生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_キトサンの溶解方法
出願番号:2002025896
年次:2009
IPC分類:C08B 37/08,C12J 1/00


特許情報キャッシュ

田邊 伸和 久野 智弘 JP 4359017 特許公報(B2) 20090814 2002025896 20020201 キトサンの溶解方法 グンゼ株式会社 000001339 田邊 伸和 久野 智弘 20091104 C08B 37/08 20060101AFI20091015BHJP C12J 1/00 20060101ALI20091015BHJP JPC08B37/08 AC12J1/00 Z C08B 1/00-37/18 C12J 1/00 特開平06−319517(JP,A) 特開平11−193301(JP,A) 特開平08−070890(JP,A) 特開2000−279163(JP,A) 特開平11−199601(JP,A) 1 2003226701 20030812 4 20050121 福井 悟 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、多糖類であるキチンを脱アセチル化して得られるキトサンの溶解方法に関する。【0002】【従来の技術】カニやエビ等の甲殻類から得られるキチンを脱アセチル化したキトサンは、多糖類の一種であり凝集剤の他、シャンプーや化粧品、更には、食品、農薬等の添加物として広範囲に利用されるようになってきている。しかしながら、かかるキトサンは、水やアルコール等の一般的な溶媒には溶解せず、また、弱酸性の酢酸やクエン酸、乳酸等の酸には溶解するが、その溶解度はせいぜい約5重量%とそれほど大きくはない。かかる点、本出願人は特開平6−319517号公報に開示した一般の醸造用米麹(黄麹)に対し、モナスカス属(Monascus)の糸状菌にて培養された米紅麹が5〜50重量%の組成割合となるよう醸造された玄米酢にキトサンを溶解させる方法を発明したが、なお、キトサンの溶解力に限界があり、また、キトサン溶解液の酢酸臭が強いという課題も残った。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる点、キトサンの種々の機能を更にさまざまな分野で利用しやすくするために高濃度に溶解させ、かつ溶解液の酢酸臭を抑える溶解方法を提供するものである。【0004】【課題を解決するための手段】しかるに、本発明は、菌体量(グルコサミン含量)が4mg/g dry wt以上の紅麹を添加して醸造された玄米酢をキトサンの溶解に用いることを特徴とするキトサンの溶解方法に関する。【0005】【発明の実施の形態】前記において、本発明に用いる紅麹はモナスカス属(Monascus)に属する糸状菌を精白米に繁殖させてなる麹で、SAKURAIらの方法(Agric.Biol.Chem.,41,619(1977))で測定した菌体量(グルコサミン含量)が4mg/g dry wt以上のものである。また、玄米酢とは、米麹に玄米を加え、通常の方法により醸造してもろみ(酒)とし、これに酢酸菌を反応させて酢としたもので、玄米中の糠に含まれるタンパク質が分解され、アミノ酸として豊富に存在する食酢として、また、健康指向の飲む酢としても用いることができるものである。【0006】本発明における玄米酢は、前記した方法による玄米酢の製造に際し、米麹として紅麹のみを加えて食酢としたもの、或いは、紅麹とアスペルギルス属(Aspergillus)に属する糸状菌を種菌とし製麹した醸造用米麹(黄麹)を加えて食酢としたもの、更には、黄麹と紅麹を夫々単独で玄米に加え、各別に醸造して得た玄米酢を混合して調整したものを用いることができるが、製造の容易性から紅麹、黄麹の両者を添加する方法によるのが好ましい。また、黄麹はその割合が多い程玄米酢の醸造期間を短くする利点はあるが、キトサン溶解力の強い玄米酢を得るためには紅麹の割合が多いほど望ましい。【0007】本発明において、紅麹の菌体量(グルコサミン含量)を4mg/g dry wt以上としたのは、これより少ない場合はキトサン溶解力の強い玄米酢が得られないためである。なお、4mg/g dry wtとは乾燥紅麹1g当りの菌体量が4mgであることを意味し、かかる乾燥紅麹とは、例えば、60°Cの温風にて3時間以上乾燥させ、水分率を5〜10%としたものである。このようにして得られたキトサンの高濃度溶液は、調味料である酢として、また、各種の食品添加物やキトサン添加原料としても用いられるが、酢酸による刺激臭をより改善する目的において、或は、日本農林規格(JAS)で酢として定めている最低基準の酸度3.6%以上を確保する目的において前記した菌体量であることが好ましい。以下、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。【0008】【実施例1】(玄米酢の調整)蒸し米にMonascus pilosus(IFO4520)を植菌した後、30℃で8日間培養し、菌体量(グルコサミン含量)が7.8mg/g dry wtの米紅麹を得た。一方、別の蒸し米に酢用もやし((株)菱六製 Aspergillus oryzae菌)を植菌した後、43時間培養して醸造用米麹(黄麹)を得た。得られた紅麹と黄麹を2:1の割合となるよう混合し、これを玄米に加え、通常の醸造法により酢もともろみを作製した。次いでこれに種酢を加え、上面発酵法で酢に加工し、2カ月の熟成期間をおいて、おり引、濾過の後、酸度調整は行わず、本発明を構成する米紅麹玄米酢(本発明1)を得た。また、蒸し米にMonascus pilosus(IFO4520)を植菌した後、30℃で10日間培養し、菌体量(グルコサミン含量)が11.5mg/g dry wtの米紅麹を得、それを用いて前述と同じ方法で米紅麹玄米酢(本発明2)を得た。一方、対照区1として麹に菌体量(グルコサミン含量)が3.2mg/g dry wtの紅麹と黄麹の混合麹(2:1)を用い、対照区2として黄麹のみを用いて同様の方法で玄米酢を得た。(キトサンの溶解力試験)焼津水産化学工業(株)製のパン粉様のキトサンCLH(脱アセチル化度約85%、分子量約100万)5gを蒸留水60mlに懸濁させ、前記玄米酢を20ml添加し、室温で2時間攪拌した。その後、10分おきに玄米酢を1mlずつ添加し、キトサンが完全に溶解するのに必要な酢量を求めた。また、各キトサン溶液について酢酸による刺激臭を比較した。その結果を表1に示す。【0009】【表1】【0010】かかる結果からも明らかなように、キトサンの溶解力は、対照区2種に比べ明らかに強く、刺激臭が弱い濃厚なキトサン溶液が得られた。【0011】【発明の効果】以上説明したように、本発明は、豊富な天然資源であるキチンを脱アセチル化して得られるキトサンを高濃度に溶解させるキトサンの溶解方法を提供したもので、本発明によって得られたキトサンの高濃度溶解玄米酢は、凝集、保湿、抗菌等の機能を利用して調味料、食品添加物としてはもとより、かかる機能を必要とする各種産業用途に幅広く活用されるものである。 菌体量(グルコサミン含量)が7.8mg/g dry wt以上11.5mg/g dry wt以下の紅麹と醸造用米麹(黄麹)を2:1の割合となるよう混合して醸造された玄米酢にキトサンを溶解させることを特徴とするキトサンの溶解方法。1


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