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タイトル:公開特許公報(A)_低誘電率絶縁材料及び電子部品
出願番号:2002252834
年次:2004
IPC分類:7,H01B3/30,H01L21/312,H01L21/768,C07C1/32,C07C13/72


特許情報キャッシュ

松浦 東 JP 2004095265 公開特許公報(A) 20040325 2002252834 20020830 低誘電率絶縁材料及び電子部品 富士通株式会社 000005223 廣田 浩一 100107515 松浦 東 7 H01B3/30 H01L21/312 H01L21/768 C07C1/32 C07C13/72 JP H01B3/30 Z H01B3/30 Q H01L21/312 A H01L21/90 S H01L21/90 V C07C1/32 C07C13/72 10 3 OL 16 (出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成13年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「電子デバイス製造プロセスで使用するエッチングガスの代替ガス・システム及び代替プロセスの研究開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの) 4H006 5F033 5F058 5G305 4H006AA01 4H006AB78 5F033HH13 5F033PP19 5F033RR21 5F033RR23 5F033SS11 5F033SS22 5F033XX24 5F058AA10 5F058AC03 5F058AC10 5F058AF04 5F058AG01 5F058AH02 5G305AA20 5G305AB10 5G305AB15 5G305AB24 5G305CA02 5G305CA26 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、信号の高速伝播に寄与し、半導体素子などの電子部品における多層回路配線の材料として好適な低誘電率絶縁材料及びそれを用いた電子部品に関する。【0002】【従来の技術】パーソナルコンピュータからハイパフォーマンスコンピュータまで各種のコンピュータにおいて使用される半導体素子は、近年、顕著に高速化されてきている。これらの半導体素子においては、基板配線部における伝送遅延が相対的にコンピュータの演算速度を左右するようになってきている。このため、各種のコンピュータのCPU用回路基板や層間絶縁膜の材料は、高密度かつ微細な多層配線の形成に適している樹脂薄配線が徐々に適用されるようになってきている。高速コンピュータを実現するためには、多層配線を高密度化かつ微細化し、かつ信号の高速伝播に好適な低誘電率絶縁材料を開発し、該低誘電率絶縁材料を層間絶縁膜として使用することが不可欠である。前記高速コンピュータにおける前記層間絶縁膜の材料としては、従来よりSiO2系無機材料が広く用いられていたが、最近、無機材料に比し本質的に誘電率が低い耐熱性有機材料が検討されるようになってきている。【0003】一般に、凝縮系の比誘電率εは、局所電場を考慮して、次のクラウジウス−モソッティの式により表される。ただし、上記式中、αは、材料分子の分極率を表し、Nは、単位体積当たりの分子数を表す。図1は、αNと比誘電率εとの関係を示すグラフであるが、図1に示すように、前記材料の分極率αが小さい程、あるいは前記単位体積中の分子数Nが小さい程、比誘電率εが小さくなる。【0004】一方、前記材料の分極率αは、電場Eにより誘起した双極子モーメントをμとすると、次式で定義される。前記式中、μ及びEは、ベクトル量であり、αは、2階のテンソル量である。よって、αは、3×3=9個の要素を持つが、一般には平均分極率αavを以下のように定義してスカラー量として用いる。電場と誘起双極子との関係から、小さい電場で大きな双極子を生じる材料ほど、分極率が大きくなる。換言すれば、材料内に動き易い電子が存在するほど、分極率は大きくなる。【0005】従来においては、前記誘電率を低く抑える目的で、フッ素樹脂を用い、前記分極率を低く抑えることが検討されてきた。前記フッ素系樹脂は、一般に、飽和結合が多く、電気陰性度が大きいフッ素原子を含有するため、動き易い電子が少なくなり、誘電率が小さくなる。しかしながら、これらフッ素樹脂の場合、前記誘電率は2を下回らないことが知られている。したがって、前記誘電率の点でも十分とは言えず、また、耐湿性、自己融着性、導体金属との密着性、層間のビア孔加工性などの点でも解決すべき点が多い。【0006】一方、単位体積当たりの分子数を小さくすることにより、例えば、発泡材料を使用することにより、前記誘電率を低く抑える方法も提案されている。しかし、この場合、配線幅が数十から数百nmオーダーの層間絶縁膜材料としてはもちろん、数十μmオーダーの回路基板に関する微細配線の層間絶縁材料としても適さないという問題がある。【0007】他方、分子レベルで空間乃至空隙を形成することにより、例えば、フラーレンやカーボンナノチューブなどを樹脂に混合して複合材料化することにより、前記誘電率を低く抑える方法も提案されている。しかし、フラーレンやカーボンナノチューブは、炭素のみから形成されており、溶解度の関係から、限られた溶媒に微量しか溶解せず、前記樹脂に混合しても、相分離し易く、複合材料化し難いという問題がある。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、信号の高速伝播に寄与し、半導体素子などの電子部品における多層回路配線の材料として好適な低誘電率絶縁材料、及びそれを用いた電子部品を提供することを目的とする。【0009】【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための手段としては、後述する(付記1)から(付記11)に記載した通りである。本発明の低誘電率絶縁材料は、4価以上の原子と、該原子と環状構造を形成する環状化合物を少なくとも2つとを有してなる。該低誘電率絶縁材料においては、前記環状化合物が2つ存在するので、該2つの環状化合物により、前記4価以上の原子を中心としてその周りに4つの空間乃至空隙が形成されており、あるいは前記環状化合物に芳香族化合物、絶縁性樹脂等が結合して2つの分子鎖が形成されると、該2つの分子鎖により、前記4価以上の原子を中心としてその周りに4つの空間乃至空隙が形成されている。このため、該低誘電率絶縁材料においては、誘電率が低く抑えられる。また、該低誘電率絶縁材料における前記環状化合物に芳香族化合物、絶縁性樹脂等が結合した場合には、該低誘電率絶縁材料により形成された膜は、CMP(Chemical Machanical Polish)に耐え得る強度を有し、耐熱性等に優れる。本発明の低誘電率絶縁材料は、半導体素子等の電子部品における層間絶縁膜の材料等として好適に使用される。本発明の電子部品は、前記低誘電率絶縁材料を用いてなる。このため、信号の高速伝播性に優れ、極めて高性能である。【0010】【発明の実施の形態】(低誘電率絶縁材料)本発明の低誘電率絶縁材料は、4価以上の原子と、該原子と環状構造を形成する環状化合物を少なくとも2つとを有してなる。【0011】前記4価以上の原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、りん原子、硫黄原子などが挙げられる。これらの中でも、図2に示すように、前記環状化合物の2つを直交させることができ、該原子(図2中「A」で表示)の周りに空間を形成することができる点で、該原子に結合した原子との間で4面体構造を形成可能なものが好ましく、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子等のスピロ原子がより好ましく、sp3原子価状態にあるものが特に好ましく、具体的には炭素原子が特に好ましい。【0012】前記環状化合物としては、前記4価以上の原子と環状構造を形成することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記4価以上の原子と結合する炭素原子を一部に有するベンゼン骨格を2つ有してなり、一のベンゼン骨格における前記炭素原子と結合する他の炭素原子が、他のベンゼン骨格における前記炭素原子と結合する他の炭素原子と結合してなるもの、などが好適に挙げられる。【0013】前記4価以上の原子に結合する前記環状化合物は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。これらの環状化合物の中でも、下記構造式で表される骨格を有してなるものが特に好ましい。【0014】【化3】前記構造式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。【0015】前記構造式中、置換基Rが記載されていない4つの末端には、芳香族化合物、絶縁性樹脂、などが結合していてもよく、芳香族化合物及び絶縁性樹脂の少なくともいずれかが結合しているのが好ましく、芳香族化合物が少なくとも結合し、更に絶縁性樹脂が結合しているのがより好ましい。前記芳香族化合物及び絶縁性樹脂の少なくともいずれかとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、機械的強度、耐熱性等に優れた膜等を形成可能な点で、芳香族化合物やシリコーン樹脂が好ましく、p−フェニレン誘導体及びシリコーン樹脂(耐熱性シリコーン樹脂)から選択される少なくとも1種がより好ましく、p−フェニレン誘導体にシリコーン樹脂を結合させたものが、耐熱性及び強度に優れる点で特に好ましい。【0016】前記環状化合物の数は、前記4価以上の原子によって決まり、該原子が炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、りん原子などの場合には2となり、該原子が硫黄原子の場合には3となる。【0017】前記低誘電率絶縁材料の具体例としては、2,2’,7,7’テトラキス−[ジフェニルアミノ]−9,9’−スピロビフルオレン、2,2’,7,7’テトラ−[N−カルバゾリル]−9,9’−スピロビフルオレン、2λ6−スピロ[[1,3,2]ベンゾジオキサチオール−2,2’’−([1,2,3]ベンゾオキサジチオール)−2,5’’−ジベンゾ[b,d]チオフェン]、6−オキサ−2,2’−スピロビ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン]−5’−エン、ジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン、トリスピロ[2.2.2.29.26.23]ペンタデカン、ジスピロ[4.1.5.2]テトラデカン、トリスピロ[2.2.26.2.211.23]ペンタデカン、ペンタスピロ[2.0.24.1.1.210.0.213.18.23]オクタデカン、1H,1’H−2,2’−スピロビ[ナフタレン]、1H,1’H−2,4’−スピロビ[キノリン]、1,1’−スピロビ[インデン]、スピロ[1H−インデン−1,2’−[2H]インデン]、3H,1’’H−ジスピロ[1−ベンゾフラン−2,2’−[1,3]ジチオラン−4’,2’’−キノリン]、 スピロ[フルオレン−9,2’−[3]チアビシクロ[2.2.2]オクタ[5]エン]、3H,3’H−1λ4,1’−スピロビ[[2,1]ベンゾオキサチオール]、3H−2λ5−スピロ[1,3,2−ベンゾオキサザホスホール−2,2’−[1,3,5,2]トリアザホスフィニン]、スピロ[4.5]デカン、トリス[1,2−ベンゼンジジオラト−(2−)]硫黄、1,4,6,9,10,13−ヘキサオキサ−5λ6−チアスピロ[4.45.45]トリデカン、5λ6−チアトリスピロ[2.1.1.27.15.25.23]テトラデカン、などが挙げられる。【0018】本発明においては、前記低誘電率絶縁材料の中でも、下記構造式で表され、前記4価以上の原子がスピロ炭素原子であり、p−オリゴフェニレン誘導体であるものが最も好ましい。この化合物の場合、前記環状化合物の2つが互いに直交するため、前記スピロ炭素原子の周りに4つの空間が形成され易く、該化合物を用いて膜等を形成すると効果的に低誘電率化できる点で有利である。前記化合物において、前記スピロ炭素原子の周りに4つの空間が形成されていることについては、分子軌道計算(MOPAC)によるシミュレーションにより、図3に示すように、例えば、下記構造式におけるR及びR1〜R12が総て水素原子であり、l=m=n=o=1であり、p−オリゴフェニルがスピロ炭素原子に結合してなるp−オリゴフェニレン誘導体の場合、該スピロ炭素原子の周りに大きな空間が4箇所形成されていることが判った。なお、図3において、大きな球は炭素原子を表し、小さな球は水素原子を表している。該p−オリゴフェニレン誘導体においては、図3からも判るように、p−フェニレン鎖が直角方向に伸びているため、該p−フェニレン鎖間に空間が形成され、その結果、低密度化し低誘電率化する。【0019】【化4】【0020】前記構造式中、Rは、水素原子又は置換基を表し、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ハロゲン原子、アルコキシル基、アリールオキシ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基、シロキサン結合含有基などが挙げられる。前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。前記アルコキシル基としては、そのアルキル部分が、環状アルキルであってもよいし、炭素数が1〜30のものが好ましく、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、などが挙げられる。前記アリールオキシ基又はアリールアミノ基としては、そのアリール部分が、ベンジル、トルイル、などであるものが挙げられる。前記アルキル基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、などが挙げられる。前記アリール基としては、例えば、ベンジル、トルイル、などが挙げられる。【0021】前記構造式中、R1〜R12は、熱硬化性基を含む置換基を表す。前記置換基としては、特に制限はなく、上述のものが挙げられる。前記熱硬化性基は、熱により架橋する基であり、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、などが挙げられる。なお、R1〜R12は、前記熱硬化性基を含むのではなく、該熱硬化性基そのものであってもよい。R1〜R12が該熱硬化性基を含む場合、図4に示すように、該熱硬化性基の架橋により、容易に3次元ネットワーク化するため、耐熱性、機械的強度等を顕著に向上させることができる点で好ましい。【0022】l、m、n及びoは、0以上の整数を表す。l、m、n及びoの値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、l、m、n及びoの値が同じである場合には、図4に示すように、前記4価以上の炭素の周りに形成される空間の形状を、例えば正方形等の規則正しい形成にすることができる点で有利である。また、という利点がある。また、l、m、n及びoの値が互いに異なる場合には、前記4価以上の炭素の周りに形成される空間の形状乃至大きさを自由に変更することができ、誘電率等の物性を所望の程度に容易に調節することができる点で有利である。【0023】本発明の低誘電率絶縁材料は、公知の方法に従って合成することができ、例えば、Y. Geng, D. Katsis, S. W. Culligan, J. J. Ou, S. H. Chen, L. J. Rothberg, Chem. Mater. 14, 463 (2002), I. A. Abu−Yousef, A. S. Hay, Synth. Commun.,29, 2915 (1999), J. G. Smith, R. T. Wikman, Tetrahdron, 30, 2603(1974), E. Buchta, G Loew, Liebigs Ann. 597, 123 (1955), E. F. Bonner, A. G. Finkensieper, E. I. Becker, J. Org. Chem., 18, 426 (1953), R. L. Wu, J. H. Schumm, D. L. Pearson, J. M. Tour, J. Org. Chem. 61, 6906 (1996), F. Steuber, J. Staudigel, M. Stoessel, J. Simmerer, A. Winnacker, H. Spreitzer, F. Weissoertel, J Salbek, Adv. Mater, 12, 130 (2000), U. Bach, K. De Cloedt, H. Spreitzer, M. Gratzel, Adv. Mater, 12, 130 (2000)、これらの論文で参照されている論文、などに記載された方法に従って合成することができる。【0024】本発明の低誘電率絶縁材料を用いて膜等を形成すると、該低誘電率絶縁材料における前記4価以上の原子の周りに形成される空間により、前記膜等を低密度化させ、低誘電率化させることができる一方、耐熱性、強度等を向上させることができる。このため、本発明の低誘電率絶縁材料は、高速で信頼性の要求される各種のデバイス、例えば、IC、LSI等の高集積度の半導体装置等の電子部品に好適に使用することができ、該電子部品における層間絶縁膜として特に好適に使用することができる。【0025】(電子部品)本発明の電子部品は、前記低誘電率絶縁材料を用いたこと以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した公知の部材等を有してなる。前記電子部品が半導体素子である場合には、前記低誘電率絶縁材料を層間絶縁膜として用いるのが好ましい。この場合、前記層間絶縁膜の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法、例えば、スピンコート法等の塗布法、CVD法等の蒸着法、などが挙げられる。前記層間絶縁膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05〜5μm程度であるのが好ましい。【0026】本発明の電子部品は、本発明の低誘電率絶縁材料を有するため、例えば該低誘電率絶縁材料を前記層間絶縁膜として有するため、各層の層間等の絶縁性に優れ、高速で信頼性が高く、各種分野において好適に使用可能な半導体素子、例えばフラッシュメモリ、DRAM、FRAM、MOSトランジスタ等として使用することができる。【0027】【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。(実施例1)実施例1では、本発明の低誘電率絶縁材料として下記構造式IIIで表される化合物を、公知の鈴木カップリング反応に従って、以下の合成スキームにより合成した。具体的には、トルエンとNa2CO3水溶液(2モル)との6:4の混合物60当量に、下記構造式Iで表される化合物(テトラブロモ−9,9’−スピロビフルオレン)と、下記構造式IIで表される化合物とを、それぞれ1.6当量づつ添加し、更にPd(PPh3)4の5mol%を添加した。なお、「Ph」はフェニル基を表す。90℃で2日間反応させた後、多量の塩化メチルを添加し、定法に従って有機溶液部を洗浄した。更に、無水MgSO4により水分を除去した後、加熱濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製した。なお、この合成の原料には市販品を用い、また、前記化合物Iと、鈴木カップリング反応に必要な前記化合物IIとは、定法(R. L. Wu  et.al., J. Org. Chem., 61, 6906 (1996), M Grell, el.al. Adv. Mater, 11, 671 (1999))に従って合成した。【0028】【化5】【0029】以上により合成した前記構造式IIIで表される本発明の低誘電率絶縁材料のクロロホルム1質料%溶液を調製し、基板上に5000rpmの条件でスピンコートし、乾燥させ、220℃で5分の条件でプレキュアさせた。更に、アフターキュアとして、酸素濃度10ppm以下の窒素雰囲気中、200℃で5時間放置し、絶縁膜を形成した。形成した絶縁膜に対し、金を蒸着し、1MHzで誘電率を測定した結果、この絶縁膜の誘電率は2.3であった。また、熱分解開始温度は320℃であった。【0030】(実施例2)実施例1において、上記構造式IIで表される化合物の末端にアミノ基が置換されたものと、アルデヒド基が置換されたものとを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記構造式で表される本発明の低誘電率絶縁材料を合成した。【0031】【化6】前記構造式中、Rは、水素原子を表す。R1及びR11は、アミノ基(NH2)を表す。R5及びR8は、アルデヒド基(CHO)を表す。R2、R3、R4、R6、R7、R9、R10及びR12は、水素原子を表す。l=m=n=o=3である。【0032】以上により合成した前記構造式で表される本発明の低誘電率絶縁材料のクロロホルム1質料%溶液を調製し、基板上に5000rpmの条件でスピンコートし、乾燥させ、220℃で5分の条件でプレキュアさせた。更に、アフターキュアとして、酸素濃度10ppm以下の窒素雰囲気中、200℃で5時間放置し、絶縁膜を形成した。形成した絶縁膜に対し、金を蒸着し、1MHzで誘電率を測定した結果、この絶縁膜の誘電率は1.7であった。また、熱分解開始温度は450℃であった。【0033】(実施例3)実施例2において、l=m=n=o=5であること以外は実施例2と同様にして、本発明の低誘電率絶縁材料を合成し、絶縁膜を形成した。形成した絶縁膜に対し、金を蒸着し、1MHzで誘電率を測定した結果、この絶縁膜の誘電率は1.4であった。また、熱分解開始温度は450℃であった。【0034】(実施例4)実施例3において合成した本発明の低誘電率絶縁材料と、2官能シリコーン樹脂とを質量比1:1となるように混合し、該低誘電率絶縁材料に前記2官能シリコーン樹脂を結合させたこと以外は、実施例3と同様にし、絶縁膜を形成した。形成した絶縁膜に対し、金を蒸着し、1MHzで誘電率を測定した結果、この絶縁膜の誘電率は1.5であった。また、熱分解開始温度は460℃であった。【0035】(実施例5)実施例1において、前記構造式IIで表される化合物を、下記構造式の4隅に位置する構造のスピロ炭素原子を有する化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、下記構造式で表される本発明の低誘電率絶縁材料を合成した。【0036】【化7】【0037】以上により合成した前記構造式で表される本発明の低誘電率絶縁材料のクロロホルム1質料%溶液を調製し、基板上に5000rpmの条件でスピンコートし、乾燥させ、220℃で5分の条件でプレキュアさせた。更に、アフターキュアとして、酸素濃度10ppm以下の窒素雰囲気中、200℃で5時間放置し、絶縁膜を形成した。形成した絶縁膜に対し、金を蒸着し、1MHzで誘電率を測定した結果、この絶縁膜の誘電率は2.5であった。また、熱分解開始温度は360℃であった。【0038】(実施例6)実施例5において、前記4隅に位置する構造のスピロ炭素原子を有する化合物の末端にアミノ基が置換されたものと、アルデヒド基が知かされたものとを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、下記構造式で表される本発明の低誘電率絶縁材料を合成した。【0039】【化8】前記構造式中、R1及びR11は、アミノ基(NH2)を表し、R5及びR8は、アルデヒド基(CHO)を表す。【0040】以上により合成した前記構造式で表される本発明の低誘電率絶縁材料のクロロホルム1質料%溶液を調製し、基板上に5000rpmの条件でスピンコートし、乾燥させ、220℃で5分の条件でプレキュアさせた。更に、アフターキュアとして、酸素濃度10ppm以下の窒素雰囲気中、200℃で5時間放置し、絶縁膜を形成した。形成した絶縁膜に対し、金を蒸着し、1MHzで誘電率を測定した結果、この絶縁膜の誘電率は1.8であった。また、熱分解開始温度は460℃であった。【0041】(実施例7)実施例6において合成した本発明の低誘電率絶縁材料と、2官能シリコーン樹脂とを質量比1:1となるように混合し、該低誘電率絶縁材料に前記2官能シリコーン樹脂を結合させたこと以外は、実施例6と同様にし、絶縁膜を形成した。形成した絶縁膜に対し、金を蒸着し、1MHzで誘電率を測定した結果、この絶縁膜の誘電率は1.6であった。また、熱分解開始温度は470℃であった。【0042】以上より、本発明の低誘電率絶縁材料を用いて形成した膜は、低誘電率で、しかも耐熱性に優れ、高強度であり、半導体素子等の電子部品における層間絶縁膜等として特に好適に使用することができることが判った。【0043】ここで、本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。(付記1) 4価以上の原子と、該原子と環状構造を形成する環状化合物を少なくとも2つとを有してなることを特徴とする低誘電率絶縁材料。(付記2) 4価以上の原子が、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、りん原子及び硫黄原子から選択される付記1に記載の低誘電率絶縁材料。(付記3) 4価以上の原子が、スピロ原子である付記1又は2に記載の低誘電率絶縁材料。(付記4) 4価以上の原子が、sp3原子価状態にある付記1から3のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。(付記5) 環状化合物が、4価以上の原子と結合する炭素原子を一部に有するベンゼン骨格を2つ有してなり、一のベンゼン骨格における前記炭素原子と結合する他の炭素原子が、他のベンゼン骨格における前記炭素原子と結合する他の炭素原子と結合してなる付記1から4のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。(付記6) 環状化合物が、下記構造式で表される骨格を有してなる付記1から5のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。【化9】前記構造式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。(付記7) 環状化合物に、芳香族化合物及び絶縁性樹脂の少なくともいずれかが結合した付記1から6のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。(付記8) 芳香族化合物及び絶縁性樹脂の少なくともいずれかが、p−フェニレン誘導体及びシリコーン樹脂から選択される付記7に記載の低誘電率絶縁材料。(付記9) 下記構造式で表され、4価以上の原子がスピロ炭素原子であり、p−オリゴフェニレン誘導体である付記1から8のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。【化10】前記構造式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。R1〜R12は、熱硬化性基を含む置換基を表す。l、m、n及びoは、0以上の整数を表す。(付記10) 付記1から9のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料を用いたことを特徴とする電子部品。(付記11) 電子部品が半導体装置であり、低誘電率絶縁材料が層間絶縁膜として用いられた付記10に記載の電子部品。【0044】【発明の効果】本発明によると、従来における問題を解決することができ、信号の高速伝播に寄与し、半導体素子などの電子部品における多層回路配線の材料として好適な低誘電率絶縁材料、及びそれを用いた電子部品を提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】図1は、クラウジウス−モソッティの式に基づく分極率α及び単位体積中の分子数Nの積であるαNと、比誘電率εとの関係を示すグラフである。【図2】図2は、本発明の低誘電率絶縁材料の分子構造の一例を示す概念図である。【図3】図3は、本発明の低誘電率絶縁材料の3次元分子構造の一例を示す概念図である。【図4】図4は、本発明の低誘電率絶縁材料を用いてネットワークを形成した一例を示す概念図である。 4価以上の原子と、該原子と環状構造を形成する環状化合物を少なくとも2つとを有してなることを特徴とする低誘電率絶縁材料。 4価以上の原子が、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、りん原子及び硫黄原子から選択される請求項1に記載の低誘電率絶縁材料。 4価以上の原子が、スピロ原子である請求項1又は2に記載の低誘電率絶縁材料。 4価以上の原子が、sp3原子価状態にある請求項1から3のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。 環状化合物が、4価以上の原子と結合する炭素原子を一部に有するベンゼン骨格を2つ有してなり、一のベンゼン骨格における前記炭素原子と結合する他の炭素原子が、他のベンゼン骨格における前記炭素原子と結合する他の炭素原子と結合してなる請求項1から4のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。 環状化合物が、下記構造式で表される骨格を有してなる請求項1から5のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。前記構造式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。 環状化合物に、芳香族化合物及び絶縁性樹脂の少なくともいずれかが結合した請求項1から6のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。 芳香族化合物及び絶縁性樹脂の少なくともいずれかが、p−フェニレン誘導体及びシリコーン樹脂から選択される請求項7に記載の低誘電率絶縁材料。 下記構造式で表され、4価以上の原子がスピロ炭素原子であり、p−オリゴフェニレン誘導体である請求項1から8のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料。前記構造式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。R1〜R12は、熱硬化性基を含む置換基を表す。l、m、n及びoは、0以上の整数を表す。 請求項1から9のいずれかに記載の低誘電率絶縁材料を用いたことを特徴とする電子部品。 【課題】信号の高速伝播に寄与し、半導体素子等の電子部品における多層回路配線の材料として好適な低誘電率絶縁材料の提供。【解決手段】4価以上の原子と、該原子と環状構造を形成する環状化合物を少なくとも2つとを有してなる低誘電率絶縁材料。4価以上の原子が炭素、ケイ素、窒素及び硫黄から選択される態様、4価以上の原子がスピロ原子である態様、4価以上の原子がsp3原子価状態にある態様、環状化合物が4価以上の原子と結合する炭素原子を一部に有するベンゼン骨格を2つ有してなり、一のベンゼン骨格における前記炭素原子と結合する他の炭素原子が、他のベンゼン骨格における前記炭素原子と結合する他の炭素原子と結合してなる態様、環状化合物に、芳香族化合物及び絶縁性樹脂の少なくともいずれかが結合した態様、芳香族化合物及び絶縁性樹脂の少なくともいずれかがp−フェニレン誘導体及びシリコーン樹脂から選択される態様等が好ましい。【選択図】    図3


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