生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_発光を利用した光触媒基体の検査方法
出願番号:2002168864
年次:2004
IPC分類:7,G01N21/78,B01J35/02,G01N31/10


特許情報キャッシュ

阿部 真治 JP 2004012383 公開特許公報(A) 20040115 2002168864 20020610 発光を利用した光触媒基体の検査方法 日本曹達株式会社 000004307 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 岡 晴子 100118957 阿部 真治 7 G01N21/78 B01J35/02 G01N31/10 JP G01N21/78 C B01J35/02 J G01N31/10 5 OL 9 2G042 2G054 4G069 2G042AA04 2G042BC04 2G042BE10 2G042CA10 2G042CB06 2G042DA03 2G042DA07 2G042DA08 2G042DA09 2G042EA20 2G042FA05 2G042FA13 2G042FB02 2G042HA07 2G054AA02 2G054AB10 2G054BB10 2G054CE03 2G054EA01 2G054GB04 4G069AA20 4G069BA48A 4G069DA05 4G069FA03 4G069FB13 4G069FB23 4G069FB80 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、発光を利用した光触媒基体の検査方法に関し、より詳しくは、安全性に優れ、安価かつ簡便な、光触媒基体への光触媒コーティング剤の塗漏れを検出することができる発光を利用した検査方法に係わる。【0002】【従来の技術】従来から、特定の波長の光を照射することによりエネルギーを吸収又は放出することに伴い酸化還元反応を生じさせる種々の光触媒が知られている。光触媒は酸化チタン等の半導体で構成され、そのバンドギャップに相当するエネルギーを有する特定の波長の光が照射されると、励起状態となり酸化還元反応を生じさせる。このような光触媒は、基材上に担持され、光の照射によって誘発される酸化還元作用により日常の生活環境で発生する有害物質、悪臭成分の分解、浄化、殺菌等の機能を基体に付与するために用いられている。また、基材上に光触媒コーティング剤を塗布して光触媒層を形成する際、光触媒と共に色素を含有する光触媒コーティング剤を用い、光の照射によって誘発される光触媒の酸化還元作用による色素の還元酸化によって、光触媒層に発現する変色、脱色、あるいは着色等により、光触媒コーティング剤の塗漏れを検出することが知られている。【0003】このような視覚変化により容易に塗漏れを検出することができる方法の一つとして硝酸銀を用いる検出方法がよく知られている。この方法は、光の照射により生じた光触媒の還元作用によって無色の銀カチオンが還元されて金属銀となり、かかる金属銀が光触媒を含有する表面層上に析出し表面層の黒色によって光触媒を含有する表面層の存在を確認する定性分析を利用したものであり、具体的には、硝酸銀水溶液を注いだ容器に、光触媒を含有する被検査体を沈め、上方からブラックライトを照射して光触媒の酸化還元作用により被検査体に接触する水溶液中の銀カチオンを金属銀として被検査体上に析出させ、取り出した被検査体について黒変の有無により被検査体の欠損部を検出する方法である。【0004】かかる硝酸銀を用いる検出方法は、光触媒の還元作用を利用した試験方法であり、可塑剤等の被酸化物を多く含有する塩ビ系シート上に形成された光触媒層の場合には、0.1Nの硝酸銀水溶液を用いたときでも、2mW/cm2の紫外線の2分間照射により明確な発色が見られるが、可塑剤等の被酸化物を殆ど含まないペットフィルム上に形成された光触媒層の場合には、1Nの硝酸銀水溶液を用いたときでも、上記強度の紫外線を10分間照射する必要があった。また、硝酸銀を用いる試験方法は光触媒層が形成されている部分と、塗漏れ部分とを明確に判別することができ簡便であるが、硝酸銀が高価であるため、抜取試験を余儀なくされ、また、抜取試験の被試験体数を増やすと経費がかさむなどの問題点も指摘されていた。【0005】他方、化学発光法を利用した検出方法として、特開2000−356598号公報には、遷移金属元素と含窒素芳香族系配位子との錯体及び/又は希土類元素の硝酸アンモニウム塩を酸化して、遷移金属元素及び/又は希土類元素の酸化数を増加させ、次いで、得られた酸化体と固体酸化剤で酸化した試料とを接触させて化学発光せしめることにより試料中の化学発光原因物質及び/又は化学発光原因物質の前駆体物質を検出する化学発光を利用した検出方法等が開示され、化学発光法を利用して、種々の化学発光原因物質や化学発光原因物質の前駆体物質を高感度、簡便且つ迅速に検出し、必要に応じて連続的且つ自動的にも検出できる方法及び装置が記載されている。【0006】また、特開平5−34330号公報には、合成高分子にルミノールまたはその誘導体が共有結合により固定化されている化学発光検出用充填剤等が開示され、高速液体クロマトグラフィーにおいてルミノールを用いた化学発光検出法による過酸化水素または化学発光触媒物質の分析法を、簡便化し経済性を高めるとともに、安定な測定を可能にする分析方法が記載されており、特開2001−281150号公報には、硝酸イオン、亜硝酸イオンの中から選ばれる少なくとも一種類の窒素酸化物イオンを含む溶液に紫外線を照射した後、化学発光性2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物と接触させ、化学発光を生じさせる窒素酸化物イオンの検出方法が開示され、簡便且つ高感度で連続的に窒素酸化物イオンを測定できる窒素酸化物イオンの検出方法が記載されている。【0007】その他、特開平2001−246264号公報には、TiO2微粒子に遷移金属を添加してなる光触媒等が開示され、遷移金属がPt,Pd,Ru,Ir,Rhの貴金属、Fe,Ni,Co,Cu,V,Mnのいずれか一種であり、都市ゴミ焼却炉等から排出される排ガス、排水中のダイオキシン等の有害ハロゲン化物を分解する光触媒の製造方法が記載されている。【0008】しかしながら、上記特開2000−356598号公報記載の発明は、遷移金属元素と含窒素芳香族系配位子との錯体により、アミン類、ジケトン類、チアゾール類の化学発光原因物質を検出する方法に関するものであり、特開平5−34330号公報記載の発明は、ルミノールにより過酸化水素又は重金属類及びそれらの塩、錯体等の化学発光触媒物質の分析方法に関するものであり、特開2001−281150号公報記載の発明は、窒素酸化物をイオンの状態で検出可能とする方法に関するものであり、また特開平2001−246264号公報記載の発明は、ダイオキシン等のハロゲン化芳香族化合物等を分解するために遷移金属が添加された酸化チタンに関するものであり、これら公報をはじめとして従来、光触媒の酸化作用により酸化され発光が促進される種々の化合物を利用した光触媒の検出方法は知られていなかった。【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、容易に酸化されて発色する各種化合物を用いて、光触媒層が形成されている部分と、光触媒コーティング剤(塗布液)の塗漏れ部分とを明確に判別することができ、短時間で光触媒コーティング剤の塗漏れ部分の検査を簡便かつ低コストで行なうことができる光触媒基体の検査方法を提供することにある。【0010】【課題を解決するための手段】上記のように、硝酸銀を用いて光触媒含有被検査体の光触媒コーティング剤の塗漏れ部分の検出を行なう方法は、光触媒層に被酸化物が含有されない場合は、検出に時間を要し、また、硝酸銀自体が高価である等の点で必ずしも有利なものではなかった。そこで、硝酸銀に代わる試験方法として、ルミノール反応に代表される化学発光に着目し、光の照射により活性化された光触媒の酸化作用による発色の有無について試験を行なった。そして、光触媒コーティング剤を塗布した光触媒基体に発光物質を含有する溶液を接触させたところ、光触媒コーティング剤が塗布されている部分では発光が認められ、塗布されていない部分で発光が認められず、塗漏れを検出することができることを見い出し説明を完成するに至った。【0011】即ち、本発明は、基材上に光触媒層が担持されている光触媒基体に、酸化されることにより発光する物質を含む溶液を接触させることを特徴とする発光を利用した光触媒基体の検査方法(請求項1)や、基材上に光触媒層が担持されている光触媒基体に、ルミノール、ルシゲニン、ルシフェリン、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)及びアントラセン、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)及びテトラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)及びアントラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)及びテトラセンを含む溶液を接触させることを特徴とする発光を利用した光触媒基体の検査方法(請求項2)に関し、好ましくは、塗布、浸漬、スプレー塗布のいずれかの方法により接触させることを特徴とする請求項1または2記載の発光を利用した光触媒基体の検査方法(請求項3)や、光触媒層が、酸化促進作用を有する金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の発光を利用した光触媒基体の検査方法(請求項4)や、金属化合物が銅化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の発光を利用した光触媒基体の検査方法(請求項5)に関する。【0012】【発明の実施の形態】本発明の発光を利用した光触媒基体の検査方法は、基材上に光触媒層が担持されている光触媒基体に、酸化されることにより発光する物質(以下、発光物質と称す。)を含む溶液を接触させる方法であれば特に制限されるものではなく、上記光触媒層に含有される光触媒は、光照射により酸化還元作用を生じさせるものであればいずれのものであってもよい。かかる光触媒としては、TiO2、ZnO、SrTiO3、CdS、Cd0、CaP、InP、In2O3、CaAs、BaTiO3、K2NbO3、Fe2O3、Ta2O5、WO3、SaO2、Bi2O3、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、MoS2、MoS3、InPb、RuO2、CeO2等を挙げることができるが、これらの中でも酸化チタンが好ましく、酸化チタンは粒子状又は粉末状の形態で、あるいはゾル状の形態で使用することができる。酸化チタンのうちでも、特にアナターゼ型酸化チタンは優れた光触媒作用を有するため好ましい。かかる光触媒としては市販のものを用いることができる。【0013】上記光触媒層には、発光物質の酸化促進作用を有する金属化合物が含有されていることが好ましい。かかる金属化合物としては、光が照射されて活性化された光触媒の酸化作用を促進させる金属化合物であれば、いずれの金属化合物であってもよく、光触媒と金属化合物の酸化作用が相俟って発光物質の酸化が促進される。かかる金属化合物のうち、還元性、安全性、環境汚染、入手容易性、取扱い容易性等の点で、銅、鉄(II)、鉄(III)、ニッケル、マンガン等の金属の化合物を好適に挙げることができる。これらの金属の化合物として、硝酸塩、亜硝酸塩、塩酸塩、ハロゲン化金属塩、リン酸塩、炭酸塩等いずれの化合物を挙げることができるが、光触媒の活性を低下させる可能性のある硫酸塩、ジオキソ硫酸塩等の硫黄酸化物の塩として含有させるよりも、上記のように硝酸塩、亜硝酸塩等として光触媒層に添加することが好ましい。かかる金属化合物は、基体の材質や光触媒の種類等との関連において1種又は2種以上適宜選択され、光触媒層に光触媒の含有量に対して、金属酸化物態様で0.05〜2重量%の範囲で含有させることが好ましく、特に、0.05〜0.2重量%の範囲で含有させることがより好ましい。【0014】上記光触媒層に含有される光触媒や金属化合物以外の物質として結着剤等を挙げることができ、結着剤としては、水ガラス、コロイダルシリカ、セメント等の無機系及びフッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー等の有機系からなる光触媒によって分解されにくい結着剤を好適に例示することができる。さらに、上記光触媒層には、光触媒作用による劣化を抑制する目的で、光安定剤及び/又は紫外線吸収剤等を混合することができ、光安定剤及び/又は紫外線吸収剤等が混合されることにより光触媒層の耐久性を向上させることができる。使用できる光安定剤としては、ヒンダードアミン系等を使用することができ、紫外線吸収剤としてはトリアゾール系紫外線吸収剤等を使用することができる。これらの添加量は、基体の材質、光触媒の種類等により適宜選択することができ、有機高分子樹脂の基体の場合、基体の組成物全体に対して、0.005〜10重量%等とすることができる。また、光触媒層中の光触媒により劣化を受けやすい樹脂基材の場合は、光触媒層と基材との間に光触媒に対する保護層を設けることが好ましい。【0015】上記光触媒基体の基材の材質としては特に制限されるものではなく、有機高分子樹脂、ゴム、木、紙等の有機材質、セラミックス、ガラス等の無機材などを挙げることができ、上記有機高分子樹脂としては、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、メチルメタクリレート樹脂(アクリル樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を具体的に例示することができる。また、基材の大きさや形は制限されず、シート状、ハニカム状、ファイバー状、ビーズ状、発砲状やそれらが集積したものでもよく、塗膜であってもよい。更に、紫外線を通過する基体であればその内面に光触媒体を適用できる。【0016】このような基材として、具体的には、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、クラフト紙、コート紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、薄葉紙、パラフィン紙、グラシン紙、アート紙、硫酸紙等の紙類、毛、絹、麻等の天然繊維、レーヨン、アセテート等の再生繊維、ナイロン、アクリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の合成繊維、アラミド等の耐熱性繊維の単独あるいは混紡繊維からなる織布、不織布、編布等の繊維硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、シリカ繊維、炭素繊維、アルミナ繊維等の複合強化遷移、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の樹脂を、硝子繊維、不織布、布帛、紙、その他各種繊維基材に含浸硬化させて複合化したいわゆるFRP板等が挙げられる。また、上記の各種素材の2種以上を接着剤あるいは熱融着等の公知の手法により積層した複合基材や、光触媒基体を少なくとも一部に有した物品であってもよい。例えば、壁紙、壁面材、窓ガラス、サッシ、窓枠類等の建築物の内外装材、ブラインド、カーテン、カーペット、ショーケース等の各種インテリア製品、眼鏡、ガラスレンズ、フロントガラス、ドアミラー、鏡等の各種ガラス製品、照明器具、照明灯、ブラックライト、テレビ、冷蔵庫、オーディオ機器、コンピュータ、パソコン、プリンタ、ファクシミリ等の電気機器、テント、傘、テーブルクロス等の日用品、箪笥、本棚、机、テーブル等の家具類、自動車、電車、飛行機、船舶等の車両の内外装材、農業用フィルム、防草シート、育苗シート等の農園芸用シート類や食品包装材料等を挙げることができる。【0017】本発明の光触媒基体の検出方法に用いる発光物質を含む溶液は、上記光触媒及び上記金属化合物の酸化作用により酸化され発光する物質を含有する溶液であれば、特に限定されるものではないが、発光物質としては、ルミノール、ルシゲニン、ルシフェリン、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)とアントラセン、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)とテトラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)及びアントラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)及びテトラセンを好適に挙げることができ、これらの発光物質は単独のみならず、適宜選択した2以上を組み合わせて使用することもできる。かかる発光物質としてのルミノールは、5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンのみでなく、6−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン等の誘導体も挙げることができる。【0018】また、本発明に適用される発光物質としてのルシゲニンは、下記式[I]に示すようにビス−N−アルキルアクリジニウム塩であり、式中、R1、R2はそれぞれ別個にアルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基等を表し、芳香族環はそれぞれアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等の置換基を有するものであってもよいが、これらの置換基のうちメチル基、エチル基等のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好適である。式中、Xで表される陰イオンとしては、いずれのものであってもよく、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等のハロゲンイオン、硝酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオン等を挙げることができるが、これらの陰イオンのなかで、特に硝酸イオンが好ましい。【0019】【化1】【0020】また、本発明に適用される発光物質としてのルシフェリンは、一般には生物に固有のルシフェラーゼ酵素の触媒作用の基質となる発光物質であり、かかる生物固有の発光物質として知られるルシフェラーゼのいずれも好適に挙げることができ、下記式[II]に示す、ホタルルシフェリン(1)やラチアルシフェリン(2)を、好ましい具体例として挙げることができる。【0021】【化2】【0022】本発明に適用される発光物質としてのシュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)若しくはシュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)及びアントラセン若しくはテトラセンとの組合せは、下記式[III]にシュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)について示すように、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)(1)又はシュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)が光触媒の酸化作用によって酸化物(2)を経由して環状ケトン(3)に変化され、かかる環状ケトンの酸化作用によりアントラセンやテトラセンが励起されて蛍光を放出する発光体である励起体(4)となることから、発光物質として適用される。かかる組合せとして、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)とアントラセン、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)とテトラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)とアントラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)とテトラセンを具体的に挙げることができる。また、このような励起体からの発光強度を強化するため、発光物質を含む溶液中にサリチル酸ナトリウムが添加されていることが好ましい。【0023】【化3】【0024】本発明に用いる発光物質を含む溶液は、かかる発光物質の水溶液のみならず、アルカリ性溶液の無機溶媒や、ベンゼン等の有機溶媒を溶媒とした溶液であってもよい。発光物質溶液の調製方法としては、発光物質をアルカリ溶液に溶解した後、ベンゼン等の溶媒に添加する方法によることができる。溶液中における発光物質の濃度は、特に限定されるものではなく、光触媒基体の材質や光触媒の種類、金属化合物等との関連において適宜選択され、0.05〜1重量%の範囲が好ましい。【0025】本発明に用いる発光物質溶液には、発光物質を含有する他、光触媒の酸化作用を阻害しない物質が溶解されていてもよい。【0026】上記発光物質溶液を光触媒基体に接触させる方法としては、塗布、浸漬、スプレー塗布等の方法を挙げることができる。上記塗布方法としては、コーテイングナイフ、バーコーター等により塗布する方法を挙げることができ、浸漬方法としては、そのまま溶液に光触媒基体を浸漬するどぶ付け等の方法を挙げることができ、スプレー塗布方法としては、スプレーガン等により水溶液を光触媒基体に噴霧する方法を挙げることができる。上記発光物質溶液を上記方法により光触媒基体に接触させ、接触は常温においてなされ、また、必要に応じて加熱することもできる。【0027】【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に制限されることなく、光触媒基体の材質や形状、水溶液中の金属イオンや還元促進化合物の種類や、その含有量等を適宜変更することができる。実施例1(光触媒基体の作製)ガラス基材上に、ディップ法により引上速度20cm/分で光触媒コーティング剤(日本曹達製「ビストレイターNRC300A」)を塗布し、100℃15分の乾燥を行なって下層を形成し、この形成した下層上に、ディップ法により引上速度20cm/分で光触媒コーティング剤(日本曹達製「ビストレイターNRC300C」)を塗布し、100℃15分の乾燥を行なって上層を形成することにより、光触媒基体を作製した。形成された光触媒層の一部を剥離し、光触媒コーティング剤の塗漏れ部分とした。【0028】実施例2(光触媒基体の作製)ガラス基材上に、ディップ法により引上速度20cm/分で光触媒コーティング剤(日本曹達製「ビストレイターNRC300A」)を塗布し、100℃15分の乾燥を行なって下層を形成し、この形成した下層上に、ディップ法により引上速度20cm/分で各種濃度の硝酸銅を添加した光触媒コーティング剤(日本曹達製「ビストレイターNRC300C」)を塗布し、100℃15分の乾燥を行なって上層を形成することにより、光触媒基体を作製した。硝酸銅は、ビストレイターNRC300Cの固形分に対して、銅換算で0.1、0.2、0.5、1wt%となるようにそれぞれ添加した。形成された硝酸銅含量を異にする光触媒層の一部を剥離し、光触媒コーティング剤の塗漏れ部分とした。【0029】実施例3(ルミノール水溶液の調製)ルミノール試薬(和光純薬工業(株)社製)0.1gを0.1Mの水酸化ナトリウム溶液100gに溶解してルミノール水溶液を調製した。【0030】実施例4(光触媒含有層の検出)実施例1及び実施例2で作製した各種光触媒基体を、光触媒層を上にしてブラックライト(松下電器産業製「SL15B−B)下に設置し、実施例3で調製したルミノール水溶液を各種光触媒層表面にもれなく塗布し、波長360nmの紫外線、強度が3mW/cm2のブラックライト光を照射したところ、いずれの光触媒層にも直ちに発色が認められたが、硝酸銅含有光触媒層の発色がより短時間で生じることが認められた。また、硝酸銅含有光触媒層の発色は、硝酸銅の含有量に拘わらず、同程度であった。なお、光触媒層を剥離した塗漏れ相当部分にはいずれにも発色が認められなかった。【0031】【発明の効果】以上説明したように、本発明の光触媒基体の検査方法によれば、容易に安価かつ簡便に、光触媒基体の光触媒コーティング剤の塗漏れ部分を検出することができる。 基材上に光触媒層が担持されている光触媒基体に、酸化されることにより発光する物質を含む溶液を接触させることを特徴とする発光を利用した光触媒基体の検査方法。 基材上に光触媒層が担持されている光触媒基体に、ルミノール、ルシゲニン、ルシフェリン、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)及びアントラセン、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)及びテトラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)及びアントラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)及びテトラセンを含む溶液を接触させることを特徴とする発光を利用した光触媒基体の検査方法。 塗布、浸漬、スプレー塗布のいずれかの方法により接触させることを特徴とする請求項1または2記載の発光を利用した光触媒基体の検査方法。 光触媒層が、酸化促進作用を有する金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の発光を利用した光触媒基体の検査方法。 金属化合物が銅化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の発光を利用した光触媒基体の検査方法。 【課題】容易に酸化されて発色する各種化合物を用いて、光触媒層が形成されている部分と、光触媒コーティング剤(塗布液)の塗漏れ部分とを明確に判別することができ、短時間で光触媒コーティング剤の塗漏れ部分の検査を簡便かつ低コストで行なうことができる発光を利用した光触媒基体の検査方法を提供する。【解決手段】発光を利用した光触媒基体の検査方法は、基材上に光触媒層が担持されている光触媒基体に、酸化されることにより発光する物質を含む溶液を接触させる方法である。発光する物質として、ルミノール、ルシゲニン、ルシフェリン、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)及びアントラセン、シュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)及びテトラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)及びアントラセン、シュウ酸ビス(2,4−ジニトロフェニル)及びテトラセンを使用する。


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