生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_過酸化水素の濃度測定装置および濃度測定方法
出願番号:2002235819
年次:2004
IPC分類:7,G01N31/00,G01N31/16


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後藤 敏之 梶原 庄一郎 市川 精一 石田 知丈 JP 2004077220 公開特許公報(A) 20040311 2002235819 20020813 過酸化水素の濃度測定装置および濃度測定方法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 株式会社片山化学工業研究所 000154727 永井 隆 100117891 後藤 敏之 梶原 庄一郎 市川 精一 石田 知丈 7 G01N31/00 G01N31/16 JP G01N31/00 M G01N31/16 Z 4 OL 8 2G042 2G042AA01 2G042BB11 2G042CA02 2G042CB03 2G042DA03 2G042DA08 2G042EA20 2G042GA10 2G042HA10 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、過酸化水素の濃度測定装置および濃度測定方法に関する。さらに詳しくは、例えば海水を一過式の冷却水に用いたプラントにおいて、過酸化水素を海生生物付着防止の目的で冷却水に添加した場合に、水中に含まれる過酸化水素の濃度を連続的に測定する装置および方法に関する。【0002】【従来の技術】発電所・製鉄所・石油化学プラントなどにおいては、冷却水として海水を大量に利用しており、それらの設備は波浪などを避けるために内海や湾内に面した所に多く建設されている。しかしながら、内海や湾内において海水を取水すると、海水中に生息するムラサキイガイ、フジツボ、コケムシ、ヒドロムシなどの海生生物が、海水取水路、配管や導水路、熱交換器や復水器などの内壁に付着する。これらの付着した海生生物は、成長して通水路を狭め、さらに内壁などの付着部から脱落し、配管や熱交換器内の通水を阻害して冷却効率を低下させたりする。また、局部的な乱流や酸素濃淡電池を生じて金属の腐食障害などの様々な問題を引き起こす。【0003】そこで、こうした海水系において過酸化水素や過酸化水素発生剤(過酸化水素供給化合物)による海生生物の付着防止方法が提案され(特公昭61−2439号公報参照)、実用化されている。なお、それらの付着を防止するために必要な過酸化水素濃度は0.5〜1.0mg/L程度である。【0004】過酸化水素を測定する分析法としては、硫酸チタン比色法、酵素(パ−オキシダ−ゼ)比色法、ヨウ素電量滴定法などが知られているが、硫酸チタン比色法は1mg/L以下の微量過酸化水素濃度の分析精度に乏しく、酵素比色法も精度良く分析するには、発色試薬を分析の都度、調整するなどの煩わしさがあり実用的でないといった問題点がある。ヨウ素電量滴定法、白金−銀電極法は、1mg/L以下の微量過酸化水素濃度の分析精度を有し連続測定可能である。【0005】しかし、これら過酸化水素を連続的に測定する装置にはサンプル導入路が必要になる。装置の実用性からサンプル導入部の配管径は、0.5〜5mmが適当となるが、微量の過酸化水素では多くの海生生物の繁殖を抑制することは困難であるため、特に海水が静止した状態でサンプル導入部内に滞留を繰り返せば、海生生物の繁殖に加え、二次的な要因として海水中の夾雑物をも内部に付着させてしまい、配管閉塞を生じさせる。また、本来の目的として存在すべき海水中の過酸化水素をサンプル導入部の通過時に分解してしまうなど、分析精度を低下させることになる。【0006】したがって、微量のしかも海水中に含まれる過酸化水素を長期間連続的に、且つ精度良く測定できるか否かについては、従来全く知見がなかった。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明は、主に海生生物の付着防止目的などで水中に添加される過酸化水素の濃度を、長期間連続的に、且つ精度よく検出するための測定装置および測定方法を提供することを課題とする。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のような現状と認識に鑑み、過酸化水素の濃度測定装置および濃度測定方法について鋭意研究を重ねた結果、サンプル中の過酸化水素濃度測定後、サンプル導入部に測定サンプルを滞留させることなく、サンプル導入部から測定部までを微生物の繁殖を防ぐ状態に施し、公知の過酸化水素の濃度測定方法と組み合わせることによって、長期間連続的に、且つ精度良く、水中の過酸化水素の濃度を微量でも測定可能とすることを見出し、本発明に到達した。【0009】即ち、本発明は、サンプル導入部と、測定部と、サンプル排出部とを備えてなる過酸化水素の濃度測定装置において、サンプル導入部から測定部が微生物の繁殖を防ぐ状態に施されていることを特徴とする過酸化水素の濃度測定装置および該装置を用いた濃度測定方法に関するものである。【0010】【発明の実施の形態】本発明は、過酸化水素のみならず、過酸化水素を水中で放出しうる過ホウ酸、過炭酸、ペルオキシ硫酸などの無機過酸化物に対しても使用することができる。本発明で繁殖を防ぐ微生物とは、水中に存在する微生物であって、過酸化水素分解能力を有する微生物をいう。【0011】本発明のサンプル導入部は、海生生物の付着を防止すべき任意の地点であれば良く、特に熱交換器や復水器など主要機器出口が望ましい。微生物の繁殖を防ぐ状態として、測定時以外にサンプル導入部を通液状態にして測定サンプルを滞留させないようにすることが挙げられる。【0012】本発明の実施態様として、サンプル導入部1に、双方向に送液が可能なポンプ2を設け、サンプル排出部6の間に三方弁4と排出ポンプ5を設けたものを例示する(図1)。図1の装置では、以下のシーケンスによりサンプル導入部から測定部までを、測定サンプルを滞留させないようにして微生物の繁殖を防ぐことができる。▲1▼サンプル導入部よりサンプルを導入採水ポンプ左→右、排出ポンプON、三方弁左→右▲2▼測定部で濃度測定▲3▼測定部からサンプル導入部を水道水、殺菌剤を添加した水、あるいは消毒用アルコールなどで通液採水ポンプ右→左、排出ポンプOFF、三方弁上→左▲4▼ 工程▲1▼へ、または一定時間ポンプ停止後に工程▲1▼へ【0013】本発明において、サンプル導入部およびサンプル排出部に使用される配管は、過酸化水素に対し不活性であれば素材や形状などに制限はなく、例えば市販されているテフロン(登録商標)製やポリエチレン製のチューブなどを好適に使用することができる。【0014】本発明において、上記のシーケンス以外にサンプル導入部から測定部までを微生物の繁殖を防止する状態に施す方法として、サンプル導入部に殺菌剤を塗布するなどの殺菌処理を施す方法なども挙げられる。【0015】上記のシーケンスおよび塗布で使用される殺菌剤としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、グルタルアルデヒドなどの市販の殺菌剤を好適に使用することができる。また、上記通液する場合は、間欠的あるいは連続的のいずれであってもよい。通液方法は、図1の態様の他にサンプルの導入または排出に使用するポンプに二方弁あるいは三方弁を用いてもよいし、サンプルの導入や排出に使用するポンプとは別に、例えば電磁弁などを用いてもよい。【0016】本発明では、さらにサンプル導入部を遮光することが微生物の繁殖を防止するために好ましい。遮光方法については特に限定はなく、市販の被覆されたもしくは着色を施したチューブを用いてもよいし、チューブに直接ビニールテープを巻き付けるなどの方法でもよい。【0017】本発明の過酸化水素の分析装置は、特に制限がなく連続的に測定可能な仕様であれば良い。ここでヨウ素電量滴定法による過酸化水素測定装置が既に実用化されており、好適に用いることができる。該測定法は、ヨウ素電量滴定法を用いて、遊離ヨウ素を測定終了後測定サンプル中に生成させ、当該遊離ヨウ素をもってサンプル導入部を殺菌処理できる観点からも好ましい方法である。【0018】本発明によれば、長期間にわたって海水中の微量過酸化水素が精度良く分析可能である。検出下限は0.01mg/L程度まで可能であるが、0.1mg/Lまで極めて精度良く測定可能であり、本発明の目的に充分な定量精度が得られる。また、自動分析計に過酸化水素濃度の上下限設定を行い、分析結果デ−タを過酸化水素薬注地点にフィ−ドバックさせて、過酸化水素注入量を自動制御することも可能である。【0019】【実施例】本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。【0020】実施例1某製鉄所の工程水である海水冷却水を測定サンプルとして、図1の測定装置にサンプル導入部に遮光を施して用いた。測定頻度を1時間に1回とし、過酸化水素濃度を56日間連続的に測定した。測定時以外は、三方弁の上から測定部、サンプル導入部まで海水冷却水を通液した。測定部には、ヨウ素電量滴定法を原理とする分析装置(平沼産業製)を使用した。また、同じ工程水を、酵素(パ−オキシダ−ゼ)比色法を用いて測定頻度1週間に1回とし、過酸化水素濃度を測定した。結果を表1に示す。【0021】実施例2実施例1と同様の現場で同条件下において、測定時以外は測定部からサンプル導入部まで水道水(上水)を通液し、測定時には検体を通して空試験を行った後過酸化水素濃度を測定した。また、同じ工程水を、酵素(パ−オキシダ−ゼ)比色法を用いて測定頻度1週間に1回とし、過酸化水素濃度を測定した。結果を表1に示す。【0022】比較例1遮光しておらず、測定時以外に通水しなかった以外は、実施例1と同様の現場で同条件下で、過酸化水素濃度を28日間連続的に測定、28日めの過酸化水素濃度が0.05mg/L未満となったため終了した。また、同じ工程水を、酵素(パーオキシダーゼ)比色法を用いて測定頻度を1週間に1回とし、過酸化水素濃度を測定した。結果を表1に示す。【0023】比較例2測定時以外に通水しなかった以外は、実施例1と同様の現場で同条件下において、過酸化水素濃度を28日間連続的に測定、28日めの過酸化水素濃度が0.05mg/L未満となったため終了した。また、同じ工程水を、酵素(パーオキシダーゼ)比色法を用いて測定頻度を1週間に1回とし、過酸化水素濃度を測定した。結果を表1に示す。【0024】【表1】【0025】実施例3某製鉄所に図2のような試験水路を設けて、ムラサキイガイの付着期に海水を3t/hr、60日間流しながら、本発明の測定装置を用いた過酸化水素制御による貝付着防止の有効性を確認した。試験1は、対照区とし過酸化水素は添加しなかった。試験2は、過酸化水素を常に1mg/L連続添加した。試験3は、過酸化水素を常に2mg/L連続添加した。試験4は、本発明の測定装置による過酸化水素の濃度管理を実施した。すなわち、遮光を施し、測定部が白金−銀電極法である図1の測定装置を用いて、測定時以外は、測定部からサンプル導入部まで海水を通液した。C地点をサンプル導入部として2時間に1回自動分析して該地点での過酸化水素が1.0mg/Lとなるように注入量を制御した。滞留槽は、工場内の海水通過に要する時間を60分と想定し、その中間地点と末端での効果を把握するために設けた。結果を表2に示す。【0026】【表2】【0027】C地点での過酸化水素濃度を測定し、1.0mg/Lとなるように薬注量を管理することによって、ムラサキイガイの付着を完全に抑制でき、また過酸化水素の使用量も2mg/Lを連続的に添加するよりも少量で済み、効果も優れていた。【0028】【発明の効果】本発明により、海水中の微量過酸化水素の濃度を、長期間連続的に、しかも精度良く分析することが可能となる。特に、海生生物の付着防止の目的で使用される過酸化水素濃度の測定に適用することで、単に分析が可能となったばかりでなく、付着防止のための注入量制御が可能となり、付着防止性能の向上、ひいては過酸化水素注入量の削減も可能となり、産業上の利用価値は極めて高いものである。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の測定装置【図2】実施例3の試験水路【符号の説明】1 サンプル導入部2 採水ポンプ3 測定部4 三方弁5 排出ポンプ6 サンプル排出部 サンプル導入部と、測定部と、サンプル排出部とを備えてなる過酸化水素の濃度測定装置において、サンプル導入部から測定部が微生物の繁殖を防ぐ状態に施されていることを特徴とする過酸化水素の濃度測定装置。 微生物の繁殖を防ぐ状態が、測定時以外にサンプル導入部を通液状態にして測定サンプルを滞留させないようにしてなる請求項1記載の濃度測定装置。 さらにサンプル導入部が遮光されていることを特徴とする請求項1または2記載の濃度測定装置。 請求項1〜3記載の過酸化水素の濃度測定装置を用いて、水中の過酸化水素の濃度を測定することを特徴とする過酸化水素の測定方法。 【課題】海水を一過式の冷却水に用いたプラントにおいて、過酸化水素を海生生物付着防止の目的で冷却水に添加した場合に、水中に含まれる過酸化水素の濃度を連続的に測定する装置および方法を提供する。【解決手段】サンプル導入部と、測定部と、サンプル排出部とを備えてなる過酸化水素の濃度測定装置において、サンプル導入部から測定部が微生物の繁殖を防ぐ状態に施されていることを特徴とする過酸化水素の濃度測定装置および該装置を用いた濃度測定方法。


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特許公報(B2)_過酸化水素の濃度測定方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_過酸化水素の濃度測定方法
出願番号:2002235819
年次:2007
IPC分類:G01N 31/00,G01N 31/16


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後藤 敏之 梶原 庄一郎 市川 精一 石田 知丈 JP 3976182 特許公報(B2) 20070629 2002235819 20020813 過酸化水素の濃度測定方法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 株式会社片山化学工業研究所 000154727 永井 隆 100117891 後藤 敏之 梶原 庄一郎 市川 精一 石田 知丈 20070912 G01N 31/00 20060101AFI20070823BHJP G01N 31/16 20060101ALN20070823BHJP JPG01N31/00 MG01N31/16 Z G01N31/00〜31/22 G01N21/75〜21/83 JSTPlus(JDream2) 特開平07−128315(JP,A) 特開平11−075893(JP,A) 特開平06−347194(JP,A) 特開平09−072895(JP,A) 特開2001−066298(JP,A) 特開2001−281240(JP,A) 特開平09−304375(JP,A) 特開2000−070954(JP,A) 日本材料学会腐食防食部門委員会資料,1997年,Vol.36, No.199, Pt.4,Page.11-19 火力原子力発電,1987年,Vol.38, No.9,Page.927-939 配管技術,1996年,Vol.38, No.5,Page.84-88 2 2004077220 20040311 8 20050610 三木 隆 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、過酸化水素の濃度測定装置および濃度測定方法に関する。さらに詳しくは、例えば海水を一過式の冷却水に用いたプラントにおいて、過酸化水素を海生生物付着防止の目的で冷却水に添加した場合に、水中に含まれる過酸化水素の濃度を連続的に測定する装置および方法に関する。【0002】【従来の技術】発電所・製鉄所・石油化学プラントなどにおいては、冷却水として海水を大量に利用しており、それらの設備は波浪などを避けるために内海や湾内に面した所に多く建設されている。しかしながら、内海や湾内において海水を取水すると、海水中に生息するムラサキイガイ、フジツボ、コケムシ、ヒドロムシなどの海生生物が、海水取水路、配管や導水路、熱交換器や復水器などの内壁に付着する。これらの付着した海生生物は、成長して通水路を狭め、さらに内壁などの付着部から脱落し、配管や熱交換器内の通水を阻害して冷却効率を低下させたりする。また、局部的な乱流や酸素濃淡電池を生じて金属の腐食障害などの様々な問題を引き起こす。【0003】そこで、こうした海水系において過酸化水素や過酸化水素発生剤(過酸化水素供給化合物)による海生生物の付着防止方法が提案され(特公昭61−2439号公報参照)、実用化されている。なお、それらの付着を防止するために必要な過酸化水素濃度は0.5〜1.0mg/L程度である。【0004】過酸化水素を測定する分析法としては、硫酸チタン比色法、酵素(パ−オキシダ−ゼ)比色法、ヨウ素電量滴定法などが知られているが、硫酸チタン比色法は1mg/L以下の微量過酸化水素濃度の分析精度に乏しく、酵素比色法も精度良く分析するには、発色試薬を分析の都度、調整するなどの煩わしさがあり実用的でないといった問題点がある。ヨウ素電量滴定法、白金−銀電極法は、1mg/L以下の微量過酸化水素濃度の分析精度を有し連続測定可能である。【0005】しかし、これら過酸化水素を連続的に測定する装置にはサンプル導入路が必要になる。装置の実用性からサンプル導入部の配管径は、0.5〜5mmが適当となるが、微量の過酸化水素では多くの海生生物の繁殖を抑制することは困難であるため、特に海水が静止した状態でサンプル導入部内に滞留を繰り返せば、海生生物の繁殖に加え、二次的な要因として海水中の夾雑物をも内部に付着させてしまい、配管閉塞を生じさせる。また、本来の目的として存在すべき海水中の過酸化水素をサンプル導入部の通過時に分解してしまうなど、分析精度を低下させることになる。【0006】したがって、微量のしかも海水中に含まれる過酸化水素を長期間連続的に、且つ精度良く測定できるか否かについては、従来全く知見がなかった。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明は、主に海生生物の付着防止目的などで水中に添加される過酸化水素の濃度を、長期間連続的に、且つ精度よく検出するための測定装置および測定方法を提供することを課題とする。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のような現状と認識に鑑み、過酸化水素の濃度測定装置および濃度測定方法について鋭意研究を重ねた結果、サンプル中の過酸化水素濃度測定後、サンプル導入部に測定サンプルを滞留させることなく、サンプル導入部から測定部までを微生物の繁殖を防ぐ状態に施し、公知の過酸化水素の濃度測定方法と組み合わせることによって、長期間連続的に、且つ精度良く、水中の過酸化水素の濃度を微量でも測定可能とすることを見出し、本発明に到達した。【0009】 即ち、本発明は、海水を一過式の冷却水に用いたプラントにおいて、過酸化水素を海生生物付着防止の目的で冷却水に添加する場合に、水中に含まれる過酸化水素の濃度を連続的に測定する方法であって、サンプル導入部と、測定部と、サンプル排出部とを備え、サンプル導入部からサンプル排出部の間に採水ポンプを設けた装置を用いて、下記(1)のように測定し、(2)のように通液させて測定サンプルを滞留させないようにして、微生物の繁殖を防ぐことを特徴とする過酸化水素の濃度の測定方法に関するものである。(1)冷却水がサンプル導入部から測定部を介してサンプル排出部に通液するように採水ポンプを運転して、水中の過酸化水素濃度を測定する(2)測定時以外は、間欠的あるいは連続的に、サンプル導入部および測定部に、水道水、殺菌剤を添加した水、あるいは消毒用アルコールを通液する【0010】【発明の実施の形態】本発明は、過酸化水素のみならず、過酸化水素を水中で放出しうる過ホウ酸、過炭酸、ペルオキシ硫酸などの無機過酸化物に対しても使用することができる。本発明で繁殖を防ぐ微生物とは、水中に存在する微生物であって、過酸化水素分解能力を有する微生物をいう。【0011】本発明のサンプル導入部は、海生生物の付着を防止すべき任意の地点であれば良く、特に熱交換器や復水器など主要機器出口が望ましい。微生物の繁殖を防ぐ状態として、測定時以外にサンプル導入部を通液状態にして測定サンプルを滞留させないようにすることが挙げられる。【0012】本発明の実施態様として、サンプル導入部1に、双方向に送液が可能なポンプ2を設け、サンプル排出部6の間に三方弁4と排出ポンプ5を設けたものを例示する(図1)。図1の装置では、以下のシーケンスによりサンプル導入部から測定部までを、測定サンプルを滞留させないようにして微生物の繁殖を防ぐことができる。▲1▼サンプル導入部よりサンプルを導入採水ポンプ左→右、排出ポンプON、三方弁左→右▲2▼測定部で濃度測定▲3▼測定部からサンプル導入部を水道水、殺菌剤を添加した水、あるいは消毒用アルコールなどで通液採水ポンプ右→左、排出ポンプOFF、三方弁上→左▲4▼ 工程▲1▼へ、または一定時間ポンプ停止後に工程▲1▼へ【0013】本発明において、サンプル導入部およびサンプル排出部に使用される配管は、過酸化水素に対し不活性であれば素材や形状などに制限はなく、例えば市販されているテフロン(登録商標)製やポリエチレン製のチューブなどを好適に使用することができる。【0014】本発明において、上記のシーケンス以外にサンプル導入部から測定部までを微生物の繁殖を防止する状態に施す方法として、サンプル導入部に殺菌剤を塗布するなどの殺菌処理を施す方法なども挙げられる。【0015】上記のシーケンスおよび塗布で使用される殺菌剤としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、グルタルアルデヒドなどの市販の殺菌剤を好適に使用することができる。また、上記通液する場合は、間欠的あるいは連続的のいずれであってもよい。通液方法は、図1の態様の他にサンプルの導入または排出に使用するポンプに二方弁あるいは三方弁を用いてもよいし、サンプルの導入や排出に使用するポンプとは別に、例えば電磁弁などを用いてもよい。【0016】本発明では、さらにサンプル導入部を遮光することが微生物の繁殖を防止するために好ましい。遮光方法については特に限定はなく、市販の被覆されたもしくは着色を施したチューブを用いてもよいし、チューブに直接ビニールテープを巻き付けるなどの方法でもよい。【0017】本発明の過酸化水素の分析装置は、特に制限がなく連続的に測定可能な仕様であれば良い。ここでヨウ素電量滴定法による過酸化水素測定装置が既に実用化されており、好適に用いることができる。該測定法は、ヨウ素電量滴定法を用いて、遊離ヨウ素を測定終了後測定サンプル中に生成させ、当該遊離ヨウ素をもってサンプル導入部を殺菌処理できる観点からも好ましい方法である。【0018】本発明によれば、長期間にわたって海水中の微量過酸化水素が精度良く分析可能である。検出下限は0.01mg/L程度まで可能であるが、0.1mg/Lまで極めて精度良く測定可能であり、本発明の目的に充分な定量精度が得られる。また、自動分析計に過酸化水素濃度の上下限設定を行い、分析結果デ−タを過酸化水素薬注地点にフィ−ドバックさせて、過酸化水素注入量を自動制御することも可能である。【0019】【実施例】本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。【0020】実施例1某製鉄所の工程水である海水冷却水を測定サンプルとして、図1の測定装置にサンプル導入部に遮光を施して用いた。測定頻度を1時間に1回とし、過酸化水素濃度を56日間連続的に測定した。測定時以外は、三方弁の上から測定部、サンプル導入部まで海水冷却水を通液した。測定部には、ヨウ素電量滴定法を原理とする分析装置(平沼産業製)を使用した。また、同じ工程水を、酵素(パ−オキシダ−ゼ)比色法を用いて測定頻度1週間に1回とし、過酸化水素濃度を測定した。結果を表1に示す。【0021】実施例2実施例1と同様の現場で同条件下において、測定時以外は測定部からサンプル導入部まで水道水(上水)を通液し、測定時には検体を通して空試験を行った後過酸化水素濃度を測定した。また、同じ工程水を、酵素(パ−オキシダ−ゼ)比色法を用いて測定頻度1週間に1回とし、過酸化水素濃度を測定した。結果を表1に示す。【0022】比較例1遮光しておらず、測定時以外に通水しなかった以外は、実施例1と同様の現場で同条件下で、過酸化水素濃度を28日間連続的に測定、28日めの過酸化水素濃度が0.05mg/L未満となったため終了した。また、同じ工程水を、酵素(パーオキシダーゼ)比色法を用いて測定頻度を1週間に1回とし、過酸化水素濃度を測定した。結果を表1に示す。【0023】比較例2測定時以外に通水しなかった以外は、実施例1と同様の現場で同条件下において、過酸化水素濃度を28日間連続的に測定、28日めの過酸化水素濃度が0.05mg/L未満となったため終了した。また、同じ工程水を、酵素(パーオキシダーゼ)比色法を用いて測定頻度を1週間に1回とし、過酸化水素濃度を測定した。結果を表1に示す。【0024】【表1】【0025】実施例3某製鉄所に図2のような試験水路を設けて、ムラサキイガイの付着期に海水を3t/hr、60日間流しながら、本発明の測定装置を用いた過酸化水素制御による貝付着防止の有効性を確認した。試験1は、対照区とし過酸化水素は添加しなかった。試験2は、過酸化水素を常に1mg/L連続添加した。試験3は、過酸化水素を常に2mg/L連続添加した。試験4は、本発明の測定装置による過酸化水素の濃度管理を実施した。すなわち、遮光を施し、測定部が白金−銀電極法である図1の測定装置を用いて、測定時以外は、測定部からサンプル導入部まで海水を通液した。C地点をサンプル導入部として2時間に1回自動分析して該地点での過酸化水素が1.0mg/Lとなるように注入量を制御した。滞留槽は、工場内の海水通過に要する時間を60分と想定し、その中間地点と末端での効果を把握するために設けた。結果を表2に示す。【0026】【表2】【0027】C地点での過酸化水素濃度を測定し、1.0mg/Lとなるように薬注量を管理することによって、ムラサキイガイの付着を完全に抑制でき、また過酸化水素の使用量も2mg/Lを連続的に添加するよりも少量で済み、効果も優れていた。【0028】【発明の効果】本発明により、海水中の微量過酸化水素の濃度を、長期間連続的に、しかも精度良く分析することが可能となる。特に、海生生物の付着防止の目的で使用される過酸化水素濃度の測定に適用することで、単に分析が可能となったばかりでなく、付着防止のための注入量制御が可能となり、付着防止性能の向上、ひいては過酸化水素注入量の削減も可能となり、産業上の利用価値は極めて高いものである。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の測定装置【図2】 実施例3の試験水路【符号の説明】1 サンプル導入部2 採水ポンプ3 測定部4 三方弁5 排出ポンプ6 サンプル排出部 海水を一過式の冷却水に用いたプラントにおいて、過酸化水素を海生生物付着防止の目的で冷却水に添加する場合に、水中に含まれる過酸化水素の濃度を連続的に測定する方法であって、サンプル導入部と、測定部と、サンプル排出部とを備え、サンプル導入部からサンプル排出部の間に採水ポンプを設けた装置を用いて、下記(1)のように測定し、(2)のように通液させて測定サンプルを滞留させないようにして、微生物の繁殖を防ぐことを特徴とする過酸化水素の濃度の測定方法。(1)冷却水がサンプル導入部から測定部を介してサンプル排出部に通液するように採水ポンプを運転して、水中の過酸化水素濃度を測定する(2)測定時以外は、間欠的あるいは連続的に、サンプル導入部および測定部に、水道水、殺菌剤を添加した水、あるいは消毒用アルコールを通液する さらにサンプル導入部が遮光されていることを特徴とする請求項1記載の過酸化水素の測定方法。


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