タイトル: | 公開特許公報(A)_口紅組成物 |
出願番号: | 2002182520 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K7/027 |
依田 恵子 柴田 雅史 安藤 邦雄 JP 2004026681 公開特許公報(A) 20040129 2002182520 20020624 口紅組成物 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 依田 恵子 柴田 雅史 安藤 邦雄 7 A61K7/027 JP A61K7/027 2 OL 10 4C083 4C083AA122 4C083AB172 4C083AB232 4C083AB242 4C083AB432 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC242 4C083AC342 4C083AC371 4C083AC372 4C083AC421 4C083AC422 4C083AC792 4C083AC811 4C083AC812 4C083AC852 4C083AD022 4C083AD092 4C083AD152 4C083AD162 4C083AD172 4C083AD512 4C083CC13 4C083EE06 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、乳化安定性が良好で、唇に塗布すると色移りを防ぐ効果に優れ、かつ長時間色落ちすることがなく、しかもしっとりとした感触の口紅組成物に関する。【0002】【従来の技術】パーフルオロアルキル基を有するフッ素系油剤は、高い撥水性及び撥油性を有する油剤として広く化粧料に利用されている。例えば、特開平5−221829号には、シリカ及び/又はアルミナ粉末と併用してカップ等への色移りを抑制する口紅のオーバーコート剤が記載されている。また、特開平4−100534号には、フッ素系油剤をフッ素系高分子を用いて乳化した、油中パーフルオロ有機化合物型(F/O乳化型)の口紅が提案されている。【0003】しかしながら、この口紅は、カップ等に触れた際の色移りを防ぐ効果には優れるものの、塗布してから時間の経過とともに色落ちしてしまうという問題があった。また、フッ素系油剤を含有しているため、唇に塗布したときにべたつきが少ない反面、若干の乾燥感があるという問題もあった。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、唇に塗布すると色移りを防ぐ効果に優れ、かつ長時間色落ちすることがなく、しかもしっとりとした感触の口紅組成物を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系油剤とともに、特定の比誘電率を有する油剤を用いれば、安定性が良好で、唇に塗布すると色移りを防ぐ効果に優れ、かつ長時間色落ちすることがなく、しかもしっとりとした感触の口紅組成物が得られることを見出した。【0006】本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):(A)分子中にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系油剤、(B)比誘電率が3.2〜50である25℃で液体の油剤、(C)分子中にパーフルオロアルキル基及び炭素数2〜100のアルキル基を有するフッ素系高分子を含有する口紅組成物を提供するものである。【0007】【発明の実施の形態】本発明で用いる成分(A)のフッ素系油剤は、分子中にパーフルオロアルキル基を有し、25℃で流動性のある液状油剤である。例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロアダマンタン、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロペンタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロアルキル基で変性されたシリコーン、下記一般式(1)【0008】【化1】【0009】(式中、R1、R3、R4及びR5は、同一又は異なって、フッ素原子、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキルオキシ基を示し、R2はフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示し、a、b及びcは分子量が500〜100,000となる0以上の数を示す。ただし、a=b=c=0となることはない。ここで、カッコ内に示される各パーフルオロアルキレンオキシ基はこの順で並んでいる必要はなく、またランダム重合でもブロック重合でも構わない)で表わされるパーフルオロポリエーテル等が挙げられる。【0010】これらのうち、一般式(1)のパーフルオロポリエーテルが好ましい。このようなパーフルオロポリエーテルとしては、例えば一般式(2)【0011】【化2】【0012】(式中、d及びeは分子量が500〜10,000となる数を示し、d/eは0.2〜2である)で表わされるFOMBLIN HC−04(動粘度測定法で測定した重量平均分子量1,500)、FOMBLIN HC−25(同3,200)、FOMBLIN HC−R(同6,600)(以上、アウジモント社製)や、一般式(3)【0013】【化3】【0014】(式中、fは4〜500の数を示す)で表わされるデムナムS−20(重量平均分子量25,000)、デムナムS−65(同4,500)、デムナムS−100(同5,600)、デムナムS−200(同8,400)(以上、ダイキン工業社製)等の市販品が挙げられる。【0015】成分(A)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜99重量%、特に0.01〜70重量%、更に0.1〜60重量%含有させるのが、より化粧持ちに優れ、使用感も良好であるので好ましい。【0016】本発明で用いる成分(B)の25℃で液体の油剤は、比誘電率が3.2〜50、好ましくは3.3〜5.0であることが必要である。比誘電率が50を超える油剤は、口紅に含有させるのが困難であり、また経時で分離などが発生して安定性に劣る。また、比誘電率が3.2未満の油剤では、色持ちやしっとり感が十分に得られない。本発明において、比誘電率は、LCRメーター(安藤電気社製、AG4311B)を用いて測定した。【0017】このような油剤としては、イソノナン酸イソノニル(比誘電率3.2)、乳酸オクチルドデシル(同4.2)、リンゴ酸ジイソステアリル(同3.7)、ジミリスチン酸グリセリル(同3.8)、モノイソステアリン酸グリセリル(同6.2)、ジイソステアリン酸グリセリル(同3.8)、モノステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル(同3.8)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(同3.4)、イソステアリルアルコール(同10.0)、グリセリン(同43.0)、1,3−ブチレングリコール(同29.0)等が挙げられる。これらのうち、分子内に2個のエステル結合と1個のヒドロキシ基を有するものが好ましく、特にリンゴ酸ジイソステアリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸・イソステアリン酸グリセリルが好ましい。【0018】成分(B)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.5〜80重量%、特に1〜70重量%含有されるのが、色持ち及びしっとり感の点から好ましい。【0019】成分(C)のフッ素系高分子は、分子中にパーフルオロアルキル基と炭素数2〜100のアルキル基を有するもので、成分(A)を、成分(B)を含む油性基剤中に乳化分散可能であれば特に制限されないが、分子量が500〜2,000,000、特に5,000〜500,000であるものが好ましい。また、分子中に存在するアルキル基中の総炭素原子数(以下、「NH」という)とパーフルオロアルキル基中の総炭素原子数(以下、「NF」という)の関係は、1≦NH/NF≦30を満たしたものが好ましい。【0020】このようなフッ素系高分子としては、例えば特開昭55−9619号、特開昭55−29501号、特開昭55−45756号、特開昭58−118882号、特開昭58−118883号、特開昭58−59277号、特開昭61−73712号、特開昭61−289009号、特開平2−214176号、特開平4−100534号等に記載された高分子を用いることができ、特に、特開昭61−289009号に記載された長鎖アルキル(メタ)アクリレートとフッ化アルキル基を結合している(メタ)アクリレートとの共重合体が好ましい。【0021】かかる共重合体としては、例えば炭素数16〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレートと、炭素数4以上のパーフルオロアルキル基又はポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートとの共重合体が挙げられる。炭素数16〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられ、パーフルオロアルキル基又はポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば以下の化合物が挙げられる。【0022】【化4】【0023】これらの長鎖アルキル(メタ)アクリレートとフッ化アルキル基を結合している(メタ)アクリレートとの共重合比は、10:1〜1:5(重合比)、特に7:1〜1:1が好ましい。また、この共重合体の分子量は、耐摩擦性、べたつき感等の点から、1,000〜2,000,000、特に10,000〜500,000が好ましい。また、市販品としては、サーフロンSC−101、SC−105、S−381、S−382(以上、旭硝子社製)等を用いることができる。【0024】成分(C)のフッ素系高分子は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜40重量%、特に0.3〜30重量%含有させるのが、乳化安定性に優れ、しかも使用感が良好であるので好ましい。【0025】本発明の口紅組成物には、更に前記成分以外の油性基剤が用いられる。油性基剤としては、ワックス及びオイルが用いられる。ワックスとしては、25℃で固体又は半固体の炭化水素、脂肪酸エステル、トリグリセライド、脂肪酸、高級アルコール及びこれらの誘導体が挙げられる。具体的には、固体パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、低分子ポリエチレン、低分子ポリオレフィン、ワセリン、ラノリン、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ステアリルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、硬化ヒマシ油、12−ヒドロキシステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ジアルキルリン酸アルミニウム、ジステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。【0026】オイルとしては、成分(B)以外の25℃で液体の油剤で、炭化水素、脂肪酸エステル、トリグリセライド、脂肪酸、シリコーンオイル及びこれらの誘導体等が挙げられる。具体的には、パーム油、カカオ油、流動パラフィン、流動分岐パラフィン、スクワラン、ステアリン酸ブチルエステル、ミリスチン酸オクチルドデシルエステル、ミリスチン酸イソプロピルエステル、ラノリン脂肪酸イソプロピルエステル、ラノリン脂肪酸ヘキシルエステル、オレイン酸オレイルエステル、アジピン酸ジイソプロピルエステル、セバチン酸ジイソプロピルエステル、イソノナン酸イソトリデシル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。【0027】また、本発明の口紅組成物には、着色顔料、染料、体質顔料、界面活性剤、酸化防止剤、香料、色素、アルコール、水、防汚剤、紫外線吸収剤、保湿剤等を適宜含有させることができる。なお、水の含有量は少量であるのが好ましく、最大でも10重量%程度が好ましい。【0028】本発明の口紅組成物は、例えば油性基剤中に成分(B)及び(C)を加えて溶解し、これに成分(A)を乳化分散させ、型に流し込み、成型することにより製造できる。【0029】【実施例】実施例1〜3、比較例1〜3表1に示す組成の口紅を製造し、その安定性、塗布したときのしっとり感、色移りのしにくさ及び色持ちを評価した。結果を表1に併せて示す。【0030】(製法)成分(3)〜(20)を混合し、80℃で加熱する。ホモミキサーで攪拌しながら成分(1)及び(2)を加えて5分間攪拌する。脱泡した後、金型に流し込み、室温まで冷却して、口紅を得た。【0031】(評価方法)(1)安定性:各口紅を30℃で1ヶ月保存後、40℃で湿度100%に3時間置いたとき、スティック表面の油滴の発生を目視により判定した。◎;油滴の発生なし。×;油滴の発生あり。【0032】(2)しっとり感、色持ち:専門パネル10名により、実際に口紅を塗布したときのしっとり感及び色持ちを官能評価し、以下の基準で判定した。◎;10名中9名以上が良好と回答した。○;10名中7〜8名が良好と回答した。△;10名中4〜6名が良好と回答した。×;10名中3名以下が良好と回答した。【0033】(3)色移りのしにくさ:口紅を塗布した唇を白いカップに接触させたとき、その前後でカップの色を分光光度計(村上色彩科学研究所製、CMS−35FS)により測定し、カップの色変化(ΔE)を求め、以下の基準で評価した。◎;ΔEが3未満。○;ΔEが3以上8未満。△;ΔEが8以上15未満。×;ΔEが15以上。【0034】【表1】【0035】実施例4以下に示す組成の口紅を製造した。得られた口紅は、安定性に優れ、唇に塗布するとしっとりとした感触で、色移りしにくく、色持ちも良好であった。【0036】(成分)(1)パーフルオロポリエーテル(フォンブリンHC−25) 50(重量%)(2)リンゴ酸ジイソステアリル(比誘電率3.7) 6(3)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(比誘電率3.4) 2(4)フッ化アルキルメタクリレート・アルキルメタクリレート共重合体(ベヘニルメタクリレートとパーフルオロアルキルメタクリレート(CH2=C(CH3)−COOC2H4C8F17)との重量比3/1で平均分子量130,000の共重合体) 1(5)カルナウバワックス 1(6)キャンデリラワックス 4(7)ステアリン酸 2(8)ポリエチレンワックス 3(9)ステアリルアルコール 3(10)イソステアリン酸イソステアリル 5(11)メチルフェニルポリシロキサン 3(12)イソノナン酸イソトリデシル 7(13)流動イソパラフィン 3(14)疎水化シリカ 1(15)赤酸化鉄 1(16)赤色202号 1(17)酸化チタン 1(18)雲母チタン 2(19)グリセリン 2(20)精製水 2【0037】(製法)成分(2)〜(18)を混合し、80℃で加熱する。ホモミキサーで攪拌しながら成分(1)を加えて5分間攪拌する。60℃まで温度を下げ、成分(19)及び(20)を加えてさらにホモミキサーで攪拌する。脱泡した後、金型に流し込み、室温まで冷却して、口紅を得た。【0038】実施例5以下に示す組成の口紅を製造した。得られた口紅は、安定性に優れ、唇に塗布するとしっとりとした感触で、色移りしにくく、色持ちも良好であった。【0039】(成分)(1)パーフルオロポリエーテル(フォンブリンHC−R) 45(重量%)(2)リンゴ酸ジイソステアリル(比誘電率3.7) 5(3)フッ化アルキルメタクリレート・アルキルメタクリレート共重合体(ベヘニルメタクリレートとパーフルオロアルキルメタクリレート(CH2=C(CH3)−COOC2H4C8F17)との重量比3/1で平均分子量130,000の共重合体) 1(4)セレシン 3(5)カルナウバワックス 7(6)イソノナン酸イソトリデシル 6(7)ジメチルポリシロキサン 3(8)流動パラフィン 3(9)水添ポリイソブテン 2(10)ジメチコンポリオール 2(11)赤色202号 4(12)酸化チタン 2(13)赤酸化鉄 1(14)雲母チタン 2(15)架橋性オルガノポリシロキサン 4(16)環状シリコーンD5 8(17)メチルフェニルポリシロキサン 2【0040】(製法)成分(2)〜(14)を混合し、80℃で加熱する。ホモミキサーで攪拌しながら成分(1)を加えて5分間攪拌する。60℃まで温度を下げ、成分(15)〜(17)を加えてさらにホモミキサーで攪拌する。脱泡した後、金型に流し込み、室温まで冷却して、口紅を得た。【0041】【発明の効果】本発明の口紅組成物は、乳化安定性が良好で、唇に塗布すると色移りを防ぐ効果に優れ、かつ長時間色落ちすることがなく、しかもしっとりとした感触である。 次の成分(A)、(B)及び(C):(A)分子中にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系油剤、(B)比誘電率が3.2〜50である25℃で液体の油剤、(C)分子中にパーフルオロアルキル基及び炭素数2〜100のアルキル基を有するフッ素系高分子を含有する口紅組成物。 成分(B)が、リンゴ酸ジイソステアリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル及びミリスチン酸・イソステアリン酸グリセリルから選ばれる1種以上である請求項1記載の口紅組成物。 【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):(A)分子中にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系油剤、(B)比誘電率が3.2〜50である25℃で液体の油剤、(C)分子中にパーフルオロアルキル基及び炭素数2〜100のアルキル基を有するフッ素系高分子を含有する口紅組成物。【効果】乳化安定性が良好で、唇に塗布すると色移りを防ぐ効果に優れ、かつ長時間色落ちすることがなく、しかもしっとりとした感触である。【選択図】 なし