タイトル: | 公開特許公報(A)_カルボン酸の精製方法 |
出願番号: | 2002256665 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07D213/79 |
佐藤 利雄 行方 毅 JP 2004091416 公開特許公報(A) 20040325 2002256665 20020902 カルボン酸の精製方法 住金エア・ウォーター・ケミカル株式会社 398037527 広瀬 章一 100081352 佐藤 利雄 行方 毅 7 C07D213/79 JP C07D213/79 6 OL 8 4C055 4C055AA01 4C055BA02 4C055BA06 4C055BA57 4C055BB19 4C055CA02 4C055CA06 4C055CA57 4C055CB19 4C055DA01 4C055FA41 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、2,3−ピリジンジカルボン酸から金属を除去して、金属含有量が著しく低減した2,3−ピリジンジカルボン酸を得ることができる、2,3−ピリジンジカルボン酸の精製方法に関する。金属含有量の少ない2,3−ピリジンジカルボン酸は電子材料用として有用である。【0002】【従来の技術】2,3−ピリジンジカルボン酸は、2,3−ジメチルピリジン、8−ヒドロキシキノリン、キノリン等の原料を液相酸化することにより製造されている。製造された2,3−ピリジンジカルボン酸は、酸化反応の酸化剤もしくは触媒、または生成2,3−ピリジンジカルボン酸の分離に用いた金属、具体的には、重金属および/またはアルカリ金属といった金属をかなりの量で含んでおり、そのままでは電子材料用途には使用できない。【0003】しかし、2,3−ピリジンジカルボン酸から金属を除去する方法はこれまで提案されたことがない。2,3−ピリジンジカルボン酸は重金属と錯体を形成しやすい性質があるため、例えば、銅を用いる2,3−ピリジンジカルボン酸の製造に関して、2,3−ピリジンジカルボン酸には銅が含まれ、これを除くのは非常に困難とされてきた(EP 82542、EP 149857 、特開平3−271275号、同3−287576号、同3−157371号各公報を参照) 。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、2,3−ピリジンジカルボン酸から重金属やアルカリ金属を効果的に除去して、電子材料用途に使用可能な純度まで2,3−ピリジンジカルボン酸を精製することができる方法を提供するものである。【0005】具体的な目標は、重金属含有量が各金属について1mg/kg (=ppm)未満、アルカリ金属含有量が合計20 mg/kg以下、好ましくは1mg/kg 未満まで低減するように2,3−ピリジンジカルボン酸を精製することである。【0006】【課題を解決するための手段】本発明によると、2,3−ピリジンジカルボン酸をアミン (アンモニアを含む、以下同様) の存在下で酸析することにより上記課題を解決することができる。【0007】2,3−ピリジンジカルボン酸のアミン塩からの酸析により、アルカリ金属や重金属を効果的に除去できる理由は、次のように推測される。(1) 2,3−ピリジンジカルボン酸をアルカリ金属塩から酸析した場合、析出した2,3−ピリジンジカルボン酸の洗浄を繰り返しても、残存するアルカリ金属や重金属などの金属分をうまく除去できない。これは、アルカリ金属塩からの酸析で生成した結晶が粒子径の大きい凝集晶であり、アルカリ金属や重金属が結晶内部に閉じ込められてしまうためであると考えられる。一方、2,3−ピリジンジカルボン酸のアミン塩を酸析すると、洗浄で金属不純物を容易に除去できる。アミンの存在下での酸析では、微細な結晶が析出するので、洗浄による不純物の除去効率が高くなる。実際、アミン塩から酸析した方が、アルカリ金属塩から酸析した場合より、析出した結晶の濾過に時間がかかり、濾過性は低くなる。【0008】(2) 2,3−ピリジンジカルボン酸は重金属と安定な錯体を作り易く、こうして重金属を固定する傾向がある。しかし、ここにアミンが存在すると、アミンが重金属のアンミン錯体を形成し、重金属を溶解しやすくするため、水洗によって重金属を析出結晶から除去できる。【0009】本発明は、金属不純物を含有する2,3−ピリジンジカルボン酸の精製方法であって、この2,3−ピリジンジカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩溶液を調製し、この溶液に鉱酸を添加して2,3−ピリジンジカルボン酸を析出させ、析出物を分離することを特徴とする2,3−ピリジンジカルボン酸の精製方法である。好ましくは、分離された2,3−ピリジンジカルボン酸を水に懸濁させて濾過することによりさらに高純度化する。【0010】本発明により、精製により重金属の含有量が各金属について1mg/kg 未満、アルカリ金属含有量が合計20 mg/kg以下、好ましくは1mg/kg 未満に低減していることを特徴とする2,3−ピリジンジカルボン酸、特に電子材料用の2,3−ピリジンジカルボン酸もまた提供される。【0011】【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳しく説明する。本発明は、金属を含有する2,3−ピリジンジカルボン酸から金属を除去する精製方法に関する。現在入手可能な2,3−ピリジンジカルボン酸 (試薬として市販されているものを含む) は、金属を使用しない方法で製造されたものであっても、不純物として金属を含有している。これは、原料そのものが金属を含有しているためと思われる。【0012】特に、金属化合物を酸化剤として (例、次亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム) 、触媒として (例、ルテニウム化合物) 、あるいは分離剤として (例、アルカリ金属化合物、銅化合物) 利用する方法で製造された2,3−ピリジンジカルボン酸は、かなり高濃度の金属を含有している。【0013】一般に、2,3−ピリジンジカルボン酸は、アルカリ金属、アルカリ土類金属および重金属から選ばれた少なくとも1種の金属を含有している。特にアルカリ金属塩の酸析により分離・精製された2,3−ピリジンジカルボン酸は、アルカリ金属と重金属の両方を含有している。重金属不純物の例は、Cu、Fe、Ni、Co、Cr、Mn等である。【0014】2,3−ピリジンジカルボン酸中の金属不純物の含有量はさまざまであるが、市販の工業用2,3−ピリジンジカルボン酸の金属不純物含有量は、典型的にはアルカリ金属(例、Na)が 500〜1500 mg/kg、重金属が10〜300 mg/kg である。電子材料用途に使用するには、2,3−ピリジンジカルボン酸中の金属不純物の含有量を、アルカリ金属については合計 20 mg/kg 以下、好ましくは1mg/kg 以下、重金属については各金属について1mg/kg 未満に低減することが望まれる。【0015】高価な試薬級2,3−ピリジンジカルボン酸でも、本発明者が代表的な2社の製品について不純物元素の含有量 (mg/kg)を分析した結果、次の通りであった:上の分析結果から、試薬級の2,3−ピリジンジカルボン酸は、工業製品とは異なり、重金属含有量は低いが、アルカリ金属の合計量は20 mg/kgを大きく超えており、電子材料用に十分な純度を有していないことがわかる。従って、アルカリ金属含有量が合計20 mg/kg以下の純度の2,3−ピリジンジカルボン酸は現状では入手できない。【0016】本発明に係る精製方法では、まず2,3−ピリジンジカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩 (以下、アンモニウム塩も含めてアミン塩と総称する) の溶液を調製する。この溶液はいかなる方法で調製したものでも良いが、例えば以下の方法で調製できる。【0017】(1) 2,3−ピリジンジカルボン酸のアミン塩を予め調製し、それを溶媒に溶かす。アミン塩は常法により、2,3−ピリジンジカルボン酸とアミンとから調製することができる。【0018】(2) 2,3−ピリジンジカルボン酸とアミンを一緒に溶媒に溶かす。アミンがアンモニアである場合、アンモニア水を使用することができる。(3) 2,3−ピリジンジカルボン酸と溶媒を混合し、これにアミンを添加する。アンモニウム塩の場合には、アミンの添加は、アンモニア水の添加またはアンモニアの通気により行うことができる。【0019】使用する溶媒は、2,3−ピリジンジカルボン酸のアミン塩を溶解するものであれば種類を問わないが、水が簡便かつ安価であり、作業環境面からも好ましい。適宜、水にアルコール類、ケトン類などの水混和性有機溶媒を混合しても良い。【0020】アミン塩は、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン類、エタノールアミンなどのヒドロキシアルキルアミン類、ピリジン、ピコリン、ピペリジンなどの環状アミンなどから形成してもよく、アンモニアから形成したアンモニウム塩でもよい。好ましいのはアンモニウム塩である。アンモニウム塩は、コスト面や操作性で有利である。【0021】上記(2) または(3) の方法を採用する場合、アミンの添加量は2,3−ピリジンジカルボン酸を溶解できる量であればよく、モノアミン (アンモニアを含む) を使用する場合、通常2,3−ピリジンジカルボン酸の 1.5〜2.5 倍モルの量が適当である。【0022】このようにして調製した2,3−ピリジンジカルボン酸アミン塩の溶液を、望ましくは濾過により不溶物を除いた後、鉱酸を用いて酸析する。即ち、上記溶液に鉱酸を添加して2,3−ピリジンジカルボン酸を析出させる。鉱酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などが使用できる。鉱酸の添加量は、通常はアミンと当量以上が必要である。【0023】析出した2,3−ピリジンジカルボン酸を濾過等の方法で分離して、金属含有量が低減した2,3−ピリジンジカルボン酸を回収する。前述したように、アミン塩から酸析させた2,3−ピリジンジカルボン酸は微結晶であって、濾過がやや困難であるが、時間をかけるか、または減圧濾過や遠心濾過等を採用することで、十分に濾過可能である。【0024】必要に応じて、回収された2,3−ピリジンジカルボン酸を洗浄することができる。洗浄は水洗により行うのが簡便である。例えば、濾過時には、フィルター内で濾過ケーキを水洗することが好ましい。さらに、濾過で回収された乾燥または未乾燥の2,3−ピリジンジカルボン酸を、水に懸濁させて再度濾過する懸濁水洗により洗浄すると、2,3−ピリジンジカルボン酸中の金属含有量をさらに低減することができる。この懸濁水洗における濾過時にもフィルター内で水洗を行うことが好ましい。【0025】本発明の精製方法によれば、懸濁水洗を行わなくても、前述した工業生産された市販の2,3−ピリジンジカルボン酸を、アルカリ金属含有量が合計20 mg/kg以下、重金属含有量が各金属について1mg/kg 未満まで高純度化することができる。懸濁水洗を実施すれば、アルカリ金属含有量も1mg/kg 未満まで低減させることができる。【0026】但し、精製原料の2,3−ピリジンジカルボン酸の金属含有量が非常に高い場合には、本発明の方法により精製した後の金属含有量が上記の目標値より高くなることもある。そのような場合も、本発明の精製方法の範囲内であることは当然である。必要であれば、金属含有量がなお高い精製2,3−ピリジンジカルボン酸を原料として本発明の精製方法を繰り返すことにより、純度レベルが上記目標値を満たした2,3−ピリジンジカルボン酸を得ることができる。【0027】2,3−ピリジンジカルボン酸は水溶性であるため、水洗により一部が溶解して失われる。必要とされる金属含有量の精製物を得ることができれば、懸濁水洗の濾液や、フィルター内での濾過ケーキ水洗時の濾液を、本発明の2,3−ピリジンジカルボン酸の精製方法のアミン塩溶液形成工程に再循環させることにより、水洗で失われた2,3−ピリジンジカルボン酸を回収することができる。【0028】【実施例】(実施例1)市販の工業用2,3−ピリジンジカルボン酸322 g (1.9 mole)と25%アンモニア水272 g (4.0 mole)と脱イオン水1000 gとを混合して2,3−ピリジンジカルボン酸を溶解させた後、微量の不溶物を濾別して、微黄色の2,3−ピリジンジカルボン酸アンモニウム塩水溶液を得た。【0029】この水溶液に35%塩酸425 g (4.1 mole)を加えて酸析させ、析出した2,3−ピリジンジカルボン酸を濾過した。濾過時に脱イオン水300 g を洗浄に用いた。析出物は微結晶であったが、時間をかければ問題なく濾過できた。得られた2,3−ピリジンジカルボン酸ケーキの量は395 g(含水率23.6%)で、乾燥後重量は302 g であった。【0030】こうして得た精製2,3−ピリジンジカルボン酸150 g に脱イオン水500 g を加えて懸濁させた後、濾過して、懸濁水洗した。この時の濾過も、脱イオン水150 g で洗浄しながら行った。濾過後に乾燥して、140 g の2,3−ピリジンジカルボン酸を得た。【0031】酸析後および懸濁水洗後の2,3−ピリジンジカルボン酸 (乾燥品) のアルカリ金属(Na)および重金属(Fe, Ni, Cu)含有量を誘導結合型プラズマ発光分析計(ICP) により分析した結果を、原料2,3−ピリジンジカルボン酸の分析結果と共に、表1に示す。なお、表1に示した以外のアルカリ金属および重金属は1mg/kg 未満であった。【0032】(実施例2)アンモニアの代わりにモノエタノールアミン244 g (4.0 mole)を使用して、実施例1と同様に操作した。酸析後の濾過時に洗浄水として脱イオン水を600 g 用いた。懸濁水洗は実施しなかった。得られた2,3−ピリジンジカルボン酸ケーキは375 g(含水率22.1%)で、乾燥後重量は292 g であった。精製物の分析結果を表1に示す。【0033】(比較例1)実施例1で用いた市販の2,3−ピリジンジカルボン酸322 g を、脱イオン水1700gを加えて懸濁させてから懸濁液を濾過する懸濁水洗により精製した。濾過時には脱イオン水300 g を洗浄に用いた。得られた2,3−ピリジンジカルボン酸ケーキの量は335 g(含水率7.7 %)で、乾燥後重量は309 g であった。精製物の分析結果を表1に示す。【0034】(比較例2)本例は、アルカリ金属塩からの酸析による精製法を例示する。2,3−ピリジンジカルボン酸と水酸化ナトリウムとの反応により得た2,3−ピリジンジカルボン酸二ナトリウム401 g (1.9 mole)を脱イオン水1300 gに加えて溶解させた。このナトリウム塩水溶液に、35%塩酸425 g (4.1 mole)を加えて酸析させ、析出した2,3−ピリジンジカルボン酸を濾過した。析出結晶は、実施例1、2に比べて結晶粒子径が大きく、濾過性はよかった。濾過時に脱イオン水1000 gを洗浄に用いた。得られた2,3−ピリジンジカルボン酸ケーキの量は316 g(含水率8.4 %)であった。【0035】このケーキ158 g に脱イオン水500 g を加えて懸濁させた後、濾過して、懸濁水洗を実施した。この時の濾過にも脱イオン水150 g を用いて洗浄を行った。得られた2,3−ピリジンジカルボン酸の乾燥後重量は145 g であった。懸濁水洗の前と後の精製物の分析結果を表1に示す。【0036】【表1】【0037】表1に示すように、実施例1〜2で原料として用いた2,3−ピリジンジカルボン酸 (表1の「原料2,3−PDC」) と、ナトリウム塩からの酸析で精製した比較例2の精製物は、Na含有量が 870〜980 mg/kg と非常に高く、重金属含有量もFeが19〜20 mg/kg、Niが7〜11 mg/kg、Cuが47〜59 mg/kgと、電子材料には全く許容できない高水準である。比較例2の精製物の純度が原料2,3−ピリジンジカルボン酸の純度に比較的近いことから、原料2,3−ピリジンジカルボン酸はナトリウム塩からの酸析により分離された製品であることが推測される。【0038】この原料2,3−ピリジンジカルボン酸を多量の水を用いて懸濁水洗により高純度化しようとしても、表1に示した原料2,3−PDC と比較例1の懸濁水洗後との結果の比較、または比較例2の酸析後と懸濁水洗後との結果の比較、からわかるように、アルカリ金属(Na)含有量はいくらか減少するものの、重金属含有量はほとんど減少しない。特にNi含有量は全く減らず、Cu含有量も減少幅が小さい。これは、重金属と2,3−ピリジンジカルボン酸とのキレート形成 (キレート形成の結合力が高い金属ほど含有量が減りにくい) に起因すると考えられる。水洗後のNa含有量も2/3 程度に減少するにすぎず、なお500 mg/kg 以上と高い。これらの結果からわかるように、アルカリ金属塩からの酸析物に懸濁水洗を繰り返しても、金属含有量は好転せず、目的物の損失ばかりが増えることになる。【0039】これに対し、本発明に従って、2,3−ピリジンジカルボン酸をアミン塩から酸析すると、実施例1および2の酸析後の結果に示すように、酸析だけでも、アルカリ金属(Na)含有量を20 mg/kg以下、重金属に至ってはどの金属も1mg/kg 未満に高純度化することができる。即ち、酸析だけで2,3−ピリジンジカルボン酸を十分に精製することができる。【0040】しかも、酸析後に得られた2,3−ピリジンジカルボン酸を懸濁水洗すると、実施例1の懸濁水洗後の結果が示すように、Na含有量は13 mg/kgから0.2 mg/kg 、即ち、1/10以下に低減させることができる。こうして、重金属含有量に加えて、アルカリ金属含有量も1mg/kg 以下まで低減可能であり、電子材料に求められる高純度の2,3−ピリジンジカルボン酸を容易に供給することが可能となる。【0041】【発明の効果】本発明は、これまでは適当な方法がなかった2,3−ピリジンジカルボン酸の精製方法を確立した点に顕著な技術的意義がある。本発明の方法により、工業的に製造された金属を含有する2,3−ピリジンジカルボン酸から効率よく金属を除去して、これを電子材料に使用可能なレベルまで高純度化することができる。 金属を含有する2,3−ピリジンジカルボン酸の精製方法であって、この2,3−ピリジンジカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩溶液を調製し、この溶液に鉱酸を添加して2,3−ピリジンジカルボン酸を析出させ、析出物を分離することを特徴とする2,3−ピリジンジカルボン酸の精製方法。 前記溶液が2,3−ピリジンジカルボン酸のアンモニウム塩溶液である請求項1記載の2,3−ピリジンジカルボン酸の精製方法。 分離された2,3−ピリジンジカルボン酸を水に懸濁させて濾過することによりさらに高純度化する、請求項1または2に記載の2,3−ピリジンジカルボン酸の精製方法。 精製により重金属の含有量が各金属当たり1mg/kg 未満、アルカリ金属含有量が合計20 mg/kg以下に低減していることを特徴とする2,3−ピリジンジカルボン酸。 アルカリ金属含有量が合計1mg/kg 未満である請求項4記載の2,3−ピリジンジカルボン酸。 電子材料用の請求項4または5記載の2,3−ピリジンジカルボン酸。 【課題】工業的に製造された金属を含有する複素環式ジカルボン酸を、電子材料用途に使用できる純度まで精製する。【解決手段】金属 (例えば、1000 mg/kg近いアルカリ金属と合計50〜100 mg/kg の重金属) を含有する複素環式ジカルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩の溶液に鉱酸 (例、塩酸) を添加して複素環式ジカルボン酸を酸析させ、析出物を濾過すると、例えば、アルカリ金属含有量が20 mg/kg以下、重金属 (例、Ni、Fe、Cu等) の含有量が各金属について1mg/kg 未満まで低減した精製物が得られる。これを水に懸濁して濾過すると、アルカリ金属含有量がさらに低減し、1mg/kg 未満とすることができる。