生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_N,N−ジメチルホルムアミド含有廃水の処理方法
出願番号:2002153572
年次:2007
IPC分類:C02F 1/26,B01D 11/04,C02F 1/42,C07C 231/24,C07C 233/03


特許情報キャッシュ

堀内 裕志 村上 義行 中島 実 JP 3902069 特許公報(B2) 20070112 2002153572 20020528 N,N−ジメチルホルムアミド含有廃水の処理方法 帝人ファイバー株式会社 302011711 三原 秀子 100099678 堀内 裕志 村上 義行 中島 実 20070404 C02F 1/26 20060101AFI20070315BHJP B01D 11/04 20060101ALI20070315BHJP C02F 1/42 20060101ALI20070315BHJP C07C 231/24 20060101ALI20070315BHJP C07C 233/03 20060101ALI20070315BHJP JPC02F1/26 AB01D11/04 CC02F1/42 DC07C231/24C07C233/03 C02F1/26 C02F1/42 特開2002−001008(JP,A) 特開昭51−052116(JP,A) 特開昭51−070712(JP,A) 5 2003340441 20031202 8 20041119 齊藤 光子 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、溶剤や反応溶媒等に広く用いられているN,N−ジメチルホルムアミドを含む廃水を処理し、N,N−ジメチルホルムアミドを回収し、N,N−ジメチルホルムアミド含有廃水の化学的酸素要求量と全窒素濃度とを低減させる処理方法に関する。【0002】【従来の技術】N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記することがある。)は、水に可溶な有機溶媒として、工業的に広く利用されている。DMFを製造あるいは使用した工程においては、排出される廃水にDMFが含まれる場合があるが、DMFを含んだ廃水は化学的酸素要求量(以下、CODと略記することがある。)及び全窒素濃度が高く、環境汚染防止の観点から何らかの浄化処理を行う必要がある。【0003】一般的な廃水の浄化処理方法としては、微生物に分解を行わせる活性汚泥処理法があるが、DMF濃度の変化に対して極めて鋭敏であり管理が難しい上に、DMFを回収・再利用することができないという欠点がある。【0004】また、DMFを含有する廃水をそのまま燃焼する処理方法もあるが、一般に廃水中のDMF濃度は低く、燃焼過程において水分の蒸発に多大なエネルギーを要し経済的でない上に、DMFを回収することもできず、有利な方法といえない。【0005】さらに、水分を蒸留除去することにより、有機物を廃水より除去すると同時にDMFも回収する方法が知られている。この方法であれば、DMFの回収はできるものの、やはり水分の蒸発に多大なエネルギーを要し経済的でない。【0006】上記の技術が有する問題点を解消する方法として、水不溶の抽出剤を用いて、廃水中のDMFを抽出し、その後抽出剤とDMFとを蒸留分離することにより、廃水を浄化処理するとともにDMFを回収する方法が知られており、特開昭53−77006号公報には、水溶液中のDMFを置換フェノールにより抽出する方法が開示され、特開昭55−141450号公報には、ピロール、アニリン、ペンタノール等を抽出剤として、アルキルアミドを抽出する方法が開示されている。しかしながら、これらの抽出方法を用い、抽出による浄化処理を繰り返しても充分に浄化することができないという問題があった。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題を解決し、N,N−ジメチルホルムアミド含有廃水を溶剤抽出法にて処理して、該廃水のCOD及び全窒素濃度を効果的に低減させる方法を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、廃水中には、N,N−ジメチルホルムアミドの加水分解によって、ジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオンが生じており、これらの存在がCOD及び全窒素濃度の低減を妨げていたことを見出し、本発明を完成するに至った。【0009】 すなわち、本発明の目的は、 ジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種の有機化合物並びにN,N−ジメチルホルムアミドを含有する廃水の化学的酸素要求量と全窒素濃度とを低減させる処理方法であって、該廃水中の有機化合物濃度を予め0.05重量%以下となるように調整した後、溶媒抽出を実施して、廃水からN,N−ジメチルホルムアミドを除去することを特徴とする、N,N−ジメチルホルムアミド含有廃水の化学的酸素要求量と全窒素濃度とを低減させる処理方法によって達成することができる。【0010】【発明の実施の形態】以下、本発明につき、詳細に説明する。本発明の処理方法を適用しようとする処理対象廃水は、DMFと、ジメチルアミン及び/又はギ酸を含有しているものである。ここで、ジメチルアミンは廃水中でジメチルアンモニウムイオン、ギ酸は廃水中でギ酸イオンの形態で存在していてもよい。【0011】これら、ジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオンの合計濃度が0.05重量%を超える廃水に対して本発明の処理方法を適用すればよく、該濃度が0.05重量%以下の場合は本発明の処理方法を用いる必要はない。また、処理すべき廃水は、DMF、ジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオン以外の有機物及び/又は無機物を含んでいても良い。【0012】本発明の処理方法においては、上記廃水を、ジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオンの合計濃度を0.05重量%以下となるよう調整することが必要である。この調整によって、続く抽出操作による廃水の浄化効率を上げることが可能になるのである。【0013】ジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオンの合計濃度を予め0.05重量%以下となるよう調整するには、既知の種々の方法を用いることができるが、該廃水を陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂で処理することによってジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオンを廃水より除去する方法が特に好ましい。【0014】次いで、上記のようにして調整された廃水を、抽出処理して廃水を浄化するとともにDMFを回収する。抽出処理に用いる抽出剤としては、水不溶の有機溶媒ならばいずれも使用できるが、有機酸エステル、ケトン、有機ハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の有機溶媒を使用することが好ましい。【0015】ここで、抽出処理を行うための抽出装置としては、一般的に抽出処理に用いられる形式、例えばミキサーセトラー型、多孔板型、充填塔型、バッフル型、振動多孔板型、撹拌混合型等をいずれも採用することができる。また回分式、連続式いずれも採用することができる。【0016】また、1回の抽出操作では廃水が環境上の観点から要求されるCOD及び全窒素濃度までに低減できなかった場合は、適宜抽出操作を繰り返せばよい。【0017】本発明の処理方法における抽出処理に際しての抽出剤の使用量、抽出温度、抽出圧力等は特に制限はなく、浄化効率及びコストを考慮して適宜決定すれば良い。【0018】上記の抽出処理を行い、環境上の観点から決定されるCOD及び全窒素濃度以下に浄化された処理済み液は、そのまま工程外に排出することができる。【0019】本発明においては、廃水中に含まれていたDMFは抽出処理により抽出剤中に移動するが、このDMFを含む抽出剤からDMFのみを回収するには、例えば蒸留のような既知の方法で可能である。【0020】以下、図面をもって本発明の処理方法の一実施態様を具体的に説明するが本発明はこれにより何等限定を受けるものでは無い。図1は本発明の処理方法の流れを模式的に示した概略図である。まず、処理すべき廃水をポンプ(図中1)により送液して陰イオン交換樹脂を充填したジメチルアミン除去槽(図中2)に導入する。次いで陰イオン交換樹脂を充填したギ酸除去槽(図中3)に通じることにより、ジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオンの合計濃度を予め0.05重量%となるよう調整された廃水を得る。【0021】続いて調整した廃水をポンプ(図中4)により抽出装置(図中5)に導入し、他方、抽出剤を抽出剤タンク(図中12)からポンプ(図中13)により(図中5)に供給する。抽出装置(図中5)内部にて廃水と抽出剤とを向流接触させて、廃水を浄化するとともにDMFを抽出剤中に抽出する。【0022】抽出装置(図中5)から抜き出したDMFを含む抽出剤はポンプ(図中6)によりDMF回収塔(図中7)に送り、抽出剤とDMFとを蒸留分離する。DMFはDMF回収塔(図中7)の上部より抜き出され、冷却器(図中8)で凝縮させた後、回収DMFとして再利用する。一方、抽出剤は回収塔(図中7)の下部より抜き出され、ポンプ(図中9)により冷却器(図中10)を経由して抽出剤タンク(図中12)に戻し循環使用する。一方抽出装置(図中5)から抜き出した浄化された廃水は、ポンプ(図中11)を経由して排出する。【0023】【実施例】以下、実施例により本発明の内容をさらに具体的に説明するが本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。1)COD(化学的酸素要求量):常法に従い、過マンガン酸カリウム酸化滴定法によって求めた。2)DMF濃度及びジメチルアミン濃度:常法に従って、ガスクロマトグラフィー法(装置:ジーエルサイエンス株式会社製GC−380、カラム:TC−1701)によって求めた。3)ギ酸濃度:常法に従って、イオンクロマトグラフィー法(装置:株式会社日立製作所製L−5030)によって求めた。4)全窒素:常法に従って、自動窒素測定装置(装置:三菱化学株式会社製TN−110微量全窒素分析装置)によって求めた。【0024】[実施例1]N,N―ジメチルホルムアミド5.0重量%、ジメチルアミン1.0重量%、ギ酸1.0重量%を含む廃水(A)120gを、陽イオン交換樹脂(DOWEX50W×8 H型)40gに投入し2時間静置した。静置処理後、廃水を陽イオン交換樹脂と分離した。この処理廃水を廃水(B)とする。【0025】次いで、廃水(B)90gを陰イオン交換樹脂(Amberlite IR−210B OH型)30gに投入し、2時間静置した。静置処理後、廃水を陽イオン交換樹脂と分離した。この処理廃水を廃水(C)とする。【0026】廃水(C)のN,N−ジメチルホルムアミドは3.6重量%、ジメチルアミンは0.01重量%未満、ギ酸は0.02重量%であり、ジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオンの合計濃度(以下DMA+FA濃度と略記することがある。)は0.02重量%であった。【0027】次いで、廃水(C)のうち50gを分液漏斗に投入し、続いて抽出剤として塩化メチレン(試薬特級)100gを該分液漏斗に投入し、充分振とう後静置し塩化メチレン層を分離した。残った水層に対して上記の塩化メチレン抽出操作をさらに4回繰り返し、計5回の抽出操作後の、水層中のCOD及び全窒素分を測定した。同様にして、廃水(C)に対し、抽出剤として塩化メチレンから代えて、表1記載の抽出剤(安息香酸メチル、2−ヘプタノン)を使用して抽出処理を行った。以上の結果を表1に示す。【0028】[実施例2]実施例1において、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂に投入し静置する時間を各2時間から変更し、各1時間としたこと以外は、同様の操作を行った。抽出処理を実施する前のイオン交換樹脂処理廃水(C)のN,N−ジメチルホルムアミドは4.0重量%、ジメチルアミンは0.02重量%、ギ酸は0.02重量%であり、DMA+FA濃度は0.04重量%であった。結果を表1に示した。【0029】[比較例1]実施例1において、イオン交換樹脂で処理をする前の廃水(A)をそのまま抽出処理に供したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。充分な廃水の浄化効果を得ることができなかった。【0030】[比較例2]実施例1において、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂に投入し静置する時間を各2時間から変更し、各0.5時間としたこと以外は、同様の操作を行った。廃水(C)のN,N−ジメチルホルムアミドは4.5重量%、ジメチルアミンは0.22重量%、ギ酸は0.26重量%であり、DMA+FA濃度は0.49重量%であった。結果を表1に示す。【0031】【表1】【0032】【発明の効果】本発明によれば、N,N−ジメチルホルムアミド含有廃水を溶剤抽出法にて処理して、該廃水のCOD及び全窒素濃度を効果的に低減させる方法を提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明を実施するための一態様を模式的に示したフロー図である。【符号の説明】1 排水送液ポンプ2 ジメチルアミン除去槽3 ギ酸除去槽4 廃水抽出塔送液ポンプ5 抽出装置6 DMF回収塔送液ポンプ7 DMF回収塔8 冷却器9 抽出剤抜き出しポンプ10 冷却器11 浄化廃水送液ポンプ12 抽出剤タンク13 抽出剤ポンプ ジメチルアミン、ジメチルアンモニウムイオン、ギ酸及びギ酸イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種の有機化合物並びにN,N−ジメチルホルムアミドを含有する廃水の化学的酸素要求量と全窒素濃度とを低減させる処理方法であって、 該廃水中の有機化合物濃度を予め0.05重量%以下となるように調整した後、溶媒抽出を実施して、廃水からN,N−ジメチルホルムアミドを除去することを特徴とする、N,N−ジメチルホルムアミド含有廃水の化学的酸素要求量と全窒素濃度とを低減させる処理方法。 有機化合物濃度の調整を、廃水を陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂で処理することによって行う、請求項1記載の処理方法。 廃水が、さらに無機物イオンを含有する、請求項1記載の処理方法。 溶媒抽出に用いる溶媒が、有機酸エステル、ケトン及び有機ハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の有機溶媒である、請求項1記載の処理方法。 廃水から除去したN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒から回収し再利用する、請求項1記載の処理方法。


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