスコルビン酸のインターカレーションについても、実施例1−3、実施例1−4と同様に操作および評価を行ったところ、得られた固体生成物は層状複水酸化物で、その面間隔dは8.5Å、そしてその層間にアスコルビン酸をインターカレートしており、その担持量は炭酸型層状複水酸化物の熱処理物1g当たりおおよそ1.3mmolであった。【0038】【実施例5】(複合体からのアスコルビン酸のデインターカレーション(脱離))50mmol/Lの炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液50cm3 、および50mmol/Lの塩化ナトリウム(NaCl)水溶液50cm3 を、それぞれ内容積100cm3 の栓付きフラスコに入れ、これらに、実施例1で得たアスコルビン酸をインターカレートした層状複水酸化物0.2gをそれぞれ添加した。これらを窒素雰囲気下、25℃で所定時間振とうした。振とう後のスラリーを濾過、洗浄し、固体生成物を得、これを60℃で24時間減圧乾燥した。なお、濾液は別途、全有機炭素計にて分析を行った。同様の操作を、実施例2で得たアスコルビン酸をインターカレートした層状複水酸化物に対しても行った。操作後の各固体生成物について、結晶性および層間距離の評価、官能基の評価を、実施例1−2と同様の手法で行い、上記操作による層状複水酸化物からのアスコルビン酸の放出程度と層状複水酸化物における層間距離の変化とを評価した。結果を下表に示す。【0039】【0040】なお、本放出試験では、液中に放出されたアスコルビン酸について、日本薬局方のアスコルビン酸分析法C−35に基づいて確認試験を行ったところ、放出液中にアスコルビン酸が確認出来た。【0041】表および確認試験の結果から明らかなように、本発明のアスコルビン酸をインターカレートした層状複水酸化物は、炭酸イオンに対してはインターカレートしたアスコルビン酸を放出するが、塩素イオンに対してはアスコルビン酸を殆ど放出しない。このことは、本発明のアスコルビン酸をインターカレートした層状複水酸化物が、製品に配合された場合、汗や海水などの塩分の影響ではビタミンCを一度に放出せず、吐息中に含まれていたり、空気中に僅かに存在する二酸化炭素の影響によって徐々にビタミンCを放出することができる、いわゆる徐放性を有することを示している。【0042】【実施例6】(化粧料の配合例)以下にアスコルビン酸をインターカレートした層状複水酸化物を配合した化粧料の配合例を示す。【0043】【0044】A液とB液を約80℃に加温し、十分混合した後、A液を撹拌しながらB液を加え乳化する。【0045】これらの化粧料を40℃の恒温機中で1ヶ月保存したが、外観その他安定性に異常は認められなかった。 一般式:〔M2+1−x M3+x (OH)2 〕x+〔An−x/n ・yH2 O〕x−を有する層状複水酸化物:式中M2+は、Mg,Fe,Zn,CuおよびCoから選ばれた1種以上の2価金属イオン;M3+は、Al,Fe,CoおよびTiから選ばれた1種以上の3価金属イオン;An−は、OH− ,F− ,Cl− ,NO3 − ,CO32− ,SO42− およびアスコルビン酸またはその同効物誘導体から選ばれた1種以上のn価のアニオンであり、An−の少なくとも一部は、アスコルビン酸またはその同効物誘導体である。 0.2≦x≦0.33,y>0である請求項1の層状複水酸化物。 アスコルビン酸の同効物誘導体は、アスコルビン酸2−リン酸、アスコルビン酸2−硫酸またはアスコルビン酸2−グルコシドである請求項1または2の層状複水酸化物。 一般式:〔M2+1−x M3+x (OH)2 〕x+〔An−x/n ・yH2 O〕x−においてAn−の全部がCO32− である炭酸型層状複水酸化物を300〜800℃の温度で焼成して得られる酸化物固溶体を、水溶性塩の形でアスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体の水溶液と反応させることよりなる、再構築法によるアスコルビン酸またはその誘導体をインターカレーションにより取り込んだ層状複水酸化物の製造法。 化粧料基剤との混合物の形で、請求項1の層状複水酸化物1〜30重量%を配合してなる化粧料組成物。 【課題】アスコルビン酸またはその同効物をインターカレーションにより取り込んだ層状複水酸化物を提供する。【解決手段】一般式:〔M2+1−x M3+x (OH)2 〕x+〔An−x/n ・yH2 O〕x−を有する層状複水酸化物:式中M2+は、Mg,Fe,Zn,CuおよびCoから選ばれた1種以上の2価金属イオン;M3+は、Al,Fe,CoおよびTiから選ばれた1種以上の3価金属イオン;An−は、OH− ,F− ,Cl− ,NO3 − ,CO32− ,SO42− およびアスコルビン酸またはその同効物誘導体から選ばれた1種以上のn価のアニオンであり、An−の少なくとも一部は、アスコルビン酸またはその同効物誘導体である。【選択図】 なし


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