タイトル: | 公開特許公報(A)_表面光起電力測定方法 |
出願番号: | 2002221086 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,H01L21/66,G01N27/00 |
江原 幸治 JP 2004063862 公開特許公報(A) 20040226 2002221086 20020730 表面光起電力測定方法 信越半導体株式会社 000190149 菅原 正倫 100095751 江原 幸治 7 H01L21/66 G01N27/00 JP H01L21/66 L G01N27/00 Z 4 1 OL 9 2G060 4M106 2G060AA09 2G060AE40 2G060AF13 2G060EA06 2G060EA07 2G060EB08 4M106AA01 4M106AA10 4M106BA04 4M106CA17 4M106CB11 4M106CB13 4M106CB14 4M106DH09 4M106DH60 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンエピタキシャルウェーハにおける表面光起電力の測定方法に関する。【0002】【従来の技術】シリコン単結晶基板上に形成されるシリコンエピタキシャル層の電気的特性、例えば、抵抗率やキャリアライフタイム等を評価するために、表面光起電力(SPV:Surface Photovoltage)測定法が用いられる。SPV測定法は、半導体ウェーハの表面に励起光を照射し、その際にウェーハの表面近傍に生じる電子と正孔に基づく光起電力を測定するものであり、p型半導体ウェーハについて抵抗率の測定が可能である。ところで、SPV測定法により抵抗率測定を行うためには、その測定前にp型半導体ウェーハの表面処理を行う必要がある。【0003】SPV測定の前にp型半導体ウェーハの表面処理を行う方法として、例えば、特表2002−501305号公報に開示されているものがある。この方法によると、半導体ウェーハはウェーハの表面近くに複数の電子―正孔対を作製し、ウェーハの表面に吸着されたイオンおよび分子を脱着するのに十分な輻射量で照射される。これをROST(トレードマーク)処理という。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリコン単結晶基板上にp型シリコンエピタキシャル層が形成されたシリコンエピタキシャルウェーハ(以下、単にウェーハと記載する場合もある)に対して、上記ROST処理を施した後に複数回SPV測定を行うと、抵抗率が経時変化する。また、抵抗率が略同一のp型シリコンエピタキシャル層を測定する場合でも、シリコンエピタキシャルウェーハ全体の厚さが互いに異なる試料間では、抵抗率の測定結果にバラツキが生じることがある。【0005】本発明の課題は、p型シリコンエピタキシャル層の表面光起電力測定の精度を改善することができる方法を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題を解決するために、本発明の表面光起電力測定方法の第一は、シリコン単結晶基板上にp型シリコンエピタキシャル層の形成されたシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を除く表面に、オゾン含有水を接触させた後に、前記p型シリコンエピタキシャル層の表面に励起光を照射することにより生じる光起電力を測定することを特徴とする。【0007】さらに、本発明の測定方法の第二は、シリコン単結晶基板上にp型シリコンエピタキシャル層の形成されたシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を除く表面に、オゾンガスを接触させた後に、前記p型シリコンエピタキシャル層の表面に励起光を照射することにより生じる光起電力を測定することを特徴とする。【0008】さらに、本発明の測定方法の第三は、シリコン単結晶基板上にp型シリコンエピタキシャル層の形成されたシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を除く表面に、過酸化水素水を接触させた後に、前記p型シリコンエピタキシャル層の表面に励起光を照射することにより生じる光起電力を測定することを特徴とする。【0009】本発明者が鋭意検討した結果、p型シリコンエピタキシャル層の表面に、オゾン含有水、オゾンガスあるいは過酸化水素水を接触させることで、p型シリコンエピタキシャル層の表面に薄い酸化膜(SiO2膜)が均一に形成される結果、p型シリコンエピタキシャル層の表面に均一に正電荷が帯電するため、p型シリコンエピタキシャル層の表面近傍に均一な空乏層を形成できることがわかった。このようにしてp型シリコンエピタキシャル層の表面に酸化膜を形成すると、前述の特表2002−501305号公報に開示されている方法(ROST処理)よりも、安定した空乏層を形成することができる。したがって、表面光起電力の測定の精度を改善することができる。【0010】ただし、これらオゾン含有水、オゾンガス、あるいは過酸化水素水(以下、オゾン含有水等ということがある)により、p型シリコンエピタキシャル層の表面に酸化膜を形成させる場合、シリコンエピタキシャルウェーハの主裏面には酸化膜が形成されないようにする必要がある。該主裏面にオゾン含有水等が接触すると、主裏面にも空乏層が形成される。このとき、光起電力の測定に際して、シリコンエピタキシャルウェーハの両面に形成される空乏層で発生する表面光起電力は極性が逆であり、お互いに打ち消し合うように測定される。そのため、測定信号が弱くなる結果、測定精度が低下してしまう。この現象は、シリコンエピタキシャル層表面に形成された空乏層内でのみ入射光が吸収されることにより、該空乏層内でのみ過剰キャリアが励起される場合は無視できるが、入射光の波長が長く、光吸収係数αの逆数が空乏層幅を超えるような場合、すなわち空乏層より深い位置でも入射光による過剰キャリアの励起が発生する場合で、かつキャリアの拡散長Lとウェーハの厚さdとの関係が、L>d/2の関係を満たす場合に顕著に現れる。この理由は、入射光で励起された過剰キャリアは、シリコンエピタキシャル層表面のみならず、ウェーハの反対側の表面にも到達するため、SPV信号が両面で発生しやすくなり、このSPV信号の極性が逆のため打ち消され合うように測定されるためである。これを回避するためには、シリコンエピタキシャル層の反対側の表面には、空乏層が形成されないことが必要である。このためには、オゾン含有水等の空乏層形成材は、シリコンエピタキシャル層が形成されている面側にのみ接触させることが必要である。【0011】さらに、本発明の測定方法の第四は、シリコン単結晶基板上にp型シリコンエピタキシャル層の形成されたシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を除く表面に、弗酸を接触させた後、前記p型シリコンエピタキシャル層の表面に励起光を照射することにより生じる光起電力を測定することを特徴とする。【0012】表面光起電力測定における空乏層の形成は、オゾン含有水等により酸化膜を形成させるだけではなく、p型シリコンエピタキシャル層の表面に弗酸を接触させることにより、エピタキシャル層表面に正電荷を帯電させることでも可能である。しかし、従来、弗酸でシリコンエピタキシャルウェーハを処理する場合、弗酸中にウェーハを浸漬する方法が一般的であり、シリコンエピタキシャルウェーハの表裏両面近傍に空乏層が形成されてしまう。そこで、本発明のように、シリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を除く表面に弗酸を接触させることで、シリコンエピタキシャルウェーハの主裏面すなわち基板面近傍に空乏層が形成されることを防止することができる。【0013】また、前述の公報に開示されている方法によりROST処理した場合、シリコンエピタキシャルウェーハの厚さが異なると、精度のよい表面光起電力が測定できないのは、以下の理由による。すなわち、p型シリコンエピタキシャル層に、例えばハロゲンランプに基づく輻射光(熱線)を照射する際に、p型シリコンエピタキシャル層が形成されている面とは反対側、つまり、基板の裏面側から、シリコンエピタキシャルウェーハの温度を測定し、その温度を目安として、ROST処理を行っているためである。シリコンエピタキシャルウェーハの厚さが厚くなるほど、p型シリコンエピタキシャル層の表面に与えられた熱が基板の裏面に至るまでの時間が長くなるので、基板の裏面側にて測定される温度が同一(例えば、300℃)でも、p型シリコンエピタキシャル層の表面における実際の温度は、ウェーハの厚さが厚いほど高くなる。したがって、シリコンエピタキシャルウェーハの主裏面の温度を測定し、その温度を目安として、ある条件(例えば、300℃で30秒保持)で前述の公報にかかるROST処理を行うと、ウェーハの厚さが厚いほど、p型シリコンエピタキシャル層の表面に対して、より高温の熱処理が行なわれる。その結果、ウェーハの厚さが厚いものと薄いものでは、熱処理状態にバラツキが生じて、SPV測定を行っても、電気的特性(例えば、抵抗率)が同一であるにもかかわらず、測定結果にバラツキが生じてしまう。【0014】本発明によれば、オゾン含有水やオゾンガスあるいは過酸化水素水を、p型シリコンエピタキシャル層の表面に接触させることにより、p型シリコンエピタキシャル層の表面における化学反応を利用して、正電荷を帯電した酸化膜を形成しているので、シリコンエピタキシャルウェーハの厚さに影響されずに空乏層の形成が行なわれる。したがって、ウェーハの厚さにバラツキがあっても、表面光起電力の測定結果に生じるバラツキを大幅に抑制することができる。【0015】【発明の実施の形態】以下、添付の図面を用いて本発明の実施の形態について述べる。図1は、本発明にかかる空乏層形成工程の概要を示す図である。測定対象となるのは、図1(a)に示すシリコンエピタキシャルウェーハWである。シリコンエピタキシャルウェーハWは、シリコン単結晶基板15上にp型シリコンエピタキシャル層16が形成されてなる。通常、シリコン単結晶基板15は、p型ドーパントとしてのボロンを1×1015/cm3〜1×1019/cm3含有するp型であり、p型シリコンエピタキシャル層16は、ボロンを1×1014/cm3〜1×1017/cm3含有する。p型シリコンエピタキシャル層16のボロン濃度は比較的低く、抵抗率は0.3Ω・cm〜150Ω・cm程度と比較的高めに設定されている。このようなシリコンエピタキシャルウェーハWのp型シリコンエピタキシャル層16表面に、図1(b)に示すようにオゾン含有水14を接触させる。【0016】オゾン含有水14をシリコンエピタキシャルウェーハWの主裏面を除く表面に接触させるためには、図2に示すような洗浄機を使用することができる。洗浄機は、図2(a)、(b)に示すように、シリコンエピタキシャルウェーハWの主裏面を除く表面、すなわち、p型シリコンエピタキシャル層16の表面及びシリコンエピタキシャルウェーハWの側面にオゾン含有水を接触させるためのウェット部20(図2(a))と、シリコンエピタキシャルウェーハWの表面から水分を除去するためのドライ部21(図2(b))とを有する。ウェット部20においては、シリコンエピタキシャルウェーハWは、p型シリコンエピタキシャル層16の表面がノズル18に対向するように、ウェーハチャック19上に載置される。そして、ノズル18から、p型シリコンエピタキシャル層16の表面に向けて、所定期間オゾン含有水14を噴き付ける。具体的には、オゾン含有水の噴出量は、0.5リットル/分〜3リットル/分に設定されており、噴出時間は0.5分〜3分とされる。シリコンエピタキシャルウェーハWの主裏面、すなわちシリコン単結晶基板15の裏面は、ウェーハチャック19に保護されて、オゾン含有水14に接触しない。【0017】なお、上記のオゾン含有水は、公知の方法により、水にオゾンガスを溶解することで得ることが出来る。p型エピタキシャル層16への汚染を考慮すれば、使用する水は、可及的に金属イオンが除去されたものであることが望ましい。なお、溶解するオゾンの濃度は高いほうが効果的であるが、技術的な限界もあり、例えば1ppm〜30ppm程度とされる。【0018】上記のように、シリコンエピタキシャルウェーハWの主裏面を除く表面にオゾン含有水を接触させた後、シリコンエピタキシャルウェーハWを、ドライ部21に搬送する。そして、該ドライ部21にて、送風機構22により、シリコンエピタキシャルウェーハWの表面に向けて、例えば空気を噴きつけることにより、該表面の水分が吹き飛ばされ、p型エピタキシャル層16の表面が乾燥される。【0019】以上の工程を通して、シリコンエピタキシャルウェーハWの主裏面を除く表面に正電荷が帯電した酸化膜が形成されるので、図1(c)に示すように、p型シリコンエピタキシャル層16の表面近傍に空乏層13が形成できる。このとき、p型エピタキシャル層16の表面に、空乏層13に加えて小数キャリア(電子)による反転層が形成されていても問題ない。なお、オゾン含有水14の代わりに、過酸化水素水を使用することも可能である。また、シリコンエピタキシャルウェーハWの表面に酸化膜は形成されないが、弗酸を使用することでもウェーハ表面に正電荷を帯電させることができるので、シリコンエピタキシャル層16の表面近傍に空乏層を形成することができる。【0020】以上のように、シリコンエピタキシャルウェーハWの主裏面を除く表面にオゾン含有水を接触させて、空乏層13を形成する場合、オゾン含有水の温度は、5℃〜30℃に設定しておくのがよい。また、図2のような洗浄機により、オゾン含有水14をp型シリコンエピタキシャル層16の表面に接触させる場合、シリコンエピタキシャルウェーハWを加熱させた状態で、オゾン含有水14を接触させてもよい。これにより、安定した空乏層13を、より一層短時間で形成することが可能となる。【0021】さらに、シリコンエピタキシャルウェーハWの主裏面を除く表面に、オゾンガスを接触させることでも正電荷を帯電した酸化膜を形成できるので、p型シリコンエピタキシャル層16の表面近傍に空乏層13を形成することができる。これによれば、オゾンガスを水に溶解させる工程を削減することができるというメリットがあり、作業能率上有利である。この場合、シリコンエピタキシャルウェーハWのp型シリコンエピタキシャル層16が形成されている主表面側に対して、オゾンガスを噴きつけることにより、該p型シリコンエピタキシャル層16の表面にオゾンガスを接触させることができる。シリコンエピタキシャルウェーハWの主裏面は、オゾンガスに接触しないように、ウェーハチャック19で保護する。なお、オゾンガスは公知の方法あるいは装置、例えば、電解式オゾン発生装置や無声放電式オゾン発生装置により、空気あるいは酸素ガスを原料として得ることができる。なお、このような方法により得られるオゾンガスを、未反応の原料ガスから分離して使用してもよいし、未反応の原料ガス(空気あるいは酸素ガス等)とともに、p型シリコンエピタキシャル層16の表面に接触させてもよい。さらに、オゾンガス(あるいはオゾンガスを含む気体)の温度を100℃〜300℃とすれば、p型シリコンエピタキシャル層16の表面上に、正電荷が帯電した酸化膜をより一層短時間で形成することが可能となる。また、シリコンエピタキシャルウェーハWを、例えば100℃〜500℃の温度に加熱しても同様の効果が期待できる。【0022】上記のように空乏層を形成した後、公知の方法によりシリコンエピタキシャル層16において表面光起電力(SPV)測定を行う。図3及び図4を用いて、該SPV測定について簡単に説明する。前述の工程により空乏層が形成されたp型シリコンエピタキシャル層16に、励起光Lを照射した状態でのバンド構造を図3に示す。正電荷を帯電した酸化膜を形成することにより、p型シリコンエピタキシャル層16の表面が正に帯電し、表面近傍において、ある障壁高さでバンドが実線で示すように曲がる。この状態で、光起電力を測定するための励起光Lをp型シリコンエピタキシャル層16の表面に照射すると、該励起光Lにより電子eと正孔hとが形成される。このとき、発生した電子eがp型シリコンエピタキシャル層16の表面側に移動し、p型シリコンエピタキシャル層16の表面の電位が、点線で示すようにΔVだけ変位する。このΔVの値を測定する。測定されたΔVにより、p型シリコンエピタキシャル層16の抵抗率やキャリアのライフタイム等の評価を行うことができる。【0023】より具体的には、図4のように行なわれる。例えば、図示しない光源からの励起光Lを光導管7により、p型シリコンエピタキシャル層16の表面に照射する。光導管7の直径は約2mmであり、p型シリコンエピタキシャル層16の表面の微小領域において光起電力の測定が行われる。【0024】励起光Lは、チョッパーによりチョッピングされた断続光であり、そのチョッピング周波数は40kHz〜50kHzとされる。【0025】そして、励起光Lに求められる作用から、励起光Lとして、Siのバンドギャップ以上のエネルギーを有するものを使用する必要があり、さらに、空乏層内において、電子と正孔とを形成しなければならないので、励起光の侵入深さは、空乏層の幅よりも小さいことが好ましい。そのためには、励起光Lの波長を100nm〜500nm、例えば450nmとするのがよい。【0026】シリコンエピタキシャルウェーハWは、例えば絶縁体にて構成されるピン5によりグランド電極10上に配置され、p型シリコンエピタキシャル層16と光導管7との間には、透明電極6が配置されている。この透明電極6により、p型シリコンエピタキシャル層16の表面電位が電位差計を用いて非接触で測定できるので、励起光Lの照射に基づく表面電位の差(ΔV)が測定可能となる。なお、光導管7はシリコンエピタキシャルウェーハWの表面上を面内方向に走査することが可能であって、ΔVの面内分布、ひいては抵抗率の面内分布が測定可能である。【0027】以上、本発明にかかる実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば、p型シリコンエピタキシャル層16にオゾン含有水14等を接触させる前に、従来技術の欄で記載した工程、つまり、p型シリコンエピタキシャル層16表面に、ハロゲン光を照射する工程(ROST処理)を行ってもよい。この場合、ハロゲン光の照射により、例えば、p型シリコンエピタキシャル層16の表面の温度を300℃程度まで加熱して、その状態で30秒程度保持する。そして、その後に、前述にて記載した本発明にかかる工程を行うことで、より一層、安定した空乏層を形成することができる。【0028】【実施例】本発明の効果を調べるため、以下の実験を行った。まず、厚さ725μmで、抵抗率が0.015Ω・cm程度のp型シリコン単結晶基板上に、厚さ10μmのp型シリコンエピタキシャル層を成長させる。p型シリコンエピタキシャル層には、1.1×1015/cm3程度のボロンを含有させ、該p型シリコンエピタキシャル層の抵抗率が12Ω・cmとなるように調節する。このようなシリコンエピタキシャルウェーハに対して、いくつかの方法でp型シリコンエピタキシャル層の表面近傍に空乏層を形成し、表面光起電力測定により抵抗率を測定した。【0029】図5は、p型シリコンエピタキシャル層に対してROST処理(ハロゲン光を照射して、該p型シリコンエピタキシャル層を300℃程度に加熱し、光を照射しつづけた状態で30秒間保持する)を行った場合(比較例)と、p型シリコンエピタキシャル層の表面にオゾン含有水を接触させた場合(実施例)とで、SPV法により測定される抵抗率の安定性、すなわち測定精度を比較したものである。本実施例は、図2に示す洗浄機により、p型シリコンエピタキシャル層の表面に、オゾン濃度が10ppmのオゾン含有水を接触させたものである。【0030】図5によれば、比較例において、ROST処理を繰り返し行うにつれて、測定される抵抗率の値が低下して、12Ω・cmに漸近している。これにより、該工程を複数回繰り返し行なわなければ、測定される抵抗率の値が安定しないことがわかる。つまり、比較例1において、短時間のROST処理では安定した抵抗率を得ることができない。一方、実施例においては、実施例のオゾン含有水への接触を繰り返し行っても測定される抵抗率の値が殆ど変動していないことがわかる。これによれば、本発明により、安定した空乏層を短時間で形成することができ、表面光起電力の測定を精度よく行うことができる。【0031】なお、オゾンガスあるいは過酸化水素水溶液をp型シリコンエピタキシャル層に接触させる方法においても、ROST処理と比較した結果、オゾン含有水の場合と同様の効果があることを確認している。【図面の簡単な説明】【図1】本発明にかかる工程の一例を説明する図。【図2】p型シリコンエピタキシャル層に正電荷が帯電した酸化膜を形成させる方法について説明した図。【図3】表面光起電力測定の原理説明図。【図4】表面光起電力測定方法の概略を説明する図。【図5】実施例と比較例との場合における処理回数と抵抗率の関係を示すグラフ。【符号の説明】13 空乏層14 オゾン含有水15 シリコン単結晶基板16 p型シリコンエピタキシャル層W シリコンエピタキシャルウェーハ シリコン単結晶基板上にp型シリコンエピタキシャル層の形成されたシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を除く表面に、オゾン含有水を接触させた後に、前記p型シリコンエピタキシャル層の表面に励起光を照射することにより生じる光起電力を測定することを特徴とする表面光起電力測定方法。 シリコン単結晶基板上にp型シリコンエピタキシャル層の形成されたシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を除く表面に、オゾンガスを接触させた後に、前記p型シリコンエピタキシャル層の表面に励起光を照射することにより生じる光起電力を測定することを特徴とする表面光起電力測定方法。 シリコン単結晶基板上にp型シリコンエピタキシャル層の形成されたシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を除く表面に、過酸化水素水を接触させた後に、前記p型シリコンエピタキシャル層の表面に励起光を照射することにより生じる光起電力を測定することを特徴とする表面光起電力測定方法。 シリコン単結晶基板上にp型シリコンエピタキシャル層の形成されたシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を除く表面に、弗酸を接触させた後に、前記p型シリコンエピタキシャル層の表面に励起光を照射することにより生じる光起電力を測定することを特徴とする表面光起電力測定方法。 【課題】p型シリコンエピタキシャル層の表面に空乏層を安定して形成し、該表面における表面光起電力測定を精度よく行うことができる方法を提供する。【解決手段】光起電力を測定する前に、シリコンエピタキシャルウェーハWの主裏面を除く表面にオゾン水14を接触させ、p型シリコンエピタキシャル層16の表面に正電荷が帯電した酸化膜を形成する。その後、この酸化膜が形成された状態で、p型シリコンエピタキシャル層16における表面光起電力を測定する。【選択図】 図1