生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_腸内酪酸上昇食品組成物および医薬品
出願番号:2002210165
年次:2004
IPC分類:7,A23L1/30,A61K31/047,A61P1/04,A61P1/14,A61P35/00


特許情報キャッシュ

牛田 一成 星 清子 坂口 英 中澤 賢一 矢島 高二 JP 2004049093 公開特許公報(A) 20040219 2002210165 20020718 腸内酪酸上昇食品組成物および医薬品 明治乳業株式会社 000006138 牛田 一成 星 清子 坂口 英 中澤 賢一 矢島 高二 7 A23L1/30 A61K31/047 A61P1/04 A61P1/14 A61P35/00 JP A23L1/30 Z A61K31/047 A61P1/04 A61P1/14 A61P35/00 13 OL 11 4B018 4C206 4B018MD32 4B018ME11 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA05 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA66 4C206ZA73 4C206ZB26 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、腸内酪酸濃度の上昇作用を有する食品素材および該素材の有効量を含有する食品組成物に関する。また、本発明は該素材を有効成分とする医薬品に関する。【従来の技術】腸内発酵により生成される短鎖脂肪酸(SCFA)は腸管運動を活発にし、便秘などが改善する作用を有する(藤川茂昭・他:栄食誌 44: 37−40, 1991; 坂田 隆:化学と生物 32: 23−31, 1994)。大腸の上皮細胞はSCFAの主要な構成成分である酢酸、プロピオン酸および酪酸を主要なエネルギー源として利用する。特に酪酸は、細胞増殖や異化(アポトーシス)に深くかかわっており、大腸粘膜の粘膜防御能(mucosal barrier function)の維持に中心的な役割を果たしている(A. Wachhtershauser and J. Stein.: Eur. J. Nutr. 39: 164−171, 2000)。大腸粘膜の粘膜防御能が潰瘍性大腸炎の発症や治療に大きな影響を与える(M. Schultz and R.B. Sartor.: Am. J. Gastroenterol., 95: 19−21, 2000)ことから、大腸粘膜の粘膜防御能を強化する目的で、酪酸やSCFAを注腸する臨床応用も一部で試みられている(Scheppach W. et al.: Gastroenterol., 103: 51−56, 1992)。酪酸は大腸炎モデルに対して抗炎症作用を示す(Araki Y. et al.: Biosci. Biotech. Biochem. 64: 1794−1800, 2000; Kanauchi O. et al.: J. Gastroenterol. Hapato., 14: 880−888, 1999)が、これは粘膜のエネルギー源と相俟って大腸の炎症を抑制すると考えられる。また、酪酸は大腸癌細胞の増殖に対して抑制的に作用し(Whitehead RH, Young GP: Gut 27: 1457−1463, 1986)、大腸癌の予防に有益である(McIntyre A. et al.: Gut 34: 386−391, 1993)。【0002】そこで、腸内の酪酸濃度を上昇させる試みが数多くなされてきた。例えば、オリゴ糖の一種であるラクチトールを実験飼料に5%添加し、ラットに3週間摂取させたところ、盲腸内容物に含まれる酪酸の濃度が上昇したという報告(Yanahira, S. et al.: J. Nutr. Sci. Vitaminol, 41: 83−94, 1995)がある。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、腸内の酪酸濃度を選択的に上昇させうる食品素材を提供することを課題とする。また、本発明は該素材の有効量を含む整腸作用を有する保健機能食品を提供することを課題とする。さらに本発明は該素材を有効成分とする炎症性腸疾患の予防または治療剤を提供することを課題とする。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、有益なさまざまな機能を有する糖アルコールに着目した。その結果、基礎飼料にD−マンニトールを5%添加した実験飼料で3週間飼育したラットの盲腸内容物中の酪酸濃度は対照群に比較して有意に上昇するのに対し、プロピオン酸および酢酸は低下すること見出した。これらを構成比(モル比)でみると酪酸のSCFA中におけるモル比は増加し、プロピオン酸および酢酸は低下すること見出した。さらに、13Cで標識したD−マンニトールを基質として添加した盲腸内容物培養実験での13C−NMR分析で、D−マンニトールが培養物中の細菌により発酵され酪酸に変換することを見出した。これらの実験結果から、D−マンニトールは大腸内で細菌により優先的に発酵され著量の酪酸を選択的に生成する結果、腸内のSCFA構成比において酪酸が優勢になることが明らかになった。同様の作用が同じ糖アルコールであるD−ソルビトールでも確認された。【0005】すなわち、本発明は、(1) D−マンニトールまたはD−ソルビトールの有効量を含有する腸内酪酸濃度上昇作用を有する食品組成物、(2) 保健機能食品である(1)の食品組成物、(3) 経口・経腸栄養剤である(1)の食品組成物、(4) 整腸作用を有する(2)または(3)の食品組成物、(5) (2)の食品組成物を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用、(6) (3)の食品組成物を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用、(7) (4)の食品組成物を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用、(8) D−マンニトールまたはD−ソルビトールを有効成分とする炎症性腸疾患の予防または治療剤、(9) D−マンニトールまたはD−ソルビトールを有効成分とする整腸剤、(10) D−マンニトールまたはD−ソルビトールを有効成分とする大腸癌予防剤、(11) (8)の炎症性腸疾患の予防または治療剤を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用、(12) (9)の整腸剤を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用、(13) (10)の大腸癌予防剤を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用、からなる。【0006】【発明の実施の形態】D−マンニトール(D−Mannitol)、D−ソルビトール(D−Sorbitol)およびD−ソルビトール(D−Sorbitol Syrup)は、食品添加物として認められており、D−マンニトールについては使用基準がある(第7 版 食品添加物公定書 厚生省復刻版, 日本食品添加物協会, 1999)。D−マンニトールは白色の結晶または粉末で、無色、清涼な甘みがある。粘着防止の他、塩化カリウムおよびグルタミン酸をそれぞれ適量に配合すると好ましい昆布の味が得られる。このために昆布の佃煮とふりかけ類に3成分の配合剤として使用されている。製造業者は東和化成、協和醗酵である。D−ソルビトールは白色の粒、粉末または結晶性粉末で、無色、清涼な甘みがある。甘味料、砂糖の代用(ショ糖の60%の甘さ)、製菓、保温剤、チューインガム軟化剤として用いられている。花王、協和醗酵、サンエイ糖化、東和化成、日研化学、セレスタージャパンなどで製造されている。【0007】一方、D−マンニトールおよびD−ソルビトールは医療用医薬品として臨床に用いられている〔2002年版, 医療薬日本医薬品集, 編集(財) 日本医薬情報センター,(株)じほう, 平成13年〕。すなわち、D−マンニトールは注射剤(15%、20%液)として、術中・術後・外傷後および薬物中毒時の急性腎不全の予防および治療する場合、脳圧降下および脳容積の縮小を必要とする場合、眼内圧降下を必要とする場合に適用されている。用法は1回1〜3g/kg、15〜20% 高張液として点滴静注であり、1日200gまでとされている。一方、D−ソルビトールは97%以上の原末または65%、75%の液剤として、消化管のX線造影の迅速化、経口栄養補給、消化管のX線造影の便秘の防止の場合に適用されている。用法は経口的栄養補給の場合、必要量を粉末あるいは水溶液として服用される。【0008】D−マンニトールおよびD−ソルビトールは後述する試験例で示されたように、経口摂取することにより、大腸管腔内において著量の酪酸を選択的に発生させる効力を有する。酪酸は上記したように、大腸上皮細胞の構造や機能を維持する上で重要な役割を果たしており、このことが、酪酸の抗炎症作用や大腸癌予防作用に役立っていることが示唆される。【0009】そこで、D−マンニトールあるいはD−ソルビトールの有効量を添加した食品は、炎症性腸疾患の予防や緩和、大腸癌の予防、大腸の機能亢進あるいは低下に基づく病的症状の回復(整腸作用)に有益であることが期待される。炎症性腸疾患という呼称は、狭義に解釈して潰瘍性大腸炎とクローン(Crohn)病だけを意味する立場と、腸管のあらゆる炎症性疾患はもとより、アミロイドーシスのような代謝性疾患、炎症の二次的変化としてもたらされる虚血性腸病変(虚血性腸炎)、全身性疾患の部分症として腸管にも変化を生じる膠原病なども含めて広義に解釈する立場がある(最新内科学大系〈プログレス8〉, 消化器疾患 pp320, 1997, 中山書店)。下痢や下血を訴える患者において、感染性腸炎の頻度は極めて多い。本発明において「炎症性腸疾患」とは、D−マンニトールあるいはD−ソルビトールの有効性が発揮できる疾患をすべて含む。D−マンニトールあるいはD−ソルビトールのヒトにおける有効量は、例えば、ヒト糞便を用いたin vitro発酵試験(例えば岡田勝秀・他:栄食誌43: 23−29, 1990 )、およびヒト投与試験(in vivo)により決定することができる。【0010】D−マンニトールはその一部(約25%以下)が小腸で受動的に拡散し、吸収されることが報告されているが、無水マンニトールまたは無水L−イジトールに酸化され、通常の果糖に変換される過程を経て、果糖となるため(Senti FR, Healthaspects of suger alcohols and lactose. NTIS, Springfield (1986))、安全性について問題がない。また、D−マンニトールの溶解性は他の糖や糖アルコールよりも低いため、マンニトールの大部分は大腸に達する(Dwivedi BK, Sorbitoland mannitol. In Nabors LO, Gelardi RC (eds), Alternative sweeteners, 2nd ed. Marcel Dekker, New York, pp333−348)ので、経直腸投与に限らず、経口または経腸投与でも、効率よく大腸に達し、酪酸生成を促進させることができる。【0011】添加対象の食品は、保健機能食品(特定保健用食品および栄養機能食品)、治療食、経口・経腸栄養剤などであるが、これらに限定されない。また、D−マンニトールあるいはD−ソルビトールはこれらを有効成分とする医薬品として用いることができる。適応対象は炎症性腸疾患、整腸剤などである。D−マンニトールおよびD−ソルビトールは、すでに医療用医薬品として臨床応用されており、その安全性は確認されている。剤型および製剤は当業者公知である。また、D−マンニトールあるいはD−ソルビトールはその有効量を動物飼料に添加することもできる。すなわち、畜肉獣あるいは養殖魚の飼料として使用できるだけではなく、さらには、酪酸の生理作用を検証することを目的とした実験用動物(マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ブタ、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等)の試験用飼料としても用いることができる。【0012】【試験例】以下、本発明を試験例により説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。【0013】[試験例1] D−マンニトールを基質としたブタ盲腸内容物発酵試験(in vitro)窒素気流下でブタ(盲腸フィステル付き交雑種成雌ブタ)の盲腸内容物80−100 gに、320−400g(4倍量)の0.05 Mリン酸緩衝液(pH 6.5)を加え均一になるように攪拌した。本内容物懸濁液50mLに対し、基質としてD−マンニトール(和光純薬製)を 1%(w/v)添加し(実験群)よく攪拌した後、窒素気相下で37℃で24時間培養した。対照として1%基質の代わりに蒸留水を用いた。24時間培養した本内容物中の有機酸濃度をイオン排除高速液体クロマトグラフィー(Waters 製、以下HPLC)で測定した。前処理およびHPLC条件は、Ushida およびSakata(Anim.Sci.Technol., 69, 571−575, 1998)に準拠した。結果を表1に示す。なお、有機酸濃度mmol/mLはmMを示す(以下同じ)。【0014】【表1】【0015】主要SCFAである酢酸、プロピオン酸および酪酸濃度は、対照群に対して、D−マンニトール添加群で増加した。これら濃度の増加をモル比でみると、酪酸は9.6%から23.9%と著明に増加し、酢酸およびプロピオン酸濃度には変化がみられなかった(表1)。これらの結果から、D−マンニトールの大腸発酵により、酢酸、プロピオン酸および酪酸濃度が増加するが、そのなかで酪酸濃度の増加がより大きいといえる。【0016】[試験例2] D−マンニトール代謝物の同定13C標識−D−マンニトール([1−13C]D−マンニトール)を基質としたブタ盲腸内容物発酵試験で、発酵産物(有機酸)の13C−NMRを調べることにより、各有機酸への13C導入を調べた。窒素気流下(盲腸フィステル付き交雑種成雌ブタ)の盲腸内容物100gに、脱酸素した20%(v/v)重水素を含む300gの0.1 Mリン酸緩衝液(pH 6.5)を加え均一になるように攪拌した後、100μmナイロンメッシュで濾過した。濾液に対し、13C標識−D−マンニトールを 0.02%(w/v)添加し(実験群)よく攪拌した後、二酸化炭素気相下、37℃で培養した。培養開始前、6、12、18および24時間経過後に培養液の一部を取り出し、培養液中の有機酸濃度をHPLCで測定した。また、HPLC分画を13C−NMR分析した。有機酸濃度を図1に、同モル比を図2に、そして有機酸への13Cの導入を図3に示した。【0017】酪酸およびプロピオン酸濃度は18時間まで増加し、以降24時間まで同じ濃度を保持した。酢酸は6時間まで増加し、以降24時間までほぼ同じ濃度を保持した。乳酸、吉草酸およびギ酸濃度は24時間まで増加がみられなかった(図1)。モル比でみると、酪酸は12時間まで著明な増加を示し、以降24時間までほぼ同じモル比を保持した。酢酸は12時間までに約60%程度に減少し、24時間までほぼ同じモル比を保持した。プロピオン酸は12時間まで増加し、24時間までほぼ同じモル比を保持した。18時間および24経過時の酪酸、プロピオン酸および酢酸のモル比はほぼ同じで、培養開始前のほぼ2%(酪酸)、12%(プロピオン酸)、56 %(酢酸)から27%、44%、15%に変化した(図2)。[1−13C]D−マンニトールは18時間後に、約40%が酪酸およびプロピオン酸に、約13%が酢酸に発酵された(図3)。これらの結果は、D−マンニトールが、大腸発酵による酪酸、プロピオン酸および酢酸産生のための優れた基質となりうるものであり、酪酸モル比が著明に高められたSCFAが大腸発酵で産生されることを示すものである。【0018】[試験例3] ラットに対するD−マンニトール投与試験6週齢ウィスター系雄性ラットを3日間、市販固型飼料を与えて馴化した。カゼイン20%、α−コーンスターチ53.2%およびショ糖10%を主体とする基本食(表2)を与え7日間予備飼育後、、(1) 基本食摂取群(対照群)、(2) 基本食100g+D−マンニトール5 g摂取群(5M群)、(3) 基本食100g+D−マンニトール10g摂取群(10M群)および比較例として(4) 基本食100g+フラクトオリゴ糖5g摂取群(FOS群)、の4群(1群6匹)に分けた。対照群との比較のために 試験食飼育開始前にエーテル麻酔下でラットを開腹し盲腸を摘出した群(0日群)を設けた。飼料は、練り餌にして自由摂取させた。3週間飼育後の午前に、エーテル麻酔下でラットを開腹して盲腸を摘出し盲腸内容物を採取した。内容物の全量を10 mlファルコンチューブに無菌的に回収し、HPLCで有機酸を分析(HoshiらJ.Nutr., 124, 52−60, 1994.に準拠)した。また、盲腸の組織重量を測定した。図4にラット盲腸内容物の有機酸のモル比を、そして図5に盲腸の組織重量を示す。【0019】【表2】【0020】試験前と対照群の盲腸内容物の酪酸、プロピオン酸および酢酸濃度のモル比はほぼ同じであった。5% D−マンニトールおよび10 % D−マンニトール添加群の酪酸濃度のモル比は、対照に比較して、約3倍に増加したのに対した。プロピオン酸および酢酸濃度のモル比は減少した。これは、5 % D−マンニトールおよび10 % D−マンニトール添加群の盲腸内容物量が対照群の約2倍に増加したためであり、実質、対照群とほぼ同じであった。比較例のFOS群の酪酸およびプロピオン酸濃度のモル比は、対照とほぼ同じであった。FOS群の盲腸内容物量は対照群の約2倍であった(図4)。【0021】盲腸組織重量は、対照群に対して、5% D−マンニトールおよび10% D−マンニトール添加群は有意(p<0.0001)な増加を示した(図5)。比較例のFOS群の盲腸組織重量は、対照群に対して有意な差はなかった。D−マンニトールの摂取により、大腸内容物中に酪酸が増加したことによって、盲腸(大腸)の組織重量が増したと考えられ、D−マンニトールは、大腸の構造維持に有効であることが示された。【0022】[試験例4] ラットに対するD−ソルビトール投与試験3週齢ウィスター系雄性ラットを市販固型飼料で飼育後、1群5匹として、対照群、D−ソルビトール投与群の2群に分けた。対照群には、表3に示すカゼイン25 %、α−コーンスターチ30%およびショ糖28%を主体とする基本食を、D−ソルビトール投与群には基本食100 g+D−ソルビトール7 gを与え16日間飼育した。実験期間中水および飼料は自由摂取させた。16日間飼育後、盲腸を摘出し、その内容物の全量を10 mL ファルコンチューブに無菌的に回収し、HPLC(Hoshi, et al.:J. Nutr., 124: 52−60, 1994)で有機酸濃度を測定した。図6に対照群、D−ソルビトール投与群の盲腸内容物の有機酸濃度を、図7に有機酸濃度のモル比を、そして図8に盲腸組織重量を示す。【0023】D−ソルビトール投与群の酪酸量は、対照群に比較して約4.6倍、プロピオン酸量は約2倍増加したのに対し、酢酸は約50%減少した(図6)。しかし、盲腸内容物量はD−ソルビトール投与群で対照群の約2倍と増加したので、盲腸内の酢酸量は変わらなかった。これらをモル比でみると、対照群に比較して、酪酸は約3.6倍、プロピオン酸は1.7倍増加したのに対し、酢酸は約50 %減少した(図7)。【0024】D−ソルビトール投与群の盲腸組織重量は、対照群に比較して有意に増加した。【0025】【表3】【0026】【発明の効果】本発明により、腸内の酪酸濃度を選択的に上昇させうる食品素材が提供された。また、該素材の有効量を含む整腸作用を有する保健機能食品が提供された。さらに該素材を有効成分とする炎症性腸疾患の予防または治療剤が提供された。【図面の簡単な説明】【図1】ブタの盲腸内容物に13C標識D−マンニトールを基質として添加し37℃で24時間嫌気培養したときの有機酸濃度(mM、以下同じ)を示す。【図2】同上の有機酸濃度をモル比で示した図である。【図3】同上の有機酸への13Cの導入を13C−NMRで分析した結果を示す。【図4】実験開始前のラットの盲腸内容物、ラットを基本食で3週間飼育後、基本食100 g+D−マンニトール5 g、基本食100 g+D−マンニトール10g、あるいは基本食100 g+フラクトオリゴ糖5 gで3週間飼育後の有機酸濃度のモル比を示す。【図5】同上の盲腸組織重量を示す。【図6】ラットを基本食あるいは基本食100 g+D−ソルビトール7 gで16日間飼育後の有機酸濃度を示す。【図7】同上の有機酸濃度をモル比で示した図である。【図8】ラットを基本食あるいは基本食100 g+D−ソルビトール7 gで16日間飼育後のラットの盲腸組織重量を示す。 D−マンニトールまたはD−ソルビトールの有効量を含有する腸内酪酸濃度上昇作用を有する食品組成物。 保健機能食品である請求項1記載の食品組成物。 経口・経腸栄養剤である請求項1記載の食品組成物。 整腸作用を有する請求項2または3記載の食品組成物。 請求項2記載の食品組成物を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用。 請求項3記載の食品組成物を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用。 請求項4記載の食品組成物を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用。 D−マンニトールまたはD−ソルビトールを有効成分とする炎症性腸疾患の予防または治療剤。 D−マンニトールまたはD−ソルビトールを有効成分とする整腸剤。 D−マンニトールまたはD−ソルビトールを有効成分とする大腸癌予防剤。 請求項8記載の炎症性腸疾患の予防または治療剤を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用。 請求項9記載の整腸剤を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用。 請求項10記載の大腸癌予防剤を製造するためのD−マンニトールまたはD−ソルビトールの使用。 【課題】腸内の酪酸濃度を選択的に上昇させうる食品素材および該素材の有効量を含む整腸作用を有する保健機能食品を提供する。また、該素材を有効成分とする炎症性腸疾患の予防または治療剤を提供する。【解決手段】D−マンニトールおよびD−ソルビトールが腸内酪酸を上昇させる作用を有することを見出した。【選択図】なし


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