生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_傾斜三次元X線CT画像の再構成方法
出願番号:2002153183
年次:2008
IPC分類:G01N 23/04


特許情報キャッシュ

三澤 雅樹 イオン ティセアヌ 平嶋 龍介 若林 直浩 小泉 和人 JP 4129572 特許公報(B2) 20080530 2002153183 20020527 傾斜三次元X線CT画像の再構成方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 林 宏 100072453 財団法人日本産業技術振興協会 801000016 株式会社ユニハイトシステム 502168323 林 宏 100072453 三澤 雅樹 イオン ティセアヌ 平嶋 龍介 若林 直浩 小泉 和人 20080806 G01N 23/04 20060101AFI20080717BHJP JPG01N23/04 G01N23/00-23/227 A61B 6/00- 6/14 JSTPlus(JDreamII) 特開2003−329616(JP,A) Y.Ikeda 外2名,“A New U-centric Radioscopy System for BGA and LSI”,15th World Conference on Nondestructive Testing (WCNDT) Proceedings,2000年11月,URL,http://www.ndt.net/article/wcndt00/papers/idn383/idn383.htm 三澤 雅樹 他,“X線スライサーを用いた最新電子ボード検査(第2報)”,講演概要集,社団法人日本非破壊検査協会,2002年 5月28日,平成14年度春季,pp.117-120 3 2003344316 20031203 7 20050223 ▲高▼場 正光 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、産業用X線CT(コンピュータ・トモグラフィ)装置等において、半導体部品、プリント基板、ICチップ、半田接合部や、機械部品、複合材料、プラスチックの検査等を行うのに有効な傾斜三次元X線CT画像の再構成方法に関するものであり、特にそのアルゴリズムに特徴のある傾斜三次元X線CT画像の再構成方法に関するものである。【0002】【従来の技術】従来から知られている三次元X線CTでは、図4に示すように、回転軸の周りに回転する測定物Aに対して、その回転軸に垂直な方向からX線を投射し、投影データを収集しており、X線焦点と二次元検出器中心は、回転軸に直交する同じ水平面上に配置されていた。【0003】また、現在の三次元画像再構成方法では、Feldcampによって導出された三次元画像再構成アルゴリズムが主流となっている。このアルゴリズムでは、図4に示すように、再構成空間の座標系を(x,y,z)とし、投影角度β、二次元検出器平面の座標系をp,qとすると、物理空間内のある点(t,s,z)における吸収係数分布f(t,s,z)は、【数1】と表される。【0004】ここで、DsoはX線焦点と測定物中心までの距離、sはDsoから検出面までの距離、【数2】である。また、(p,q)座標系は検出面に固定された座標系であるが、便宜的に再構成空間(測定物の物理座標系)のz軸とp軸を重ねて考える。【0005】そして、三次元画像再構成アルゴリズムは下記のステップで実行される。1) 重み付き投影データ作成投影データPβ(p,q)にDso/(Dso2+p2+q2)1/2をかけて、重み付き投影データを作成。2) 投影データのフィルタリングフィルター関数hと重み付き投影データをp座標に関してフーリエ変換し、畳み込み演算を行う。3) 逆投影フィルター処理した重み付き投影データを、三次元再構成空間に逆投影する。【0006】しかしながら、上記のように、測定物Aの回転軸に直交する平面内にX線焦点と検出器中心を配置して撮影を行う方法では、プリントボードのように平たい測定物を撮影する場合に、測定物の一部を拡大撮影したくても、測定物の回転半径が大きいために、回転させるときにX線発生器と干渉するので、透視の拡大率を挙げることができず、また、減衰の大きな部分が平面内で重なってビームハードニングが起こり、画像のコントラストが低下する、などの問題があった。【0007】一方、測定物の回転軸に対して斜めの方向から撮影する方法にラミノグラフィがあるが、出力されるのは二次元画像データであり、三次元ではないため、高さ方向の分解能が低いものである。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題は、X線焦点と二次元検出面中心を結ぶ線が、測定物の回転中心軸と任意の角度で交わるようにし、即ち照射角度を任意に選択できるようにした傾斜三次元X線CTにおける画像の再構成を行うための方法を提供することにあり、特にその再構成のためのアルゴリズムに特徴を有する画像再構成方法を提供することにある。本発明の他の技術的課題は、平たい測定物の一部についての高拡大率三次元画像をも再構成できるようにした傾斜三次元X線CT画像の再構成方法を提供することにある。【0009】【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するための本発明の傾斜三次元X線CT画像の再構成方法は、測定物の回転軸方向に対して、90度よりも小さい角度でX線を照射し、検出した投影画像に基づいて内部構造を三次元再構成する方法であって、X線焦点と測定物の回転中心までの距離および検出面までの距離を、X線源の回転角の関数として表現し、上記X線の照射により得られた投影画像を測定物の回転軸に平行となるようにトモグラフィ角度だけ回転させて、垂直面画像に変換し、このとき、幾何学的な配置の変換と共に、画像の強度も距離に応じて変換するステップ、上記投影画像から得た投影データに重み係数を掛けて重み付き投影データを作成するステップ、フィルター関数と重み付き投影データをフーリエ変換し、畳み込み演算を行う投影データのフィルタリングのステップ、フィルター処理した重み付き投影データを、三次元再構成空間に逆投影するステップを有するアルゴリズムで上記投影画像を処理することを特徴とするものである。【0010】 上記傾斜三次元X線CT画像の再構成方法においては、デジタルラミノグラフィデータを、その二次元検出面の法線が測定サンプルの回転軸に垂直になるように画像変換し、それを傾斜三次元X線CTの画像再構成に用いる投影画像として使用することができる。 また、上記傾斜三次元X線CT画像の再構成方法は、X線焦点と二次元検出面中心を結ぶ線が、測定物の回転中心軸と任意の角度で交わるようにし、測定物の一部を拡大して画像を再構成する場合に極めて有効に適用できるものである。【0011】上記構成を有する本発明の画像再構成方法は、従来の三次元画像再構成アルゴリズムを一般化したもので、傾斜角度を任意に設定でき、それにより、電子ボードなどのように厚さの薄く平たい測定物に対しても、その一部を拡大透視して、内部構造を拡大三次元再構成することができ、また、サンプルの高さ方向に対しても平面方向と同じ空間分解能を達成し、三次元的な構造を高精度に再現することができる。【0012】【発明の実施の形態】 図1は、本発明に係る傾斜三次元X線CT画像の再構成方法のアルゴリズムにおける座標系について説明するためのもので、基本的には、測定物にその回転軸方向に対して90°よりも小さい角度θでX線を照射し、検出した投影画像に基づいて内部構造を三次元再構成するようにしている。 この傾斜三次元X線CT画像再構成のアルゴリズムでは、X線焦点と測定物の回転中心までの距離および検出面までの距離を、X線焦点が任意の軌道で走査する場合を想定して、X線源の回転角の関数として表現し、すなわち、X線がサンプル周りを回転する軌道を一般化し、Dsoおよびsを平面内の投影角度βの関数として表すことにより、傾斜配置を考慮している。傾斜配置でのDsoおよびsをそれぞれ、ρ(β) とσ(β)とおくと、吸収係数分布f(t,s,z)は以下のようになる。【0013】【数3】【0014】このアルゴリズムを用いた傾斜三次元画像再構成アルゴリズムは、以下のステップで実行される。1) 垂直面画像への変換通常、二次元検出器の周辺部分は画像の歪みが大きいので、これを緩和するために検出面中心の法線をX線焦点に向けて配置する。しかし、Feldcampのアルゴリズムに基づいているので、得られた画像をサンプル回転軸に平行となるようにp軸周りにトモグラフィ角度θだけ回転させて、Dpq’座標系の画像に変換する(図2参照)。このとき、幾何学的な配置の変換と共に、画像の強度も距離に応じて変換する。【0015】2) 重み付き投影データ作成投影データPβ(p,q)にρ(β)/(ρ(β)2+p2+q2)1/2を掛けて、重み付き投影データを作成する。3) 投影データのフィルタリングフィルター関数hと重み付き投影データをp座標に関してフーリエ変換し、畳み込み演算を行う。4) 逆投影フィルター処理した重み付き投影データを、三次元再構成空間に逆投影する。【0016】上記アルゴリズムの流れを示すフローチャートを、図2に示す。【0017】上述した傾斜三次元X線CT画像の再構成方法では、トモグラフィ角度を任意に設定し、必要に応じてトモグラフィ角度を小さく取れるようにしたので、回転動作する測定物と干渉せずに、X線焦点を拡大したい領域の近くに設定することができ、このため、X線透視画像の幾何学的な拡大率が高い状態で、すべての方向からデータ収集できるようになり、高倍率の画像再構成が可能になる。更に、三次元再構成グリッドが測定サンプルの座標系に等方的に配置されるので、高さ方向に対しても、平面と同じ空間分解能を達成することができる。【0018】また、上述した傾斜三次元X線CT画像の再構成アルゴリズムは、計算の並列化による高速化と、ショートスキャン(180°+X線コーンビームの広がり角の半分のデータ)で計測時間を短縮することができる。更に、従来のラミノグラフィのデータと三次元CTのデータは別の物と考えられており、そのため、ラミノグラフィと三次元CTの画像データは互換性がないものとしてそれぞれ別個にデータ収集されてきたが、ラミノグラフィのデジタルデータを、二次元検出面の法線が測定サンプルの回転軸に垂直になるように画像変換すると、上記アルゴリズムにより三次元画像再構成が可能であり、したがって、蓄積されたラミノグラフィデータベースを有効活用することができる。【0019】次に、本発明に基づいて再構成した傾斜三次元X線CT画像と、ラミノグラフィによる再構成画像との比較を、図3を参照して説明する。同図(a)には、トモグラフィ角度が65度の場合に収集された投影データに対して本発明に係るアルゴリズムを適用し、三次元画像を再構成した例を示している。この像は、十円硬貨の表面の再構成画像で、通常の三次元X線CTのように側面からのX線投影ではX線が全く透過しないので、画像再構成は困難であったが、本発明による斜めからのX線透過像をもとに画像再構成をすると、X線の透過距離が約1/10となり、そのため、20〜30ミクロンの凹凸がある表面の模様を精度よく再現できた。同図(b)は、同様のサンプルをラミノグラフィで撮影した画像であるが、高さ方向の分解能が低く、コントラストも低いので、細かな表面形状が識別しにくくなっている。【0020】【発明の効果】以上に詳述した本発明の傾斜三次元X線CT画像の再構成方法によれば、測定物の回転軸に対して任意の方向から収集した透過画像をもとにした三次元画像再構成が可能となったので、平らな測定物の部分拡大撮影が可能となり、ビームハードニングが大幅に低下し、X線減衰の大きな部分が含まれる測定サンプルでも、その一部を拡大して良好な画像を得ることができる。また、これまで用いられてきたラミノグラフィでは、二次元面は良好に見えるが高さ方向の分解能が悪いので、全体像がつかみにくいのに対し、本発明によれば、微細な構造を三次元的に可視化することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明に係る傾斜三次元X線CT画像の再構成アルゴリズムにおける座標系についての説明図である。【図2】本発明に基づいて傾斜三次元X線CT画像を再構成する場合のアルゴリズムの流れを示すフローチャートである。【図3】(a)は本発明に基づいて再構成した傾斜三次元X線CT画像(図面代用写真)、(b)はラミノグラフィによる再構成画像(図面代用写真)である。【図4】通常の三次元X線CT画像の再構成アルゴリズムにおける座標系についての説明図である。 測定物の回転軸方向に対して、90度よりも小さい角度でX線を照射し、検出した投影画像に基づいて内部構造を三次元再構成する方法であって、 X線焦点と測定物の回転中心までの距離および検出面までの距離を、X線源の回転角の関数として表現し、上記X線の照射により得られた投影画像を測定物の回転軸に平行となるようにトモグラフィ角度だけ回転させて、垂直面画像に変換し、このとき、幾何学的な配置の変換と共に、画像の強度も距離に応じて変換するステップ、 上記投影画像から得た投影データに重み係数を掛けて重み付き投影データを作成するステップ、 フィルター関数と重み付き投影データをフーリエ変換し、畳み込み演算を行う投影データのフィルタリングのステップ、 フィルター処理した重み付き投影データを、三次元再構成空間に逆投影するステップ、を有するアルゴリズムで上記投影画像を処理する、ことを特徴とする傾斜三次元X線CT画像の再構成方法。 デジタルラミノグラフィデータを、その二次元検出面の法線が測定サンプルの回転軸に垂直になるように画像変換し、それを傾斜三次元X線CTの画像再構成に用いる投影画像として使用する、ことを特徴とする請求項1に記載の傾斜三次元X線CT画像の再構成方法。 X線焦点と二次元検出面中心を結ぶ線が、測定物の回転中心軸と任意の角度で交わるようにし、測定物の一部を拡大して画像を再構成する、ことを特徴とする請求項1に記載の傾斜三次元X線CT画像の再構成方法。


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