生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_キレート剤の分析方法及び分析装置
出願番号:2002199818
年次:2004
IPC分類:7,G01N27/62,G01N30/02,G01N30/72,G01N30/88,G01N30/26,G01N30/48


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善養寺 一也 上野 聡 JP 2004045074 公開特許公報(A) 20040212 2002199818 20020709 キレート剤の分析方法及び分析装置 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 永井 隆 100117891 善養寺 一也 上野 聡 7 G01N27/62 G01N30/02 G01N30/72 G01N30/88 G01N30/26 G01N30/48 JP G01N27/62 V G01N27/62 X G01N30/02 B G01N30/72 C G01N30/88 C G01N30/26 A G01N30/48 P 2 OL 6 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、試料液中の水溶性キレート化剤を同定する分析方法及び分析装置に関する。【0002】【従来の技術】水溶液中のキレート剤の分析方法としては、イオンクロマトグラフィーで分離した後にポストカラム法で硝酸第二鉄により発色させ、紫外可視検出器で検出するイオンクロマトグラフ法がある(Weiss, Joachim; Ion ChromatographySecond Edition(VCH), p.134−138)。【0003】上記のイオンクロマトグラフ法は、標準化合物との保持時間での一致により同定を行うため、未知のキレート剤を同定することはできない。また、既知のキレート剤であったとしても保持時間だけでは決定力に乏しい。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題を解決し、キレート剤を同定する分析方法及び装置を提供することを目的とするものである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、試料液中のキレート剤をイオンクロマトグラフィーで分離して、質量分析することにより、キレート剤の同定ができることを見出し、本発明に到達した。【0006】すなわち、本発明は、試料液中のキレート剤を分析する方法において、試料液中のキレート剤をイオンクロマトグラフで分離し、分離されたキレート剤を質量分析することを特徴とするキレート剤の分析方法に関するものである。また、本発明は、キレート剤含有試料液が導入されるイオンクロマトグラフィー装置と、該装置で分離されたキレート剤が導入される質量分析装置とを備えてなるキレート剤の分析装置に関するものである。【0007】【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の試料液として、例えば化学薬品の保存液、化粧品の水抽出物等が挙げられる。分析できるキレート剤の濃度は、特に制限はないが、1〜1000mg/l程度になるように必要に応じて希釈されたものであることが望ましい。【0008】この試料液をイオン交換樹脂(好ましくは高交換容量の樹脂)が充填されたイオンクロマトグラフィーの分離カラムに溶離液を用いて通液することにより、試料液中のキレート剤またはキレート剤同士が分離される。例えば、水溶性キレート化剤として代表的なカルボン酸系キレート化剤の溶出は、ニトリロ三酢酸>エチレンジアミン四酢酸>トリエチレンテトラミン六酢酸と官能基が多くなるにつれて遅くなる。【0009】尚、このイオンクロマトグラフィーの分離カラムに通液するに先だって試料液を少量のイオン交換樹脂が充填されたガードカラムに通液し、分離カラムのイオン交換樹脂を劣化させやすい成分を除去することが望ましい。このガードカラムへのイオン交換樹脂の充填量は極少量とし、試料液中の水溶性キレート化剤が実質的にガードカラム内の樹脂には吸着しないようにする。【0010】イオンクロマトグラフィーに用いる溶離液としては、次の▲1▼〜▲3▼が挙げられる。▲1▼20ミリモル/Lの硝酸を含む水溶液、▲2▼30ミリモル/Lの硝酸を含む水溶液、▲3▼70ミリモル/Lの硝酸を含む水溶液。これらの液の溶離力は▲1▼<▲2▼<▲3▼であり、特に液▲3▼の溶離力は強力であり、6官能のホスホン酸系キレート剤を溶離させることができる。【0011】試料液が2〜4官能のカルボン酸系キレート化剤を含むときには、▲1▼の溶離液を用い、4〜6官能のホスホン酸系キレート化剤を含むときには、▲3▼の溶離液を用いる。3〜6官能程度のカルボン酸系及びホスホン酸系キレート化剤を同時に分離したい場合には、▲2▼の溶離液を用いて分離する。このように、適宜溶離液を使い分けることによりキレート剤同士を分離することが可能となる。【0012】分離された試料液を質量分析計に導入して、大気圧化学イオン化法もしくはエレクトロスプレーイオン化法でキレート剤を質量分析する。カルボン酸系キレート剤は、大気圧化学イオン化法またはエレクトロスプレーイオン化法の何れの方法でも分析可能であるが、硝酸のイオン化が比較的少ない大気圧化学イオン化法の正イオン検出で分析するのが望ましい。ホスホン酸系キレート化剤は、エレクトロスプレーイオン化法の負イオン検出で分析するのが望ましい。【0013】カラムで分離された試料液の前又は後(好ましくは後)に分子量校正標準試料(好ましくは目的化合物の分子量に近いポリエチレングリコールの混合試料)を添加し、高分解能質量分析を行う。得られた高分解能スペクトルから目的化合物の組成式を推定することができる。【0014】また、カラムで分離された試料液を低質量から(好ましくは1から)分子量校正された質量分析計に導入して大気圧化学イオン化法もしくはエレクトロスプレーイオン化法のリンクドスキャン法で質量分析し、生成したフラグメントイオンから構造情報を得ることができる。このように質量分析に組成式推定及びフラグメントイオン情報を組み合わせることでキレート剤の構造の同定または推定を行うことができる。【0015】【実施例】実施例1以下の装置を用いて本発明を実施した。(1)イオンクロマトグラフィー装置ガードカラム:「ダイオネックス社製AG7」強塩基性アニオン交換樹脂分離カラム:「ダイオネックス社製AS7」強塩基性アニオン交換樹脂交換容量100μeq溶離液は、下記3種である。▲1▼20mモル/L硝酸水溶液、流速1.0ml/min▲2▼30mモル/L硝酸水溶液、流速1.0ml/min▲3▼70mモル/L硝酸水溶液、流速1.0ml/min【0016】(2)質量分析計装置 「日本電子社製 JMS−LCmate」測定分子量範囲100〜800amu、分解能750、スキャン速度2秒▲1▼大気圧化学イオン化法:ベーパライザー温度450℃、オリフィス1温度150℃、リング電圧50V、オリフィス1電圧0V▲2▼エレクトロスプレーイオン化法:デソルビングプレート温度250℃、オリフィス温度150℃、リング電圧50V、オリフィス1電圧0V【0017】なお、組成式推定には高分解能スペクトルを測定した。また、リンクドスキャン測定では、測定分子量範囲を低質量(好ましくは1から)からとした。【0018】上記分析装置を用いてニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTPO)、エチレンジアミン−N,N‘−ビスメチレンホスホン酸(EDTPO)を含有する試料液をエレクトロスプレーイオン化法のネガティブモードで分析した際に得られるマスクロマトグラムを図1に示す。各ピークのマススペクトルは何れも分子量情報を示すことが判った。【0019】さらに、ニトリロ三酢酸(NTA)を用いて大気圧化学イオン化法のポジティブモードで分子量校正用内部標準化合物(ポリエチレングリコール)と共に高分解能スペクトル測定した場合のマススペクトルを図2に示す。測定の結果より測定質量192.0511に対して組成式がC6H10O6N1と推定することができ、ニトリロ三酢酸の組成式と一致することが判った。【0020】【発明の効果】本発明のキレート剤の分離及び同定する分析方法によればカルボン酸系キレート化剤、ホスホン酸系キレート剤等を容易に分離及び同定することができる。【図面の簡単な説明】【図1】実施例1のマスクロマトグラフ【図2】実施例1のマススペクトル 試料液中のキレート剤を分析する方法において、試料液中のキレート剤をイオンクロマトグラフで分離し、分離されたキレート剤を質量分析することを特徴とするキレート剤の分析方法。 キレート剤含有試料液が導入されるイオンクロマトグラフィー装置と、該装置で分離されたキレート剤が導入される質量分析装置とを備えてなるキレート剤の分析装置。 【課題】試料液中の水溶性キレート化剤を同定する分析方法を提供する。【解決手段】試料液中のキレート剤を分析する方法において、試料液中のキレート剤をイオンクロマトグラフで分離し、分離されたキレート剤を質量分析する。


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