タイトル: | 特許公報(B2)_A/Fセンサの電流検出回路 |
出願番号: | 2002040127 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | G01N 27/41,F02D 45/00 |
福田 照久 森口 広 服部 一孝 池田 慎治 JP 3992509 特許公報(B2) 20070803 2002040127 20020218 A/Fセンサの電流検出回路 富士通テン株式会社 000237592 トヨタ自動車株式会社 000003207 石田 敬 100077517 鶴田 準一 100092624 土屋 繁 100100871 西山 雅也 100082898 福田 照久 森口 広 服部 一孝 池田 慎治 20071017 G01N 27/41 20060101AFI20070927BHJP F02D 45/00 20060101ALI20070927BHJP JPG01N27/46 325PG01N27/46 325QF02D45/00 368G G01N 27/41 F02D 45/00 特開2001−228111(JP,A) 特開2000−329739(JP,A) 特開2000−171439(JP,A) 特開2000−028575(JP,A) 4 2003240752 20030827 9 20050207 柏木 一浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、車両のエンジンなどの内燃機関における空燃比を検出するためのセンサ(以下、A/Fセンサ)における電流検出回路に関する。【0002】【従来の技術】A/Fセンサは、排気ガス中の空気対燃料の比(空燃比)、即ちA/F値を監視するセンサである。このセンサは、車両などの排気ガス中の空気と燃料の比を検出し、検出した値に基づいてエンジンに供給する燃料の割合を最適な値に調整するために使用される。図1に、一般的なA/Fセンサにおけるセンサ電流とA/F値の関係を示す。このA/Fセンサ特性は、センサ両端電圧を0.4Vとして測定した場合のものである。また、ストイキ状態でセンサ電流が0となり、リッチ状態でセンサ電流がマイナス、リーン状態でプラスとなるように回路調整されている。【0003】図示するように、A/F値とセンサ電流にはほぼ比例関係があり、したがってセンサ電流を回路上で検出することにより、A/F値を求めることができる。【0004】また、センサ特性を得るためにはA/Fセンサを活性化する必要があり、そのためにセンサの素子温度を一般的には550℃以上にする。センサの素子温度検出には、図2に示したセンサのアドミッタンス−温度特性を使用している。アドミッタンス−温度特性はセンサに固有であるので、素子アドミッタンス値Ad1を測定し、その測定値を予め測定されたアドミッタンス−温度特性曲線と比較することによって、そのときの素子温T1が検出される。なお、アドミッタンスAdはインピーダンスZの逆数である。【0005】以上をまとめると、A/Fセンサの処理回路には、A/F値を求める為にセンサの電流値をモニタする機能(機能1)およびセンサの素子温を求める為にセンサのアドミッタンス値を検出する機能(機能2)の、2個の機能が求められる。【0006】図3は、上記2個の機能を備える従来のセンサ電流検出回路を示す。図において、1は、+端子2およびマイナス端子3を有する2端子A/Fセンサであり、図示するようにインピーダンスZと起電力Eの直列回路で等価することができる。これら2端子2,3は、ECU(電子制御ユニット)内のA/Fセンサ回路4に接続されている。A/Fセンサ回路4は、図示するように、オペアンプ5,6、シャント抵抗Ra、Rbで構成されている。【0007】オペアンプ5の出力端子は、シャント抵抗Raを介してセンサ1の+側端子2に接続されている。センサ1の+側端子2は、オペアンプ5の+側入力端子に接続されている。また、オペアンプ5の−側入力端子は、可変電圧V1の変動電源7に接続され、オペアンプ6の−側入力端子は電圧V2の電圧固定電源に接続されている。オペアンプ5,6は、センサ1の+および−端子2,3の電圧値をそれぞれ可変電源7の電圧V1、固定電源8の電圧V2とするように動作する。なお、オペアンプ5,6は+B電源と接地間とに接続されている。【0008】9は、シャント抵抗Raの両端の電圧をモニタするための端子AD1,AD2を備えたADコンバータである。このコンバータ9によって検出された電圧値は、図示はしないがマイクロコンピュータに送られ、そこで所定の処理が行われてセンサ電流およびアドミッタンス値が算出される。【0009】以下に、上記センサ電流検出回路4の動作を説明し、従来装置の欠点について明らかにする。まず、説明を簡単にするために、ADコンバータ9の許容電圧範囲を0〜5V、センサ電流検出時のV1電圧を3.3V、V2電圧を2.9Vとする。【0010】以上の回路において、上記機能1は、電圧V1を一定(例えば3.3V)とした場合、センサ電流=(AD2−AD1)/R、を測定することによって実行される。また、機能2は、電圧V1を変動(ΔV)させ、そのときの電流変化分(ΔI)からアドミッタンスを求めることによって、実現することができる。なお、この場合センサ1のアドミッタンスZは、アドミッタンス=ΔI/ΔV (1)で示す式で求められる。【0011】実際の電圧掃引波形V1,V2を図4に示す。波形V1は、ΔV=0.2Vで掃引する期間b、および電圧V1=3.0Vである定電圧期間aの繰り返しで構成され、期間bと期間aの長さは数100mSである。素子アドミッタンスは、前述したように、電圧掃引時である期間bでのセンサ内インピーダンスによる電流変化分ΔIを求めることによって、上記式(1)から得ることが出来る。なお、この時、ADコンバータ9の端子AD2によって検出される電圧は、ピーク値でB電圧まで上昇する。【0012】一方、機能1であるセンサ電流のモニタは、V1=3.3V固定である期間aにおいて実行される。この時、ADコンバータ9の端子AD2の電圧は、A電圧に固定される。一例として、以下の条件でのADコンバータ9の端子AD1,AD2における電圧を求める。【0013】<条件1>A/F=18の時のセンサ電流は4[mA]であり、制御狙い素子温700℃時の素子アドミッタンスAdは、Ad=0.04[1/Ω]、さらにシャント抵抗Ra=100Ωとする。【0014】この場合、センサ電流検出時(期間a)の端子AD2のA電圧は、A電圧=3.3V+100Ω×4mA=3.7Vとなる。【0015】一方、素子アドミッタンス算出時(期間b)のAD電圧のピーク値Bは、B電圧=A電圧(3.7V)+100Ω×(0.2V/(1/0.04[1/Ω])=4.5Vとなる。【0016】通常のADコンバータ9の入力電圧許容範囲は0〜5Vであり、上記のA電圧およびBともこの範囲内であるので、条件1のセンサを使用する限りにおいて、問題は生じない。しかしながら、センサの設計変更によってA/Fセンサ特性が変化すると、上記B電圧がADコンバータの入力許容範囲5Vを超えることがある。この場合の例を以下に示す。【0017】<条件2>A/F=18の時のセンサ電流は条件1と同様に4[mA]であるが、センサの設計変更により、制御狙い素子温700℃の素子アドミッタンス=0.08[1/Ω]となった場合を考察する。この時のADコンバータ9の端子AD2におけるA電圧を求める。まず、センサ電流検出時(期間a)においては、A電圧=3.3V+100Ω×4mA=3.7Vとなる。【0018】次に、素子アドミッタンス算出時(期間b)においては、B電圧=A電圧(3.7V)+100Ω×(0.2V/(1/0.08[1/Ω])=5.3Vとなって、ADコンバータ9の入力電圧範囲を超え、その結果、端子AD2の電圧は5Vに張り付く。【0019】【発明が解決しようとする課題】この様に、A/Fセンサの特性が変化すると、電圧掃引時のAD2電圧がこのコンバータの入力電圧範囲を超え、B電圧が5Vに張り付くことがある。このような場合には、正確な素子アドミッタンスを算出することが出来なくなる。通常、この様な事態に対処する為に、シャント抵抗Raの値を半分の50Ωに落として電圧掃引時のB電圧がコンバータの最大許容値に張り付かないようにしている。【0020】ところが、シャント抵抗Rの値を50Ωに落とすという対策を取ることによって、A点電圧が3.7Vから3.5Vへ減少し、ダイナミックレンジが半分になる。つまり、センサ電流の検出精度が2分の1となる欠点を有している。【0021】以上の様に、従来のA/Fセンサの電流検出回路は、回路設計時に想定された特性を有するA/Fセンサとは異なるセンサを使用した場合に、正確な素子アドミッタンスを、高いセンサ電流検出精度を保ちながら検出することが困難になるという欠点を有している。したがって本発明は、異なる特性を有するA/Fセンサであっても、実用に耐えうるセンサ電流検出精度を保ちながら、正確な素子アドミッタンス測定を行うことができる、センサ電流検出回路を得ることを目的とする。【0022】【課題を解決するための手段】 本発明の第1のA/Fセンサの電流検出回路は、上記課題を解決する為に、A/Fセンサに印加される電圧を生成するためのオペアンプと、該オペアンプの出力端子および前記A/Fセンサ間に接続される電流測定用の第1の抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記第1の抵抗間に一方の端子を接続する互いに直列接続された分圧用の第2、第3の抵抗と、前記オペアンプの出力端子および前記第1の抵抗間に設けた第1の出力端子と、前記第1の抵抗と前記A/Fセンサ間に設けた第2の出力端子と、前記分圧用の第2、第3の抵抗間に設けた第3の出力端子を備えている。さらに前記第1および第2の出力端子は前記A/Fセンサの電流値を検出し、前記第2および第3の出力端子は前記A/Fセンサのアドミッタンス値を検出する。【0023】上記本発明の第1のA/Fセンサの電流検出回路によれば、第3の測定端子における電圧は、第2および第3の抵抗の分圧比に基づいて、第1の測定端子の電圧に比べて低下する。例えば、第2、第3の抵抗が1:1の抵抗比を有している場合は、第3の出力端子の電圧は第1の出力端子電圧の半分となる。通常、これらの出力端子からの信号はADコンバータを介してマイクロコンピュータなどに入力され、所定の演算処理を経てセンサ電流が検出される。したがって、異なる特性を有するA/Fセンサを採用したことによって素子アドミッタンス検出時に第1の出力端子の出力が増大した場合でも、第1の出力端子に代わって第3の出力端子を用いることにより、出力電圧をADコンバータの入力電圧範囲に収めることができる。これによって、A/Fセンサの交換に対して十分に対応可能な、柔軟性の高いA/Fセンサの電流検出回路を提供することが出来る。【0024】 本発明の第2のA/Fセンサの電流検出回路は、上記課題を解決する為に、A/Fセンサに印加される電圧を生成するためのオペアンプと、該オペアンプの出力端子および前記A/Fセンサ間に接続される直列接続された電流測定用の第1、第2の抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記第1の抵抗間に設けた第1の出力端子と、前記第1および第2の抵抗間に設けた第2の出力端子と、前記第2の抵抗および前記A/Fセンサ間に設けた第3の出力端子を備えている。さらに前記第1および第3の出力端子は前記A/Fセンサの電流値を検出し、前記第2および第3の出力端子は前記A/Fセンサのアドミッタンス値を検出する。【0025】上記本発明の第2のA/Fセンサの電流検出回路によれば、上記第1の発明の場合と同様に、第1の出力端子に代わって第2の出力端子を素子アドミッタンスの検出に用いることによって、別の特性を有するA/Fセンサを用いた場合でも、出力電圧をADコンバータの入力電圧範囲内に収めることが出来るようになる。これによって、A/Fセンサの交換に対して十分に対応可能な、柔軟性の高いA/Fセンサの電流検出回路を提供することが出来る。【0026】【発明の実施の形態】図5は、本発明の第1の実施形態にかかるA/Fセンサの電流検出回路を示す回路図である。なお、以下の図において、図3に示すものと同じ参照符号は、同一かまたは類似の構成要素を示すので、重複した説明は行わない。【0027】図5に示す実施形態では、オペアンプ5の出力端子とシャント抵抗Ra間に、分圧用の直列に接続された抵抗R1,R2を追加し、抵抗R1,R2の接続ノードをADコンバータ9の入力端子AD3に接続した構成を有する。各抵抗の抵抗比は1:1とされている。本実施形態では、センサ電流値を検出する場合は、ADコンバータ9における入力端子AD1とAD2を使用し、一方素子アドミッタンスを検出する場合は、ADコンバータ9の入力端子AD1とAD3を使用する。あるいは、素子アドミッタンスを検出する場合も入力端子AD1とAD2を使用し、入力端子AD2の電圧値が5Vに張り付いた場合は入力端子AD1とAD3を使用するようにしても良い。【0028】このようにすることによって、従来と同様にセンサ電流値を検出することが出来る一方で、素子アドミッタンス検出時にADコンバータ9の入力端子AD2が電圧5Vに張り付いた場合であっても、入力端子AD3の電圧はその半分となるのでADコンバータの入力電圧範囲5V以内に収まり、問題を生じない。【0029】これを、従来例の説明の項で挙げた、<条件2>の場合について説明する。上記<条件2>の場合、従来例回路では、A/F=18の時、センサ電流は<条件1>の場合と同様に4mAとなり、ADコンバータ9の入力端子AD2にかかる電圧は5.3Vとなるが、本実施形態の場合では、ADコンバータ9の入力端子AD3にかかる電圧は2.65Vとなり、ADコンバータの入力電圧範囲に十分収まり問題を生じない。なお、この場合でも図4のA点電圧は3.7Vを得ることが出来るので、ダイナミックレンジの減少によるセンサ電流検出精度の劣化は無い。【0030】図6は、本発明の、第2の実施形態の回路図を示す。本実施形態では、図3に示した従来の回路の抵抗Raに替えて、2個の抵抗R3およびR4を用いている。抵抗R3と抵抗R4の抵抗値は、従来の抵抗Raの半分とする。即ち、R3=R4=Ra/2である。【0031】上記<条件2>の場合を考えると、センサ電流値を検出する場合は、ADコンバータ9の入力端子AD1とAD2を使用し、センサ電流4mAを得る。一方、素子アドミッタンスを検出する場合は、ADコンバータ9の入力端子AD1とAD4を使用する。入力端子AD2の電圧は、電圧掃引時5.3Vとなるが、入力端子AD4の電圧は、(5.3V−3.3V)/2+3.3V=4.3Vとなり、ADコンバータ9の入力電圧範囲に収まり問題は生じない。なお、この場合でも図4のA点電圧は3.7Vを得ることが出来るので、ダイナミックレンジの減少によるセンサ電流検出精度の劣化は無い。【0032】なお、本回路でも、入力端子AD2の電圧が5V以下である場合は、入力端子AD1とAD2を素子アドミッタンスの測定に用い、異なるA/Fセンサを用いたことによって特性が変わり、入力端子AD2の電圧値が5Vを超えた場合に、端子AD1とAD4を用いて素子アドミッタンスの測定を行うようにしても良い。【0033】【発明の効果】以上に実施形態を示して説明したように、本発明のセンサ電流検出回路では、A/Fセンサの設計変更などによりその特性が変化した場合であっても、電流検出精度を劣化させることなく正確に素子アドミッタンスを検出することが可能である。これにより、A/Fセンサの特性変化に対して対応可能範囲の大きいセンサ電流検出回路を提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】一般的なA/Fセンサ特性を示す図。【図2】A/Fセンサの、一般的なアドミッタンス−素子温特性を示す図。【図3】従来のセンサ電流の検出回路を示す図。【図4】図3に示す回路の動作説明に供する波形図。【図5】本発明の第1の実施形態にかかるA/Fセンサの電流検出回路を示す図。【図6】本発明の第2の実施形態にかかるA/Fセンサの電流検出回路を示す図。【符号の説明】1…A/Fセンサ2…+側端子3…−側端子4…A/Fセンサ5、6…オペアンプ7、8…電源9…ADコンバータ A/Fセンサに印加される電圧を生成するためのオペアンプと、該オペアンプの出力端子および前記A/Fセンサ間に接続される電流測定用の第1の抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記第1の抵抗間に一方の端子を接続する互いに直列接続された分圧用の第2、第3の抵抗と、前記オペアンプの出力端子および前記第1の抵抗間に設けた第1の出力端子と、前記第1の抵抗と前記A/Fセンサ間に設けた第2の出力端子と、前記分圧用の第2、第3の抵抗間に設けた第3の出力端子、を備え、前記第1および第2の出力端子は前記A/Fセンサの電流値を検出し、前記第2および第3の出力端子は前記A/Fセンサのアドミッタンス値を検出する、A/Fセンサの電流検出回路。 請求項1に記載のA/Fセンサの電流検出回路において、前記第2、第3の抵抗は、1:1の抵抗比を有する、A/Fセンサの電流検出回路。 A/Fセンサに印加される電圧を生成するためのオペアンプと、該オペアンプの出力端子および前記A/Fセンサ間に接続される直列接続された電流測定用の第1、第2の抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記第1の抵抗間に設けた第1の出力端子と、前記第1および第2の抵抗間に設けた第2の出力端子と、前記第2の抵抗および前記A/Fセンサ間に設けた第3の出力端子、を備え、前記第1および第3の出力端子は前記A/Fセンサの電流値を検出し、前記第2および第3の出力端子は前記A/Fセンサのアドミッタンス値を検出する、A/Fセンサの電流検出回路。 請求項3に記載のA/Fセンサの電流検出回路であって、前記第2、第3の抵抗は、1:1の抵抗比を有する、A/Fセンサの電流検出回路。