タイトル: | 特許公報(B2)_ポリエチレングリコール構造を有する有機リン化合物及びこれをを用いたヒドロホルミル化反応触媒 |
出願番号: | 2002059714 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07F 9/50,B01J 31/24,C07C 45/50,C07C 47/02,C07B 61/00 |
小野澤 俊也 坂口 豁 鈴木 邦夫 JP 3921524 特許公報(B2) 20070302 2002059714 20020306 ポリエチレングリコール構造を有する有機リン化合物及びこれをを用いたヒドロホルミル化反応触媒 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 小野澤 俊也 坂口 豁 鈴木 邦夫 20070530 C07F 9/50 20060101AFI20070510BHJP B01J 31/24 20060101ALI20070510BHJP C07C 45/50 20060101ALI20070510BHJP C07C 47/02 20060101ALI20070510BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070510BHJP JPC07F9/50B01J31/24 ZC07C45/50C07C47/02C07B61/00 300 C07F 9/50 B01J 31/24 C07C 45/50 C07C 47/02 C07B 61/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) Journal of Organometallic Chemistry,1992年,436(1),p.43-53 Journal of Organometallic Chemistry,1984年,267(2),p.191-198 Journal of Molecular Catalysis A: Chemical,1999年,147(1-2),p.131-136 3 2003261583 20030919 8 20030618 近藤 政克 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、水を溶媒に用いた有機合成反応の配位子として有用な、新規な有機リン化合物、およびこれと第8族遷移金属錯体からなるヒドロホルミル化水溶性触媒に関するものである。【0002】【従来の技術】従来より、ヒドロホルミル化反応の触媒として用いる水溶性の配位子は種々開発されている。その代表的なものには、3,3',3"-フォスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)ナトリウム塩、4,4'-(フェニルフォスフィニデン)ビス(ベンゼンスルホン酸)カリウム塩、ジフェニルフォスフィノ安息香酸等があげられる("Aqueous catalysts for organic reactions" B. Cornils, E. Wiebus, Chemtech, 25, 33-38 (1995))。【0003】これらの有機リン化合物配位子をロジウム錯体などの金属錯体と混合して得た触媒は、原料オレフィンとして水に可溶なプロペン等を用いるヒドロホルミル化反応を活性化し、またこの触媒は反応系において水層に存在することから、油相に溶解している生成物から容易に分離できるといった特長を有する。【0004】しかし、これらの配位子は、原料として水に不溶なオレフィン例えば長鎖アルケンである1-オクテン、1-ドデセン等を用いるヒドロホルミル化反応においてはその触媒活性が著しく低下するという難点があった(T. Bartik, B. B. Bunn, B. Bartik, B. E. Hanson, Inorg. Chem., 33, 164 (1994))。【0005】この問題点を解決するために、上記配位子とロジウム錯体からなる触媒に、添加剤として長鎖アルキルアミドやシクロデキストリンを加えることで反応を円滑に進める方法が提案されている(M. J. H. Russell, Platinum Met. Rev., 32, 179 (1988). E. Monflier, G. Fremy, Y. Castanet, A. Mortreux, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 2269 (1995))。だが、この方法は、生成物の単離に際し、上記した添加剤を除くのに煩雑な操作が必要となり、実用性に欠けるものであった。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その第1の目的は、ヒドロホルミル化反応の原料として、たとえ水に不溶なオレフィンを用いたとしても、これらのオレフィンを円滑にヒドロホルミル化することができる触媒の配位子として有用な新規な有機リン化合物を提供することにあり、第2の目的は、かかる有機リン化合物と第8族遷移金属錯体からなるヒドロホルミル化反応触媒を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、1分子中に水溶性構造と親油性構造を有する特定な両親媒性有機リン化合物を配位子とし、これらと第8属遷移金属錯体を併用した触媒は水に不溶なオレフィンのヒドロホルミル化反応を円滑に促進することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。1. 下記一般式(1)R1R2PA(CH2)n(OCH2CH2)mR3 (1)(式中、R1およびR2は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基またはアリーロキシ基を示し、R1およびR2は、結合して環を形成していてもよい、R3は、水酸基、低級アルコキシ基を示し、Aはフェニレン基またはメチレン基を示し、nは5〜30、mは3〜300を示す)で表されるポリエチレングリーコール構造を有する有機リン化合物。2. 上記一般式(1)で表される有機リン化合物と第8族遷移金属錯体を含むヒドロホルミル化反応触媒。3. 上記一般式(1)で表される有機リン化合物が第8属遷移金属錯体に配位子されてなる上記2記載のヒドロホルミル化反応触媒。【0008】【発明の実施の形態】本発明の有機リン化合物は、文献未載の新規化合物であって、前記一般式(1)で示される化学構造式から明らかなように、リン原子とポリエチレングリコール親水性部位とが疎水性基である長鎖アルキレン基または長鎖アルキレンフェニレン基を介して結合された両親媒性を呈する化合物である。本発明に係る配位子がヒドロホルミル化反応を促進する理由はまだ明確には解っていないが、▲1▼本化合物の構造上の特徴から明らかなように分子の片末端に親水性基を有し、疎水性基の片末端に触媒を配位するリン原子を有するため、反応系中で触媒が有機層側を向いて存在しやすいこと、▲2▼本化合物はヒドロホルミル化反応の反応温度下では水への溶解度が低くなり有機層側に存在しやすくなっていること等が考えられる。【0009】前記一般式(1)中のリン原子に結合しているR1、R2は、アルキル基、アリール基、アラルキル基アルコキシ基またはアリーロキシ基を示し、R1およびR2は、結合して環を形成していてもよい。このアルキル基には、鎖状もしくは環状のいずれもが包含される。アルキル基の炭素数は1〜10、好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。【0010】アリール基には、炭素環からなるアリール基および複素環からなるアリール基の両方が包含される。この場合、炭素環としては、ベンゼン環やビフェニル環の他、ナフタレン環、インデン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合環が挙げられる。一方複素環としては、フラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール等の五員環;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の六員環等が挙げられる。また、この芳香族環は、各種の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む各種のもの、例えばメトキシ基、ジメチルアミノ基、トリメチルシリル基、トリフルオロメチル基、塩素、フッ素等が挙げられる。アリール基の具体的例としては、例えばフェニル基、トリル基、ジメチルアミノフェニル基、アニシル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。【0011】アラルキル基には、ベンジル基、フェニルエチル基等があげられる。またアルコキシ基、アリーロキシ基としては炭素数が1〜10を有するものであり、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む各種の置換基を有していてもよい。このようなアルコキシ基、アリーロキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、メチルフェニルオキシ基、ブチルフェニルオキシ基、フルオロフェニルオキシ基等があげられる。【0012】R1およびR2が結合して環を形成している例としては、テトラメチレン基・ペンタメチレン基、ジメチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基、ジメチルジメチレンジオキシ基、テトラメチルジメチレンジオキシ基、ジプロピルジメチレンジオキシ基、ジフェニルジメチレンジオキシ基、テトラメチルトリメチレンジオキシ基、フェニレンジオキシ基ジフェニレンジオキシ基等があげられる。【0013】前記一般式(1)のなかのR3は、水酸基、低級アルコキシ基を示す。低級アルコキシ基としては炭素数1〜3個のアルコキシ基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等があげられる。【0014】つぎに前記一般式(1)のなかのnは5〜30を示し、望ましくは9〜20である。またmは3〜300を示し、望ましくは3〜150である。【0015】本発明に係る前記一般式(1)で表される有機リン化合物の代表例としては、例えば、トリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノデシルエーテル、ドデカ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノオクタデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジブチルホスフィノデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジエチルホスフィノオクタデシルエーテル、ドデカ(エチレングリコール)(イソプロピル)ジシクロヘキシルホスフィノペンタデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)フェニルメチルホスフィノオクタデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジエトキシホスフィノウンデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジ(ブチルフェニノキシ)ホスフィノデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノフェニルデシルエーテル等が挙げられる。【0016】上記一般式(1)で表される有機リン化合物は、例えば一般式(2)R1R2PM (2)(式中Mはアルカリ金属を示す)で表されるホスフィドと、下記一般式(3)XA(CH2)n(OCH2CH2)mR3 (3)(式中Xはハロゲン原子を示す)で表されるω−置換ハロゲン化物とをほぼ等モル量で反応させることによって製造することができる。【0017】前記一般式(1)の有機リン化合物(水溶性配位子化合物)は、上記したように、リン原子とポリエチレングリコール親水性部位とが長鎖アルキレン基または長鎖アルキレンフェニレン基で結合された両親媒性を呈する化合物であるから、これを第8族遷移金属錯体を混合すると、水溶液中でのヒドロホルミル化反応を円滑に進行する触媒を得ることができる。【0018】本発明に係る上記触媒は、上記特有な成分を含有することから、ヒドロホルミル化反応の原料として、従来その合成が困難とされていた水に不溶な長鎖アルケン例えば1-オクテン、1-ドデセン等を用いたとしても他の添加剤を併用することなく対応するアルデヒド類を高収率・高選択率で得ることができる。【0019】本発明で用いる第8族遷移金属錯体には、その金属塩、水和物およびホモまたはヘテロ複核錯体も包含される。第8族遷移金属錯体として好ましくはロジウム錯体、コバルト錯体、イリジウム錯体、ルテニウム錯体、白金錯体であるが、さらに好ましくはロジウム錯体、コバルト錯体、イリジウム錯体である。【0020】本発明で用いられる第8属金属錯体としては、たとえば、三塩化ロジウム、酢酸ロジウム、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム、(アセチルアセトナト)(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム、(アセチルアセトナト)(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン)ロジウム、テトラカルボニルジ-μ-クロロジロジウム、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウムダイマー、ビス(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン)クロロロジウムダイマー、クロロビス(シクロオクテン)ロジウムダイマー、μ-ジクロロテトラエチレンジロジウム、ドデカカルボニル四ロジウム、ヘキサデカカルボニル六ロジウム、ヒドリドテトラカルボニルロジウム、オクタカルボニル二コバルト、ドデカカルボニル四コバルト、テトラカルボニル(η-ブタジエン)二コバルト、ヘキサデカカルボニル六コバルト、ドデカカルボニルヒドリド三コバルトルテニウム、ヒドリドテトラカルボニルコバルト、ジカルボニル(η-シクロペンタジエニル)コバルト、ドデカカルボニルヒドリド四イリジウム、ヘキサデカカルボニル六イリジウム、クロロトリカルボニルイリジウム、ジ-μ-クロロテトラキス(シクロオクテン)二イリジウム、ジ-μ-クロロテトラキス(エチレン)二イリジウム、ジ-μ-クロロビス(1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム等が挙げられる。【0021】本発明に係る触媒は、反応系中で上記第8族遷移金属錯体と前記一般式(1)で示される有機リン化合物(水溶性配位子化合物)を混合し調整したものを精製してもよいし、精製せずそのまま用いてもよい。この反応触媒系における金属錯体と有機リン化合物(水溶性配位子化合物)の混合比は、第8族遷移金属原子と有機リン化合物(水溶性配位子化合物)のリン原子の当量比にして第8族遷移金属原子1に対しリン原子1〜100望ましくは2〜30がよい。【0022】前記反応を実施する場合、通常反応溶媒は水のみを用いればよいが、一般的な有機溶媒を一緒に用いてもよい。有機溶媒を用いる場合には、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素類等が挙げられる。【0023】反応後の生成物の分離は、生成物である有機層を、触媒を含む水層から分離後、蒸留・再結晶等の通常の精製単離法によって容易に実施される。また、触媒を含む水層はそのままつぎのヒドロホルミル化反応に使用することができる。【0024】【実施例】次に本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。【0025】実施例1t-ブトキシカリウム(2.85mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液をにジフェニルホスフィン(2.58mmol)を入れ室温で4時間攪拌する。この反応液にトリ(エチレングリコール)(メチル)10-ブロモデシルエーテル(2.59 mmol)を加え、室温で10時間攪拌する。反応液にペンタン20mlを加え、沈殿を濾過した後蒸留を行うと、下記式で示されるトリ(エチレングリコール)(メチル)10-ジフェニルホスフィノデシルエーテル(化合物A)が69%収率で得られた。Ph2P(CH2)10(OCH2CH2)3OMe (化合物A)【0026】次に、化合物Aのスペクトルを示す。1H-NMR: 1.17-1.34 (m, 10H, CH2), 1.34-1.48 (m, 4H, CH2), 1.56 (tt, J = 7.0, 7.0 Hz, 2H, CH2), 2.00-2.06 (m, 2H, CH2P), 3.37 (s, 3H, CH3O), 3.43 (t, J = 7.0 Hz, 2H, CH2O), 3.53-3.60 (m, 4H, OCH2CH2O), 3.62-3.70 (m, 8H, OCH2CH2O), 7.27-7.35 (m, 6H, C6H5), 7.35-7.44 (m, 4H, C6H5). 13C-NMR: 26.00 (d, J = 16.5Hz), 26.12, 28.08 (d, J = 11.3 Hz), 29.28, 29.48, 29.51, 29.58, 29.66, 31.26 (d, J =13.4 Hz), 59.10, 70.09, 70.57, 70.63, 70.67, 71.58, 71.98, 128.41 (d, J = 11.4 Hz), 128.42, 132.73 (d, J = 18.6 Hz), 139.07 (d, J = 12.4 Hz). 31P-NMR: -16.1. HRMS calcd for C29H45O4P 488.3053 , found 488.3082. Anal. calcd for C29H45O4P: C, 71.28; H, 9.28; found: C, 71.37; H, 9.47.【0027】実施例2t-ブトキシカリウム(2.02mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液をにジフェニルホスフィン(2.06mmol)を入れ室温で4時間攪拌する。この反応液にポリ(エチレングリコール)(メチル)18-ブロモオクタデシルエーテル(数平均分子量1100, 2.00 mmol)を加え、室温で10時間攪拌する。反応液を濃縮後カラム精製を行うと、下記式で示される数平均分子量1207のポリ(エチレングリコール)(メチル)10-ジフェニルホスフィノオクタデシルエーテル(化合物B)が得られた。Ph2P(CH2)18(OCH2CH2)nOMe (n=16.8) (化合物B)【0028】実施例3t-ブトキシカリウム(3.02mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液をにジフェニルホスフィン(3.06mmol)を入れ室温で4時間攪拌する。この反応液にポリ(エチレングリコール)(メチル)10-ブロモデシルエーテル(数平均分子量792, 3.01 mmol)を加え、室温で10時間攪拌する。反応液にペンタン20mlを加え、沈殿を濾過したのちカラム精製を行うと、下記式で示される数平均分子量897のポリ(エチレングリコール)(メチル)10-ジフェニルホスフィノデシルエーテル(化合物C)が83%収率で得られた。Ph2P(CH2)10(OCH2CH2)nOMe (n=12.3) (化合物C)【0029】次に、化合物Cのスペクトルを示す。1H-NMR: 1.17-1.33 (m, 10H, CH2), 1.34-1.45 (m, 4H, CH2), 1.50-1.59 (m, 2H, CH2), 1.97-2.08 (m, 2H, CH2P), 3.36 (s, 3H, CH3O), 3.37-3.45 (m, CH2O), 3.49-3.71 (m, 49.2H, OCH2CH2O), 7.27-7.35 (m, 6H, C6H5), 7.35-7.44 (m, 4H, C6H5). 31P-NMR: -16.1.【0030】実施例4t-ブトキシカリウム(3.01mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液をにジブチルホスフィン(2.98mmol)を入れ室温で4時間攪拌する。この反応液にポリ(エチレングリコール)(メチル)10-ブロモデシルエーテル(数平均分子量792, 3.01 mmol)を加え、室温で10時間攪拌する。反応液にペンタン20mlを加え、沈殿を濾過したカラム精製を行うと、下記式で示される数平均分子量857のポリ(エチレングリコール)(メチル)10-ジブチルホスフィノデシルエーテル(化合物D)が得られた。Bu2P(CH2)10(OCH2CH2)nOMe (n=12.3) (化合物D)【0031】実施例5オートクレーブに(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(0.015mmol)と化合物A(0.048mmol)および水(2ml)1-オクテン(1ml, 6.37mmol)を入れる。一酸化炭素と水素の1:1混合ガスを1MPaで加圧し100℃で3時間攪拌する。常圧に戻した後、上澄みを取り蒸留するとノニルアルデヒドが47%(n-/iso-=51/49)収率で得られた。【0032】実施例6オートクレーブに(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(0.015mmol)と化合物C(0.051mmol)および水(2ml)1-オクテン(1ml, 6.37mmol)を入れる。一酸化炭素と水素の1:1混合ガスを1MPaで加圧し100℃で3時間攪拌する。常圧に戻した後、上澄みを取り蒸留するとノニルアルデヒドが61%(n-/iso-=71/29)収率で得られた。この反応液(水層)に1-オクテン(1ml, 6.37mmol)を加え同様な条件下反応を行い処理するとノニルアルデヒドが57%(n-/iso-=76/24)収率で得られた。【0033】実施例7オートクレーブに(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(0.015mmol)と化合物C(0.054mmol)および水(2ml)1-オクテン(1ml, 6.37mmol)を入れる。一酸化炭素と水素の1:1混合ガスを3MPaで加圧し100℃で3時間攪拌する。常圧に戻した後、上澄みを取り蒸留するとノニルアルデヒドが80%(n-/iso-=72/28)収率で得られた。この反応液(水層)に1-オクテン(1ml, 6.37mmol)を加え同様な条件下反応を行い処理するとノニルアルデヒドが74%(n-/iso-=72/28)収率で得られた。さらにこの反応液(水層)に1-オクテン(1ml, 6.37mmol)を加え同様な条件下反応を行い処理するとノニルアルデヒドが87%(n-/iso-=71/29)収率で得られた。【0034】【発明の効果】本発明の有機リン化合物は、文献未載の新規化合物であって、前記一般式(1)で示される化学構造式から明らかなように、リン原子とポリエチレングリコール親水性部位とが長鎖アルキレン基または長鎖アルキレンフェニレン基で結合された両親媒性を呈する化合物である。また、本化合物はその構造上の特徴から明らかなように分子の片末端に親水性基を有し、疎水性基の片末端に触媒を配位するリン原子を有するため、反応系中でリン原子部分は有機層側に存在しやすく、更にはヒドロホルミル化反応の反応温度下では水への溶解度が低くなり有機層側に存在しやすくなっていると推定される。従って、これを第8族遷移金属錯体と混合すると、水溶液中でのヒドロホルミル化反応を円滑に進行する触媒を得ることができる。また、本発明に係る上記触媒は、上記特有な成分を含有することから、ヒドロホルミル化反応の原料として、従来その合成が困難とされていた水に不溶な長鎖アルケン例えば1-オクテン、1-ドデセン等を用いたとしても他の添加剤を併用することなく対応するアルデヒド類を高収率・高選択率で得ることができる。 下記一般式(1)R1R2PA(CH2)n(OCH2CH2)mR3 (1)(式中、R1およびR2は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基またはアリーロキシ基を示し、R1およびR2は、結合して環を形成していてもよい、R3は、水酸基、低級アルコキシ基を示し、Aはフェニレン基またはメチレン基を示し、nは5〜30、mは3〜300を示す)で表されるポリエチレングリーコール構造を有する有機リン化合物。 上記一般式(1)で表される有機リン化合物と第8族遷移金属錯体を含むヒドロホルミル化反応触媒。 上記一般式(1)で表される有機リン化合物が第8属遷移金属錯体に配位されてなる請求項2記載のヒドロホルミル化反応触媒。