生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_含フッ素硫酸エステル系界面活性剤
出願番号:2002013037
年次:2008
IPC分類:B01F 17/04,C07C 305/10


特許情報キャッシュ

森岡 恭一 大前 清和 饗庭 啓三 米島 隆 JP 4108985 特許公報(B2) 20080411 2002013037 20020122 含フッ素硫酸エステル系界面活性剤 株式会社ネオス 000135265 青山 葆 100062144 北原 康廣 100103115 森岡 恭一 大前 清和 饗庭 啓三 米島 隆 20080625 B01F 17/04 20060101AFI20080605BHJP C07C 305/10 20060101ALI20080605BHJP JPB01F17/04C07C305/10 B01F 17/04, C07C 305/10, CA,REGISTRY(STN) 特開昭57−164199(JP,A) 仏国特許出願公開第2705894(FR,A1) 特開昭50−100009(JP,A) 特開平07−028230(JP,A) 1 2003210967 20030729 6 20040818 小川 知宏 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、繊維、金属および樹脂等の表面改質剤、フッ素系高分子の乳化重合用乳化剤、帯電防止剤並びに分散剤等として有用な新規な含フッ素硫酸エステル系界面活性剤に関する。【0002】【従来の技術】含フッ素陰イオン界面活性剤はフッ素系高分子の乳化重合用乳化剤、インキのしみ防止剤および帯電防止剤等として従来から用いられてきた。この種の界面活性剤としては、例えば、ヘキサフルオロプロペンを原料とするものが知られている(特開昭57−164199号公報参照)。この界面活性剤は、ヘキササフルオロプロペンのダイマーまたはトリマーを三級アミンの存在下でフェノールと反応させて得られる生成物をスルホン化し、次いでスルホン化物を中和することによって調製される。しかしながら、この種の含フッ素陰イオン界面活性剤の場合には、分子中にスルホン基が1個しか存在しないことに起因して、水に対する溶解性が不十分なために、水性系の一般的な乳化剤、分散剤およびフッ素系高分子の乳化重合用乳化剤等としての使用に限界があるという問題があった。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、この種の含フッ素陰イオン界面活性剤の上記問題点を解決することによって、フッ素に特有の高界面活性を損なうことなく、水に対する溶解性が改良された含フッ素系界面活性剤であって、乳化剤、分散剤、表面改質剤、帯電防止剤、撥油剤および付着防止剤等として使用できるだけでなく、低重合度のフッ素系高分子の乳化重合用乳化剤、架橋剤および水に対するフッ素系試薬の可溶化剤等としても使用できる新規な含フッ素硫酸エステル系界面活性剤を提供するためになされたものである。【0004】【課題を解決するための手段】即ち本発明は、一般式(I):【化2】[式中、X1およびX2は水素原子または−SO3M(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を示す)を示し(但し、X1およびX2の少なくとも一方は−SO3Mを示す)、Rfはパーフルオロヘキセニル基またはパーフルオロノネニル基を示す]で表される含フッ素硫酸エステル系界面活性剤に関する。【0005】【発明の実施の形態】本発明による含フッ素硫酸エステル系界面活性剤の製造法は特に限定的ではないが、好適な製造法を以下に説明する。先ず、ヘキサフルオロプロペンのダイマーまたはトリマーを、非水極性溶媒中において、塩基性触媒の存在下でソルケタールと反応させることによって、一般式(II):【化3】(式中、Rfは前記と同意義である)で表されるエーテル化合物を調製する。【0006】上記反応で使用する非水極性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびアセトニトリル等が例示されるが、特にアセトニトリルが好ましい。【0007】また、上記反応で使用する塩基性触媒としては、苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ソーダ、炭酸カリおよびトリアルキルアミン等が例示されるが、特にトリエチルアミンおよび炭酸カリが好ましい。【0008】さらに、上記反応におけるヘキサフルオロプロペンのダイマーまたはトリマーとソルケタールとの反応モル比は、通常、2:1〜1:1、好ましくは、1.2:1〜1.05:1である。なお、反応温度および反応時間は、通常、それぞれ25〜40℃および6〜24時間である。【0009】次いで、一般式(II)で表されるエーテル化合物を鉱酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸または硝酸(好ましくは、塩酸)の水溶液中で加水分解させることによって、一般式(III):【化4】(Rfは前記と同意義である)で表されるアルコール化合物を調製する。なお、加水分解温度は、通常、50〜100℃である。【0010】上記の加水分解によって得られるアルコール化合物(III)を発煙硫酸または無水硫酸等を用いる硫酸エステル化処理に付し、さらに所望により該硫酸エステル化物を適宜のアルカリ金属含有アルカリで中和することによって、一般式(I)で表される含フッ素硫酸エステル系界面活性剤が得られる。【0011】なお、上記の硫酸エステル化処理温度は、通常、−5〜20℃であり、また、該硫酸エステル化物のアルカリ中和温度は、通常、5〜25℃である。【0012】本発明による含フッ素硫酸エステル系界面活性剤(I)の上記製造法において用いるヘキサフルオロプロペンのダイマーおよびトリマーの代表的な化合物としては、次式(IV)および(V)で表される化合物が例示される。【化5】【化6】【0013】このようなヘキサフルオロプロペンオリゴマーは、ソルケタール等のヒドロキシル化合物のヒドロキシル基と反応してエーテル結合を形成する(特開昭52−41182号公報参照)。【0014】以下、本発明を実施例によって説明する。実施例1攪拌機、温度計、冷却管および滴下漏斗を備えた四つ口フラスコ(1000ml)内にソルケタール102.96g(0.78モル)、トリエチルアミン86.66g(0.858モル)およびアセトニトリル350mlを入れ、該フラスコ内を30℃に保ちながら、該混合物中へヘキサフルオロプロペントリマー(V)386.1g(0.858モル)を約30分間かけて攪拌下で徐々に滴下した。滴下終了後、30℃で攪拌をさらに8時間続行した。反応混合物を分液漏斗に移した後、水400mlを用いる洗浄処理に3回付し、次いで0.1N塩酸200mlを用いる洗浄処理に2回付すことによって、粗製エーテル化合物(IIa)を423.7g得た。【化7】【0015】攪拌機と溶媒留去装置を備えた四つ口フラスコ(500ml)内へ上記の粗製エーテル化合物の全量を移し、0.5N塩酸50mlとメタノール120mlを加えた後、加水分解によって生成するアセトンを留去させながら、加熱攪拌を4時間続行した。次いで、メタノール15mlと水15mlを添加した後、加熱攪拌をさらに3時間続行した。反応混合物を分液漏斗に移した後、水200mlを用いる洗浄処理に1回付し、次いで1%炭酸水素ナトリウム水溶液200mlを用いる洗浄処理に1回付し、さらに水150mlを用いる洗浄処理に2回付した後、残存する水をロータリーエバポレーターで留去することにより、アルコール化合物(IIIa)を378g得た。【化8】【0016】上部に塩化カルシウム管を具有する等圧側管付き滴下漏斗および攪拌機を備えた四つ口フラスコ(500ml)内にアルコール化合物(IIIa)46.8g(0.0897モル)とジエチルエーテル100mlを入れ、この混合物中へ、氷水浴(0〜5℃)で冷却しながら、30%発煙硫酸52.6g(SO3換算で0.197モル)を約30分間かけて攪拌下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り外し、得られた混合物を室温で1時間攪拌して硫酸エステル化をおこなった。【0017】三角フラスコ(1リットル)内に水酸化ナトリウム38g(0.97モル)と水300mlを加えて調製した水溶液中へ、氷水浴(0〜5℃)で冷却しながら、上記硫酸エステル化の反応混合物を約30分間かけて攪拌下で徐々に滴下した。滴下終了後、得られた反応混合物に食塩を飽和量添加することによって、目的化合物(Ia)を析出させた。【化9】【0018】該析出物を吸引濾過によって濾取し、これを飽和食塩水200mlで2回洗浄した後、再び吸引濾過処理に付し、濾取物を減圧乾燥機内で乾燥させた。該乾燥固体をソックスレー抽出器内でのアセトン連続抽出処理に付し、抽出物をロータリーエバポレーターで乾固させることによって、精製化合物(Ia)を37g得た。化合物(Ia)の物性を表1に示す。【0019】【表1】【0020】【発明の効果】本発明による含フッ素硫酸エステル系界面活性剤は、1分子中に含フッ素基と共に、スルホン基を2個まで有することができるので、フッ素に特有の高界面活性を損なうことなく、水に対して改良された溶解性を示すので、乳化剤、分散剤、表面改質剤、帯電防止剤、撥油剤および付着防止剤等として使用できるだけでなく、低重合度のフッ素系高分子の乳化重合用乳化剤、架橋剤および水に対するフッ素系試薬の可溶化剤等としても有用である。 一般式(I):[式中、X1およびX2は水素原子または−SO3M(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を示す)を示し(但し、X1およびX2の少なくとも一方は−SO3Mを示す)、Rfはパーフルオロヘキセニル基またはパーフルオロノネニル基を示す]で表される含フッ素硫酸エステル系界面活性剤。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る