タイトル: | 特許公報(B2)_ヒドロキサム酸化合物 |
出願番号: | 2002123795 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 259/06,A61K 31/225,A61P 1/00,A61P 1/02,A61P 1/16,A61P 7/00,A61P 9/00,A61P 9/08,A61P 9/10,A61P 11/00,A61P 13/12,A61P 15/00,A61P 19/02,A61P 19/08,A61P 19/10,A61P 25/00,A61P 27/02,A61P 29/00,A61P 35/00,A61P 35/04,A61P 37/02,A61P 43/00 |
中山 泰秀 上垣 昭彦 小野 静香 JP 4125912 特許公報(B2) 20080516 2002123795 20020425 ヒドロキサム酸化合物 中山 泰秀 300090824 一丸ファルコス株式会社 000119472 中山 泰秀 上垣 昭彦 小野 静香 20080730 C07C 259/06 20060101AFI20080710BHJP A61K 31/225 20060101ALN20080710BHJP A61P 1/00 20060101ALN20080710BHJP A61P 1/02 20060101ALN20080710BHJP A61P 1/16 20060101ALN20080710BHJP A61P 7/00 20060101ALN20080710BHJP A61P 9/00 20060101ALN20080710BHJP A61P 9/08 20060101ALN20080710BHJP A61P 9/10 20060101ALN20080710BHJP A61P 11/00 20060101ALN20080710BHJP A61P 13/12 20060101ALN20080710BHJP A61P 15/00 20060101ALN20080710BHJP A61P 19/02 20060101ALN20080710BHJP A61P 19/08 20060101ALN20080710BHJP A61P 19/10 20060101ALN20080710BHJP A61P 25/00 20060101ALN20080710BHJP A61P 27/02 20060101ALN20080710BHJP A61P 29/00 20060101ALN20080710BHJP A61P 35/00 20060101ALN20080710BHJP A61P 35/04 20060101ALN20080710BHJP A61P 37/02 20060101ALN20080710BHJP A61P 43/00 20060101ALN20080710BHJP JPC07C259/06A61K31/225A61P1/00A61P1/02A61P1/16A61P7/00A61P9/00A61P9/08A61P9/10A61P11/00A61P13/12A61P15/00A61P19/02A61P19/08A61P19/10A61P25/00A61P27/02A61P29/00A61P29/00 101A61P35/00A61P35/04A61P37/02A61P43/00 111 C07C 259/06 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開2001−172245(JP,A) 国際公開第01/058440(WO,A1) 6 2003321435 20031111 19 20050422 福島 芳隆 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はヒドロキサム酸化合物およびそれらの非毒性塩に関する。さらに詳しくは、一般式(I)【化2】(式中、全ての記号は後記を同じ意味を表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物またはそれらの非毒性塩、その製造方法、およびそれを有効成分として含有する薬剤に関する。【0002】【発明の背景および従来技術】マトリックスメタロプロテイナーゼ(以下、MMPと略記する。)は活性中心に亜鉛(以下、Zn2+と略記する。)を有する中性メタロプロテイナーゼであり、 現在までに一次構造の異なる20種類以上の分子種が同定されている。具体的には、間質性コラゲナーゼ(MMP−1)、白血球コラゲナーゼ(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ゼラチナーゼA(MMP−2)、ゼラチナーゼB(MMP−9)、ストロムライシン1(MMP−3)、ストロムライシン2(MMP−10)、マトリライシン(MMP−7)、メタロエラスターゼ(MMP−12)等が挙げられる。【0003】MMPは、生理的状況下においてはコラーゲン、ラミニン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、エラスチン、ゼラチン等を分解することにより関節組織、骨組織、結合組織などの成長及び組織改築などに作用している。しかし、病態における各種組織の破壊は、MMPの調節機能の破綻から、MMPの発現または活性が上昇することによると考えられる。【0004】MMP阻害剤はMMPの分泌および活性が異常亢進した場合に生じる種々の疾患の予防および/または治療に有用と考えられる。例えば、リュウマチ、骨関節炎、変形性骨関節症、病的骨吸収、骨粗鬆症、歯周病、間質性腎炎、動脈硬化症、肺気腫、肝硬変、角膜損傷、角膜潰瘍、ガン細胞の転移浸潤や増殖の疾患、自己免疫疾患、白血球系の細胞の血管遊出や浸潤による疾患、血管新生、多発性硬化症、大動脈瘤、子宮内膜症、PTCA後の再狭窄、不安定狭心症、急性心筋梗塞、一過性脳虚血発作、慢性動脈閉塞症、心不全、心肥大、炎症性腸疾患等が挙げられる。【0005】WO99/19296号には、一般式(A)【化3】(式中、R1Aは−COOR10A、−CONHOR10A、−CONHNHR10A、−(CH2)nASR50Aまたは−YA−PO(OR51A)2を表わし、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7Aはそれぞれ独立して1)水素原子、2)C1〜8アルキル、3)C2〜8アルケニル、4)−OR11A、5)−SR11A、6)−NR12AR13A、7)−COR14A、8)Cyc1、9)−OR11A、−SR11A、−NR12AR13A、−COR14A、グアニジノ基またはCyc1から選ばれる基が置換したC1〜8アルキル基、または10)−OR11A、−SR11A、−NR12AR13A、−COR14A、グアニジノ基またはCyc1から選ばれる基が置換したC2〜8アルケニル基等を表わし、R8Aは水素原子、C1〜8アルキル基、C1〜8アルコキシカルボニル基等を表わし、R9Aは【化4】を表わし、【化5】は炭素環またはヘテロ環を表わし、R25Aは−EA−GAを表わし、EAは単結合、−CONR33A−、−NR33ACO−、−CO−O−、−O−CO−等を表わし、GAは水素原子、C1〜8アルキル基、Cyc4、−OR35A等を表わし、R35Aは水素原子、C1〜8アルキル基、C1〜8アルコキシ基、Cyc4またはCyc4が置換したC1〜8アルキル基を表わす。)で示される化合物がMMP阻害作用を有することが開示されている。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、マトリックスメタロプロテイナーゼ、例えばゼラチナーゼ、ストロムライシンまたはコラゲナーゼ等に対して阻害作用を有する化合物の提供が望まれている中、その目的を達成すべく鋭意研究を行なった。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、一般式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩が目的を達成することを見出した。【0008】すなわち、本発明は、一般式(I)【化6】(式中、R1は、(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル、(iii)C2〜8アルケニル、(iv)C1〜4アルコキシ(C1〜4)アルキル、または(v)フェニル(C1〜8)アルキルを表わし、R2は、(i)−COR5(基中、R5は(a)−(C1〜8アルキレン)−(R7)z(基中、R7はCOOR9を表わし、R9は水素原子を表わし、Zは1または2を表わす。)、(b)−E−(C1〜8アルキレン)−(R8)z(基中、Eは−O−または−NH−を表わし、R8はCOOR9を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)、もしくは(c)−(C1〜4アルキレン)−W−(C1〜4アルキレン)−(R8)z(基中、Wは−O−、−S−、−NH−またはフェニレンを表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)を表わす。)、または(ii)−(C1〜8アルキレン)−R6(基中、R6は(a)−W−(C1〜8アルキレン)−(R8)z(基中、全ての記号は前記と同じ意味を表わす。)もしくは(b)−W−(C1〜4アルキレン)−W−(C1〜4アルキレン)−(R8)z(基中、全ての記号は前記と同じ意味を表わす。)を表わす。)を表わし、R3およびR4はそれぞれ独立して、(i)C1〜8アルキル、(ii)C1〜8アルコキシ、(iii)C1〜8アルキルチオ、(iv)C2〜8アシル、(v)C1〜4アルコキシ(C1〜4)アルキル、(vi)ハロゲン原子、(vii)ニトロ、(viii)シアノ、(ix)NR13R14(基中、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜8アルキルを表わす。)、(x)CF3、(xi)OCF3、または(xii)COOR15(基中、R15は水素原子またはC1〜8アルキルを表わす。)を表わし、mは0または1〜4の整数を表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはそれらの非毒性塩、その製造方法、およびそれらを含有する薬剤に関する。【0009】本明細書中、C1〜8アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびそれらの異性体である。【0010】本明細書中、C2〜8アルケニル基とは、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル基およびそれらの異性体である。【0011】本明細書中、C1〜4アルコキシ(C1〜4)アルキルとは、1個のC1〜4アルコキシによって置換されたC1〜4アルキルを表わし、具体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびこれらの異性体基から選ばれる1個の基によって置換されたメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはこれらの異性体基が挙げられる。【0012】本明細書中、フェニル(C1〜8)アルキルとは、1個のフェニルによって置換されたC1〜8アルキルを表わし、具体的には、フェニルメチル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル、フェニルヘプチル、フェニルオクチルまたはこれらの異性体基が挙げられる。【0013】本明細書中、C1〜8アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシおよびこれらの異性体基である。本明細書中、C1〜8アルキルチオ基とは、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ基およびそれらの異性体である。【0014】本明細書中、C2〜8アシル基とは、エタノイル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル基およびそれらの異性体である。本明細書中、ハロゲン原子とはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子を意味する。【0015】本明細書中、C1〜4アルキレンとは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレンおよびそれらの異性体である。本明細書中、C1〜8アルキレンとは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレンおよびそれらの異性体である。【0016】本明細書中、フェニレンとは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンを意味する。【0017】本発明において【化7】は、不斉炭素の存在による異性体、具体的には、紙面の向こう側(すなわちα−配置)に結合していることを表わす【化8】紙面の手前側(すなわちβ−配置)に結合していることを表わす【化9】またはその混合物を表わす結合である。【0018】本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。【0019】本発明において、好ましい化合物としては、一般式(I−A)【化10】(式中、R2Aは−COR5を表わし、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、および一般式(I−B)【化11】(式中、R2Bは−(C1〜8アルキレン)−R6を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物が挙げられる。【0020】本明細書中、R1が表わす(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル、(iii)C2〜8アルケニル、(iv)C1〜4アルコキシ(C1〜4)アルキル、(v)フェニル(C1〜8)アルキルはいずれも好ましいが、特に好ましいR1はC1〜8アルキル、C2〜8アルケニルである。また、R1の好ましい結合の配置はβ−配置である。【0021】本明細書中、好ましいR2はR2A-1およびR2B-1である。R2A-1は、(i)−COR5A(基中、R5Aは(a)−(C1〜8アルキレン)−(R7A)zA(基中、R7AはCOOR9を表わし、ZAは1を表わす。)、(b)−EA−(C1〜8アルキレン)−(R8A)zA(基中、EAは−O−を表わし、R8AはCOOR9を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)、もしくは(c)−(C1〜4アルキレン)−WA−(C1〜4アルキレン)−(R8A)zA(基中、WAは−O−を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)。【0022】R2B-1は、−(C1〜8アルキレン)−R6A(基中、R6Aは(a)−WA−(C1〜8アルキレン)−(R8A)zA(基中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)、もしくは(b)−WA−(C1〜4アルキレン)−WA−(C1〜4アルキレン)−(R8A)zA(基中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)である。また、R2の好ましい結合の配置はβ−配置である。【0023】特に好ましいR2は、R2A-2およびR2B-2であり、R2A-2は−COR5AA(基中、R5AAは−(C1〜8アルキレン)−(R7A)zA(基中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)である。)であり、R2B-2は−(C1〜8アルキレン)−R6AA(基中、R6AAは−WA−(C1〜8アルキレン)−(R8A)zA(基中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)である。)である。【0024】本発明の具体的な化合物としては、(1)N−ヒドロキシ−5−カルボキシメチルカルボニルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、(2)N−ヒドロキシ−5−カルボキシエチルカルボニルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、またはそれらの非毒性塩が挙げられる。【0025】一般式(I)で示される化合物は、公知の方法で非毒性塩に変換される。【0026】本明細書中、非毒性塩とは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、酸付加塩等が挙げられる。塩は、毒性のない、水溶性のものが好ましい。適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。【0027】酸付加塩は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。【0028】また、一般式(I)で示される本発明化合物またはその塩は、公知の方法により溶媒和物に変換することもできる。溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)のような溶媒和物が挙げられる。【0029】一般式(I)で示される本発明の化合物は、後記するようにMMPに対して強い阻害活性を有する上に、さらに溶解性が高いという特長を有する。これに対し、WO99/19296号明細書に記載の化合物は溶解性が低かった。例えば、本発明化合物として実施例2のN−ヒドロキシ−5−カルボキシルエチルカルボニルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドを用い、比較化合物としてWO99/19296号明細書中の実施例49(255)に記載のN−ヒドロキシ−5−エトキシメトキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドを用い、局法第II液、人工胆汁、pH7.4緩衝液に対する溶解性を調べた結果は表1に示す通りであり、本発明の化合物は優れた溶解性を有することがわかった。【0030】【表1】【0031】投与方法によっては活性物質に高い溶解性が要求される。例えば、非経口投与のための注射剤、ローカルデリバリーカテーテルおよび薬剤吸着ステントを用いた投与方法が挙げられる。溶解性が低いWO99/19296号明細書中に記載の化合物をこれらの投与方法で使用することは困難であったが、本発明化合物はこれらにも大変適した化合物であると言える。【0034】【本発明化合物の製造方法】一般式(I)で示される化合物は、以下の(a)または(b)の方法により製造することができる。【0035】(a)一般式(I)で示される化合物中、R2が−COR5、アミノ酸残基またはアミノ酸誘導体残基である化合物、つまり一般式(I−A)【化12】(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物は、一般式(III)【化13】(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物と、一般式(IV)【化14】(式中、R5-1は(a)−(C1〜8アルキレン)−(R7)z(b)−O−(C1〜8アルキレン)−(R8)z、もしくは(c)−(C1〜4アルキレン)−W−(C1〜4アルキレン)−(R8)zを表わす。)で示される化合物、酸無水物、アミノ酸またはアミノ酸誘導体とエステル化反応に付すか、あるいは一般式(V)【化15】(式中、YはC1〜8アルキレンを表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物とウレタン化反応させることによって製造することができる。【0036】エステル化反応は公知であり、例えば、(1)酸ハライドを用いる方法、(2)酸無水物を用いる方法、(3)縮合剤を用いる方法等が挙げられる。【0037】これらの方法を具体的に説明すると、(1)酸ハライドを用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中または無溶媒で、酸ハライド化剤(オキザリルクロライド、チオニルクロライド等)と−20℃〜還流温度で反応させ、得られた酸ハライドを塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、アルコールと不活性有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、0〜40℃の温度で反応させることにより行なわれる。また、有機溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)中、アルカリ水溶液(重曹水または水酸化ナトリウム溶液等)を用いて、酸ハライドと0〜40℃で反応させることにより行なうこともできる。【0038】(2)酸無水物を用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中または無溶媒で、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、酸ハライド(ピバロイルクロライド、トシルクロライド、メシルクロライド等)、または酸誘導体(クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル等)と、0〜40℃で反応させて得られた混合酸無水物、または市販の酸無水物を、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、アルコールと0〜40℃で反応させることにより行なわれる。【0039】(3)縮合剤を用いる方法は、例えば、カルボン酸とアルコールを、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、または無溶媒で、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)の存在下または非存在下、縮合剤(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド(EDC)、1,1'−カルボニルジイミダゾール(CDI)、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ素、1−プロピルホスホン酸環状無水物(1-propanephosphonic acid cyclic anhydride、PPA)等)を用い、1−ヒドロキシベンズトリアゾール(HOBt)を用いるか用いないで、0〜40℃で反応させることにより行なわれる。これら(1)、(2)および(3)の反応は、いずれも不活性ガス(アルゴン、窒素等)雰囲気下、無水条件で行なうことが望ましい。【0040】ウレタン化反応は公知であり、例えば、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、0〜40℃で反応させることにより行なわれる。【0041】(b)一般式(I)で示される化合物中、R2が−(C1〜8アルキレン)−R6である化合物、つまり一般式(I−B)【化16】(式中、R2Bは−(C1〜8アルキレン)−R6を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物は、一般式(III)で示される化合物と、一般式(VI)【化17】(式中、Xは脱離基、例えば、ハロゲン原子、トシルオキシ、メシルオキシ基を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物とを、エーテル反応に付すことにより製造することができる。【0042】エーテル化反応は公知であり、例えば有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル t−ブチル エーテル等)中、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)もしくは炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)またはその水溶液あるいはこれらの混合物の存在下、0〜100℃で反応させることにより行なわれる。【0043】本発明の製造方法において、目的の化合物がカルボキシル基、水酸基またはアミノ基を有する場合、それらをふさわしい保護基で保護した化合物を各反応に付し、その後脱保護反応により保護基を除去しても構わない。【0044】カルボキシル基、水酸基またはアミノ基の保護基としては、容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載されたものが用いられる。【0045】カルボキシル基、水酸基またはアミノ基の保護基の脱保護反応は、よく知られており、例えば、アルカリ加水分解、酸性条件下における脱保護反応、加水素分解による脱保護反応、シリル基の脱保護反応、金属を用いた脱保護反応、有機金属を用いた脱保護反応等が挙げられる。その他としては、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載されたものが用いられる。【0046】式(III)で示される化合物は、WO99/19296号明細書に記載された方法により製造することができる。また、本発明における他の出発物質および各試薬は、それ自体公知であるか公知の方法により製造することができる。【0047】本明細書中の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲル、またはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフイー、薄層クロマトグラフイー、あるいはカラムクロマトグラフイー、または洗浄、再結晶等の方法により精製することができる。精製は各反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。【0048】【本発明化合物の薬理効果】一般式(I)で示される本発明化合物がMMP阻害活性を有することは、以下の実験によって証明された。【0049】ゼラチナーゼA阻害活性[実験方法]ケミコンから購入したプロゼラチナーゼA溶液に対して1/9容量の10mMのp−アミノフェニル水銀アセテート(APMA)を加えて、37℃で1時間プレインキュベーションし、酵素を活性化した。合成基質(MOCAc−Pro−Leu−Gly−Leu−A2pr(Dnp)−Ala−Arg−NH2)(130μl;最終濃15μM)および種々の濃度の被験化合物の溶液あるいは被験化合物を添加しない溶液(20μl)を37℃で5分間プレインキュベーションした。そこに、上記で調製した活性化酵素(50μl/Well)を加えて、37℃で10分間インキュベーションし、酵素反応を開始した。酵素活性は1分間あたりの蛍光強度[320nm(Ex)/390nm(Em)]の増加量で表わした。阻害活性は、酵素活性を50%阻害する試験化合物濃度で表わした。結果を表2に示す。【0050】【表2】【0051】【本発明化合物の効果】一般式(I)で示される本発明の化合物は、MMPに対して強い阻害活性を有する。さらに溶解性にも大変優れた化合物である。【0052】[毒性]本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。【0053】[医薬品への適用]本発明に用いられる、マトリックスメタロプロテイナーゼ、例えばゼラチナーゼ、ストロムライシンまたはコラゲナーゼ等に対し阻害作用を有する一般式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩は、ヒトを含めた動物、特にヒトにおいて、MMPの分泌および活性が異常亢進した場合に生じる種々の疾患の予防および/または治療に有用と考えられる。例えば、リュウマチ、骨関節炎、変形性骨関節症、病的骨吸収、骨粗鬆症、歯周病、間質性腎炎、動脈硬化症、肺気腫、肝硬変、角膜損傷、角膜潰瘍、ガン細胞の転移浸潤や増殖の疾患、自己免疫疾患、白血球系の細胞の血管遊出や浸潤による疾患、血管新生、多発性硬化症、大動脈瘤、子宮内膜症、PTCA後の再狭窄、不安定狭心症、急性心筋梗塞、一過性脳虚血発作、心不全、心肥大、炎症性腸疾患等の予防および/または治療に有用と考えられる。【0054】一般式(I)で示される化合物またはそれらの非毒性塩は、1) その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。【0055】一般式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、一般式(I)で示される化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、一般式(I)で示される化合物を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。【0056】上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、一般式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。【0057】一般式(I)で示される化合物のガン細胞の転移浸潤や増殖の疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、抗ガン剤、プロスタグランジン類、鎮痛剤等が挙げられる。【0058】一般式(I)で示される化合物のリュウマチ、骨関節炎、変形性骨関節症に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、非ステロイド系抗炎症薬、疾患修飾性抗リウマチ剤(遅効性抗リウマチ剤)、ステロイド剤、免疫抑制剤、消炎酵素剤、軟骨保護剤、T細胞阻害剤、TNFα阻害剤、プロスタグランジン合成酵素阻害剤、IL−6阻害剤、インターフェロンγ作動薬、IL−1阻害剤、プロスタグランジン類等が挙げられる。【0059】一般式(I)で示される化合物のPTCA後の再狭窄、不安定狭心症、急性心筋梗塞、慢性動脈閉塞症に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、亜硝酸薬、β遮断薬、カルシウム拮抗剤、冠血管拡張薬、抗血栓薬、抗高脂血症薬等が挙げられる。【0060】一般式(I)で示される化合物の炎症性腸疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、プロスタグランジン合成酵素阻害剤、ステロイド剤、免疫抑制剤、ロイコトリエン受容体拮抗剤、TNFα拮抗薬、接着分子阻害剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤等が挙げられる。【0061】抗ガン剤としては、例えば、アルキル化剤(塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、チオテパ、カルボコン、ブスルファン等)、ニトロソウレア誘導体(塩酸ニムスチン、ラニムスチン等)、代謝拮抗剤(メトトレキサート、メルカプトプリン、6−メルカプロプリンボシド、フルオロウラシル、テガフール、ユーエフティ、カルモフール、ドキシフルリジン、シタラビン、エノシタビン等)、抗ガン性抗生物質(アクチノマイシンD、マイトマイシンC、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、ネオカルチノスタチン、ピラルビシン、エピルビシン、イダルビシン、クロモマイシンA3、ブレオマイシン、硫酸ヘプロマイシン等)、植物性アルカロイド(硫酸ブンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン等)、ホルモン剤(リン酸エストラムスチンナトリウム、メピチオスタン、エピチオスタノール、クエン酸タモキシフェン、リン酸ジエチルスチルベストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン等)、免疫強化剤(レンチナン、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、ウベニメクス、インターフェロン等)、その他(L−アスパラギナーゼ、塩酸プロカルバジン、塩酸ミトキサントロン、シスプラチン、カルボプラチン等)が挙げられる。【0062】非ステロイド系抗炎症薬としては、例えば、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート配合、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合剤、非ピリン系感冒薬等が挙げられる。【0063】ステロイド剤としては、例えば、外用薬としては、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジフルプレドナート、プデソニド、吉草酸ジフルコルトロン、アムシノニド、ハルシノニド、デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、プロピオン酸デプロドン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、プロピオン酸アルクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、プレドニゾロン、プロピオン酸ペクロメタゾン、フルドロキシコルチド等が挙げられる。【0064】内服薬、注射剤としては、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、ブチル酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、酢酸ハロプレドン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロン、酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デキサメサゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パルミチン酸デキサメタゾン、酢酸パラメサゾン、ベタメタゾン等が挙げられる。【0065】吸入剤としては、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ST−126P、シクレソニド、デキサメタゾンパロミチオネート、モメタゾンフランカルボネート、プラステロンスルホネート、デフラザコート、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート等が挙げられる。【0066】免疫抑制剤としては、例えば、プロトピック(FK−506)、メトトレキサート、シクロスポリン、アスコマイシン、レフルノミド、ブシラミン、サラゾスルファピリジン等が挙げられる。【0067】軟骨保護剤としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。プロスタグランジン合成酵素阻害剤としては、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジン、オサラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、オキサプロジン、パーサルミド、ピプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムベータデックス、ピロキシカムシンナメート、トロピンインドメタシネート、ザルトプロフェン、プラノプロフェン等が挙げられる。【0068】プロスタグランジン類(以下、PGと略記する。)としては、PG受容体アゴニスト、PG受容体アンタゴニスト等が挙げられる。PG受容体としては、PGE受容体(EP1、EP2、EP3、EP4)、PGD受容体(DP)、PGF受容体(FP)、PGI受容体(IP)等が挙げられる。【0069】亜硝酸薬としては、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等が挙げられる。β遮断薬としては、例えば、アテノロール、ナドロール 、ニプラジロール、ピンドロール、フマル酸ビソプロロール、マレイン酸チモロール、マロン酸ポピンドロール、塩酸アセブトロール、塩酸アルプレノロール、塩酸インデノロール、塩酸オクスプレノロール、塩酸カルテオロール、塩酸セリプロロール、塩酸チリソロール、塩酸ブクモロール、塩酸ブフェトロール、塩酸ブプラノロール、塩酸プロプラノロール、塩酸ベタキソロール、酒石酸メトプロロール、硫酸ペンブトロール等が挙げられる。カルシウム拮抗剤としては、ニフェジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、ニソルジピン、ニトレンジピン、塩酸ベプリジル、ベシル酸アムロジピン等が挙げられる。【0070】冠血管拡張薬としては、塩酸トリメタジジン、ジピリダモール、塩酸エタフェノン、塩酸ジラゼプ、トラピジル、ニコランジル、ピリジノールカルバメート等が挙げられる。【0071】抗血栓薬としては、例えば、ヘパリン、経口抗凝固薬(ワーファリン)、合成抗トロンビン薬(メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、アルガトロバン等)、抗血小板薬(アスピリン、ジピリダモール、塩酸チクロピン、ベラプロストナトリウム、シロスタゾール、オザグレルナトリウム等)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、チソキナーゼ、アルテプラーゼ等)、ファクターXa阻害剤、ファクターVIIa阻害剤が挙げられる。【0072】抗高脂血症薬としては、例えば、HMG−CoAリダクターゼ阻害剤(アトルバスタチンカルシウム、プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチンナトリウム等)、陰イオン交換樹脂(コンスチラミン、コレスチポール)、ニコチン酸系製剤(ニコモール、ニセリトロール)、フィブラート系薬剤(クロフィブラート、シンフィブラート、クロフィブラートアルミニウム、ベザフィブラート、クリノフィブラート)が挙げられる。【0073】ロイコトリエン受容体拮抗剤としては、例えば、プランルカスト水和物、モンテルカスト、ザフィルルカスト、セラトロダスト、MCC−847、KCA−757、CS−615、YM−158、L−740515、CP−195494、LM−1484、RS−635、A−93178、S−36496、BIIL−284、ONO−4057等が挙げられる。【0074】一般式(I)で示される化合物と他の薬剤の重量比は特に限定されない。他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。また、一般式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。【0075】本発明で用いる一般式(I)で示される本発明化合物、または一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。【0076】投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。【0077】もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。【0078】一般式(I)で示される本発明化合物、または一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための固体組成物、液体組成物およびその他の組成物および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。経口投与のための固体組成物には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。【0079】カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。このような固体組成物においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、少なくともひとつの不活性な希釈剤、例えばラクトース、マンニトール、グルコース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸またはアスパラギン酸のような溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤または丸剤は必要により白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの胃溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。【0080】経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液体組成物においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる不活性な希釈剤(例えば、精製水、エタノール)に含有される。この組成物は、不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。【0081】経口投与のためのその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、それ自体公知の方法により処方されるスプレー剤が含まれる。この組成物は不活性な希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。【0082】本発明による非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性および/または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水および生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(登録商標)等がある。また、無菌の水性と非水性の溶液剤、懸濁剤および乳濁剤を混合して使用してもよい。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えば、ラクトース)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のような補助剤を含んでいてもよい。これらはバクテリア保留フィルターを通すろ過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、例えば凍結乾燥品の使用前に、無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶媒に溶解して使用することもできる。【0083】非経口投与のための点眼剤の剤形としては、点眼液、懸濁型点眼液、乳濁型点眼液、用時溶解型点眼液および眼軟膏が含まれる。これらの点眼剤は公知の方法に準じて製造される。例えば、点眼液の場合には、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80(商品名)、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、安定化剤(クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等)、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)などを必要に応じて適宜選択して調製される。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって調製される。【0084】非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。【0085】吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。【0086】非経口投与のためのその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される外溶液剤、軟膏、塗布剤、直腸内投与のための坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が含まれる。また、バルーンカテーテルやステントに活性物質を含有させて用いることもできる。【0087】【実施例】以下、参考例および実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。クロマトグラフィーによる分離の箇所、TLCに示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。NMRの箇所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した溶媒を示している。【0088】実施例1N−ヒドロキシ−5−カルボキシメチルカルボニルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド【化18】マロン酸(319mg)および4−ジメチルアミノピリジン(100mg)の塩化メチレン/ジメチルホルムアミド(DMF)(1/1;5ml)混合溶液に、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC;316mg)の塩化メチレン(5ml)溶液を0℃で滴下した。混合溶液を同温度で1時間撹拌し、さらに室温で3時間撹拌した。反応溶液に、N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド(500mg)の塩化メチレン/DMF(1/1;5ml)混合溶液を、氷冷下で滴下した。混合溶液を室温で一晩撹拌した。反応溶液をろ過し、ろ液を濃縮した。残渣を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)に溶解し、酢酸エチルで洗浄した。氷冷下で、1M塩酸で水層をpHに3にした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣を蒸留水(10ml)および炭酸ナトリウム(74mg)で溶解し、メンブランフィルターでろ過後、透析を行った。溶液を一昼夜撹拌し、凍結乾燥を行って以下の物性値を有する標題化合物(165g)を得た。【0089】MS:(ESI, pos, 40 V.):445(M+H)+。NMR(600 MHz, DMSO-d6):δ 1.01 (d, J = 7.00 Hz, 3H), 1.64 (m, 1H), 1.79 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.86 (d, J = 14.00 Hz, 1H), 3.02 (d, J = 14.00 Hz, 1H), 3.82 (d, J = 10.00 Hz, 1H), 4.20 (m, 1H), 4.49 (d, J = 10.00 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.50 Hz, 2H), 7.07 (m, 2H), 7.19 (tt, J = 7.50, 1.00 Hz, 1H), 7.42 (m, 2H), 7.97 (d, J = 8.50 Hz, 2H), 8.70 (s, 1H), 8.91 (d, J = 7.50 Hz, 1H), 10.58 (s, 1H)。【0090】実施例2N−ヒドロキシ−5−カルボキシエチルカルボニルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド【化19】N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド(500mg)の無水ピリジン(5ml)溶液に、無水コハク酸(280mg)の無水ピリジン(5ml)溶液を氷冷下で滴下した。混合溶液を一晩撹拌した。反応溶液に酢酸エチル(150ml)を加え、1M塩酸で洗浄し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出した。水層を1M塩酸でpH5にした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1→5:1)で精製することによって、以下の物性値を有する標題化合物(180g)を得た。【0091】MS:(ESI, pos, 40 V.):459 (M+H)+。NMR(600 MHz, DMSO- d6):δ 1.01 (d, J = 7.00 Hz, 3H), 1.59 (m, 1H), 1.71 (m, 1H), 2.17 (m, 1H), 2.43-2.50 (m, 4H), 4.01 (dd, J = 10.00, 6.50 Hz, 1H), 4.09 (dd, J = 10.00, 5.50 Hz, 1H), 4.20 (m, 1H), 7.03 (d, J = 8.50 Hz, 2H), 7.06 (m, 2H), 7.20 (tt, J = 7.50, 1.00 Hz, 1H), 7.43 (m, 2H), 7.85 (d, J = 8.50 Hz, 2H), 8.09 (d, J = 8.00 Hz, 1H), 8.68 (s, 1H), 10.38 (s, 1H), 12.16 (s, 1H)。【0098】【製剤例】製剤例1以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。・N−ヒドロキシ−5−カルボキシメチルカルボニルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ……5.0g・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ……0.2g・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ……0.1g・微結晶セルロース ……4.7g【0099】製剤例2以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mlずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル100本を得た。・N−ヒドロキシ−5−カルボキシメチルカルボニルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ……2.0g・マンニトール ……20g・蒸留水 ……500ml 一般式(I)(式中、R1は、(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル、(iii)C2〜8アルケニル、(iv)C1〜4アルコキシ(C1〜4)アルキル、または(v)フェニル(C1〜8)アルキルを表わし、R2は、(i)−COR5(基中、R5は(a)−(C1〜8アルキレン)−(R7)z(基中、R7はCOOR9を表わし、R9は水素原子を表わし、Zは1または2を表わす。)、(b)−E−(C1〜8アルキレン)−(R8)z(基中、Eは−O−または−NH−を表わし、R8はCOOR9を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)、もしくは(c)−(C1〜4アルキレン)−W−(C1〜4アルキレン)−(R8)z(基中、Wは−O−、−S−、−NH−またはフェニレンを表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)を表わす。)、または(ii)−(C1〜8アルキレン)−R6(基中、R6は(a)−W−(C1〜8アルキレン)−(R8)z(基中、全ての記号は前記と同じ意味を表わす。)もしくは(b)−W−(C1〜4アルキレン)−W−(C1〜4アルキレン)−(R8)z(基中、全ての記号は前記と同じ意味を表わす。)を表わす。)を表わし、R3およびR4はそれぞれ独立して、(i)C1〜8アルキル、(ii)C1〜8アルコキシ、(iii)C1〜8アルキルチオ、(iv)C2〜8アシル、(v)C1〜4アルコキシ(C1〜4)アルキル、(vi)ハロゲン原子、(vii)ニトロ、(viii)シアノ、(ix)NR13R14(基中、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜8アルキルを表わす。)、(x)CF3、(xi)OCF3、または(xii)COOR15(基中、R15は水素原子またはC1〜8アルキルを表わす。)を表わし、mは0または1〜4の整数を表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはそれらの非毒性塩。 R1がC1〜8アルキルであることを特徴とする請求項1記載のヒドロキサム酸化合物、またはそれらの非毒性塩。 mが0であることを特徴とする請求項1または2記載のヒドロキサム酸化合物、またはそれらの非毒性塩。 R1がメチル基であり、R3およびR4が水素原子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヒドロキサム酸化合物、またはそれらの非毒性塩。 N−ヒドロキシ−5−カルボキシメチルカルボニルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒドロキサム酸化合物、またはそれらの非毒性塩。 N−ヒドロキシ−5−カルボキシエチルカルボニルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒドロキサム酸化合物、またはそれらの非毒性塩。