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タイトル:公開特許公報(A)_抗菌香料組成物および口臭抑制香料組成物ならびにそれらを含有する口腔用組成物
出願番号:2002177134
年次:2004
IPC分類:7,A61K7/46,A23G3/00,A23G3/30,A61K7/16,C11B9/00


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花田 實 谷中 史弘 川上 幸宏 JP 2004018470 公開特許公報(A) 20040122 2002177134 20020618 抗菌香料組成物および口臭抑制香料組成物ならびにそれらを含有する口腔用組成物 高砂香料工業株式会社 000169466 坂口 啓子 100095968 花田 實 谷中 史弘 川上 幸宏 7 A61K7/46 A23G3/00 A23G3/30 A61K7/16 C11B9/00 JP A61K7/46 301 A23G3/00 A23G3/00 101 A23G3/30 A61K7/16 C11B9/00 A C11B9/00 B C11B9/00 C C11B9/00 D C11B9/00 J C11B9/00 K C11B9/00 N C11B9/00 X 4 OL 14 4B014 4H059 4B014GB06 4B014GB07 4B014GB08 4B014GB13 4B014GK05 4B014GK10 4B014GL03 4H059BA02 4H059BA12 4H059BA14 4H059BA19 4H059BA20 4H059BA36 4H059BB05 4H059BB13 4H059BB14 4H059BB15 4H059BB17 4H059BB19 4H059BB22 4H059BB44 4H059BB45 4H059BB55 4H059BC23 4H059DA09 4H059EA40 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は安全性に優れた歯周病原因菌に有効に抑制作用を示す抗菌香料組成物に関する。また、口臭中の悪臭物質である揮発性硫化物の生産を抑制する口臭抑制香料組成物に関する。さらに、本発明は上記抗菌香料組成物あるいは口臭抑制香料組成物を含有する口腔用組成物に関する。【0002】【従来の技術】口腔内には数百種類にもおよぶ好気性、嫌気性の細菌、真菌等の微生物類が棲息しており口腔内疾患と密接に関わっている。これらの病原性微生物の増殖はなんらかの要因により引き起こされ、う蝕(虫歯)、歯周病、口内炎、口臭などの各種疾患を誘発する。特にう蝕と歯周病は口腔内の二大疾患であり、これらの予防と治療には重大な関心が持たれている。歯周病の原因菌としてはフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、プリボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)などが知られている。【0003】一方、古くより精油やその成分である香料に抗菌、抗カビ活性があることは広く知られている(浅越亨、日本化粧品技術者会誌、34巻、25〜46頁、2000年)。具体的には、ヒノキチオール、シンナミックアルデヒド、チモール、オイゲノールなどには上記口腔由来細菌に対して抗菌活性のあることを報告している(Bull. Tokyo Dent. Coll., 30(3), 129−135 1989)。また、オールスパイスなど香辛料抽出物にはフソバクテリウム・ヌクレアタムに対して抗菌活性があると報告されている(特公昭62−58327号公報)。さらに薄荷(Mentha Herb )エキスにコラゲナーゼ活性阻害効果があり、歯周病の予防・治療効果が期待できるという報告(特許第3154285号公報)もある。【0004】しかし、これらの抗菌活性の殆んどは寒天培地あるいは液体培地を用いた最小阻止濃度測定法によるものである。この最小阻止濃度測定法では試験菌とサンプルとが実験期間中培地の中に混在することになるので、その活性が殺菌的か静菌的かによらず得られる抗菌活性には変わりが無い。【0005】しかし香料が実際にフレーバーとして使用された場合は香料が対象菌と接触する時間には製品により限界がある。例えば歯磨きでは歯を磨いている間が接触時間であり、しかもその間分泌される唾液により希釈され、最後には口の中は水で濯がれる。洗口剤でも同様で、またチューインガムでも噛み終わるか、フレーバーがガムから唾液中に溶出し終わればそれ以上の対象菌との接触は起こらない。それ故に静菌的な活性あるいは殺菌的であっても殺菌まで長時間かかるような物質では効果を示すことは出来ない。このような条件を考えると最小阻止濃度測定法の結果は実際に使用した時の活性を予見させないこととなる。【0006】したがって口腔用組成物に配合してその効果を奏するものを得るには、抗菌物質が目標となる試験菌と一定時間だけの接触中に活性を示すものであることが必要になる。市販されている洗口剤であるリステリンについて同様の試験を行い、その強い活性が報告(歯界展望、76、1459〜1466、1990年)されている。またリステリンに用いる香料を歯磨き剤に応用している報告(国際公開99/32075号公報)もある。【0007】一方、香料組成物が黄色ブドウ球菌や大腸菌などの好気性菌に対してこのような短時間の接触で活性を示したという特許(WO01/24769)もある。また、近年の清潔志向の高まりに伴い口臭や体臭などを気にする人が多くなっている。口臭には健常者にも認められる生理的口臭と食事・嗜好品による口臭の他、病的原因による口臭があり、これはさらに口腔内疾患による口臭と全身性疾患による口臭に分類される。【0008】これらの口臭の中で最も不快感を与えるのが口腔内疾患による口臭である。口腔内疾患による口臭は唾液中に存在する食物残渣、粘膜剥離物、炎症部位よりの滲出液などを蛋白源として口腔内細菌、特に嫌気性菌の代謝により生産される揮発性硫化物(硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイド、など)の他、同じく代謝により生産されるインドールやスカトールなどの悪臭物質によると考えられている(日本歯科医師会雑誌 29(3)228−235、1976)。これらの中で特にメチルメルカプタンの濃度が口臭の強さと相関性があることが知られている。【0009】したがって、口臭を抑制除去するためには、▲1▼産生されたメチルメルカプタンなどの悪臭成分を除去する、▲2▼他の香料によるマスキングを行う、▲3▼口腔内の汚れ(口腔内細菌の栄養分)を除去する、▲4▼口臭原因菌の生育を抑制あるいは殺菌する、▲5▼口臭原因菌によるメチルメルカプタンの生産を阻害するなどの方法が考えられる。しかし▲1▼,▲2▼,▲3▼の方法は根元的な方法とは言えず、▲4▼あるいは▲5▼の方法がよりすぐれていることは言うまでも無い。【0010】この口臭を抑制するために口腔用組成物に消臭効果のある銅クロロフィリンナトリウムを添加することが行われてきた。また、その他に消臭効果のあるフラボン類(食品工業 38(4) 70−78 1992)、茶カテキン類(食品工業 38(18) 28−33、1992)、バラ科植物抽出物(日本農芸化学会誌 66(10) 1475〜1479、1992)、オケラ、トチノキおよびヒバの抽出エキス(特許第2950674号公報)、植物抽出物の添加(J. Odor Research and Eng., 31(2) 91、2000)などの添加が報告されている。しかしこれらの有効成分の効果は限られており比較的多量を必要とし、根元的な方法とはいいがたいものであった。【0011】唾液を密封容器内で嫌気的に培養するとメチルメルカプタンなどの揮発性硫化物が生産される(Arch. Oral Biol., 9、 47−53, 1964)ことは知られており、また、唾液をそのまま、あるいは洗口吐出液に含硫アミノ酸であるメチオニンなどを添加して培養したときに生産される揮発性硫化物を茶カテキン類(日本食品工業学会誌 38(12), 1098−1102、1991)が阻止することも知られている。【0012】一方、揮発性硫化物を生産することが知られているフソバクテリウム・ヌクレアタムやポルフィロモナス・ジンジバリスの洗浄菌体をメチオニンやシステインを加えた培地あるいはバッファーに移植し、そのときに生産される揮発性硫化物を阻止する方法で植物抽出物(臭気の研究 31(2) 91−96、2000;特開2002−114660号公報)や各種香料(特開 2001−348308号公報)の活性を見た報告もある。【0013】また口腔内の細菌の除去を目的として抗生物質や合成抗菌剤の投与も行なわれるが、これらの処置は耐性菌の出現や長期的利用による毒性、さらにはその強い活性により腸内細菌のバランスを崩す等の問題点が指摘されている。そのため、毒性が少なく抗菌活性に優れた物質、あるいは口臭、特にメチルメルカプタンを初めとする揮発性硫化物の生産を効果的に抑制する物質の探索が望まれている。【0014】【発明の解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、上記の要望を満足する抗菌活性及び/又は口臭抑制活性を有する、抗菌香料組成物及び/又は口臭抑制香料組成物、並びにそれを含有する口腔用組成物を提供することにある。【0015】【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、長年の使用経験より安全性が確認されている食品用の香料成分と天然香料の中に、抗菌活性に優れた物質、あるいは口臭特にメチルメルカプタンを初めとする揮発性硫化物の生産を効果的に抑制する物質として有効なものがあることを見いだした。さらに食品に多く用いられている香料成分と天然香料の中に、対象菌と接触する時間が短い場合にも抗菌活性に優れた物質、あるいは口臭、特にメチルメルカプタンを初めとする揮発性硫化物の生産を効果的に抑制する物質があることを見いだし、本発明を完成した。【0016】すなわち、本発明は以下の各発明を包含する。(1)ヘキシルアルデヒド、カリオフィレンアルコール、シンナミックアルデヒド、ジヒドロオイゲノール、ファルネソール、ジヒドロファルネソール、ヒノキチオール、イソオイゲノール、γ−ウンデカラクトン、d−リモネン、o−メトキシシンナミックアルデヒド、β−ピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、オレンジオイル、ナツメグオイル、グレープフルーツオイル、ディルウィードオイル、パインニードルオイル、スペアミントオイル、タンジェリンオイル、スィーティオイル、レモンオイル、ライムオイル、ハッカオイル、マンダリンオイルから選ばれた少なくとも一種以上を含有することを特徴とする口腔用組成物に添加するための抗菌香料組成物。【0017】(2)ヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、エナント酸アリル、α−アミルシンナミックアルデヒド、カリオフィレンアルコール、l−カルボン、シンナミックアルデヒド、シンナミックアルデヒドジメチルアセタール、シトラール、メントキシプロパンジオール、ジヒドロオイゲノール、サリチル酸エチル、サリチル酸メチル、オイゲノール、ファルネソール、ジヒドロファルネソール、ヒノキチオール、イソオイゲノール、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、d−リモネン、酢酸リナリル、メントール、o−メトキシシンナミックアルデヒド、メチルイソオイゲノール、β−ピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、チモール、オレンジオイル、ナツメグオイル、グレープフルーツオイル、パインニードルオイル、スペアミントオイル、タンジェリンオイル、スィーティオイル、ペパーミントオイル、レモンオイル、ユーカリプタスオイル、ライムオイル、ハッカオイル、マンダリンオイルから選ばれた少なくとも一種以上を含有することを特徴とする口腔用組成物に添加するための口臭抑制香料組成物。【0018】(3)前記1項に記載の抗菌香料組成物を含有することを特徴とする口腔用組成物。【0019】(4)前記2項に記載の口臭抑制香料組成物を含有することを特徴とする口腔用組成物。【0020】【発明の実施の形態】以下に、本発明について更に詳細に説明する。本発明の口腔用組成物に添加するための抗菌香料組成物は、ヘキシルアルデヒド、カリオフィレンアルコール、シンナミックアルデヒド、ジヒドロオイゲノール、ファルネソール、ジヒドロファルネソール、ヒノキチオール、イソオイゲノール、γ−ウンデカラクトン、d−リモネン、o−メトキシシンナミックアルデヒド、β−ピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、オレンジオイル、ナツメグオイル、グレープフルーツオイル、ディルウィードオイル、パインニードルオイル、スペミントオイル、タンジェリンオイル、スィーティオイル、レモンオイル、ライムオイル、ハッカオイル、マンダリンオイルから選ばれる特定香料を少なくとも一種以上を含有するものである。【0021】スペミントオイルには、スペアミントオイルネイティブ、スペアミントオイルスコッチ等が、ライムオイルにはライムオイル、蒸留ライムオイル等が、マンダリンオイルにはマンダリンレッドオイル等が包含される。【0022】また、本発明の口腔用組成物に添加するための口臭抑制香料組成物は、ヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、エナント酸アリル、α−アミルシンナミックアルデヒド、カリオフィレンアルコール、l−カルボン、シンナミックアルデヒド、シンナミックアルデヒドジメチルアセタール、シトラール、メントキシプロパンジオール、ジヒドロオイゲノール、サリチル酸エチル、サリチル酸メチル、オイゲノール、ファルネソール、ジヒドロファルネソール、ヒノキチオール、イソオイゲノール、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、d−リモネン、酢酸リナリル、メントール、o−メトキシシンナミックアルデヒド、メチルイソオイゲノール、β−ピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、チモール、オレンジオイル、ナツメグオイル、グレープフルーツオイル、パインニードルオイル、スペアミントオイル、タンジェリンオイル、スィーティオイル、ペパーミントオイル、レモンオイル、ユーカリプタスオイル、ライムオイル、ハッカオイル、マンダリンオイルから選ばれる特定香料を少なくとも一種以上を含有するものである。【0023】これら特定香料において、ヘキシルアルデヒド、カリオフィレンアルコール、シンナミックアルデヒド、ジヒドロオイゲノール、ファルネソール、ジヒドロファルネソール、ヒノキチオール、イソオイゲノール、γ−ウンデカラクトン、d−リモネン、o−メトキシシンナミックアルデヒド、β−ピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、オレンジオイル、ナツメグオイル、グレープフルーツオイル、パインニードルオイル、スペアミントオイル、タンジェリンオイル、スィーティオイル、レモンオイル、ライムオイル、ハッカオイル、マンダリンオイルは、抗菌効果及び口臭抑制効果を合わせもつことから、特に好ましい特定香料である。【0024】本発明の抗菌および口臭抑制香料組成物に、通常使用されている食品香料成分をさらに添加した香料組成物も口腔用組成物の香気成分及び香味成分として使用することができる。添加使用することのできる他の香料として、一般に食品香料として用いられる各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料などが挙げられる。なかでも、口腔用及び食品用に使用される香料が好ましいが、例えば、「食品香料ハンドブック、日本香料工業会編集、食品化学新聞社、平成2年2月15日発行」に記載されているような広い範囲の香料成分を使用することができる。【0025】本発明の口腔用組成物としては、例えば、歯磨き剤;洗口剤または口腔洗浄料;チューインガム、キャンディ、トローチ、グミゼリー、錠菓などの食品等を挙げることができる。【0026】本発明の抗菌香料組成物及び/又は口臭抑制香料組成物の口腔用組成物への配合量は特に制限されないが、通常口腔用組生成物全体の0.005〜10%(重量%、以下同じ)、特に0.02〜3%とすることが望ましい。配合量が0.005%より少ないと抗菌効果が十分に発揮されない場合があり、10%より多いと口腔用組成物の香味を損なう場合がある。【0027】本発明の口腔用組成物には、上述した抗菌香料組成物あるいは口臭抑制香料組成物に加えてさらにその目的、組成物の種類等に応じた適宜な成分を配合することが出来る。【0028】例えば、歯磨き剤には第2リン酸カルシウム・2水和物、炭酸カルシウム、無水ケイ酸などの研磨剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などの界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラウロイルサルコシンナトリウムなどの発泡剤、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコールなどの湿潤剤、カルボキシメチルセルローズ、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガムなどの粘結剤などを配合できる。【0029】さらに歯磨き剤には、抗炎症剤としてトラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸dl−アルファ−トコフェロールなど、収斂剤として乳酸アルミニウムなど、甘味剤としてサッカリンナトリウム、ステビオサイド、グリチルリチン、キシリトールなどを、香味料としてアンゲリカルート油、バジル油、ベイ油、ベルガモット油、ビターアモンド油、カラマス油、カモミール油、キャラウエイ油、カルダモン油、カシア油、シナモン油、クラリセージ油、クローブ油、コニャック油、コリアンダー油、エストラゴン油、フェンネル油、ゼラニウム油、グアヤックウッド油、ジュニパー油、ローレルリーフ油、ラベンダー油、メース油、マジョラム油、ミルラ油、ネロリ油、パルマローザ油、プチグレン油、ピメント油、ローズ油、ローズマリー油、サンダルウッド油、スターアニス油、セージ油、タイム油、ウインターグリーン油、イランイラン油などの天然香料素材、アネトール、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、安息香酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸ベンジル、ボルネオール、酢酸ボルニル、カルバクロール、シトロネロール、メチルフェニルグリシド酸エチル、エチルバニリン、シネオール、ゲラニオール、ヘリオトロピン、イオノン、イロン、リナロール、酢酸メンチル、メチルアミルケトン、桂皮酸メチル、ネロール、ノニルアセテート、フェニルメチルエーテル、ロジノール、フェニルエチルアルコール、ターピネオール、バニリン、マルトール、エチルマルトールなどの香料を配合できるほか、保存剤として安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ブチルなどの安息香酸誘導体、サリチル酸ナトリウムなども配合できる。【0030】なお、抗菌香料組成物あるいは口臭抑制香料組成物のほかに、有効成分として、クロルヘキシジン、ベンザルコニウムクロライドなどの陽イオン性殺菌剤、トリクロサンなどのフェノール性化合物、デキストラナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素、スーパーオキサイドデスムターゼなどの酵素類、フッ化ナトリウムなどのフッ化物等を配合することが出来る。【0031】洗口剤および口腔洗浄料としては歯磨き剤に用いた同じような界面活性剤、香味剤、甘味剤と一緒に配合することにより作成できる。【0032】食品としては一般的に一定時間口中に滞在することのできるチューイングガム、キャンディー、トローチ、グミゼリー、錠菓などに0.005〜5%、より好ましくは0.02〜2%配合することができる。【0033】【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。【0034】[実施例1] 殺菌活性の測定本発明の殺菌活性の測定はQuantitative Suspension Test (British StandardEN 1276、1997)を準用した方法による。殺菌活性試験に用いた菌株は歯周病の病原菌としてまた揮発性硫化物を生産する菌としても知られているもので理化学研究所より入手した。略号(以下本文中では略号で記載する)と菌株名を下記に示す。【0035】試験菌株略号        菌株名          Fn−1   Fusobacterium nucleatum JCM 6328【0036】Fn−1をGAM培地(日水製薬株式会社)スラント上で生育させ、生育した菌を生理食塩水で懸濁液として用いた。嫌気条件(BBLガスパック嫌気システム使用)下で37℃、1日培養のスラントに、一本あたり2mlの生理食塩水を加えトランスファーループで表面を良くこすり菌の懸濁液とする。これを2回繰り返し、合わせた懸濁液を遠心分離し、半量の生理食塩水を加えてまた懸濁液とする。これを滅菌したガーゼ2枚で濾過し寒天片や繊維状の菌体を除く。再度遠心分離を行い、生理食塩水で懸濁液としてテストに用いた。5本のスラントから5mlの懸濁液として1×107〜108CFU(Colony Forming Unit)/mlのほぼ均一な菌液が得られる。【0037】サンプル(香料液)は50%DMF(重量/重量)で調製したストックサンプルをエタノールで必要な濃度に希釈(容量/容量%)して用いた。サンプル溶液30μlを3mlの滅菌蒸留水に加え、撹拌する。サンプルが溶けていないか、きれいな懸濁液にならないときは超音波処理を30分行う。【0038】上記サンプルを加えた滅菌蒸留水に前述したFn−1の試験菌液333μlを加え、撹拌する。30秒後と1分後に333μlをサンプリングし、3mlのD/E Neutralization broth(Difco)に加え(10倍希釈)、以下同様にして100倍希釈、1000倍希釈を行う。30秒後と1分後の各希釈液50μlをTrypticase soy寒天培地(BBL)15mlを固めたプレートにAutoplate 4000 (Spiral Biotec社、MD, USA)を用いて展開し、37℃、40時間嫌気培養する。培養後生育したコロニーをQ−Count (Spiral Biotec社、MD, USA)でカウントしCFU/mlを求める。本測定法をQuantitative Suspension Test (British Standard EN 1276、1997)によるCFU測定法と称する。【0039】コントロールとしては3mlの水に試験菌液333μlを加えたもの、また比較用に3mlの水に30μl(1%)のエタノールを加えてものに試験菌液333μlを加えたものを用い、これらのCFU/mlを求めた。【0040】結果の判定はコントロールのCFU/mlに対して30秒、1分間の香料との接触後にどれだけ菌が減少したかをLog単位で表す。各希釈段階でコロニーの生育が全くみられないときは100以下の生菌数と考えてコントロールで得られたLog値より低い値に>印をつけて表記した。判定結果が1.00のときCFUは1/10に、3.00のときはCFUが1/1000に減少したことを示している。【0041】殺菌活性試験の結果を表1に示す。30秒、1分間はサンプリングした時間を示し、Log inc.はコントロールのLog数値である。この値を記載したのは実験ごとにコントロールのLog数に違いが見られたためである。【0042】【表1】【0043】表1に見られるとおりこれらの香料は30秒あるいは1分間の試験菌との接触において初めに混和した菌数の1/10以下に試験菌を減らすことができ、充分な殺菌効果を示していることが判る。【0044】[実施例2] 唾液による揮発性硫化物生産の抑制香料の唾液による揮発性硫化物の生産抑制活性のテストは以下の方法により行った。唾液は朝の歯磨きを省略した状態で9時から10時までの間に所定量を50mlの滅菌遠心沈殿管に集め、使用するまでは氷水中に保管した。集めた唾液各2mlを滅菌したネジ蓋付き試験管に無菌的に取り、唾液そのままをコントロールとし、唾液にエタノール20μl加えたものを比較用に用いた。サンプル(香料液)は殺菌活性の測定と同様にして調製し、各20μlを唾液に添加した。【0045】サンプル添加後、ボルテックスミキサーにて攪拌しながら0.5気圧の窒素ガス気流にて内部の空気を窒素置換した。培養は37℃で3時間行い、炎光光度計を装置したガスクロマトグラフィー(FPD−GC)で揮発性硫化物の分析を行った。なお培養後のサンプルは分析を行うまでの間氷水中に保存した。【0046】(ガスクロマトグラフィー測定条件)カラム:6mX4mmi.d.(ガラスパックドカラム)カラム液相:20%DNP on 80/100 mesh Chromosorb W AW DMCSカラム温度:100℃キャリヤーガス(流量):N2(40ml/min)注入口温度:120℃検出器:FPD(炎光光度検出器;硫黄化合物検出用393nmフィルター付き)検出器温度:150℃【0047】上記の条件で唾液培養後のヘッドスペース1mlを分析すると、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルファイドの他、未同定の揮発性硫化物が検出される。しかしメチルメルカプタン以外の硫化物は唾液の採取日により異なり生産されないことがあるため、メチルメルカプタンの生成阻止率(以下、阻止率)のみを結果として表2に示す。【0048】メチルメルカプタンの阻止率は下の式で求めたメチルメルカプタンの阻止率(%)={(ブランク−サンプル)/ブランク}×100式中のブランク、サンプルはそれぞれのメチルメルカプタンの生産量を示す。【0049】【表2】【0050】表2に見られるように多くの香料がメチルメルカプタンの生産を抑制していることが判る。【0051】[実施例3]実施例1と実施例2で得られた結果より、以下の処方でスペアミントタイプとペパーミントタイプ2種の口臭抑制調合香料を作成した。香料の処方を表3に示す。【0052】【表3】【0053】作製した調合香料3種とその中で用いたペパーミントオイル44.5重量部とフレーバーベース(高砂香料製)26重量部について実施例1の方法でFn−1に対する殺菌活性を確認した。結果を表4に示す。【0054】【表4】【0055】作製した調合香料3種は表4に見られる通り0.2%の濃度でFn−1に対して強い殺菌活性を示したが、スペアミントフレーバーベースは同じ濃度では殺菌活性を示さなかった。【0056】次に、作製した調合香料3種について、実施例2の方法で唾液による揮発性硫化物生産の抑制活性のテストを行った。また同時に唾液中の嫌気性菌の数(CFU/ml)が3時間の培養後にどのように変化したかも測定した。採取した唾液は実施例2と同じ方法で培養し、生産された揮発性硫化物を分析した。分析終了後、培養唾液333μlを取り3mlの生理食塩水で希釈(10倍)、以下同様に一万倍まで希釈し、唾液中の生存嫌気性菌の数(CFU/ml)を実施例1と同じ方法を用いて測定した。培養の間、元の唾液は氷冷下に保存し、培養唾液と同様にして嫌気性菌の数を測定した。【0057】結果を表5及び6に示す。生存嫌気性菌数については元の唾液中の菌数(4700万)からどれだけ増減したかを%で示した(表5)。また揮発性硫化物については硫化水素、メチルメルカプタンについて生産された濃度(ppb)を調べ、唾液3時間培養後と比較してどれだけ阻止したかを%で示した(表6)。なお表6に−(マイナス)表示があるものはブランクに比べて増えたことを示している。【0058】【表5】【0059】【表6】【0060】表5および表6に見られるとおり、スペアミントタイプ、ペパーミントタイプの調合香料は1000ppmの濃度で唾液中の嫌気性菌の数(CFU/ml)を約1/10にまで殺菌し、また揮発性硫化物の生産もほぼ完全に阻止していることがわかる。【0061】[実施例4]常法により下記の処方で歯磨き剤を製造した。配合成分                重量%リン酸カルシウム            30グリセリン               10ソルビトール              20ラウリル硫酸ナトリウム          1.5カルボキシメチルセルローズナトリウム   1.0カラギーナン               0.1サッカリンナトリウム           0.1スペアミントタイプ調合香料(実施例3)  1.0安息香酸ナトリウム            0.3水                   残量【0062】[実施例5]常法により、下記の処方で洗口剤を製造した。配合成分                 重量%エタノール                10.0グリセリン                 5.0クエン酸                  0.01クエン酸ナトリウム             0.1ポリオキシエチレン硬化ひまし油       0.5パラオキシ安息香酸メチル          0.1ペパーミントタイプA調合香料(実施例3)  0.5水                    残量【0063】[実施例6]常法により、下記の処方でペパーミントタイプのチュウインガム(板ガム)を製造した。配合成分                 重量%板ガムベース               24.0水飴                   13.0粉糖                   62.0ペパーミントタイプB調合香料(実施例3)  1.0色素                   適量【0064】[実施例7]常法により、下記の処方でスペアミントタイプのキャンディーを製造した。配合成分                 重量%グラニュー糖               44.5水飴                   41.0水                    14.0スペアミントタイプ調合香料(実施例3)   0.5色素                   適量【0065】【発明の効果】以上詳述したように、本発明の抗菌性香料組成物および口臭抑制香料組成物は長い使用経験があり、安全な食品用香料から選ばれた少なくとも一種を含むものであり、口腔用組成物に添加されて殺菌活性、唾液による揮発性硫化物の産生抑制作用を示すものである。さらにはこれらを適宜組みあわせて用いることでより強い口腔内細菌の殺菌効果、また口臭抑制効果を発揮する香料組成物を提供することができる。またこれら香料組成物を含有する口腔用組成物は、口臭抑制効果に優れた歯磨き剤、洗口剤および食品を提供することができる。 ヘキシルアルデヒド、カリオフィレンアルコール、シンナミックアルデヒド、ジヒドロオイゲノール、ファルネソール、ジヒドロファルネソール、ヒノキチオール、イソオイゲノール、γ−ウンデカラクトン、d−リモネン、o−メトキシシンナミックアルデヒド、β−ピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、オレンジオイル、ナツメグオイル、グレープフルーツオイル、ディルウィードオイル、パインニードルオイル、スペアミントオイル、タンジェリンオイル、スィーティオイル、レモンオイル、ライムオイル、ハッカオイル、マンダリンオイルから選ばれた少なくとも一種以上を含有することを特徴とする口腔用組成物に添加するための抗菌香料組成物。 ヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、エナント酸アリル、α−アミルシンナミックアルデヒド、カリオフィレンアルコール、l−カルボン、シンナミックアルデヒド、シンナミックアルデヒドジメチルアセタール、シトラール、メントキシプロパンジオール、ジヒドロオイゲノール、サリチル酸エチル、サリチル酸メチル、オイゲノール、ファルネソール、ジヒドロファルネソール、ヒノキチオール、イソオイゲノール、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、d−リモネン、酢酸リナリル、メントール、o−メトキシシンナミックアルデヒド、メチルイソオイゲノール、β−ピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、チモール、オレンジオイル、ナツメグオイル、グレープフルーツオイル、パインニードルオイル、スペアミントオイル、タンジェリンオイル、スィーティオイル、ペパーミントオイル、レモンオイル、ユーカリプタスオイル、ライムオイル、ハッカオイル、マンダリンオイルから選ばれた少なくとも一種以上を含有することを特徴とする口腔用組成物に添加するための口臭抑制香料組成物。 請求項1記載の抗菌香料組成物を含有することを特徴とする口腔用組成物。 請求項2記載の口臭抑制香料組成物を含有することを特徴とする口腔用組成物。 【課題】人体に安全で、歯周病原因菌に有効な抗菌活性及び/又は揮発性硫化物の生産を抑制し、口臭抑制作用を有する香料組成物およびそれらを含有する口腔用組成物を提供する。【解決手段】ヘキシルアルデヒド、カリオフィレンアルコール、シンナミックアルデヒド、ジヒドロオイゲノール、ファルネソール、ジヒドロファルネソール、ヒノキチオール、イソオイゲノール、γ−ウンデカラクトン、d−リモネン、o−メトキシシンナミックアルデヒド、β−ピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、オレンジオイル、ナツメグオイル、グレープフルーツオイル等の食品香料から選ばれた少なくとも一種以上を含有する香料組成物およびそれらを口腔用組成物に含有させる。【選択図】      なし


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