タイトル: | 公開特許公報(A)_尋常性ざ瘡治療剤 |
出願番号: | 2002181432 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K35/74,A61P17/02,A61P17/10 |
嶋田貴志 大林晃 須貝哲郎 JP 2004026670 公開特許公報(A) 20040129 2002181432 20020621 尋常性ざ瘡治療剤 ニチニチ製薬株式会社 591246849 嶋田貴志 大林晃 須貝哲郎 7 A61K35/74 A61P17/02 A61P17/10 JP A61K35/74 D A61P17/02 A61P17/10 2 OL 4 4C087 4C087AA01 4C087AA02 4C087AA04 4C087BC56 4C087MA63 4C087NA14 4C087ZA89 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、乳酸菌の菌体成分を原料とした尋常性ざ瘡治療剤に関するものである。【0002】【従来の技術】尋常性ざ瘡治療剤は、主に思春期前後から発症する脂腺性毛包の慢性炎症性疾患である。近年では、20代以上の年齢においても性別を問わず増加していると推測されている。この疾患は、顔面、胸部、背部に好発し毛嚢一致性の常色から紅色丘疹より発症し、面皰、膿皰を形成、色素沈着や小瘢痕を残し消退する。【0003】尋常性ざ瘡発症の詳細は不明であるが、アンドロゲンの分泌増加、皮脂分泌の亢進、毛包漏斗部の角化異常に起因する毛孔の狭窄による面皰形成、さらにはPropionibacterium acnes(P.acnes)などの毛包内細菌により産生されるリパーゼやプロテアーゼなどの菌体外酵素や好中球遊走因子などの炎症性物質により炎症が惹起される。その治療には、毛孔を塞いでいる角質を除去しP.acnesの増殖を抑制するためにイオウ、サリチル酸、レゾルシンや各種抗菌剤、さらには皮脂分泌抑制の目的でビタミンB2・B6やホルモン剤のなどが使用されている。【0004】尋常性ざ瘡治療においては、通常再燃再発を繰り返すことが多いことから、適切な治療によって症状を軽快もしくは安定した状態にする必要がある。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、尋常性ざ瘡の外観的障害を改善し、かつ副作用のみられない薬剤を提供することを課題とする。【0006】【課題を解決するための手段】乳酸菌には免疫賦活作用、血圧降下作用等いろいろな作用のあることが知られている。乳酸菌の一種であるエンテロコッカス属に属する菌体は、抗アレルギー作用を有することが知られている(特許第3040744号)。また、皮膚疾患である酒さに対しても有効であることが知られている(特許第2944662号)。【0007】そこで本発明者らは、乳酸菌を抽出処理した菌体成分を、慢性化し、治療が困難な尋常性ざ瘡患者に対して飲用試験を行った結果、尋常性ざ瘡の皮膚症状を短期間で改善し、さらに副作用のないことを明らかにした。【0008】この発明に使用する乳酸菌はラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、エンテロコッカス属など、一般的に乳酸菌と呼ばれるものであれば、どの菌体でも良く、また、ATCC、IFO、JCMなどの国内、国際分譲機関から取り寄せることが可能である。これらの菌体は食品中に一般的に存在している菌体、または食品製造に用いられる菌体、もしくは健常者の糞便から分離した菌体であることから、副作用の危険性はない。【0009】この発明でもちいる溶菌酵素は、アクチナーゼ、ザイモリアーゼ、キタラーゼ、リゾチーム、ムタノリシン、アクロモペプトダーゼ等の細菌類を溶菌するために普遍的に用いられているものであれば、種類を問わず、2種類以上の酵素を混合して用いることも可能である。また、酵素処理後に細胞内容物を完全に抽出するために熱処理を行う。熱処理条件としては、100℃以上であればかまわないが、抽出効率を考えるとオートクレーブ処理ができる温度(110℃〜125℃)が望ましい。また、超音波処理、フレンチプレスなどの物理的な方法を用いて、細胞壁を破壊することもできる。【0010】この細胞壁を破壊した乳酸菌菌体を製剤にするには、デンプン、乳糖、大豆蛋白等の担体、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤および橋味橋具剤等の公知の添加物を用いて周知の方法で錠剤や顆粒剤に製剤される。【0011】使用量は、症状、年齢等により異なるが、有効成分つぃて1日0.002〜0.1g/kg体重を成人に対して1日1回又は数回に分けて投与することができる。【0012】【実施例】実施例1.溶菌処理および加熱処理をした菌体標品の作成法エンテロッコカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)NF−1011(微工研菌寄第12564号)を以下に示す組成のロゴサ液体培地に接種し、37℃で10〜16時間培養した。得られた培養液を遠心分離(12,000×g、20分間)して集菌し、アクチナーゼを終濃度0.1mg/ml量添加し、37℃で4時間処理後110℃で10分間加熱処理した。この懸濁液を乾燥して乾燥処理菌体標品(以下、菌体標品)を得た。【0013】【0014】実施例2.臨床例1皮膚科の病院に通院している尋常性ざ瘡と診断された患者20名に、実施例1の方法で作製した菌体標品を含んだ製剤2g(菌体標品;0.5g)を毎日2包飲用していただいた。試験開始日および試験最終日(28日目)に、試験担当医がざ瘡の各皮膚症状(面皰、丘疹、膿疱、結節)について、図1に従って4〜0の4段階で評価した。【0015】試験開始日での面皰、丘疹、膿疱および結節の評価はそれぞれ1.5、3.0、1.2および0.6であった。これに対し試験28日目にはそれぞれ0.5、1.4、0.6および0.4を示した。一方、飲用期間中に試験試料飲用に起因すると考えられる副作用は認められなかった。【0016】このことから、本発明の尋常性ざ瘡治療剤は症状が安定した状態にある患者に対して有効に作用して、面皰、丘疹、膿疱、結節といった各種ざ瘡の症状を改善する作用が証明された。【0017】【発明の効果】本発明剤に用いる乳酸菌の細胞壁を破壊した菌体は、スキンケア製品による皮膚への刺激や、薬剤による効果と副作用の兼ね合いが難しい尋常性ざ瘡治療に対して、外観的症状を改善する効果が強いことから、有効な尋常性ざ瘡治療剤として用いることができる。また、副作用が無いため安心して飲用することができ、現在行われている治療法を併用することも可能である。【図面の簡単な説明】【図1】各皮膚症状(面皰、丘疹、膿疱、結節)の個数による評価を表した図ある。【図2】各皮膚症状における飲用開始日と飲用28日目の評価を比較した図である。 乳酸菌の菌体成分を主成分とする尋常性ざ瘡治療剤 菌体成分の抽出方法として、1種類以上の溶菌酵素で溶菌処理した後、加熱処理を行うことである請求項1記載の尋常性ざ瘡治療剤 【目的】副作用がなく、尋常性ざ瘡の症状を改善する尋常性ざ瘡治療剤を提供する。【構成】乳酸菌の菌体内物質を有効成分とする副作用のない尋常性ざ瘡治療剤であり、ざ瘡の各皮膚表面の炎症症状を改善する。【選択図】 なし