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タイトル:特許公報(B2)_「エキソソーム」と呼ばれる細胞内小胞、調製及び免疫刺激におけるこれらの使用
出願番号:2002230240
年次:2005
IPC分類:7,C12N5/06,A61K35/12,A61K35/14,A61K39/00,A61P31/00,A61P33/00,A61P35/00


特許情報キャッシュ

ジヴォジェル,ローランス ラポソ,グラーサ レニョール,アルメル アミゴルナ,セバスチャン JP 3691468 特許公報(B2) 20050624 2002230240 20020807 「エキソソーム」と呼ばれる細胞内小胞、調製及び免疫刺激におけるこれらの使用 アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル 591100596 アンスティテュ・グスターブ・ルシ 599029545 INSTITUT GUSTAVE ROUSSY サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク 595040744 CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE アンスティテュ・キュリ 500026533 INSTITUT CURIE 津国 肇 100078662 篠田 文雄 100075225 ジヴォジェル,ローランス ラポソ,グラーサ レニョール,アルメル アミゴルナ,セバスチャン FR 97/09007 19970716 FR 98/01437 19980206 20050907 7 C12N5/06 A61K35/12 A61K35/14 A61K39/00 A61P31/00 A61P33/00 A61P35/00 JP C12N5/00 E A61K35/12 A61K35/14 B A61K35/14 Z A61K39/00 H A61P31/00 A61P33/00 A61P35/00 7 C12N 5/00 BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed 国際公開第97/005900(WO,A1) 国際公開第97/010002(WO,A1) Nature, Vol.369,pp.120-126 (1994) J.Exp.Med., Vol.183, p.1161-1172 (1996) 10 1999506548 19980703 2003125762 20030507 42 20020807 田村 明照 【0001】本発明の目的は、抗原提示細胞を感作するための新規な方法、その方法を実施するための新規な手段及び免疫原性を有する新規な膜小胞である。【0002】クラスI分子に関係して提示される腫瘍抗原に対して特異的なCD8+細胞傷害性Tリンパ球の存在の証明(Rosenberg et al., 1996; Boon, 1992)以来、幾つかの研究所は、抗腫瘍免疫療法が動物モデルにおいて有効な治療方策であることを証明することができた(Pardoll, 1995)。免疫療法の原理は、特定の腫瘍抗原に対して有効な免疫応答を誘導することである。現在までに、種々の方法でこれを遂行することが可能になってきた。第一に、組換え同時刺激分子及び/又は免疫調節性サイトカインを発現する腫瘍細胞は、固形腫瘍をインビボで根絶できる抗腫瘍応答を刺激し得る(Zitvogel et al., 1996 {a})。同様に、ベクターとしてのリポソーム又はウイルス(例えば、アデノウイルス又はポックスウイルス)の使用を含む異なる化学的形態で腫瘍抗原(又は腫瘍細胞で発現する外来抗原)のペプチド誘導体を注射すると、腫瘍を退縮させることができる。最後には、腫瘍抗原から誘導されるペプチドで感作した、樹状細胞のような抗原提示専門細胞をインビボで再注入すると、強力な抗腫瘍応答を、更にはマウスで樹立した固形腫瘍の退縮を誘導する(Mayordomo et al., 1995)。【0003】樹状細胞の使用に基づく免疫療法は、マウスで行われる試験においてその有効性を証明することができた。結果として、この療法は最近臨床の場に移ってきた。米国では、現在、腫瘍ペプチドを負荷した樹状細胞が特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の出現頻度を有意に増大させることを証明するための試験が行われている。【0004】このアプローチに対する第一の限界は、腫瘍抗原から誘導されるペプチドによる樹状細胞の感作である。実際、大部分の腫瘍では、特異的抗原は未だ同定されていない。腫瘍に対して特異的な抗原は、ウイルスにより誘導される腫瘍(子宮頸部の癌)の場合、黒色腫(自己抗原、突然変異抗原、分化抗原)の場合又は低いパーセンテージの乳癌(腫瘍遺伝子または突然変異を受けた腫瘍抑制遺伝子の産物)においてのみ知られている。しかし、ヒトの腫瘍の排除におけるこれらのペプチド又は腫瘍抗原の直接の関与は、未だ証明されていない。したがって樹状細胞のような抗原提示細胞の新規な感作方法が必要であることが判明している。これらの方法の目的は、MHCのクラスI及びクラスII分子に関係する特異的な抗腫瘍性応答を誘導することである。【0005】現在、樹状細胞のほとんどの感作方法では、クラスI分子と組合せて提示され、かつ腫瘍に対して特異的なCTLクローンにより腫瘍細胞内で同定される、エピトープに対応するペプチドを使用する。しかし、これらの方法は、最適な細胞傷害性応答を得るために必要なヘルパーTリンパ球の増殖にとって決定的に重要な、クラスII分子に関係して認識されるエピトープを考慮に入れていないため、恐らく最適とはいえない。更に、腫瘍細胞により提示されるエピトープと、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞のような)により提示されるエピトープは、恐らく同一ではない。最後に、CTLにより認識される腫瘍ペプチドは、適切なクラスIハプロタイプの分子を有する低いパーセンテージの患者の症例でのみ利用可能である。【0006】理想的な感作方法は、免疫的選択のリスクが最小である任意の腫瘍に適用可能であって、少数の同定された腫瘍抗原に限定されるものであってはならない。同様に、このような方法では、ペプチドよりは完全なタンパク質抗原を利用することにより、樹状細胞にそれらを調製させ、かつクラスI及びクラスII分子と組合せた適切な組合せのペプチドを提示させるべきであり、そして個別にも行うべきである。【0007】最近、Gilboaと共同研究者ら(Boczkowsky et al., 1996)は、負荷した腫瘍生検から樹状細胞中で調製されるメッセンジャーRNAが、インビボの抗腫瘍作用を有することを証明することができた。しかし、このRNAは非常に不安定であり、かつ全RNAに比較して興味深い可能性あるRNAの量は恐らく非常に低い。Zitvogelら(Zitvogel et al., 1996 {b})は、酸性腫瘍溶出液(酸性ペプチド溶出液(acidic peptide eluate):APE)から調製される腫瘍ペプチドが、樹状細胞に負荷するために使用できることを示した。こうして負荷されるこれらの細胞は、一旦注射されると、腫瘍を退縮させる能力を有する。しかし、クラスIの腫瘍を発現しない腫瘍の場合(転移性ヒト腫瘍の大部分を代表する)又は細胞懸濁液中で解離しえない腫瘍の場合には、酸性溶出液を使用するアプローチはあまり有効でなく、また再現性もない。【0008】樹状細胞の使用に基づく免疫療法に対する第二の限界は、これらの細胞を培養で維持するか又は異なる処理に付すときに起こりうる表現型の変化に関連している。このことは、実際、あまり均質ではなく、かつ治療的使用には不適当な特徴を持つ細胞集団を導くかもしれない。【0009】したがってこれらのアプローチの有効性を高め、これらの適用範囲を広げ、更には抗原や他の分子のベクター化のための新規な手段を開発するために、抗原提示細胞を感作するための方法を改善する現実の必要性が存在する。【0010】本発明はこれらの問題に対する解決策を提供する。本発明の目的は、実際、抗原提示細胞、特に樹状細胞を感作するための、更には顕著な免疫原性を有する新規な膜小胞の同定、単離及び性状解析のための、新規な方法を提供することである。【0011】本発明の特徴の1つは、更に詳細には、腫瘍抗原により抗原提示細胞を感作するための新規な再現性ある方法を提供することである。【0012】本発明の別の特徴は、腫瘍抗原により抗原提示細胞を感作するための新規な再現性ある方法であって、その腫瘍抗原が既知であることを必要としない方法を提供することである。【0013】本発明の別の特徴は、腫瘍抗原のライブラリーを設定することを可能にする手段を提供することである。【0014】本発明の別の特徴は、腫瘍細胞又は樹状細胞により産生され、免疫原性を与えられた脂質膜小胞にあり、更には抗原ライブラリーの作製、抗原提示細胞の感作又は抗原のベクター化(特に免疫療法アプローチに関係する)のためのこれらの用途にある。【0015】この点に関して本発明の第一の目的は、以下の特徴を有する腫瘍細胞から誘導される小胞に関する:− その天然の環境から遊離しており、− 細胞質ゾル画分を囲む脂質二重層(「表面」により表される)を含み、そして場合により、− その表面上に主要組織適合遺伝子複合体(MHC)のクラスI及び/又は主要組織適合遺伝子複合体(MHC)のクラスIIの分子(場合により抗原性ペプチド及び/又は接着分子及び/又はリンパ球性同時刺激分子が負荷される)を提示するか、及び/又は、− その細胞質ゾル画分中に腫瘍抗原性分子及び/又は免疫調節物質及び/又は化学誘引物質(chemo-attractors)及び/又はホルモン及び/又は核酸を含有する。【0016】細胞による小胞の分泌は、先行技術に記載される現象である(網状赤血球、Bリンパ球、マクロファージ)。これらの小胞は、通常、内部小胞のエキソサイトーシスによるこれらの産生の機作を反映して、「エキソソーム(exosome)」という一般用語により表される。しかし、これらの小胞の生理学的役割は、現実には確立していない。更に、これらの小胞の構造上の特徴、性質及び機能は、これらが誘導される細胞型に依存して変化する。【0017】予期しないことに、本発明者らは今や、腫瘍細胞が特に興味深い免疫原性を示す小胞を分泌し得ることを証明した。これらの小胞は、通常、腫瘍細胞のエンドソームに含まれ、そして該腫瘍細胞により、該エンドソームの外膜と上述の腫瘍細胞の細胞質膜との融合に続いて分泌される内部小胞に対応する。この形成の機作、これらの細胞内起源及びこれらの元々の機能性と特徴のため、これらの小胞は、以下では「テキソソーム(texosome)」という用語により表される。【0018】「その天然の環境から遊離している」という表現は、この小胞が、これが誘導された細胞から物理的に分離されているか、又は部分的に単離若しくは精製さえされていることを意味する。通常この小胞は、エキソサイトーシスによって細胞により産生され、次に濃縮組成物が得られるように部分的に単離及び精製される。この表現はまた、多小胞体エンドソームと原形質膜との融合の瞬間に小胞が細胞から分泌されたということだけでなく、小胞がもはやエンドソームの内腔の中にある可溶性成分によって囲まれていないか、又は小胞が完全な細胞を欠いていることを意味することもある。「腫瘍細胞から誘導された」という表現は、小胞が腫瘍細胞の構造要素を有することを意味する。この小胞は、これが腫瘍細胞により少なくとも部分的には産生され、次にその発生の所定の段階で放出されるという意味で、通常腫瘍細胞から「誘導される」。【0019】本発明の好都合な実施態様によると、本発明のテキソソームは、抗原性ペプチドを負荷したMHC分子を提示するか、及び/又は接着分子を発現するか、及び/又はリンパ球同時刺激分子を発現するが、その細胞質ゾル画分に腫瘍抗原性分子及び免疫調節物質及び核酸を含まない。【0020】別の好都合な実施態様によると、本発明のテキソソームは、MHCの分子が「空いている」、すなわち、抗原性ペプチドが負荷されていないものであり、そしてこのテキソソームは、その細胞質画分に腫瘍抗原性分子、免疫調節物質及び/又は核酸を含む。空のMHC分子を有するテキソソームは、例えばペプチド輸送体(TAP)の欠乏を示す腫瘍細胞から、又はMHCの分子と会合しているペプチドを溶出するためにテキソソーム若しくは腫瘍細胞を洗浄することにより入手することができる。【0021】本発明の好都合な実施態様によると、本発明のテキソソームは、MHCの分子が、抗原性ペプチドを負荷されているか、及び/又は接着分子及び/又はリンパ球性同時刺激分子を発現するものであり、そしてテキソソームは、その細胞質画分に腫瘍抗原性分子、免疫調節物質及び/又は核酸を含む。【0022】「腫瘍細胞」という用語は、一般に腫瘍、例えば固形又は液性癌から誘導される任意の細胞、更にはインビトロで形質転換又は不死化した細胞を包含する。好ましくは、固形、腹水又は造血系の腫瘍を意味する。【0023】例として、その表面に、MART−1/Melan−A(MHCクラス1に関して、HLA−A 02−01であり、かつタンパク質抗原MART−1を含有する)のようなペプチドを発現する悪性黒色腫型の癌細胞(「エクスビボ(ex vivo)」で樹立した初代細胞系から誘導されるか、又は手術室から得られる分離された細胞でもよい)に言及することができる。【0024】また、その細胞が特異的な転移産物を発現する、腎癌(明細胞腺癌)又は白血病から誘導される細胞に言及することができる。【0025】すなわち、同様にMHCの分子に負荷するのに適当な抗原性ペプチドは、例えば以下の抗原から誘導される:MART−1、チロシナーゼ、MAGE−1/2/3、P53(種々の腫瘍中)又はHER2/Neuのような黒色腫から誘導される抗原、PSA、CEA又はPSMA。他の腫瘍抗原は、例えば、本明細書に参照として組み込まれるRosenbergによる記事(Immunology Today 18 (1997) 175)に引用されている。【0026】更に一般的に、融合/転移産物、腫瘍遺伝子若しくは抗腫瘍遺伝子の産物、又は自己若しくは突然変異ペプチドの分化抗原若しくはペプチドにさえ言及することができる。【0027】リンパ球同時刺激分子とは、例えば、クラスI及びIIペプチドとT細胞受容体との複合体の相互作用に対して与えられるシグナルに追加のシグナルをTリンパ球に与える分子を意味する。【0028】例として、CD80、CD86、ICAM、LFA、CD40、TNF Rファミリーの幾つかのメンバー及び接着又は化学誘引分子(抗原提示専門細胞とエフェクターリンパ球の間の接触、又は他の細胞の、接種若しくは炎症部位への細胞内輸送/特異的局在化(通行(trafficking)/帰還(homing))を可能にする)に言及することができる。【0029】細胞質ゾルに含まれるか、又はテキソソームにより提示される腫瘍抗原性分子は、腫瘍細胞により選択的に及び/又は豊富に発現されるタンパク質に由来する。【0030】テキソソームの細胞質ゾル中に存在するかもしれない免疫調節物質は、例えば:− TNF−α、又は− インターロイキン1、又は− インターロイキン15、又は− C−CR(ケモカイン類(chemokines))である。テキソソームの細胞質ゾル中に存在するかもしれない核酸は、腫瘍細胞自体から誘導される。これらの核酸は、その形成の機作の直接の結果としてテキソソームの細胞質ゾル中に見い出される。またこれらは、異種核酸でもあり得る。【0031】本発明のテキソソームの更に特別な特徴は以下の通りである:− これらは、約60〜100nm、多くの場合約60〜90nm、特に60〜80nmの小さな膜小胞であり、腫瘍細胞により分泌され、− これらは、通常エンドソームに存在する分子を含み、− これらは、例えば、黒色腫細胞の場合のMART−1のような腫瘍抗原を含有し、− これらは、死細胞及び/又は細胞破壊片を含まず、− これらは、膜混入物、小胞体、ゴルジ装置、ミトコンドリア又は核成分のような混入物を含まず、− これらは、その膜に腫瘍抗原性ペプチドが負荷されたクラスI/IIの機能性分子を有しており、− これらは、特異的なTリンパ球の増殖をインビトロで刺激することができ、− これらは、インビボ及びインビトロで樹状細胞を感作して、次に樹状細胞が腫瘍特異的T細胞を活性化することができ、− これらは、インビボで特に皮内に接種すると、樹立した固形腫瘍を退縮させる能力を有しており、− これらは、CD40及びCD80のようなリンパ球同時刺激分子を担持しているか、及び/又は− これらは、(「熱ショック」)タンパク質HSP70を含有し、− これらは、タンパク質gp96を含まず、− これらは、インターロイキン若しくは化学誘引物質若しくは免疫調節物質を含有する。【0032】テキソソームの別の興味深い特徴は、これらが、外層にホスファチジルセリンを含有することである。ホスファチジルセリン(PS)は、細胞膜の主要成分の1つであり、通常脂質二重層の内層に非常に多く存在している。アポトーシスの初期段階のようなある種の状況下では、PSは外層の方に再配分される。アポトーシス細胞の原形質膜の外層中のPSの存在は、マクロファージによる認識のためのシグナルを構成する。PSがテキソソームの表面に露出しているかどうかを決めるために、FONヒト黒色腫細胞の上清から精製したエキソソームの調製物をAupeixらが記載した方法(J. Clin. Invest. 99: 1546-1554, 1997)により分析した。FON試料(390μg/mlのタンパク質を含有する)の外層中のホスファチジルセリン含量は、460nMのPSである。すなわちエキソソームは、その外層中にかなり多量のPSを含有する。【0033】本発明のテキソソームがエンドソーム内に通常存在する分子を含むことの確認を可能にする測定法は、電子顕微鏡法及び免疫ブロッティング(ウェスタンブロット)からなる。これらの測定法により、本発明のテキソソームが、トランスフェリンに対するトランスフェリン受容体、LAMP(「リゾチーム結合膜タンパク質」)分子、クラスI/IIの分子、腫瘍抗原を発現することを示すことができる。【0034】本発明のテキソソームが混入物を含まないことの確認を可能にする測定法は、電子顕微鏡法、及び小胞体に存在するカルネキシン(calnexin)に対する抗体による免疫ブロッティングである。【0035】テキソソームが、腫瘍抗原性ペプチドが負荷されたクラスI/IIの機能性分子をその膜に担持することの確認を可能にする測定法は、腫瘍関連の抗原に対して特異的なTリンパ球への抗原提示からなる(抗原及び制限されたクラスIのMHCに対して特異的なTクローンの増殖試験)。【0036】また上述のTクローンによるサイトカイン(IFNγ、GM−CSF、TNFβ)の分泌の試験を利用することも可能である。【0037】腫瘍特異的T細胞を活性化し得る樹状細胞のインビボ及びインビトロ感作が存在することの確認を可能にする測定法は、図7に示される(「交差プライミング」法による抗原特異的Tクローンによるサイトカインの増殖及び/又は分泌試験:樹状細胞MART−1−、HLA−A2+に負荷された腫瘍MART−1+、HLA−A2−のテキソソーム)。【0038】テキソソームが、それを、特に皮内に接種すると、樹立した固形腫瘍を退縮させる能力を有することの確認を可能にする測定法は、図6に与えられる。【0039】一例として、3〜10日前に樹立した腫瘍と同じ側に10〜40μgの腫瘍のテキソソームを皮内注射する;腫瘍を担持する動物、及び7〜10日前に樹立した腫瘍の漸進的消失が観察される(マウスのような齧歯類において)。【0040】本発明の好都合なテキソソームは、上記で定義され、そしてその表面に、場合により抗原性ペプチドが負荷された、MHCのクラスI及び/又はクラスII分子を提示し、かつその細胞質画分中に腫瘍抗原性分子を含有するテキソソームにより構成される。更に詳細には、好ましいテキソソームはまた、1つ以上のリンパ球同時刺激分子及び/又はタンパク質HSP70を含む。特別な実施態様において、テキソソームはタンパク質gp96を含まない。【0041】好都合な実施態様では、本発明は、上記で定義され、− その表面に、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)のクラスI及び/又はクラスII分子、及び/又は腫瘍を特徴づける抗原及び/又はリンパ球同時刺激/接着分子及び/又は免疫調節物質及び/又はエキソソームが誘導される腫瘍細胞に関して外来の化学誘引物質を発現するか、あるいは− 腫瘍抗原及び/又は免疫調節物質及び/又は核酸又は細胞傷害性物質若しくはエキソソームが誘導される腫瘍細胞に関して外来のホルモンを含有するテキソソームに関する。【0042】本発明はまた、上記で定義されるようなテキソソームの調製方法に関する。この方法は、好都合には、生物学的試料を供給する工程、及び該試料からのテキソソームの単離を含む工程を含む。【0043】生物学的試料は、好都合には腫瘍細胞の膜画分、培養上清若しくは溶解物から構成されるか、又は新鮮な腫瘍懸濁液から構成される。【0044】生物学的試料は、外科的切除後手術から(第1例)又は更に腫瘍担持臓器(外科的に切除した臓器)(第2例)(これらは、機械的分離により(第1例)又は長期灌流(第2例)により処理する)から得られる腫瘍断片であってよい。【0045】最終細胞懸濁液は培養上清と同じ方法で処理する。【0046】試料はまた、凍結/解凍の数回の連続サイクルにより処理した細胞であってもよい。【0047】好都合な実施態様では、本発明の方法に使用される生物学的試料は、− 単離した腫瘍担持臓器の静脈から導出した血液試料、又は− 患者の循環血の血漿若しくは血清試料、又は− 外科的に切除し、担持する腫瘍のドレナージのための孤立した灌流サーキットによりエクスビボで処理した臓器のドレナージ産物(恐らくデキサメタゾン又はテキソソームのエキソサイトーシスを刺激する細胞傷害性物質を含有する生理学的漿液)であり、又は− インビトロで分離した腫瘍外植片の上清でもある。【0048】単離した腫瘍担持臓器の輸出血液試料は、外科的切除の前にとられる、腫瘍担持臓器の主な輸出静脈から採取される20〜50mlの血液に対応する。【0049】外科的に切除し、孤立した灌流サーキットによりエクスビボで処理した臓器のドレナージ産物は、以下の方法で得られる。【0050】輸入動脈と輸出静脈を与える臓器の場合には、動脈は、場合により他の物質を含む生理学的漿液を含有する、上に向かって傾斜したポーチに連結した小さなプラスチック管により特徴づけられる。この臓器から排液して、そして液体は、下に向かって傾斜した静脈にカテーテル導入している別の小さな管により戻される(例えば腎癌又は大脳神経膠芽腫の場合に)。【0051】ドレナージ産物に場合により含まれるデキサメタゾンの目的は、細胞内ストレス及び腫瘍細胞からのテキソソームのエキソサイトーシスを増大させることである。【0052】インビトロで分離した腫瘍外植片の上清は、以下の方法で得られる:− 腫瘍の機械的分離を行って、腫瘍細胞及び腫瘍基質細胞及び免疫系の細胞を含有する単細胞懸濁液が得られる;この懸濁液を照射して分画遠心分離のために回収することができる。【0053】上述のように、本発明の特定の実施態様では生物学的試料は、テキソソームの産生を刺激する1つ以上の物質により処理してもよい。この処理は、ステロイド剤(例えば、デキサメタゾン)、薬理学的物質(例えば、タキサン類(taxanes)、シスプラチン(cis-platinum)など)、多小胞体エンドソームの量を増大させそうな物質の添加及び/又は試料の照射を含んでよい。【0054】照射に関しては、腫瘍細胞の細胞増殖抑制作用を充分に誘導する必要がある。腫瘍細胞の照射は、腫瘍細胞を培養する前か、又は腫瘍細胞を培養している間若しくは培養後に行うことができる。更に、腫瘍細胞が生存中、すなわち、灌流前に腫瘍を担持する切除臓器、又は− 培養中の細胞、又は− 機械的に分離した細胞懸濁液のいずれかに、しかし、全ての場合に低酸素/血管壊死/脱水による腫瘍細胞ストレスの前に照射することが賢明であろう。【0055】ステロイドによる処理に関しては、これにより細胞活性化を誘導でき、テキソソームのエキソサイトーシスが起こる。【0056】薬理学的物質による処理に関しては、それにより:− 細胞骨格を修飾し、内部化(internalization)及びエキソサイトーシスの現象を混乱させるため、細胞内区画を再配列することが可能になり、− 微小管を脱重合させることが可能になる。【0057】多小胞体エンドソームの量を増大させそうな物質による処理に関しては、細胞の培養中に行われる;物質としてはノコダゾール(nocodazole)(微小管の脱重合をもたらす薬剤)、バフィロマイシン(bafilomycin)(空胞性ATPアーゼを阻害する薬剤)(「バフィロマイシン:微生物、動物細胞及び植物細胞由来の膜ATPアーゼのある種のインヒビター」(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 7972-7976)に言及することができる。【0058】本発明のテキソソームの好都合な調製方法は、a)腫瘍細胞の培養物に対して行われ、そして− 腫瘍細胞の培養の前、培養中又は培養後の、腫瘍細胞の細胞増殖抑制作用を誘導するのに充分で、かつ15,000radを超えない強度、好都合には約10,000radでの腫瘍細胞の照射、又は− 腫瘍細胞の培養中の、ステロイド、例えばデキサメタゾン若しくは細胞傷害性物質、例えば5−フルオロウラシル(5−FU)若しくはシスプラチン、ドセタキセル(docetaxel)、アントラサイクリン、紡錘体阻害物質、アンチピリミジン若しくはインターロイキン、例えば、IL10、IL12、IL15、GM−CSFによる処理、又は− 多小胞体エンドソームの量を増大させることができ、そのためテキソソームの産生を増大させる物質、例えばノコダゾール(Gruenberg J et al., (1989)「インビボの初期エンドソーム及び推定エンドサイトーシス担体小胞の性状解析、及びインビトロの小胞融合の測定法による性状解析」 The Journal of Cell Biology 108: 1301-1316)による処理を含むか、あるいはb)外科的に切除した臓器から排液し、それが担持する腫瘍の排液のために孤立した灌流サーキットによりエクスビボで処理した生理学漿液の試料に対して行われるか、あるいはc)インビトロで分離した腫瘍外植片の上清に対して行われ、そして− ステロイド、例えばデキサメタゾン、又は細胞傷害性物質、例えば5−フルオロウラシル(5−FU);シスプラチン、タキサン類又はインターロイキン、例えばIL−10、IL−2、GM−CSFによる処理を含む。【0059】テキソソーム単離工程は、遠心分離、クロマトグラフィー、電気泳動、ナノ濾過などのような異なる方法によって行うことができる。例えば、腫瘍細胞の培養上清若しくは溶解物の膜画分又は新鮮腫瘍懸濁液の分画遠心分離、及び該エキソソームを含有する画分の回収を含んでよい(Raposo et al., J. Exp. Med. 1996, 183: 1161-1172)。この特定の実施態様では、上清膜画分は、100,000gでの遠心分離後に得られるものである。好都合には、その電荷により生物学的材料の分離をもたらす液相電気泳動を含んでよい。以下の実施例は、良好な収率でのテキソソームの単離のために、この方法が好都合に使用できることを示している。この方法は更に、工業的規模では特に好都合である。【0060】本発明の目的はまた、上記で定義されるようなテキソソームの調製方法であり、これは更に、− 主要組織適合遺伝子複合体(MHC)のクラスI及び/又はクラスII分子をコードする外来遺伝子、及び/又は腫瘍を特徴づける抗原をコードする遺伝子及び/又は同時刺激/接着分子若しくは誘引性ケモカインをコードする遺伝子による腫瘍細胞の遺伝子修飾(テキソソームの表面で発現するこれらの外来遺伝子の産物は見つけることができ、及び/又はテキソソームの内部に封鎖することができるため)、あるいは− テキソソームへの及び/又はテキソソームと一緒の、タンパク質又は核酸又は薬学的に定義された医薬の導入(電気穿孔法による;合成リポソームとの融合による;組換えウイルスによる又は化学的方法による)のような、腫瘍細胞により産生されるテキソソームのインビトロ修飾を含む。【0061】本発明はまた、上述の方法により入手することができるテキソソームに関する。【0062】上述のようにトランスフェクションした腫瘍細胞のテキソソームは、回収して腫瘍ワクチンとして使用される。【0063】上述のようにインビトロで修飾されるテキソソームは、インビトロ又はインビボで標的細胞に外来物質を送達するように設計される。【0064】合成リポソームとの融合に関しては、この方法は、例えばNabelら(1996)又はWalkerら(1997, Nature 387, p61以下参照)に記載されるように行われる。【0065】本発明はまた、抗原提示細胞、特にBリンパ球、マクロファージ、単球又は上記で定義されるテキソソームを負荷した樹状細胞に関する。好都合には、これらは樹状細胞である。【0066】本発明の樹状細胞は、特に以下の特徴を有する:− クラスI分子を発現せず、その結果CD8+ T細胞を刺激する能力を持たない腫瘍モデルにおいて、腫瘍細胞のテキソソームが負荷された樹状細胞は、MHCのクラスI分子に関係して細胞傷害性T細胞にこれらの腫瘍ペプチドを提示することができ(特徴番号1)、− 静脈内又は皮下注射された腫瘍細胞のテキソソームが負荷された樹状細胞もまた非常に有効である(特徴番号2)。【0067】以下の測定法により、特徴番号1を証明することができる。【0068】ヒト系において、クラスI陽性樹状細胞の存在下でインキュベーションしたクラスI陰性テキソソームは、テキソソームに含まれる抗原に特異的なCD+8 Tクローンの刺激を導き得る(図7を参照)。【0069】以下の試験により、特徴番号2を証明することができる。【0070】腫瘍がクラスI陰性であり、かつテキソソーム自体もクラスI分子を含まないマウス系において、これらのテキソソームは、インキュベーションされて樹状細胞に負荷されると、抗腫瘍免疫応答を仲介するが、皮内注射だけでは仲介することができない。【0071】本発明はまた、上記で定義されるような抗原提示細胞の調製方法に関し、この方法は、上記で定義されるようなテキソソームの存在下での抗原提示細胞のインキュベーション、及び上述のテキソソームが負荷された上述の抗原提示細胞を回収する工程を含む。【0072】本発明はまた、テキソソームが負荷された、上述の方法により得ることのできる提示細胞に関する。【0073】本発明の目的はまた、抗原提示細胞、特にBリンパ球、マクロファージ、単球又は樹状細胞の感作のため、あるいは特定のTリンパ球の刺激のための、上記で定義されるようなテキソソームの使用に関する。【0074】本発明はまた、その天然の環境から遊離しており、上記で定義されるようなテキソソームが負荷された抗原提示細胞により分泌される膜小胞に関する。【0075】上記で定義されるこれらの膜小胞を得るために、− 上記で定義されるようなテキソソームの調製を含む工程、− 抗原提示細胞と一緒のテキソソームのインキュベーションを含む工程、− テキソソームが負荷された上述の抗原提示細胞の培養上清又は溶解物の膜画分の分画遠心分離を含む工程、及び− 上述の膜小胞を含有する画分の回収を含む工程、を含む方法を用いることができる。【0076】本発明の目的はまた、上記で定義されるような、上述の方法により得ることのできる膜小胞に関する。【0077】これに関連して、本発明は、樹状細胞により産生される膜小胞に関する。予期しないことに、本発明者らは、樹状細胞が、特に好都合な免疫原性を有する膜小胞を産生し得ることを実際に証明した。このような小胞は、詳細には、樹状細胞、特に未成熟ヒト樹状細胞の培養上清から視覚化、単離及び性状解析した。これまでに報告された小胞とは異なり、これらの小胞は、同時に、かつ相当数の分子で、主要組織適合遺伝子複合体のクラスI及びIIを提示する程度に非常に好都合である。これらの膜小胞は、細胞質ゾル画分を囲む脂質二重層を含み、以下ではその起源及びその並はずれた生物学的及び生化学的性質のため、「デキソソーム(dexosome)」という用語により表される。これらの小胞は、インビボ及びインビトロの両方で細胞傷害性Tリンパ球の産生及び活性を刺激し得るため、かつMHC制限Tリンパ球依存的に、樹立された腫瘍の増殖をインビボで抑制し得るため、実際に驚くべき免疫原性を有する。このためデキソソームは、免疫療法に対する非細胞性アプローチに特に適した活性成分を構成する。【0078】よって本発明の意味で特別な膜小胞は、樹状細胞により産生され得る小胞であり、そしてこれは、1つ以上の主要組織適合遺伝子複合体のクラスI分子及び1つ以上の主要組織適合遺伝子複合体のクラスII分子を有する小胞である。デキソソームは、好都合にはリンパ球同時刺激分子、及び特に分子CD63及び/又はCD82及び/又はCD86、そして好ましくは少なくともCD86を担持する。実施例に示される試験は、実際にデキソソームが、これらの同時刺激分子に対して特異的な抗体により強力に標識されることを示している。【0079】更に、電子顕微鏡分析は、デキソソームが均質であり、かつ約60〜100nm、最も頻繁には約60〜90nmの間に含まれる直径を有することを示す。【0080】したがって本発明の特に好ましい変形は、約60〜90nmの間に含まれる直径を有しており、樹状細胞から得られ、そして:− 1つ以上の主要組織適合遺伝子複合体のクラスI分子、− 1つ以上の主要組織適合遺伝子複合体のクラスII分子、− 1つ以上のCD63分子、− 1つ以上のCD86分子;及び− 1つ以上のCD82分子を含む、デキソソームにより表される。【0081】本発明の特定の実施態様において、デキソソームは、更に1つ以上の抗原性ペプチドを含むか、及び/又は未成熟樹状細胞から得られる。【0082】また特定の実施態様によると、デキソソームは、H2−Mマーカー、li鎖及びカルネキシン(小胞体の特異的マーカー)を含まない。【0083】更に、好都合な実施態様によると、本発明のデキソソームは、その外層に更にホスファチジルセリン(PS)を含有する。すなわち、骨髄に由来する樹状細胞上清から精製したエキソソーム調製物は、Aupeixら(J. Clin. Invest. 99: 1546-1554, 1997)により報告された方法によって分析した。BMDC試料(35μg/mlのタンパク質を含有する)の外層中のホスファチジルセリン含量は80nMのPSである。したがってデキソソームは、その外層にかなりの量のPSを含有する。【0084】デキソソームは、樹状細胞又は樹状細胞を含有する細胞培養物を得るための第1工程、細胞を目的の抗原に感作させる任意の第2工程、及びこれらの細胞培養物からのデキソソームの製造を含む第3工程を含む方法により調製することができる。これらの異なる工程は、本明細書の以降に記載される方法により好都合に行うことができる。【0085】樹状細胞の調製本法の第1工程は、樹状細胞の培養物の供給である。これらは、樹状細胞が豊富化された細胞の培養物であっても、実質的に樹状細胞からなる細胞培養物であってもよい。好都合には、これらは明らかにヒト樹状細胞である。【0086】樹状細胞の調製は、文献に詳しく記載されている。したがって、これらの細胞が免疫系の幹細胞若しくは単球前駆体から入手することができるか、又は分化した形態で直接単離することさえできることが知られている(総説:Hart, Blood 90 (1997) 3245)。【0087】幹細胞からの樹状細胞の製造は、例えば、Inabaら(J. Exp. Med. 176 (1992) 1693)、Cauxら(Nature 360 (1992) 258)又はBernhardら(Cancer Res. 55 (1995) 1099)により説明されている。これらの刊行物は、樹状細胞が、特に、顆粒球−マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)の存在下での骨髄の培養により、又はより正確にはサイトカインの組合せ(GM−CSF+TNFα)の存在下での培養により造血幹細胞(CD34+)から、製造できることを示している。【0088】単球前駆体からの樹状細胞の製造は、例えば、Romaniら(J. Exp. Med. 180 (1994) 83)、Sallustoら(J. Exp. Med. 179 (1994) 1109)、Inabaら(J. Exp. Med. 175 (1992) 1157)又は更にJansenら(J. Exp. Med. 170 (1989) 577)により例示されている。これらの方法は、本質的に血液中の単核細胞の収集及びサイトカインの種々の組合せの存在下でのこれらの培養に基づく。ある具体的な方法は、血液の単球前駆体を、例えばインターロイキン−4+GM−CSF又はインターロイキン−13+GM−CSFのようなサイトカインの組合せの存在下で処理することからなる。この方法はまた、Mayordomo et al., 1995により例示されている。更に、単球前駆体を、カルシウムチャネルアクチベーターのような、細胞分化のための薬理学的物質で処理することも可能である。【0089】樹状細胞の製造への別のアプローチは、生物学的試料から分化した樹状細胞を単離することからなる。このアプローチは、例えば、Hsuら(Nature Medicine 2 (1996) 52)により報告されている。このグループにより報告された方法は、実質的に、末梢血試料を採取し、これらを異なる勾配及び遠心分離に付して、ここから樹状細胞を抽出することからなる。【0090】本発明の枠組みにおいて好ましい方法は、単球前駆体又は骨髄からの樹状細胞の製造に基づく。これらの方法は、実施例に例示されている。更に詳細には、本発明の枠組みにおいては、GM−CSF+IL−4又はGM−CSF+IL−13の組合せの存在下で単球前駆体(血液又は骨髄に含まれる)の処理により得られる樹状細胞の使用が優先される。【0091】更に、本発明の実行のために、未成熟樹状細胞を含む樹状細胞の細胞集団を使用することが特に好都合である。好都合には、主に未成熟樹状細胞(すなわち、少なくとも60%、好ましくは70%)からなる樹状細胞の細胞集団が使用される。樹状細胞の未成熟状態は、その発生の初期段階に対応し、このときこれらは高いエンドサイトーシス活性を示し、その表面に低レベルのMHCのクラスI及びII分子及びリンパ球同時刺激分子を発現する。驚くべきことに、本発明者らは実際、未成熟樹状細胞のみが、顕著な量で膜小胞を産生し得ることを見いだした。未成熟段階の樹状細胞は、Tリンパ球を刺激する能力が低く、そのため生物学的活性が低いことが知られているため、この発見はますます驚くべきことである(Cella, Nature London, 388 (1997) 782)。【0092】よって本発明の方法の第1の工程は、好都合には、特に単球前駆体から出発し、更に特定してGM−CSF+IL−4又はGM−CSF+IL−13のようなサイトカインの組合せでの処理による、未成熟樹状細胞を含む樹状細胞の細胞集団の調製を含む。【0093】更に、本発明の枠組みにおいて樹状細胞の不死化細胞集団を使用することもできる。これらは樹状細胞の不死化細胞系(実施例に使用されるD1系、又は例えば樹状細胞へのmyc腫瘍遺伝子の導入により生成される任意の他の細胞系)であってよい。これらはまた、インビトロで調製されて次に不死化された樹状細胞であってもよい。不死化樹状細胞の価値は、所定の群の抗原に感作した細胞のライブラリーの作成に存在し、このライブラリーは、全ファミリーの患者に投与することができるデキソソームを調製するために工業的に使用することができる。【0094】一旦樹状細胞が調製されると、これらは培養物中で維持されて、更に精製され、貯蔵されるか、又は本方法の以下の工程において直接使用されてもよい。【0095】樹状細胞の感作本発明のデキソソームは、抗原が負荷されていない、すなわち、その膜又はその細胞質ゾルに特異的抗原を持たない樹状細胞から調製することができる。そしてこのようなデキソソームは、「自然な(naive)」又は「純粋な(virgin)」であると表される。【0096】しかし好ましい実施態様では、本発明のデキソソームは、抗原又は抗原の群に感作した樹状細胞から調製される。この実施態様において、デキソソームはこれら自体が該抗原を担持しており、そのためこれらに対する応答を誘導し得る。【0097】樹状細胞を抗原に感作させるのに異なる方法を使用することができる。これらの方法は、上述されており、そして特に下記を含む:− 樹状細胞を抗原性ペプチドと接触させること(「ペプチドパルス(peptide pulsing)」)。このアプローチは、樹状細胞を1つ以上の抗原性ペプチドと共に、すなわち、抗原提示細胞による該抗原の処理から生じるような、抗原から誘導されるペプチドと共に、可変時間(通常約30分〜約5時間)インキュベーションすることからなる。このタイプのアプローチは、例えば、HIVウイルス、インフルエンザウイルス若しくはHPVの抗原性ペプチド、又は例えば抗原Mut1、Mart、Her2若しくはNeuから誘導されるペプチドについて報告されている(Macatonia et al., J. Exp. Med. 169 (1989) 1255; Takahashi et al., Int. Immunol. 5 (1993) 849; Porgador and Gilboa, J. Exp. Med. 182 (1995) 255; Ossevoort et al., J. Immunother. 18 (1995) 86; Mayordomo et al., 前記; Mehta-Damani et al., J. Immunol. (1994) 996)。また、Zitvogelら(1996, 前記)により報告された方法により、腫瘍細胞の酸性ペプチド溶出液と共に樹状細胞をインキュベーションすることも可能である。− 樹状細胞を1つ以上の抗原と接触させること(「抗原パルス(antigen pulsing)」)。このアプローチは、1つ以上の抗原性ペプチドではなく、完全な抗原と共に樹状細胞をインキュベーションすることからなる。この方法の価値は、樹状細胞の自然な機作により抗原が抗原性ペプチドに変換するという事実に存在し、そのため樹状細胞により提示される生じた抗原性ペプチドは、更に良好な免疫原性を与えるはずである。このアプローチは、例えば、Inabaら(J. Exp. Med. 172 (1990) 631)又はHsuら(Nature Medicine 2 (1996) 52)により例示されている。− 樹状細胞を1つ以上の抗原性タンパク質複合体と接触させること。このアプローチは、上記のアプローチと同様であるが、抗原のプロセシング及び/又は提示の有効性を増大させうる。詳細には、抗原を可溶性形態で、又は標的化要素(これにより、特に、マンノース受容体又はイムノグロブリン受容体(Rfc)のような膜受容体を標的化できるようにする)と複合体化して使用することができる。また、その浸透力を改善するよう又は細胞によるその食作用さえ改善するように、抗原を粒子化することも可能である。− 樹状細胞を、抗原又は抗原性ペプチドを発現している細胞又は細胞の膜と接触させること。このプロセスは、細胞又は細胞膜の融合による抗原又は抗原性ペプチドの直接転移に基づく。このアプローチは、例えば、樹状細胞と腫瘍細胞の膜との間の融合により例示されている(Zou et al., Cancer Immunol. Immunother. 15 (1992) 1)。− 樹状細胞を、抗原又は抗原性ペプチドを含有する膜小胞(特に既に上述されたような腫瘍細胞からのエキソソーム)と接触させること。本発明で証明されるようなエキソソームを使用する樹状細胞の感作に対するこのアプローチは、特定抗原の知識を必要としないため、及び負荷した抗原性ペプチドが天然のコンホメーションであるため、特に好都合である。この技術は、実施例に例示されている。− 樹状細胞を、抗原又は抗原性ペプチドを含有するリポソームと接触させること(Nair et al., J. Exp. Med. 175 (1992) 609)。− 樹状細胞を、抗原又は抗原性ペプチドをコードするRNAと接触させること(Boczkowsky et al., 1996, 前記を参照のこと)。− 樹状細胞を、抗原又は抗原性ペプチドをコードするDNA(恐らくプラスミド、ウイルス又は化学型のベクターに組み込まれている)と接触させること。よって樹状細胞を感作する1つの方法は、例えば、それに対して保護が望まれるウイルスにより樹状細胞を感染させることからなる。これは、例えば、インフルエンザウイルスについて報告されている(Bhardwaj et al., J. Clin. Invest. 94 (1994) 797; Macatonia et al., 前記)。別のアプローチは、ウイルス又は他の核酸転移ベクターという手段により、目的の抗原又は抗原性ペプチドをコードするDNAを送達することからなる。このようなアプローチは、例えば、Arthurら(Cancer Gene Therapy, 1995)又はAlijagieら(Eur. J. Immunol. 25 (1995) 3100)により例示されている。アデノウイルス、AAV又はレトロウイルスのような幾つかのウイルスは、核酸を樹状細胞に送達するというこの目的のために使用することができるようである。【0098】本発明の枠組みにおける好ましい方法は、膜小胞(エキソソーム型の)、抗原性ペプチド、ベクター、RNA又は腫瘍の酸性ペプチド溶出液(APE)を使用する感作方法である。膜小胞、更には「ペプチドパルス」及びAPE法の使用は、実施例において例示されており、そして特に好ましいものである。【0099】デキソソームの製造樹状細胞の細胞集団が得られ、場合により1つ以上の抗原に対して感作されると、デキソソームを調製することができる。【0100】この調製は、細胞の処理という任意の第1工程、及びこれに続くデキソソームの単離という第2工程を含む。【0101】細胞の第1の処理工程は、樹状細胞によるデキソソームの産生は調節された現象であるという発明者らの証明に由来する。したがって処理しなければ、産生されるデキソソームの量は比較的低い。特に、前もって刺激されていない成熟樹状細胞の細胞集団が使用される場合には、実際上デキソソームの産生は検出不可能である。よって本発明者らは、デキソソームの産生が、本質的に樹状細胞のタイプ及びこれらの細胞の処理の履行に依存することを証明している。これらの予備的要素により、工業的使用に有意な量で有用な性質を有するデキソソームを得ることが可能になる。したがって樹状細胞の処理は、好都合にはこれらの細胞によるデキソソームの産生を刺激するように行われる。この刺激処理は、ある種のサイトカインの存在下での細胞の培養、又はこれらの細胞の照射、又は培養物のpHを低下させること、又はこれら異なる型の処理を組合せることにより行うことができる。【0102】第1の実施態様において、樹状細胞は、好ましくはガンマインターフェロン(IFNγ)、インターロイキン−10(IL−10)及びインターロイキン−12(IL−12)、そして好ましくはガンマインターフェロン及びIL−10から選択されるサイトカインの存在下でインキュベーションされる。実施例に例示されるように、これらのサイトカインは、デキソソームの産生に及ぼす非常に明白な刺激作用を発揮すると考えられる(3〜5倍)。更に、驚くべきことに、以下のサイトカイン:IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6及びIL−15の存在下では刺激作用は観察されず、そしてリポ多糖類(LPS)又はTNFαの存在下では阻害作用さえ観察された(しかし、これらは樹状細胞の成熟を刺激するものと記載されている)。よってこれらの結果は、(i)デキソソームの産生の調節性及び(ii)この産生に及ぼすある種のサイトカインの特異的作用を示している。更に、これらの結果は、未成熟樹状細胞を使用することの驚くべき価値、及び刺激工程における特にIL−10のような、細胞の未成熟状態を誘導するサイトカインの用途を例示する。この実施態様において、サイトカインは、(i)サイトカイン、(ii)細胞集団及び(iii)他の処理の可能性ある性能の関数として、当業者により調整可能な用量で使用される。サイトカインは、好ましくは毒性未満の用量で使用されると理解される。インターロイキンの用量は、通常1〜100ng/mlの間、そして好ましくは1〜50ng/mlの間である。インターフェロンは1〜500IU/ml、そして好ましくは5〜200IU/mlの間の用量で使用することができる。【0103】第2の実施態様において、樹状細胞は照射に付される。実施例に示された結果は、実際に細胞の照射もまたデキソソームの産生レベルを増大させ得ることを示している。照射は通常1,000〜5,000radの間、そして好ましくは2,000〜4,000radの間、そして最も好ましくは約3,000radで行われる。【0104】第2工程は、デキソソームの単離からなる。この工程の目的は、樹状細胞及び/又は培地からデキソソームを分離することである。この工程により、特にデキソソームが豊富化され、かつ実質的に完全な細胞を含まない組成物を得ることができる。好ましくは、この工程により少なくとも70%、そして好ましくは少なくとも85%のデキソソームを含む組成物が得られる。【0105】デキソソームの単離は、生物学的物質のための異なる分離法により行うことができる。腫瘍細胞のテキソソームについて前に記載したように、これらのプロセスは、デキソソームのサイズ、質量、電荷又は密度の違いに基づくものであってよい。【0106】したがってデキソソームは、樹状細胞の培地又は培養上清又は膜画分又は溶解物の遠心分離により単離することができる。単離は、例えば、分画遠心分離及び/又は密度勾配遠心分離、及びこれに続く該デキソソームを含有する画分の回収により行うことができる。このタイプの方法は、連続遠心分離による、一方で膜小胞の、そして他方で細胞、細胞破壊片、内部小胞などの分離に基づく。この特定の実施態様において、デキソソームを含有する画分は、通常100,000gでの超遠心後に得られるものである。この方法は、実施例1及び8に詳細に例示されている。【0107】デキソソームの単離工程はまた、クロマトグラフィー、電気泳動及び/又はナノ濾過により行うこともできる。【0108】液相及び/又は密度勾配電気泳動が好都合に行われてもよい。その電荷により生物学的物質の分離をもたらす液相電気泳動は非常に好都合である。以下の実施例11は、実際にこの手順が、良好な収率でのエキソソームの単離に有益に使用できることを示している。この手順は、更に、工業的規模で特に好都合である。【0109】精製は、クロマトグラフィーにより行うこともできる。詳細にはイオン交換クロマトグラフィー、ゲル浸透(又は排除)クロマトグラフィー又は疎水性クロマトグラフィーに言及することができる。デキソソームの脂質性から見て、イオン交換クロマトグラフィーが特に有用である。ナノ濾過は、公知の手順により細胞上清に対して行うことができる。【0110】クロマトグラフィー及び/又は電気泳動法及び/又はナノ濾過への依存は、それにより現行の技術と比較して、工業的使用(特に薬理学的)に適した量で高品質の生産が可能になるため、本発明のもう一つの重要な特徴を構成する。【0111】この点に関して、本発明はまた、電気泳動、クロマトグラフィー又はナノ濾過による少なくとも1つの分離工程を含む、膜小胞の調製方法に関する。このプロセスは、更に詳細には、テキソソーム又はデキソソームのようなエキソソーム型の膜小胞の調製に適している。このプロセスにおいて、電気泳動又はクロマトグラフィーによる分離工程は、培養上清、細胞溶解物又は精製前調製物に直接実施することができる。電気泳動は更に好ましくは液相電気泳動である。【0112】デキソソームは、実施例に例示される注目すべき性質を示す。すなわち、デキソソームは、細胞傷害性Tリンパ球の増殖をインビトロで刺激する。更には、デキソソームは、インビボで腫瘍増殖をブロックし得る。よってこれらの小胞は、MHCのクラスI及びクラスII分子と組合せて、非常に効率よく目的の抗原を提示し得る。したがってデキソソームは、例えば、癌及び寄生虫病又は感染症の分野において非常に多くの用途を有する。更に、高用量で(耐性を誘導しそうな)、デキソソームはまた、アレルギー、喘息又は自己免疫疾患のような疾患の治療に使用することができる。更に、「自然な」なデキソソームはまた、免疫応答を刺激及び/又は調節するためにアジュバントとして使用することができる。【0113】本発明の目的はまた、− 上記で定義されるようなテキソソームの、又は− 上記で定義されるような抗原提示細胞の、又は− 上記で定義されるようなデキソソームの、上述のテキソソーム、抗原提示細胞若しくはデキソソームに含まれる抗原に対して特異的なTリンパ球の、又はBリンパ球の、刺激及び場合によりインビトロでの増幅のための、そして特にTリンパ球の刺激及びインビトロでの増幅のための、使用に関する。【0114】本発明はまた、上記で定義されるようなテキソソームの、又は上記で定義されるような抗原提示細胞の、又は上記で定義されるようなデキソソームの、上述のテキソソーム、抗原提示細胞又はデキソソームに含まれる特異的抗原を認識し得るTリンパ球のレパートリーのエクスビボ選択のための使用に関する。【0115】本発明の目的はまた、活性物質として少なくとも1つの上記で定義されるようなテキソソーム、上記で定義されるような抗原提示細胞及び/又は上記で定義されるようなデキソソームを、薬学的に許容し得る賦形剤と組合せて含有する医薬である。【0116】好都合には、本発明は、癌、寄生虫病又は感染症の治療における使用のための、上記で定義されるような医薬に関する。【0117】更に好ましくは、この医薬は、上記で定義されるようなテキソソーム又はデキソソームを含有する。【0118】別の実施態様では、本発明は、アレルギー若しくは喘息型の疾患又は自己免疫疾患の治療における使用のための、上記で定義されるような医薬に関する。【0119】適切な処方として、テキソソーム又はデキソソームは、生理学的漿液中でアンプル又は任意の他の適切な手段(シリンジ、ポーチなど)に含まれていてよい。これらは、使用の直前に調製しても、又は例えば−80℃で凍結して保存してもよい。使用される溶液は、場合により安定化剤及び/又はアジュバントを補足した生理食塩水溶液からなっていてよい。安定化剤は、特にタンパク質又は高分子量の分子であってよい。更に詳細には、ヒト血清アルブミンのようなタンパク質、又は例えばデキストラン若しくはポロキサマーのような分子に言及することができる。【0120】本発明の組成物はまた、1つ以上のアジュバントを含有するか、又はこれらと組合せて使用することができる。アジュバントは、更に詳細には、例えばサイトカイン(特にインターロイキン−12)のような任意の免疫刺激性物質であってよい。このような物質は、臨床プロトコール又はワクチン組成物において伝統的に使用されている。更に、本発明のアジュバントはまた、インビボで樹状細胞の産生を刺激し得る物質であってよい。一例として、化合物Flt3に言及することができる。この型の物質の組合せ使用により、樹状細胞の数を増大させることができ、それによって本発明の組成物の有効性を改善し得る。【0121】よって本発明の別の目的は、同時使用、分離使用又は間隔をおいたそれぞれの使用を目的とした、テキソソーム及び/又はデキソソームとアジュバントとの組合せに関する。【0122】本発明の医薬の投与の適切な様式は、注射、そして特に皮内又は皮下注射からなる。この投与の様式は、医薬の活性物質がテキソソーム又はデキソソームが負荷された樹状細胞から構成されるとき、特に適している。【0123】適切な用量は、0.01〜10、そして特に0.10〜5そして更に特定して0.15〜2μg/kg体重であり、そして皮内反応試験には10μgである。【0124】本発明の医薬はまた、予防的ワクチン処置には100μgで使用することができる。【0125】本発明の医薬の使用により達成すべく立案される目的は、− 遅延された過敏感受性(癌患者における試験)、又は− 予防的療法、又は− 限界希釈法による、特異的細胞傷害性リンパ球前駆体又はインターフェロンの分泌器官の出現頻度の検出の枠組みにおける用途である。この目的は、抗腫瘍治療(標準治療又は特異的活性免疫化)の前、治療中及び治療後に、腫瘍を担持する被験者の末梢リンパ球の標的として、本発明のテキソソームと共にプレインキュベーションした、同種又は同種の樹状細胞を使用することである。【0126】本発明はまた、上記で定義されるようなテキソソーム又は上記で定義されるような抗原提示細胞の、又は上記で定義されるようなデキソソームの、腫瘍、特に固形腫瘍、腹水腫瘍及び造血系腫瘍の治療のために立案される医薬の調製のための使用に関する。【0127】固形腫瘍としては、腎癌、乳癌、結腸癌、肺癌、胃癌、肝癌、黒色腫、肉腫などに言及することができる。【0128】造血系腫瘍としては、白血病、ホジキン病及び非ホジキン悪性リンパ腫に言及することができる。【0129】前述のように、本発明の組成物、特にデキソソームを含有する組成物はまた、寄生虫病又は感染症の治療のために使用することができる。このタイプの使用のために、デキソソームには、寄生虫又は感染性物質(ウイルス)の抗原又はペプチドが負荷される。【0130】本発明はまた、癌の遅延された過敏感受性試験の枠組みにおいての、又は特異的細胞傷害性CTL前駆体の出現頻度を検討するための診断道具としての、上記で定義されるようなテキソソーム又は上記で定義されるデキソソームの使用に関する。【0131】本発明はまた、上記で定義されるようなテキソソーム又はテキソソームの画分若しくは構成成分の、あるいは上記で定義されるようなデキソソームの、インビトロ又はインビボでの細胞への生物学的物質の転移のための用途に関する。【0132】本発明はまた、共通の又は異なる組織型の腫瘍から誘導されるテキソソームライブラリーの作成に関する。【0133】これらの後者のものは、所定のタイプの癌について腫瘍細胞系から作成されるテキソソームの混合物からなる。これらのテキソソームライブラリーは、抗原提示細胞、特に樹状細胞をこのタイプの全ての腫瘍に対して感作させることができる。【0134】本発明はまた、テキソソーム又はデキソソームの混合物に関する。【0135】例えば、遺伝的に関連する腫瘍(乳癌及び卵巣癌)又は既知の突然変異p53、p16を示す腫瘍(乳癌、肉腫)のテキソソームの混合物に言及することができる。【0136】また、不死化細胞であり、かつ同時刺激分子、接着分子、誘引性ケモカイン(テキソソーム上で発現したものとは異なる)を発現するようにトランスフェクションした細胞から誘導される小胞との腫瘍テキソソームの混合物に言及することができる。【0137】本発明は、以下の実施例により更に詳細に記載されるが、これらは例示として考えるべきであり、限定と考えてはならない。【0138】図面の凡例表1.腫瘍細胞系は、1ミリリットル当たり百万細胞の密度まで24時間インキュベーションした。次に分画超遠心によりテキソソームを培地から調製した(実施例を参照)。テキソソームのタンパク質濃度は、ブラッドフォード(Bradford)試験(BioRad Protein Assay{BioRad})により測定する。【0139】MZ−2はTraversariら(1992)に記載されている。【0140】*は、異なる初代細胞系が樹立されており、そしてGustave Roussy Instituteの臨床生物学研究室において性状解析されており、そして請求に応じて利用可能であることを意味する。【0141】実施例1.マウス及びヒト腫瘍細胞系によるテキソソームの産生。この実施例では、脂質小胞を産生する腫瘍細胞の能力を例示する。【0142】白血病又は固形腫瘍(腎又は結腸黒色腫)に由来するこれらのマウス又はヒト腫瘍細胞(表1を参照のこと)は、1ミリリットル当たり百万細胞の密度で24時間インキュベーションした。次に培地(10%ウシ胎児血清を含有するRPMI)を300gで10分間遠心分離することにより細胞から離した。次いで細胞破壊片を2回の連続遠心分離(それぞれ800gで15分間)(及び場合により10,000gで30分間の遠心分離)により除去した。最後に100,000gで60分間の遠心分離によりテキソソームを回収し、次に同じ条件下でPBSで1回洗浄した。テキソソーム調製物中のタンパク質濃度は、ブラッドフォード法(BioRad Protein Assay{BioRad})により測定した。【0143】ヒト及びマウスの試験した全ての腫瘍細胞系(固形又は造血系、初代培養若しくは培養で樹立した細胞系、又は分離した新鮮腫瘍に由来する細胞系)はテキソソームを産生する(表1)。しかし、産生の効率は、異なる細胞系の間で変化する。マウス腫瘍細胞系は、24時間で5千万個の細胞当たり100〜200μgのテキソソームタンパク質を産生する。ヒト黒色腫及び腎腫細胞系は、24時間で2千万個の細胞当たり10〜100μgのテキソソームタンパク質を産生する。【0144】2.腫瘍細胞により産生される小胞はエンドサイトーシス由来である。腫瘍細胞系の上清から精製した小胞がエンドサイトーシス由来であるかどうかを決定するために、我々は、電子顕微鏡によりこれらの腫瘍細胞系の1つ、TS/A(マウス乳癌細胞系)(Nanni P. et al. (1983)「TS/A:BALB/c自然発生乳腺癌に由来する新しい転移性細胞系」 Clin. Exp. Metastasis 1: 373-380)の形態学的試験を行った。腫瘍細胞を固定して前述のように電子顕微鏡法のために準備した。テキソソームをグリッド上に直接載せて解析した。【0145】図1Aは、腫瘍細胞で観察される多小胞体の外観の細胞内区画の例を示す。これらのエンドサイトーシスの区画は直径200〜300nm(パネルA及びBの下の横線は200nmを表す)であり、直径68〜80nmの複数の内部小胞を囲む外膜からなる。テキソソーム調製物は、直径60〜80nmの小胞の主な集団(図1B)を、時折凝集物として、及び細胞の内部で観察される多小胞体エンドソームの内部小胞に類似した形態として含有する(図1A)。これらの結果は、テキソソームが細胞質膜とのエンドソームの外膜の融合後、細胞外媒体中に分泌されることを示唆する。実際、このようなエキソサイトーシスのプロフィールがこれらの細胞で観察される(データは示していない)。【0146】テキソソームが実際にエンドサイトーシス由来であるかどうかを決定するために、次に腫瘍細胞系TS/A及びP815(T. Boon(ルードヴィヒ研究所(Ludwig Institute)、ブリュッセル、ベルギー)による肥満細胞腫のデータ)(マウス肥満細胞腫)から誘導されるテキソソームに存在する以下に定義されるマーカーに関してウェスタンブロット分析を行った。これを行うために、2μgのテキソソームタンパク質又は200,000個のTS/A細胞の細胞溶解物をポリアクリルアミドゲルにより分離し、次にナイロン膜(Amersham)に移した。種々のマーカーの存在の可能性を、次いで、特異的抗体により明らかにした。TS/A及びP815のテキソソームは、MHCのクラスI分子、更にエンドサイトーシス経路の種々のマーカー(トランスフェリン受容体、リソソームの糖タンパク質Lamp1及び2)を含有する(図1A)。他方で、小胞体(ER)の特徴であるマーカー、カルネキシンは、テキソソーム調製物には存在せず、このことは、ER膜がテキソソームを混入しないことを示している。【0147】3.黒色腫細胞系により産生されるテキソソームは細胞質ゾル腫瘍抗原を含有する。これらの結果は、腫瘍細胞により分泌されるテキソソームが、多小胞エンドソームの内膜に対応することを示している。今や、これらのエンドソーム内小胞は、エンドソームの外膜からエンドソームの内部への陥入、及びこれに続く出芽により形成される。これらのエンドソーム内小胞、及びその結果のテキソソームは、細胞質ゾル画分を含むはずである。このことは、MART−1(最も研究されているものの1つ)を含む幾つかの腫瘍抗原が、細胞質ゾルタンパク質であるため、抗腫瘍免疫療法に関係して特に重要である。よってテキソソーム中のMART−1の存在を測定した。【0148】これを行うために、10μgのテキソソームタンパク質又は200,000個の細胞のヒト黒色腫細胞系(M10)(T. Boon、ルードヴィヒ研究所(Ludwig Institute)、ブリュッセル、ベルギー)の細胞溶解物を、前述のようにウェスタンブロットにより分析した。特異的抗MART−1抗体(S. Rosenberg、NCI、ベセズダ、米国)によりMART−1の存在の可能性が明らかになった。FON腫瘍細胞系(F. Faure(パスツール研究所、パリ、フランス)から得られた患者FON由来の黒色腫)により分泌されるテキソソームは、腫瘍抗原MART−1を含有する。プロテイナーゼK(Sigma)による保護実験は、このモノクローナル抗体により認識されるMART−1エピトープがテキソソームの内部にあることを示した(結果は示していない)。【0149】この研究の第1の部分は、− 腫瘍細胞が小胞を産生及び分泌すること、− これらの小胞が、その上に種々の膜分子(MHCのクラスI、種々のエンドソームマーカー)が見い出される外膜を含む、エンドソーム由来の小胞であること、− これらの小胞が、MART−1のような細胞質ゾル腫瘍抗原を含む細胞質画分を含有することを示している。【0150】これらの結果により、テキソソームと称される小胞の下記の生物学的活性の確認ができた。【0151】4.テキソソームはインビトロでCD8 Tリンパ球を刺激し得る。テキソソームはその表面にクラスI分子を有するため、これらがCD8 Tリンパ球を刺激し得るかどうかを測定した。2つのTクローン、F. Faure(パスツール研究所、パリ、フランス)から寄贈されたLT8及びLT12を使用したが、これらはHLA−A2と組合わされたMART−1から誘導されるペプチドを認識する(Dufour et al., 1997)。この目的のために、FON腫瘍細胞がHLA−A2であるため、LT8又はLT12 Tクローンの細胞は、FON上清から調製したテキソソーム、又は陽性対照として完全なFON細胞と共にインキュベーションした。Tリンパ球の活性化は、TNFβの分泌により測定した。FONテキソソームは、LT8及びLT12によるTNFβの分泌を用量依存的に誘導した(図3)。FON細胞もまた、TNF分泌を誘導したが、一方MART−1を発現していない腫瘍細胞から誘導されるテキソソームは分泌を誘導しない(図3)。【0152】よって、HLA−A2/MART−1ペプチド複合体はテキソソームの表面に存在する。【0153】同様な結果は、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)により免疫化したマウスの脾臓リンパ球を有するマウスで得られた。【0154】P815肥満細胞腫細胞若しくはβ−galを発現するP815細胞(A. Albina、Gustave Roussy Institute、ヴィルジュイフ、フランス)又はβ−galを発現しない別の腫瘍(L1210)H2αマウス白血病の細胞、L210の細胞の上清からテキソソームを産生させた。次に増大する濃度(0.3μg/ml〜20μg/ml)のこれらの異なるテキソソーム調製物を、組換えアデノウイルスにおいて発現したβ−galにより免疫化したマウスの脾臓細胞と共に4日間インキュベーションした。β−galを発現するP815細胞のテキソソーム(20μg/mlの最も高い濃度で)だけが、顕著ではあるが、かなり穏やかな脾臓細胞の増殖(図4を参照)(トリチウム化チミジンの取り込みにより測定)を誘導した。これらの結果は、β−galを発現するP815細胞により産生されたテキソソームが、その表面にH2α/β−galから誘導されるペプチドの複合体を担持し、そしてマウスTリンパ球を活性化し得ることを示している。【0155】5.テキソソームは、Tリンパ球に提示させるために、これらが含む細胞質ゾル抗原を抗原提示細胞に送達し得る。この目的のために、MART−1から誘導されるペプチド(MART−1 27〜35=AAGIGILTV、Dufour E. et al.,「細胞傷害性黒色腫特異的免疫応答の多様性」 J. Immunol. 1997, 158: 3787-3795)を特異的に認識するLT8及びLT12 TクローンをHLA−A2と組合せて使用した。FONヒト黒色腫細胞系(これはHLA−A2である)により産生されるテキソソームは腫瘍抗原MART−1を含有し(図2を参照)、そしてクローンLT8及びLT12を直接活性化し得ることが証明された。MART−1を含有するが、クローンLT8及びLT12を直接刺激することができないテキソソームを処置するために、MART−1陽性であるが、HLA−A2以外の制限要素(実際は、HLA−A1)を発現するMZ2黒色腫細胞系を使用した(T. Boon、ルードヴィヒ研究所(Ludwig Institute)、ブリュッセル、ベルギー)。実際、MZ2細胞、更にはこれらの細胞から誘導されるテキソソームは、FON細胞及びこれらの細胞から誘導されるテキソソームとは異なって、クローンLT8及びLT12を活性化しない(結果は示していない)(図3)。他方で、MZ2から誘導されるこれらの同じテキソソームは、HLA−A2を発現する樹状細胞の存在下でインキュベーションすると、FONから誘導されるテキソソームの場合のようにTクローンLT8及びLT12の刺激が観察される(図5)。【0156】MZ2から誘導されるテキソソームの場合に、これらは適切な制限要素(HLA−A2)を発現しないため、Tクローンの活性化は、HLA−A2/MART−1から誘導されるペプチドの複合体が前もって存在することにより起こるわけではない。したがって、抗原提示細胞に取り込まれ、ペプチドに分解されて次に提示細胞のHLA−A2分子と結合するのは、テキソソームに含まれる抗原でしかありえない。このためテキソソームは、腫瘍細胞と抗原提示細胞の間の抗原の転移を可能にする。したがってテキソソームは「天然のリポソーム」の機能と同様の機能を有する。【0157】6.テキソソームは、インビボで樹立された固形腫瘍の退縮を誘導する。最後に、テキソソームはインビトロでTリンパ球を刺激して、腫瘍特異的Tリンパ球の活性化のため樹状細胞を感作し得るため、テキソソームの抗腫瘍活性をインビボで試験した。【0158】このような抗腫瘍活性を分析するために、マウスに最少腫瘍原性用量の2倍(105個)の乳癌の腫瘍細胞(H2dハプロタイプのTS/A細胞、BALB/c細胞と同系)を側腹部に注射した。3又は4日後、樹立された腫瘍を有する動物にTS/A細胞上清から調製したテキソソーム又は陰性対照としてMC38細胞(S. Rosenberg、NCI、ベセズダ、米国)(H2bハプロタイプの腫瘍細胞)からのテキソソーム又は同様な容量のPBSを2回(3又は4日目)注射した。TS/Aテキソソーム調製物を接種したマウスの群の腫瘍の平均サイズは、対照マウスの群と比較すると非常に減少している。腫瘍を担持し、同様にテキソソーム調製物を接種したヌードマウス(Tリンパ球を欠いている突然変異マウス)は腫瘍質量の減少を示さないため、この抗腫瘍作用はT細胞に依存する(図6B)。【0159】この同じ一連の実験において、H2dハプロタイプのP815肥満細胞腫細胞から調製したテキソソームでは抗腫瘍作用が観察されたが、このことはこれら2つの腫瘍が共通抗原を発現することを示唆している。同様な結果は、別の非常に高い免疫原性の腫瘍モデル、肥満細胞腫P815(DBA/2マウスと同系、H2dハプロタイプ)で観察された。このモデルにおいて、樹立された腫瘍(P815)を担持するマウスの側腹部に10日目(80〜100mm2と測定される腫瘍)に皮内注射したテキソソームは、60%以上の場合に腫瘍の根絶をもたらす能力を有することが証明された。更には、これらのマウスは、長期に抗腫瘍免疫性を示す(結果は示していない)。この一連の実験において、H2dハプロタイプのマウス白血病から単離したL1210リンパ球及びTS/A細胞から調製したテキソソームの抗腫瘍作用が観察されたが、このことは、これら3つの腫瘍の間にも共通のエピトープが存在することを示している(突然変異p53は2つの腫瘍P815及びTS/Aに共通である)。【0160】テキソソームの抗腫瘍作用は、2つの機作により説明することができる。【0161】第1に、一旦注射すると、テキソソームは宿主の腫瘍特異的Tリンパ球を直接活性化し得る。こうして、腫瘍特異的Tリンパ球のクローン拡大又はT細胞の「プライミング(priming)」が起こりうる。第2の仮説は、注射したテキソソームの、宿主の樹状細胞との直接相互作用に関係するものである。次にこれが抗腫瘍応答を刺激する。この第2の仮説を試験するために、腫瘍細胞由来のテキソソームを負荷した骨髄から誘導される樹状細胞を静脈内注射したマウスの腫瘍の増殖をモニターした。そしてDBA/2マウス(イッファクレド(IFFA CREDO)、オルレアン、フランス)に最少腫瘍原性用量の2倍(50×105個)のP815肥満細胞腫細胞を注射した。10日後、9μgのテキソソームを負荷し、そしてその結果感作した5×105個の樹状細胞を各動物に注射した。これらの条件下の腫瘍の平均サイズは、PBS又は対照腫瘍MC38の細胞のテキソソームを負荷した樹状細胞を注射したマウスの群に比較して有意に減少する。実際、処理動物の60%以上が実験の終わりにはもはや腫瘍を失っていた。更に、再発は長期に観察されなかった(症例の80%〜100%で)。このような皮内注射した最適未満用量のテキソソームに作用がないことを観察することは興味深いが、このことは、樹状細胞が、皮膚の樹状細胞又はランゲルハンス細胞よりもはるかに有効に、腫瘍抗原を含有するデキソソームを調製し得ることを示唆している。同様な結果は、乳癌TS/A細胞のモデルで得られた。【0162】本発明の枠組みにおいて得られた結果は、テキソソームが樹状細胞を有効に感作することを示している。こうして感作されたこれらの細胞は、種々の腫瘍の症例においてインビボで強力な抗腫瘍応答を誘導する能力を有する。これらの結果は、テキソソームの直接接種後にインビボで観察される抗腫瘍作用が、宿主の樹状細胞の感作のせいであることを示唆している。注目すべきことに、この作用は感作樹状細胞の単回注射後に観察される。処理マウスの大部分は、完全な腫瘍の退縮又は腫瘍の退縮による生存期間の延長(対照の20日に対して60日)を示している。【0163】本発明の提示細胞の感作の方法は、先行技術の方法より優れた種々の利点を有する:i)これは、腫瘍抗原の事前の知識を必要としない:腫瘍抗原は大部分の腫瘍では知られていないため、このことは特に重要である;ii)本発明の方法は、テキソソームを産生するものであれば何でも任意の腫瘍に適用することができる;これまでに試験した15以上の腫瘍細胞系の中で、1つだけがテキソソームを産生しなかった(試験した6つの黒色腫細胞系の1つ)。iii)この方法は、テキソソームに存在する腫瘍抗原が再調製され、そして患者の抗原提示細胞のMHCの分子によりTリンパ球に提示されるため、患者及び腫瘍細胞のMHCのハプロタイプに依存しない;iv)本発明の方法は、特定の型の腫瘍にのみ共通の腫瘍抗原(例えば黒色腫のMART−A)だけでなく、完全に異なる腫瘍に共通な抗原(腫瘍形成に関係する分子のような、例えばp53)も存在するため、原則として異なる起源の腫瘍の間で有効でありうる;v)テキソソームの使用は、低レベルのMHCのクラスI分子を発現するか、又はそれらを全然発現しない腫瘍(これらの腫瘍はヒト転移性癌の40〜50%に相当する)の治療に有効であることも立証される。実際に、テキソソームは、腫瘍細胞と樹状細胞の間の完全な抗原の転移を可能にし、これらの抗原が次に樹状細胞のMHC分子によりTリンパ球に提示される。予備試験結果は、テキソソームが低レベルのMHCのクラスI分子を発現するマウス腫瘍の拒絶を誘導することを示している(MCA101同様、S. Rosenberg、NCI、ベセズダ、米国)。これは恐らく、有効な免疫応答の誘導に必要なMHCの分子の発現レベルが、エフェクター期に必要なレベルよりもはるかに高いという事実のせいである(細胞内細胞傷害性);vi)テキソソーム自体が単独で、それらの免疫原性の結果として予防的又は治療的ワクチン接種の新規で有効な方法を構成する。【0164】7.樹状細胞は免疫原性膜小胞(デキソソーム)を産生する。この実施例では、樹状細胞が膜小胞を産生すること、及びこれらの小胞が抗腫瘍免疫化のための強力な免疫原性小胞を構成することを証明する。これらの小胞は、これらが由来する全樹状細胞のインビボの注射工程を回避させることが可能であるため、特に好都合である。【0165】樹状細胞療法は、注射した細胞の安定な表現型の確実性も、使用した細胞組成物の均質性の確実性も提供しない。これらの細胞により分泌される安定産物、すなわち、上述の膜小胞を投与することにより、腫瘍担持宿主に対して有効性及び免疫化能力の保証が提供される。【0166】この実施例において、GM−CSF+IL−4での5日間の処理により骨髄から誘導される樹状細胞(Mayordomo et al., 1995)を、腫瘍細胞エキソソームと共に3時間インキュベーションした。こうして感作した細胞を次に酸性培地中で18時間培養し(小胞の産生を刺激するため)、次に小胞を観察して実施例1に記載された方法により回収した。これらの免疫原性を求めるために、次にこれらの小胞を、MART−1抗原に特異的な細胞傷害性Tリンパ球と共にインビトロでインキュベーションした。図9に示される結果は、0.6μgのDexTexFON(すなわち、FON腫瘍細胞から誘導されるテキソソームと共にインキュベーションした樹状細胞に由来するデキソソーム)と呼ばれるこれらの膜小胞が、MART−1に特異的なLT8クローンからのIFNγの増殖と分泌を直接刺激することを可能にしており、そしてこれは、NUN腫瘍細胞のテキソソームと共にインキュベーションした樹状細胞に由来する0.6μgのデキソソーム:DexTexNUN(NUNは、HLA−A2陰性、MART−1陰性の腎腫瘍である)ではできないことであることを証明している。したがってこれらの結果は、(i)樹状細胞が膜小胞を産生し、そしてこれらの膜小胞が強力な免疫原を構成することを示している。【0167】更に、図9Cに示される結果は、予期しないことに、樹状細胞ではデキソソームの産生が調節された現象であることを示しており、これは、IFN−γ及びIL−10のようなある種のサイトカインの存在下で刺激し得ることを示している。したがって、与えられる結果は、IFN−γ又はIL−10が顕著にデキソソームの産生を(約5倍に)増大させることを示している。IL−12で同等な結果が観察された。【0168】8.樹状細胞により産生される膜小胞の性状解析膜小胞を産生する樹状細胞の能力は、最初にヒト単球前駆体から産生される樹状細胞及びマウスD1樹状細胞系において確認された。【0169】D1細胞系及びこの細胞系の成熟の条件は、Winzlerら(J. Exp. Med. 185 (1997) 317)により報告されている。【0170】ヒト単球前駆体から誘導される樹状細胞は、健常被験者から採取し、L−Glu、抗生物質、1,000IU/mlのrhGM−CSF及びrhIL−4を含有するAIMV培地(シェーリングプラウ(Schering Plough)、ケニルワース、ニュージャージー州、米国)中で7〜8日間インキュベーションした、単核細胞の接着性画分から入手した。8日間の培養後、弱い接着性の細胞及び浮遊している細胞は樹状細胞の典型的な形態を示し、高レベルのMHC分子I及びII更にはCD40及びCD86を発現する。これらの細胞の大部分は、CD1a及びCD11bについて陽性であり、CD2、CD3、CD14、CD19及びCD83について陰性である。【0171】これらの細胞の顕微鏡分析により、MHC分子I及びIIに富む膜小胞の存在が明らかになった。これらの小胞を、遠心分離により単離し、免疫電子顕微鏡法により分析した。更に詳細には、樹状細胞の培養上清を回収し、300gで20分間、次に10,000gで4℃で30分間遠心分離して、細胞と細胞破壊片を除去した。次にデキソソームを100,000gで4℃で1時間遠心分離し、続いて同じ条件(100,000gで4℃で1時間遠心分離)下でPBSで洗浄した。デキソソーム調製物中のタンパク質濃度は、ブラッドフォード(Bradford)法(BioRad Protein Assay{BioRad})により測定した。【0172】得られた結果は、約60〜90nmの間に含まれる直径を有する小胞の均質な集団を示す(図10)。更には、95%以上のデキソソームは、抗CD63、抗CD82、抗MHC−I及び抗MHC−II抗体により標識される。【0173】これらの結果により、樹状細胞が、抗原提示分子及びリンパ球同時刺激分子を示す膜小胞を産生することが確認される。【0174】9.デキソソームは制限MHC−Iに関係した抗原を提示する。デキソソームの好都合な特徴の1つは、MHCのクラスI分子の存在にある。これらの分子は、実際に有効な細胞応答の生成のために、そして特にCTL細胞の活性化及び拡大のために必要である。そのためCD8+リンパ球を刺激するデキソソームの能力及び得られるリンパ球の特異性を試験した。【0175】これを行うために、ヒト単球前駆体から得られた樹状細胞(HLA−A2被験者)を最初に「ペプチドパルス」により特定の抗原に感作させた。この目的のために、細胞(2×106個/ml)は、10μg/mlの抗原性ペプチドMART−1/MelanA(27〜35)の存在下、又は10μg/mlのペプチドgp100(280〜288)(対照)の存在下で、pH3.7のクエン酸懸濁液中で3〜12時間インキュベーションした。この感作工程後、デキソソームを実施例1に記載されたように単離した。LT12クローンの細胞(制限CTLクローンHLA−A2、MART−1(27〜35)特異的)を、次に増大する用量のデキソソーム又はペプチドgp100(対照)と共に、96ウェルプレートで5日間インキュベーション(1ウェル当たり100,000CTL)した。細胞によるガンマインターフェロンの分泌を次にELISA(Genzyme)により測定した。【0176】図11に示されるように、ペプチドMART−1を有するデキソソームは、クローンLT12によるガンマインターフェロンの産生を用量依存的に刺激し得る。他方で、対照ペプチドgp100でパルスした樹状細胞から産生されるデキソソームは、このクローンに対して刺激作用を発揮しない。【0177】これらの結果により、本発明のデキソソームにより発現されるMHC−Iの分子が機能性であることが確認された。【0178】10.デキソソームはインビボで腫瘍増殖を阻止する。この実施例では、インビボの免疫応答を誘導する、更に詳細には腫瘍特異的T細胞の増殖を誘導する本発明のデキソソームの能力を証明する。【0179】骨髄から得られた樹状細胞に、種々の腫瘍抗原性ペプチドを含有する酸性腫瘍溶出液を負荷した。樹状細胞の調製及び感作技術は、Zitvogelら(1996)により報告されている。図12は、これらの樹状細胞により産生されるデキソソームにより発現されるマーカーを示す。前述のように、この図は、MHCのクラスI及びクラスII分子、更にはマーカーCD86及びトランスフェリン受容体の豊富な存在を示す。他方で、これらは細胞溶解物中に出現するが、マーカーH2−M、li及びカルネキシンは、エキソソーム調製物中で検出できない。【0180】2つの実験的腫瘍モデルを選択して、本発明のデキソソームのインビボ抗腫瘍性を試験した。第1のモデルのP815は、樹立された腫瘍に対して10日目にはほとんど有効な免疫療法がないことが報告されている、DBA/2(H2d)と同系の攻撃的な肥満細胞腫である。TS/Aモデルは、BALB/c(H2d)と同系の、低レベルのMHCのクラスI分子を発現する弱い免疫原性の自然発生乳癌である。酸性処理により溶出した腫瘍P815又はTS/Aの腫瘍ペプチドを、前述のように骨髄から誘導された同系の樹状細胞に負荷した。次にデキソソームを、これらの樹状細胞上清から調製して、インビボ免疫化のために使用した。【0181】マウス及び腫瘍細胞系DBA/2J(H2d)及びBALB/c(H2d)メスマウス(6〜8週齢)は、イッファクレドラボラトリー(Iffa Credo Laboratory)、リヨン、フランスから購入して、病原体を含まない条件下で収容した。ヌードマウスは、保護された微小環境で収容した。P815細胞は、T. Boon(ルードヴィヒ研究所(Ludwig Institute)、ベルギー)から提供を受けた。TS/Aモデルは、Guido Forni(免疫遺伝子学及び組織適合性センター(Immunogenetic and Histocompatibility Center)、トリノ、イタリア)から供給を受けた。全ての腫瘍細胞系は、エンドトキシンを含まない10%ウシ胎児血清(Gibco BRL)、2mMのL−グルタミン、100unitd/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシン、必須アミノ酸及びピルビン酸を補足したRPMI1640培地で保存した。この培地は、以下CM培地とも称される。【0182】プロトコール及び結果最少腫瘍原性用量の2倍の腫瘍細胞(5×105個のP815、105のTS/A)を、それぞれDBA/2及びBALB/cマウスの右側腹部の上部領域に皮内接種した。3〜4日で樹立したTS/A腫瘍又は6〜10日で樹立したP815腫瘍を提示する動物を、次に同じ側腹部の下部領域への3〜5μgのデキソソームの単回皮内注射により免疫化した。これらの手順は、免疫適合動物とヌードマウスの両方に同様に実施した。単回治療注射を各マウスに行った。腫瘍のサイズは、1週間に2回調査して、マウスの担持する腫瘍が潰瘍化するか、大きくなり過ぎたときにマウスを屠殺した。各シリーズの実験は、各個別の処理について5匹のマウスの群を使用して2又は3回行った。得られた結果は、図13に与えられる。図13Bに示されるように、10日目(50〜90mm2のサイズを有する)の樹立したP815腫瘍の処理は、1匹のマウス当たり3〜5μgのデキソソームの単回皮内投与により達成することができる。1週間以内に、腫瘍増殖は、同種腫瘍ペプチドを負荷した樹状細胞から誘導されるデキソソームを投与した群では停止し、そして40〜60%のマウスでは60日目には腫瘍は完全に消失した。【0183】更に、これらの動物は、持続する免疫応答を示し、そして未処理マウスには普通は致死的なP815の追加の注射を拒絶した。他方で、これらのマウスは同系の白血病クローンL1210の注射に対して保護されるが、このことは、得られる作用の免疫特異性をはっきりと示している。最後に、対照のデキソソーム(マウスの脾臓のペプチドを負荷した)で免疫化したマウスの群は、未処理マウス同様に抗腫瘍作用を示さない。したがってこれらの結果は、本発明の腫瘍ペプチドを負荷したデキソソームが、インビボで腫瘍の退縮を誘導し得ることを示している。【0184】同様な抗腫瘍作用は、3/4日目に樹立した腫瘍を含むTS/A腫瘍モデルで得られた。この一連の実験において、全てのマウスは、その生存期間を延長する、統計的に有意な腫瘍増殖の遅延を示した(図14)。この抗腫瘍作用は、図14Bに示されるようにNu/Nu無胸腺マウスでは観察されなかったが、このことは、T細胞の存在が、本発明のデキソソームの抗腫瘍作用の発現に必要であることを示している。【0185】更に、以下の実験では、デキソソームが、腫瘍P815を提示する動物の特異的なCTL応答を直接刺激することを示す。デキソソームによる免疫化後P815腫瘍を拒絶したマウスの脾細胞を90日目に回収して、抗原B7.1を発現する照射P815細胞の存在下で、特異的前駆体の出現頻度を増大させるために5日間培養した。これらのエフェクター細胞は、(i)同種P815(H2d)腫瘍細胞、(ii)関連のないL1210細胞及び(iii)YAC細胞に対して、クロム放出測定法で試験した。顕著な特異的細胞溶解活性は、デキソソームで免疫化したマウスの脾細胞においてP815細胞に対して観察された(図15)。興味深いことに、自発的に腫瘍P815を拒絶するか、又はP815腫瘍を提示するマウスの脾臓はいずれも、同一条件下でこの細胞溶解活性を示さない。これらの結果は、ある抗原又は対応する抗原性ペプチドで感作した樹状細胞から誘導される本発明のデキソソームの単回注射は、インビボで有効な特異的なCTLの抗腫瘍応答を引き起こし得ることを示している。【0186】デキソソームにより誘導される免疫応答及び抗腫瘍応答が、MHCに制限されるかどうか、及び単に腫瘍ペプチドの直接作用のせいではないかどうかを決定するために、H2d(DBA/2)又はH2b(C57BL/6)マウスに、並行して腫瘍P815から溶出した腫瘍ペプチドを負荷した。これらの樹状細胞により産生されるデキソソームを次に単離し、6/10日目に樹立したP815腫瘍を担持するDBA/2マウスへの直接皮内注射のために別々に使用した。【0187】図13Bに示されるように、同系腫瘍ペプチドを担持するデキソソームのみが有効な抗腫瘍ワクチン(60%のマウスで腫瘍の消失を誘導する)であり、一方同種樹状細胞のデキソソームは、実際上抗腫瘍作用を誘導しない。これらの結果は、本発明のデキソソームが、MHCに制限されるインビボの抗腫瘍応答を誘導することを示している。【0188】上記の実験と同様な実験を、皮内注射ではなく静脈内注射にすることにより行った。得られた結果は、図16に示される。これらは、第1にデキソソームの静脈内注射後の腫瘍の退縮を示す。更に、これらの結果は、インビボで腫瘍を根絶するのに、デキソソームが樹状細胞(ここからデキソソームが誘導される)よりも強力であることを示している。したがってこれらの結果は、デキソソームの注目すべき予想外の性質を説明する。【0189】したがって上に示される結果は、マウス又はヒト未成熟樹状細胞がデキソソームを分泌すること、これらのデキソソームがMHCのクラスII分子だけでなくMHCのクラスI分子及び同時刺激分子をも提示すること、及び最後にこれらのデキソソームが免疫原性であり、インビボで腫瘍の退縮を誘導することを示している。【0190】これらのデキソソームは、樹状細胞培地(GM−CSF+IL4の存在下で骨髄から誘導される樹状細胞、D1樹状細胞系又は末梢血由来の単核細胞から単離したヒト単球前駆体から誘導される樹状細胞)から比較的高い量(ブラッドフォード試験により、18時間当たり百万個の樹状細胞当たり1μg)で得ることができる。デキソソームを、生化学的及び形態学的に性状解析した。免疫電子顕微鏡法により分析した膜小胞は、約60〜90ナノメートルの直径を有する均質な小胞の集団を示す。デキソソーム調製物は、レトロウイルス、原形質膜、ミクロソームの成分又はアポトーシス体を含まないことが明らかである。これらのデキソソームは、MHCのクラスI及びIIの分子、CD63及びCD86を、原形質膜に比較して豊富に過剰発現する。小胞体から誘導される区画は、抗カルネキシン抗体を使用するウェスタンブロッティングによると、デキソソームでは検出されなかった。プログラムされた細胞死は、種々の条件を使用するこれらの培養物では証明することができなかった。興味深いことに、これらの小胞の産生は、調節された現象であるようである。小胞の量は、ブラッドフォード試験、ウェスタンブロッティング及び免疫電子顕微鏡法により決定すると、樹状細胞の成熟を誘導することにより減少させることができると考えられる。更に、これらの小胞の分泌のレベルは、培地のpHを低下させるか、又はある種のサイトカインの存在下で細胞をインキュベーションするか、又は更に樹状細胞を照射処理に付すことにより、顕著に改善し得る。この現象は、未成熟樹状細胞が、通常抗原提示の能力が低く、そのため免疫学的活性が低いと考えられるため、特に予想外である。得られた結果は、有効にデキソソームを産生する性質を有するのは、この段階の未成熟樹状細胞であることを示す。得られた結果は、最後にこれらのデキソソームが、インビトロ及びインビボの両方で有効なT細胞による応答を引き起こし得ること、及びこれらがインビボで腫瘍の退縮をも誘導し得ることを示す。したがって、これらの小胞は、非細胞系を使用する免疫学的治療のアプローチのための特に魅力ある候補を現実に構成する。【0191】11.液相電気泳動によるエキソソームの精製この実施例は、液相電気泳動に基づくエキソソームの発明的精製方法の使用を記載する。【0192】液相電気泳動は、生物学的物質のその電荷による分離という分取方法である。この方法は、等電点電気泳動によりタンパク質を分離するために使用されてきた。この方法は、以下の利点を有する:− これは、物質の連続注入を可能にし、そのため大量の小胞の精製を可能にする分取方法である。− この方法により、原則として遠心分離工程を排除して、1又は2工程でデキソソームの精製が可能になる。【0193】この方法が、エキソソームの精製に適用可能であるかどうかを決定するために、我々は以下の実験を行った:【0194】分画遠心分離によりマウス樹状細胞の上清から単離したデキソソームの調製物を、Amigorenaら(Nature, 369 (1994), 113)により報告された通常の条件下で液相電気泳動に注入した。40画分を集めて、これらの画分の各々のタンパク質濃度をブラッドフォード試験(BioRad)により測定して、デキソソームの存在を検出した。図17に示されるように、90%のデキソソームは、4つのLPE画分に濃縮されていることが判った。この方法による狭いピークとしてのデキソソームの移動は、デキソソームの単離の方法としての電気泳動の実用性を立証している。【0195】【表1】【0196】【表2】【0197】【表3】【図面の簡単な説明】【図1A】ヒト及びマウス腫瘍細胞系によるテキソソームの産生。多小胞体エンドソーム及びTS/A細胞から誘導されたテキソソームの形態。電子顕微鏡法により分析したTS/A細胞の極薄切片。直径60〜80nmの小胞を含有するエンドソームの区画を示す細胞質の詳細。【図1B】ヒト及びマウス腫瘍細胞系によるテキソソームの産生。多小胞体エンドソーム及びTS/A細胞から誘導されたテキソソームの形態。完全な小胞に対する手順(Raposo et al., (1996))により電子顕微鏡法で分析したTS/A細胞由来のテキソソームのプレパラート。このテキソソームのプレパラートは、Aに示される多小胞体エンドソームの内部小胞と類似したサイズと形態の、直径60〜80nmの小胞の主な細胞集団を含有する。【図2A】腫瘍細胞のテキソソームにおける種々のマーカーの存在。2μgのテキソソームタンパク質(Exos)又は2×105個の腫瘍細胞を、MHCのクラスI分子(Machold Robert P. et al.,(1995)「ペプチドが遊離の主要組織適合遺伝子複合体クラスI重鎖の折り畳み及び細胞内輸送に影響する」J. Exp. Med. 181: 1111-1122)、トランスフェリン受容体(TfR)(対応する抗体は、Biochimica et Biophysica Acta (1992) 1136 (1): 28-34に記載されるH68.4である)、Lamp1及び2(ラット抗マウスモノクローナル抗体、Pharmingen)及びカルネキシン(Hebert Daniel N. et al. (1995)「グルコーストリミング及び再グルコシル化は小胞体におけるカルネキシンとの糖タンパク質の会合を決定する」 Cell 81: 425-433)に対して特異的なモノクローナル抗体を用いるウェスタンブロットにより分析した。【図2B】腫瘍細胞のテキソソームにおける種々のマーカーの存在。10μgの黒色腫細胞系(FON)のテキソソームタンパク質又は10μgの同じ細胞由来の全タンパク質を、抗MART−1抗体(Marincola F. et al., (1996)「転移性黒色腫細胞系及び「インサイチュ」病変部における黒色腫結合抗原MART−1及びgp100の発現の分析」, Journal of Immunotherapy 19: 192-205)を用いるウェスタンブロットによって分析した。【図2C】腫瘍細胞のテキソソームにおける種々のマーカーの存在。黒色腫細胞系(FON)のテキソソームタンパク質又は同じ細胞の全タンパク質を、抗HSP70抗体を用いるウェスタンブロットによって分析した。【図2D】腫瘍細胞のテキソソームにおける種々のマーカーの存在。黒色腫細胞系(FON)又はMZ−2細胞系のテキソソームタンパク質を、抗gp96抗体を用いるウェスタンブロットによって分析した。【図3】MART−1陽性腫瘍細胞系(FON)から誘導されるテキソソームはMART−1に特異的なTクローンを刺激する。20,000個の細胞のTクローンLT8(又はLT12、結果は示していない)を、FON(MART−1及びHLA−A2陽性の細胞系)から又は陰性対照としてGIAM(腎腫細胞系の細胞、MART−1陰性)から誘導されるテキソソームと共に48時間インキュベーションした。Tクローンの細胞によるTNFβの産生は、WEHI細胞による生物学的測定法により測定した(Espavik et al.)。テキソソームは、TクローンによるIFNの産生を誘導しており、そのためテキソソームの表面でのMART−1から誘導されるHLA−A2/ペプチド複合体の存在が明らかになった。− 「LT8+TexGIAM」は、GIAM腫瘍細胞から誘導されるテキソソームの存在下でインキュベーションしたLT8 Tクローンに対応する;− 「LT8+TexFON」は、FON腫瘍細胞から誘導されるテキソソームの存在下でインキュベーションしたLT8 Tクローンに対応する;− 「LT8+TumFON」は、GIAM腫瘍細胞から誘導されるテキソソームの存在下でインキュベーションしたLT8 Tクローンに対応する;条件づけた細胞は横軸に、そして産生されるTNFβの量(pg/ml)は縦軸に示される。【図4】βGalを発現するP815細胞からのテキソソームは、組換えβGalアデノウイルスにより免疫化したマウスの脾細胞を刺激する。106pfuの組換えβGalアデノウイルスにより2ヶ月前に免疫化して、βGalを発現する腫瘍を拒絶した、BALB/cマウスの脾細胞(105個)を、P815細胞(白抜きの菱形◇)又はP815−βGal細胞(塗りつぶしの四角形黒四角)から誘導されるテキソソームと共にインキュベーションした。テキソソームと共にインキュベーションしなかった脾細胞は、塗りつぶしの円形(●)の記号で示されるバックグラウンドを与える。培養の5日後、培養ウェル1つ当たり1μCiのトリチウム化チミジンを加えた。細胞内DNAへのトリチウムの取り込みを、18時間後に測定した。フィッシャーの直接法により有意に差のある結果に印を付けた*。P815腫瘍細胞から誘導されるテキソソームの量(μg/ml)は横軸に、そして1分当たりのカウント(CPM)は縦軸に示される。【図5】テキソソームに含まれる腫瘍抗原MART−1は、樹状細胞によってTリンパ球に提示され得る。腫瘍細胞系FON(MART−1+、HLA−A2+、A1−)及びMZ2(MART−1+、HLA−A2−、A1+)から誘導される増大する用量のテキソソームを、循環マクロファージから誘導されるHLA−A2+樹状細胞(DCA2)(Sallusto, F. and Lanzavecchia A., 1994,「培養ヒト樹状細胞による可溶性抗原の効率的な提示は、GM−CSF及びIL−4により維持され、TNFαによりダウンレギュレーションされる」 J. Exp. Med. 179: 1109-1118)の存在下で、LT12 Tクローン(96ウェルマイクロタイタープレートの1ウェル当たり20,000個の細胞)(MART−1のHLA−A2/ペプチドに特異的)と共にインキュベーションした。縦軸に示されるIFNγ分泌(pg/ml)は、2日後に培養上清で測定した。FONから誘導されるテキソソーム及びMZ2から誘導されるテキソソームは、LT12及びLT8によるIFN分泌を誘導した(結果は示していない)。FON細胞はまた、Tクローンによる強力なIFNγ分泌をも誘導したが、一方HLA分子の適切なハプロタイプ(HLA−A2)を発現しないMZ2細胞は、IFNγ産生を誘導しなかった。− 「LT12+DCA2」は、HLA−A2+樹状細胞の存在下でインキュベーションしたLT12 Tクローンに対応する;− 「LT12+DCA2+TexFON」は、FON腫瘍細胞から誘導されるテキソソームが負荷された樹状細胞の存在下でインキュベーションしたLT12 Tクローンに対応する;− 「LT12+DCA2+TexMZ2」は、MZ2腫瘍細胞から誘導されるテキソソームが負荷された樹状細胞の存在下でインキュベーションしたLT12 Tクローンに対応する;【図6A】インビボでのテキソソームの抗腫瘍作用。100,000個のTS/A腫瘍細胞を、BALB/c(A)又はヌードマウス(B)に注射した。3日後、各マウスに24時間の間隔で20μg〜30μgのテキソソームの2回の逐次注射(図上にD3及びD4として示される)を皮内に行った。次に腫瘍のサイズを1週間に2回測定した。フィッシャーの直接法により統計解析を行った(95%の有意性は*により示される)。2群の5匹のマウスにTS/A(塗りつぶしの三角形)又は陰性対照としてMCA38(白抜きの三角形)(C57BL/6マウスから誘導される結腸腺癌細胞系)から誘導されるテキソソームを与えた。TS/Aから誘導されるテキソソームのみがインビボで抗腫瘍作用を有する。【図6B】インビボでのテキソソームの抗腫瘍作用。100,000個のTS/A腫瘍細胞を、BALB/c(A)又はヌードマウス(B)に注射した。3日後、各マウスに24時間の間隔で20μg〜30μgのテキソソームの2回の逐次注射(図上にD3及びD4として示される)を皮内に行った。次に腫瘍のサイズを1週間に2回測定した。フィッシャーの直接法により統計解析を行った(95%の有意性は*により示される)。2群のヌードマウスに同じ用量の同じテキソソーム調製物を並行して与えた(黒四角:TS/Aエキソソーム;□:MC38エキソソーム)。ヌードマウスでは抗腫瘍作用は観察されなかった。よってインビボのテキソソームの抗腫瘍作用にはTリンパ球が必要である。時間(日数)は横軸に示され、そして腫瘍の平均サイズ(mm2)は縦軸に示される。【図7】腫瘍細胞から誘導されるテキソソームにより感作した骨髄に由来する樹状細胞は、樹立された固形腫瘍のインビボでの完全な根絶を誘導する。500,000個のP815腫瘍細胞を、処理の10日前にDBA/2マウスの右側腹部に注射した。処理は、同じ側腹部ではあるが腫瘍から遠位へのテキソソームの単回注射(10μg/マウス)からなった。別の群には、前もってP815テキソソームと共に3時間インキュベーションした樹状細胞(GM−CSF+IL−4で5日間処理することにより骨髄から誘導した(Mayordomo et al., 1995))を静脈内注射した。腫瘍を測定して、結果を図6に記載されるように分析した。P815テキソソームは、樹状細胞を感作して、樹立された腫瘍の拒絶を誘導した。ミクロソームには腫瘍増殖に及ぼす有意な作用はなかった。挿入図は、腫瘍のないマウスの百分率を示しており(縦軸に)、塗りつぶしのバーは、塗りつぶしの四角形タイプの動物の群にのみ対応しており、時間(日数)は横軸に示される。これらのマウスは、最少腫瘍用量の2倍の再注射後に腫瘍を発生しなかったが、このことは、これらが抗腫瘍免疫性になったことを示している。図中に使用した記号は以下のとおりである:○:対照テキソソームと共にインキュベーションした樹状細胞、黒四角:P815テキソソームと共にインキュベーションした樹状細胞塗りつぶしの三角形:皮内注射したP815テキソソーム×:未処理動物時間(日数)は横軸に示され、そして腫瘍の平均容量が縦軸に与えられる。【図8A】細胞傷害性/化学療法剤及び照射は、腫瘍テキソソームのエキソサイトーシスを刺激し得る。マウス白血病L1210及び初期ヒト腎癌細胞系GIAMを使用した(図8C)。2百万個の腫瘍細胞を、1ml当たり増大する量の5−FU(L1210の場合)又はシスプラチン(CDDP)(GIAMの場合)の存在下で16時間インキュベーションした。上清を回収し、次に表Iに記載されるように分画遠心分離に付した。GIAMはまた、1,000IU/mlのIL−2若しくはデキサメタゾン(10−6M)と共にインキュベーションしたか、又は10,000radで照射した。高用量の化学療法剤及び照射は、これらの腫瘍モデルにおけるテキソソームのエキソサイトーシスの正の調節の良い例である。結果は他の腫瘍でも見い出された(図8A及び8B);特に照射は最も強力なエキソサイトーシス刺激であると考えられる。図8Aは、上述のFON黒色腫に対応し、そして図8Bは、EL4と表されるマウスリンパ腫に対応する(J. Nat. Cancer Ins. (1972) 48: 265-271)。種々の条件下でインキュベーションしたFON細胞が図8Aに示される:1)CM:基本培地(10%ウシ胎児血清を含有するRPMI)、2)DXM=デキサメタゾンの存在下、3)照射:10,000radで照射、4)血清なし、5)IL−10=10ng/mlのIL−10の存在下。上記照射はまた、EL4、L1210及びGIAM細胞にも有効である。【図8B】細胞傷害性/化学療法剤及び照射は、腫瘍テキソソームのエキソサイトーシスを刺激し得る。マウス白血病L1210及び初期ヒト腎癌細胞系GIAMを使用した(図8C)。2百万個の腫瘍細胞を、1ml当たり増大する量の5−FU(L1210の場合)又はシスプラチン(CDDP)(GIAMの場合)の存在下で16時間インキュベーションした。上清を回収し、次に表Iに記載されるように分画遠心分離に付した。GIAMはまた、1,000IU/mlのIL−2若しくはデキサメタゾン(10−6M)と共にインキュベーションしたか、又は10,000radで照射した。高用量の化学療法剤及び照射は、これらの腫瘍モデルにおけるテキソソームのエキソサイトーシスの正の調節の良い例である。結果は他の腫瘍でも見い出された(図8A及び8B);特に照射は最も強力なエキソサイトーシス刺激であると考えられる。図8Aは、上述のFON黒色腫に対応し、そして図8Bは、EL4と表されるマウスリンパ腫に対応する(J. Nat. Cancer Ins. (1972) 48: 265-271)。種々の条件下でインキュベーションしたFON細胞が図8Aに示される:1)CM:基本培地(10%ウシ胎児血清を含有するRPMI)、2)DXM=デキサメタゾンの存在下、3)照射:10,000radで照射、4)血清なし、5)IL−10=10ng/mlのIL−10の存在下。上記照射はまた、EL4、L1210及びGIAM細胞にも有効である。【図8C】細胞傷害性/化学療法剤及び照射は、腫瘍テキソソームのエキソサイトーシスを刺激し得る。マウス白血病L1210及び初期ヒト腎癌細胞系GIAMを使用した(図8C)。2百万個の腫瘍細胞を、1ml当たり増大する量の5−FU(L1210の場合)又はシスプラチン(CDDP)(GIAMの場合)の存在下で16時間インキュベーションした。上清を回収し、次に表Iに記載されるように分画遠心分離に付した。GIAMはまた、1,000IU/mlのIL−2若しくはデキサメタゾン(10−6M)と共にインキュベーションしたか、又は10,000radで照射した。高用量の化学療法剤及び照射は、これらの腫瘍モデルにおけるテキソソームのエキソサイトーシスの正の調節の良い例である。結果は他の腫瘍でも見い出された(図8A及び8B);特に照射は最も強力なエキソサイトーシス刺激であると考えられる。図8Aは、上述のFON黒色腫に対応し、そして図8Bは、EL4と表されるマウスリンパ腫に対応する(J. Nat. Cancer Ins. (1972) 48: 265-271)。種々の条件下でインキュベーションしたFON細胞が図8Aに示される:1)CM:基本培地(10%ウシ胎児血清を含有するRPMI)、2)DXM=デキサメタゾンの存在下、3)照射:10,000radで照射、4)血清なし、5)IL−10=10ng/mlのIL−10の存在下。上記照射はまた、EL4、L1210及びGIAM細胞にも有効である。【図9A】黒色腫腫瘍抗原に感作した樹状細胞により産生された膜小胞(デキソソーム)は、これら黒色腫に特異的なTリンパ球を刺激するのに有効であり、そしてこれらの産生はサイトカインにより調節される。− LT8(CM)は、図8Aに定義される基本培地中でインキュベーションしたLT8 Tクローンに対応する、− DexTexNUNは、NUN腫瘍細胞に由来するテキソソームが負荷された樹状細胞から誘導されるデキソソームに対応する、− DexTexFONは、FON腫瘍細胞に由来するテキソソームが負荷された樹状細胞から誘導されるデキソソームに対応する、− TumFONは、FON腫瘍細胞に対応する。増殖測定法:FONテキソソーム(図3で使用)をHLA−A2樹状細胞と共に3時間インキュベーションし、次に9%生理食塩水で洗浄して酸性媒体(pH6.3)中で18時間インキュベーションした。こうして樹状細胞の膜小胞(デキソソーム)を上述のHLA−2樹状細胞の培養上清から回収する。テキソソームを負荷した樹状細胞に由来する膜小胞(DexTex)を、次にHLA−A2に関係して提示されるMART−1に対して特異的なLT8クローンと共にインキュベーションする(FONテキソソームは抗原MART−1を含有する)。NUNテキソソーム(HLA−A2陰性腎癌細胞系、MART−1陰性)を陰性対照として使用した。照射した腫瘍細胞系FON(TumFON)又は前もってプラスチックに吸収させた抗CD3抗体(抗CD3Ab)を陽性対照として使用した。LT8クローンとDexTexのインキュベーションを48時間続け、次に200μlウェル当たり1μCiのトリチウム化チミジンを加えた。LT8リンパ球の増殖は18時間後に測定する。1分当たりのカウントを縦軸に示す。【図9B】黒色腫腫瘍抗原に感作した樹状細胞により産生された膜小胞(デキソソーム)は、これら黒色腫に特異的なTリンパ球を刺激するのに有効であり、そしてこれらの産生はサイトカインにより調節される。− LT8(CM)は、図8Aに定義される基本培地中でインキュベーションしたLT8 Tクローンに対応する、− DexTexNUNは、NUN腫瘍細胞に由来するテキソソームが負荷された樹状細胞から誘導されるデキソソームに対応する、− DexTexFONは、FON腫瘍細胞に由来するテキソソームが負荷された樹状細胞から誘導されるデキソソームに対応する、− TumFONは、FON腫瘍細胞に対応する。同じ操作であるが、IFNγは48時間でELISAにより培養上清中で測定する。IFNγ含量(pg/ml)を縦軸に示す。【図9C】黒色腫腫瘍抗原に感作した樹状細胞により産生された膜小胞(デキソソーム)は、これら黒色腫に特異的なTリンパ球を刺激するのに有効であり、そしてこれらの産生はサイトカインにより調節される。− LT8(CM)は、図8Aに定義される基本培地中でインキュベーションしたLT8 Tクローンに対応する、− DexTexNUNは、NUN腫瘍細胞に由来するテキソソームが負荷された樹状細胞から誘導されるデキソソームに対応する、− DexTexFONは、FON腫瘍細胞に由来するテキソソームが負荷された樹状細胞から誘導されるデキソソームに対応する、− TumFONは、FON腫瘍細胞に対応する。デキソソームは、LPS(20μg/ml)、IFN−γ(100IU/ml)又はIL−10(10μg/ml)の存在下又は非存在下で48時間のインキュベーション後、樹状細胞上清から単離した。【図10A】免疫電子顕微鏡法におけるデキソソームの顕微鏡写真。デキソソームは、50〜90nmの間に含まれる均質な直径を持ち、抗CD63抗体により強力に標識される。横線:250nm。【図10B】免疫電子顕微鏡法におけるデキソソームの顕微鏡写真。これらのデキソソームの主要な部分はまた、抗MHC−I抗体によって標識される。横線:250nm。【図10C】免疫電子顕微鏡法におけるデキソソームの顕微鏡写真。これらのデキソソームの主要な部分はまた、抗MHC−II抗体によって標識される。横線:250nm。【図11】ペプチドを負荷したデキソソーム又は対照デキソソームの存在下でインキュベーションしたTリンパ球により分泌されるガンマインターフェロンのレベルの測定。樹状細胞(2×106個/ml)を、pH3.7のクエン酸に懸濁した、10μg/mlの抗原性ペプチドMART−1/MelanA(27〜35)の存在下又は10μg/mlのペプチドgp100(280〜288)(対照)の存在下で3〜12時間インキュベーションし、次にデキソソームを単離した。LT12クローンの細胞(制限HLA−A2 CTLクローン、MART−1(27〜35)特異的)(1ウェル当たり100,000CTL)を次に増大する用量のデキソソーム又はgp100ペプチド(対照)と共に96ウェルプレート中で5日間インキュベーションした。次いで細胞によるガンマインターフェロンの分泌をELISA(Genzyme)により測定した。【図12】骨髄から誘導される樹状細胞により産生されるデキソソーム(1.4及び10μg)上に存在するマーカーのウェスタンブロット分析:H−2K(MHC−1)、I−Aα(MHC−II)CD86、CD63、TfR(トランスフェリン受容体)、Clx(カルネキシン)、li p31(不変鎖)。【図13A】肥満細胞腫(P815)腫瘍モデルに対するデキソソームのインビボ抗腫瘍作用。Dex−H2d−APE−P815:腫瘍P815の酸性ペプチド溶出液を負荷した骨髄の樹状細胞から誘導されるデキソソーム。Dex−H2d−APE−脾臓:脾臓の酸性ペプチド溶出液を負荷した骨髄の樹状細胞から誘導されるデキソソーム。【図13B】肥満細胞腫(P815)腫瘍モデルに対するデキソソームのインビボ抗腫瘍作用。Dex−H2d−APE−P815:腫瘍P815の酸性ペプチド溶出液を負荷した骨髄の樹状細胞から誘導されるデキソソーム。Dex−H2d−APE−脾臓:脾臓の酸性ペプチド溶出液を負荷した骨髄の樹状細胞から誘導されるデキソソーム。【図14A】乳癌モデル(TS/A)に対する酸性ペプチド溶出液を負荷した骨髄の樹状細胞から誘導されるデキソソームのインビボ抗腫瘍作用。凡例:図13を参照のこと。(A)免疫適合マウスで行った実験。【図14B】乳癌モデル(TS/A)に対する酸性ペプチド溶出液を負荷した骨髄の樹状細胞から誘導されるデキソソームのインビボ抗腫瘍作用。凡例:図13を参照のこと。(B)ヌードマウスで行った実験。【図15】放射活性クロム(51Cr)の放出の測定法。この測定法により、本発明のデキソソームがインビボでの特異的CTL応答の引き金をひくことを示すことができる。標的細胞:P815、白血病細胞系L1210、NK細胞に非感受性のYAC細胞系。【図16】デキソソームと樹状細胞の効力比較。この図は、樹立された腫瘍のインビボの根絶に関して、デキソソームが、これが誘導される未成熟樹状細胞よりも強力であることを示す。脾臓(白抜きの菱形)又は腫瘍P815(白抜きの三角形)の酸性ペプチド溶出液を負荷した5百万個の樹状細胞は、樹立されたP815腫瘍を有するマウスに静脈内又は皮内経路により8〜10日目に投与された。並行して、これらの細胞の上清を、脾臓(白抜きの菱形)又は腫瘍P815(塗りつぶしの三角形)のペプチドと共に18時間のインキュベーション後回収し、超遠心してそのデキソソーム含量に関して性状解析した。5百万個の樹状細胞から5〜10μgのデキソソームを得ることができ、これにより同じ側腹部への皮内投与により5匹のマウスの免疫化が可能であった。デキソソームの単回投与は8〜10日目に行った。腫瘍のサイズは、1週間に2回測定し、図に示される。*は、生理食塩水(白抜きの四角形)又はパルスした樹状細胞の注射と比較した、フィッシャーの直接法により95%有意な結果を表す。挿入図は、5匹ずつの異なる群における実験の最中(21日目)及び実験の終わり(60日目)の腫瘍の非存在総数(消失)を示す、P815に対して免疫化したマウスの百分率を示す。【図17】液相電気泳動によるデキソソームの精製。 細胞質ゾル画分を囲む脂質二重層を含む膜小胞を調製するための方法であって、該小胞が、(i)免疫原性であり、(ii)腫瘍細胞によって分泌され、(iii)細胞質ゾル画分を囲む脂質工重層を含み、(iv)該腫瘍細胞に由来する抗原性ペプチドを含み、(v)CD40分子又はCD80分子を含み、(vi)HSP70「ヒートショック」タンパク質を含み、(vii)ホスファチジルセリンを含み、(viii)その表面上に、主要組織適合複合体クラスI分子及び/又はクラスII分子を提示し、そして(ix)約60〜100nmを含む直径を有し、該方法は、(a)腫瘍細胞の集団を得ること及び(b)遠心分離、電気泳動、クロマトグラフィー及びナノ濾過から選択される少なくとも一の工程を含む方法を用いて該細胞から放出された小胞を単離することを含む、方法。 該膜小胞が、さらに、その表面上に、接着分子及び/又はリンパ球共刺激分子を提示する、請求項1に記載の方法。 該抗原性ペプチドが、主要組織適合複合体クラスI及び/又はクラスII分子と組み合わされている、請求項1又は2に記載の方法。 該膜小胞が、gp16タンパク質のない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 該腫瘍細胞の集団が、血液、血漿、腫瘍細胞の培養物、腫瘍生検又は腫瘍細胞を含むこれらに由来する調製物から得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 該腫瘍細胞が、ヒトである、請求項5に記載の方法。 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法によって生産された膜小胞、及び注入可能な担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。 さらに、免疫賦活性アジュバントを含む、請求項7に記載の医薬組成物。 癌を有する患者の処置のための請求項7又は8に記載の医薬組成物。 下記:(a)請求項1に記載の膜小胞を製造すること、(b)該膜小胞を精製すること、及び(c)該膜小胞を医薬的に許容可能なビヒクル又は賦形剤とコンディショニングすることを含む、医薬組成物を製造する方法。


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