タイトル: | 特許公報(B2)_ホウ酸分析方法及び分析装置と超純水製造方法及び製造装置 |
出願番号: | 2002108043 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | G01N 30/00,C02F 1/00,C02F 1/42,G01N 1/00,G01N 1/10,G01N 21/33,G01N 21/64,G01N 33/18 |
吉村 和久 邵 超英 宮崎 義信 松岡 史郎 北見 勝信 平山 順也 JP 3903831 特許公報(B2) 20070119 2002108043 20020410 ホウ酸分析方法及び分析装置と超純水製造方法及び製造装置 栗田工業株式会社 000001063 重野 剛 100086911 吉村 和久 邵 超英 宮崎 義信 松岡 史郎 北見 勝信 平山 順也 20070411 G01N 30/00 20060101AFI20070322BHJP C02F 1/00 20060101ALI20070322BHJP C02F 1/42 20060101ALI20070322BHJP G01N 1/00 20060101ALI20070322BHJP G01N 1/10 20060101ALI20070322BHJP G01N 21/33 20060101ALI20070322BHJP G01N 21/64 20060101ALI20070322BHJP G01N 33/18 20060101ALI20070322BHJP JPG01N30/00 BC02F1/00 VC02F1/42 AC02F1/42 BG01N1/00 101GG01N1/10 BG01N21/33G01N21/64 ZG01N33/18 Z G01N 30/00 C02F 1/00 C02F 1/42 G01N 1/00 G01N 1/10 G01N 21/33 G01N 21/64 G01N 33/18 特開平08−084986(JP,A) 特開2000−140631(JP,A) Analytica Chimica Acta,1991年,vol.251,p.269-274 J.Chem.Soc.,Dalton trans.,,1999年,vol.1999,p.1639-1644 Analytical Chimica Acta,1980年,vol.120,p.321-333 Analytical Chemistry,1983年,vol.55, no.9,p.1629-1631 Analyst,1988年,vol.113, no.11,p.1631-1634 Collection of Czechoslovak Chemical Communications,1975年,vol.40, no.9,p.2792-2799 7 2003302389 20031024 20 20050201 特許法第30条第1項適用 日本分析化学会第50年会 宮澤 浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、水中の極微量のホウ酸を簡易にかつ精度良く定量することができるホウ酸分析方法及び分析装置と、この分析手法を利用して陰イオン交換塔からのホウ酸の漏洩を監視するようにした超純水製造方法及び製造装置に関する。【0002】【従来の技術】従来、超純水などの水試料中の極微量のホウ素を定量する分析法としては、最も感度が高い定量法の一つであるICP−MSが広く用いられているが、この分析法はコストパフォーマンスが低く、更にオンライン或いはオンサイト分析が困難であるなどの欠点がある。そこで、吸光光度法や蛍光光度法のような比較的安価な装置を用いた高精度、迅速、簡便で実用性の高い極微量ホウ素分析のための流れ分析法の開発が望まれている。【0003】しかし、ホウ酸の形で水溶液中に存在するホウ素は、水溶液中での有機試薬との反応性が乏しく、濃硫酸中で発色を行うなど特殊な環境を必要とした。また、穏和な条件で定量が可能な反応系は、感度が必ずしも高くなかったり、ホウ酸錯体とフリー試薬のスペクトル分離性が悪いなどの多くの問題点がある。このため、従来の分析法では、蒸留や抽出などの前処理を要するものが多く、操作が煩雑で分析に長時間を必要とし、実用困難であった。【0004】ところで、クロモトロープ酸は、水溶液中において幅広いpH範囲でホウ酸と反応し、下記の如く、1:1(ホウ酸:クロモトロープ酸の組成比が1:1)錯体及び1:2錯体を生成する。【0005】【化1】【0006】クロモトロープ酸も、クロモトロープ酸とホウ酸との錯体も、紫外線吸収及び発蛍光性を示すことから、この性質を利用して、これまでに多くの微量ホウ素分析法が開発されてきた。【0007】しかし、クロモトロープ酸の吸収に基づく定量法は、遊離のクロモトロープ酸の吸光度の減少をその吸収極大波長において測定して間接的にホウ酸濃度を知る方法である。遊離の試薬の吸収極大波長において、ホウ酸錯体の吸光係数が比較的小さい性質を利用したものであるが、吸光度の減少を測定するために精度は高くない。最も有効で広く用いられている方法は、弱酸性溶液中でHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)分離した1:2錯体の紫外吸収を検出定量する方法である。しかし、この1:2錯体の生成速度が遅いため、測定を溶液中で行う限り、発色のための時間が必要であり、完全流れ分析法とするのは困難である。また、超純水のように極微量のホウ酸を含む水中のホウ酸の定量のためにも感度不足である。【0008】ところで、医薬用、食品用、飲料用、半導体用水として用いられる超純水の製造装置として、複数のイオン交換塔を直列に接続したイオン交換手段を組み込んだものがある。そして、このようなイオン交換手段におけるイオン交換塔の再生又は交換方式として、最もイオン成分濃度の高い水が導入される最前段のイオン交換塔を再生し、再生したイオン交換塔を最後段に設置するか、或いは、最前段のイオン交換塔を取り外し、最後段のイオン交換塔の更に後段に新しいイオン交換塔を設置する、所謂メリーゴーランド方式の再生又は交換方式が知られている。【0009】従来、このメリーゴーランド方式において、最前段のイオン交換塔の再生又は交換時期は、次のような基準に基いて決定されている。(1) 最前段のイオン交換塔の処理水の導電率が所定値を超えた場合(2) 採水量(通水量)が所定値を超えた場合(3) 最前段のイオン交換塔の処理水のシリカ濃度が所定値を超えた場合【0010】このようにして製造される超純水中に含まれるホウ素は、例えば半導体分野ではウェハの抵抗率に影響を与えることから、微量濃度において確実に管理することが必要である。【0011】しかしながら、ホウ素、シリカ及びその他のアニオンを含む水をイオン交換塔に通水すると、解離性の弱さ及びイオン選択性の低さのために、イオン交換塔の処理水中にはまずホウ素がリークし、その後シリカがリークするようになり、最後に他のイオンのリークで導電率が上昇する。【0012】このことからも明らかなように、採水量に基くものはもとより、従来のシリカ濃度や導電率に基くイオン交換塔の再生又は交換基準では、ホウ素のリークを確実に防止することはできず、このため、ホウ素、更にはシリカ及び導電率を十分に低減した超純水を安定に製造することはできなかった。【0013】しかしながら、ホウ素は、低濃度域では導電率に反映されにくいこと、シリカよりも先にリークしはじめること、イオン交換選択性が非常に低く、超純水のpHや他の共存イオンの影響を受けやすいことなどの理由から、従来において、ホウ素の濃度管理は困難であるとされているのが現状である。【0014】【発明が解決しようとする課題】本発明は、超純水のような極微量のホウ酸を含む水中のホウ酸を、簡易にかつ精度良く、オンサイト分析することができるホウ酸分析方法及び分析方法と、この分析手段を利用してイオン交換塔からのホウ酸の漏洩を監視することにより高純度の超純水を製造する超純水製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。【0015】【課題を解決するための手段】本発明のホウ酸分析方法は、水中のホウ酸を定量するホウ酸分析方法であって、ホウ酸と錯体形成可能な錯形成性化合物を含有する溶液を、該錯形成性化合物を吸着可能な吸着体に接触させて該錯形成性化合物を該吸着体に吸着させた後、分析対象水を該錯形成性化合物を吸着した吸着体に接触させ、次いで、該錯形成性化合物を該吸着体から脱離させるための脱離液を該分析対象水と接触した後の吸着体に接触させ、その後、該吸着体と接触した後の脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物を定量分析することを特徴とする。【0016】本発明のホウ酸分析装置は、水中のホウ酸を定量するホウ酸分析装置であって、ホウ酸と錯体形成可能な錯形成性化合物を吸着することが可能な吸着体が充填された吸着手段と、該吸着手段に該錯形成性化合物を含有する溶液を注入するための注入手段と、分析対象水を該吸着手段に注入するための注入手段と、該吸着体から該錯形成性化合物を脱離させるための脱離液を該吸着手段に注入するための注入手段と、該脱離液を該吸着体から排出するための排出手段と、該排出手段から排出された脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物を定量分析するための分析手段とを備えることを特徴とする。【0017】即ち、本発明者らは、ホウ酸・クロモトロープ酸錯体生成系について詳細な検討を行った結果、簡単な市販の装置、器具を組み合わせるだけで、ICP−MSのような高価な最先端装置を用いることなく、水中の極微量のホウ酸を、ICP−MSに匹敵する感度でオンサイト簡易分析することができるシステムを開発し、本発明を完成させた。【0018】以下に、本発明におけるホウ酸の定量分析法の原理を説明する。【0019】ホウ酸のクロモトロープ酸錯体生成系には、次のような特徴がある。▲1▼ 1:2錯体が最もモル吸光係数が大きいため、1:2錯体を定量に用いることが望ましい。しかし、フリーのクロモトロープ酸、1:1錯体及び1:2錯体の吸光スペクトルの極大波長や形は殆ど同じである。▲2▼ ホウ酸のクロモトロープ酸錯体は、次のような2段階の反応で進行するが、平衡論的には、弱酸性領域が1:2錯体の生成に有利であり、弱アルカリ性では1:1錯体の生成が優先する。なお、図2は、ホウ酸濃度=クロモトロープ酸濃度0.00185mol dm−3、イオン強度I=0.1、温度25℃におけるlog kf2とlog kd2のpH依存性を示す。【0020】【化2】【0021】▲3▼ 1:1錯体生成反応は迅速に進行するのに対し、1:2錯体生成反応速度はpHに大きく依存し、pHが低いほど反応は速くなる。錯体の分解反応速度の特徴も生成反応と同様である。▲4▼ 1:2錯体の電荷は−5価であるのに対し、フリーのクロモトロープ酸や1:1錯体は−2或いは−3価である。▲5▼ 低pH領域では1:2錯体生成の反応速度が大きいにもかかわらず、条件生成定数は下がる。従って、クロモトロープ酸大過剰の条件でのみ低pH領域において1:2錯体を迅速に生成させることができる。▲6▼ 一旦生成した1:2錯体は中性或いは塩基性の条件下でも殆ど分解せず、電荷も大きく異なるため、この条件では1:2錯体をフリーのクロモトロープ酸や1:1錯体の陰イオン交換クロマトグラフィーによる分離が可能となる。【0022】以上の特徴を最大限に活用し、本発明では、極微量ホウ酸のオンサイト流れ分析を次のように設計した。1) 図3に示す如く、陰イオン交換樹脂カラム20にオンラインでクロモトロープ酸を予め吸着させる。この吸着部位において配位子高濃度条件が達成される(図3(a))。2) 次に、低pH(例えばpH3)でこのカラム20に試料溶液を流すと、試料中のホウ酸はクロモトロープ酸吸着部位に1:2錯体として選択的に濃縮される(図3(b))。3) その後、1:2錯体の分解が殆ど進行しない弱アルカリ性の条件で段階溶離を行うと、過剰のクロモトロープ酸や1:1錯体を溶出させた後(図3(c))に、線幅の狭い溶出ピークとして1:2錯体を検出定量できる(図3(d))。【0023】従って、本発明によれば、予めクロモトロープ酸を担持させた陰イオン交換樹脂カラムに分析対象の試料を流すだけで、試料中のホウ酸を濃縮させることができ、これを溶離させて吸光度又は蛍光強度を測定することにより、容易にホウ酸を定量することができる。【0024】なお、超純水の水質のモニタリングのためには、製造ラインから取り出した100cm3程度の試料を用いて定量を行うか、製造中の超純水を連続的に取り出して液性を調整しながら直接カラムに流し、一定時間毎にオンサイト定量を行うことが好ましい。即ち、本発明の方法では、カラムに注入する試料量に、ホウ酸の回収率が影響を受けることはないため、数十cm3以上の試料を注入することにより、吸光度又は蛍光強度の感度を高め、測定精度を高めることができる。また、測定結果は、超純水中に含まれる溶存成分に影響を受けることもないため、超純水を直接カラムに注入するのみで、定量が可能である。【0025】また、濃縮、分離をできるだけ短時間で行うためには、イオンクロマトグラフィー用の低交換容量のカラムを用いるのが好ましい。【0026】このようなことから、クロモトロープ酸のような高電荷の配位子を吸着した陰イオン交換樹脂カラムを錯形成の反応場とし、錯形成反応のpH依存性を利用してクロマトグラフィー分離して定量する本発明の方法は、ICP−MSのような高価な最先端装置を必要とすることなく、簡単な市販の装置、器具を組み合わせるだけで、ICP−MSに匹敵する感度で水中の極微量のホウ酸のオンサイト簡易分析が可能である。【0027】本発明の超純水製造方法及び製造装置は、このような本発明のホウ酸分析方法及び分析装置を利用したものであり、本発明の超純水製造方法(請求項5)は、陰イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔を備えたイオン交換手段に被処理水を通水して脱イオン処理することにより超純水を製造する方法であって、該イオン交換塔から流出する脱イオン水の一部を、ホウ酸と錯形成可能な錯形成性化合物を吸着した吸着体に接触させ、その後、該錯形成性化合物を脱離させるための脱離液を該吸着体に接触させ、該錯形成性化合物が脱離した後の脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物の濃度を測定することにより、該脱イオン水中のホウ酸濃度を求め、この結果に基いて、該イオン交換塔からのホウ酸の漏洩を監視することを特徴とする。【0028】また、本発明の超純水製造方法(請求項6)は、陰イオン交換樹脂が充填されたイオン交換塔が複数個直列に接続されたイオン交換手段に被処理水を導入して超純水を製造する方法において、該イオン交換手段の最終段のイオン交換塔の直前のイオン交換塔から流出する処理水の一部を、ホウ酸と錯形成可能な錯形成性化合物を吸着した吸着体に接触させ、その後、該錯形成性化合物を脱離させるための脱離液を該吸着体に接触させ、該錯形成性化合物が脱離した後の脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物の濃度を測定することにより該処理水中のホウ酸濃度を求め、該ホウ酸濃度がホウ素濃度換算で、該イオン交換手段の処理水のホウ素濃度保証値の10倍となったとき又はその前、或いは該処理水のホウ素濃度の80%となったとき又はその前に、該イオン交換手段の最前段のイオン交換塔を再生するか、或いは該最前段のイオン交換塔を取り除くとともに新たなイオン交換塔を接続することを特徴とする。【0029】本発明の超純水製造装置は、陰イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔と、該イオン交換塔のホウ酸の漏洩を監視するための監視手段とを備えた超純水製造装置であって、該監視手段が、ホウ酸と錯体形成可能な錯形成性化合物を吸着することが可能な吸着体が充填された吸着手段と、該吸着手段に該錯形成性化合物を含有する溶液を注入するための注入手段と、前記イオン交換塔から流出する脱イオン水の一部を該吸着手段に注入するための注入手段と、該吸着体から該錯形成性化合物を脱離させるための脱離液を該吸着手段に注入するための注入手段と、該脱離液を該吸着体から排出するための排出手段と、該排出手段から排出された脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物を定量分析するための分析手段とを備えることを特徴とする。【0030】【発明の実施の形態】以下に本発明のホウ酸分析方法及び分析装置と超純水製造方法及び製造装置の実施の形態を詳細に説明する。【0031】まず、図1を参照して本発明のホウ酸分析方法及び分析装置の実施の形態を説明する。図1は本発明のホウ酸分析方法及び分析装置の実施の形態を示す系統図である。図1において、20A,20Bは陰イオン交換樹脂カラムであり、P1,P2はポンプ、21は吸光度検出器、22は記録計であり、V1,V2は流路切替バルブ、V3,V4,V5は六方バルブである。この分析装置では、濃縮と分離とを平行して行うことができるように、2本の陰イオン交換樹脂カラム20A,20Bとが設けられているが、陰イオン交換樹脂カラムは1本のみであっても良く、3本以上であっても良い。【0032】試料中のホウ酸の定量分析は次のような手順で実施する。[ホウ酸の定量分析手順](1) ポンプP1により、pH3のギ酸緩衝溶液を常にホウ酸の濃縮を行うカラム(例えばカラム20A)に送給しておき、六方バルブV3により所定量のクロモトロープ酸(pH3のギ酸緩衝溶液)を注入し、カラム20Aにクロモトロープ酸を吸着させる。このようにクロモトロープ酸をカラム20Aに注入することにより、クロモトロープ酸は定量的にカラム20Aの陰イオン交換樹脂に吸着される。カラム20Aの流出水は系外へ排出する。【0033】なおこのギ酸緩衝溶液のpHは3に限らずクロモトロープ酸が陰イオン交換樹脂に吸着する酸性及びイオン強度であれば良いが、1:2錯体が生成し易い条件であれば、下記(2)でも同じ溶液を使用することができるため特に好ましく、通常はpH1〜5、好ましくはpH2〜4程度とされる。【0034】また、この緩衝溶液はギ酸緩衝溶液に限らず通常使用できる緩衝溶液が使用でき、具体的にはフタル酸緩衝溶液、クエン酸緩衝溶液、酒石酸緩衝溶液であっても良く、10−3mol dm−3程度の塩酸、硝酸溶液であっても良い。【0035】また、カラム20Aに吸着させるクロモトロープ酸の量は、試料中のホウ酸と反応して錯体を形成させるクロモトロープ酸の理論量よりも十分に多い量であり、通常は試料中のホウ酸に対して50〜10000モル倍程度とされる。なお、クロモトロープ酸は水中に微量に存在するホウ素以外の金属(例えば、鉄など)によっても発色するため、試料中に微量金属が存在する場合には、マスキング剤としてEDTA等を試料中に添加しておく。超純水を試料とする場合には、このような金属は殆ど含まれていないため、マスキング剤は不要である。【0036】(2) 次に、六方バルブV4により▲1▼のギ酸緩衝溶液と同じpHに調整した試料を注入してカラム20Aに流し、カラム20Aの陰イオン交換樹脂に吸着されたクロモトロープ酸と試料中のホウ酸とを反応させて、1:2錯体を生成させる(ホウ酸の濃縮分離)。カラム20Aの流出水は系外へ排出させる。【0037】(3) 次に、切替バルブV1,V2で流路を切り替え、ポンプP2によりpH8の0.05mol dm−3NaClO4溶液をカラム20Aに通水して、過剰のクロモトロープ酸と微量生成した1:1錯体を脱離させ、その後、六方バルブV5より0.2mol dm−3NaClO4溶液を注入してカラム20Aに送給し、カラム20Aの陰イオン交換樹脂に吸着している1:2錯体を脱離させる。脱離液を吸光度検出器21で吸光度(350nm)測定した後系外へ排出する。この吸光度測定クロマトグラムにおける1:2錯体のピーク高さ又はピーク面積により、生成した1:2錯体を定量し、この結果から試料中のホウ酸量を求めることができる。【0038】なお、この脱離液のpHはpH8に限らずpH6〜9の範囲であれば良い。【0039】また、この脱離液としては、NaClO4溶液の他Na2SO4、K2SO4などの硫酸塩やNa2S2O3であっても良く、その濃度は脱離液の種類により異なるがクロモトロープ酸及び1:1錯体の脱離のためには、NaClO4で0.05〜0.10mol dm−3程度、1:2錯体の脱離のためには0.15mol dm−3程度以上とするのが好ましい。【0040】なお、上記▲3▼のカラム20Aの脱離工程では、カラム20Bにおいて、上記▲1▼,▲2▼の濃縮分離工程を同時に行うことができる。【0041】本発明において、ホウ酸と錯体形成可能な錯形成性化合物としては、陰イオン交換樹脂等の吸着体との吸着基となるスルホ基(又はその塩型基)を2個以上有し、近接位にホウ酸との配位子となるOH基を有するものであれば適用可能であり、これらの中でも、ホウ酸錯体が発色又は蛍光を示すものが光学的な分析手段の適用が可能であることから好ましい。このような錯形成性化合物としてはクロモトロープ酸の他、下記構造式で表されるタイロン等を用いることができる。【0042】【化3】【0043】また、吸着体としては陰イオン交換樹脂の他、陰イオン交換膜等を用いることができる。【0044】なお、クロモトロープ酸のpKalは5.4であり、平衡論的に1:2錯体生成に適するpH範囲は4〜5である。しかし、図4に示したように、pH3付近でもっとも錯体生成が進行し、pHの低い側では錯体生成平衡が主に反応を支配し、高い領域では速度論が主に反応を支配している。従って、pHは3とすることが最も好ましい。なお、図4は1μmolのクロモトロープ酸を吸着させた陰イオン交換樹脂カラムに100ppbのホウ酸溶液2cm3を温度を変えて注入して上述の方法で吸光度を測定した場合のpHと吸光度測定クロマトグラムの1:2錯体のピーク高さ(フルスケール1AU.=20cm)との関係を示すものである。【0045】また、図4より明らかなように、カラム温度を上げると感度は上昇する。このことは、錯体形成に速度論が関与することを示唆している。試料中のホウ酸の回収率は100%ではないことが予想されるため、感度の観点からは、反応温度の高いことが望ましいが、高温では気泡が発生しやすいため、30〜50℃とするのが好ましい。【0046】このような本発明のホウ酸分析方法及び分析装置は、超純水中の極微量のホウ素のモニタリング、海水淡水化用逆浸透膜処理水中の微量ホウ素のモニタリング(環境監視項目としてのホウ素のモニタリング)、鉄鋼中のホウ素の分析等に有効に適用することができるが、何らこれらに限定されるものではない。【0047】次に、図5を参照して本発明の超純水製造方法及び製造装置の実施の形態を詳細に説明する。図5は本発明の超純水の製造装置及び超純水の製造方法の実施の形態を示す系統図である。【0048】この超純水の製造装置では、原水タンク1に市水や工水、井水、河川水、湖沼水等の原水を受け入れ、ポンプ2で加圧し、熱交換器3で水温を調整した後、限外濾過(UF)膜分離装置4で懸濁物質等を除去し、次いで脱気膜装置5でガス成分を除去した後、活性炭塔6で残留塩素、遊離塩素を除去する。その後、ポンプ7で再度加圧し、逆浸透(RO)膜分離装置8でイオン成分を除去し、更に電気脱イオン装置9で処理して純水を得る。得られた純水をイオン交換手段10で処理して更にイオン成分を除去し、超純水を得る。【0049】図5の超純水の製造装置では、イオン交換手段10として、2塔のイオン交換塔10A,10Bを直列に接続したものを用い、図5(a)に示す如く、電気脱イオン装置9の処理水をイオン交換塔10A,10Bに順次通水して2段イオン交換処理を行う。そして、前段側のイオン交換塔10Aの処理水のホウ素濃度を、前述の本発明のホウ酸分析装置50により求め、この処理水のホウ素濃度が後述のホウ素濃度管理値となったときに、前段側のイオン交換塔10Aを再生し、図5(b)に示す如く、イオン交換塔10B,10Aの順で通水すると共に、イオン交換塔10Bの処理水のホウ素濃度をホウ酸分析装置50で測定する。そして、イオン交換塔10Bの処理水のホウ素濃度が、後述のホウ素濃度管理値となったときにイオン交換塔10Bを再生し、図5(a)に示す如く、イオン交換塔10A,10Bの順で通水する。以後、同様にこの操作を繰り返す。或いは、このようにイオン交換塔を再生する代りに、前段側のイオン交換塔を取り外し、新しいイオン交換塔又は再生済のイオン交換塔を後段側のイオン交換塔の更に後段に設置する。【0050】このホウ素濃度管理値は、例えば、▲1▼ イオン交換手段の処理水のホウ素濃度保証値の10倍以下又は▲2▼ イオン交換手段の被処理水のホウ素濃度の80%以下とすることができる。上記▲1▼,▲2▼のいずれのホウ素濃度管理値方式を採用するかは、プロセスの原水水質、ホウ素濃度保証値、イオン交換塔の処理能力等に応じて適宜決定される。また、イオン交換手段の被処理水のホウ素濃度に対してホウ素濃度保証値がさほど低くない場合には、上記▲1▼のホウ素濃度管理値自体が被処理水のホウ素濃度より高くなり、イオン交換塔の再生又は交換のためのホウ素濃度管理値とし得ないため、この場合には上記▲2▼のホウ素濃度管理値を採用する。【0051】ホウ素濃度管理値は、低い程、イオン交換手段のホウ素濃度保証値を確実に維持することができる。従って、ホウ素濃度管理値は、特に▲1▼−A:イオン交換手段の処理水のホウ素濃度保証値の5倍程度又は▲2▼−A:イオン交換手段の被処理水のホウ素濃度の40%程度とすることが特に好ましい。ただし、ホウ素濃度管理値を過度に低く設定すると、イオン交換塔を必要以上に頻繁に再生又は交換する必要が生じ不経済であることから、ホウ素濃度管理値は▲1▼−B:イオン交換手段の処理水のホウ素濃度保証値の5〜10倍又は▲2▼−B:イオン交換手段の被処理水のホウ素濃度の40〜80%の範囲で設定し、上記▲1▼−B又は▲2▼−Bの範囲内で最前段のイオン交換塔の再生又は交換を行うことが好ましい。【0052】好適なホウ素濃度管理値は、イオン交換手段の被処理水の水質、ホウ素濃度保証値、或いは運転条件等によっても異なるため、カラムテスト等を実施して適当なホウ素濃度管理値を設定することにより、的確な管理を行うことができ、好ましい。【0053】なお、図5に示す超純水の製造装置は、本発明の実施の形態の一例であって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示の装置構成に限定されるものではない。【0054】即ち、本発明の超純水の製造装置は、イオン交換手段に用いられるイオン交換塔が、少なくとも陰イオン交換樹脂が充填されているものであれば良く、陰イオン交換樹脂のみを充填した単床式イオン交換塔、又は、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とを混合して充填した混床式イオン交換塔、或いは更に他のイオン交換樹脂が充填されたイオン交換塔を用いることができる。また、このようなイオン交換手段以外の装置構成単位としては、超純水の製造装置の装置構成単位として従来公知の濾過装置、膜分離装置、イオン交換装置、電気脱イオン装置、紫外線照射装置等の各種のものを採用することができ、また、これらの装置構成単位の個数や接続順序にも特に制限はない。図5の超純水の製造装置にあっては、イオン交換手段10の後段に更にUF膜分離装置が設けられていても良い。【0055】図5では、2塔のイオン交換塔を直列に接続してメリーゴーランド方式で運転を行うものを示したが、イオン交換手段はイオン交換塔を3塔以上直列に接続したものであっても良い。【0056】本発明において、最後段のイオン交換塔の直前のイオン交換塔の処理水のホウ素濃度がホウ素濃度管理値となったときに、メリーゴーランド方式でイオン交換塔の再生又は交換を行う方法としては、最前段のイオン交換塔を取り外し、2段目のイオン交換塔を最前段のイオン交換塔とし、最後段のイオン交換塔の更に後段に予め再生された或いは新品のイオン交換樹脂が充填されたイオン交換塔を接続するカートリッジ方式や、バルブ等による切り替えで、最前段のイオン交換塔を再生設備により再生し、この再生の間は2段目以降のイオン交換塔で処理を行い、再生を終了したイオン交換塔を最後段に設置する方式等を採用することができる。【0057】なお、本発明の超純水製造方法及び製造装置は、イオン交換手段として、少なくとも陰イオン交換樹脂が充填されたイオン交換塔が1塔のみ設けられたものであっても良い。【0058】【実施例】以下に、実験例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、以下において、「ホウ酸濃度」は、「ホウ素濃度」で示した。【0059】まず、本発明のホウ酸分析方法及び分析装置の実験例と実施例を挙げる。【0060】実験例1前述のホウ酸の定量分析手順に従って、試料の導入量による影響を調べる実験を行った。陰イオン交換樹脂カラム(以下単に「カラム」と称す場合がある。)としては、微量ホウ酸に対して十分過剰量の約1μmolのクロモトロープ酸を予めカラム中に導入して吸着させたものを用いた。このクロモトロープ酸量は、1ppbホウ酸溶液5dm3中のホウ素が回収できる量に相当する。カラム温度は45℃、試料のpHは3とした。カラムに10ppbホウ酸溶液を流入量を変えて注入し、吸光度測定クロマトグラムの1:2錯体のピーク高さ(フルスケール:1AU.=20cm)を調べ、結果を図6に示した。【0061】図6より明らかなように、試料導入量2〜125cm3の範囲において1:2錯体量は試料の導入量と正の相関を示し、試料の導入量を増加すると、錯体の分析感度が上がる。ただし、試料導入量が過度に多いと、ピーク高さと試料導入量との間に直線関係は成立しなかった。これは、濃縮分離カラムの低交換容量に起因するものと考えられる。【0062】なお、45℃において、100ppbのホウ酸溶液2cm3をカラム中に導入してクロモトロープ酸と反応させると、ホウ酸導入量の約70%が回収されることが確認された。この回収率は、温度や流速に依存するが、錯体生成に伴ってフリーのクロモトロープ酸濃度が不足しない限り、試料導入量には依存しない。従って、高感度化は、導入試料量を増すことで達成可能であり、本発明は、超純水などpptレベルのホウ素濃度のモニタリングにも有効であることが分かる。【0063】実験例2前述のホウ酸の定量分析手順に従って、表1に示す試薬を用いて、表1に示す各種共存イオンを存在させた、10.0ppbホウ酸溶液(pH3,0.001mol dm−3EDTA)2cm3をカラムに注入して、ホウ酸を定量分析することにより共存イオンの影響を調べる実験を行い、結果を表1に示した。【0064】【表1】【0065】表1より、天然水中に共存する程度の無機イオンは微量ホウ酸の定量には殆ど影響を及ぼさないことが分かる。【0066】実験例3前述のホウ酸の定量分析手順に従って、2ppb,4ppb,6ppbのホウ酸溶液を試料として、検量線を作成する実験を行った。なお、温度条件は45℃とし、ギ酸緩衝液及びクロモトロープ酸のギ酸緩衝液のpHは3とした。また、ギ酸緩衝液にはEDTA0.001mol dm−3を添加した。図7はこのときのクロマトグラムを示すものである。【0067】ポンプP1を用いて流速0.65cm3 min−1で送液が行われているラインに、図7のaにおいて六方バルブV3を切り替えて濃度2×10−3moldm−3のクロモトロープ酸0.5cm3を導入した。クロモトロープ酸は完全に吸着するため、シグナルは現れない。図7のbにおいて、2つ目の六方バルブV4を切り替えて試料5cm3を導入する。錯体生成は進行するが脱着は起こらないためシグナルは現れない。図7のcにおいて、切替バルブV1の流路を切り替えてポンプP2で常時流速1.0cm3 min−1で送液されている0.05mol dm−3NaClO4溶液(pH8)をカラムに導入すると、過剰量のクロモトロープ酸の脱着が起こるために大きなピークが出現する。0.05mol dm−3NaClO4溶液では1:2錯体の分離速度は極めて小さいために、1:2錯体はそのままカラムに保持される。脱着がほぼ終了した時点で、六方バルブV5を切り替えて、dにおいて、0.2mol dm−3NaClO4溶液(pH8)をカラムに導入すると、直ちに1:2錯体が脱着し、試薬不純物に起因すると思われるピークの後に1:2錯体のピークが観測されるので、このピークのベースラインからの高さを定量に用いる。【0068】この結果、各ピークの高さは表2に示す通りであり、図8に示す如く、直線状の検量線が得られた。【0069】【表2】【0070】また、ブランクの繰り返し測定の標準偏差の3倍のシグナルを与える濃度を検出限界とすると、本実験条件下での検出限界は0.2ppbであった。【0071】ただし、ホウ酸濃度の低い試料の場合には、前述の如く、試料導入量を増大させることにより、この検出限界を更に低下させることも可能である。【0072】実施例1鹿児島県屋久島の渓流水中のホウ酸の定量を標準添加法により行った結果、図9(a),(b)に示す如く、ホウ酸濃度はそれぞれ3.8ppb(図9(a))と10.1ppb(図9(b))であった。【0073】標準添加法の曲線Aの傾きは検量線Bの傾きと一致したので、回収率が100%ではないにも拘らず、再現性の良い定量が可能であることが確認された。【0074】次に本発明の超純水製造方法及び製造装置の実施例を挙げる。【0075】なお、ホウ素及びシリカ濃度の分析下限値及び比抵抗の表示精度は以下の通りであり、従って、以下の実施例において、最終処理水(超純水)の水質が下記下限値を下回る場合には、「<(未満)」で表すこととする。[各項目の分析下限値及び比抵抗の表示精度(ICP−MSによるオフライン分析)]ホウ素:0.01ppbシリカ:0.1ppb比抵抗:小数点2桁までの(理論超純水18.24MΩ・cm)表示精度【0076】実施例2図10に示す試験装置を用いて原水(野木町水)の処理を行った。この試験装置の各構成単位の仕様は次の通りである。活性炭塔11:活性炭充填量25dm3RO膜分離装置12:栗田工業(株)製「KROA20−32」4インチ1本イオン交換手段13:イオン交換塔13A:陽イオン交換樹脂/陰イオン交換樹脂=1/2,充填量9dm3イオン交換塔13B:陽イオン交換樹脂/陰イオン交換樹脂=1/2,充填量9dm3ホウ酸分析装置14:図1に示す装置【0077】活性炭塔11の入口圧力を0.3MPaとして通水量500dm3 hr−1で処理を行った。活性炭塔11の処理水は、ポンプでRO膜分離装置12に供給し、運転圧力0.75MPa,透過水量250dm3 hr−1,排出濃縮水量250dm3 hr−1,循環濃縮水量400dm3 hr−1でRO膜分離し、RO膜透過水250dm3 hr−1を順次イオン交換塔13A,13Bに供給した。【0078】1段目のイオン交換塔に導入される給水のホウ素濃度は10ppb、シリカ濃度は50ppb、比抵抗は0.5MΩ・cmであり、得られる超純水のホウ素濃度の保証値を0.5ppbとし、1段目のイオン交換塔の処理水のホウ素濃度が保証値の5倍の2.5ppbになった時点で1段目のイオン交換塔を再生又は交換するメリーゴーランド方式で運転を行った。【0079】この運転を14日行ったが、運転期間中に得られた超純水は、下記の通り、ホウ素、シリカ及び比抵抗についていずれも良好な値で安定していた。[超純水の水質]ホウ素=0.1ppbシリカ<0.1ppb比抵抗=18.20MΩ・cm【0080】実施例3実施例2において、超純水のホウ素濃度の保証値を2.5ppbとし、1段目のイオン交換塔の処理水のホウ素濃度が、1段目のイオン交換塔に導入される給水のホウ素濃度10ppbの40%の4ppbとなった時点で1段目のイオン交換塔を再生又は交換するメリーゴーランド方式としたこと以外は同様にして運転を行った。【0081】その結果、運転期間中に得られた超純水は、下記の通り、ホウ素、シリカ及び比抵抗についていずれも良好な値で安定していた。[超純水の水質]ホウ素=1.0ppbシリカ=0.2ppb比抵抗=18.11MΩ・cm【0082】実施例4実施例2において、超純水のホウ素濃度の保証値を0.08ppbとし、1段目のイオン交換塔の処理水のホウ素濃度が保証値の10倍の0.8ppbになった時点で1段目のイオン交換塔を再生又は交換するメリーゴーランド方式としたこと以外は同様にして運転を行った。このときの1段目のイオン交換塔の処理水の水質の経時変化は図11に示す通りであり、処理水中にはまずホウ素がリークし、その後シリカがリークするようになり、最後に他のイオンのリークで比抵抗が低下するようになるため、1段目のイオン交換塔の処理水のホウ素濃度が所定値となったときに、イオン交換塔の再生又は交換を行うことにより、水質を良好に保つことができることがわかる。【0083】運転期間中に得られた超純水は、下記の通り、ホウ素、シリカ及び比抵抗についていずれも良好な値で安定していた。[超純水の水質]ホウ素<0.01ppbシリカ<0.1ppb比抵抗=18.24MΩ・cm【0084】実施例5実施例2において、超純水のホウ素濃度の保証値を5.0ppb(シリカ濃度の保証値:2.0ppb,比抵抗の保証値:17.5MΩ・cm)とし、1段目のイオン交換塔の処理水のホウ素濃度が、1段目のイオン交換塔に導入される給水のホウ素濃度10ppbの80%の8ppbとなった時点で1段目のイオン交換塔を再生又は交換するメリーゴーランド方式としたこと以外は同様にして運転を行った。【0085】その結果、運転期間中に得られた超純水は、下記の通り、ホウ素、シリカ及び比抵抗についていずれも良好な値で安定していた。[超純水の水質]ホウ素=2.5ppbシリカ=1.0ppb比抵抗=18.05MΩ・cm【0086】【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のホウ酸分析方法及び分析装置によれば、超純水のような極微量のホウ酸を含む水中のホウ酸を、簡易にかつ精度良く、オンサイト分析することができる。【0087】また、本発明の超純水製造方法及び製造装置によれば、このような本発明のホウ酸の分析手法を利用して、陰イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔からのホウ酸の漏洩を監視することにより高純度の超純水を製造することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明のホウ酸分析方法及び分析装置の実施の形態を示す系統図である。【図2】ホウ酸のクロモトロープ酸錯体生成反応におけるlog kf2,log kd2のpH依存性を示すグラフである。【図3】本発明の分析手順を説明する模式図である。【図4】pHと1:2錯体のピーク高さとの関係を示すグラフである。【図5】本発明の超純水の製造装置及び超純水の製造方法の実施の形態を示す系統図である。【図6】実験例1における試料導入量と1:2錯体のピーク高さとの関係を示すグラフである。【図7】実験例3における検量線作成のためのクロマトグラムである。【図8】実験例3で作成された検量線を示すグラフである。【図9】実施例1における標準添加法による結果と、検量線を示すグラフである。【図10】実施例2〜5で用いた試験装置を示す系統図である。【図11】実施例4における1段目のイオン交換塔の処理水の水質の経時変化を示すグラフである。【符号の説明】1 原水タンク2,7 ポンプ3 熱交換器4 UF膜分離装置5 脱気膜装置6,11 活性炭塔8,12 RO膜分離装置9 電気脱イオン装置10,13 イオン交換手段10A,10B,13A,13B イオン交換塔14,50 ホウ酸分析装置20,20A,20B 陰イオン交換樹脂カラム21 吸光度検出器22 記録計 水中のホウ酸を定量するホウ酸分析方法であって、ホウ酸と錯体形成可能な錯形成性化合物を含有する溶液を、該錯形成性化合物を吸着可能な吸着体に接触させて該錯形成性化合物を該吸着体に吸着させた後、分析対象水を該錯形成性化合物を吸着した吸着体に接触させ、次いで、該錯形成性化合物を該吸着体から脱離させるための脱離液を該分析対象水と接触した後の吸着体に接触させ、その後、該吸着体と接触した後の脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物を定量分析することを特徴とするホウ酸分析方法。 請求項1において、該錯形成性化合物がクロモトロープ酸であり、該吸着体が陰イオン交換体であることを特徴とするホウ酸分析方法。 請求項1又は2において、該脱離液の吸光度又は蛍光強度を測定することにより、該脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物を定量分析することを特徴とするホウ酸分析方法。 水中のホウ酸を定量するホウ酸分析装置であって、ホウ酸と錯体形成可能な錯形成性化合物を吸着することが可能な吸着体が充填された吸着手段と、該吸着手段に該錯形成性化合物を含有する溶液を注入するための注入手段と、分析対象水を該吸着手段に注入するための注入手段と、該吸着体から該錯形成性化合物を脱離させるための脱離液を該吸着手段に注入するための注入手段と、該脱離液を該吸着体から排出するための排出手段と、該排出手段から排出された脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物を定量分析するための分析手段とを備えることを特徴とするホウ酸分析装置。 陰イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔を備えたイオン交換手段に被処理水を通水して脱イオン処理することにより超純水を製造する方法であって、該イオン交換塔から流出する脱イオン水の一部を、ホウ酸と錯形成可能な錯形成性化合物を吸着した吸着体に接触させ、その後、該錯形成性化合物を脱離させるための脱離液を該吸着体に接触させ、該錯形成性化合物が脱離した後の脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物の濃度を測定することにより、該脱イオン水中のホウ酸濃度を求め、この結果に基いて、該イオン交換塔からのホウ酸の漏洩を監視することを特徴とする超純水製造方法。 陰イオン交換樹脂が充填されたイオン交換塔が複数個直列に接続されたイオン交換手段に被処理水を導入して超純水を製造する方法において、該イオン交換手段の最終段のイオン交換塔の直前のイオン交換塔から流出する処理水の一部を、ホウ酸と錯形成可能な錯形成性化合物を吸着した吸着体に接触させ、その後、該錯形成性化合物を脱離させるための脱離液を該吸着体に接触させ、該錯形成性化合物が脱離した後の脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物の濃度を測定することにより該処理水中のホウ酸濃度を求め、該ホウ酸濃度がホウ素濃度換算で、該イオン交換手段の処理水のホウ素濃度保証値の10倍となったとき又はその前、或いは該処理水のホウ素濃度の80%となったとき又はその前に、該イオン交換手段の最前段のイオン交換塔を再生するか、或いは該最前段のイオン交換塔を取り除くとともに新たなイオン交換塔を接続することを特徴とする超純水製造方法。 陰イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔と、該イオン交換塔のホウ酸の漏洩を監視するための監視手段とを備えた超純水製造装置であって、該監視手段が、ホウ酸と錯体形成可能な錯形成性化合物を吸着することが可能な吸着体が充填された吸着手段と、該吸着手段に該錯形成性化合物を含有する溶液を注入するための注入手段と、前記イオン交換塔から流出する脱イオン水の一部を該吸着手段に注入するための注入手段と、該吸着体から該錯形成性化合物を脱離させるための脱離液を該吸着手段に注入するための注入手段と、該脱離液を該吸着体から排出するための排出手段と、該排出手段から排出された脱離液中の該錯形成性化合物とホウ酸との錯形成物を定量分析するための分析手段とを備えることを特徴とする超純水製造装置。