タイトル: | 公開特許公報(A)_ハプトグロビン様作用を持つヘモグロビン認識ペプチド |
出願番号: | 2002221798 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C12N15/09,C07K7/08,A61K38/00,A61P43/00 |
冷牟田 修一 JP 2004057115 公開特許公報(A) 20040226 2002221798 20020730 ハプトグロビン様作用を持つヘモグロビン認識ペプチド 株式会社海洋バイオテクノロジー研究所 591001949 野村 健一 100107870 間山 世津子 100098121 冷牟田 修一 7 C12N15/09 C07K7/08 A61K38/00 A61P43/00 JP C12N15/00 A C07K7/08 A61K37/02 A61P43/00 111 2 OL 7 (出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成13年度新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの) 4B024 4C084 4H045 4B024AA01 4B024AA11 4B024BA80 4B024CA05 4B024CA07 4B024DA06 4B024EA03 4B024GA11 4C084AA07 4C084BA01 4C084BA08 4C084BA18 4C084BA23 4C084CA59 4C084NA14 4C084ZA51 4C084ZB21 4H045AA10 4H045AA20 4H045AA30 4H045BA16 4H045BA41 4H045EA20 4H045EA50 4H045FA20 4H045FA74 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ヘモグロビンを認識し、ハプトグロビン様作用を持つペプチド及びそれをコードするポリヌクレオチドに関する。【0002】【従来の技術】ハプトグロビンはヘモグロビンを認識し強固な結合をすることで知られるタンパク質である。その生理的意義の全容はいまだ不明であるが、複合体を作ることにより、ヘモグロビンのパーオキシダーゼ活性を増強することが知られている。また、最近、複合体を形成することにより構造の変化が起こり、マラリア等の感染症や遺伝病(鎌状赤血球症)で上昇する溶血ヘモグロビンの処理にも役立っていることが解ってきた(Nature,409, 198−201 (2001))。【0003】【発明が解決しようとする課題】低分子の化合物でハプトグロビンと同様の作用を持つ化合物があれば、ハプトグロビンの生体内での機能を調べるのに有用である。本発明の目的は、そのようなハプトグロビン様化合物を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ヘモグロビンに対し親和力を持ち、かつハプトグロビン様作用を持つペプチドを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。【0005】即ち、本発明は、以下の(a)又は(b)に示すペプチドである。(a)配列番号1、配列番号2、又は配列番号3記載のアミノ酸配列により表されるペプチド(b)配列番号1、配列番号2、又は配列番号3記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつヘモグロビンを認識し、ヘモグロビンのパーオキシダーゼ活性を増強する作用を持つペプチドまた、本発明は、上記ペプチドをコードするポリヌクレオチドである。【0006】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。【0007】本発明のペプチドは、以下の(a)又は(b)に示すものである。(a)配列番号1、配列番号2、又は配列番号3記載のアミノ酸配列により表されるペプチド(b)配列番号1、配列番号2、又は配列番号3記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつヘモグロビンを認識し、ヘモグロビンのパーオキシダーゼ活性を増強する作用を持つペプチド(b)のペプチドにおける欠失等されたアミノ酸の個数は特に限定されないが、通常は7個以下であり、好ましくは5個以下であり、更に好ましくは2個以下である。【0008】本発明のペプチドは、ヘモグロビンと特異的に結合することから、ヘモグロビンの検出に利用することができる。また、ハプトグロビンと同様の作用を持つことから、ハプトグロビンの異常等によって生じる疾患などの治療薬として利用できる可能性もある。【0009】【実施例】〔実施例1〕 ヘモグロビンの精製ヒト脱繊維血液20mlを遠沈管に取り、バランスをとった後、遠心機で3000回転/分で5分間遠心した。遠心機から静かに遠沈管を取り出し、駒込ピペットを使い血清を除去した。遠沈管に残った血球の約3倍容の0.9%NaCl水溶液(氷冷)を加え、駒込ピペットで空気を送り込みながら攪拌した。バランスをとった後、3000回転/分で5分間遠心した。遠心機から遠沈管を静かに取り出し、駒込ピペットで上澄みを取り除いた。上述した0.9%NaCl水溶液の添加から遠心までの操作を2回繰り返し、赤血球を洗浄した。【0010】遠心して集めた赤血球に等容の冷蒸留水を加え、駒込ピペットで攪拌して溶血させた。これに赤血球の約半量のエーテル(氷冷)を加えて、駒込ピペットを使い約5分間攪拌した。攪拌は遠沈管を氷冷しながら行った。攪拌後、バランスをとり、3000回転/分で5分間遠心した。遠心の結果、液は上からエーテル層、赤血球膜層、ヘモグロビン層の3層に分離したので、駒込ピペットを使いヘモグロビン層だけを取り出し、PBSに対し、透析し、精製ヘモグロビンを得た。【0011】〔実施例2〕 ヘモグロビン認識ペプチドを含むクローンの選択実施例1で精製したヘモグロビンをポリスチレンのカラムに固相化し、次いで、2%カゼイン溶液によりヘモグロビンの付着していない部分をブロッキングした。ランダムペプチドライブラリーを加え、1〜数時間反応させた。ランダムペプチドライブラリーは、NEB社の♯E8110S Ph D.−12TMkitを用いた。このライブラリーでは、12アミノ酸残基からなる約1010種類のペプチドがファージのコートタンパク質PIIIと融合した状態で提示される。【0012】反応終了後、0.05〜0.5%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(以下、「Tween 20」という)含有PBSで10〜数十回洗浄し、その後、5%カゼイン溶液を加え1〜数時間静置した。再びTween20含有PBSで洗浄したのち、ハプトグロビン(2−2型)溶液(100μg/ml)を100μl添加した。室温で1時間静置した後、ピペッティングし、取り出した画分を溶出画分とした。【0013】溶出画分をE.coli (ER2537)に感染させ、IPTG−X Gal プレート上に生育させた。そこから100クローンを拾い培養した後、ウレアーゼを固相化したプレートを用いてELISA行った。ELISAは、以下のように行った。まず、精製ヘモグロビン(10μg/ml, 100μl)をプレートに固定し、これにペプチド提示ファージ溶液(100μl)を加え、室温で2時間静置した。次に、プレートを洗浄し、未結合のファージを取り除いた後、ペルオキシダーゼで標識された二次抗体(ファルマシア社製抗M13ファージ抗体、2000倍希釈)100μlを加え、室温で2時間静置した。プレートを洗浄後、ABTS基質溶液(フナコシ社製)を加え、発色させた。ELISAの結果、ヘモグロビンと強く反応するクローンが幾つかみつかった(クローンNo.1〜4)。これらのクローンを含む溶液の吸光度、及びバックグラウンド(ヘモグロビンをプレートに固定せず、他は同様の操作を行った。)の吸光度を図1に示す。【0014】〔実施例3〕 ハプトグロビン様活性の検出実施例2でヘモグロビンに対する反応性が確認されたクローン(クローンNo.1〜4)を培養後、PEG/NaClにより濃縮した。【0015】精製へモグロビン(1mg/ml, 20μl)をNATIVE−PAGE電気泳動した後、PVDF膜に転写した。このPVDF膜を以下の(a)〜(f)の試験液に浸漬した後、パーオキシダーゼの発色基質溶液に浸漬した。(a)PBS及びクローンNo.1のファージ溶液を含む試験液(ファージ濃度は1012t.u./mlである。ファージ1粒子あたり5個のペプチドが提示されている。)(b)PBS及びクローンNo.2のファージ溶液を含む試験液(ファージ濃度は上記と同じ)(c)PBS及びクローンNo.3のファージ溶液を含む試験液(ファージ濃度は上記と同じ)(d)PBS及びクローンNo.4のファージ溶液を含む試験液(ファージ濃度は上記と同じ)(e)PBS及びハプトグロビンを含む試験液(ハプトグロビン濃度は10μg/ml)(f)PBSのみを含む試験液。【0016】発色基質溶液は、ジアミノベンジジン10mgを10mlの精製水に溶解し、これに1mlの酢酸バッファー(pH 4.5)を加えた後、過酸化水素水を12.5μl加えて調製した。【0017】各PVDF膜上のヘモグロビンの発色状態を調べた結果、クローンNo.1〜No.3のファージ溶液及びハプトグロビンを含む試験液に浸漬した場合に強い発色がみられた。クローンNo.4のファージ溶液を含む試験液に浸漬した場合は、PBSのみを含む試験液に浸漬した場合と同程度の発色しかみられなかった。以上のことから、クローンNo.1〜No.3のファージが提示するペプチドは、ハプトグロビンと同様にヘモグロビンのパーオキシダーゼ活性を増強する作用があると考えられる。なお、図2に、(f)の試験液に浸漬したPVDF膜(図中のA)及び(a)の試験液に浸漬したPVDF膜(図中のB)を示す。【0018】〔実施例4〕 ペプチドのアミノ酸配列の解析実施例3でハプトグロビン様活性が確認されたクローン(クローンNo.1〜3)の培養上清中に含まれるDNAを、キアゲン社のQIAprep M13システムにより精製した。得られたDNAをエタノール沈殿し、配列解析の鋳型とした。ABI社製3700シークエンサーで配列を解析し、前記クローンが提示していたペプチドのアミノ酸配列を決定した。クローンNo.1、2、3が提示していたペプチドのアミノ酸配列をそれぞれ配列番号1、2、3に示す。【0019】【発明の効果】本発明のペプチドは、ヘモグロビンと特異的に結合するので、ヘモグロビンの検出に有用である。また、本発明のペプチドは、生体物質であるハプトグロビンと同様の活性を持つことからペプチド医薬としても有用である。【0020】【配列表】【図面の簡単な説明】【図1】本発明のペプチドとヘモグロビンとの反応性を示す図である。【図2】ハプトグロビン様活性の検出試験の結果を示す図である。 以下の(a)又は(b)に示すペプチド。(a)配列番号1、配列番号2、又は配列番号3記載のアミノ酸配列により表されるペプチド(b)配列番号1、配列番号2、又は配列番号3記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列により表され、かつヘモグロビンを認識し、ヘモグロビンのパーオキシダーゼ活性を増強する作用を持つペプチド 請求項1記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。 【課題】低分子の化合物でハプトグロビンと同様の作用を持つ化合物を提供する。【解決手段】ヘモグロビンを認識し、ヘモグロビンのパーオキシダーゼ活性を増強する作用を持つペプチド、及びそれをコードするポリヌクレオチド。【選択図】 なし