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タイトル:特許公報(B2)_ポリエチレングリコールおよびその製造方法
出願番号:2002088953
年次:2008
IPC分類:C07C 43/11,C07C 41/03,C08G 65/08


特許情報キャッシュ

坂上 研二 三近 幸三 安河内 徹 JP 4110368 特許公報(B2) 20080418 2002088953 20020327 ポリエチレングリコールおよびその製造方法 日油株式会社 000004341 草間 攻 100083301 坂上 研二 三近 幸三 安河内 徹 JP 2001089455 20010327 JP 2001357035 20011122 20080702 C07C 43/11 20060101AFI20080612BHJP C07C 41/03 20060101ALI20080612BHJP C08G 65/08 20060101ALI20080612BHJP JPC07C43/11C07C41/03C08G65/08 C07C 43/11 C07C 41/03 C08G 65/08 特開平03−103437(JP,A) 2 2003221353 20030805 13 20040428 中島 庸子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、エチレングリコールとジエチレングリコールの含有量の少ない、医薬品業界、化粧品業界等の生体関連分野で使用するポリエチレングリコール、およびその製造方法に関する。【0002】【従来の技術】一般に、ポリエチレングリコールは、エチレンオキシドを重合して得られる物質であり、粘稠性を有し、刺激がなく、水に溶け、しかも潤滑性があるその独特な性質から、水性ペイント、ペーパーコーティング、接着剤、印刷インキ、その他界面活性剤などに広く利用されている化合物である。【0003】そのなかでも、ポリエチレングリコールは、薬物に対する溶解性、相溶性に優れていることより、生体関連分野である医薬品業界、化粧品業界では、医薬品製造、化粧品製造の重要な原料となっている化合物であり、特に、日本薬局方医薬品「マクロゴール」として、分子量の違いにより、種々の薬物の溶解剤や、賦形剤、化粧品原料として利用されている化合物でもある。【0004】ポリエチレングリコールには、エチレングリコールならびにジエチレングリコールが含有されており、生体関連分野で使用される分子量1,000以下のポリエチレングリコールについては、米国薬局方などでその含有量が0.25%(2,500ppm)以下と規定されている。【0005】そのなかでも、特に平均分子量190〜210のポリエチレングリコールについては、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量が、米国薬局方や日本薬局方で規定されている0.25%(2,500ppm)以下の規格を満足するものはなかった[JP Forum,;Vol.8,No.4,291−297(1999)]。また、平均分子量211〜420のポリエチレングリコールについては、製品によってはこの規格を満足するものもあるが、医薬品製剤、化粧品などの生体関連分野では、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量について、さらに低減させたものが要求されていた。【0006】さらに平均分子量421〜1,050のポリエチレングリコールについても、一般品であっても米薬局方などの規格である0.25%(2,500ppm)以下を満足するが、医薬品製剤、化粧品などの生体関連分野では、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量について、さらに低減させたものが要求されていた。【0007】一般に、ポリエチレングリコールは、エチレングリコールやジエチレングリコールに対して、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒の存在下に、加圧、加温状態でエチレンオキシドを付加重合させて製造されている。この際、ポリエチレングリコールの平均分子量が大きくなるにつれて、原料であるエチレングリコールまたはジエチレングリコールの残存量は減少していくが、平均分子量が190〜420である比較的分子量の小さなポリエチレングリコールの場合には、原料であるエチレングリコールまたはジエチレングリコールの残存量が多くなる傾向がある。【0008】また、平均分子量が421〜1,050であるポリエチレングリコールの場合には、原料であるエチレングリコールまたはジエチレングリコールの残存量は、平均分子量が190〜420であるポリエチレングリコールと比較すれば少なくなるが、市場の要求を満足するようなレベルの少なさではない。また、これらの原料は、水分を含んでおり、水にエチレンオキシドが付加重合することにより、エチレングリコールおよびジエチレングリコールが生成する。【0009】ポリエチレングリコール中に残存したエチレングリコールおよびジエチレングリコールを除去する方法としては、高温・減圧下にて窒素を吹き込みながら低沸点のエチレングリコールおよびジエチレングリコールを留去する方法があるが、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを下記式[I]に示すような含有量以下まで低減すると、歩留まりが非常に悪くなり、過剰な加熱により劣化するといった問題点があった。【0010】【数2】【0011】(式中、xはポリエチレングリコールの平均分子量である)【0012】【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、平均分子量190〜1,050を有するポリエチレングリコールであって、そのエチレングリコールおよびジエチレングリコールを併せた含有量が極めて低い、生体関連分野で使用し得るポリエチレングリコールの提供、ならびにその製造方法を提供することを課題とする。【0013】【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するための本発明は、(1)エチレングリコールおよびジエチレングリコールを併せた含有量が、下記式[I]:【0014】【数3】【0015】(式中、xはポリエチレングリコールの平均分子量である)で示される含有量以下である、平均分子量190〜1,050を有する生体関連分野で使用するポリエチレングリコール、さらには、【0016】(2)エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量が併せて200ppm以下であり、平均分子量が190〜210の範囲内にある、生体関連分野で使用するポリエチレングリコール、である。【0017】なお、ここで示した上記式[I]は、各分子量におけるポリエチレングリコールに含まれるエチレングリコールおよびジエチレングリコールの合計量を算出した式である。また、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの合計量の下限値としては、測定方法の検出限界(1ppm)までとすることができる。【0018】各分子量におけるエチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量は要求によって適宜選択されるが、生体関連分野で用いられる場合、毒性等を考慮すると分子量200において2,500ppm以下が好ましい。原料中に含まれるエチレングリコールおよびジエチレングリコールの合計量、および反応中に副生するエチレングリコールおよびジエチレングリコールの合計量は、エチレンオキシドの付加モル数が増加することにより減少するため、製品に含まれるエチレングリコールおよびジエチレングリコールの合計量は一定の減少率を掛けた値となる。【0019】 ここで、150はトリエチレングリコールの分子量を示し、2,900は原料に含有されるエチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量の許容値に関する係数である。 また、(x−150)/44はエチレンオキシドの付加モル数であり、エチレンオキシドが1モル付加する毎のエチレングリコールおよびジエチレングリコールの合計量の残存率を0.85とした場合に、ポリエチレングリコール1モル(xg)当たりに含まれるエチレングリコールおよびジエチレングリコールの量に関する上限が示されることとなる。【0020】エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量は、用途によってはさらに少ないものが要求されており、特に分子量の低い分子量190〜210であるポリエチレングリコールについては、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量は200ppm以下が好ましい。【0021】また本発明は、かかるポリエチレングリコールの製造方法の提供でもあり、具体的には、(3)トリエチレングリコールに対してエチレンオキシドを付加重合させる、上記(1)または(2)に記載のポリエチレングリコールの製造方法、また、(4)エチレンオキシドを付加重合させる前に、反応容器内において70〜150℃、0〜0.013MPa、0.5〜3時間の条件下で脱水処理を行うことを特徴とする上記(3)に記載のポリエチレングリコールの製造方法である。【0022】【発明の実施の形態】本発明により提供されるポリエチレングリコールは、平均分子量が190〜1,050の範囲内にあり、かつ、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量が式[I]に示す含有量以下である生体関連分野で使用し得るポリエチレングリコールである。【0023】本発明により提供される平均分子量が190〜210の範囲内にあり、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量が式[I]に示す含有量以下であり、さらに好ましくは200ppm以下であるポリエチレングリコールにあっては、医薬品の分野において、日本薬局方や、米国薬局方の規格を満足するものがなく、市場からの要求が大きい点を考慮すると、極めて有用なものである。【0024】【数4】【0025】(式中、xはポリエチレングリコールの平均分子量である。)【0026】なお、ポリエチレングリコールの平均分子量であるxは、THE UNITED STATES PHARMACOPEIA 24, THE NATIONAL FORMULARY 19, UNITED STATES PHARMACOPEIAL CONVENTION,INC. January 1,2000のPolyethylene glycol/Official Monographs average molecular weightに記載の方法により測定される。【0027】上記式[I]から計算される各分子量での上限値は、分子量200のポリエチレングリコールにあっては1,808ppm、分子量300のポリエチレングリコールにあっては833ppm、分子量400のポリエチレングリコールにあっては432ppm、分子量600のポリエチレングリコールにあっては138ppm、分子量1,000のポリエチレングリコールにあっては19ppmとなる。【0028】また、好ましくは分子量200のポリエチレングリコールにあっては200ppm、分子量300のポリエチレングリコールにあっては150ppm、分子量400のポリエチレングリコールにあっては100ppm、分子量600のポリエチレングリコールにあっては50ppm、分子量1,000のポリエチレングリコールにあっては15ppmである。【0029】なお、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量が、上記式[I]に示すような含有量を超えるものは、不純物の割合が高くなるため、好ましいものではない。【0030】本発明が提供する生体関連分野で使用するポリエチレングリコールとは、生理学的に使用可能なポリエチレングリコールであることを意味し、具体的には、生体関連分野である人体等に、直接使用される医薬品、化粧品、トイレタリー製品等に使用することができることを意味する。例えば、注射製剤、外用製剤、経口投与製剤などの溶解剤、乳化剤、分散剤、賦形剤、滑沢剤など、医薬品の基材として用いることができるものである。また、化粧石鹸、シャンプー、リンス、洗顔料、歯磨きなどの身体洗浄剤や化粧水、ローション、ファンデーション、香水、口紅などの化粧品原料として使用することができるものである。【0031】本発明が提供する、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量が少なく、かつ平均分子量が190〜1,050の範囲内にあるポリエチレングリコールは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒の存在下、加圧、加温状態でトリエチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合することにより製造することができる。【0032】この場合の製造に使用するトリエチレングリコールの純度は特に限定されないが、99.5%以上のものが好ましく、より好ましくは99.95%以上の純度を有するものを使用するのがよい。また、使用するトリエチレングリコールは、蒸留などを行って精製することにより純度を上げることができる。【0033】本発明に使用されるアルカリ触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリ物質であり、その添加量は、トリエチレングリコールの仕込量に対して0.005〜1.0重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量%程度である。【0034】本発明が提供する製造方法においては、エチレンオキシドの付加重合反応の反応温度は、80〜230℃が好ましく、より好ましくは120〜180℃であり、反応圧力は0〜1MPaが好ましく、より好ましくは0.2〜0.6MPaである。反応に用いるエチレンオキシドの過剰率は、0.8〜1.2とすることが好ましく、0.98〜1.06がさらに好ましい。過剰率は、目的分子量のポリエチレングリコールを得るのに必要なエチレンオキシドの理論量に対する使用量の割合である。【0035】また、トリエチレングリコールに対するエチレンオキシドの付加重合反応を行う前に、反応容器内においてトリエチレングリコールを70〜150℃に加熱し、0〜0.013MPaの減圧下に、0.5〜3時間の条件で窒素を吹き込みながら原料や触媒由来の水分を除去させることにより、さらにエチレングリコールおよびジエチレングリコールの副生を抑えることが可能となった。【0036】この場合のエチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量については、以下の方法で測定することができる。この方法は、JP Forum,;Vol.8,No.4,291−297(1999)に記載されている“ポリエチレングリコールの国際調和案(Stage3)「エチレングリコールおよびジエチレングリコールの限度」”を参考にした測定法であり、測定条件は以下のとおりである。【0037】<エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量の測定条件>内標準溶液の調製:1,4−ブタンジオール100mgを100mLのメスフラスコに精密に秤量し、標線まで蒸留水で希釈した。標準溶液の調製:エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールそれぞれ50mgずつを100mLメスフラスコに精密に秤量し、蒸留水で希釈した。試料溶液の調製:測定対象試料を10mlの容器にそれぞれ4g精密に秤量し、それぞれに内標準溶液5ml、蒸留水1mlを正確に加え、栓をしてよく振り混ぜた。【0038】測定条件:以下の条件のガスクロマトグラフィー測定を行った。カラム:WCOT FUSEDSILICA 30mm×0.53mm CP WAX52CB 膜厚1.0μm(GLサイエンス社製)キャリアーガス:He(ヘリウムガス)線速度:40cm/秒スプリット口の流速:100ml/分注入口温度:250℃検出器温度:260℃カラム温度:180℃ → 10℃/分 → 260℃(22分)注入量:1μl【0039】計算方法:標準溶液および各試料溶液から得られたピーク面積から、式(1)を用いて応答係数FNを計算し、式(2)を用いてエチレングリコールおよびジエチレングリコールの定量を行った。FN=(CNrSI)/(CSIrSN) (1)CN:標準溶液中のエチレングリコールまたはジエチレングリコールの濃度(μg/ml)rSI:標準溶液中から得られる内標準物質のピーク面積CSI:標準溶液中の内標準物質の濃度(μg/ml)rSN:標準溶液中から得られたエチレングリコールまたはジエチレングリコールのピーク面積【0040】含量[重量%]=(FNCIrN)/(2000rIW) (2)CI:内標準溶液中の内標準物質の濃度(μg/ml)rN,rI:それぞれ試料溶液から得られたエチレングリコールまたはジエチレングリコール、内標準物質のピーク面積W:試料溶液中の各目的物の重量[g]含量[ppm]=含量[重量%]×10000 (3)【0041】本発明で得られるポリエチレングリコールは、減圧下による過剰エチレンオキシドの除去工程、リン酸、塩酸などの酸によるアルカリ触媒の中和もしくは吸着剤によるアルカリ触媒の除去工程を行うことができる。また、用途に応じて、ジブチルヒドロキシルトルエン、トコフェロールなどの酸化防止剤を添加することもできる。【0042】【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。【0043】実施例1:純度99.95%のトリエチレングリコール1,500g、水酸化カリウム0.88g(トリエチレングリコールに対して0.059重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、110℃、0.0067MPaの減圧下、窒素を吹き込みながら1時間脱水を行った。その後、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド510g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。エチレンオキシドを全て導入した後、140℃で1時間熟成を行い、100℃で1.5時間、0.002MPaの減圧下でエチレンオキシドを除去した。これを85℃まで冷却した後、リン酸を加えて中和を行い、濾過して、平均分子量202のポリエチレングリコールである、目的物(1)を得た(歩留まり:97%)。得られた目的物の臭気テストを行ったところ、ポリエチレングリコールの分解臭はなかった。【0044】実施例2:純度99.95%のトリエチレングリコール1,500g、水酸化カリウム1.32g(トリエチレングリコールに対して0.088重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、110℃、0.0067MPaの減圧下、窒素を吹き込みながら1時間脱水を行った。その後、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド1,530g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に処理し、平均分子量306のポリエチレングリコールである目的物(2)を得た(歩留まり:95%)。得られた目的物の臭気テストを行ったところ、ポリエチレングリコールの分解臭はなかった。【0045】実施例3:純度99.95%のトリエチレングリコール1,500g、水酸化カリウム1.76g(トリエチレングリコールに対して0.117重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、110℃、0.0067MPaの減圧下、窒素を吹き込みながら1時間脱水を行った。その後、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド2,550g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量406のポリエチレングリコールである目的物(3)を得た(歩留まり:96%)。得られた目的物の臭気テストを行ったところ、ポリエチレングリコールの分解臭はなかった。【0046】実施例4:純度99.95%のトリエチレングリコール1,500g、水酸化カリウム0.88g(トリエチレングリコールに対して0.059重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド510g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量197のポリエチレングリコールである目的物(4)を得た(歩留まり:97%)。得られた目的物の臭気テストを行ったところ、ポリエチレングリコールの分解臭はなかった。【0047】実施例5:純度99.95%のトリエチレングリコール900g、水酸化カリウム1.58g(トリエチレングリコールに対して0.176重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、110℃、0.0067MPaの減圧下、窒素を吹き込みながら1時間脱水を行った。その後、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド2,754g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量602のポリエチレングリコールである目的物(5)を得た(歩留まり:95%)。得られた目的物の臭気テストを行ったところ、ポリエチレングリコールの分解臭はなかった。【0048】比較例1:ジエチレングリコール1,060g、水酸化ナトリウム0.88g(ジエチレングリコールに対し0.083重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド959g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量201のポリエチレングリコールである、目的物(6)を得た(歩留まり:96%)。【0049】比較例2:ジエチレングリコール1,060g、水酸化カリウム0.88g(ジエチレングリコールに対し0.083重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、110℃、0.0067MPaの減圧下、窒素を吹き込みながら1時間脱水を行った。その後、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド959g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量198のポリエチレングリコールである目的物(7)を得た(歩留まり:97%)。【0050】比較例3:エチレングリコール620g、水酸化カリウム0.88g(エチレングリコールに対し0.142重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド1,408g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量205のポリエチレングリコールである、目的物(8)を得た(歩留まり:95%)。【0051】比較例4:エチレングリコール620g、水酸化カリウム0.88g(エチレングリコールに対し0.142重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、110℃、0.0067MPaの減圧下、窒素を吹き込みながら1時間脱水を行った。その後、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド1,408g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量203のポリエチレングリコールである目的物(9)を得た(歩留まり:94%)。【0052】比較例5:ジエチレングリコール1,060g、水酸化カリウム1.32g(ジエチレングリコールに対し0.125重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド1,979g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量312のポリエチレングリコールである、目的物(10)を得た(歩留まり:96%)。【0053】比較例6:ジエチレングリコール1,060g、水酸化カリウム1.76g(ジエチレングリコールに対し0.166重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド2,999g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量412のポリエチレングリコールである、目的物(11)を得た(歩留まり:95%)。【0054】比較例7:ジエチレングリコール1,060g、水酸化カリウム1.76g(ジエチレングリコールに対し0.166重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、110℃、0.0067MPaの減圧下、窒素を吹き込みながら1時間脱水を行った。その後、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド2999g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量409のポリエチレングリコールである、目的物(12)を得た(歩留まり:95%)。【0055】比較例8:ジエチレングリコール848g、水酸化カリウム2.11g(ジエチレングリコールに対し0.249重量%)を攪拌機、滴下装置および窒素バブリングラインのついた5Lオートクレーブに仕込み、110℃、0.0067MPaの減圧下、窒素を吹き込みながら1時間脱水を行った。その後、反応温度140℃、反応圧力0.4MPaに維持しながら、エチレンオキシド4,031g(過剰率:1.02)を導入し、攪拌しながら反応を行った。以降は実施例1と同様に操作を行い、平均分子量610のポリエチレングリコールである、目的物(13)を得た(歩留まり:94%)。【0056】実施例1〜5、および比較例1〜8で得られた目的物中のエチレングリコールおよびジエチレングリコール含量を測定し、その結果を表1に示した。なお、エチレングリコールおよびジエチレングリコール含量を測定は、前記した<エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量の測定条件>に準じて行い、臭気テストは以下のようにして実施した。【0057】臭気テスト:得られた目的物1mlをビーカーに採り、その臭気を以下の基準で評価した。無臭:臭気がないか、殆どない。臭い在り:ポリエチレングリコールが分解した臭気がする。【0058】【表1】表1:エチレングリコールおよびジエチレングリコール含量【0059】上記の表中、実施例1、2、3、5のものは、それぞれ分子量が190〜210、285〜315、380〜420、570〜630を有するポリエチレングリコールであり、トリエチレングリコールを原料とし、エチレンオキシドとの付加重合反応の前に、反応容器内において、脱水処理を行ったものである。また、実施例4のものは、分子量が190〜210を有するポリエチレングリコールであり、トリエチレングリコールを原料とし、エチレンオキシドとの付加重合反応の前に、脱水処理を行わなかったものである。【0060】トリエチレングリコールを原料として用いると、エチレンオキシドとの付加重合反応により、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量を、前出の式[I]に示す含有量以下に抑えることができる。さらに、分子量190〜210であるポリエチレングリコールについては、エチレンオキシドとの付加重合反応の前に、脱水処理を行うことにより、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量を200ppm以下にまで低減することができている。【0061】一方、比較例1,2のものは、分子量が190〜210を有するポリエチレングリコールであり、ジエチレングリコールを原料とし、エチレンオキシドとの付加重合反応の前に、脱水処理を行ったもの(比較例2)と、行わなかったもの(比較例1)である。【0062】比較例3,4のものは、分子量が190〜210を有するポリエチレングリコールであり、エチレングリコールを原料とし、エチレンオキシドとの付加重合反応の前に、それぞれ脱水処理を行ったもの(比較例4)と、行わなかったもの(比較例3)である。【0063】また、比較例5のものは、分子量が285〜315を有するポリエチレングリコールであり、ジエチレングリコールを原料とし、エチレンオキシドとの付加重合反応の前に脱水処理を行わなかったものである。【0064】さらに、比較例6,7のものは、分子量が380〜420を有するポリエチレングリコールであり、ジエチレングリコールを原料とし、エチレンオキシドとの付加重合反応の前に、それぞれ脱水処理を行ったもの(比較例7)と、行わなかったもの(比較例6)である。【0065】さらに、比較例8のものは、分子量が570〜630を有するポリエチレングリコールであり、ジエチレングリコールを原料とし、エチレンオキシドとの付加重合反応の前に、脱水処理を行ったものである。【0066】これら比較例の結果からも明らかなように、ジエチレングリコールを原料としてエチレンオキシドとの付加重合反応によりポリエチレングリコールを製造した場合には、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量は高いものであった。また、エチレングリコールを原料としてエチレンオキシドとの付加重合反応によりポリエチレングリコールを製造した場合には、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量はさらに多くなっている。この傾向は、エチレンオキシドとの付加重合反応の前に、脱水処理を行ったとしても、変わらないものであった。【0067】以上の結果から判明するように、本発明により提供されるポリエチレングリコールは、特に、原料としてトリエチレングリコールを使用し、エチレンオキシドとの付加重合反応により製造することにより、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量を、極めて低く抑えることが可能となっており、また、エチレンオキシドとの付加重合反応のまえに反応容器内を脱水処理することで、さらにエチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量を、低く抑えることが可能となっている。【0068】【発明の効果】以上記載のように、本発明は、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを併せた含有量が、下記式[I]で示される含有量以下であって、平均分子量190〜1,050である医薬品製剤、化粧品などの生体関連分野で使用し得るポリエチレングリコールを提供するものであり、そのなかでも、特に平均分子量190〜210のポリエチレングリコールについて、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含有量が、医薬品分野において、日本薬局方あるいは米国薬局方で規定されている規格以下のものを提供することが可能となった。【0069】【数5】【0070】(式中、xはポリエチレングリコールの平均分子量である。)【0071】現在の市場には、かかるポリエチレングリコールがなく、これらポリエチレングリコールについての市場からの要求が大きい点を考慮すると、本発明はその要求に応えるものであり、生体関連分野における産業上の利用性は極めて多大なものである。 エチレングリコールおよびジエチレングリコールを併せた含有量が、平均分子量が190〜1,050の場合に、式[I]:(式中、xはポリエチレングリコールの平均分子量である)で示される含有量以下である、生体関連分野で使用するポリエチレングリコールの製造方法において、 トリエチレングリコールに対してエチレンオキシドを80〜230℃で付加重合させることを特徴とするポリエチレングリコールの製造方法。 エチレンオキシドを付加重合させる前に、反応容器内において70〜150℃、0〜0.013MPa、0.5〜3時間の条件下で脱水処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のポリエチレングリコールの製造方法。


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