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タイトル:特許公報(B2)_ジフェニルカーボネートの製造方法及び芳香族ポリカーボネートの製造方法
出願番号:2002031061
年次:2007
IPC分類:C07C 68/08,C07C 68/02,C07C 69/96,C08G 64/30


特許情報キャッシュ

宮本 正昭 久間 清次 兵頭 成俊 藤本 英司 浦嶋 英俊 JP 3970627 特許公報(B2) 20070615 2002031061 20020207 ジフェニルカーボネートの製造方法及び芳香族ポリカーボネートの製造方法 三菱化学株式会社 000005968 特許業務法人志成特許事務所 110000257 長谷川 一 100068065 松田 寿美子 100077436 近藤 久美 100077078 南野 雅明 100082186 宮本 正昭 久間 清次 兵頭 成俊 藤本 英司 浦嶋 英俊 JP 2001049617 20010226 20070905 C07C 68/08 20060101AFI20070816BHJP C07C 68/02 20060101ALI20070816BHJP C07C 69/96 20060101ALI20070816BHJP C08G 64/30 20060101ALI20070816BHJP JPC07C68/08C07C68/02 AC07C69/96 ZC08G64/30 C07C 68/08 C07C 68/02 C07C 69/96 特開平08−198816(JP,A) 特開平11−012230(JP,A) 特開平03−120240(JP,A) 特開平07−138208(JP,A) 特開2002−047251(JP,A) 特開平09−301931(JP,A) 10 2002322130 20021108 16 20040913 中島 庸子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ジフェニルカーボネートの製造方法に関する。更に詳しくは、塩素含有量の少ない精製ジフェニルカーボネートを蒸留精製により得る方法に関する。本発明により得られる精製ジフェニルカーボネートは、溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネートの原料として有用である。そして、その芳香族ポリカーボネートは、光ディスク基板、ICやLEDの精密電子部材の搬送容器、電子機器のハウジング等に使用する樹脂材として有用である。【0002】【従来の技術】従来、ジフェニルカーボネートには、種々の製造法が知られている。例えば、第4級アンモニウム塩触媒の存在下でフェノールをホスゲン化する方法や、金属フェノキシドの水溶液とホスゲンとを、有機溶媒の存在下に反応させる方法等である。商業的に製造されるジフェニルカーボネートは、どの製造法によるものでも各種の汚染物質を含有しており、精製工程が必要となる。汚染物質とは、無機及び有機の塩素化合物、金属イオン、鉄化合物、クロロギ酸フェニルのような反応中間体、製造に使用した有機溶媒等である。これらの汚染物質の内、無機及び有機の塩素化合物の存在は、芳香族ポリカーボネートを製造する際の重合速度及び色相に大きな影響を与えるため、これらを除去する精製工程が特に重要である(特公昭38−1373号、特公平7−96613号、特公平6−18868号、特開昭63−97627号、特開昭64−24829号公報参照)。【0003】特開平4−100824号公報には、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを反応させて芳香族ポリカーボネートを製造するにあたり、▲1▼重合触媒を使用せず、▲2▼塩素含有量が0.05ppm以下であり、かつ、キサントン含有量が10ppm以下であるジアリールカーボネートを用いることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製法が記載されている。この中で、塩素とは、塩酸や塩化ナトリウム、塩化カリウム等の酸や塩として存在する塩素、又は、フェニルクロロフォーメートのような有機化合物中の塩素を意味し、硝酸銀溶液を用いて電位差滴定による塩素イオンの測定により定量することができるとしている。【0004】このような低塩素量のジフェニルカーボネートを得るための精製方法として種々の方法が提案されている。例えば、ジフェニルカーボネートに尿素を加えて加熱溶融する方法(特公昭42−9820号)、溶融ジフェニルカーボネートを水で洗浄し、ついで蒸留する方法(特開平7−138208号)、粗製ジフェニルカーボネート溶融液から分別して結晶化する方法(特開平8−3119号)、ジフェニルカーボネートを塩基性物質の存在下で蒸留する方法(特開平8−198816号)等が開示されている。【0005】上記の如く、微量に含有した塩素の低減について種々の方法が考案されているが、溶融ジフェニルカーボネートを水で洗浄し、ついで蒸留する方法では、ジフェニルカーボネートの易抽出性塩素は数十ppbまで低減可能であるが、不純物として存在する有機塩素化合物の分解により発生する揮発性塩素を低減するには不十分であった。すなわち、水洗浄で易抽出塩素を低減しても次の蒸留工程で有機塩素化合物の分解を生じ揮発性塩素がコンタミして、ジフェニルカーボネート中の塩素は数十ppb以上となり、重合活性が高く、かつ、着色の少ない芳香族ポリカーボネートの原料としては不適当であった。【0006】更に、塩基性物質の存在下でジフェニルカーボネートを蒸留する手法では、相当高濃度の塩基性物質を必要とし、特にジフェニルカーボネートに不溶の塩基性物質では、高濃度添加でも蒸留塔頂より得られるジフェニルカーボネート中の微量塩素分は低減困難であった。その理由は、塩基性物質が不溶であるため、存在下に蒸留しても接触していない部分では何ら効力を発揮せず、そのまま蒸留されてくるためと推定される。しかも塩基性物質を高濃度で蒸留塔底部の高温下に保持すると、塩基性物質のフェノラートが生成し、このフェノラートが蒸留塔の材質として使用されるオーステナイト系ステンレスの孔触を引き起こすことが判った。【0007】また高純度のジフェニルカーボネートを得るためには、原料であるホスゲンとして高純度のものを用いることが必要とされている。ホスゲンは従来より活性炭を触媒として一酸化炭素と塩素から製造する方法が一般的であるが、この方法には下記のような種々の問題がある。即ち、(1)触媒として市販の活性炭をそのまま使用した場合、活性炭中の不純物により(特公平6−29129号公報)、また反応が急激に起こることに基づく反応温度上昇により(特公昭55−14044号公報)、生成するホスゲン中に副生不純物、特に四塩化炭素が多量に混入する。(2)市販の活性炭に含まれる金属不純物は、一酸化炭素と塩素との反応において四塩化炭素等の副生物の生成を促進するとされている。酸洗浄等により活性炭の金属不純物を特定の含量以下にすることが有効とされている(特公平6−29129号公報)が、大量の活性炭を酸洗浄して用いることは煩雑であり、実生産上困難であるばかりか、金属不純物を効率的に除去することも困難である。【0008】(3)反応温度の上昇を避けるため、触媒層の表面層のみに原料ガスを流通させたり、冷却管を多段に設けたりする方法が提案されているが、前者は反応器の容積効率が極端に低下する問題があり、また後者の場合は反応器の構造が必然的に複雑になる。(4)触媒層を外部冷却する方法も提案されているが、この場合も触媒層中央部は高温となるので、四塩化炭素が多量に生成する(Kirk−Othmer“Encyclopedia of Chemical Technology”第二版,第五巻等)。【0009】四塩化炭素等の不純物を含むホスゲンをジフェニルカーボネートの製造に用いると、有機塩素不純物が副生し、かつ生成したジフェニルカーボネートの塩素含量を低減させるのは困難である。塩素含量の高いジフェニルカーボネートは、ジヒドロキシ化合物とのエステル交換による重合反応において、活性低下や色調悪化を招くので、ポリカーボネートの原料として不適当である。そこで、最近では、ホスゲンガスを液化精製し、ホスゲン中の低沸不純物を除去して使用する方法や、ホスゲンを蒸留精製し高沸不純物を除去して使用する方法、更には、液化したホスゲンを活性炭等の吸着剤で精製して使用する方法等が採用されている。しかしながら、これらいずれの方法においても、プラント内における有毒なホスゲンの保有量が増加することとなり、事故に際しての環境面の影響が懸念されている。またホスゲン精製設備を必要とするため、建設費及び用役費が増加する。【0010】【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネートの製造に際し、着色や重合阻害の要因となる、ジフェニルカーボネート中の塩素由来の不純物を、ジフェニルカーボネートの分解を抑制しつつ、効果的に除去する、工業的な連続プロセスを可能とするジフェニルカーボネートの製造方法を提供する。【0011】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の様な問題を解決するため鋭意検討を行った結果、水分、不純物を含有する粗製ジフェニルカーボネートを連続蒸留により精製する方法において、塩基性物質と向流接触させながらジフェニルカーボネートより低沸点の不純物を除去する前段蒸留では、塩基性物質の水溶液を溶解した状態のまま効率的に塩素分と接触させうるため、塩素低減に必要な塩基性物質量も極端に少なくて済み、結果的には蒸留塔材質へのダメージも極力低減可能と判った。更に、精製ジフェニルカーボネートを回収する後段蒸留や蒸留塔底部を集めて蒸留する回収蒸留では、高温下での長時間滞留を回避すべく、蒸留塔底部より缶出液を連続的に一定量抜き出し、塩基性物質のフェノラートの生成を極力回避することで、蒸留塔材質へのダメージを最小限に抑え得ることも判った。この様な手段を講じることで、ジフェニルカーボネートの加水分解を抑制しつつ、蒸留塔内で副生する酸性物質を蒸留塔材質に影響を与えることなく効率的に中和し、塩素由来の酸性重合阻害性物質をトータル塩素20ppb以下まで低減することで、着色の少ないポリカーボネートの原料として有用な精製ジフェニルカーボネートが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。【0012】即ち、本発明の要旨は、ホスゲンとフェノールとを反応させて粗製ジフェニルカーボネートを製造する工程、次いで、水分及び不純物を含有する粗製ジフェニルカーボネートを連続蒸留する精製工程を含むジフェニルカーボネートの製造方法において、精製工程の連続蒸留が、水分及びジフェニルカーボネートより低沸点の不純物を除去する前段蒸留と精製ジフェニルカーボネートを回収する後段蒸留とを含み、且つ、該前段蒸留には、塩基性物質を供給し、これを該低沸点の不純物と向流接触させることを特徴とするジフェニルカーボネートの製造方法に存する。【0013】また、本発明の別の要旨は、上記製造方法により得られたジフェニルカーボネートを芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法に存する。【0014】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。粗製ジフェニルカーボネートの製造本発明のジフェニルカーボネートの精製工程は、従来公知の種々の方法(特公昭38−1373号、特公昭58−50977号、特開平7−53473号、特開平7−53474号公報等)によって得られた、水分及び不純物を含有する粗製ジフェニルカーボネートに適用することができる。中でも、フェノールとホスゲンとを、触媒として第4級アンモニウム塩、芳香族複素環式含窒素塩基性化合物又はその塩の存在下に、反応させ、生成した反応混合物をアルカリ水溶液と接触させて中和した後に、水相から分離した有機相を水で洗浄し、また水相から分離して得られたものの精製に有効であり、特に、用いられた塩基性触媒の残渣をジフェニルカーボネートから効果的に除去できる。【0015】上記塩基性触媒は、第4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の無機酸塩、有機酸塩が挙げられ、芳香族複素環式含窒素塩基性化合物としては、ピリジン、キノリン、ピコリン、イミダゾール類、ベンズイミダゾール、ピラゾール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類等が挙げられ、その塩としては、上記芳香族複素環式含窒素塩基性化合物の無機酸塩、有機酸塩が挙げられ、これら塩基性触媒は、いずれもジフェニルカーボネートの沸点より低い沸点を有するものである。【0016】反応は、例えば、フェノールと第4級アンモニウム塩、芳香族複素環式含窒素塩基性化合物又はその塩との混合物を、120〜190℃に昇温し、充分な攪拌を行いながらガス状のホスゲンを混合物中に導入することにより行う。ホスゲン導入量としては、フェノール1.0モルに対して1.0モル以下が好ましく、0.4〜0.5モルがさらに好ましい。触媒は基質である芳香族モノヒドロキシ化合物に対して、0.1〜10モル%、特に0.5〜5モル%の量で使用するのが好ましい。反応終了後の混合物中には、ジフェニルカーボネート、未反応フェノール、触媒である第4級アンモニウム塩又は芳香族複素環式含窒素塩基性化合物の塩酸塩及びその他の微量不純物が含まれており、塩素の含有量(易抽出性塩素)は、触媒の使用量に応じて約300〜60,000ppmとなる。次いで、反応混合物を70〜95℃のアルカリ水溶液と接触させて中和し、pH7〜13の範囲で有機相と水相を分離し、分離された有機相を70〜95℃の温水と接触させた後、有機相と水相を分離する。塩酸塩型の塩基性触媒は、中和により遊離型に変換されてその大半が有機相に移行している。従って、有機相として分離された粗製ジフェニルカーボネート中には、通常、易抽出性塩素が数十〜数百ppb、水分が約10,000ppm含まれる。【0017】また、ホスゲンとフェノールを反応させて粗製ジフェニルカーボネートを製造するに際し、液化精製しないホスゲンを使用するのが好ましい。以下、液化精製しないホスゲンを用いて粗製ジフェニルカーボネートを得る場合について説明する。【0018】ホスゲンとしては、一酸化炭素と塩素の混合ガスを、常法により活性炭の充填床に通して反応させたものを用いることができる。この方法では、反応熱のため、充填床の最も高温の部分は300〜400℃に達する。通常は冷却水による外部冷却を行うので反応器出口のガス温度は100℃程度である。反応に供する一酸化炭素と塩素との比率は、化学量論量より一酸化炭素が若干過剰となるようにする。生成するホスゲンガス中には一酸化炭素、二酸化炭素、四塩化炭素及び塩素などが不純物として含まれているが、その主成分は一酸化炭素である(塩化水素も含まれているが、これは不純物に含めない)。【0019】また、ホスゲン製造装置の起動及び停止時には、不純物含量、特に一酸化炭素含量が一般的に高くなる。起動時は活性炭の充填床に一酸化炭素を通しながら塩素を発熱見合いで徐々に供給するためであり、停止時は先に塩素の供給を停止し、活性炭充填床中のホスゲンを一酸化炭素で追い出した後、一酸化炭素の供給を停止するためである。これらの不純物含量の多いホスゲンも本発明では使用可能である。なお、所望ならば、ホスゲン製造が定常状態になるまでは、生成したホスゲンを除害塔で処理し、ホスゲンの品質が安定してからジフェニルカーボネートの製造に用いるようにしてもよい。【0020】本発明では製造したホスゲンは液化精製を施すことなくそのままジフェニルカーボネートの製造に用いることにより、ホスゲン製造とジフェニルカーボネート製造を一体化することもでき、製造装置内のホスゲン保有量を最少限にまで低減することができる。【0021】ホスゲンとフェノールの反応に際しては、ホスゲン中の不純物の70重量%以上、好ましくは80重量%以上が副生する塩化水素とともに反応系から流出するように反応条件を設定する。例えばガスの流出を促進するため、反応器内の圧力は、排ガス処理系での圧力損失を考慮して、0.10〜0.15MPa程度の若干加圧状態とし、ホスゲンは反応液中に溶存するが、副生した塩化水素は不純物と共に速やかに反応器から流出するようにする。【0022】流出したガスは凝縮器で同伴しているフェノール等を凝縮させ、不純物を含む非凝縮ガスは除害処理を行ったのち大気中に放出される。除害処理としては例えば、苛性ソーダ等のアルカリ水溶液が循環している除害塔で酸性成分を中和したり、水洗して塩化水素を塩酸として回収した後、残ガスを中和処理する方法を用いることができる。中和処理後の残ガスはそのまま大気放出したり焼却処理する。また塩化水素は触媒の存在下、酸素で高温で酸化して塩化水素から塩素を生成させ、生成した塩素を液化して回収することもできる。【0023】ジフェニルカーボネートの精製本発明のジフェニルカーボネートの精製工程は、以下に述べる前段蒸留と、後段蒸留を有している。粗製ジフェニルカーボネート中の水分及び触媒、未反応フェノール等、ジフェニルカーボネートよりも低沸点の不純物を除去する前段蒸留で、低沸点の不純物を塩基性物質と向流接触させることにより、蒸留時、加熱により発生してくる酸性物質をほぼ完全に中和でき、且つ、後段蒸留時のジフェニルカーボネートの加水分解抑制並びに塩基性物質による腐食回避の目的で、塔底から缶出液を連続的に効率良く抜き出すことにより、塩素由来の不純物が除去され、低塩素含有量の精製ジフェニルカーボネートを効率よく回収できる。【0024】前段蒸留本発明においては、この有機相の粗製ジフェニルカーボネートを連続蒸留するが、蒸留塔の材質としては、耐孔触性等を考慮して、オーステナイト系ステンレスが選ばれる。まず、前段蒸留では、水分及び遊離型の塩基性触媒、未反応フェノール等のジフェニルカーボネートより低沸点の不純物を除去する。しかも、この前段蒸留には、塩基性物質を供給し、これを低沸点の不純物と向流接触させる。塩基性物質は、通常、水溶液の形で前段蒸留に供給される。また、供給位置としては、塩基性物質と低沸点の不純物とが塔内で気液向流接触可能な位置が選択される。従って、前段蒸留の塔底部の缶出液抜き出し口より上段であれば、任意の位置を選択しうる。しかし、より塔上段の極性分子の濃縮された位置より供給する方が、塩基性物質の分散及び塩基性触媒の解離性を高めることができ効果的である。また、前段蒸留の対象となる水分及び不純物を含有する粗製ジフェニルカーボネートに予め混合し、蒸留原液として塔中段より供給することも有効である。これらの供給位置を採ることにより、前段蒸留時の塩基性物質の分散性を高め、有機塩素化合物の加熱分解を促進させることができる。その結果、分解により発生する塩酸を、回収再利用すべき遊離型の塩基性触媒と結合させることなく、実質的に蒸気圧を持たない金属塩として固定化でき、後段蒸留でのジフェニルカーボネート留出液中の塩素含有量(トータル塩素)を、20ppb以下まで、好ましくは10ppb以下まで低減することが可能となる。【0025】前段蒸留に供給する塩基性物質は、有機塩素化合物の加熱分解により発生する塩酸を実質的に蒸気圧を持たない金属塩として固定化できるものであれば制限はないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにこれらの酸化物、水酸化物及び炭酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。具体的な例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属;マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属;酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属の酸化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属の炭酸塩が挙げられる。これらの中でも、効率性の観点から強塩基性物質が好ましく、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が添加量も少なく好ましい。【0026】塩基性物質の供給量は、前段蒸留に供給される粗製ジフェニルカーボネート中のトータル塩素量に対して決められるべきであり、多すぎるとジフェニルカーボネートの分解損失が増大し、且つ、腐食の面より好ましくない。逆に、少なすぎると塩素低減効果が低くなり好ましくない。従って、通常は上記トータル塩素量の0.5〜20倍モル量、好ましくは1〜10倍モル量が用いられる。前段蒸留は、連続蒸留であれば方法に特に制限はなく、通常、還流装置を配設した精留方式が採られるが、単蒸留も可能である。蒸留時の減圧度は任意であるが、ジフェニルカーボネートの沸点から考えて、0.1〜100kPaの範囲で実施するのが適当である。前段蒸留缶出液中の水分は、通常、100ppm以下まで低減される。【0027】後段蒸留次に、後段蒸留では、前段蒸留の缶出液から精製ジフェニルカーボネートが回収される。その際、後段蒸留の缶出液を連続的に抜き出すこと、しかも、缶出側滞留時間(θt)を5時間以内に調整することが好ましく、2時間以内が特に好ましい。ここで、缶出側滞留時間は、缶出側での缶出液の滞留時間であり、缶出液流量に対する缶出側容積によって定められる。すなわち、水分を実質的に含有しない(100ppm以下)前段蒸留の缶出液は、前段蒸留で塩酸を固定化したアルカリ又はアルカリ土類金属塩等を保有した状態ではあるが、フェノラートに変化しない限り蒸留塔材質への悪影響はない。しかし、一旦フェノラートに変化すると、塩基性物質が溶融ジフェニルカーボネートに溶解した状態となるため、強塩基性となり、加速度的にオーステナイト系ステンレスの腐食を引き起こし始めるものと推定される。従って、前段蒸留への塩基性物質の供給量を可能な限り下げることは勿論、後段蒸留では蒸留塔内にかかる塩基性物質が長時間滞留しない様に、定量性ポンプ、調節弁等で塔底から缶出液を連続的に、一定量効率的に抜き出す操作が重要である。【0028】後段蒸留での濃縮率は、ジフェニルカーボネートの回収から考えれば高い方が好ましく、通常2〜1000倍、好ましくは5〜200倍から選ばれる。一方、アルカリ金属フェノラートの生成量は、反応温度、時間及び濃度の関数であるため、この反応を抑制しようとすると、それぞれが小さい方が好ましい。しかし、温度については、蒸留操作であるため、圧力とのバランスではあるが、ジフェニルカーボネートの融点より低い温度は選択できず、100〜300℃が適している。従って、実用的には、蒸留塔内滞留時間を短くし、濃度を下げる手段が採り得る最良の手段となるのである。【0029】回収蒸留後段蒸留の缶出液より残存するジフェニルカーボネートをさらに回収する目的で、後段蒸留の缶出液を蒸留精製することができる。その際、回収蒸留の缶出液を連続的に抜き出すこと、しかも、缶出側滞留時間(θt)を10時間以内に調整することが好ましく、5時間以内が特に好ましい。また、留出したジフェニルカーボネートの精製のために、この留出液は、粗製ジフェニルカーボネート調製に使用された塩酸塩型の塩基性触媒を中和洗浄する工程にリサイクルすることも有効である。【0030】芳香族ポリカーボネートの製造上記製造方法により得られたジフェニルカーボネートは、ジヒドロキシ化合物とエステル交換反応し、所定分子量の芳香族ポリカーボネートを製造する原料として使用される。ジヒドロキシ化合物に対するジフェニルカーボネートの仕込みモル比は、1.01〜1.30、好ましくは1.02〜1.20の量で用いられることが好ましい。エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する際には、通常エステル交換触媒が使用される。本発明で使用するエステル交換触媒としては、主として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物あるいはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用することも可能である。これらの触媒は、1種類で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。【0031】触媒量としては、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1×10-9〜1×10-3モルの範囲で用いられるが、特に物性面や取り扱いの面で良好なアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類化合物では、ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-8〜1×10-5モル、好ましくは2×10-8〜8×10-6モルの範囲で用いられる。この量より少なければ、所定の分子量、末端ヒドロキシル基量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、この量より多い場合は、ポリマー色相が悪化し、分岐が多くなる。【0032】アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム,カリウム,リチウム,セシウムのアルコレート,フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩,2カリウム塩,2リチウム塩,2セシウム塩などが挙げられる。【0033】また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウムなどが挙げられる。【0034】塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素などの水酸化物が挙げられる。塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩などが挙げられる。【0035】塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。【0036】アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリンなどが挙げられる。【0037】エステル交換反応は一般には二段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反応は減圧下に120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.1〜3時間反応させる。ついで、反応系の減圧度を上げながら反応温度を高め、最終的には10mmHg以下の減圧下、240〜330℃の温度で随時副生するフェノールを留去させながら重縮合反応を行う。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの反応でもよく、使用する装置は、槽型、管型、あるいは塔型のいずれの形式であってもよい。【0038】本明細書中で表記される塩素含有量は、以下の方法により測定されたものである。易抽出性塩素: ジフェニルカーボネート(5g)を精製トルエン(10ml)に加温溶解後、超純水(10ml)を加え、室温で10分間攪拌(マグネチックスターラー1000rpm)した後、水相中の塩素量をイオンクロマトグラフィーで定量分析し、ジフェニルカーボネートに対する重量比で表し、易抽出性塩素とした。トータル塩素: ジフェニルカーボネート(5g)と揮発性塩素のトラップ剤ピリジン(0.1g)とをガラス封管に充填し、真空冷却下で密閉した後オイルバスに浸漬し、190℃で4hr加熱した。室温まで冷却後、ガラス封管を割り、内容物の塩素量を上述した易抽出性塩素と同様の手法で定量し、ジフェニルカーボネートに対する重量比で表し、トータル塩素とした。【0039】また、反応液組成及びガス組成は、ガスクロマドグラフイーで分析し、水分、ピリジン及びフェノールは、それぞれ、カールフィッシャー水分分析装置、高速液体クロマトグラフィーで定量した。また、アルカリ金属塩類濃度は、ジフェニルカーボネートを灰化後、強酸に溶解し、原子吸光法により測定した。【0040】【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。【0041】[粗製ジフェニルカーボネートの製造例−1]オイル循環方式の外部加熱装置に接続されたジャケット付きガラスライニング製反応容器(内容積が60Lで、実液29Lの位置にオーバーフロー管を設置)を2個連続で接続した。第2の反応容器には、生成した塩酸ガスを系外へ除くためのコンデンサー付き排気管を接続した。あらかじめピリジンを5モル%添加して撹拌しておいた溶融フェノールを、約29L/hr(フェノール29.7kg/hr、ピリジン1.24kg/hrに相当)で第1反応容器へ連続供給しながら、150℃へ昇温した。攪拌翼としてフッ素系樹脂でライニングしたディスクタービン翼を使用し、供給されるフェノールの0.46モル比のホスゲン(14.4kg/hr)を第1反応容器へ連続供給した。【0042】第1反応容器から流出した反応混合物は、オーバーフロー管を介して第2反応器へ供給し、第2反応器から流出した反応混合物は、脱ガス塔に供給し、窒素ガス(反応混合物中へ0.5m3/hr)と向流接触させた。【0043】脱ガス塔から流出した反応混合物(組成:ジフェニルカーボネート88重量%、フェノール7重量%、ピリジン塩酸塩5重量%)は、温水循環方式の外部加熱装置に接続されたジャケット付きフッ素系樹脂でライニングした中和混合槽に導かれ、約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液と80℃で10分間混合接触し、pH8.5になるよう調整した。中和後の有機相は、セトラーで30分間静置し水相と分液した後、水洗混合槽に移送した。水洗混合槽では、有機相に対して約30重量%の温水と10分間混合し、その後セトラーで30分間静置した。水相を分離して、粗製ジフェニルカーボネート(水分10,000ppm、ピリジン3.0重量%、フェノール7.0重量%)を得た。粗製ジフェニルカーボネート中の易抽出性塩素は43ppbで、トータル塩素は3800ppbであった。ここで得られたジフェニルカーボネートを「粗製ジフェニルカーボネート−1」とする。【0044】[粗製ジフェニルカーボネートの製造例−2]▲1▼ホスゲンの製造一酸化炭素ガス(一酸化炭素:98.1容量%、水素:1.9容量%、二酸化炭素:トレース、水:トレース)を、ガス混合器を介してホスゲン反応器に3.56Nm3/hrで供給し、その後、反応器の温度見合いで徐々に塩素ガス(塩素:99.8容量%、酸素:0.2容量%)をガス混合器に供給し、一酸化炭素ガスと混合してホスゲン反応器に供給した。2時間後反応器の温度が安定してからは、塩素を定常的に3.36Nm3/hrで供給した。反応器は粒状活性炭を充填したカラム(100mmφ×2500mmH)から成り、冷却水により除熱した。反応圧力は3.3kg/cm2Gで、生成ホスゲンガスは70℃で反応器から流出させた。定常時における粗ホスゲンガスの組成は、ホスゲン:92.3容量%、一酸化炭素:3.7容量%、塩化水素:3.9容量%、水素:トレース、二酸化炭素:0.1容量%、四塩化炭素:100容量ppm、塩素:トレースであり、その生成量は3.63Nm3/hrであった。この粗ホスゲンガスの殆どをジフェニルカーボネート反応器へ供給し、僅かな余剰分は苛性ソーダ水溶液が循環している除害塔で無毒化した後、大気へ放出した。【0045】▲2▼ジフェニルカーボネートの製造温度50℃の溶融フェノールを約30.0kg/hr(0.319kmol/hr)、触媒のピリジンを1.26kg/hr(0.0159kmol/hr)で、十分な撹拌下にある第一反応器に連続供給した。次いで上記の粗ホスゲンガスを3.56Nm3/hr(ホスゲン:14.5kg/hr)で第一反応器に連続供給した。第一反応器には内容積30Lの位置にオーバーフロー管が設置されており、反応混合物は気液混相にて、オーバーフロー管を介して十分な撹拌下にある第二反応器へ流入させた。第二反応器も内容積30L位置にオーバーフロー管が設置されている。温度は両反応器とも150℃に維持した。第2反応器から流出した反応液は脱ガス塔へ供給した。脱ガス塔では中間体であるフェニルクロロホーメートとフェノールの反応を完結させるべく、160℃の窒素ガスを300NL/hrで反応液と向流接触させ、反応液からの塩化水素の逸出を促進した。脱ガス塔からの排ガスは第二反応器からの排ガスと合流させ、凝縮器を経由して除害塔で無毒化処理をした。粗ホスゲン中の不純物はほぼ全量が排ガス中に流出していた。定常状態で脱ガス塔から反応液が35.7kg/hrの流量で得られ、その組成はジフェニルカーボネートが88.1重量%で、供給ホスゲンのほぼ100%がジフェニルカーボネートに転換されていた。【0046】脱ガス塔から流出した反応液は、ジャケット付きフッ素系樹脂でライニングした中和槽に導入し、約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液と80℃で10分間混合したのち、セトラーで30分間静置し水相と有機相とに分液した。この中和は水相のpHが8.5になるように行った。有機相は水洗槽に移送した。水洗槽では有機相に対して約30重量%の温水を加えて10分間混合したのちセトラーで30分間静置した。水相を分離して粗製炭酸ジフェニル(水分1.0重量%、ピリジン3.0重量%、フェノール7.0重量%)を得た。粗製炭酸ジフェニルの易抽出性塩素は43ppbで、トータル塩素は5000ppbであった。ここで得られたジフェニルカーボネートを「粗製ジフェニルカーボネート−2」とする。【0047】実施例1上記の粗製ジフェニルカーボネート−1を約28kg/hr、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を70mL/hrで、いずれも、前段蒸留塔中段に連続供給した。前段蒸留塔は、内径150mm、高さ3.5mで、上部に還流装置が配設され、塔中段に原液供給部があり、濃縮部及び回収部にスルザーパッキング(住友重機工業製)を充填した、理論段数8段のSUS316製連続蒸留塔を使用した。真空度2.7kPa、熱媒オイル温度約220℃、トップ温度80〜100℃、還流比1、留出率約12%の条件で蒸留して、塔頂からはジフェニルカーボネートより低沸点物質である水、遊離型のピリジン、未反応フェノールを留出液として除去した。塔底からは、缶出側滞留時間20分で、24.5kg/hrの缶出液を抜き出した。抜き出したジフェニルカーボネート缶出液中の水分は検出限界(10ppm)以下であり、ピリジン、フェノール含量はそれぞれ検出限界(1ppm)以下、50ppmであった。缶出液中の易抽出性塩素は2300ppbで、加熱試験によるトータル塩素も2310ppbとなりほぼ同等の値が得られた。これは、前段蒸留塔内で水酸化ナトリウムとの向流接触により、粗製ジフェニルカーボネート中に存在した有機塩素化合物がほぼ全量分解したためである。また、缶出液中の金属Na濃度は6.5ppmとなり、供給した水酸化ナトリウム水溶液のNaが全量缶出側にバランスされた。【0048】次に、この前段蒸留塔のジフェニルカーボネート缶出液を、後段蒸留塔に連続供給した。後段蒸留塔は、内径200mm、高さ3.5mで、上部に還流装置が配設され、塔中段に原液供給部があり、濃縮部及び回収部にスルザーパッキング(住友重機工業製)を充填した、理論段数8段のSUS304製連続蒸留塔を使用した。真空度2.7kPa、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度約180℃、還流比0.5、留出率約90%の条件で蒸留して、塔頂からの留出液として精製ジフェニルカーボネートを約22kg/hrで得、塔底からは缶出側滞留時間1時間で缶出液を2.5kg/hrで抜き出した。精製ジフェニルカーボネート留出液中のフェノールは80ppmで、易抽出性塩素及びトータル塩素はともに4ppb以下であり、高純度品が得られた。一方、缶出液中の易抽出塩素及びトータル塩素はともに23000ppbで、金属Na濃度は64ppmとなり、塩素及びNaは缶出側に留出率見合いで濃縮されており、前述した前段蒸留塔のジフェニルカーボネート缶出液中の塩素は全量NaClとして固定化されていることが判った。【0049】実施例2後段蒸留塔の塔底から抜き出された缶出液を、更に下記の条件で連続回収蒸留し、また、回収蒸留塔の塔頂から回収されたジフェニルカーボネート留出液約2.2kg/hrを、前記粗製ジフェニルカーボネートの製造例−1の中和混合槽にリサイクルした以外は、実施例1と同様の操作を行い、約1ヶ月にわたり連続運転を実施した。ジフェニルカーボネートの回収蒸留条件は、内径100mm、高さ2.5mで、上部に還流装置が配設され、塔中段に原液供給部があり、濃縮部及び回収部にスルザーパッキング(住友重機工業製)を充填した、理論段数8段のSUS316製連続蒸留塔を使用し、真空度2.7kPa、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度180℃、還流比0.5、缶出側滞留2時間、缶出液連続抜き出し0.3kg/hrに調整した。結果、後段蒸留塔の塔頂からの留出液として、塩素含量4ppb以下、フェノール含量70ppmの高純度ジフェニルカーボネートが約22kg/hrで連続して得られた。また、1ヶ月運転後に各蒸留塔(前段蒸留塔、後段蒸留塔、回収蒸留塔)を開放し、内部点検を行ったが腐食は認められなかった。【0050】比較例1実施例1において、上記粗製ジフェニルカーボネート−1に水酸化ナトリウム水溶液を供給しなかった以外は、実施例1と同様の方法で連続蒸留精製を行った。後段蒸留で得られた精製ジフェニルカーボネート留出液中の易抽出性塩素及びトータル塩素は、それぞれ、50ppb及び90ppbであった。【0051】比較例22kgの上記粗製ジフェニルカーボネート−1と0.1N水酸化ナトリウム水溶液5mLを、スルザーラボパッキング(住友重機工業製)を充填した理論段数8段の蒸留塔釜部に仕込み、バッチ式で蒸留精製を実施した。真空度2.7kPa、還流比1、留出速度400g/hrの条件で徐々に熱媒温度を上昇し低沸不純物を留去した。蒸留塔トップ温度がジフェニルカーボネートの沸点である180℃になった後、留出ジフェニルカーボネートを300g毎に分取し、5カットした。いずれのカットも易抽出塩素は50から70ppbあり、加熱試験後のトータル塩素は数100ppb検出された。これは、バッチ蒸留では、水酸化ナトリウムが塔底にしか存在できず分散が良くないため、有機塩素化合物の分解が遅く、かつ、発生する揮発性塩素の中和が不十分なためである。【0052】比較例30.1N水酸化ナトリウム水溶液を20mL仕込んだ以外は、比較例2と同様の方法でバッチ蒸留精製を行った。留出ジフェニルカーボネート中の易抽出性塩素及びトータル塩素は、それぞれ、30ppb及び55ppbであった。【0053】比較例40.1N水酸化ナトリウム水溶液を前段蒸留塔の塔底部に70mL/hr連続供給した以外は、実施例1と同様の方法で連続蒸留精製を行った。結果、後段蒸留で得られた精製ジフェニルカーボネート留出液中の易抽出性塩素及びトータル塩素は、それぞれ、35ppb及び50ppbであった。【0054】比較例50.1N水酸化ナトリウム水溶液を前段蒸留塔の塔底部に300mL/hr連続供給した以外は、実施例1と同様の方法で長期間連続蒸留精製を行った。結果、後段蒸留で得られた精製ジフェニルカーボネート中の易抽出性塩素及びトータル塩素は、ともに、25ppbであったが、フェノール濃度は720ppmと高めであった。また、前段蒸留で留去されるフェノール量も多く、蒸留時にジフェニルカーボネートの分解が加速される結果となった。更に、運転開始後1ヶ月で後段蒸留塔釜部(SUS304製)に数ヶ所の孔食が認められた。実施例1、2及び比較例1〜5の各反応条件を表1に示す。【0055】【表1】【0056】実施例3上記粗製ジフェニルカーボネート−2を約28kg/hr、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液を70mL/hrで前段蒸留塔の中段に連続供給した。前段蒸留塔としては、内径150mm、高さ3.5mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業社製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。圧力2.7KPa、リボイラーの熱媒温度約220℃、塔頂温度80〜100℃、還流比1、留出率約12%の条件で蒸留して、炭酸ジフェニルより低沸点物質である水、遊離型のピリジン及び未反応フェノールを蒸留除去した。塔底より缶出液を24.5kg/hrで抜き出した。塔底における液滞留時間は20分間であった。抜き出した炭酸ジフェニル中の水分は未検出(10ppm以下)であり、ピリジン、フェノール含量はそれぞれ未検出(1ppm以下)、50ppmであった。易抽出性塩素は2700ppbで、トータル塩素も2710ppbとほぼ同等の値が得られた。これは、前段蒸留塔内で水酸化ナトリウムとの接触により炭酸ジフェニル中の有機塩素化合物がほぼ全量分解したためである。また、缶出液のナトリウム濃度は6.5ppmで、供給した水酸化ナトリウム水溶液のナトリウムが全量缶出液に移行していた。【0057】次に、この缶出液を後段蒸留塔に連続供給した。後段蒸留塔としては、内径200mm、高さ3.5mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキングを充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。圧力2.7KPa、リボイラーの熱媒温度約240℃、塔頂温度約180℃、還流比0.5、留出率約90%の条件で蒸留して、塔頂から精製炭酸ジフェニルを約22kg/hrで得、塔底より缶出液を2.5kg/hrで抜出した。塔底における液滞留時間は1時間で、精製炭酸ジフェニル中のフェノールは80ppm、易抽出性塩素及びトータル塩素はともに4ppb以下であり、高純度品が得られた。一方、缶出液中の易抽出塩素及びトータル塩素はともに27000ppbで、ナトリウム濃度は64ppmであり、塩素及びナトリウムは缶出液に留出率見合いで濃縮されており、前段蒸留塔から得られた炭酸ジフェニル中の塩素は塩化ナトリウムとして全量固定されていることが判った。【0058】実施例4上記実施例2で得られたジフェニルカーボネート188.5g(0.880モル)、ビスフェノールA(新日鉄化学製)182.6g(0.800モル)、及びエステル交換触媒として0.18重量%炭酸セシウム水溶液50μl(0.35μモル/ビスフェノールAモル)を内容積500mlの撹拌機及び留出装置付きのガラスフラスコに入れ、反応容器内を窒素ガスで置換後、窒素ガス雰囲気下210℃で内容物を溶解した。内容物が完全に溶解した後、210℃、常圧で、1時間この状態を保持した。次いで、反応器内の圧力を徐々に13kPaにまで下げてフェノールを留出させ、この状態で1時間保持した。その後、重合温度を240℃に昇温し、反応器内の圧力を徐々に2.0kPaに減圧し、1時間重合を進めた後、更に270℃に昇温し、反応器内の圧力を67Paまで下げ1時間重合を継続した。この間粘度の上昇が確認され、生成物を回収後、以下の方法で分子量、色調を評価した結果、Mv=17,300で、YI=1.4のポリカーボネートを得た。【0059】分子量(Mv):ポリカーボネートの濃度(C)が0.6g/dlの塩化メチレン溶液を用いて、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて算出した値である。【0060】【数1】ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)[η]=1.23×10-4(Mv)0.83【0061】色相:10%塩化メチレン溶液を直径25mm、高さ55mmのガラス製セルに入れ、カラーテスター(スガ試験機株式会社製SC−1−CH)で色の絶対値である三刺激値XYZを測定し、次の関係式により黄色度の指標であるYI値を計算した。【0062】【数2】YI=100/Y×(1.28X−1.06Z)【0063】実施例5上記実施例3で得られたジフェニルカーボネートを使用した以外は、実施例4と全く同様にして、ポリカーボネートを製造した結果、Mv=17,300で、YI=1.4のポリカーボネートを得た。【0064】【発明の効果】本発明によれば、ジフェニルカーボネートの分解を抑制して、連続的にジフェニルカーボネート中の塩素由来の塩素由来の酸性重合阻害性物質をトータル塩素20ppb以下まで低減、除去することができ、着色の少ないポリカーボネートの原料としてのジフェニルカーボネートの工業的製造に有効である。 ホスゲンとフェノールとを反応させて粗製ジフェニルカーボネートを製造する工程、次いで、水分及び不純物を含有する粗製ジフェニルカーボネートを連続蒸留する精製工程を含むジフェニルカーボネートの製造方法において、精製工程の連続蒸留が、水分及びジフェニルカーボネートより低沸点の不純物を除去する前段蒸留と精製ジフェニルカーボネートを回収する後段蒸留とを含み、且つ、該前段蒸留には、塩基性物質を供給し、これを該低沸点の不純物と向流接触させることを特徴とするジフェニルカーボネートの製造方法。 後段蒸留では、缶出液を連続的に抜き出し、缶出側滞留時間を5時間以内に調整することを特徴とする請求項1記載のジフェニルカーボネートの製造方法。 上記缶出液からさらにジフェニールカーボネートを回収する回収蒸留でも、缶出液を連続的に抜き出し、缶出側滞留時間を10時間以内に調整することを特徴とする請求項2記載のジフェニルカーボネートの製造方法。 塩基性物質が、アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにこれらの酸化物、水酸化物及び炭酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジフェニルカーボネートの製造方法。 塩基性物質が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである請求項4記載のジフェニルカーボネートの製造方法。 精製ジフェニルカーボネート中の塩素含有量(トータル塩素)が20ppb以下である請求項1〜5のいずれかに記載のジフェニルカーボネートの製造方法。 蒸留塔の材質がオーステナイト系ステンレスであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のジフェニルカーボネートの製造方法。 粗製ジフェニルカーボネートを製造する工程が、ホスゲンとフェノールとを、第4級アンモニウム塩、芳香族複素環式含窒素塩基性化合物又はその塩の存在下に反応させ、生成した反応混合物をアルカリ水溶液と接触させて中和した後に、水相から分離した有機相を水で洗浄し、また水相から分離することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のジフェニルカーボネートの製造方法。 前記請求項3の回収蒸留で連続的に回収された留出液を、上記反応混合物をアルカリ水溶液と接触させる中和洗浄工程にリサイクルすることを特徴とする請求項8記載のジフェニルカーボネートの製造方法。 請求項1〜9のいずれかの製造方法により得られたジフェニルカーボネートを、芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。


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