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タイトル:公開特許公報(A)_重水素化芳香族化合物の製造方法
出願番号:2002167491
年次:2004
IPC分類:7,C07C5/00,C07B59/00,C07C15/16,C07C15/18,C07C15/24,C07C15/28,C07B61/00,C07M5:00


特許情報キャッシュ

高橋 保 JP 2004010550 公開特許公報(A) 20040115 2002167491 20020607 重水素化芳香族化合物の製造方法 科学技術振興事業団 396020800 小林 浩 100092783 片山 英二 100095360 小林 純子 100093676 黒田 薫 100112726 廣瀬 隆行 100116850 古橋 伸茂 100114409 高橋 保 7 C07C5/00 C07B59/00 C07C15/16 C07C15/18 C07C15/24 C07C15/28 C07B61/00 C07M5:00 JP C07C5/00 C07B59/00 C07C15/16 C07C15/18 C07C15/24 C07C15/28 C07B61/00 300 C07M5:00 11 OL 12 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC84 4H006BA09 4H006BA12 4H006BA14 4H006BA37 4H039CA99 4H039CD10 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、重水素化芳香族化合物の製造方法に関し、より詳しくは、ベンゼン環を1以上含む芳香族化合物のベンゼン環に結合した水素を高い重水素化率で重水素に変換させることを特徴とする重水素化芳香族化合物の製造方法に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】重水素化化合物は、種々の特殊な用途があり、その需要は高い。しかも、重水素化率が高い重水素化化合物の提供方法が望まれていた。【0003】したがって、重水素化化合物を高い重水素化率で簡便に得ることが所望されていた。【0004】【課題を解決するための手段】即ち、本発明では、周期表第5族から第6族の遷移金属又はアルミニウムを含む金属ハロゲン化物の存在下、ベンゼン環を1以上含む芳香族化合物と、重水素化ベンゼンとを反応させ、前記芳香族化合物中のベンゼン環に結合した水素を重水素化率90%以上で重水素に変換させることを特徴とする、重水素化芳香族化合物の製造方法が提供される。【0005】本発明において、前記重水素化率が97%以上であることが好ましい。【0006】本発明において、前記金属ハロゲン化物が、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル又はアルミニウムを含有することが好ましく、前記金属ハロゲン化物が、五塩化モリブデン、五塩化ニオブ、六塩化タングステン、五塩化タンタル、又は、三塩化アルミニウムであることが更に好ましい。【0007】本発明において、前記芳香族化合物が、多環式芳香族炭化水素であることが好ましく、前記多環式芳香族炭化水素が、環集合芳香族炭化水素または縮合多環式芳香族炭化水素であることがより好ましい。【0008】本発明において、前記芳香族化合物が前記環集合芳香族炭化水素である場合、前記環集合芳香族炭化水素は、2〜10のアリール基によって置換されたC1〜C20アルカンであってもよく、また、ビフェニル、テルフェニル等のフェニレンオリゴマーであってもよい。【0009】また、本発明において、前記芳香族化合物が縮合多環式芳香族炭化水素である場合に、前記縮合多環式芳香族炭化水素が、2〜10環式縮合芳香族炭化水素であることが好ましく、ナフタレン、アントラセン、アセナフチレン、フェナントレンであることが更に好ましい。【0010】【発明の実施の形態】本発明では、金属ハロゲン化物の存在下、ベンゼン環を1以上含む芳香族化合物と、重水素化ベンゼンとを反応させ、前記芳香族化合物中のベンゼン環に結合した水素を重水素化率90%以上で重水素に変換させることを特徴とする、重水素化芳香族化合物の製造方法が提供される。【0011】本明細書において、「芳香族化合物」とは、ベンゼン環を少なくとも1つ含む化合物をいう。本発明において、芳香族化合物は、置換基が導入されていてもよい。【0012】本明細書において、「芳香族化合物」がベンゼン環を2以上含む場合は、2以上のベンゼン環が縮合していてもよく、また、2以上のベンゼン環が単結合で直結していてもよく、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を介して結合していてもよい。前記単結合または脂肪族炭化水素基は、酸素原子、式−C(=O)−で示される基、硫黄原子、式−C(=S)−で示される基、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、リン原子または式―N(B)―で示される基(式中、Bは水素原子またはC1〜C20炭化水素基である。)の1種以上によって中断されていてもよい。【0013】Bは、水素原子またはC1〜C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC1〜C7炭化水素基であることが更に好ましく、Bは水素原子、C1〜C3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であることが更になお好ましい。【0014】本明細書において、「炭化水素基」とは、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「炭化水素基」には、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C6〜C18アリール基、C6〜C20アルキルアリール基、C6〜C20アリールアルキル基、C4〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。【0015】本明細書において、「C1〜C20アルキル基」は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。【0016】本明細書において、「C2〜C20アルケニル基」は、C2〜C10アルケニル基であることが好ましく、C2〜C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。【0017】本明細書において、「C2〜C20アルキニル基」は、C2〜C10アルキニル基であることが好ましく、C2〜C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル等を挙げることができる。【0018】本明細書において、「C4〜C20アルキルジエニル基」は、C4〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4〜C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。【0019】本明細書において、「C6〜C18アリール基」は、C6〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。【0020】本明細書において、「C6〜C20アルキルアリール基」は、C6〜C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。【0021】本明細書において、「C6〜C20アリールアルキル基」は、C6〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。【0022】本明細書において、「C4〜C20シクロアルキル基」は、C4〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。【0023】本明細書において、「C4〜C20シクロアルケニル基」は、C4〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル等を挙げることができる。【0024】本発明において、「芳香族化合物」に含まれるベンゼン環は、2以上であることが好ましく、2〜10個であることがより好ましい。【0025】本発明において、「芳香族化合物」に含まれるベンゼン環の少なくとも1つは、環に結合した水素を少なくとも1つ有する。【0026】本明細書において、「芳香族化合物」としては、単環式芳香族炭化水素、多環式芳香族炭化水素等を挙げることができる。【0027】「単環式芳香族炭化水素」としては、無置換ベンゼン、置換基を有するベンゼン(たとえば、キシレン)を挙げることができる。【0028】「多環式芳香族炭化水素」としては、環集合芳香族炭化水素、縮合多環式芳香族炭化水素を挙げることができる。【0029】「環集合芳香族炭化水素」とは、2以上の芳香族炭化水素が単結合で直結している化合物、あるいは、2以上の芳香族炭化水素が置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を介して結合している化合物を挙げることができる。これらの芳香族炭化水素は、置換基を有していていもよい。【0030】「環集合芳香族炭化水素」に含まれる前記「芳香族炭化水素」としては、単環式または多環式芳香族炭化水素を挙げることができ、たとえば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、アセナフチレン、フェナントレンを挙げることができる。【0031】「2以上の芳香族炭化水素が単結合で直結している化合物」としては、たとえば、ベンゼン環を2〜20個含むフェニレンオリゴマーを挙げることができる。フェニレンオリゴマーとしては、たとえば、ベンゼン環を2〜10個含むフェニレンオリゴマーが好ましく、2〜6個含むフェニレンオリゴマーがより好ましく、ビフェニル、トリフェニル等をより好ましく挙げることができる。【0032】「2以上の芳香族炭化水素が脂肪族炭化水素基を介して結合している化合物」としては、たとえば、2〜10のアリール基によって置換されたC1〜C20アルカンを挙げることができる。【0033】「2〜10のアリール基によって置換されたC1〜C20アルカン」の「アリール基」としては、C6〜C10アリール基を挙げることができ、たとえば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルを挙げることができる。【0034】「2〜10のアリール基によって置換されたC1〜C20アルカン」の「C1〜C20アルカン」は、C1〜C10アルカンであることが好ましく、C1〜C6アルカンであることがより好ましい。C1〜C20アルカンの例としては、制限するわけではないが、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等を挙げることができる。【0035】「2〜10のアリール基によって置換されたC1〜C20アルカン」としては、2〜6のアリール基によって置換されたC1〜C20アルカンであることが好ましく、2〜4のアリール基によって置換されたC1〜C10アルカンであることがより好ましい。たとえば、1,1,2−トリフェニルエタン、ジフェニルメタン等を挙げることができる。【0036】「縮合多環式芳香族炭化水素」としては、2以上の芳香族炭化水素が縮合した化合物を挙げることができ、2〜10環式縮合芳香族炭化水素であることが好ましく、2〜6環式縮合芳香族炭化水素であることがより好ましく、2〜4環式縮合芳香族炭化水素であることが更に好ましい。これらの芳香族炭化水素は、置換基を有していていもよい。【0037】「縮合多環式芳香族炭化水素」の例としては、制限するわけではないが、ナフタレン、アントラセン、アセナフチレン、フェナントレンを挙げることができる。【0038】本明細書において、「芳香族化合物」、「脂肪族炭化水素基」、「単環式芳香族炭化水素」として挙げられた「ベンゼン」、「環集合芳香族炭化水素」が含有する「芳香族炭化水素」、および、「縮合多環式芳香族炭化水素」が含有する「芳香族炭化水素」には、置換基が導入されてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C1〜C10アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、C6〜C10アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ、ビフェニルチオ等)、C1〜C10アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル)、C6〜C10アリールオキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル)、C1〜C10アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、アセトキシ、プロパノイルオキシ)、C6〜C10アリール−カルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、1−ナフトイルオキシ、2−ナフトイルオキシ)、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、リンを含む基(例えば、アルキルホスフィノ、ジアルキルホスフィノ)、ゲルマニウムを含む基、スズを含む基、珪素を含む基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。【0039】これらの「置換基を有していてもよいカルバモイル基」および「置換基を有していてもよいアミノ基」がそれぞれ有していてもよい「置換基」としては、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などを挙げることができる。【0040】本発明の重水素化芳香族化合物の製造方法において、反応は金属ハロゲン化物の存在下で行う。【0041】本発明において、前記金属ハロゲン化物は、周期表第5族から第6族の遷移金属又はアルミニウムを含むものであり、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル又はアルミニウムを含むことが好ましい。【0042】本発明において、金属ハロゲン化物としては、たとえば、ハロゲン化モリブデン(V)、ハロゲン化ニオブ(V)、ハロゲン化タングステン(VI)、ハロゲン化タンタル(V)、ハロゲン化アルミニウム(III)を挙げることができ、五塩化モリブデン、五塩化ニオブ、六塩化タングステン、五塩化タンタル、又は、三塩化アルミニウムを好ましく挙げることができる。【0043】本発明において、金属ハロゲン化物の量は、反応させる芳香族化合物のベンゼン環に結合した水素の数を考慮して適宜決められるが、一般的には、芳香族化合物1モルに対し、0.0001モル〜5モルであることが好ましく、0.001モル〜1モルであることが更に好ましく、0.01モル〜1モルであることがより好ましい。【0044】本発明の重水素化芳香族化合物の製造方法において、金属ハロゲン化物の存在下、上記芳香族化合物と重水素化ベンゼンとを反応させる。【0045】本発明において、重水素化ベンゼンを用いて芳香族化合物中のベンゼン環の水素を重水素化する際に、所定の金属ハロゲン化物を存在させることによって、驚くべきことに、水素−重水素交換反応が平衡反応で進むことがわかった。したがって、芳香族化合物の量に比べて、過剰量の重水素化ベンゼンを反応させることにより、水素−重水素交換反応が重水素化する方向に傾き、極めて高い重水素化率で芳香族化合物の重水素化を実現することができた。【0046】本発明において、重水素化ベンゼンの量は、芳香族化合物1モルに対して、1モル以上用いることが好ましく、過剰量であることがより好ましい。特に、溶媒として重水素化ベンゼンを用いることが好ましい。【0047】反応は、反応させる化合物、金属ハロゲン化物の種類に応じて適宜決められるが、例えば、好ましくは−10℃〜300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−0℃〜200℃の温度範囲、更に好ましくは0℃〜60℃の温度範囲で行われる。圧力は、例えば、0.1バール〜2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール〜10バールの範囲内である。【0048】溶媒としては、芳香族化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン、重水素化ベンゼン等の芳香族炭化水素が用いられる。重水素化ベンゼンを用いることが特に好ましい。【0049】本発明によれば、重水素化率90%以上の重水素化芳香族化合物を得ることができ、芳香族化合物に対する重水素化ベンゼンの量を多くすることによって、容易に重水素化率を上げることができ、例えば、97%以上、あるいは99%以上の重水素化率を実現することができる。【0050】【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。【0051】すべての反応は、特に言及しない限り、乾燥した窒素雰囲気下のもとで行われた。試薬は、市販品を購入し、そのまま用いた。【0052】<金属ハロゲン化物別の重水素化率の変化>金属ハロゲン化物が重水素化率へどのくらい影響を与えるかを調べるために、様々な金属ハロゲン化物を用いて、芳香族化合物の重水素化反応を行った。出発物質としてナフタレンを用いた。金属ハロゲン化物としては、五塩化モリブデン、六塩化タングステン、五塩化ニオブ、五塩化タンタル、三塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズを使用した。【0053】反応は、以下の要領に行った。すなわち、表1に示される金属ハロゲン化物 (0.1 mmol)および6mLのC6D6の混合物を、室温にて攪拌し、得られた反応混合物に、ナフタレン(1 mmol)を加え、混合物を更に表1に示される反応時間攪拌した。3 N HClを添加して反応を終了させ、有機相をジエチルエーテルで抽出した。抽出物を、水、炭酸水素ナトリウム(20%水溶液)、水、食塩水の順に洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下、溶媒を留去し、粗生成物を得た。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、表題化合物を得た。標題化合物は、NMRによって分析を行い、重水素化率を測定した。得られた重水素化率を表1に示した。なお、表中、「MCl5〜6」のMは、金属を示す。【0054】【表1】【0055】表1から明らかなように、金属ハロゲン化物として、五塩化モリブデン、六塩化タングステン、五塩化ニオブ、五塩化タンタル、三塩化アルミニウムを用いた場合には、生成物の重水素化率が90%以上と極めて高くなることがわかった。また、金属ハロゲン化物として、五塩化モリブデン、五塩化タンタルを用いると、重水素化率が98%と更に良くなることがわかった。【0056】これに対し、金属ハロゲン化物として、四塩化チタン、四塩化スズを用いた場合は、生成物の重水素化率が極めて悪く、または全く重水素化されないことがわかった。【0057】<出発物質別の重水素化率および収率の変化>出発物質によって重水素化率や収率が異なるかどうかを調べるために、以下の実施例1〜4に示すように、様々な出発物質を用いて重水素化反応を行った。金属ハロゲン化物としては、五塩化モリブデンを使用した。【0058】実施例11,1,2−デューテロトリフェニルエタン五塩化モリブデン(0.1 mmol)および10mLのC6D6の混合物を、室温にて攪拌し、得られた反応混合物に、1,1,2−トリフェニルエタン (1 mmol)を加え、混合物を24時間攪拌した。3 N HClを添加して反応を終了させ、有機相をジエチルエーテルで抽出した。抽出物を、水、炭酸水素ナトリウム(20%水溶液)、水、食塩水の順に洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下、溶媒を留去し、粗生成物を得た。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、表題化合物を得た。標題化合物は、NMRによって分析を行い、重水素化率を測定した。GC収率53%、単離収率42%、重水素化率98%。【0059】実施例2デューテロナフタレン実施例1と同様の操作を行った。ただし、C6D6は6mL使用した。また、攪拌時間を1時間とした。GC収率81%、重水素化率97%。【0060】実施例3デューテロアントラセン実施例1と同様の操作を行った。ただし、C6D6は7mL使用した。GC収率71%、重水素化率96%。【0061】実施例4デューテロジフェニルメタン実施例1と同様の操作を行った。ただし、C6D6は7mL使用した。GC収率79%、単離収率65%、重水素化率96%。【0062】出発物質、反応条件、収率および重水素化率を表2に示す。【0063】【表2】【0064】表2から明らかなように、出発物質にかかわらず、高い重水素化率の重水素化芳香族化合物を得ることができた。【0065】【発明の効果】本発明の方法によれば、ベンゼン環に結合した水素を極めて高い率で重水素化した重水素化芳香族化合物を得ることができる。 周期表第5族から第6族の遷移金属又はアルミニウムを含む金属ハロゲン化物の存在下、ベンゼン環を1以上含む芳香族化合物と、重水素化ベンゼンとを反応させ、前記芳香族化合物中のベンゼン環に結合した水素を重水素化率90%以上で重水素に変換させることを特徴とする、重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記重水素化率が97%以上である請求項1に記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記金属ハロゲン化物が、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル又はアルミニウムを含有することを特徴とする請求項2に記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記金属ハロゲン化物が、五塩化モリブデン、五塩化ニオブ、六塩化タングステン、五塩化タンタル、又は、三塩化アルミニウムであることを特徴とする請求項3に記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記芳香族化合物が、多環式芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記多環式芳香族炭化水素が、環集合芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項5に記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記環集合芳香族炭化水素が、2〜10のアリール基によって置換されたC1〜C20アルカンであることを特徴とする請求項6に記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記環集合芳香族炭化水素が、フェニレンオリゴマーであることを特徴とする請求項6に記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記多環式芳香族炭化水素が、縮合多環式芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項5に記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記縮合多環式芳香族炭化水素が、2〜10環式縮合芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項9に記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 前記縮合多環式芳香族炭化水素が、ナフタレン、アントラセン、アセナフチレン、又はフェナントレンであることを特徴とする請求項10に記載の重水素化芳香族化合物の製造方法。 【課題】高い重水素化率の重水素化芳香族化合物を簡便に提供する。【解決手段】周期表第5族から第6族の遷移金属又はアルミニウムを含む金属ハロゲン化物の存在下、ベンゼン環を1以上含む芳香族化合物と、重水素化ベンゼンとを反応させ、前記芳香族化合物中のベンゼン環に結合した水素を重水素化率90%以上で重水素に変換させることにより上記課題を解決する。【選択図】   なし


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